JPH0680842A - 耐衝撃性および耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性および耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物

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JPH0680842A
JPH0680842A JP23325892A JP23325892A JPH0680842A JP H0680842 A JPH0680842 A JP H0680842A JP 23325892 A JP23325892 A JP 23325892A JP 23325892 A JP23325892 A JP 23325892A JP H0680842 A JPH0680842 A JP H0680842A
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JP
Japan
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weight
group
compound
vinyl compound
resin composition
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Withdrawn
Application number
JP23325892A
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English (en)
Inventor
Kazuhito Wada
一仁 和田
Yasuhiro Mishima
育宏 三島
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性、耐熱性、および耐表層剥離性に優
れ、かつ溶融時に適度の流動性を保持している熱可塑性
樹脂組成物を提供する。 【構成】 塩化ビニル系樹脂(D)および/またはスチ
レン系樹脂(E)1〜99重量部と変性オレフィン系樹脂
(F)99〜1重量部からなる、アロイ化樹脂(X)100重
量部、(D)および/または(E)と(F)とを相溶化
させるための相溶化剤(G)0〜50重量部、グラフト共
重合体(Y)0.1〜50重量部、および耐熱性向上剤
(Z)1〜200重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物。こ
のグラフト共重合体(Y)は、エポキシ基を有するビニ
ル化合物(a−1)およびその他のビニル化合物群(a
−2)からなるビニル化合物群(A)5〜60重量部を、
ゴム状重合体(B)40〜95重量部にグラフト重合させて
得られ;耐熱性向上剤(Z)は、エポキシ基を有するビ
ニル化合物(c−1)およびその他のビニル化合物群
(c−2)を共重合させて得られる共重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、耐熱性、お
よび耐表層剥離性に優れ、さらに溶融時に適度な流動性
を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系樹脂は、成形加工し易く、
さらに安価であるため、様々な用途に利用されている。
【0003】さらに最近、様々な用途に適するように、
オレフィン系樹脂に塩化ビニル系樹脂および/またはス
チレン系樹脂とを混合したアロイ化樹脂も開発されてい
る。このようなアロイとしては、例えば、特開昭63−
304039、特開平1−165640、および特開昭
60−36178に記載されているような、アロイ化樹
脂がある。
【0004】しかし、一般にオレフィン系樹脂は、耐衝
撃性あるいは耐熱性が劣っているという欠点がある。こ
のため、オレフィン系樹脂を含有するアロイについても
同様であり、これらは、衝撃強度あるいは耐熱性を必要
とする用途(OA機器の部品あるいは自動車の内外装用
部品)には適さない。
【0005】オレフィン系樹脂の衝撃強度を増加させる
ため、オレフィンをブロック共重合化させる方法、ある
いはオレフィン系樹脂にエチレン−プロピレン−ジエン
三元共重合体(EPDM)のようなゴム状の樹脂を添加
する方法が実施されている。しかしこれらの方法を用い
て作成した樹脂は、もとのオレフィン系樹脂と比較し
て、衝撃強度は増加するが、耐熱性が低下するという欠
点を有する。その他に、例えば、特開平3−18503
7には、オレフィン系樹脂としてポリ塩化ビニル(PV
C)を用い、耐衝撃性改良剤であるコアーシェル変性剤
を相溶化剤の存在下で添加する方法が開示されている。
この方法では、上記と同様の欠点がある他、相溶化剤を
用いる必要があるために、コストが高くなるという欠点
がある。さらに、EPDMあるいはコアーシェル変性剤
を導入する場合には、射出成形等での成形後に、成形品
の表層がわずかな力がかかっただけで分離してしまう表
層剥離現象が起こったりする欠点もある。
【0006】オレフィン系樹脂の耐熱性を増加させるた
め、耐熱性を向上し得るような化合物をオレフィン系樹
脂に共重合させる方法が実施されている。この方法で
は、耐衝撃性あるいは流動性が低下する欠点がある。あ
るいはタルクのような無機物あるいはガラス繊維のよう
な無機フィラーを添加する方法も一般的に実施されてい
る。しかし、この方法でも、充填剤の添加によって、得
られるオレフィン樹脂の流動性が低下するという欠点が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決しようとするもので、その目的は、耐衝撃性およ
び耐熱性に優れ、さらに表層剥離を起こさず、溶融時に
適度な流動性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、塩化ビニル系樹脂(D)および/またはスチレ
ン系樹脂(E)1〜99重量部と変性オレフィン系樹脂
(F)99〜1重量部からなる、アロイ化樹脂(X)100重
量部、(D)および/または(E)と(F)とを相溶化
させるための相溶化剤(G)0〜50重量部、グラフト共
重合体(Y)0.1〜50重量部、および耐熱性向上剤
(Z)1〜200重量部を含有し; 該グラフト共重合体
(Y)は、エポキシ基を有するビニル化合物(a−1)
0.01〜50重量%およびその他のビニル化合物群(a−
2)50〜99.99重量%からなるビニル化合物群(A)5〜
60重量部を、ゴム状重合体(B)40〜95重量部にグラフ
ト重合させて得られ; 該耐熱性向上剤(Z)は、エポ
キシ基を有するビニル化合物(c−1)0.01〜50重量%
およびその他のビニル化合物群(c−2)50〜99.99重
量%が共重合して得られる。
【0009】本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂
(D)は、例えば塩化ビニルのみからなる重合体、塩化
ビニル80重量%以上とその他の単量体を共重合させて
得られる共重合体、および後塩素化ポリ塩化ビニルであ
り、これらを単独あるいは2種以上の組み合わせで用い
得る。塩化ビニルと共重合体を形成する単量体は、例え
ばエチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、およ
びブチルアクリレート等のモノビニリデン化合物であ
る。
【0010】塩化ビニル系樹脂(D)は、平均重合度が
好ましくは400〜1500であり、さらに好ましく
は、450〜1000である。平均重合度が400未満
になると、耐衝撃性が低下し、1500を超えると流動
性が著しく低下する傾向がある。
【0011】本発明に用いられるスチレン系樹脂(E)
には、例えばポリスチレン,アクリロニトリル−スチレ
ン共重合体,アクリロニトリル−スチレン−α−メチル
スチレン共重合体,アクリロニトリル−メチルメタクリ
レート−スチレン−α−メチルスチレン共重合体,AB
S樹脂,AS樹脂,MABS樹脂,MBS樹脂,AAS
樹脂,AES樹脂,アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン−α−メチルスチレン共重合体,アクリロニトリ
ル−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−α
−メチルスチレン共重合体,スチレン−無水マレイン酸
共重合体,スチレン−マレイミド共重合体,スチレン−
N−置換マレイミド共重合体,アクリロニトリル−スチ
レン−N−置換マレイミド共重合体,アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン−β−イソプロペニルナフタレ
ン共重合体,アクリロニトリル−メチルメタクリレート
−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン−マレイ
ミド共重合体があり、これらが単独または2種以上の組
合せで用いられ得る。耐表層剥離性を低下させないた
め、塩化ビニル系樹脂と相溶性のあるものが好ましい。
【0012】スチレン系樹脂(E)の好ましい例は、熱
可塑性樹脂に耐衝撃性を付与するような、グラフト共重
合体を0〜70重量%、より好ましくは、1〜70重量
%含有するスチレン系樹脂である。このようなグラフト
重合体は、例えば、ゴム状重合体40〜90重量%に、
シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、アルキル
メタクリレート化合物および他の共重合可能な化合物か
らなる群から選択される化合物群60〜10重量%をグ
ラフト重合して得られる。
【0013】スチレン系樹脂に含まれるゴム状重合体に
は、例えばポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴム
(NBR),ブチルアクリレートゴムなどが例示され
る。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリ
ル,メタクリロニトリルがある。芳香族ビニル化合物に
は、スチレン,メチルスチレン,クロロスチレン,α−
メチルスチレン等が例示され、また、アルキルメタクリ
レート化合物としては、メチルメタクリレート,エチル
メタクリレートがある。上記重合体および化合物は、い
ずれも単独叉は2種以上の組合せで用いられる。
【0014】スチレン系樹脂(E)は、好ましくは、メ
チルエチルケトンに可溶な部分を含む。このようなスチ
レン系樹脂(E)の例としては、メチルエチルケトン可
溶分が、芳香族ビニル化合物40〜90重量%とシアン
化ビニル化合物および/またはアルキルメタクリレート
化合物10〜60重量%、好ましくは15重量%以上と
を共重合して得られ、還元粘度が0.2〜0.9dl/
g(ジメチルホルムアミド溶液、30℃、濃度0.3g
/dl)、より好ましくは0.25〜0.8dl/gで
ある樹脂がある。このような共重合体を含むスチレン系
樹脂においては、シアン化ビニル化合物および/または
アルキルメタクリレート化合物が共重合成分として10
重量%未満では得られる熱可塑性樹脂の耐表層剥離性が
低下し、60重量%を超えると熱可塑性樹脂の溶融時の
流動性が低下する傾向にある。また、還元粘度が0.2
dl/g未満では耐衝撃性が低下し、0.9dl/gを
超えると流動性が低下し、成形時の熱安定性が悪くなる
傾向にある。また、耐熱性を必要とする場合は、メチル
エチルケトン可溶分の組成が、α−メチルスチレン含量
30重量%以上であるスチレン系樹脂であることが好ま
しい。
【0015】本発明に用いられる変性オレフィン系樹脂
(F)とは、オレフィン系樹脂の変性体をいう。ここ
で、「オレフィン系樹脂の変性体」とは、オレフィン
と、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水
物、およびヒドロキシル基などの官能基を持つ単量体の
共重合体あるいはグラフト重合体のことをいう。
【0016】オレフィン系樹脂には、例えば高密度ポリ
エチレン,中密度ポリエチレン,低密度ポリエチレン,
エチレンとその他のα−オレフィンとの共重合体,ポリ
プロピレン,プロピレンとその他のα−オレフィンとの
共重合体,ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1
などのポリオレフィン類、オリゴマー類、ポリオレフィ
ン系エラストマー(エチレン−プロピレンゴム,エチレ
ン−プロピレン−ジエンゴム,エチレン−酢酸ビニル共
重合体,ブチルゴム,ブタジエンゴム,プロピレン−ブ
テン共重合体,およびエチレン−アクリル酸エステル共
重合体等)があり、これらが単独または2種以上の組合
せで用いられる。
【0017】オレフィン系樹脂の好ましい例は、低密度
ポリエチレン,ポリプロピレン,およびプロピレンとそ
の他のα−オレフィンとの共重合体であり、特に好まし
い例は、ポリプロピレン,およびプロピレンとその他の
α−オレフィンとの共重合体の変性体である。
【0018】このオレフィン系樹脂の立体構造には特に
制限はなく、任意の立体構造のオレフィン系樹脂が用い
られる。耐熱性を増大させるには、アイソタクチック含
量が好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重
量%以上のオレフィン系樹脂が用いられる。オレフィン
系樹脂の分子量は、耐衝撃性および流動性を増大させる
には、重量平均分子量が5000〜1000000であ
ることが好ましく、10000〜700000がより好
ましい。
【0019】オレフィンと共重合される単量体に含まれ
る反応基には、エポキシ基,1級、2級、あるいは3級
アミノ基,アミド基,カルボキシル基,酸無水物,およ
びヒドロキシル基があり、これらの基を単独または2種
以上の組合せで有する単量体が用いられ得る。特に、エ
ポキシ基,エポキシド基と反応性のあるカルボキシル
基,酸無水物,アミノ基が好ましく、カルボキシル基が
より好ましい。
【0020】このような反応基を有する単量体には、グ
リシジルアクリレート,グリシジルメタクリレート,ア
リルグリシジルエーテル,ジメチルアミノエチルメタク
リレート,ビニルピリジン,t−ブチルアミノエチルメ
タクリレート,アクリルアミド,メタクリルアミド,マ
レイミド,アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,無
水マレイン酸,アリルアルコール,2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト,2−ヒドロキシプロピルメタクリレート,および2
−ヒドロキシプロピルアクリレートがある。
【0021】変性オレフィン系樹脂は、反応基を有する
単量体をオレフィンと共重合あるいはグラフト重合させ
て得られ得る。反応基の導入量は、重合前のオレフィン
100重量部に対して、単量体として、0.01〜10
重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0022】本発明に用いられる相溶化剤(G)は、塩
化ビニル系樹脂(D)、スチレン系樹脂(E)、および
オレフィン系樹脂(F)を相溶化できれば良く、任意の
相溶化剤が用いられる。相溶化剤(G)の好ましい例と
しては、ポリオレフィンとポリメチルメタクリレートと
のブロック共重合体またはグラフト共重合体、ポリオレ
フィンとアクリロニトリル−スチレン共重合体とのブロ
ック共重合体またはグラフト共重合体、ポリオレフィン
とポリ塩化ビニルとのブロック共重合体またはグラフト
共重合体、エポキシ基変性ポリスチレンとポリメチルメ
タクリレートとのブロック共重合体またはグラフト共重
合体、ポリオレフィンとエチレン−プロピレン−ジエン
ゴムと酢酸ビニル−エチレン共重合体との溶融反応物が
ある。
【0023】本発明のグラフト重合体(Y)は、エポキ
シ基を有するビニル化合物(a−1)およびその他のビ
ニル化合物群(a−2)からなるビニル化合物群(A)
を、ゴム状重合体(B)にグラフト重合させて得られる
共重合体であり、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および
耐表層剥離性を高める働きを有する。
【0024】グラフト共重合体(Y)中のビニル化合物
群(A)の構成単位であるビニル化合物(a−1)は、
エポキシ基を有するビニル単量体であり、好ましくは、
α,β−不飽和脂肪酸のグリシジルエステル化合物;
または少なくとも1個のアミド基と少なくとも1個のグ
リシジルオキシ基あるいはグリシジル基とを有する化合
物である。
【0025】α,β−不飽和脂肪酸のグリシジルエステ
ル化合物には、例えばグリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、およびアリルグリシジルエーテル
がある。少なくとも1個のアミド基と少なくとも1個の
グリシジルオキシ基あるいはグリシジル基とを有する化
合物としては、例えば下記一般式(1)で示される化合
物がある。
【0026】
【化3】
【0027】ここでArは、少なくとも1個のグリシジ
ルオキシ基あるいはグリシジル基を有するC9〜C23
芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子あるいはメチル
基を表す。上記一般式(1)に示される化合物は、例え
ば特開昭60−130580号に記載の方法で製造され
得る。具体的には、下記一般式(2)
【0028】
【化4】
【0029】(ここで、Ar’は、少なくとも1個の水
酸基を有するC9〜C23の芳香族炭化水素基を表し、R
は水素原子あるいはメチル基を表す)で表される化合物
にエピハロヒドリンを付加させた後、アルカリで脱ハロ
ゲン化水素反応を行うことにより製造され得る。出発物
質として、2,6−キシレノールとN−メチロールアク
リルアミドを用いた場合には、下記構造式(3)で表さ
れる化合物が得られる。
【0030】
【化5】
【0031】グラフト共重合体(Y)を構成するビニル
化合物群(a−2)には、好ましくは、芳香族ビニル化
合物、シアン化ビニル化合物、およびアルキル(メタ)
アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種
類の化合物が含まれる。好ましくは、(a−2)には、
上記の群から選択される化合物が、80重量%以上の割
合で含まれる。さらにこのうちシアン化ビニル化合物が
ビニル化合物群(A)の7重量%以下、好ましくは、0.
01〜7重量%の割合で含有されていることがより好まし
い。
【0032】上記ビニル化合物群(a−2)に含有され
る芳香族ビニル化合物には、例えば、スチレン、メチル
スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、およ
びβ−イソプレピルナフタレンがあり、シアン化ビニル
化合物には、例えば、アクリロニトリル、およびメタク
リロニトリルがあり、そしてアルキル(メタ)アクリレ
ート化合物には、例えばメチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、ブチルアクリレートがある。これらの
化合物は、いずれも単独あるいは2種以上の組み合せで
用いられ得る。
【0033】グラフト共重合体を構成するビニル化合物
群(a−2)には、上記のビニル化合物に加えて、アク
リルアミド、メタクリルアミド、マレイミド、アクリル
酸、マレイミド、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、および無水マレイン酸も含まれ得る。
【0034】グラフト共重合体中のビニル化合物群
(A)は、上記エポキシ基を有するビニル化合物(a−
1)0.01〜50重量%、およびその他のビニル化合物群
(a−2)50〜99.99重量%からなり、好ましくは、ビ
ニル化合物(a−1)0.01〜30重量%およびビニル化合
物群(a−2)70〜99.99重量%から構成される。さら
に好ましくは、ビニル化合物(a−1)0.01〜30重量
%、およびビニル化合物群(a−2)が、芳香族ビニル
化合物70〜99.99重量%、シアン化ビニル化合物0〜7重
量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜29.99重量%、
およびその他のビニル化合物群0〜20重量%から構成さ
れる。最も好ましくは、ビニル化合物(a−1)0.01〜
10重量%、芳香族ビニル化合物90〜99.99重量%、シア
ン化ビニル化合物0〜7重量%、アルキル(メタ)アクリ
レート0〜9.99重量%、およびその他のビニル化合物群0
〜9.99重量%から構成される。ビニル化合物(a−1)
が0.01重量%未満の場合には、変性オレフィン系樹脂と
の相溶性が低下し、50重量%を超えた場合には、成形加
工性が低下するため、好ましくない。
【0035】グラフト共重合体中のゴム状重合体(B)
は、例えば、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエ
ンゴム(SBR)およびアクリロニトリル−ブタジエン
ゴム(NBR)等のジエン系ゴム、ブチルアクリレート
ゴム等のアクリル系ゴム、およびエチレン−プロピレン
−非共役ジエンゴム(EPDM)等のオレフィン系ゴ
ム、ならびにシリコンゴムである。
【0036】グラフト重合体(Y)は、ビニル化合物
(a−1)およびその他のビニル化合物群(a−2)か
らなるビニル化合物群(A)5〜60重量部を、ゴム状重
合体(B)40〜95重量部にグラフト重合させて得られ
る。グラフト重合体(Y)中のゴム状重合体(B)の割
合が40重量部未満では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性
が低下し、95重量部を超えると熱可塑性樹脂組成物の成
形加工性が低下する。
【0037】上記ビニル化合物群(A)とゴム状共重合
体(B)とのグラフト重合は、塊状重合、懸濁重合、溶
液重合、および塊状−懸濁重合等の公知の方法を用いて
行われ得る。好ましくは、乳化重合法によって行われ
る。ビニル化合物群(A)をゴム状重合体(B)にグラ
フト重合させるときの仕込方法についても特に制限はな
く、初期一括仕込、分割仕込、あるいは連続仕込のいず
れを採用してもよい。分割あるいは連続仕込の場合に
は、重合途中で組成を変化させることもできる。
【0038】この様にして得られるグラフト共重合体
(Y)は、本来オレフィン系樹脂に相溶性を持たないか
あるいは相溶性に乏しい重合体に、エポキシ基という特
殊な反応基を導入して作成されているため、オレフィン
系樹脂に対する相溶性が増大している。このため、相溶
化剤が存在しない状態においても、オレフィン系樹脂と
容易に混合され得る。
【0039】本発明に用いられる耐熱性向上剤(Z)
は、エポキシ基を有するビニル化合物(c−1)、およ
びその他のビニル化合物群(c−2)を共重合して得ら
れる共重合体であり、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性およ
び耐表層剥離性に寄与している。
【0040】耐熱性向上剤(Z)の原料となるエポキシ
基を有するビニル化合物(c−1)は、好ましくは、
α,β−不飽和脂肪酸のグリシジルエステル化合物;
または少なくとも1個のアミド基と少なくとも1個のグ
リシジルオキシ基あるいはグリシジル基とを有する化合
物である。
【0041】α,β−不飽和脂肪酸のグリシジルエステ
ル化合物には、例えば、グリシジルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルがあ
る。少なくとも1個のアミド基と少なくとも1個のグリ
シジルオキシ基あるいはグリシジル基とを有する化合物
としては、例えば下記一般式(1)で示される化合物が
ある。
【0042】
【化6】
【0043】ここでArは、少なくとも1個のグリシジ
ルオキシ基あるいはグリシジル基を有する、C9〜C23
の芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子あるいはメチ
ル基を表す。
【0044】上記一般式(1)に示される化合物は、例
えば特開昭60−130580号に記載の方法で製造さ
れ得る。具体的には、下記一般式(2)
【0045】
【化7】
【0046】(ここで、Ar’は、少なくとも1個の水
酸基を有するC9〜C23の芳香族炭化水素基を表し、R
は水素原子あるいはメチル基を表す)で表される化合物
にエピハロヒドリンを付加させた後、アルカリで脱ハロ
ゲン化水素反応を行うことにより製造され得る。出発物
質として、2,6−キシレノールとN−メチロールアク
リルアミドを用いた場合には、下記構造式(3)で表さ
れる化合物が得られる。
【0047】
【化8】
【0048】その他のビニル化合物群(c−2)には、
好ましくは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合
物、アルキル(メタ)アクリレート、およびマレイミド
化合物からなる群から選択される少なくとも1種類の化
合物が含まれる。好ましくは、シアン化ビニル化合物お
よび/またはマレイミド化合物が、耐熱性向上剤(Z)
の10重量%以下であることがより好ましい。
【0049】上記ビニル化合物群(c−2)に含有され
る芳香族ビニル化合物には、例えば、スチレン、メチル
スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、およ
びβ−イソプロピルナフタレン等であり、シアン化ビニ
ル化合物は、例えば、アクリロニトリル、およびメタク
リロニトリルがあり、アルキル(メタ)アクリレート化
合物には、例えばメチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、ブチルアクリレートがあり、マレイミド化合
物には、例えば、マレイミドおよびフェニルマレイミド
がある。これらの化合物は、いずれも単独あるいは2種
以上の組み合せで用いられ得る。
【0050】好ましくは、ビニル化合物群(c−2)に
は芳香族ビニル化合物が含まれており、さらに好ましく
は、耐熱性向上剤の20重量%以上が芳香族ビニル化合
物である。この芳香族ビニル化合物は、好ましくは、α
−メチルスチレンおよびβ−イソプロピルナフタレンか
らなる群から選択される少なくとも1種のビニル化合物
である。
【0051】さらにビニル化合物群(c−2)には、上
記のビニル化合物に加えて、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、マレイミド、アクリル酸、マレイミドアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、および無水マレイン
酸も含まれ得る。
【0052】耐熱性向上剤(Z)は、エポキシ基を有す
るビニル化合物(c−1)0.01〜50重量%、およびその
他のビニル化合物群(c−2)50〜99.99重量%を共重
合させてなり、好ましくは、ビニル化合物(c−1)0.
01〜30重量%およびビニル化合物群(c−2)70〜99.9
9重量%を重合して得られる。さらに好ましくは、ビニ
ル化合物(c−1)0.01〜30重量%;ビニル化合物(c
−2)として芳香族ビニル化合物70〜99.99重量%、シ
アン化ビニル化合物および/またはマレイミド化合物0
〜10重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜29.99重
量%、およびその他のビニル化合物群0〜20重量%を共
重合させて得られる。最も好ましくは、ビニル化合物
(c−1)0.01〜10重量%;ビニル化合物(c−2)と
して、芳香族ビニル化合物90〜99.99重量%、シアン化
ビニル化合物および/またはマレイミド化合物0〜9.99
重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜9.99重量
%、およびその他のビニル化合物群0〜9.99重量%を共
重合させて得られる。ビニル化合物(c−1)が0.01重
量%未満の場合は、得られる耐熱性向上剤(Z)の変性
オレフィン系樹脂との相溶性が低下し、50重量%を超え
た場合には、得られる組成物の成形加工性が低下するた
め、好ましくない。
【0053】上記エポキシ基を有するビニル化合物(c
−1)とその他のビニル化合物群(c−2)との共重合
は、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、および塊状−懸濁
重合等の公知の方法を用いて行われ得る。好ましくは、
乳化重合法によって行われる。ビニル化合物群(c−
1)および(c−2)を重合させるときの仕込方法につ
いても任意の方法が用いられ、初期一括仕込、分割仕
込、あるいは連続仕込のいずれも用いられ得る。分割ま
たは連続仕込の場合には、重合の途中でビニル化合物の
組成比を変化させてもよい。
【0054】この耐熱性向上剤(Z)は、本来変性オレ
フィン系樹脂に相溶性を持たないかあるいは相溶性に乏
しい共重合体に、エポキシ基という特殊な反応基を導入
して作成されているため、変性オレフィン系樹脂に対す
る相溶性が増大している。このため、相溶化剤の非存在
の状態においても、変性オレフィン系樹脂と容易に混合
され得る。
【0055】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記塩化
ビニル系樹脂(D)および/またはスチレン系樹脂
(E)1〜99重量部と変性オレフィン系樹脂(F)9
9〜1重量部からなる、アロイ化樹脂(X)100重量
部、(D)および/または(E)と(F)の相溶化剤
(G)0〜50重量部、グラフト共重合体(Y)0.1
〜50重量部及び耐熱性向上剤(Z)1〜200重量部
を含有する。(D)、(E)、(F)の比率は、(D)
および/または(E)10〜99重量部、(F)90〜
1重量部が好ましく、(D)および/または(E)10
〜70重量部、(F)90〜30重量部がより好まし
い。(D)と(E)との比率は、(D)0〜100重量
%、(E)100〜0重量%のいずれでもよい。つま
り、塩化ビニル系樹脂(D)またはスチレン系樹脂
(E)単独と変性オレフィン系樹脂(F)との組み合せ
をアロイ化樹脂として用いることもできる。
【0056】相溶化剤(G)は、(D)、(E)、
(F)の合計100重量部に対し、0〜50重量部であ
り、1〜25重量部が好ましい。50重量部を超えると
耐衝撃性,成形加工性が損なわれる。
【0057】グラフト共重合体(Y)は、0.1〜50
重量部であり、好ましくは、1〜25重量部である。グ
ラフト共重合体(Y)0.1重量部未満では耐衝撃性の
改良効果が発揮されず、50重量部を超えると成形加工
性が損なわれる。
【0058】耐熱性向上剤(Z)は、1〜200重量部
であり、好ましくは、5〜150重量部である。1重量
部未満では耐熱性の改良効果が発揮されず、200重量
部を超えると成形加工性が損なわれる。
【0059】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに
必要に応じて、各種添加剤、例えば、加工性改良剤、酸
化防止剤、熱安定剤、滑剤、UV吸収剤、顔料、帯電防
止剤、難燃剤、および/または難燃助剤が含有され得
る。このような添加剤の好ましい例は、フェノール系抗
酸化剤、ホスファイト系安定剤、スズ系安定剤、ならび
に各種脂肪酸エステル、金属石鹸、ワックスなどの滑剤
である。これらの添加剤を本発明の熱可塑性樹脂組成物
に含有させることによって、本発明の熱可塑性樹脂組成
物が得られる。
【0060】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のア
ロイ化樹脂(X)、相溶化剤(G)、グラフト共重合体
(Y)、および耐熱性向上剤(Z)、および必要に応じ
て上記添加剤を含有する。これらは通常、パウダーある
いはペレットで含有され、例えば当業者に公知の方法で
混合あるいは混練される。この組成物を、例えば、射出
成形用に用い得る。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】〔グラフト共重合体Yの製造〕攪拌機およ
び冷却器を備えた反応容器に窒素気流中で、乳化剤とし
て水250重量部、ラウリン酸ナトリウム3重量部、エチレ
ンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部、および硫酸
第一鉄0.0025重量部を入れ、これに所定量のゴム状重合
体(その化合物名および使用量を表1に示す)を仕込
み、60℃に加熱して攪拌した。次に、所定量のビニル化
合物群(その化合物名および使用量を表1に示す)を開
始剤のキュメンハイドロパーオキサイドと共に、約5時
間かけて連続的に滴下添加した。添加終了後、さらに6
0℃で1時間攪拌を続け、重合を終了させた。得られた
混合物を塩析凝固させ、水洗、脱水、および乾燥して、
グラフト共重合体(Y1〜Y5)を得た。それぞれのグ
ラフト重合体を構成するゴム状重合体およびビニル化合
物の重量比を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】〔耐熱性向上剤Zの製造〕攪拌機および冷
却器を備えた反応容器に窒素気流中で、乳化剤として水
250重量部、ラウリン酸ナトリウム3重量部、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部、および硫酸第一
鉄0.0025重量部を仕込み、60℃に加熱して攪拌した。次
に、所定量のビニル化合物群を開始剤のキュメンハイド
ロパーオキサイド、および重合度調節剤のターシャリー
ドデシルメルカプタンと共に、約5時間かけて連続的に
滴下添加した。添加終了後、さらに60℃で1時間攪拌
を続け、重合を終了させた。得られた混合物を塩析凝固
させ、水洗、脱水、および乾燥して、耐熱性向上剤(Z
1〜Z5)を得た。それぞれの耐熱性向上剤を構成する
ビニル化合物の重量比を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】(実施例1)塩化ビニルを公知の懸濁重合
法で重合して得られた塩化ビニル系樹脂(D−1:その
重合度および塩素含量を表3に示す)、変性オレフィン
系樹脂(F−1:製造方法を表5に示す)、相溶化剤
(Y:帝国化学産業社製、Bennet GR-10、ポリオレフ
ィンとエチレン−プロピレン−ジエンゴムと酢酸ビニル
−エチレン共重合体との溶融反応物)、上記のようにし
て作成したグラフト共重合体(Y1)、耐熱性向上剤
(Z1)、および安定剤(ジブチルスズマレート)2重
量部を、表6に示す重量部比でヘンシェルミキサーを用
いて混合した。得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼
所製、TEX44またはLABOTEX)を用いて160℃〜210
℃の温度下で溶融混練して押し出し、樹脂組成物のペレ
ットを得た。
【0067】得られたペレットを用いて、5オンス射出
成形機により、ノズル温度を180℃に設定し、以下の
耐表層剥離性、衝撃強度、熱変形温度を評価するための
試験片を成形した。
【0068】耐表層剥離性は、厚さ2.5mm、縦150mm、お
よび横100mmの平板成形品のゲート部からの剥離性を評
価した。ゲート部を起点にして、約30度の角度で、約
5cmの切込みをカッターで入れ、表層を剥離させ、そ
の剥がれ方を評価する。評価は、目視による5点法と
し、数値が大きいほど耐表層剥離性に優れていることを
表す。
【0069】衝撃強度は、ASTM D−256規格に
基づき、アイゾット衝撃試験でアイゾット値(kg・c
m/cm)を測定して評価した。
【0070】熱変形温度は、ASTM D−648規格
に基づきHDT試験で測定した。
【0071】上記の評価の結果を以下の表9に示す。
【0072】(実施例2〜7)塩化ビニル系樹脂
(D)、変性オレフィン系樹脂(F)、グラフト共重合
体(Y)、および耐熱性向上剤(Z)を、それぞれ表6
に示す組成および重量部比で用いたこと以外は、実施例
1と同様である。D−2の組成は、表3に示すとおりで
あり、その作成方法は、D−1の作成方法と同様であ
る。評価の結果を表9に示す。
【0073】(比較例1〜7)上記実施例1〜7に記載
の方法と同様にして、塩化ビニル樹脂(D)、変性オレ
フィン系樹脂(F)、相溶化剤(G)、グラフト共重合
体、および耐熱性向上剤を表6に示す重量比で混合し、
得られた混合物を溶融混練して押し出し、ペレット状の
樹脂組成物を得た。
【0074】得られたペレットを用いて、上記の実施例
1〜7に記載の方法と同様にして、耐表層剥離性、衝撃
強度、および熱変形温度を評価するための試験片を成形
し、これらの特性を評価した。
【0075】上記の評価の結果を以下の表9に示す。
【0076】(実施例8)スチレンおよびその他の単量
体を、公知の乳化重合法で重合して、表4に示すE−1
のスチレン系樹脂を得た。
【0077】得られたスチレン系樹脂の還元粘度を、次
のようにして調べた。まず、スチレン系樹脂を、N,N
−ジメチルホルムアミドに0.3g/dlの濃度になる
ように溶解して、高分子溶液を作成した。次に、JIS
−K6721に従って、30℃でウベローデ型粘度計
(芝山化学機器製作所株式会社製、毛細管粘度自動計測
装置)を用い、通過時間(t)を測定する。一方、溶媒
のN,N−ジメチルホルムアミドについて、同装置で3
0℃での通過時間(t0)を測定し、次式(4)によ
り、還元粘度(ηred:単位dl/g)を算出した。
【0078】
【化9】
【0079】ただし、式中、Cは高分子溶液の濃度(g
/dl)を意味する。
【0080】このようにして得られた上記のスチレン系
樹脂(E−1)、変性オレフィン系樹脂(F−1)、相
溶化剤(Y:帝国化学産業社製、Bennet GR-10)、お
よび上記のようにして作成したグラフト共重合体(Y
1)と耐熱性向上剤(Z1)を、表7に示す重量部比で
ヘンシェルミキサーを用いて混合した。得られた混合物
を二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44またはLABOTEX)を
用いて200℃〜250℃の温度下で溶融混練して押し
出し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0081】得られたペレットを用いて、上記の実施例
1〜7に記載の方法と同様にして、耐表層剥離性、衝撃
強度、および熱変形温度を評価するための試験片を成形
し、これらの特性を評価した。
【0082】上記の評価の結果を以下の表9に示す。
【0083】(実施例9〜11)スチレン系樹脂
(E)、変性オレフィン系樹脂(F)、グラフト共重合
体(Y)、および耐熱性向上剤(Z)を、それぞれ表7
に示す組成および重量部比で用いたこと以外は、実施例
8と同様である。E−2およびE−3の組成は、表4に
示すとおりであり、その作成方法は、E−1と同様であ
る。評価の結果を表9に示す。
【0084】(比較例8〜11)上記実施例8〜11と
同様にして、スチレン系樹脂(E)、変性オレフィン系
樹脂(F)、相溶化剤(G)、グラフト共重合体、およ
び耐熱性向上剤を表7に示す重量部比で混合し、得られ
た混合物を溶融混練して押し出し、ペレット状の樹脂組
成物を得た。
【0085】得られたペレットを用いて、上記の実施例
8〜11に記載の方法と同様にして、耐表層剥離性、衝
撃強度、および熱変形温度を評価するための試験片を成
形し、これらの特性を評価した。
【0086】上記の評価の結果を以下の表9に示す。
【0087】(実施例12)塩化ビニル系樹脂(D−
1)、スチレン系樹脂(E−3)、変性オレフィン系樹
脂(F−1)、相溶化剤(Y)、および上記のようにし
て作成したグラフト共重合体(Y1)と耐熱性向上剤
(Z1)および安定剤(ジブチルスズマレート)2重量
部を、表8に示す重量部比でヘンシェルミキサーを用い
て混合した。得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼所
製、TEX44またはLABOTEX)を用いて170℃〜220℃
の温度下で溶融混練して押し出し、樹脂組成物のペレッ
トを得た。得られたペレットを用いて、実施例1〜7に
記載のようにして耐表層剥離性、衝撃強度、熱変形温度
を評価した。評価の結果を以下の表9に示す。
【0088】(実施例13〜15)塩化ビニル系樹脂
(D)、変性オレフィン系樹脂(F)、グラフト共重合
体(Y)、および耐熱性向上剤(Z)を、それぞれ表8
に示す割合で用いたこと以外は、実施例12と同様であ
る。評価の結果を表9に示す。
【0089】(比較例1〜7)上記実施例12〜15に
記載の方法と同様にして、塩化ビニル樹脂(D)、スチ
レン系樹脂(E)、変性オレフィン系樹脂(F)、相溶
化剤(G)、グラフト共重合体(Y)、および耐熱性向
上剤(Z)および安定剤(ジブチルスズマレート)2重
量部を表8に示す重量比で混合し、得られた混合物を溶
融混練して押し出し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
【0090】得られたペレットを用いて、上記の実施例
12〜15に記載の方法と同様にして、耐表層剥離性、
衝撃強度、および熱変形温度を評価するための試験片を
成形し、これらの特性を評価した。
【0091】上記の評価の結果を以下の表9に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】表9より、本実施例の熱可塑性樹脂組成物
は、比較例と比べて、耐衝撃性、耐熱性、および耐表層
剥離性に優れていることが確認される。
【0100】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、エポキシ
基を含有するグラフト共重合体および耐熱性向上剤を含
有しているために、耐衝撃性、耐熱性、および耐表層剥
離性に優れている。
【0101】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱性、および耐表
層剥離性に優れており、かつ適度の流動性を保持してい
る。この組成物から得られる成形品は、例えば、家電製
品の部品、OA機器の部品、自動車の内外装用部品、お
よび家庭用品に好適な成形材料を与えることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25/04 LDX 9166−4J 27/06 LEQ 9166−4J LER 9166−4J LEV 9166−4J LEW 9166−4J LEX 9166−4J LFA 9166−4J LFB 9166−4J LFD 9166−4J LFE 9166−4J 33/12 LJB 7921−4J 33/18 LJN 7921−4J 35/00 LJW 7921−4J 51/04 LKY 7142−4J 51/06 LLE 7142−4J 53/00 LLY 7142−4J 55/02 LME 7142−4J 63/00 NJN 8830−4J

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂(D)および/またはス
    チレン系樹脂(E)1〜99重量部と変性オレフィン系樹
    脂(F)99〜1重量部からなる、アロイ化樹脂(X)100
    重量部、(D)および/または(E)と(F)とを相溶
    化させるための相溶化剤(G)0〜50重量部、グラフト
    共重合体(Y)0.1〜50重量部、および耐熱性向上剤
    (Z)1〜200重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であ
    って、 該グラフト共重合体(Y)が、エポキシ基を有するビニ
    ル化合物(a−1)0.01〜50重量%およびその他のビニ
    ル化合物群(a−2)50〜99.99重量%を共重合して得
    られるビニル共重合体(A)5〜60重量部を、ゴム状重
    合体(B)40〜95重量部にグラフト重合させて得られ;
    該耐熱性向上剤(Z)が、エポキシ基を有するビニル化
    合物(c−1)0.01〜50重量%およびその他のビニル化
    合物群(c−2)50〜99.99重量%を共重合させて得ら
    れる共重合体である、 熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記エポキシ基を有するビニル化合物(a
    −1)が、α,β−不飽和脂肪酸のグリシジルエステル
    化合物である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記エポキシ基を有するビニル化合物(a
    −1)が、少なくとも1個のアミド基; および少なく
    とも1個のグリシジルオキシ基あるいはグリシジル基を
    有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記エポキシ基を有するビニル化合物(a
    −1)が、下記一般式(1)で表される、請求項1に記
    載の熱可塑性樹脂組成物: 【化1】 (式中、Arは、少なくとも1個のグリシジルオキシ基
    あるいはグリシジル基を有する、C9〜C23の芳香族炭
    化水素基を表し、Rは、水素原子あるいはメチル基を表
    す)。
  5. 【請求項5】前記ビニル化合物群(a−2)の80重量
    %以上が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合
    物、およびアルキル(メタ)アクリレートからなる群か
    ら選択される化合物群である、請求項1〜4のいずれか
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記ビニル化合物群(A)が、エポキシ基
    を有するビニル化合物(a−1)0.01〜30重量%、芳香
    族ビニル化合物70〜99.99重量%、シアン化ビニル化合
    物0〜7重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜29.99
    重量%、およびその他のビニル化合物群0〜20重量%か
    らなる、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】前記ビニル化合物群(A)が、エポキシ基
    を有するビニル化合物(a−1)0.01〜10%、芳香族ビ
    ニル化合物90〜99.99重量%、シアン化ビニル化合物0〜
    7重量%、アルキル(メタ)アクリレート0〜9.99重量
    %、およびその他のビニル化合物群0〜9.99重量%から
    なる、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  8. 【請求項8】前記エポキシ基を有するビニル化合物(c
    −1)が、α,β−不飽和脂肪酸のグリシジルエステル
    化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記エポキシ基を有するビニル化合物(c
    −1)が、少なくとも1個のアミド基; および少なく
    とも1個のグリシジルオキシ基あるいはグリシジル基を
    有する、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  10. 【請求項10】前記エポキシ基を有するビニル化合物
    (c−1)が、下記一般式(1)で表される、請求項1
    〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物: 【化2】 (式中、Arは、少なくとも1個のグリシジルオキシ基
    あるいはグリシジル基を有する、C9〜C23の芳香族炭
    化水素基を表し、Rは、水素原子あるいはメチル基を表
    す)。
  11. 【請求項11】前記ビニル化合物群(c−2)が、芳香
    族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アルキル(メ
    タ)アクリレート、およびマレイミド化合物からなる群
    から選択される化合物群である、請求項1〜10のいず
    れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】前記耐熱性向上剤(Z)が、エポキシ基
    を有するビニル化合物(c−1)0.01〜30重量%、芳香
    族ビニル化合物70〜99.99重量%、シアン化ビニル化合
    物および/またはマレイミド化合物0〜10重量%、アル
    キル(メタ)アクリレート0〜29.99重量%、およびその
    他のビニル化合物群0〜20重量%を共重合させて得られ
    る、請求項1〜10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  13. 【請求項13】前記耐熱性向上剤(Z)が、エポキシ基
    を有するビニル化合物(c−1)0.01〜10%、芳香族ビ
    ニル化合物90〜99.99重量%、シアン化ビニル化合物お
    よび/またはマレイミド化合物0〜9.99重量%、アルキ
    ル(メタ)アクリレート0〜9.99重量%、およびその他
    のビニル化合物群0〜9.99重量%を共重合させて得られ
    る、請求項1〜10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  14. 【請求項14】前記ビニル化合物群(c−2)中の芳香
    族ビニル化合物が、α−メチルスチレンおよびβ−イソ
    プロピルナフタレンのうちの少なくとも1種を含む、請
    求項11〜13のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  15. 【請求項15】前記塩化ビニル系樹脂(D)の平均重合
    度が、400〜1500である、請求項1〜14のいず
    れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  16. 【請求項16】前記スチレン系樹脂(E)がメチルエチ
    ルケトンに可溶性の部分を30〜100重量%含有し、 該メチルエチルケトンに可溶性の部分の10〜60重量
    %が、シアン化ビニル化合物および/またはアルキルメ
    タクリレート化合物との共重合体であり、 還元粘度が、0.2〜0.9dl/g(ジメチルホルムアミド溶
    液、30℃、濃度0.3g/dl)である、請求項1〜15の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  17. 【請求項17】前記スチレン系樹脂(E)が、グラフト
    共重合体を0〜70重量%を含有し、 該グラフト重合体が、ゴム状重合体40〜90重量%に、シ
    アン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、アルキルメ
    タクリレート化合物および他の共重合可能な化合物から
    なる群から選択される化合物群60〜10重量%をグラフト
    重合して得られる、請求項1〜16のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  18. 【請求項18】前記スチレン系樹脂(E)のメチルエチ
    ルケトンに可溶性の部分の30重量%以上が、α−メチル
    スチレンを重合成分とする、請求項1〜17のいずれか
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  19. 【請求項19】前記変性オレフィン系樹脂(F)が、プ
    ロピレン系重合体である、請求項1〜18のいずれかに
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  20. 【請求項20】前記変性オレフィン系樹脂(F)の重量
    平均分子量が、5000〜1000000である、請求
    項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  21. 【請求項21】前記変性オレフィン系樹脂(F)が、エ
    ポキシ基と反応性のある反応基を含有する、請求項1〜
    20のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  22. 【請求項22】前記変性オレフィン系樹脂(F)が、カ
    ルボキシル基を含有する、請求項1〜21のいずれかに
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  23. 【請求項23】前記変性オレフィン系樹脂(F)が、エ
    ポキシ基を含有する、請求項1〜22のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  24. 【請求項24】射出成形用樹脂である、請求項1〜23
    のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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