JPH0724516B2 - 果実の隔年結果防止方法 - Google Patents
果実の隔年結果防止方法Info
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- JPH0724516B2 JPH0724516B2 JP2129154A JP12915490A JPH0724516B2 JP H0724516 B2 JPH0724516 B2 JP H0724516B2 JP 2129154 A JP2129154 A JP 2129154A JP 12915490 A JP12915490 A JP 12915490A JP H0724516 B2 JPH0724516 B2 JP H0724516B2
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Description
結果させるための新規にして有用な方法に関する。
年結果させることがきわめて難しく、どうしても隔年結
果となってしまい、結果の翌年は収穫がほとんどない
か、たとえ収穫があってもその量が非常に少なかったり
商品価値の低い果実となってしまう。
ことのない果実とされてはいるが、現実はブドウ果樹の
能力限度一杯に結果させるのではなくそれよりも大幅に
低いレベルで結果させ、かろうじて連年結果させている
のが現状である。果樹の能力一杯に結果させれば、ブド
ウ等においても翌年は大幅な収穫低下は避けられない。
つまり、品質、収量の両面からみて、満足のいく連年結
果は達成し得ないのが果樹業界の現状である。
除草剤等農薬の多用により更に拡大している。この現象
はビニールマルチ等の使用によっても防止することはで
きず、結局、隔年結果は自然現象とみなされ、これを避
けることはできないと認識されるようになった。
かも雨を遮断しデリケートな肥培コントロールが行われ
るようになり、ある程度の連年結果は可能となった。
が高価であり、またハウス内での温度・水分管理に膨大
な労力費がかかる上、収穫された果実も高価となり、さ
ほど普及していないのが実状である。しかも大きな果樹
はハウス内では栽培できないので、この方法はすべての
果実に対して適用することができない。
ハウス栽培を改良する目的で、露地栽培に改めて着目
し、土面を防止フィルムで被覆する方法を実施した。
かなように、地中の水分が水蒸気となって土面に被覆さ
れたフィルムの下面にたまり地中に成育している果樹の
根毛が水分を求めて上を向いてしまったり、地中の上層
部が過湿になって、根腐れが生じたり根の呼吸作用が悪
化したりするため、果樹の根の生長を妨げ、その結果、
樹勢が衰え、果樹が極端に衰弱することがある。そのた
め連年結果させることができず、1年毎に果樹園を変え
ていかねばならない。
散及び空気の交換が過度に抑制されるため、土壌中の炭
酸ガス濃度及び土中の温度も上昇し、上記のような欠点
が更に助長される。
る方法は、降雨後にはこれを実施することができない点
でまさに致命的である。水分の放出が妨げられて超過湿
状態となるため、根の成長が妨げられ遂には根腐れが生
じるし、しかもどのように管理をしても1年毎に果樹園
を変えていかねばならないのである。
果を防止して連年結果させるためになされたものであ
る。
るという従来の技術常識に対向して、これを連年結果さ
せるという全く新しい技術課題を設定したのである。
った発想の転換が必要であるとの観点にたち、隔年結果
とは直接関係があるとはいえないようなファクターにつ
いても広く検討した。その結果、果実の根本的基礎をな
す果樹の根に着目した。そして果樹の根について詳細に
検討したところ、隔年結果する果樹の根はおしなべて発
育が悪く、特に根毛の損傷が激しいことが確認された。
活性化させる方策を各種試みたが成功に至らなかった。
この教訓に基づき、個々の面からの検討では所期の目的
が達成されないことを認識し、物理、化学、生物の各方
面から総合的に検討する必要を認めた。
着目し、その物理的改良を行った。
フィルムで覆ったところ、ミカンの糖度が1.5度以上も
上昇しただけでなく、全く予期せざることに、根の発育
が健全であって夏期3ケ月間も散水しなかったにもかか
わらず樹勢は全く衰えることがなく、隔年結果もないと
いう新規にしてきわめて有用な新知見を得た。
土壌の過湿化が防止され、根の腐敗もなく糖度が大幅に
上昇することも確認された。
更に効果が高まるという有用な新知見も得た。
ないため、特に土壌コロイドが雨水によって移動して土
壌の孔隙を閉塞することがなく、団粒構造が適正に維持
されており、空気及び水分の保持移動が適切に行われて
いることが確認された。その結果、土中の温度上昇及び
炭酸ガス濃度の上昇も抑制され、根の呼吸作用が充分に
行われ根毛の健全な発育が達成されるものと思料され、
また、土壌微生物の増殖も確認され、この点が更に根毛
の発育に寄与しているものと思料される。しかもこれら
の結果は、各種の果実に広く奏され且つ果樹園の位置や
土質等にも左右されることなく一般的に広く奏されるこ
とも併せ確認した。
更に高まることも発見し、必要な微量要素の種類及びそ
の必要量についても詳細に検討し、目的達成のための諸
条件について各種の新知見を得た。
結果遂に完成されたものである。
しないうえ、透湿性、防水性及び通気性に優れたもので
あれば特に限定されるものではない。
囲とするのが好ましく、30μm未満ではフィルムの厚さ
が薄過ぎて果樹が植えられている土面に適用する際に破
れたり、その搬送、取扱い中に破損するなどの問題があ
り、一方、500μmを超えると経済的にも不利であり、
いずれの場合も好ましくないが、これらの不利益を無視
すれば、上記好適範囲以外の厚さのフィルムも使用する
ことが可能である。
剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、顔料、滑剤、蛍光剤等
を添加して成るものでもよいのである。
おいては、このフィルムが熱可塑性樹脂からなることに
より、品質が安定したフィルムを経済的に量産しうるの
で極めて有用である。
が、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリ
デン樹脂、ポリアミド樹脂等からなる群より選ばれた少
なくとも一種の樹脂で形成されたフィルム、つまりこれ
らの樹脂で形成された単層フィルム或いは複合フィル
ム、のいずれのものでもよいのである。
チレン樹脂が微孔性フィルムの生産・加工性に優れ生産
コストが安価であり、しかも、得られた微孔性フィルム
の強度が大きいことにより最も好ましい。
フィンとの共重合体であり、α−オレフィンとしては、
ブチン、ヘキセン、オクテン等が挙げられる。
より、充填剤が配合されたものも含まれるが、かかる充
填剤としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリ
ン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カオリン、水酸化アル
ミニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、ア
ルミナ、マイカ等が挙げられる。
れ、好ましくは0.1〜10μmの範囲のものが望ましい。
ぎると凝集が起こり分散性が劣るから好ましくない。
と、充填剤との配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に
対し、充填剤100〜300重量部の範囲とするのが望まし
く、かかる配合割合とすることにより、機械的強度およ
び防水性、透湿性や通気性の優れたフィルムが容易に製
造できるのである。
充填剤の混練性、分散性を向上させたり、成形・加工性
を向上させたり、或いはフィルムの機能的強度を向上さ
せるために、オレフィンターポリマーや軟化剤が配合さ
れていてもよいのである。
ンターポリマーまたは軟化剤の配合割合は、熱可塑性樹
脂100重量部に対し、充填剤100〜300重量部、オレフィ
ンターポリマーまたは軟化剤が5〜100重量部の範囲と
するのが望ましく、かかる配合割合とすることにより、
機械的強度および防水性や透湿性が一層優れた微孔性フ
ィルムを極めて容易に製造しうるのである。
5000〜800000のゴム状物質であれば、特に限定されるも
のではなく、具体的な代表例としては、エチレン、α−
オレフィンおよび非共役二重結合を有する環状または非
環状からなる共重合物(所謂EPDM)が用いられる。
延伸又は二軸延伸により形成された多孔質の熱可塑性フ
ィルムであって、その平均孔径が60μm以下であれば特
に限定されるものではなく、延伸により直接微孔性フィ
ルムを形成したもの或いは延伸により微孔性フィルムを
得、次いで、これを更に、酸、アルカリ又は水等で可溶
性充填剤を溶出して形成した微孔性のフィルムでもよい
のである。
大きさに特に限定はないけれども0.01〜60μm程度とす
るのが好ましく、そうすることにより果実の成育後半か
ら成熟期にかけての降雨水が直接土壌中に入るのを防
ぎ、且つ透湿性、通気性が良好で地中からの水蒸気及び
炭酸ガスを自由に空気中に放出させて水分がフィルムの
下面にたまることを防止できるのであり、また、地温の
上昇を抑制し根圏環境を安定させ健全な根毛が多量に発
生し、能動的栄養吸収を旺盛ならしめることが出来る。
従って、果実の隔年結果が防止され、また糖含量が高い
等の品質の優れた果実が得られるのであるが、平均孔径
が0.02〜10μm、好ましくは0.05〜5μmのものが一層
望ましい。
くは両面を通気性補強用基材で補強してもよく、そうす
ることにより、当該フィルムの強度が著しく向上するの
で、このフィルムを土面に敷設後、この上で作業をして
も当該フィルムが破れることがなく、安心して農作業が
できるのである。
あって、且つフィルム全体の強度を向上させるものであ
れば特に限定されるものではない。
熱接着性多孔質フィルム、パンチングフィルム等の多孔
質プラスチックフィルム或いは布、不織布更にガラス繊
維や金属繊維で形成した多孔質基材等が挙げられる。
は両者を重ねて部分的或いは全面に熱接着或いは熱融着
するか、又は上記両者の間に熱接着性多孔質フィルムを
介在させて部分的或いは全面に熱接着してもよいのであ
る。
ましくは5〜90%の範囲に亘って全面に略均一に形成す
るのが望ましい。
面積が小さ過ぎて層間剥離が部分的に生じ、この結果、
得られた積層フィルムの機械的強度が不充分となる場合
があり、一方、90%を超えると通気性が低下し、このた
めに地中の水分が水蒸気となり土面に被覆されたフィル
ムの下面に溜まり、その結果、果樹の正常な成長が妨げ
られ果実が隔年結果する恐れがあり、いずれも好ましく
ないのである。
ルにおける凸部の占める割合によって極めて容易に調節
しうるのである。
させると、当該金属製凹凸ロールにおける凸部の頂点に
フィルムが接触し、この凸部箇所でフィルムは接合され
るが、凹部箇所ではフィルムと金属製凹凸ロールとの接
触がないためフィルムに接合部は形成されないのであ
る。
加熱により接着性が発現するものであれば特に限定され
るものではない。
ルト系樹脂で形成されたものが他のフィルムとの熱接着
性が良好で優れた補強効果が得られるから好ましいので
ある。
エチレン‐イソブチルアクリレート共重合体樹脂などの
エチレン‐アクリル酸エステル共重合樹脂等のエチレン
系ホットメルト樹脂等が挙げられるが、これらのうち特
にエチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン‐アクリ
ル酸エステル共重合樹脂が優れた接着力を有し、しかも
安価である上、生産・加工性に優れているから好まし
い。
含有量が8〜40重量%、メルトインデックス(MI)が0.
9〜20の範囲であって融点が40〜100℃のものが良好な加
工性や接着力が得られるので好ましい。
フィルムを得、該フィルムを一軸延伸または二軸延伸し
たり或いはかくして得られたフィルム中の可溶性充填剤
を酸、アルカリ、又は水等で溶出するなどの方法により
得られる。
剤等や帯電防止剤の添加剤を適量配合したものも挙げら
れる。
はその透湿度が1000g/m2・24hrs以上であるのが好適で
あり、このような透湿度とすることにより、透湿度が極
めて良好で土中の水分のコントロールが極めて良好とな
り、このため特に土中の水分が上方に移動し易い条件下
でも水分がフィルムの下面にたまることを防止できるの
であり、従って、根の発育が抑制されることがなく、糖
含量が高い等各種品質の優れた果実が連年結果するので
ある。
ムを施用しただけでは所期の目的を充分には達成するこ
とができない、土壌改良材を併用することが必要であ
る。
質資材系のほか市販ないし常用されている土壌改良材が
適宜使用できる。
ば、マレイン酸又はその誘導体とエチレン系物質との重
合体であるクリリウム、メチルビニルエーテルと無水マ
レイン酸の共重合体(PVM/MA):メラミン樹脂、ポリビ
ニルアルコール、ポリアクリル酸又はその誘導体が使用
される。なかでも特に後者のアクリル系合成ポリマーが
有効であって、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリア
クリル酸アミド、またはこれらの部分的加水分解物等誘
導体が有利であり、市販品が充分に使用される。
粕、米糖、▲麩▼、魚粕、各種堆肥、厩肥、鷄糞、家畜
排泄物、稲わら、農産製造粕、発酵粕、泥炭、若年炭、
腐植土、し尿、汚泥、リグニン、フミン酸等が例示され
る。
ればよく、例えばアクリル系ポリマーの場合は、約30〜
50kg/10a、堆肥の場合は約2〜5t/10a施用すれば良い。
施用時期は年1回程度でよい。なお、アクリル系ポリマ
ーを施用する場合には、pH調整剤を使用して団粉化のた
めの適正pHである中性付近にpHコントロールしてもよ
い。
広く使用されるが、例えば土壌改良材としても作用する
無機イオン交換体は非常に好適である。
がいずれも使用可能であって、例えばクリノプチロライ
ト、モルデナイト等が好適に使用される。これらは鉱物
学的に純品を使用してもよいが、これらの含有物でも充
分に使用することができ、グリーンタフ等も使用可能で
ある。
カオリナイト、ハロイサイト等の1:1型粘土鉱物:バー
ミキュライト、モンモリロナイト、イライト等の2:1型
粘土鉱物:イモゴライト等の粘土鉱物が使用される。粘
土鉱物の中では、特にモンモリロナイト、バイデライ
ト、ノントロナイトといったモンモリロナイト系粘土鉱
物が有効である。また、ベントナイトのようにこれら粘
土鉱物を含有した市販品も充分に使用できる。
り、降雨や灌水の直後であってもシートを適用すること
ができるようになった。従来は降雨直後にビニールシー
ト等を適用すると排湿することができないために、特に
根がいたみ、カビの発生も生じて果樹の病死にまで至る
ので、降雨直後や非常に長い間に亘ってビニールシート
を適用することができなかったのである。
コントロールをきめ細かく行ってくるので、後記する試
験例からも明らかなように、土壌水分の蒸散が適度に行
われるとともに炭酸ガスの放出も行われ、したがって長
期間シートを適用してもそしてまた降雨直後にシートを
適用しても、土壌の過湿化や炭酸ガスの滞留が防止さ
れ、これらの点が一因となって下記する試験例からも明
らかなように果樹の根の発育が順調となり、これらの要
因が相乗的に作用して、果実の隔年結果の防止に与かる
のである。そしてこれを土壌改良材の施用及び微量要素
を含む必須要素のバランスのとれた補給によって更に助
長するのである。
取した。
る)としては実施例1で製造した微孔性フィルムを用
い、多孔材としては敷ワラを用いた。) これら4種類の試料について、それぞれ顕微鏡の倍率8
0、200、800倍で細根及び毛根の形状、表皮細胞・導管
や篩管の形態等から25本づつ細根を任意に採って、その
健康度合いを次の4段階に分けて調べた。
生じ変形せぬもの。
には成らず、毛根はかなり多く、変形は少ない。
害があって、毛根が少数で変形・奇形があるもの。
めて少数のもの。
び毛根の状態は、No.3のそれと比較してすべての点(形
状・表皮・細胞・導管・篩管・毛根の数及び形状等)で
優っている。そして、No.1とNo.2はA・B級が合わせて
90%を越え、D級はない。これに対して、No.3は、D級
が約半数を占め、明らかに不健康な状態である。また、
根の土壌団粒はNo.1に最も多く、有機物の状態を見る
と、No.2には蒸れ嫌気(腐敗)状況は認められない。N
o.4は、No.3に比較してA、B(健全)の割合が高くま
たDの重症が低いので、ほぼ健康的である。
ルシートと対比して検診した。
すこぶる健康である。
シート区が優れている。
い、換言すれば、天候や灌水、土壌の水分含量等に全く
影響されることなくいつでも自由にシートを適用するこ
とができ、また長期間に亘ってシートを被覆しておくこ
とができる。その結果、どのような果樹園においても、
果樹の根をはじめ果樹自体の生育も順調に行われるの
で、果樹の樹勢はいささかも衰えることがなく、これが
隔年結果防止の大きな要因のひとつとなるのである。し
かもこの効果はいずれも実験によって確認されたもので
あるので、従来全く予測しうるものではなく新規且つき
わめて顕著な効果といわねばならない。
規にして卓越した効果が奏される。現実に夏期におい
て、本発明に係るシートを3ケ月間適用しその間全く散
水しなかったにもかかわらず、土壌水分の蒸散が抑制さ
れ(下記する試験例2)、果樹自体の乾燥や樹勢の衰え
は十切認められず、しかも果実の隔年結果の防止につな
がる根毛の健全な発育が確認された。
分けてそれぞれの土壌水分含量を測定し、次の結果を得
た。
ィルムを用い、土壌改良材としては市販のアクリル系ポ
リマーを用いた。) 上記結果から明らかなように、ESシートを用いることに
よりそしてまた同じく土壌改良材を併用することによっ
て、すぐれた土壌水分コントロールが行われていること
が判る。
定し、第2表の結果を得た。
試した。根部が密生している付近に小穴をあけた塩ビパ
イプ(φ20mm)をカンレイシャで包み、塩ビチューブ
(φ5mm)を付けて10月17日に埋め込んだ。マルチ資材E
Sシート、黒色ポリフィルム、ビニールフィルムを供試
し、それぞれ3樹を供試して1鉢ずつ鉢部全体を包み込
んだ。処理後1週間目から経時的にパイプ内に溜まった
ガスを1ml(2反復)抜き取り、ガスクロマトグラフィ
ーにかけて測定した。炭酸ガス濃度は日立ガスクロマト
グラフ164型;シリカゲルカラム(1m)を設けた熱伝導
度検出器(TCD)を用い、カラム温度90℃、He 1.1kg/cm
2で測定した。
使用した場合には、土壌中のCO2濃度の上昇が抑制され
ることが判る。この点も一因となって、果樹の根の呼吸
作用が妨げられることがなく、根毛の発育が順調に行わ
れ、その結果、隔年結果の防止につながっていくことに
なる。
発育が確保され、これが果実の隔年結果の防止へとつな
がっていくのであるが、更にその効果を高める目的で、
上記した主として物理性の面からではなく化学性ないし
生物性の面からも詳細な研究を行った。
め、研究をすすめたところ、植物に必要な元素の内、
N、P、K、S、Mg、Ca等多量要素は、通常の施肥によ
り土壌中に充分還元されているのに対して、微量要素は
欠乏しているという新知見を得た。
に補給されるものであるが、堆肥の原料となる稲ワラや
麦わらを生産する土壌自体に微量成分が既に欠乏してい
るため、堆肥中の微量成分の含有量が非常に低くなり、
したがってこのような有機質肥料を施用しても微量成分
の充分な補給とはならないものと、本発明者は一応推定
した。
なくされ、根の発育が抑制されて光合成能が低下し、収
穫後の蓄積養分が不足し、その結果として翌年は収穫が
大幅に低下してしまうものとの推論を得た。
要素の重要性に新たに着目して鋭意試験研究を続けた結
果、微量要素の内でも特に重要な元素があることを知見
し、その種類をつきとめただけでなく、その必要量も併
せてつきとめ、しかも更に画期的なことに、これらの微
量要素はすべて必要量以上施用することが必要であり、
それらの内の1つの要素がなくてもあるいはたとえ存在
はしていても所要量に達していない場合には所期の目的
が達成されない、換言すれば微量要素には全体として一
定のバランスが必要であるとの新知見を得た。
果樹シート及び土壌改良材の併用に関する新技術と結合
したところ、全く予期せざることに、隔年結果防止効果
が更に高まることを確認した。
は、特に、マンガン、鉄、銅、亜鉛、ホウ素、モリブデ
ンの6種類が重要であり、しかもこれらの微量要素は1
種類でも欠けると所期の目的が達成されないし、土壌中
において以下の範囲内(ppm)で存在せしめる必要があ
る。
りしており且つ同一果樹を栽培する場合には、所定の微
量要素を所定量混合した混合物を予じめ調製しておき、
これを元肥及び/又は追肥として施用することができ
る。しかしながら、そうでない場合には、個々に各微量
要素を必要量だけ施用して、全体のバランスが所期の範
囲内となるよう調整する。
酸塩等塩の形態で施用すればよい。
量要素の測定値をプロットし、必要量を添加した後、再
度測定値をプロットして微量要素全体のバランスをチェ
ックすると好都合である。
とり、縦軸に、好適範囲(標準)、その上及び下に許容
範囲(低い、高い)、必要あればその更に上及び下にも
各範囲(かなり低い、欠乏、かなり多い、非常に多い)
を、各微量要素の量で区分したものが挙げられる。
に必要な項を更に追加することにより、当該土壌全体の
性質を正確に肥握できるので、土壌改良をシステマティ
ックに行うことができ、農業の工業化への脱皮がはから
れる。
の微量要素、多量要素、pH、電気伝導度、pF、腐植、CE
C、CO2その他。
に土壌に施用しただけでは所期の目的が達成されない。
それには先ず、施用した微量要素が果樹の根毛にまで達
していなければならず(団粒構造の確保)、またそのよ
うにして根毛にまで到達した微量要素を根毛自体が利用
できなければならない(土壌の水分、空気、炭酸ガスコ
ントロール等による根毛発育の健全化)。これらのこと
を助長、促進するのに、微孔性フィルム、土壌改良材が
大いに寄与するのである。
きるだけでなく、ブドウ、モモ、ナシ、ネクタリン、リ
ンゴ、パパイヤ、マンゴー、バナナ、キウイその他各種
果実の隔年結果を広く防止することができる。したがっ
て、各果実を毎年果樹の能力一杯収穫しても、その翌年
も品質のすぐれた果実を前年と同量収穫することができ
るのである。
ばならないが、先ず、本発明にしたがって果樹栽培用微
孔性フィルムを用いて果樹が植えられている土面を被覆
することにより、降雨水が土壌中に入るのを防ぎ、その
ために土壌孔隙が保持され土壌の団粒構造が破壊されな
い。その結果、地中からの炭酸ガスや水蒸気を自由に空
気中に放出させることができ、果樹の根の呼吸作用が順
調に行われ、根毛の発育も活発化する。また、地中の水
分がフィルムの下面にたまることを防止できる上、この
フィルムの敷設によって防水性、通気性を兼ね備える作
用を有するのである。また、この作用を土壌改良材が更
に増強する。
行うことにより、果樹の健全な生育が確保され、根の発
育のみならず葉の光合成能も上昇するため、果実収穫後
の蓄積養分の不足もなく、したがって翌年も充分に結果
するものと推定される。
れたりすると、施用された肥料成分を果樹が吸収できな
くなり、その傾向は特に微量要素のように果樹が能動的
に選択吸収しなければ吸収できない要素について顕著で
ある。しかしながら本発明によれば、根の生育が健全で
あり根の呼吸作用もスムースに行われるため、微量要素
が果樹に充分吸収され、この点も連年結果する要因のひ
とつと推定される。
は施用した微量要素が根にまで到達しなければならない
が、それには団粒構造の形成等土壌の物理構造ないし物
理的条件を整えておく必要がある。これに大いに寄与す
るのが、土壌改良材であり、果樹シートの適用なのであ
る。
収にあずかるATPアーゼをはじめとする各種酵素が活性
化されてその作用が促進され、それとともに、ミクロフ
ロラも大幅に改善されて土壌の物理性、生物性が良くな
り、これらの各ファクターが相乗的に作用して、従来天
然現象として容認されていた隔年結果、つまり改善の余
地はないものと認識されていた隔年結果を防止すること
に遂に成功したものと推定される。
明はこれに限定されるものではない。
度ポリエチレン(ポリマー成分)(MI 2.0、密度0.93)
オレフィンターポリマーとしてEPDM(商品名 EPT972
0、三井石油化学(製))、軟化剤としてポリブテン
(数平均分子量1260)、充填剤として炭酸カルシウム
(平均粒径2μm、脂肪酸処理)、滑剤としてステアリ
ン酸を、第3表に各々示す配合割合で配合して充分に攪
拌混合し、この混合物を二軸混練機(TEM-50、東芝機械
社(製))により充分に混練して得た組成物を、常方に
より造粒する。
によりフィルム化し、かくして得られたフィルムをロー
ル延伸機により一軸延伸を行い、これによって第3表に
各々示す延伸率の果樹栽培用微孔性フィルムを得た。
/min、延伸率は、ロールの速度比を変えることにより、
第3表の値になるように各々調節した。
く、多孔質化されたフィルムであった。
た。
で測定した。
…静水圧法)により測定した。
50%時での各種フィルムの裏面の結露情況を肉眼により
観察した。
時の各種フィルムの防水性をチェックした。
さ10mmの水溜りをつくり、その後微孔性フィルムを剥が
して吸取紙が吸水していれば防水性は不良とし、吸取紙
が吸水してなければ防水性は良好とした。
い、元肥施肥時に市販のアクリル系ポリマー土壌改良剤
を40kg/10a施用し、微量成分を下記のように調整してネ
ーブル(品種:ワシントン)を栽培した。
果を得た。なお、対照区は裸地とし、その成績は同じく
第4表においてカッコ内に示した。
た。
4、Mo:0.05〜0.4(ppm) 上記結果から明らかなように、本発明によれば隔年結果
が完全に防止され、ネーブルの粒度、収量のいずれの面
からもすぐれたものが連続して得られることが実証され
た。
においても本発明区に比して著しく劣るのみでなく、第
2年目は実質的に全く収穫することができなかった。
いて、本発明に係る果樹シート(実施例2で得た微孔性
フィルム)を施用して栽培を行った。なお元肥として堆
肥を3t/10a施用したほかは、微量要素のコントロールは
特に行わなかった。
荷することができ、風味、品質もすぐれたものであっ
た。これに対して常法によって栽培を行ったミカン園は
隔年結果し、毎年ミカン園をかえていかなければならな
かった。
栽培であるにもかかわらず、天候、地域、土壌、果実の
品種を問わず、果樹園を毎年変えることなく確実に連年
結果させるという効果が奏される。
果樹園を毎年変える必要がない。換言すれば、従来技術
では半分しか果樹園が稼動していなかったのに対して、
本発明はこれを完全に解消して、従来の2倍の稼動率を
達成するというまさに画期的な成功を可能にしたもので
ある。従来、特に柿においてみられるように、隔年結果
は天然現象であってこれを改良することはできないとい
う技術レベルからして、本発明は不可能を可能にしたも
のということができ、その効果の顕著性には多言を要し
ない。
なり、コスト、及び人手が労力を大幅に省くことがで
き、きわめて経済性が高まり、その結果、品質の面のみ
でなく価格の面においても充分に外国産果実に対抗する
ことができ、まさに本発明は救国の技術といっても過言
ではない。
Claims (3)
- 【請求項1】果樹が植えられている土面を、水分、蒸気
及び/又は気体を保持及び/又は排出することのでき
る、一軸延伸又は二軸延伸により形成された多孔質の熱
可塑性フィルムであってしかもその平均孔径が60μm以
下である、微孔性フィルムで被覆するとともに、土壌に
は土壌改良材を施用することを特徴とする果実の隔年結
果防止方法。 - 【請求項2】果樹が植えられている土面を、水分、蒸気
及び/又は気体を保持及び/又は排出することのでき
る、一軸延伸又は二軸延伸により形成された多孔質の熱
可塑性フィルムであってしかもその平均孔径が60μm以
下である、微孔性フィルムで被覆するとともに、土壌に
は土壌改良材を施用し、更に土壌中の各微量要素を次の
範囲内に調整することを特徴とする果実の隔年結果防止
方法。 マンガン :5〜15 鉄 :15〜100 銅 :1〜3 亜鉛 :10〜40 ホウ素 :2〜4 モリブデン:0.05〜0.4 単位:ppm - 【請求項3】微孔性フィルムの片面もしくは両面を通気
性補強用基材で補強してなることを特徴とする請求項1
〜2のいずれか1項に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2129154A JPH0724516B2 (ja) | 1990-05-21 | 1990-05-21 | 果実の隔年結果防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2129154A JPH0724516B2 (ja) | 1990-05-21 | 1990-05-21 | 果実の隔年結果防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04166022A JPH04166022A (ja) | 1992-06-11 |
JPH0724516B2 true JPH0724516B2 (ja) | 1995-03-22 |
Family
ID=15002481
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2129154A Expired - Lifetime JPH0724516B2 (ja) | 1990-05-21 | 1990-05-21 | 果実の隔年結果防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0724516B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2010343091B2 (en) * | 2009-12-28 | 2015-01-15 | The Regents Of The University Of California | Mitigation of alternate bearing |
JP5733641B2 (ja) * | 2013-05-30 | 2015-06-10 | 大日本印刷株式会社 | 農業用シート |
JP5843181B1 (ja) * | 2014-11-17 | 2016-01-13 | 大日本印刷株式会社 | 農業用シート |
WO2016080405A1 (ja) * | 2014-11-17 | 2016-05-26 | 大日本印刷株式会社 | 農業用シート |
JP6284978B2 (ja) * | 2015-05-22 | 2018-02-28 | 鹿島建設株式会社 | かさ密度調整材及びかさ密度調整方法 |
JP6119816B2 (ja) * | 2015-09-16 | 2017-04-26 | 大日本印刷株式会社 | 農業用シート |
-
1990
- 1990-05-21 JP JP2129154A patent/JPH0724516B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04166022A (ja) | 1992-06-11 |
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