JPH0673289A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0673289A
JPH0673289A JP22745692A JP22745692A JPH0673289A JP H0673289 A JPH0673289 A JP H0673289A JP 22745692 A JP22745692 A JP 22745692A JP 22745692 A JP22745692 A JP 22745692A JP H0673289 A JPH0673289 A JP H0673289A
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Japan
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group
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ppe
component
resin
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JP22745692A
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English (en)
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Tomohiko Tanaka
智彦 田中
Haruo Omura
治夫 大村
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (a) ポリフェニレンスルフィド樹脂 1
0〜90重量% (b) ポリフェニレンエーテル樹脂に、式(I)のア
クリレートを反応させた樹脂 90〜10重量% (R1 はH、メチル基、R2 はC2〜3の炭化水素基、
P は1,2。) (a)+(b)=100重量部に対し、(c)が0.0
1〜10重量部の割合で配合された熱可塑性樹脂組成物 (c) 分子内に、A群:アミノ基、エポキシ基、メル
カプト基、ハロゲン基、イソシアナート基又はウレイド
基、およびB群:Y−O−C、Y−OH、Y−O−P、
Y−NH、Y−N−C、Y−N=C、Y−Cl、Y−B
r又はY−I(ただし、YはSiである)を有する化合
物。 【効果】 相溶性を成形品の外観と衝撃強度を顕著に改
善する。成形品は、PPSおよびPPEの優れた性質を
損なうこと無く、優れた機械的強度を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂を含む樹脂組成
物に関する。このものは機械的強度、耐熱剛性および外
観が優れたエンジニアリングプラスチック工業材料、例
えばコネクター、イグニッションマニフォールド、歯
車、バンパー、コイル封止材等を与えるのに有用な熱可
塑性樹脂組成物である。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PSと略記する)は流動性、耐有機溶剤性、電気特性、
難燃性などが優れた高融点の耐熱樹脂として知られてい
る。しかしながら成形材料として用いた場合、重合度が
低く押出安定性、成形安定性が劣る欠点があり、またガ
ラス転移温度が約90℃とそれほど高くないため高温に
おける剛性の低下が大きい。そのためガラス繊維、炭素
繊維、タルク、シリカなどの無機充填剤との複合化によ
る性能改良が実施されているが、この場合、成形品の外
観が悪化したり、成形品にソリが生じ易いなどの問題点
がある。
【0003】一方、ポリフェニレンエーテル樹脂(以下
PPEと略記する)は優れた耐熱性、寸法安定性、非吸
湿性、電気特性などを有するエンジニアリングプラスチ
ックスとして認められているが、溶融流動性が悪く、成
形加工が困難であり、かつ耐油性、耐衝撃性が劣るとい
う欠点がある。そこで両者の長所を損なわずに欠点を相
補った成形材料を提供する目的で種々の組成物が提案さ
れている。
【0004】例えば、PPEにPPSをブレンドするこ
とにより、PPEの成形加工性を改良する技術が開示さ
れている(特公昭56−34032号)。しかしながら
成形加工性の改善はみうけられるものの、PPEとPP
Sとは本来相溶性が悪いので、このような単純なブレン
ド系では界面における親和性が乏しく、成形時に相分離
(デラミネーション)が生じ、機械的強度が優れた成形
品は得られない。
【0005】このため両者の相溶性を向上させうる技術
がいくつか提案されている。例えばPPSとPPEのブ
レンド物に、エポキシ樹脂を配合する方法(特開昭59
−164360号および同59−213758号)、エ
ポキシ基を有するスチレン系重合体を配合する方法(特
開平2−86652号および同1−213361号)等
が開示されている。また、PPEに官能基を導入して、
変性PPEとし、PPSとの混和性を改良することが提
案されている。特開昭64−36645号および特開平
2−36261号では、エチレン性不飽和結合と酸無水
物を分子内に併せ有する化合物、具体的には無水マレイ
ン酸変性PPEが用いられている。しかしながら、ここ
で得られる樹脂組成物の機械的強度は、なお不十分であ
る。
【0006】そこで、PPSとPPEのブレンド物にカ
ップリング剤を配合することによって、機械的強度を改
善しようとする試みがなされている(特開平3−796
61号)。また、PPSとPPEのブレンド物にカップ
リング剤と無水マレイン酸を配合することによって、同
様に機械的強度の改善をすることが試みられている(特
開平3−54251号)しかしこれらの組成物は、機械
的強度もなお不十分で、相溶性にも乏しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するため、PPSとの混和性が極めて優れたアル
コール性水酸基含有PPEとカップリング剤を用いるこ
とによって、PPSとPPEを均質に混合させ、外観、
機械的強度が優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、成分(a)
ポリフェニレンスルフィド樹脂 10〜90重量% 成分(b) ポリフェニレンエーテル樹脂に、式(I)
で示されるアクリレートを反応させて得られるアルコー
ル性水酸基含有ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜1
0重量%
【化2】 (式中R1 は水素原子またはメチル基を表し、R2 は炭
素数2〜3の炭化水素基を、P は1または2の数を表
す。)上記成分(a)および(b)の合計量100重量
部に対して、次の成分(c)が0.01〜10重量部の
割合で配合されてなる熱可塑性樹脂組成物を提供するも
のである。 成分(c) 分子内に、 A群:アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、ハロゲン
基、イソシアナート基およびウレイド基より選ばれる
基、および B群:Y−O−C、Y−OH、Y−O−P、Y−NH、
Y−N−C、Y−N=C、Y−Cl、Y−BrおよびY
−I(ただし、YはSiである)より選ばれる化学構造
を有する化合物。
【0009】以下に、本発明をさらに詳細に説明する。(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂 本発明で使用するPPSは、一般式(III)
【0010】
【化3】
【0011】で示される繰り返し単位を主構成要素とし
て含有する結晶性樹脂である。本発明では、上記の繰り
返し単位を主構成要素とするもの、すなわち上記繰り返
し単位からなるもの、又はこれを主成分として好ましく
は80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む
ものが、耐熱性等の物性上の点から好ましい。
【0012】成分(a)の実質的全量が上記繰り返し単
位からなる成分で成り立っていない場合、残り(例えば
20モル%まで)は共重合可能な、例えば下記のような
繰り返し単位からなる成分で充足させることができる。
【0013】
【化4】
【0014】(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、
フェニル基、アルコキシ基である。)
【0015】本発明で使用するPPSは、実質的に線状
構造であるものが、成形物の物性などの観点から好まし
い。この物性を実質的に低下させない範囲において、例
えば重合時に有効量の架橋剤(例えばトリハロベンゼ
ン)を用いて得た重合架橋物、あるいはポリマーを酸素
の存在下等で加熱処理して架橋させた熱架橋物も使用可
能である。
【0016】本発明の組成物に用いるPPSは、300
℃での溶融粘度が100〜100,000ポイズ、好ま
しくは、500〜50,000ポイズ、さらに好ましく
は500〜50,000ポイズの範囲のものが好まし
い。溶融粘度が100ポイズ未満では、流動性が高すぎ
て成形が困難である。また、溶融粘度が100,000
ポイズを超えると逆に流動性が低すぎ、成形が困難とな
る。
【0017】本発明に用いるPPSは、本発明の目的に
反しない限り、任意の方法により製造することができる
が、上記のような条件を満たす好ましいPPSは、例え
ば、特公昭45−3368号公報に開示されるような比
較的分子量の小さい重合体の製造法、特公昭52−12
240号公報に開示されるような線状の比較的高分子量
の重合体の製造法又は低分子量重合体を酸素存在下で加
熱して架橋体を得る方法に従って、あるいはこれらに必
要な改変を加えて、製造することができる。(b)アルコール性水酸基含有ポリフェニレンエーテル
樹脂 成分(b)のアルコール性水酸基含有PPEは、式
(I)
【化5】 (式中R1 は水素原子またはメチル基を表し、R2 は炭
素数2〜3の炭化水素基を、P は1または2の数を表
す。)に示される官能化剤によりアルコール性水酸基を
付加したPPEを用いることができる。かかるアルコー
ル性水酸基含有PPEは、PPE100重量部と官能化
剤0.01〜20重量部、好ましくは1〜10重量部と
を、PPEを溶解できる有機溶媒の存在下または非存在
下でラジカル開始剤を用いて50〜290℃の温度で反
応させることにより得ることができる。
【0018】(i)PPE 原料のPPEは、一般式(X)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級
もしくは第二級アルキル基、フェニル、アミノアルキル
基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表
し、Q2は各々水素原子、ハロゲン原子、第一級もしく
は第二級アルキル基又はハロ炭化水素オキシ基を表
す。)で示される構造単位を有する単独重合体又は共重
合体である。Q1 およびQ2 の第一級アルキル基の好適
な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、
n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、2,3−
ジメチルブチル、2−、3−もしくは4−メチルペンチ
ル又はヘプチルである。第二級アルキル基の例はイソプ
ロピル、sec−ブチル又は1−エチルプロピルであ
る。多くの場合、Q 1 はアルキル基又はフェニル基、特
に炭素数1〜4のアルキル基であり、Q2 は水素原子で
ある。
【0021】具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ
プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,
4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノー
ル/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,
6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェ
ノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,
3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプ
ロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール
共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共
重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−ト
リメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合
したグラフト共重合体等が挙げられる。好適なPPEの
単独重合体としては、例えば、2,6−ジメチル−1,
4−フェニレンエーテル単位構造からなるものである。
好適な共重合体としては、上記2,6−ジメチル−1,
4−フェニレンエーテル単位と2,3,6−トリメチル
−1,4−フェニレンエーテル単位との組み合わせから
なるランダム共重合体である。多くの好適な、単独重合
体又はランダム共重合体が、特許、文献に記載されてい
る(USP3422062号、同3306874号、同
3257358号)。例えば、分子量、溶融粘度および
/又は衝撃強度等の特性を改良する分子構成部分を含む
PPEも、また好適である。
【0022】PPEの分子量は通常クロロホルム中、3
0℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/g程度のもので
ある。PPEは、通常前記のモノマーの酸化カップリン
グにより製造される。PPEの酸化カップリング重合に
関しては、数多くの触媒系が知られている。触媒の選択
に関しては、数多くの触媒系が知られている。触媒の選
択に関しては特に制限はなく、公知の触媒のいずれも用
いることができる。例えば、銅、マンガン、コバルト等
の重金属化合物の少なくとも一種を通常は種々の他の物
質との組み合わせで含むもの等である。
【0023】(ii) アルコール性水酸基含有ポリフェニ
レンエーテル樹脂の製法 例えば、次に示す方法により製造することができる。P
PEに、前記一般式(I)で示されるアクリレート、例
えば、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセ
ロールモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは
2−ヒドロキシプロピルアクリレートをラジカル開始剤
の存在または非存在下で溶液または溶融グラフト反応さ
せてアルコール性水酸基含有PPEを製造する(特開平
1−259060号公報)。成分(b)のアルコール性
水酸基含有PPEの一部(80重量%以下)をポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)等
の未変性のPPEにおきかえても良い。アルコール性水
酸基含有PPEの調製に用いられるラジカル開始剤とし
ては、有機過酸化物、ジアゾ化合物類等が挙げられる。
好ましい具体例としてはベンゾイルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキ
サイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニト
リル、ジクミルなどが挙げられる。
【0024】(c)カップリング剤 成分(c)のカップリング剤としては、一般に各種のフ
ィラーやガラス繊維の表面処理剤、接着や塗装における
プライマーとして使用されるシランカップリング剤を使
用することができる。好ましいものとしては、例えば、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N
−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジ
メトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロ
ロプロピルメチルジクロルシラン、3−クロロプロピル
メチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラ
ン、ヘキサメチルジシラザン−3−アニリノプロピルト
リメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチル
ジクロルシラン、トリメチルクロルシラン等を挙げるこ
とができる。特に好ましいのは、有機質と反応する官能
基(アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、
ハロゲン基、ウレイド基、メタクリロキシ基、イソシア
ナート基等)を有するものである。例えば、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2
−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メ
ルカプトプロピルメトキシシラン、3−クロロプロピル
トリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキ
シシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシ
ランである。特に好ましくは、3−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメ
トキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシランであ
る。さらに上述したカップリング剤の加水分解物をも使
用することができる。
【0025】付加的成分 本発明による樹脂組成物には、他の付加的成分を添加す
ることができる。例えば、PPSに周知の酸化防止剤、
耐候性改良剤、造核剤、難燃剤等の添加剤を;PPEに
周知の酸化防止剤、耐候性改良剤、可塑剤、流動性改良
剤等を付加成分として使用できる。また有機、無機充填
剤、補強剤、特にガラス繊維、マイカ、タルク、ワラス
トナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ
等の添加は剛性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効であ
る。実用のために各種着色剤およびそれらの分散剤など
も周知のものが使用できる。
【0026】さらに、耐衝撃強度向上剤の添加、特にス
チレン−ブタジエン共重合体ゴムおよびその水素化物、
エチレン−プロピレン−(ジエン)共重合体ゴム、さら
にそれらのα,β−不飽和カルボン酸無水物変性体およ
びグリシジルエステルもしくは不飽和グリシジルエーテ
ルとの変性体並びに不飽和エポキシ化合物とエチレンか
らなる共重合体または不飽和エポキシ化合物、エチレン
およびエチレン系不飽和化合物からなる共重合体等の添
加は組成物の衝撃強度向上に有効である。上記の耐衝撃
性向上剤は、単独で用いても良いし、2種またはそれ以
上併用しても良い。耐衝撃強度向上剤の配合量は、目安
とする物性値により異なるが、例えば組成物の剛性と衝
撃強度のバランスの改良の場合は、組成物の成分(a)
と成分(b)の樹脂成分100重量部当たり5ないし3
0重量部である。
【0027】構成成分の組成比 本発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(a)と成分
(b)のアルコール性水酸基含有PPEの組成比はいか
なる値であっても良好な相溶性が得られるが、機械的強
度と耐有機溶剤性のバランスから、成分(a)のPPS
と(b)成分のアルコール性水酸基含有PPEの組成比
は重量比で10対90から90対10の範囲、好ましく
は20対80から80対20、より好ましくは、30対
70から70対30である。PPSが10重量%未満で
は耐有機溶剤性が劣る。90重量%超過では耐熱剛性が
十分でない。
【0028】成分(c)は、成分(a)と成分(b)の
合計100重量部に対して、0.01重量部から10重
量部配合され、好ましくは0.05重量部から5重量部
配合され、さらに好ましくは、0.5重量部から3重量
部配合される。
【0029】混合組成物の製法および成形法 本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための溶融混練の方
法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されてい
る混練方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各
成分を、必要であれば、付加的成分の項に記載の添加物
等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V
型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多
軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等で混練す
る事ができる。成分の混合順序は、特に限定されない。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法
は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂につい
て一般に用いられる成形法、すなわち、射出成形、中空
成形、押出成形、熱成形、プレス成形等の成形法が適用
できる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、詳しく説明
する。使用した各成分は次のとおりである。 PPS:トープレン社製PPS(商品名:トープレンT
−7)を用いた。 PPE:日本ポリエーテル(株)社製ポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)(30℃におけ
るクロロホルム中で測定した固有粘度0.3dl/g)
を用いた。 SEBS(部分水添スチレン−ブタジエンブロック共重
合体):シェル化学社製(商品名:クレイトンG165
1)を用いた。 [製造例1] アルコール性水酸基含有PPE−1 固有粘度0.3dl/gのPPE 100重量部に、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート 10重量部をドラ
イブレンドした後、東洋精機(株)製ラボプラストミル
を用い、温度280℃、ローター回転数60rpmで5
分間混練した。混練終了後、粉砕機で粉砕し粒状とし
た。この粒状物6gをクロロホルム50mlに溶解さ
せ、400mlのアセトニトリル中に注ぎ、沈澱、濾別
させた。その後、100℃で減圧乾燥を行った。共重合
体中のグラフトしている2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート含有量は、赤外線吸収スペクトルの1741cm
-1の吸光度により作成した検量線を用いて求めた。結果
は、0.80wt%であった。 [製造例2] アルコール性水酸基含有PPE−2 固有粘度0.3dl/gのPPE 100重量部に、2
−ヒドロキシエチルメタクリレートを10重量部、ジク
ミル(化薬アクゾ(株)製商品名パーカドックス30)
を1重量部をドライブレンドした後、製造例1と同様に
混練した。同様の分析を行ったところ、共重合体中の2
−ヒドロキシエチルメタクリレート含有量は、0.87
wt%であった。 <実施例1>PPS 70重量部と、前記製造例で得た
アルコール性水酸基含有PPE−130重量部と3−ア
ミノプロピルエトキシシラン 3重量部とをドライブレ
ンドした後、東洋精機(株)製ラボプラストミルを用
い、温度310℃、ローター回転数180rpmで5分
間混練した。混練終了後、粉砕機で粉砕して粒状とし
た。粒状の試料を東洋精機(株)製圧縮成形機を用い
て、温度310℃の条件で、厚さ2mmのシートを成形
した。このシートを熱風乾燥器内で、120℃、4時間
加熱し、PPSの結晶化を充分に行った。このシートよ
り物性評価用の試験片を切削加工した。なお、混練、成
形に際して、PPSはあらかじめ100℃、24時間真
空乾燥したものを用いた。また、物性評価用試験片は2
日間、デシケータ内に保存した後評価した。剛性は、J
IS−K−7106、ASTM−D747に準じて23
℃において曲げこわさ試験を実施した。耐衝撃強度はJ
IS−K−7110に準じて2mm厚試片を3枚重ねに
して、アイゾット衝撃試験機にて測定した。分散形態
は、シートの一部を切り取り、日立製作所(株)製走査
形電子顕微鏡S−2400を用い、倍率1000倍およ
び5000倍で観察した。観察した形態写真から日本ア
ビオニクス(株)製SPICCA II 型画像解析装置を
用いて数平均分散粒径Dnを次式により求めた。 Dn=Σnidi/Σni 外観は良好なものを○、これより悪いが実用上問題ない
ものを△、粗面で実用上問題あるものを×とした。これ
らの結果を表1に示した。 <実施例2〜10>表1および2に示す配合で実施例1
と同様に混練、評価を行い、結果を表1および2に示し
た。 <比較例1〜8>実施例と同様に、表1および2に示す
配合で混練、評価を実施し、結果を表1および2に示し
た。
【0032】
【表1】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明は、カップリング剤を配合するこ
とによりPPSとアルコール性水酸基含有PPEの相溶
性を極めて良好にすることができたので、成形品の外観
と衝撃強度を顕著に改善せしめた。よって本発明の熱可
塑性樹脂組成物より得られた成形品は、PPSおよびP
PEの優れた性質を損なうこと無く、しかも優れた機械
的強度を有する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(a) ポリフェニレンスルフィド
    樹脂 10〜90重量% 成分(b) ポリフェニレンエーテル樹脂に、式(I)
    で示されるアクリレートを反応させて得られるアルコー
    ル性水酸基含有ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜1
    0重量% 【化1】 (式中R1 は水素原子またはメチル基を表し、R2 は炭
    素数2〜3の炭化水素基を、P は1または2の数を表
    す。)上記成分(a)および(b)の合計量100重量
    部に対して、次の成分(c)が0.01〜10重量部の
    割合で配合されてなる熱可塑性樹脂組成物 成分(c) 分子内に、 A群:アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、ハロゲン
    基、イソシアナート基およびウレイド基より選ばれる
    基、および B群:Y−O−C、Y−OH、Y−O−P、Y−NH、
    Y−N−C、Y−N=C、Y−Cl、Y−BrおよびY
    −I(ただし、YはSiである)より選ばれる化学構造
    を有する化合物。
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