JPH067772B2 - 農産物栽培用微孔性フィルム及びこれを用いた農産物の栽培方法 - Google Patents

農産物栽培用微孔性フィルム及びこれを用いた農産物の栽培方法

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JPH067772B2
JPH067772B2 JP1333199A JP33319989A JPH067772B2 JP H067772 B2 JPH067772 B2 JP H067772B2 JP 1333199 A JP1333199 A JP 1333199A JP 33319989 A JP33319989 A JP 33319989A JP H067772 B2 JPH067772 B2 JP H067772B2
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達彦 大根
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Description

【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 本発明は透湿性、防水性、防風性に優れ、しかも農産物
の土面を被覆することによって土中の水分を制御するこ
とにより高品質の農産物を得るようにした農産物栽培用
微孔性フィルム及びこれを用いた農産物の栽培方法に関
するものである。
(b)従来の技術 従来、農産物の栽培においては、枝葉や果実更に果菜類
等の農産物の肥大だけではなく、果実、品質、特に果汁
の糖含量を高めたり、或いは高品質の果菜類の早期収穫
を得るためにビニールハウス内で果実の成育後半から成
熟期にかけて灌水を人工的に控えて土壌水分を少なく管
理したり、或いは環境の改善を行っている。
即ち、果実の成熟期に近付いてから水分が豊富に供給さ
れると、果実の栄養素である窒素などの成分が水に溶
解、吸収されやすいので樹体が栄養成長に偏り、果実肥
大はよくなるが、果皮が厚くなったり、果汁成分の蓄積
が悪くなったりして、食味が淡白になるなど、果実の品
質低下の原因となる。又、この点は果菜類についても同
様のことがいえる。
そこで、果実をハウス栽培することにより果実の成育後
半から成熟期にかけて人工的に土壌水分を少なく管理し
たり、果菜類を育む土壌温度を上昇したり、土壌中の水
分を管理することが試みられている。
しかしながら、これらの農産物のハウス栽培では、ハウ
スの建設費が高価であり、またハウス内での温度・水分
管理に膨大な労力費がかかる上、収穫された農産物も高
価となり、さほど普及していないのが実状である。
一方、露地栽培では自然現象である降雨量をコントロー
ルすることが不可能であり、収穫前の天候により農産物
の品質が左右されていた。
そこで、これらの問題を解消する手段として、以下のも
のが提案されている。
即ち、農産物栽培用フィルムとして無孔のポリエチレ
ンフィルムやポリ塩化ビニルフィルム等の防水性を有す
る合成樹脂製フィルムを用い、該合成樹脂製フィルムで
果実の成育後半から成熟期にかけて土面を被覆して土壌
水分を少なく管理したり、土壌温度を管理するものであ
る。
又、農産物栽培用フィルムとしてポリエチレンフィル
ムやポリ塩化ビニルフィルム等の防水性合成樹脂製フィ
ルムに機械的穿孔により500μm以上の孔をあけたも
のを用い、この有孔フィルムで土面を被覆するものであ
る。
(c)発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記のものでは農産物の品質は向上す
るが、地中の水分が水蒸気となり土面に被覆されたフィ
ルムの下面にたまり地中に成育している果樹や果菜類の
木の根毛が水分を求めて上を向いてしまったり、地中の
上層部が過湿になって、根腐れが生じたり木の根の成長
を妨げ、その結果、樹勢が衰え、木が枯れてしまうとい
う課題がある。
又、上記のものでは平均孔径が500μm以上の有孔
フィルムを用いているので地中からの水蒸気透過には好
ましいが、降雨時には雨も通してしまい、果実が水っぽ
くなり、糖含有量が低下する等の欠点があり果実の品質
が低下する等の課題がある。
本発明は果実の成育後半から成熟期にかけての降雨水が
土壌中に入るのを防ぎ、且つ地中からの水蒸気を自由に
空気中に放出させて水分がフィルムの下面にたまること
を防止したり、土壌温度等の向上を図る上、透湿性、防
水性、防風性を兼ね備えた特定の農産物栽培用微孔性フ
ィルムを用い、該農産物栽培用微孔性フィルムで農産物
が植えられている土面を被覆することにより、果実の品
質を向上させる、農産物栽培用微孔性フィルム及びこれ
を用いた農産物の栽培方法を提供することを目的とす
る。
(d)課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明の農産物栽培用微孔
性フィルム及びこれを用いた農産物の栽培方法において
は、以下に述べる技術的手段を講じたものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
即ち、本願請求項1の農産物栽培用微孔性フィルムにお
いては、農産物が植えられている土面を被覆する微孔性
フィルムであって、該微孔性フィルムの平均孔径が0.
01〜60μmであることを特徴とするものである。
本発明が適用される農産物としては、特に限定されるも
のではなく、果実や果菜類が挙げられる。
上記果実としては特に限定されるものではないが、具体
的には、例えばみかん、なし、ぶどう、桃、りんご、か
き、くり又はくるみ等が挙げられる。
又、上記果菜類としては特に限定されるものではない
が、具体的には、例えばトマト、すいか、うり又はいち
ごが挙げられる。
又、本発明の農産物栽培用微孔性フィルムは、水は透過
しないうえ、透湿性、防水性及び防風性に優れたもので
あれば特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂或い
は熱可塑性樹脂のいずれのもので形成されたものでも良
いのである。
この農産物栽培用微孔性フィルムの厚さとしては、30
〜500μmの範囲とするのが好ましく、30μm未満
ではフィルムの厚さが薄過ぎて農産物が植えられている
土面に適用する際に破れたり、その搬送、取扱い中に破
損するなどの問題があり、一方、500μmを超えると
経済的に不利であり、いずれの場合も好ましくない。
そして、この農産物栽培用微孔性フィルムは、その平均
孔径が0.01〜60μmである点に最も大きな特徴を
有する。このように構成することにより、果実の成育後
半から成熟期にかけての降雨水が直接土壌中に入るのを
防ぎ、且つ透湿性が良好で地中からの水蒸気を自由に空
気中に放出させて水分がフィルムの下面にたまることを
防止できるのであり、従って、糖含量が高い等の品質の
優れた果実や成育の良い農産物が得られるのであるが、
特に、降雨水が土壌中に入るのを確実に防ぎ、且つ透湿
性が良好で地中からの水蒸気を効果的に空気中に放出さ
せ、一層品質の優れた農産物が得られたり、根腐れや樹
勢低下を防止するなどの観点より、平均孔径が0.02
〜10μm、好ましくは0.05〜5μmのものが一層
望ましい。
尚、上記農産物栽培用微孔性フィルムには、通常用いら
れる酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、顔料、滑
剤、蛍光剤等を添加して成るものでもよいのである。
本願請求項2の農産物栽培用微孔性フィルムにおいて
は、このフィルムが熱可塑性樹脂からなることにより、
品質が安定したフィルムを経済的に量産しうるので極め
て有用である。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されるものではない
が、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリ
デン樹脂、ポリアミド樹脂等からなる群より選ばれた少
なくとも一種の樹脂で形成されたフィルム、つまりこれ
らの樹脂で形成された単層フィルム或いは複合フィル
ム、のいずれのものでもよいのである。
上記ポリエチレン樹脂において、特に線状低密度ポリエ
チレン樹脂が微孔性フィルムの生産・加工性に優れ生産
コストが安価であり、しかも、得られた微孔性フィルム
の強度が大きいことより最も好ましい。
上記線状低密度ポリエチレン樹脂はエチレンとα−オレ
フィンとの共重合体であり、α−オレフィンとしては、
ブテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられる。
上記熱可塑性の農産物栽培用微孔性フィルムには、所望
により、充填剤が配合されたものも含まれるが、かかる
充填剤としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオ
リン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カオリン、水酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、
アルミナ、マイカ等が挙げられる。
この充填剤の平均粒径は30μm以下のものが用いら
れ、好ましくは0.1〜10μmの範囲のものが望まし
い。
粒径が、大き過ぎると貫通孔が大きくなり、逆に小さ過
ぎると凝集が起こり分散性が劣るから好ましくない。
上記農産物栽培用微孔性フィルムにおいて、熱可塑性樹
脂と、充填剤との配合割合は、熱可塑性樹脂100重量
部に対し、充填剤100〜300重量部の範囲とするの
が望ましく、かかる配合割合とすることにより、機械的
強度および防水性や透湿性の優れたフィルムが容易に製
造できるのである。
又、本発明の熱可塑性農産物栽培用微孔性フィルムに
は、充填剤の混練性、分散性を向上させたり、成形・加
工性を向上させたり、或いはフィルムの機能的強度を向
上させるために、オレフィンターポリマーや軟化剤が配
合されていてもよいのである。
この場合において、熱可塑性樹脂、充填剤及びオレフィ
ンターポリマーまたは軟化剤の配合割合は、熱可塑性樹
脂100重量部に対し、充填剤100〜300重量部、
オレフィンターポリマーまたは軟化剤が5〜100重量
部の範囲とするのが望ましく、かかる配合割合とするこ
とにより、機械的強度および防水性や透湿性が一層優れ
た微孔フィルムを極めて容易に製造しうるのである。
上記オレフィンターポリマーとしては、数平均分子量が
5000〜800000のゴム状物質であれば、特に限
定されるものではなく、具体的な代表例としては、エチ
レン、α−オレフィンおよび非共役二重結合を有する環
状または非環状からなる共重合物(所謂 EPDM)が
用いられる。
上記熱可塑性農産物栽培用微孔性フィルムとしては、一
軸延伸又は二軸延伸により形成された多孔質の熱可塑性
フィルムであって、その平均孔径が60μm以下であれ
ば特に限定されるものではなく、延伸により直接微孔性
フィルムを形成したもの或いは延伸により微孔性フィル
ムを得、次いで、これを更に、酸、アルカリ又は水等で
可溶性充填剤を溶出して形成した微孔性のフィルムでも
よいのである。
本願請求項3の農産物栽培用微孔性フィルムにおいて
は、微孔性フィルムの片面もしくは両面が通気性補強用
基材で補強されていることにより、当該フィルムの強度
が著しく向上するので、このフィルムを土面に敷設後、
この上で作業をしても当該フィルムが破れることがな
く、安心して農作業ができるのである。
ここで用いられる通気性補強用基材としては、通気性で
あって、且つフィルム全体の強度を向上させるものであ
れば特に限定されるものではない。
この通気性補強用基材の代表的なものとしては例えば、
熱接着性多孔質フィルム、パンチングフィルム等の多孔
質プラスチックフィルム或いは布、不織布更にガラス繊
維や金属繊維で形成した多孔質基材等が挙げられる。
又、上記の微孔性フィルムと通気性補強用基材との接合
は両者を重ねて部分的或いは全面に熱接着或いは熱融着
するか、又は上記両者の間に熱接着性多孔質フィルムを
介在させて部分的或いは全面に熱接着してもよいのであ
る。
この接合箇所の面積はフィルムの面積の3〜100%、
好ましくは5〜90%の範囲に亘って全面に略均一に形
成するのが望ましい。
接合箇所の面積が、3%未満ではフィルム相互間の接合
面積が小さ過ぎて層間剥離が部分的に生じ、この結果、
得られた積層フィルムの機械的強度が不充分となる場合
があり、一方、90%を超えると通気性が低下し、この
ために地中の水分が水蒸気となり土面に被覆されたフィ
ルムの下面に溜まり、その結果、農産物の正常な成長が
妨げられる恐れがあり、いずれも好ましくないのであ
る。
ところで、上記接合部の面積は、例えば金属製凹凸ロー
ルにおける凸部の占める割合によって極めて容易に調節
しうるのである。
即ち、加熱された金属製凹凸ロール間にフィルムを通過
させると、当該金属製凹凸ロールにおける凸部の頂点に
フィルムが接触し、この凸部箇所でフィルムは接合され
るが、凹部箇所ではフィルムと金属製凹凸ロールとの接
触がないためフィルムに接合部は形成されないのであ
る。
上記熱接着性多孔質フィルムとしては、多孔質であって
加熱により接着性が発現するものであれば特に限定され
るものではない。
この熱接着性多孔質フィルムとしては、特に、ホットメ
ルト系樹脂で形成されたものが他のフィルムとの熱接着
性が良好で優れた補強効果が得られるから好ましいので
ある。
具体的には、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂や
エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂などの
エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のエチレン
系ホットメルト樹脂等が挙げられるが、これらのうち特
にエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合樹脂が優れた接着力を有し、しかも
安価である上、生産・加工性に優れているから好まし
い。
上記エチレン系ホットメルト樹脂において、酢酸ビニル
含有量が8〜40重量%、メルトインデックス(MI)が
0.9〜20の範囲であって融点が40〜100℃のも
のが良好な加工性や接着力が得られるので好ましい。
上記熱接着性多孔質フィルムは、公知の方法で熱接着性
フィルムを得、該フィルムを一軸延伸または二軸延伸し
たり或いはかくして得られたフィルム中の可溶性充填剤
を酸、アルカリ、又は水等で溶出するなどの方法により
得られる。
又、この熱接着性多孔質フィルムには、種々の酸化防止
剤や帯電防止剤等の添加剤を適量配合したものも挙げら
れる。
本願請求項4の農産物栽培用微孔性フィルムにおいては
その透湿度が1000g/m2・24hrs以上であることよ
り、透湿度が極めて良好で土中の水分のコントロールが
極めて良好であり、このため特に土中の水分が上方に移
動し易い条件下でも水分がフィルムの下面にたまること
を防止できるのであり、従って、糖含量が高い等の品質
の優れた果実が得られるものである。
又、上記目的を達成するために、本発明の農産物の栽培
方法においては、上述の農産物栽培用微孔性フィルムを
用いて農産物が植えられている土面を被覆することによ
り、果実の成育後半から成熟期にかけて土中の水分を管
理したり、土壌温度を上げたりすることにより高品質の
農産物が得られるのである。
(e)作用 本発明の農産物栽培用微孔性フィルムにおいては、これ
を用いて農産物が植えられている土面を被覆することに
より、果実の成育後半から成熟期にかけての降雨水が土
壌中に入るのを防ぎ、且つ地中からの水蒸気を自由に空
気中に放出させて地中の水分をコントロールすることが
できるのであり、このため果実の糖含量を向上させ、こ
れによって、品質の優れた果実を得ることができるので
あり、又、地中の水分がフィルムの下面にたまることを
防止できる上、このフィルムの敷設によって防水性、防
風性を兼ね備える作用を有するのである。
又、土壌温度を上昇して果実や果菜類の農産物の成長を
促進したり、雑草の成育を抑える等の作用を有するので
ある。
更に、本発明の農産物の栽培方法においては、上述の農
産物栽培用微孔性フィルムを用いて農産物が植えられて
いる土面を被覆し、これによって、果実の成育後半から
成熟期にかけて土中の水分を管理したり、果菜類の成長
を促進することにより高品質の農産物が得られる作用を
有するのである。
(f)実施例 以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
微孔性フィルムの製造 第1表に各々示すように、熱可塑性樹脂として線状低密
度ポリエチレン(ポリマー成分)(MI2.0、密度
0.93)、オレフィンターポリマーとしてEPDM
(商品名EPT9720、三井石油化学(製))、軟化
剤としてポリブテン(数平均分子量1260)、充填剤
として炭酸カルシウム(平均粒径2μm,脂肪酸処
理)、滑剤としてステアリン酸を、第1表に各々示す配
合割合で配合して充分に攪拌混合し、この混合物を二軸
混練機(TEM−50、東芝機械社(製))により充分
に混練して得た組成物を、常法により造粒する。
この組成物を溶融して65φのインフレーション押出し
機によりフィルム化し、かくして得られたフィルムをロ
ール延伸機により一軸延伸を行い、これによって第1表
に各々示す延伸率の農産物栽培用微孔性フィルムを得
た。
この場合、延伸条件としては延伸温度60℃、延伸速度
6m/min、延伸率は、ロールの速度比を変えることによ
り、第1表の値になるように各々調節した。
得られた農産物栽培用微孔性フィルムには延伸ムラもな
く、多孔質化されたフィルムであった。
実施例1〜4 得られた各々の農産物栽培用微孔性フィルムを早生温州
ミカンを栽培している土面に9月10日〜10月10日
の間敷設し(試験地 熊本県)、その収穫後の早生温州
ミカンの果皮色及び糖含量(糖度)更に農産物の状態を
肉眼で観察した。
尚、この間の降雨量は90mmであった。
その結果を第2表に示す。
比較例1〜5 実施例と同様の組成物を用い、これを溶融して65φの
インフレーション押出し機によりフィルム化し、かくし
て得られたフィルムをそのまま用いたり(比較例4)、
又は、得られたフィルムを実施例と同様に延伸(比較例
1〜3)したり、更に、得られたフィルムを機械的穿孔
により500μmの孔を形成したものを用いた(比較例
5)。
これらのフィルムを用い、実施例と同様の試験を行っ
た。
その結果を第2表に示す。
注1)第1表において、延伸率は、次式により測定し
た。
注2)第1表において、透湿度はJIS L 1099
による方法で測定した。
注3)第1表において、防水性はJIS L−1092
(高水圧法…静水圧法)により測定した。
注4)第1表において、晴天地の結露は40℃で相対湿
度50%時での各種フィルムの裏面の結露情況を肉眼に
より観察した。
注5)第1表において、降雨時の防水性は20mm/hr降
水時の各種フィルムの防水性をチェックした。
即ち、各フィルムの下に吸取紙を置きこのフィルムに高
さ10mmの水溜りをつくり、その後微孔性フィルムを剥
がして吸取紙が吸水していれば防水性は不良とし、吸取
紙が吸水していなければ防水性は良好とした。
注6)第2表において、果皮色は測色色差計で測定し、
Hunter−Lab表色系のa値により測定した。
注7)第2表において、糖度は屈折糖度計示度により測
定した。
第1表に示す結果より、各実施例のものは防水性が良好
であり、しかも晴天地におけるフィルムの下面の結露も
認められなかった。これに対し、比較例1・2及び比較
例5のものは防水性が著しく悪く、水がフィルムを透過
することが認められるのであり、又、比較例3のものは
一部に結露が認められ、更に、比較例4のものは結露が
認められた。
又、第2表に示す結果より、各実施例のものは、果皮色
及び糖度更に樹勢状態のいずれも良好であることが認め
られる。
これに対し、比較例1・2及び比較例5のものは糖度が
低く、また果皮色(α値)も低いことが認められる。
又、比較例3・4のものは根腐れが生じ、樹勢が低下し
ていることが認められた。
(g)発明の効果 本発明は、以上説明したように構成されているので、以
下に記載されている効果を奏する。
請求項1の農産物栽培用微孔性フィルムにおいては、農
産物が植えられている土面を被覆する微孔性フィルムの
平均孔径が0.01〜60μmであるので、果実の成育
後半から成熟期にかけての土中水分を管理することによ
り、果実の糖含量を向上させたり、果菜類の成長を促進
する等、品質の優れた農産物を得ることができるのであ
り、又、地中の水分がフィルムの下面にたまることを防
止できるので農産物の正常な成長を促進できるのであ
り、更にこのフィルムの敷設によって防水性、防風性が
向上するなどの効果を奏するのである。
請求項2の農産物栽培用微孔性フィルムにおいては当該
フィルムが熱可塑性樹脂からなることにより、品質が安
定したものを経済的に量産しうるのであり、このように
品質の安定したフィルムを用いることにより、優れた品
質の農産物が得られるのである。
請求項3の農産物栽培用微孔性フィルムにおいては、微
孔性フィルムの片面もしくは両面が通気性補強用基材で
補強されていることにより、当該フィルムの強度が著し
く向上するので、このフィルムを土面に敷設後、この上
で作業をしても当該フィルムが破れることがなく、安心
して農作業ができるのである。
請求項4の農産物栽培用微孔性フィルムにおいてはその
透湿度が1000g/m2・24hrs以上であることより、透
湿度が極めて良好で土中の水分のコントロールが極めて
良好であり、このため特に土中の水分が上方に移動し易
い条件下でも水分がフィルムの下面にたまることを防止
できるのであり、従って、糖含量が高い等の品質の優れ
た農産物が得られるのである。
請求項5の農産物の栽培方法においては、特定の農産物
栽培用微孔性フィルムを用いて農産物が植えられている
土面を被覆して農産物を栽培するものであり、ビニール
ハウスを用いるのに比べて至極安価であり、しかも果実
の成育後半から成熟期にかけて土中の水分を管理するこ
とにより高品質の果実が得られるので極めて有益であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永海 洋 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 大根 達彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 池原 健治 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 真崎 強 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】農産物が植えられている土面を被覆する微
    孔性フィルムであって、該微孔性フィルムの平均孔径が
    0.01〜60μmである農産物栽培用微孔性フィル
    ム。
  2. 【請求項2】微孔性フィルムが熱可塑性樹脂からなる請
    求項1に記載の農産物栽培用微孔性フィルム。
  3. 【請求項3】微孔性フィルムの片面もしくは両面が通気
    性補強用基材で補強されている請求項1又は2に記載の
    農産物栽培用微孔性フィルム。
  4. 【請求項4】微孔性フィルムはその透湿度が1000g/
    m2・24hrs以上である請求項1ないし3のいずれかに記
    載の農産物栽培用微孔性フィルム。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4のいずれかに記載された
    農産物栽培用微孔性フィルムを用いて農産物が植えられ
    ている土面を被覆することを特徴とする農産物の栽培方
    法。
JP1333199A 1989-04-26 1989-12-22 農産物栽培用微孔性フィルム及びこれを用いた農産物の栽培方法 Expired - Lifetime JPH067772B2 (ja)

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