JPH0673817A - 外壁パネルの取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ＡＬＣパネルを建築物の外壁に縦壁として取
り付ける構造で、幅広パネルの施工が容易で、且つ耐震
性と外観の勝れた構造にする。 【構成】 上下に連設される外壁パネルのうち上段パネ
ル４ａの下端部を梁１の上縁に固着した定規アングル３
に固着したイナズマプレート７の上面に、座金を介して
遊動可能に螺止する。また下段パネル４の上端部に固定
したイナズマプレート５の上部で、定規アングル３に懸
吊したセットプレート６の下部を遊動可能に挾持する。
更に上段パネル４ａの下端部を支承する自重受け金物に
は定規アングル３に固着された横断面がコ字状で、パネ
ル側に開口したサポートプレート９のパネル面に相対し
て垂直面と定規アングル３の平面に係止し、上下に位置
調整を可能にした段状の受けプレート１０を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は例えば軽量気泡コンクリ
ート（以下ＡＬＣという）等のパネルを建築物の外壁に
縦壁として取り付ける構造に関するものであり、特に幅
が９０ｃｍ以上もある幅広パネルを取り付ける場合に好
適な構造を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来ＡＬＣ版等の幅広パネルを建築物の
外壁として取り付けた構造として種々な構造のものが提
案されている。例えば、図７に示すように建築物の梁１
の上フランジ２の上下面に上向き定規アングル３と下向
き定規アングル１８を溶接して固着し、この上向き定規
アングル３に隣接する上段パネル４ａの接続部に向けて
受け金具１５を溶接してパネル４ａの下端部を支承させ
る。そして上段パネル４ａの両側面の溝１６には鉄筋１
７が配設され、この溝１６にセメントモルタルを充填し
て固定させる。また、パネルの上端部は図の下段パネル
４に示すように、幅方向の両上端部近辺に穿孔された透
孔に、ボルト１９を貫通させてパネル４の裏面にイナズ
マプレート２０を取り付け、このイナズマプレート２０
で下向き定規アングル１８を挾持させる構造となってい
る。この構造はパネルの下端部が躯体に固着され、上端
部が躯体に対して水平方向に若干遊動可能な、いわゆる
スライド工法で、一応耐震性も考慮されている。

【０００３】しかし、この工法は下向き定規アングル１
８の溶接作業やイナズマプレート２０の取着には梁１の
裏側なので作業性がわるいうえ、受け金具１５や鉄筋１
７の溶接、パネル４の座繰りと補修作業、セメントモル
タルの充填など現場作業が多いため手数がかかり、工期
が長くなるという問題があった。更にボルト係止用金具
を埋設したパネルが使用できないという問題もあった。

【０００４】また、他の構造としては本出願人が先に出
願した実願昭６３−８５８６７号は図８（Ａ）、（Ｂ）
に示すように、パネルの幅方向両端部近辺の梁１に定規
金物２１を固着し、この定規金物２１の切り欠き部に、
下段パネル４の上端部に取着されているイナズマ金物２
２を挿入し断面Ｌ字状の差し込み金物２３を逆向きに差
し込んで固定する。また断面コ字状の高さ調整金物２４
を前記差し込み金物２３に締着し、この高さ調整金物２
４に段状をした自重受け金物２５の垂直部を挾んで上段
パネル４ａをボルト２６でパネル４ａの埋め込み金物２
７に締着固定するが、その際上段パネル４ａの下端部を
自重受け金物２５で支承し、更に自重受け金物２５の頂
部に取り付けたボルト２８で上段パネル４ａの高さを調
整できるようにしたものがある。

【０００５】しかし、この構造ではパネル４ａの自重に
よる回転力と風圧力を埋め込み金物２７が負担するの
で、パネルの重量、面積によっては大きな強度が必要と
なる。また取り付け金物の形状が複雑で数も多いので費
用と手数がかかるという問題があった。

【０００６】更に他の構造としては図９（Ａ）に示すよ
うに下段パネル４の上端部に取着されているイナズマ金
物２２の先端部と梁１に固着した上向き定規アングル３
とを図９（Ｂ）のような断面コ字状の金物２９とで挾持
し、更にこの金物２９を上段パネル４ａの下端部に取着
されているイナズマ金物３０で挾持する。そして上段パ
ネル４ａの重量は別途上向き定規アングル３に固着した
図示しないアングルで支承するものである。

【０００７】しかしこの構造では下段パネル４の上端部
に取着されているイナズマ金物２２の先端部だけが定規
アングル３に当接しているため、パネル４にかかる大き
な風圧をこのイナズマ金物２２で負担せねばならず、金
物の幅や厚さを大きくする必要があり、経費と手数がか
かるという問題があった。

【０００８】更にこれら従来のスライド工法ではパネル
の幅方向両側下端部を梁に固定し、両側上端部は水平方
向に若干遊動可能な構造となっているが、図１０に示す
ように地震時に躯体が急激に水平動した場合にはパネル
４に回転力が生じ、回転の支点となる自重受け金物３１
に過大な荷重が加わることになる。その結果、自重受け
金物３１が外れたり、パネル４とイナズマプレート３
２、３３の取り付け部が破損する危険があった。

【０００９】またパネルの高さを調整できる自重受け金
物を使用したものでは一般にパネルの下端部をこの自重
受け金物にボルトで固定しているので、パネルの外方へ
の偶力と負圧とを金物と躯体及びパネルの取り付け部が
負担することになるが、パネルの重量、面積によっては
取り付け部に過大な荷重が加わることになる。その結
果、自重受け金物が外れたり、変形したり、パネルの取
り付け部が破損する危険があった。

【００１０】更に躯体にパネルを取り付けるのに使用さ
れるイナズマプレートについてもパネルに強い引っ張り
力が作用した場合には、イナズマプレートの先端部がパ
ネルに食い込んで破損させたり、ボルトで締着した部分
が折れ曲がる等の問題があった。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解消し、幅広パネルの施工が容易であって、耐震性
と外観の勝れた外壁の取り付け構造を提供するものであ
る。

【００１２】

【発明を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
に固着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
付け構造において、上段パネルの下端部を梁の上縁に固
着された定規アングルに固着したイナズマプレートの上
面に座金を介して遊動可能に螺止する。上段パネルの下
端部は定規アングルに固着したセットプレートに固着し
たイナズマプレートの上部に螺止されてもよい。

【００１３】また、下段パネルの上端部に固定したイナ
ズマプレートの上部で前記定規アングルに懸吊したセッ
トプレートの下部を遊動可能に挾持する。

【００１４】更に、上段パネルの下端部を支承する自重
受け金具として、定規アングルに固着された横断面がコ
字状で、パネル側に開口したサポートプレートのパネル
面に相対した垂直面と定規アングルの平面に係止し、上
下方向の位置調整が可能な段状の受けプレートからなる
取り付け金具を使用する。

【００１５】

【作用】上段パネルの下端部を梁の上縁に固着された定
規アングルに固着したイナズマプレートの上面に座金を
介して遊動可能に螺止したので、地震時に躯体が急激に
水平動してパネルに回転力が生じても、上方にパネルが
遊動するので自重受け金物に過大な荷重が加わることが
ない。

【００１６】また下段パネルの上端部に固定したイナズ
マプレートの上部を定規アングルに懸吊した金具で下部
で遊動可能に挾持するだけの施工が容易なスライド工法
であり、パネルへの正風圧はセットプレートを介して躯
体が負担するので、イナズマプレートには過大な負担が
かからない。

【００１７】更に上下方向の位置調整が可能な段状の受
けプレートを梁に固着したサポートプレートに昇降可能
に取り付けてパネルの自重受けとし、パネルと結合しな
いので、この自重受けやイナズマプレートの取り付け部
に過大な荷重がかからない。

【００１８】なお、上記パネルの取り付け構造は上段パ
ネルの下部取り付け構造、自重受け構造、下段パネルの
上部取り付け構造を夫々単独で使用し、他は従来構造と
してもよいし、必要に応じてこれらの構造を組み合わせ
て使用してもよい。

【００１９】

【実施例】以下本発明の実施例を図面によって詳細に説
明する。

【００２０】図１は本発明外壁パネルの取り付け構造の
一実施例を示す斜視図、図２は同じく取り付け構造を示
し、（Ａ）は側面図、（Ｂ）は（Ａ）のＡ−Ａ面矢視
図、（Ｃ）は（Ａ) のＢ−Ｂ面矢視図、図３（Ａ）〜
（Ｇ）は図２実施例の各取り付け金具の斜視図である。

【００２１】図において、パネル上端部の取り付け構造
に使用するイナズマプレート５は図３（Ａ）に示すよう
に、鉄板を段状に折り曲げて形成し、パネルに固定する
面にはボルトを挿通するための透孔５ａが穿設され、更
にこの面の幅方向両側には反パネル側にリブ５ｂが突設
されている。

【００２２】また、セットプレート６は図３（Ｂ）に示
すように、平板の上端部両側が鈎状に曲げられ、この鈎
状部６ａで定規アングル３の垂直部を挾持して懸吊され
るようになっている。なお、図３（Ｃ）はセットプレー
ト６の他の例であって、上縁には反パネル側にリブ６ｃ
が突設されている。

【００２３】更に、パネルの下端部の取り付け構造に使
用する図３（Ｅ）に示すイナズマプレート７は前記イナ
ズマプレート５と同様に鉄板を段状に折り曲げて形成
し、パネルに固定する面にはボルトを挿通するための縦
に長い透孔７ａが穿設され、更にこの面の幅方向両側に
は反パネル側にリブ７ｂが突設されている。このイナズ
マプレート７とボルトとの間に介在する座金８は図３
（Ｄ）に示すように中央部にボルトを挿通するための透
孔８ａが穿設され、更に、幅方向の両端部が前記リブ７
ｂの間に嵌まる段部８ｂが形成されている。

【００２４】またパネルの下端面で、その重量を支承す
る受け金具は図３（Ｆ）に示すようなサポートプレート
９と図３（Ｇ）に示すような受けプレート１０とからな
っている。

【００２５】なお、サポートプレート９は横断面がコ字
状をなし、垂直な平面の上端部には取り付けボルトを挾
む切り欠き部９ａが設けられており、両側側面はＬ字状
で直角な折り曲げ部９ｂが形成されている。

【００２６】また受けプレート１０は平板を段状に折り
曲げた形状をなし、垂直部の上端近辺には取り付けボル
トを挿通する透孔１０ａが、水平部には高さ調整用ボル
トが挿通する透孔１０ｂが穿設され、透孔１０ｂの裏側
にはナット１０ｃが固着されている。

【００２７】次に、上記のような取り付け金具を使用し
たパネルの外壁構造と工法について図１、図２及び図４
により説明する。建築物の躯体をなすＨ型鋼の梁１の上
面には外方に定規アングル３が上向きで水平に且つ躯体
と平行に固着されている。一方下段の幅広パネル４の幅
方向両側上端部近辺にイナズマプレート５が上方に開口
するようにボルト２６によって締着されている。

【００２８】上段パネル４ａの幅方向両側下端部近辺
で、前記イナズマプレート５と相対する位置にも同様に
イナズマプレート７が下方に開口するように座金８を介
してボルト２６によって締着されている。

【００２９】更に定規アングル３には前記イナズマプレ
ート５の間隔よりも小さい間隔でサポートプレート９が
配設され、その折り曲げ部９ｂの下面と側面が溶接固着
されている。そして受けプレート１０の透孔１０ａに挿
通したボルト１１とナット１１ａでサポートプレート９
の切り欠き部９ａに仮止めされ、また受けプレート１０
の水平部の透孔１０ｂには高さ調整用ボルト１２が挿通
しナット１０ｃに螺合している。

【００３０】そして下段のパネル４の取り付け位置が決
まったら、イナズマプレート５の上方の開口部にセット
プレート６の下端部を挿入し、上端の鈎状部６ａで定規
アングル３の垂直部を挾持させて両面に溶接する。

【００３１】それから上段のパネル４ａを吊り込んで、
下端面を受けプレート１０で支承させ、イナズマプレー
ト７の下方の開口部で、セットプレート６の上端部と定
規アングル３の垂直部を挾持させる。そこでボルト１２
でパネル４ａの高さを調整し位置決めをしてから、パネ
ル４とイナズマプレート７が若干遊動可能な程度にボル
ト２６の締着度を調整し、ボルト２６を座金８に溶接す
るとボルト２６は緩まなくなる。同時にイナズマプレー
ト７の下端部を定規アングル３の垂直部に溶接し固着す
る。

【００３２】なお、イナズマプレート７にリブ７ｂを設
けない場合には、座金８の幅方向両端部を下向きに折り
曲げたコ字状とし、イナズマプレート７の両端部を把持
して空転しないようにしてもよい。

【００３３】このような作業を繰り返して順次外壁を構
成する。なお、パネル４の上下いずれかを従来の工法の
取り付け構造としてもよいが、両方共本発明の構造とし
たほうが効果が大きく好都合である。

【００３４】また、図３（Ｃ）に示すようなセットプレ
ート６を使用し、図４（Ｄ）のようにパネル４ａを取着
する場合には、セットプレート６にリブ６ｃが設けてあ
り、曲げ強度が大きいので定規アングル３の垂直面に片
面だけ溶接すればよい。

【００３５】また、この実施例では幅広パネルの取り付
けについて説明したが、従来の幅９０ｃｍ以下のパネル
にも適用できることはもちろんである。更に軽量の外壁
パネルを取り付ける際に用いる安価な構造を図５（Ａ）
及び（Ｂ）、図６（Ａ）乃至（Ｃ）について説明する。
この実施例で用いるセットプレート６' は図６（Ｃ）に
示すように上端部をＵ字状に屈曲した鉤状部６'aを有す
る平板からなるもので、この鉤状部６'aで定規アングル
３の垂直部を挟持して懸吊し定規アングル３に溶接す
る。一方、図６（Ａ）に示すように平板からなり上部に
透孔７'aを有するイナズマプレート７' は前記鉤状部６
'aの反パネル側にその下端縁部が溶接されている。（図
５参照）上部パネル４a を取り付ける場合、透孔７'aを
介してボルト２６により上部パネル４a に締着しボルト
２６が緩まないようボルトとイナズマプレートを溶接す
る。この際、緩み防止を一層効果的にするために、図６
（Ｃ）のようにイナズマプレート７' の両端部を把持す
るようその両端を下向きに折り曲げコ字状に形成した座
金８' をボルト２６とイナズマプレート７' 間に介在し
てボルト２６と座金８' とを溶接することもできる。

【００３６】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明外壁
パネルの取り付け構造は上段パネルの下端部を梁の上縁
に固定された定規アングルに固着したイナズマプレート
の上面に座金を介して遊動可能に螺止したことにより、
地震時に躯体が急激に水平動しパネルに回転力が生じた
場合には、上方にパネルが遊動するので自重受け金物に
過大な荷重が加わることがない。また、軽量なパネルの
場合は、上段パネルの下端部を定規アングルに固着した
セットプレートに固着したイナズマプレートの上部に螺
止して取り付け構造を安価に製作することもできる。

【００３７】下段パネルの上端部に固定したイナズマプ
レートの上部で、定規アングルに懸吊したセットプレー
トの下部を遊動可能に挾持するだけなので施工が容易な
スライド工法であり、パネルへの正風圧はセットプレー
トを介して躯体が負担するので、イナズマプレートには
過大な負担がかからない。

【００３８】上下方向の位置調整が可能な段状のプレー
トを梁に固着したサポートプレートに昇降可能に取り付
けてパネルの自重受けとし、パネルと結合しないのでこ
の自重受けプレートやイナズマプレートの取り付け部に
過大な荷重がかからない。

【００３９】イナズマプレートにはリブを設けたのでパ
ネル取り付け部で変形したり、パネルを損傷することが
なく、その上座金が空転することもない等夫々の利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明外壁パネルの取り付け構造の一実施例を
示す斜視図である。

【図２】本発明外壁パネルの取り付け構造の一実施例を
示し、（Ａ）は側面図、（Ｂ）は（Ａ）のＡ−Ａ面矢視
図、（Ｃ）は（Ａ）のＢ−Ｂ面矢視図である。

【図３】図２実施例の夫々の取り付け金具を示し、
（Ａ）〜（Ｇ）は、夫々の斜視図である。

【図４】パネルの取り付け状態を示し、（Ａ）〜（Ｄ）
はその順序を示す説明図である。

【図５】本発明外壁パネルの取り付け構造の他の実施例
を示し、（Ａ）は側面図、（Ｂ）は（Ａ）のＣ−Ｃ面矢
視図である。

【図６】図５実施例の取り付け金具を示し、（Ａ）〜
（Ｃ）は夫々の斜視図である。

【図７】従来の外壁パネルの取り付け構造を示す断面図
である。

【図８】従来の他の取り付け構造を示し、（Ａ）は斜視
図、（Ｂ）は断面図である。

【図９】従来の別の取り付け構造を示し、（Ａ）は断面
図、（Ｂ）は金物の斜視図である。

【図１０】従来構造における地震時の動きを示す説明図
である。

【符号の説明】

１ 梁 ２ 上フランジ ３ 定規アングル ４ 下段パネル ４ａ 上段パネル ５ イナズマプレート ６、６' セットプレート ７、７' イナズマプレート ８、８' 座金 ９ サポートプレート １０ 受けプレート １２ 高さ調整用ボルト

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
   に固着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
   付け構造であって、上段パネルの下端部を前記定規アン
   グルに固着したイナズマプレートの上部に座金を介して
   遊動可能に螺止したことを特徴とする外壁パネルの取り
   付け構造。
2. 【請求項２】 上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
   に固着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
   付け構造であって、上段パネルの下端部を前記定規アン
   グルに固着したセットプレートに固着したイナズマプレ
   ートの上部に螺止したことを特徴とする外壁パネルの取
   り付け構造。
3. 【請求項３】 上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
   に固着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
   付け構造であって、下段パネルの上縁部に固定したイナ
   ズマプレートの上部で前記定規アングルに懸吊したセッ
   トプレートの下部を遊動可能に挾持したことを特徴とす
   る外壁パネルの取り付け構造。
4. 【請求項４】 上下に連設される外壁パネルを梁の上縁
   に固着された定規アングルに係止する外壁パネルの取り
   付け構造であって、上段パネルの下端小口面が、横断面
   コ字状でパネル側に開口したサポートプレートと、パネ
   ル面に相対したサポートプレートの垂直面と定規アング
   ルの平面に係止され、上下方向の位置調整が可能な段状
   の受けプレートに担持されていることを特徴とする外壁
   パネルの取り付け構造。