JPH06336551A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH06336551A
JPH06336551A JP12617693A JP12617693A JPH06336551A JP H06336551 A JPH06336551 A JP H06336551A JP 12617693 A JP12617693 A JP 12617693A JP 12617693 A JP12617693 A JP 12617693A JP H06336551 A JPH06336551 A JP H06336551A
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JP
Japan
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weight
resin
component
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polyphenylene sulfide
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JP12617693A
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English (en)
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Haruo Omura
治夫 大村
Tomohiko Tanaka
智彦 田中
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリフェニレンスルフィドと変性剤(例え
ば、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウ
ム)を溶融反応させて得たカルボン酸エステル基含有ポ
リフェニレンスルフィド(a)と、カルボキシル基また
は酸無水物基を有するポリフェニレンエーテル(b)を
含有する樹脂組成物。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、相溶性に優れ、機械
的強度の優れた成形品を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度、耐熱剛性
および成形品の外観が優れたエンジニアリングプラスチ
ック工業材料、例えばコネクター、イグニッションマニ
フォールド、歯車、バンパー、コイル封止材等を与える
のに有用な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドは流動性、耐
有機溶剤性、電気特性、難燃性などが優れた高融点の耐
熱結晶性樹脂である。しかし、摺動部材、光ディスク用
キャリッジ等の成形材料として用いた場合、重合度が低
く、押出成形安定性、射出成形安定性が劣る欠点があ
る。またガラス転移温度が約90℃とそれほど高くない
ために高温使用における成形品の剛性の低下が大きい。
そのためガラス繊維、炭素繊維、タルク、シリカなどの
無機充填剤との複合化による剛性改良が実施されている
(USP4,737,539、USP4,009,04
3)が、この場合、成形品の外観が悪化したり、成形品
にソリが生じ易いなどの問題点がある。
【0003】一方、ポリフェニレンエーテルは優れた耐
熱性、寸法安定性、非吸湿性、電気特性などを有するエ
ンジニアリングプラスチックスであるが、溶融流動性が
悪く、成形加工が困難であり、かつ耐油性、耐衝撃性が
劣るという欠点がある。そこで両者の長所を損なわずに
欠点を相補った成形材料を提供する目的で種々の組成物
が提案されている。
【0004】例えば、ポリフェニレンエーテルにポリフ
ェニレンスルフィドをブレンドすることにより、ポリフ
ェニレンエーテルの成形加工性を改良する技術が開示さ
れている(特公昭56−34032号)。このものは、
成形加工性の改善はみられるものの、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂とポリフェニレンスルフィドとは本来相溶性
が悪く、このような単純なブレンド系では界面における
親和性が乏しく、成形時に相分離が生じ、機械的強度が
優れた成形体は得られない。
【0005】このため両者の相溶性を向上させうる技術
がいくつか提案されている。例えばポリフェニレンスル
フィドとポリフェニレンエーテルのブレンド物に、エポ
キシ樹脂を配合する方法(特開昭59−164360号
および特開昭59−213758号)、ポリフェニレン
スルフィドとポリフェニレンエーテルのブレンド物にエ
ポキシ基を有するスチレン系重合体を配合する方法(特
開平2−86652号および特開平1−213361
号)等が開示されている。
【0006】また、ポリフェニレンエーテルに官能基を
導入して、変性ポリフェニレンエーテル樹脂とし、ポリ
フェニレンスルフィドとの混和性を改良することが提案
されている。具体的には、特開昭64−36645号お
よび特開平2−36261号公報では、エチレン性不飽
和結合と酸無水物基を分子内に併せ持つ化合物、具体的
には無水マレイン酸とポリフェニレンエーテルを溶融混
練して得られるカルボン酸変性ポリフェニレンエーテル
樹脂が用いられている。しかしながら、この樹脂成形体
の機械的強度は、実用上、なお不十分である。
【0007】また、特開平1−259060号公報に
は、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、具体的には無水
マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート等とポリフェニレンエーテルを溶
融変性して得られる酸変性ポリフェニレンエーテル樹
脂、アルコール性水酸基変性ポリフェニレンエーテル樹
脂またはエポキシ基変性ポリフェニレンエーテル樹脂
と、同様にこれら変性剤で変性されたポリフェニレンス
ルフィドの組み合わせによって機械的強度が優れた組成
物が得られることが開示されている。しかし、これらい
ずれの方法によっても、ポリフェニレンエーテル樹脂と
ポリフェニレンスルフィドの混和性の改良は十分とは言
えず、耐衝撃性の改良効果が小さい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリフェニ
レンスルフィドとポリフェニレンエーテルの混和性が極
めて優れ、成形品の外観、機械的強度、耐溶剤性の優れ
た成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、 成分(a):ポリフェニレンスルフィドを一般式(I)
で表されるスルホコハク酸ジエステル類
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1 は、炭素数が1〜20のアル
キル基またはアラルキル基を表し、R 2 は、アルカリ金
属原子または水素原子を表す。)で変性して得た変性ポ
リフェニレンスルフィド樹脂 成分(b):分子中にエチレン性二重結合と、カルボキ
シル基または酸無水物基を同時に持つ化合物でポリフェ
ニレンエーテルを変性して得た変性ポリフェニレンエー
テル樹脂 上記成分(a)を10〜90重量%および成分(b)を
90〜10重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂組成物
を提供するものである。さらに本発明の第2は、 成分(a):ポリフェニレンスルフィドを一般式(I)
で表されるスルホコハク酸ジエステル類
【0012】
【化4】
【0013】(式中、R1 は、炭素数が1〜20のアル
キル基またはアラルキル基を表し、R 2 は、アルカリ金
属原子または水素原子を表す。)で変性して得た変性ポ
リフェニレンスルフィド樹脂 成分(b):分子中にエチレン性二重結合とカルボキシ
ル基または酸無水物基を同時に持つ化合物でポリフェニ
レンエーテルを変性して得た変性ポリフェニレンエーテ
ル樹脂 成分(c):熱可塑性エラストマーよりなる耐衝撃改良
剤 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
0重量%を含有する樹脂分100重量部に対して、成分
(c)が3〜40重量部の割合で配合されてなる熱可塑
性樹脂組成物を提供するものである。
【0014】
【作用】成分(a)の変性ポリフェニレンスルフィド樹
脂のカルボン酸エステル基と、成分(b)の変性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂のカルボキシル基または酸無水物
基が溶融混練時に作用することにより、両者の相溶性が
高まり、機械的強度の優れたポリマーアロイを与える。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
【発明の具体的説明】変性ポリフェニレンスルフィド樹脂(a) 成分(a)の変性ポリフェニレンスルフィド樹脂は、ス
ルホコハク酸ジエステル化合物とポリフェニレンスルフ
ィドを反応させてフェニレン核にカルボン酸エステル基
を導入したポリフェニレンスルフィド樹脂であって、ポ
リフェニレンスルフィドと前記変性剤をラジカル開始剤
の存在下、または非存在下で溶融状態または有機溶剤中
で反応させることにより製造できる。 <ポリフェニレンスルフィド>変性剤と反応させるポリ
フェニレンスルフィドは、一般式(II)
【0016】
【化5】
【0017】で示される繰り返し単位を主構成要素とし
て含有する結晶性樹脂である。本発明では、上記の繰り
返し単位からなるもの、またはこれを主成分として好ま
しくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上
含むものが、耐熱性等の物性上の点から好ましい。ポリ
フェニレンスルフィドの構成成分の実質的全量が上記繰
り返し単位からなる成分で成り立っていない場合、残り
(20モル%以下)は共重合可能な、例えば下記のよう
な繰り返し単位からなる成分で充足させることができ
る。
【0018】
【化6】
【0019】(式中、Yはアルキル基、フェニル基、ア
ルコキシ基である。)このポリフェニレンスルフィド
は、実質的に線状構造であるものが成形物の物性などの
観点から好ましい。この物性を実質的に低下させない範
囲において、例えば重合時に有効量の架橋剤(例えばト
リハロベンゼン)を用いて得た重合架橋物、あるいはポ
リフェニレンスルフィドを酸素の存在下等で加熱処理し
て架橋させた熱架橋物も使用可能である。
【0020】ポリフェニレンスルフィドは、300℃で
の溶融粘度が100〜100,000ポイズ、好ましく
は、500〜50,000ポイズ、さらに好ましくは、
500〜20,000ポイズの範囲のものが好ましい。
溶融粘度が100ポイズ未満では、流動性が高すぎて成
形が困難となる。また、溶融粘度が100,000ポイ
ズ超過でも逆に流動性が低すぎて、成形が困難となる。
【0021】ポリフェニレンスルフィドは、例えば、特
公昭45−3368号で開示されたような比較的分子量
の小さい重合体の製造法、特公昭52−12240号で
開示されたような線状の比較的高分子量の重合体の製造
法又は低分子量重合体を酸素存在下で加熱して架橋体を
得る方法に従って、あるいはこれらに必要な改変を加え
て、製造することができる。
【0022】<スルホコハク酸ジエステル類>本発明で
使用する前式(I)で示されるスルホコハク酸ジエステ
ル類は、一般には界面活性剤として知られており、洗
剤、乳化重合剤、浸透剤などとして用いられている物質
である。置換基R1 は、炭素数1〜20のアルキル基ま
たはアラルキル基を表し、好ましくは炭素数3〜10の
アルキル基である。R2 は、アルカリ金属原子または水
素原子を表し、好ましくは、ナトリウムまたは水素原子
である。
【0023】具体的には、ジ(2−エチルヘキシル)ス
ルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)ス
ルホコハク酸、ジメチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ
エチルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソプロピルスル
ホコハク酸ナトリウム、ジヘプチルスルホコハク酸ナト
リウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジノニ
ルスルホコハク酸ナトリウム、ジデシルスルホコハク酸
ナトリウム、ジトリデシルスルホコハク酸ナトリウム等
が挙げられる。これらの中で、ジ(2−エチルヘキシ
ル)スルホコハク酸ナトリウムは、容易に入手できるの
で工業的使用に適している。
【0024】<カルボン酸エステル基で改質された変性
ポリフェニレンスルフィド樹脂>カルボン酸エステル基
で改質された変性ポリフェニレンスルフィド樹脂は、ス
ルホコハク酸ジエステル類を溶融状態または有機溶剤中
でポリフェニレンスルフィドと反応させることにより容
易に製造できる。カルボン酸エステル基で改質された変
性ポリフェニレンスルフィド樹脂は、前記ポリフェニレ
ンスルフィドが溶解可能または一部溶解可能な有機溶媒
中、ポリフェニレンスルフィドとスルホコハク酸ジエス
テル類(ポリフェニレンスルフィドに対して0.1〜1
0重量%、好ましくは1〜5重量%)を170℃〜30
0℃で加熱、反応させることにより容易に製造できる。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、生成した変
性ポリフェニレンスルフィド樹脂を溶液中より析出沈澱
させ、これを濾別する。さらに、濾過物をアセトン、メ
タノール、トルエン等の溶剤で洗浄したのち、加熱ある
いは減圧加熱乾燥し、所望のカルボン酸エステル基で改
質された変性ポリフェニレンスルフィド樹脂を得る。
【0025】ここで使用される有機溶媒は原料であるポ
リフェニレンスルフィドを溶解可能であることが望まし
いがポリフェニレンスルフィドを一部膨潤させることの
可能な有機溶媒もまた使用可能である。具体的には、ジ
フェニル、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、クロロ
ベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハ
ロゲン化芳香族溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、スル
ホラン等の非プロトン性の極性溶媒が挙げられる。
【0026】さらに、本発明のカルボン酸エステル基で
改質された変性ポリフェニレンスルフィド樹脂は、次に
示す溶融反応によっても製造できる。例えば、前記ポリ
フェニレンスルフィドにスルホコハク酸ジエステル類を
ポリフェニレンスルフィドに対して0.1〜10重量
%、好ましくは1〜5重量%を均一に混合した後に2軸
または1軸の押出機や混練機等を用いてポリフェニレン
スルフィドの融点から400℃の温度範囲で、好ましく
は290℃〜330℃の温度範囲で溶融混練してカルボ
ン酸エステル基で改質された変性ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂を製造する。
【0027】製造されたカルボン酸エステル基で改質さ
れた変性ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)のカルボ
ン酸エステル基の官能基量は、用いたスルホコハク酸ジ
エステル類の結合量として原料のポリフェニレンスルフ
ィドの0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%で
ある。0.1重量%未満では、他の樹脂との反応性が充
分と言えず、10重量%を越えては改質された変性ポリ
フェニレンスルフィド樹脂の耐熱剛性の低下、ゲル化等
が起きるため好ましくない。
【0028】このカルボン酸エステル基で改質された変
性ポリフェニレンスルフィド樹脂は、下記の(X)式で
示される構造単位を0.01〜5モル%、式(II)で示
される構造単位を80〜99.99モル%、および必要
に応じて前記式(III )〜(IX)で選ばれた構造単位を
0〜15モル%のものよりなる300℃、Y=100秒
-1での溶融粘度(インストロン・キャピラリー・社のレ
オメーター“モデル3211”商品名を用いた)が10
0〜100,000ポイズ、好ましくは500〜50,
000ポイズのものである。
【0029】
【化7】
【0030】成分(a)のカルボン酸エステル基で改質
された変性ポリフェニレンスルフィド樹脂は、その一部
(80重量%迄)を未変性のポリフェニレンスルフィド
に置き換えることができる。ポリフェニレンエーテル樹脂(b) (b)成分の変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、分子
中にエチレン性二重結合とカルボキシル基または酸無水
物基を同時に持つ化合物(変性剤)でラジカル開始剤の
存在下または非存在下でポリフェニレンエーテルを変性
して得られる変性ポリフェニレンエーテル樹脂である。 <ポリフェニレンエーテル>原料のポリフェニレンエー
テルは、一般式(XI)
【0031】
【化8】
【0032】(式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級
もしくは第二級アルキル基、アリール基、アミノアルキ
ル基、ハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化
水素オキシ基を表し、Q2 は各々水素原子、ハロゲン原
子、第一級もしくは第二級アルキル基、ハロ炭化水素基
又はハロ炭化水素オキシ基を表す。mは、重合度を表す
整数で、20〜450の整数である)で示される構造を
有する単独重合体又は共重合体である。
【0033】Q1 およびQ2 の第一級アルキル基の好適
な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、
n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、2,3−
ジメチルブチル、2−、3−もしくは4−メチルペンチ
ル又はヘプチルである。第二級アルキル基の例はイソプ
ロピル、sec−ブチル又は1−エチルプロピルであ
る。多くの場合、Q1 はアルキル基又はフェニル基、特
に、炭素数が1〜4のアルキル基であり、Q2 は水素原
子である。
【0034】具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ
プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−
メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、
ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン
エーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4
−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノール
/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6
−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノ
ール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,
6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピ
ルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重
合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル)にスチレンをグラフト重合したグラフト共重合
体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメ
チルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合した
グラフト共重合体等が挙げられる。
【0035】好適なポリフェニレンエーテルの単独重合
体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4
−フェニレンエーテル)である。好適な共重合体として
は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルと
2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル
とのランダム共重合体である。ポリフェニレンエーテル
の分子量は通常クロロホルム中、30℃の固有粘度が
0.2〜0.8dl/g程度のものである。
【0036】ポリフェニレンエーテルは、通常前記のモ
ノマーの酸化カップリングにより製造される。ポリフェ
ニレンエーテルの酸化カップリング重合に関しては、数
多くの触媒系が知られている。触媒の選択に関しては特
に制限はなく、公知の触媒のいずれも用いることができ
る。例えば、銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物
の少なくとも一種を通常は種々の他の物質との組み合わ
せで含むもの等である。
【0037】<変性剤>ポリフェニレンエーテルの変性
剤は、分子中にエチレン性不飽和結合と、カルボキシル
基または酸無水物基を同時に有する有機化合物であり、
具体的には、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン
酸、シトラコン酸、イタコン酸等で例示されるα,β−
不飽和ジカルボン酸;アクリル酸、ブテン酸、クロトン
酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリ
カ酸等で例示される不飽和モノカルボン酸:これらの
α,β−不飽和ジカルボン酸および不飽和モノカルボン
酸の無水物が挙げられる。
【0038】これらの中で好ましいものは、マレイン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸であ
り、特に好ましいものは、無水マレイン酸である。本発
明で用いられる変性ポリフェニレンエーテル樹脂の調製
は、次のような方法によって行うが、特にこれによって
限定されるものではない。例えば、変性ポリフェニレン
エーテル樹脂は、前記ポリフェニレンエーテルと変性剤
とをロールミル、バンバリーミキサー、押出機等を用い
て150℃〜350℃の温度で溶融混練し、反応させる
ことによって調製しても、また、ベンゼン、トルエン、
キシレン、クロロベンゼン等で例示される溶媒中でポリ
フェニレンエーテルと変性剤とを加熱、反応させること
によって調製してもよい。変性反応を実施する上で、反
応系にラジカル開始剤を添加してもよい。
【0039】変性の際に必要に応じて用いられるラジカ
ル開始剤としては公知のものであれば何等限定されるも
のではなく、例えばジクミルパーオキサイド、ジ−te
rt−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(te
rt−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパ
ーオキシ)バレレート、1,1−ビス(tert−ブチ
ルパーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、tert−ブチルパーオキシトリフェニルシランお
よびtert−ブチルパーオキシトリメチルシラン等が
挙げられ、これらの中から好適に一種類以上を選ぶこと
ができる。また、有機過酸化物の他のラジカル開始剤と
して、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、
2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3
−ジメチル−2,3−ジ(p−メチルフェニル)ブタ
ン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(ブロモフェニル)
ブタン等の化合物を用いて変性反応を行ってもよい。こ
のラジカル開始剤の使用量はポリフェニレンエーテル1
00重量部に対して通常0.01〜10重量部、好まし
くは0.05〜5重量部である。
【0040】<カルボキシル基または酸無水物を有する
変性ポリフェニレンエーテル樹脂>成分(b)のカルボ
キシル基または酸無水物基を有する変性ポリフェニレン
エーテル樹脂は、変性剤を溶融状態または有機溶剤中で
ラジカル開始剤の存在下または非存在下で、ポリフェニ
レンエーテルと反応させることにより容易に製造でき
る。
【0041】変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、前記
ポリフェニレンエーテルと変性剤をポリフェニレンエー
テルが溶解可能または一部溶解可能な有機溶媒中、ポリ
フェニレンエーテルと変性剤(ポリフェニレンエーテル
に対して0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量
部)を50℃〜300℃で加熱、反応させることにより
容易に製造できる。反応終了後、反応混合物を室温まで
冷却し、メタノール等のポリフェニレンエーテルに対し
ての貧溶媒を加え、生成した変性ポリフェニレンエーテ
ル樹脂を溶液中より析出沈澱させこれを濾別する。さら
に、未反応の変性剤を除くために濾過物をアセトン、メ
タノール等の溶剤で洗浄したのち、加熱あるいは減圧加
熱乾燥し、所望の変性ポリフェニレンエーテル樹脂を得
る。
【0042】ここで使用される有機溶媒は、原料である
ポリフェニレンエーテルを溶解可能であることが望まし
いが、ポリフェニレンエーテルを一部膨潤させることの
可能な有機溶媒もまた使用可能である。具体的には、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、クロロベ
ンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロ
ゲン化芳香族溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
チルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、スルホ
ラン等の非プロトン性の極性溶媒が挙げられる。
【0043】さらに、本発明の変性ポリフェニレンエー
テルは、次に示す溶融反応によっても製造できる。例え
ば、前記ポリフェニレンエーテルに変性剤をポリフェニ
レンエーテルに対して0.1〜20重量部、好ましくは
1〜10重量部混合した後に2軸または1軸の押出機や
混練機等を用いて230〜350℃の温度範囲で、好ま
しくは240℃〜300℃の温度範囲で溶融混練して、
変性ポリフェニレンエーテル樹脂を製造する。成分
(b)のカルボキシル基を有する変性ポリフェニレンエ
ーテル樹脂は、その一部(80重量%迄)を未変性ポリ
フェニレンエーテルに置き換えることができる。
【0044】熱可塑性エラストマー(c) 成分(c)の熱可塑性エラストマーは、樹脂(a)、
(b)の耐衝撃性を向上するものであり、三点曲げ弾性
率(JIS K7203)が1000kg/cm 2 以下
で、ガラス転移点温度が−10℃以下の重合体である。
例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラ
ストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系
エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレ
タン系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコン
系エラストマー等公知のものが挙げられるが、好ましく
は、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エ
ラストマーが挙げられる。
【0045】ポリオレフィン系エラストマーとしては、
例えば、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、
エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン
−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリ
シジルメタクリレート共重合体、エチレン−マレイン酸
共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げ
られる。
【0046】ジエン系エラストマーとしては、例えば、
ポリブタジエンおよびその水素化物、ポリイソプレンお
よびその水素化物、ブタジエン−スチレンランダム共重
合体およびその水素化物等が挙げられる。ポリスチレン
系エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物と共役ジ
エン化合物のブロック共重合体またはこのブロック共重
合体の水素添加物(以下、水添ブロック共重合体と略記
する)が挙げられ、具体的には少なくとも1個のビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくと
も1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
とからなるブロック共重合体およびこのブロック共重合
体を水素添加し、このブロック共重合体中の共役ジエン
化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも80%を水
素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0047】ブロック共重合体を構成するビニル芳香族
化合物としては、例えば、スチレン、a−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、
1,1−ジフェニルエチレン等の内から1種または2種
以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役
ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン等の内から1種または2種以上が選ばれ、
中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わ
せが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックは、そのブロックにおけるミクロ構造を
任意に選ぶことができ、例えばポリブタジエンブロック
においては、1,2−ビニル結合構造が5〜65%、好
ましくは10〜50%である。ブロック共重合体の分子
構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意
の組み合わせのいずれであってもよい。
【0048】これらブロック共重合体の製造方法として
は、例えば、特公昭40−23798号公報に記載され
る方法のように、リチウム触媒を用いて不活性溶媒中で
ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合
体を合成することができる。また、水添ブロック共重合
体とは、上記のかかるビニル芳香族化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体を水素添加することによって得
られるものであり、この水添ブロック共重合体の製造方
法としては、例えば、特公昭42−8704号公報、特
公昭43−6636号公報に記載された方法で得ること
もできる。特に、得られる水添ブロック共重合体の耐熱
性、耐熱劣化性に優れた性能を発揮するチタン系水添触
媒を用いて合成された水添ブロック共重合体が最も好ま
しく、例えば、特開昭59−133203号公報、特開
昭60−79005号公報に記載された方法により、不
活性溶媒中でチタン系水添触媒の存在下に、上記した構
造を有するブロック共重合体を水素添加して得ることが
できる。その際、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合
物ブロック共重合体の共役ジエン化合物に基づく脂肪族
二重結合は少なくとも80%を水素添加せしめ、共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックを形態的にオレ
フィン性化合物重合体に変換させる必要がある。
【0049】この水添ブロック共重合体中に含まれる非
水添の脂肪族二重結合の量は、フーリエ変換赤外分光光
度計(FT−IR)、核磁気共鳴装置等により容易に知
ることができる。さらに、ポリオレフィン系エラストマ
ー、ジエン系エラストマーあるいはスチレン系エラスト
マー100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸
およびその誘導体あるいはアクリルアミドおよびその誘
導体の内、一種または二種以上0.01〜10重量部
を、ラジカル開始剤の存在下、非存在下で反応させた変
性物等も挙げることができる。α,β−不飽和カルボン
酸およびその誘導体の具体例としては、マレイン酸、無
水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、グ
リシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、メチクリル酸、グリシジルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、クロトン酸、シス−
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、およびそ
の無水物、エンド−シス−ビシクロ〔2.2.1〕−5
−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、およびその無水
物、マレインイミド化合物等が挙げられる。また、アク
リルアミドおよびその誘導体の具体例としては、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−〔4−(2,3−エ
ポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニルメチ
ル〕アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等
が挙げられる。
【0050】また、この変性の際に必要に応じて用いら
れるラジカル開始剤としては公知のものであれば何等限
定されるものではなく、例えば、ジクミルパーオキサイ
ド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−
ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン−3、n−ブチル−4,4−ビス(ter
t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t
ert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、tert−ブチルパーオキシトリフェニ
ルシランおよびtert−ブチルパーオキシトリメチル
シラン等が挙げられ、これらの中から好適に一種類以上
を選ぶことができる。また、有機過酸化物の他のラジカ
ル開始剤として、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニ
ルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタ
ン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(p−メチルフェニ
ル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(ブロモフ
ェニル)ブタン等の化合物を用いて変性反応を行っても
よい。
【0051】このラジカル開始剤の使用量は、ポリオレ
フィン系エラストマー、ジエン系エラストマーあるいは
ポリスチレン系エラストマー100重量部に対して通常
0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部
である。なお、変性ポリオレフィン系エラストマー、変
性ジエン系エラストマーあるいは変性スチレン系エラス
トマーの製造方法は、溶融混練変性、溶液混合変性でも
実施することができる。
【0052】好適なポリオレフィン系エラストマーの具
体的な例としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−無水マレイン酸、そして変性物としては
エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボル
ネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタ
ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体および
エチレン−ブテン−1共重合体の無水マレイン酸グラフ
ト変性物、グリシジルメタクリレートグラフト変性物お
よびN−〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,
5−ジメチルフェニルメチル〕アクリルアミド変性物等
が挙げられる。
【0053】好適なジエン系エラストマーの具体的な例
としては、カルボキシル基またはエポキシ基を含有する
ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素化物およびポリ
イソプレンの水素化物の無水マレイン酸グラフト変性
物、グリシジルメタクリレート変性物およびN−〔4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフ
ェニルメチル〕アクリルアミド変性物等が挙げられる。
【0054】好適なポリスチレン系エラストマーの具体
的な例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体およびその水添ブロック共重合体、スチレン−イソプ
レンブロック共重合体およびその水添ブロック共重合
体、そして変性物としては、スチレン−ブタジエン水添
ブロック共重合体とスチレン−イソプレン水添ブロック
共重合体の無水マレイン酸グラフト変性物、グリシジル
メタクリレートグラフト変性物およびN−〔4−(2,
3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル
メチル〕アクリルアミド変性物等が挙げられる。熱可塑
性エラストマーは、他の熱可塑性エラストマーを1種の
みならず2種以上併用してもよい。
【0055】<付加的成分>本発明による樹脂組成物に
は、必要に応じて、本発明の樹脂組成物の性質を損なわ
ない程度に、他の付加的成分を成分(a)と成分(b)
の和の樹脂成分100重量部に対し、添加することがで
きる。例えば、無機充填剤として、金属酸化物(酸化ケ
イ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウ
ム、アルミナ等)、ケイ酸塩(カオリン、クレー、マイ
カ、ペントナイト、シリカ、タルク、ワラステナイト、
モンモリロナイト等)、水酸化鉄、ハイドロタルサイ
ト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、ガラス
ビーズ、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ
繊維、ジルコニア繊維、窒化ケイ素繊維、窒化ホウ素繊
維、アスベスト繊維、炭化ケイ素繊維、ケイ酸カルシウ
ム繊維、石こう繊維、ポリアミド繊維、フェノール繊
維、炭化ケイ素ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、
カーボン繊維を5〜40重量部、さらに、各種難燃剤を
2〜20重量部、結晶化促進材(造核剤)、メルカプト
シラン、ビニルシラン、アミノシラン、エポキシシラン
等のシランカップリング剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色剤を
0.1〜5重量部添加できる。ポリフェニレンスルフィ
ドの架橋度を制御する目的で架橋促進剤としてチオホス
フィン酸金属塩や架橋防止剤としてジアルキル錫ジカル
ボキシレート、アミノトリアゾール等を0.1〜5重量
部添加することができる。
【0056】また本発明の熱可塑性樹脂組成物には、各
成分の反応を促進するためにパラトルエンスルホン酸、
リン酸等の酸性化合物、炭酸ナトリウム、ナトリウムメ
トキシド、ナトリウムエトキシド、ピリジン等の塩基性
化合物、トリ−n−ブチルアミン、トリエチルアミン、
トリフェニルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリス
(ジメチルアミノ)メチルフェノール、4−(N,N−
ジメチル)ピリジン等の三級アミン、トリエチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウム
クロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライ
ド等の四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウム
ブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等
の四級ホスホニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール、2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−
2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、酢酸
亜鉛、酢酸セシウム等の酢酸金属塩、三酸化アンチモ
ン、テトラオクチルチタネート等のエステル交換促進剤
等の触媒を添加することができる。
【0057】上記の反応を促進する触媒は、成分(a)
および(b)からなる樹脂組成物100重量部に対し
て、0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重
量部を添加することができる。反応を促進する触媒が、
10重量部以上では、成形時にガスが発生し、成形品の
外観を悪化させたり、物性の低下を引き起こすこともあ
る。
【0058】<構成成分の組成比>本発明の熱可塑性樹
脂組成物における成分(a)の変性ポリフェニレンスル
フィド樹脂と成分(b)の変性ポリフェニレンエーテル
樹脂の組成比は、機械的強度と耐有機溶剤性のバランス
から、(a)成分の変性ポリフェニレンスルフィド樹脂
と(b)成分の変性ポリフェニレンエーテル樹脂の組成
比は、二成分系の時は重量比で10対90から90対1
0の範囲、好ましくは、30対70から70対30であ
る。変性ポリフェニレンスルフィド樹脂が10重量%未
満では耐有機溶剤性が劣り好ましくなく、90重量%超
過では耐熱剛性が十分でなく好ましくない。又、成形体
の剛性の面からは変性ポリフェニレンスルフィド樹脂
(a)が50重量%以上であるのが好ましい。成分
(c)の熱可塑性エラストマーは、成分(a)および
(b)を含有する樹脂分 100重量部に対して、耐衝
撃性向上、成形性の面から2〜40重量部、より好まし
くは5〜30重量部である。
【0059】<混合組成物の製法および成形法>本発明
の熱可塑性樹脂組成物を得るための溶融混練の方法とし
ては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練
方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各成分
を、必要であれば、付加的成分の項に記載の添加物等と
共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブ
レンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混
練押出機、ロール、バンバリーミキサー等で混練するこ
とができる。溶融混練の温度は、150〜370℃、好
ましくは250〜350℃である。
【0060】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法
は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂につい
て一般に用いられる成形法、すなわち、射出成形、中空
成形、押出成形、シート成形、熱成形、圧縮成形等の成
形法が適用できる。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、詳しく説明
する。使用した各成分は次のとおりである。 ポリフェニレンスルフィド:トープレン社製ポリフェニ
レンスルフィド(商品名:トープレンT−7)を用い
た。(表中、PPSで示す。) 水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体:シェル化学のクレイトンG1651 (商品名)を用
いた。(表中、SEBSで示す。)
【0062】〔製造例1〕変性PPS−1: ポリフェニレンスルフィド(トープレ
ンT−7)100重量部に、ジ(2−エチルヘキシル)
スルホコハク酸ナトリウムを3重量部加えて均一に混合
した後、二軸押出機で310℃の温度で溶融混練し、ダ
イよりストランド状に押し出し、カッティングしてペレ
ット(溶融粘度1.05×104 )を得た。
【0063】得た変性ポリフェニレンスルフィド樹脂
(変性PPS−1)の0.5gを1−クロロナフタレン
20mlに220℃で溶解し、冷却後メタノールを30
ml加えて沈澱させ、得たポリマーを濾別、乾燥した後
に、310℃の温度でプレス成形してシートを作成し、
FT−IRの測定を行った。その結果、1720cm-1
付近にエステル基の吸収、さらにスルホン酸に帰属され
る吸収が1040cm-1付近に観測された。あらかじ
め、ポリフェニレンスルフィドの1910cm-1のピー
クを内部標準としてピーク比により作成したFT−IR
の検量線と比較することにより、変性剤のポリフェニレ
ンスルフィドへの結合量は、約2重量%(0.5モル
%)であることが認められた。
【0064】〔製造例2〕変性PPE−1: ポリフェニレンエーテル3kgに、無
水マレイン酸を30g、2,3−ジメチル−2,3−ジ
フェニルブタンを3g加えて均一に混合した後、二軸押
出機で260℃の温度で溶融混練し、ストランド状に押
し出し、カッティングしてペレットを得た。この酸無水
物基含有ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPG−
1)は、その赤外線吸収スペクトルの1780cm-1
近にカルボニル基に帰属される吸収を示した。フーリエ
変換赤外分光光度計で作成した検量線から求めた無水マ
レイン酸の結合量は、0.6重量%であった。
【0065】<実施例1>製造例1の変性ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂(PPS−1)70重量部と、製造例
2の変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE−1)3
0重量部とをドライブレンドした後、東洋精機(株)製
ラボプラストミルを用い、温度310℃、ローター回転
数180rpmで5分間混練した。混練終了後、粉砕機
で粉砕して粒状とした。粒状の試料を東洋精機(株)製
圧縮成形機を用いて、温度310℃の条件で、厚さ2m
mのシートを成形した。このシートを熱風乾燥器内で、
120℃、4時間加熱し、ポリフェニレンスルフィドの
結晶化を充分に行った。このシートより物性評価用の試
験片を切削加工した。
【0066】なお、混練、成形に際して、変性ポリフェ
ニレンスルフィド樹脂はあらかじめ100℃、24時間
真空乾燥したものを用いた。また、物性評価用試験片は
2日間、デシケータ内に保存した後評価した。曲げ剛性
は、JIS−K−7106に準じて23℃において曲げ
剛性試験を実施した。耐衝撃強度はJIS−K−711
0に準じて2mm厚試片を3枚重ねにして、アイゾット
衝撃試験機にて測定した。分散形態は、シートの一部を
切り取り、日立製作所(株)製走査形電子顕微鏡S−2
400を用い、倍率1000倍および5000倍で観察
した。観察した形態写真から日本アビオニクス(株)製
SPICCAII型画像解析装置を用いて数平均分散粒径
Dnを次式により求めた。 Dn=Σnidi/Σni 外観は良好なものを○、これより悪いが実用上問題ない
ものを△、疎面で実用上問題があるものを×とした。こ
れらの結果を表1に示した。
【0067】<実施例2〜11、比較例1〜6>表1ま
たは表2に示す配合でドライブレンドして、樹脂組成物
を調製し、実施例1と同様に実施して試験片を得た。こ
れらの結果を表1または表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】カルボン酸エステル基を有する変性ポリ
フェニレンスルフィド樹脂とカルボキシル基または酸無
水物基を導入したポリフェニレンエーテル樹脂の樹脂組
成物は両者の相溶性が良好であるので、外観と衝撃強度
の優れた成形体を与える。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(a):ポリフェニレンスルフィド
    を一般式(I)で表されるスルホコハク酸ジエステル類 【化1】 (式中、R1 は、炭素数が1〜20のアルキル基または
    アラルキル基を表し、R 2 は、アルカリ金属原子または
    水素原子を表す。)で変性して得た変性ポリフェニレン
    スルフィド樹脂 成分(b):分子中にエチレン性二重結合と、カルボキ
    シル基または酸無水物基を同時に持つ化合物でポリフェ
    ニレンエーテルを変性して得た変性ポリフェニレンエー
    テル樹脂 上記成分(a)を10〜90重量%および成分(b)を
    90〜10重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 成分(a):ポリフェニレンスルフィド
    を一般式(I)で表されるスルホコハク酸ジエステル類 【化2】 (式中、R1 は、炭素数が1〜20のアルキル基または
    アラルキル基を表し、R 2 は、アルカリ金属原子または
    水素原子を表す。)で変性して得た変性ポリフェニレン
    スルフィド樹脂 成分(b):分子中にエチレン性二重結合と、カルボキ
    シル基または酸無水物基を同時に持つ化合物でポリフェ
    ニレンエーテルを変性して得た変性ポリフェニレンエー
    テル樹脂 成分(c):熱可塑性エラストマーよりなる耐衝撃改良
    剤 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
    0重量%を含有する樹脂分100重量部に対して、成分
    (c)が3〜40重量部の割合で配合されてなる熱可塑
    性樹脂組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115231929A (zh) * 2022-07-01 2022-10-25 库贝化学(上海)有限公司 一种耐高温不燃纤维复合材料及其制备方法

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