JPH1113184A - Ａｌｃパネルの位置調整方法および位置調整機構を備えたａｌｃパネルの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】基礎上などにＡＬＣパネルを取り付け、そのパ
ネルの高さを調整する方法およびその機構を備えた構造
において、簡単な方法および構造によって位置調整可能
になる方法および構造を提供する。 【解決手段】ＡＬＣパネル下部の内部に、そのパネル自
重以上の剪断耐力を有するボルトをその一端部がパネル
の裏面に露出するように装着し、その一端部を直接上下
させてパネルの高さ等を調整するパネルの位置調整方法
およびその機構を備えたＡＬＣパネルの取付構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、基礎上などにＡＬ
Ｃパネルを建込む際のそのパネルの位置を調整する方法
およびその機構を備えたＡＬＣパネルの取付構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来技術】コンクリート基礎上に外壁ＡＬＣパネルを
建込んで取り付ける際、通常の基礎は高さが一定でない
ため、その上に直接ＡＬＣパネル（以下、単にパネルと
いう）を建込むことはほとんどできない。従って、パネ
ルを建込む際に種々の方法や装置でパネル高さなどの位
置調整が行われる。その代表的な方法として、特開平１
−１５１６３５号公報に開示されて図８のような、基礎
１内にジャッキボルト２０などを埋設してその上にＬ字
型レベル調整用鋼材２１を設け、ジャッキボルト２０を
上下させてパネルの高さを調整する方法が提案されてい
る。あるいは、単純な方法として、基礎上に下地鋼材と
パネルを建込んだ後、そのパネルの下部をバールなどで
持ち上げ、それによって生じた隙間に複数枚のスぺーサ
ーを介在させながら調整する方法も行われている。

【０００３】また、特開平２−１５７３４３号公報に開
示されて図９のような、２階以上の建物等において下層
パネル２２の上に上層パネル２３を建込む場合も、その
上層パネル２３の高さ調整が行われる。その場合は、上
層パネル２３の自重を受けるＬ字型受けプレート２４を
設けて、その受けプレート２４をＬ字型定規アングルの
下地鋼材２５を介してジャッキボルト２６などで高さ調
整する方法、機構が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上の特開平１−１５
１６３５号公報や特開平２−１５７３４３号公報に示す
ような従来のＡＬＣパネルの高さ調整機構は、いずれも
構造が複雑でその施工にも手数がかかり、さらには種々
の取付け金具も使用するため、コストがかかるという問
題点があった。また、パネルの下部をバールで持ち上げ
る方法は、簡単で、コストもかからないがＡＬＣパネル
は脆いという性質があるため、特に厚みのある重いパネ
ルの場合や、２階以上の建物等における上層パネルの建
込みには適用困難である。

【０００５】そこで、本発明の課題は、基礎上にあるい
は下層パネル上などに外壁ＡＬＣパネルを建込んで取り
付ける際に、ＡＬＣパネルの位置調整を簡単な方法で調
整でき、しかもＬ字型受けプレート等を設ける必要のな
い簡単な構造の位置調整機構を備えたＡＬＣパネルの取
付構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
る本発明は、ＡＬＣパネルを建込んでその位置を調整す
る方法において、前記ＡＬＣパネル内部に、そのＡＬＣ
パネルの自重以上の剪断耐力を有するボルトを装着する
とともに、該ボルトの一端部を保持してその剪断耐力に
依存させてそのボルトを直接移動させることにより、前
記ＡＬＣパネルの位置を調整する方法である。

【０００７】また、同様に本発明の課題を解決する位置
調整機構を備えたＡＬＣパネルの取付構造は、ＡＬＣパ
ネルを建込み、その位置を調整して取り付ける構造にお
いて、ＡＬＣパネルの内部に、そのＡＬＣパネル自重以
上の剪断耐力を有するボルトが装着されているととも
に、該ボルトの一端部に前記ＡＬＣパネル自重以上の力
を伝達可能な移動力伝達部材が直接的に取付けられてい
る位置調整機構を備えたＡＬＣパネルの取付構造であ
る。

【０００８】本発明の作用は次の通りである。パネル下
部等の内部に、そのパネルの自重以上の剪断耐力を有す
るボルトを設け、その一端部を直接保持しながら、パネ
ルを持上げるようにする。従って、ボルトに剪断荷重を
掛けないようにする従来の一般的な発想とは逆に、ボル
トの剪断耐力を利用してそれに依存させながらパネル裏
面に露出しているボルト頭部等を保持してパネルの高さ
を調整するものであるため、使用金具も少なくて済み、
その構造やその施工方法も簡単となり、コスト面で有利
となる。また、パネル内に埋設したアンカーにボルトを
螺合した構造と成すことにより、本発明の目的がより確
実に達成され、また通常のパネル取付け用に埋設したア
ンカーを有効に利用できるという効果も奏する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の詳
細を説明する。図１はコンクリート基礎１の上にパネル
２を建込む際のパネル高さ調整方法およびその機構の１
例を示す部分拡大斜視図である。まず、本発明の位置調
整機構を備えたパネルの取付構造について説明する。

【００１０】コンクリート基礎１の上に平板の下地鋼材
３が固定されており、その下地鋼材３の上にパネル２が
各種部材から構成されている位置調整機構を介して建込
まれている。その位置調整機構は、パネル２の横幅方向
の下部の中心部に設けられており、ボルト４と、ワッシ
ャー５と、移動力伝達部材６を成すスネイル型カム６ａ
と、コンクリート基礎１上に溶接固定されたＬ字型プレ
ート７と、移動力伝達部材６に移動力を伝えるためのバ
ー８とから構成されている。

【００１１】前記ボルト４は、図３（ａ）に示すような
市販の通常のボルトが適用され、図２に示すように、パ
ネル２下部に埋設されたアンカー９に螺合されるととも
に、その一端部がパネル２の裏面に露出している。ま
た、そのアンカー９はパネル２に埋設された補強鉄筋１
０に溶接固定されている。さらに、ボルト４はＪＩＳ規
格のＭ１２の太さで、パネル２を持ち上げるのに十分な
パネル自重以上の剪断耐力を有している。

【００１２】なお、本発明において、ボルト４は、パネ
ル自重以上の剪断耐力を有していれば、その構造や材質
は特に限定されず、例えば図３（ｂ）に示すようなパネ
ル内に装着されるパイプアンカー等に係止されるボルト
や、さらにはフックボルト〓（図示せず）形状のもので
も構わない。

【００１３】前記移動力伝達部材６は、図４に示すよう
に、スネイル型カムの板状の円弧面６ａａを有する円弧
部材６ａと、その円弧部材６ａと連なっているとともに
ボルト４を保持する透孔のボルト保持部６ｂと、円弧部
材６ａに移動力を伝達するためのバー８を係止させるバ
ー係止部６ｃとから構成されている。また、前記のボル
ト保持部６ｂとなる透孔は、円弧部材６ａの片側に偏っ
て設けられて円弧面６ａａに対して偏心している状態に
形成されており、かつ円弧部材６ａそのものに設けられ
ている。

【００１４】さらに、バー係止部６ｃとして、図４
（ａ）に示すように、円弧部材６ａの一端部が一部折曲
げられた折曲片が形成されているが、折曲片の代わり
に、図４〓（ｂ）に示すように、バー８に設けた凸部が
係合する２個以上の穴であってもよい。なお、バー係止
部６ｃを設けることが望ましいが、場合によってはバー
係止部６ｃを設けずに他の手段で移動力を伝達しても構
わない。また、移動力伝達部材６の形状は特に限定され
ず、図４（ｃ）に示すように、円弧面６ａａを持つよう
に曲げられた厚みのある湾曲板とその一端にボルト４な
どを保持するボルト保持部６ｂが設けられたものでもよ
い。

【００１５】前記Ｌ字型プレート７は、図５（ａ）に示
すように、その起立板７ａに縦長孔７ｂが設けられてい
る。なお、起立板７ａの縦長孔７ｂの代わりに図５
（ｂ）に示すように、縦長溝７ｄを設けてもよい。ま
た、その起立板７ａには、図１に示すように、ストッパ
ー７ｃを構成する突起部が設けられている。この突起部
は、前記の円弧部材６ａの円弧面６ａａと当接してそれ
を止めるように作用する。また、本発明において、この
Ｌ字型プレート７を取り付ける際は、図１に示すよう
に、パネル２裏面に接触するように取り付けるととも
に、移動力伝達部材６がスムーズに回転するようにＬ字
型プレート７の外側に取り付けることが必要である。

【００１６】前記バー８は、図７に示すように、端部に
ボルト４の頭部と係合する凹部８ａが設けられた長尺の
板状体を成している。この凹部８ａの代わりに、２個の
凸部（図示せず）を設けて、図４（ｂ）に示す移動力伝
達部材６の２個の穴のバー係止部６ｃに勘合させてその
バー８を回転させてもよい。

【００１７】次に、以上のような位置調整機構を備えた
パネル２において、その高さを調整する方法について述
べる。まず、図１に示すように、コンクリート基礎１の
上に平板の下地鋼材３を固定する。その固定方法はコン
クリート基礎１内に埋設固定した棒体金具（図示せず）
に溶接固定するような公知の方法でもよい。一方、内部
にアンカー９が埋設されているパネル２の下部に予め位
置調整機構を備えておく。すなわち、まずＬ字型プレー
ト７をアンカー９が埋設されている位置に当てた後に、
円弧部材６ａの保持部６ａにワッシャー５（このワッシ
ャーは省略しても可能な場合もある）等を介してボルト
４を挿入し、さらにアンカー９に螺合させて位置調整機
構の各部材全体をボルト４の仮締め等で仮止めする。

【００１８】次に、このパネル２をコンクリート基礎１
上にスリング等で吊しながら仮置き状態に建込む。その
後、バー８を移動力伝達部材６のバー係止部６ｃに係止
させるとともに、ボルト４の頭部にバー８の凹部８ａを
係合させながら回転させてテコの原理で移動力をボルト
４に伝達する。それによって、図６（ａ）（ｂ）に示す
ように、ボルト４はＬ字型ピースの縦長孔７ｂをスライ
ドしながら上下移動する。

【００１９】このようにしてパネル２を適正高さに調整
した後に、ボルト４を本締めし、必要に応じて移動力伝
達部材６の端とＬ字型プレート７の起立面７ａとを溶接
してパネル２を固定する。最後に、Ｌ字型プレート７の
水平片７ａの端を下地鋼材３上に溶接固定する。なお、
この際、移動力伝達部材６のボルト保持部６ｂとなる透
孔の径がボルト４の頭部の径と同じである場合は、ボル
ト４とＬ字型プレート７とを溶接固定した後に、移動力
伝達部材６を取り外し、繰り返し利用可能となる。

【００２０】以上はより望ましい実施形態として、Ｌ字
型プレート７を設けた場合の機構および方法であるが、
Ｌ字型プレート７の代わりに平プレート（図示せず）を
用いたり、さらにはパネル２にＬ字型プレート７を設け
ずに、円弧部材６ａをパネル２に直接取付けてその円弧
面６ａを基礎部の下地鋼材３上に当てながら移動力をボ
ルト４に伝達する方法も採用可能である。

【００２１】また、パネル２下部の内部に、そのパネル
２の自重以上の剪断耐力を有するボルト４としては、パ
ネルの自重に応じて種々のものが採用され得るが、剪断
耐力の面でＪＩＳによるねじの呼びがＭ１０以上のも
の、より望ましくはＭ１２以上のボルト４が採用され
る。

【００２２】また、移動力伝達部材としては、上記実施
形態のものが望ましいが、これに限定されずボルト４に
直接的に移動力を伝達できるものであれば、ジャッキボ
ルトを利用しても構わない。さらに、本発明は基礎上に
パネルを建込む場合に好適であるが、この場合に限定さ
れず、２階以上の建物等において下層パネルの上に上層
パネルを建込む場合も適用可能である。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、基礎上
あるいは下層パネル上などに外壁パネルを建込んで取り
付ける際に、Ｌ字型受けプレート等を設ける必要のない
簡単な機構により、高さなどの位置調整が可能となる。
したがって、使用金具の少ない安価な位置調整機構を備
えたパネルの取付構造になるとともに、その位置調整作
業も簡単にできるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の一部を示す斜視図である。

【図２】図１の断面図である。

【図３】（ａ）〜（ｂ）は、夫々本発明に適用される移
動力伝達部材の説明図である。

【図４】（ａ）〜（ｃ）は、夫々本発明に適用されるに
支持部材の説明図である。

【図５】（ａ）〜（ｂ）は、夫々本発明に適用されるＬ
字型プレートの説明図である。

【図６】本発明の実施例の作用を示す説明図である。

【図７】本発明に適用されるバーの１実施例の概略斜視
図である。

【図８】従来の実施例の一部を示す断面図である。

【図９】従来の他の実施例の一部を示す断面図である。

【符号の説明】

１ コンクリート基礎 ２ ＡＬＣパネル ３ 下地鋼材 ４ ボルト ５ ワッシャー ６ 移動力伝達部材 ６ａ 支持部材保持部 ６ａａ 円弧面 ６ｃ バー係止部 ７ Ｌ字型プレート ７ａ 縦長孔 ７ｃ ストッパー ８ バー ９ アンカー １０ 補強鉄筋

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ＡＬＣパネルを建込んでその位置を調整す
   る方法において、前記ＡＬＣパネル内部に、そのＡＬＣ
   パネルの自重以上の剪断耐力を有するボルトを装着する
   とともに、該ボルトの一端部を保持してその剪断耐力に
   依存させてそのボルトを直接移動させることにより、前
   記ＡＬＣパネルの位置を調整することを特徴とするＡＬ
   Ｃパネルの位置調整方法。
2. 【請求項２】基礎上にＡＬＣパネルを建込む際に適用す
   る請求項１記載のＡＬＣパネルの位置調整方法。
3. 【請求項３】ＡＬＣパネルを建込み、その位置を調整し
   て取り付ける構造において、ＡＬＣパネルの内部に、そ
   のＡＬＣパネル自重以上の剪断耐力を有するボルトが装
   着されているとともに、該ボルトの一端部に前記ＡＬＣ
   パネル自重以上の力を伝達可能な移動力伝達部材が直接
   的に取付けられていることを特徴とする位置調整機構を
   備えたＡＬＣパネルの取付構造。
4. 【請求項４】前記移動力伝達部材は、円弧面を有する円
   弧部材と、その円弧部材と連なっているとともにその円
   弧面に対して偏心している位置に設けられたボルト保持
   部とから構成されている請求項３記載の位置調整機構を
   備えたＡＬＣパネルの取付構造。
5. 【請求項５】前記円弧部材に移動力を伝達するためのバ
   ーを係止させるバー係止部が設けられている請求項４記
   載の位置調整機構を備えたＡＬＣパネルの取付構造。
6. 【請求項６】前記ボルトは、ＡＬＣパネル内に埋設され
   かつそのＡＬＣパネル内の補強鉄筋に溶接固定されてい
   るアンカーに螺合したボルトである請求項３、４または
   ５記載の位置調整機構を備えたＡＬＣパネルの取付構
   造。
7. 【請求項７】前記移動力伝達部材と前記ＡＬＣパネル裏
   面との間に、縦長孔または縦長溝が設けられているＬ字
   型プレートが介在されており、かつそのＬ字型プレート
   に前記円弧面と当接するストッパーが設けられている請
   求項３、４、５または６記載の位置調整機構を備えたＡ
   ＬＣパネルの取付構造。