JPH0678658B2 - 壁パネルの取付方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、壁パネルを家屋骨組に取り付ける装置に関
する。

（従来の技術） 家屋のプレハブ工法の一つとして、工場において、４本
の柱の上端間に４本の天井梁を掛け渡し、柱の下端間に
４本の床梁を掛け渡し、さらに、天井梁と床梁間に複数
のスタッド（間柱）を掛け渡すことにより、直方体形状
の骨組を形成し、この骨組に壁パネルや内装材を設けて
部屋ユニットを形成し、これを複数個建築現場まで運ん
で組み立てる工法がある。

上記工法において、壁パネルを骨組に組み付ける場合、
複数の壁パネルの両側縁を各スタッドに連結するように
なっている。この連結の際、壁パネルの位置決めが重要
である。従来では、壁パネルを特殊な位置決め装置で支
えて位置決めしている。そして、位置決めされた壁パネ
ルを、多数のタッピングビス等の連結具で連結してい
る。

（発明が解決しようとする問題点） 上記の連結手段では、位置決め装置等を必要とし、設備
コストが高いとともに位置決めのための作業性が悪かっ
た。

（問題点を解決するための手段） この発明は上記問題点を解消するためになされたもの
で、その要旨は、隣接する壁パネルを家屋骨組に連結す
る壁パネル取付方法において、家屋骨組に壁パネル連結
用の挿通孔と複数のピンを設けるとともに、壁パネルの
裏面の側縁部に該側縁部に開放された平断面コ字状の支
持部材を設け、該支持部材には支持孔を形成し、上記隣
接する壁パネルの各々の該支持部材の支持孔を上記ピン
に引っ掛けることにより壁パネルを位置決めして支持
し、筒部と該筒部の基端周面から互いに反対方向に突設
した一文字状の押さえ部からなるリベット材と、ヘッド
部と絞り部とシャンク部と把持部とからなる引っ張り材
とで構成されたブラインドリベットの押さえ部を上記隣
接する壁パネルの縁部間の間隙に合わせて挿入するとと
もに、筒部を家屋骨組の挿通孔に挿入した後に該ブライ
ンドリベットを略90゜回し、押さえ治具を用いて押さえ
部を支持部材に押し当てながら把持部を引っ張り、ヘッ
ド部でリベット材の筒部を圧潰して壁パネルの支持部材
を家屋骨組に取付けることを特徴とする壁パネル取付方
法にある。

（作用） 壁パネルの支持部材に形成された支持孔の上縁を、家屋
骨組に設けられたピンに引っ掛けることにより、壁パネ
ルを特殊な位置決め装置等を用いずに容易に位置決めし
て支持する。この支持状態で、ブラインドリベットを用
いて支持部材を家屋骨組に連結する。

（実施例） 以下、この発明の一実施例を第１図から第９図までの図
面に基づいて説明する。第１図中10は部屋ユニットの骨
組を示す。この骨組10は、４本の柱（図示しない）と、
この柱の上端間に掛け渡された４本の天井梁11と、柱の
下端間に掛け渡された４本の床梁12と、天井梁11と床梁
12に上下端を溶接された複数のスタッド13とで、直方体
形状をなしている。

上記スタッド13は、第２図に示すように、平坦な支持壁
部13aと、この支持壁部13aの両側縁から直角に延びる側
壁部13bと、この側壁部13bの縁から直角に延び上記支持
壁部13aと平行をなす幅の狭い固定壁部13cとを有して、
横断面がほぼコ字形をなしている。そして、この固定壁
部13cが上記天井梁11および床梁12に溶接されている。

上記スタッド13の支持壁部13aには、上下に間隔をおい
て複数の挿通孔14が形成されており、この挿通孔14は支
持壁部13aの幅の中心に位置している。

また、支持壁部13aには、ピン15が、左右一対をなし上
下に間隔をおいて３組溶接されている。ピン15は、第２
図に示すように、円柱状のヘッド部15aと、このヘッド
部15aの一端から延びヘッド部15aより小径のシャンク部
15bと、ヘッド部15aの他端に設けられた案内用テーパ部
15cとを有している。

ピン15は溶接前において、シャンク部15bの先端に突起
を有している。そして、治具（図示しない）とスタッド
15を電源の両端子に接続した状態で、この治具によりピ
ン15のヘッド部15aをつかんで、その突起をスタッド13
の支持壁部13aに当て、大電流を流すことにより、突起
と支持壁部13aとの間にスパークを発生させ、この際発
生する熱により、突起とその近傍のシャンク部15bの先
端、および支持壁部13aの一部を溶かし、この溶融金属
の固化により、ピン15の溶接を行なっている。

他方、この壁パネル20は、例えば木片セメント板からな
り、その裏面の両側縁および上下縁には金属製型材から
なる桟22（支持部材）が固定されている。

上記桟22は、第３図に示すように、互いに平行をなす支
持壁部22aおよび固定壁部22bと、これらを連結する側壁
部22cと、固定壁部22bの縁から支持壁部22aの縁方向へ
延びる幅の狭い補強壁部22dとを有して、横断面がほぼ
コ字形をなしている。この補強壁部22dにより、桟22は
高い強度を有している。そして、桟22の固定壁部22bが
上記壁パネル20に固定されている。

壁パネル20の両側縁に配置される桟22の支持壁部22aに
は、上記ピン15に対応した位置に、第３図に示すような
鍵穴形状の支持孔25が形成されている。この支持孔25
は、上記ピン15のヘッド部15aと同径かこれより若干大
きい円形の大径部25aと、この大径部25aの上部に連なる
幅狭部25bとを有している。この幅狭部25bは縦長矩形状
をなし、その幅は、大径部25aより小さく、ピン15のシ
ャンク部15bの径と同幅かこれより若干広い。

上記構成の壁パネル20は、左側の縁部が第１図中左側の
スタッド13のほぼ右半分に取り付けられ、右側の縁部が
右側のスタッド13のほぼ左半分に取り付けられる。そし
て、各スタッド13には、２枚の壁パネル20の隣接する縁
部が取り付けられることになる。以下、詳述する。

まず、壁パネル20を吊り下げ機等で支持しながらスタッ
ド13に近付け、第４図，第６図に示すように、このスタ
ッド13の支持壁部13aに溶接されたピン15のヘッド部15a
を、桟22の支持壁部22aに形成された支持孔25の大径部2
5aに挿通させる。さらに、壁パネル20をスタッド13に近
付けて、大径部25aをピン15のシャンク部15bに位置させ
る。

次に、壁パネル20を若干量下降させて、ピン15のシャン
ク部15bを支持孔25の幅狭部25bに挿通させ、第５図，第
７図に示すように、この幅狭部25bの上縁がシャンク部1
5bに当たった状態で、吊り下げ機による壁パネル20の支
持を解除する。

上記のように、幅狭部25bの上縁がシャンク部15bに引っ
掛けられることにより、壁パネル20の支持がなされると
ともに、上下方向の位置決めがなされる。また、幅狭部
25bの左右縁がシャンク部15bに接することにより、左右
方向の位置決めがなされる。さらに、幅狭部25bの幅が
ヘッド部15aより狭いので、桟22の支持壁部22aをヘッド
部15aが係止し、壁パネル20の脱落を防止できる。

なお、全部のピン15を正確な位置に溶接するのが煩雑で
ある場合には、例えば最下端のピン15のみを規定の位置
に正確に溶接し、他のピン15は正確な位置より最大取付
誤差分下方に溶接する。また、最下端以外の支持孔25を
広く形成する。この場合、最下端のピン15のシャンク部
15bが支持孔25の幅狭部25bの上縁を引っ掛けて位置決め
を行なう。他のピン15では、シャンク部15bが幅狭部25b
の上縁および左右縁から僅かに離れているため位置決め
機能を有さず、ヘッド部15aが壁パネル20の脱落を防止
する機能のみを有する。

上記のように、各スタッド13において、ピン15で２枚の
壁パネル20の隣接する縁部を支持した状態で、第８図に
示すように特殊なリベット30（ブラインドリベット）を
用いて、スタッド13と隣接する２本の桟22とを連結す
る。

このリベット30は、リベット材31と引っ張り材32とを有
している。リベット材31は、薄肉の筒部31aと、この筒
部31aの筒部の基端周面から互いに反対方向に突設した
一文字状の押さえ部31bとを有している。また、引っ張
り材32は、ヘッド部32aと、このヘッド部32aに絞り部32
bを介して連結された長いシャンク部32cとを有してい
る。このシャンク部32cのヘッド部32aとは反対側の端部
の周面には、多数の環状溝からなる把持部32dが形成さ
れている。

上記リベット30を、室外側から隣接する壁パネル20の縁
部間に挿入し、その筒部31aをスタッド13の挿通孔14に
挿入する。この挿入時、リベット30の押さえ部31bを、
縦にして壁パネル20間に挿入する。そして、挿入後に、
リベット30を90゜回わし、第８図に示すように、押さえ
部31bを桟22の支持壁部22aに当てる。そして、図示しな
い押さえ治具を用いて押さえ部31bを支持壁部22aに押し
付けながら引っ張り材32の把持部32dをつかんで引っ張
ることにより、第９図に示すように、ヘッド部32aが筒
部31aを潰しながらスタッド13の支持壁部13aに至る。さ
らに引っ張ると、絞り部32bが破断し、シャンク部32cは
リベット31の他の構成部材から切り離される。この状態
で、筒部31aが潰されて形成された圧潰部31a′と、押さ
え31bとで、スタッド13の支持壁部13aと桟22の支持壁部
22aとをはさみ付けて連結し、これにより、壁パネル20
をスタッド13に取り付ける。

この発明は上記実施例に制約されず種々の態様が可能で
ある。例えば、壁パネルを左右一対だけのピンで支持し
てもよい。また、ピンはヘッド部を省いてシャンク部だ
けで構成してもよい。

（発明の効果） 以上説明したように、この発明では、連結の際に、家屋
骨組に固定したピンで、壁パネルを位置決めして支持す
ることにより、特殊な位置決め装置等を用いずに壁パネ
ルを容易に位置決めして支持することができる。又、壁
パネルと家屋骨組との連結は室外側から行うことが出来
るようになっており、万が一壁パネルの取り替えが必要
になった場合には、室内側の内装部は無傷で取り替えが
可能である。つまり、室外側からドリルを使って連結具
を外し、古い壁パネルを新しい壁パネルに取り替える作
業が簡単にできる。又、ピンと支持孔との支持に加え
て、連結具で連結しているから、構造強度が大となって
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第９図までの図面はこの発明の一実施例を示
すものであり、第１図は家屋骨組と壁パネルの分解斜視
図、第２図はスタッド上部の拡大斜視図、第３図は壁パ
ネル上部の拡大斜視図、第４図，第５図はピンにより壁
パネルを支持する過程を順を追って説明する縦断面図、
第６図，第７図は同過程を順を追って説明する正面図、
第８図，第９図はブラインドリベットにより壁パネルを
家屋骨組に連結する過程を順を追って説明する横断面図
である。 10……家屋骨組、13……スタッド、15……ピン、15a…
…ヘッド部、15b……シャンク部、20……壁パネル、22
……桟（支持部材）、25……支持孔、25a……大径部、2
5b……幅狭部、30……ブラインドリベット、31……リベ
ット材、32……引っ張り材。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】隣接する壁パネルを家屋骨組に連結する壁
   パネル取付方法において、家屋骨組に壁パネル連結用の
   挿通孔と複数のピンを設けるとともに、 壁パネルの裏面の側縁部に該側縁部に開放された平断面
   コ字状の支持部材を設け、 該支持部材には支持孔を形成し、 上記隣接する壁パネルの各々の該支持部材の支持孔を上
   記ピンに引っ掛けることにより壁パネルを位置決めして
   支持し、 筒部と該筒部の基端周面から互いに反対方向に突設した
   一文字状の押さえ部からなるリベット材と、ヘッド部と
   絞り部とシャンク部と把持部とからなる引っ張り材とで
   構成されたブラインドリベットの押さえ部を上記隣接す
   る壁パネルの縁部間の間隙に合わせて挿入するととも
   に、 筒部を家屋骨組の挿通孔に挿入した後に該ブラインドリ
   ベットを略90゜回し、 押さえ治具を用いて押さえ部を支持部材に押し当てなが
   ら把持部を引っ張り、 ヘッド部でリベット材の筒部を圧潰して壁パネルの支持
   部材を家屋骨組に取付ける ことを特徴とする壁パネル取付方法。
2. 【請求項２】上記ピンは、ヘッド部とこれより小径のシ
   ャンク部を有し、 上記支持孔は、上記ピンのヘッド部が挿通可能な大径部
   と、この大径部より小さい幅をなして大径部の上部と連
   なり上記シャンク部が挿通可能な幅狭部とを有し、 支持孔の幅狭部の上縁をピンのシャンク部に引っ掛ける
   ことにより、壁パネルを位置決めして支持する特許請求
   の範囲第１項に記載の壁パネル取付方法。