JP2813367B2 - 埋込金具およびプレキャストコンクリートパネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、プレキャストコンクリートパネルに埋設
される埋込金具およびこの埋込金具を埋設して成形され
るプレキャストコンクリートパネルに関する。

〔従来技術〕

一般に、プレキャストコンクリートパネル等の成形パ
ネルには、インサートナットやスタッドボルト等のイン
サート金具を埋設することが多い。

この種のインサート金具の多くは、成形パネルのコン
クリート中に配筋された鉄筋に溶接して固定するのが一
般的である。

また、必要によりインサート金具をより強固に固定す
るためにインサート金具にアンカープレートやアンカー
鉄筋を溶接して補強することもある。

このような場合、インサート金具は多くの場合、その
片側部を鉄筋に溶接したり、片側部にのみアンカープレ
ートやアンカー鉄筋を溶接したりしている。

〔発明が解決しようとする課題〕 しかし、このような補強方法では、インサート金具に
これを引き抜くような外力が作用した場合に、インサー
ト金具にインサート金具の溶接部を中心とする回転力が
発生するため、比較的小さな外力が作用してもインサー
ト金具は大きな曲げ力を受けて力学的にきわめて不利な
状態になることが予想される。

しかも、インサート金具は一ケ所につき一個しか埋設
されていないため、成形パネルを壁パネルとして建物の
構造体にファスナーによって取り付ける場合に、ファス
ナーを１点で支持することになり、このためファスナー
の取付状態が面接するパネルの面精度の良し悪しに大き
く影響される。

また、取付後においても、パネルの自重、風圧力、地
震力などによりファスナー部に力が加わると取付部を支
点とする面内方向及び面外方向の回転力が作用し、その
影響により、万一取付部に許容耐力以上のが外力が働け
ばファスナー取付部の弛み、取付部周辺のパネル自体の
破損を招く恐れもある。

さらに、突風や地震などの過大な外力を受けてインサ
ート金具の埋設部が簡単に破壊してしまう恐れがあり、
強度的にきわめて不十分なものであるといえる。

この発明は、このような強度上の問題点を解決するた
めになされたもので、インサートナットやスタッドボル
ト等のインサート金具を成形パネルのコンクリート中に
確実強固に設置できるようにした埋込金具およびプレキ
ャストコンクリートパネルを提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

この発明に係る請求項１記載の埋込金具は、垂直フラ
ンジ部と水平フランジ部とから断面略Ｌ字状に形成され
たアンカー金具を、前記垂直フランジ部を向かい合わせ
た状態に設置し、この対向する垂直フランジ部間に複数
個のインサート金具を前記垂直フランジ部と一体に設置
して構成されている。

この発明に係る請求項２記載のプレキャストコンクリ
ートパネルは、前記埋込金具をプレキャストコンクリー
トパネルに、このプレキャストコンクリートパネル内に
配筋された鉄筋に固定して取り付けることにより構成さ
れている。

〔実施例〕

以下、この発明に係る埋込金具およびプレキャストコ
ンクリートパネルを図示する一実施例に基いて説明す
る。

プレキャストコンクリートパネル１のコンクリート中
に２個のアンカー金具２が埋設され、この２個のアンカ
ー金具２にインサート金具３（以下「インサートナット
３」という）が溶接することにより取り付けられてい
る。

アンカー金具２は垂直フランジ部2aと水平フランジ部
2bとから断面略Ｌ字状に形成されている。

水平フランジ部2bには水平フランジ部2bの裏側にもコ
ンクリートが充分に充填されるように複数個の孔2cが形
成されている。

２個のアンカー金具２はプレキャストコンクリートパ
ネル１のコンクリート中に配筋された複数本の補強鉄筋
４と４との間に水平フランジ部2bを補強鉄筋４にそれぞ
れ添わせ、かつ垂直フランジ部2aを互いに向かい合わせ
た状態に設置されている。

また、アンカー金具２は水平フランジ部2bを補強鉄筋
４に溶接することによりそれぞれ固定されている。

インサートナット３はアンカー金具２の垂直フランジ
部2a間に設置され、かつこの垂直フランジ部2aに溶接す
ることにより一体的に固定されている。

なお、インサートナット３は垂直フランジ部2a間に、
必要により３個ないし４個取り付けてもよい（ファスナ
ー取付部のゆるみをなくし、かつ取付部を支点とする面
内方向および面外方向の回転力を阻止するために２個以
上取り付けるのが望ましい。） このような構成において、インサートナット３にこれ
を引き抜くような外力が作用しても、アンカー金具２が
インサートナット３の両側に取り付けられているので、
外力は両側アンカー金具２にバランス良く分散されるた
め、インサートナット３に外力による回転力は一切発生
せず、このためインサートナット３の埋設部の耐力は相
当なものが期待できる。

〔発明の効果〕

この発明に係る埋込金具およびプレキャストコンクリ
ートパネルは以上の構成からなるので以下の効果を有す
る。

インサートナット等のインサート金具は、アンカー
金具の対向する垂直フランジ部の間に溶接により確実か
つ強固に、しかもきわめて簡単に取り付けることができ
る。

また、インサート金具に作用する外力は、両側にアン
カー金具に均等に分散されるので、インサート金具に力
学的に不利となる回転力などが生ずる心配がなく、イン
サート金具に相当の耐力が期待できる。

さらに、プレキャストコンクリートパネルを壁パネ
ルとして建物の構造体にファスナーによって取り付ける
場合に、必要に応じて垂直フランジ部の間に２個ないし
それ以上の数のインサート金具を取り付けた場合には、
ファスナーを２点以上で支持することになるため、プレ
キャストコンクリートパネルの取付状態が安定する。し
たがって、下地面接部の平滑度が少々悪くともファスナ
ーがぐらつくようなこともない。

また、取付後の自重や外力に対してもファスナーを２
点以上で固定しているため、回転力によってボルトがゆ
るむ恐れがない。さらに、パネルに作用する曲げ外力に
対しする曲げ抵抗力もきわめて大きくなる。

【図面の簡単な説明】 第１図〜第５図は、この発明の一実施例を示し、第１図
は埋込金具の取付状態を示すプレキャストコンクリート
パネルの斜視図、第２図はその一部拡大横断面図、第３
図は埋込金具の平面図、第４図および第５図は埋込金具
の側面図である。 １……プレキャストコンクリートパネル、２……アンカ
ー金具、 2a……垂直フランジ部、2b……水平フランジ部、2c……
孔、 ３……インサートナット、４……補強鉄筋。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】垂直フランジ部と水平フランジ部とから断
   面略Ｌ字状に形成されたアンカー金具を、前記垂直フラ
   ンジ部を向かい合わせた状態に設置し、この対向する垂
   直フランジ部間に複数個のインサート金具を前記垂直フ
   ランジ部と一体に設置してなることを特徴とする埋込金
   具。
2. 【請求項２】請求項１記載の埋込金具をプレキャストコ
   ンクリートパネルに、このプレキャストコンクリートパ
   ネル内に配筋された鉄筋に固定して取り付けてなること
   を特徴とするプレキャストコンクリートパネル。