JPH06228429A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH06228429A
JPH06228429A JP2033093A JP2033093A JPH06228429A JP H06228429 A JPH06228429 A JP H06228429A JP 2033093 A JP2033093 A JP 2033093A JP 2033093 A JP2033093 A JP 2033093A JP H06228429 A JPH06228429 A JP H06228429A
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JP
Japan
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polyphenylene sulfide
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polyphenylene ether
component
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Application number
JP2033093A
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English (en)
Inventor
Haruo Omura
治夫 大村
Tomohiko Tanaka
智彦 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP2033093A priority Critical patent/JPH06228429A/ja
Publication of JPH06228429A publication Critical patent/JPH06228429A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリフェニレンスルフィドと変性剤(例えば
チオグリセロール)を溶融反応させて得たヒドロキシア
ルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)と、
ヒドロキシアルキル基と反応する官能基を有するポリフ
ェニレンエーテル樹脂(b)を含有する樹脂組成物。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、相溶性に優れ、機械
的強度の優れた成形品を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度、耐熱剛性
および成形品の外観が優れたエンジニアリングプラスチ
ック工業材料、例えばコネクター、イグニッションマニ
フォールド、歯車、バンパー、コイル封止材等を与える
のに有用な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドは流動性、耐
有機溶剤性、電気特性、難燃性などが優れた高融点の耐
熱樹脂である。しかし、摺動部材、光ディスク用キャリ
ッジ等の成形材料として用いた場合、重合度が低く、押
出安定性、射出成形性が劣る欠点がある。また、ガラス
転移温度が約90℃とそれほど高くないために高温使用
における成形品の剛性の低下が大きい。そのためガラス
繊維、炭素繊維、タルク、シリカなどの無機充填剤との
複合化による剛性改良が実施されている(USP473
7539,USP4009043)が、この場合、成形
品の外観が悪化したり、成形品にソリが生じ易いなどの
問題点がある。
【0003】一方、ポリフェニレンエーテルは優れた耐
熱性、寸法安定性、非吸湿性、電気特性などを有するエ
ンジニアリングプラスチックスであるが、溶融流動性が
悪く、成形加工が困難であり、かつ、耐油性、耐衝撃性
が劣るという欠点がある。そこで両者の長所を損なわず
に欠点を相補った成形材料を提供する目的で種々の組成
物が提案されている。
【0004】例えば、ポリフェニレンエーテルにポリフ
ェニレンスルフィドをブレンドすることにより、ポリフ
ェニレンエーテルの成形加工性を改良する技術が開示さ
れている(特公昭56−34032号)。しかしながら
成形加工性の改善はみられるものの、ポリフェニレンエ
ーテルとポリフェニレンスルフィドとは本来相溶性が悪
く、このような単純なブレンド系では界面における親和
性が乏しく、成形時に相分離が生じ、機械的強度が優れ
た成形体は得られない。
【0005】このため両者の相溶性を向上させうる技術
がいくつか提案されている。例えばポリフェニレンスル
フィドとポリフェニレンエーテルのブレンド物に、エポ
キシ樹脂を配合する方法(特開昭59−164360号
および特開昭59−213758号)、エポキシ基を有
するスチレン系重合体を配合する方法(特開平2−86
652号および特開平1−213361号)等が開示さ
れている。
【0006】また、ポリフェニレンエーテルに官能基を
導入して、変性ポリフェニレンエーテルとし、ポリフェ
ニレンスルフィドとの混和性を改良することが提案され
ている。特開昭64−36645号および特開平2−3
6261号公報では、エチレン性不飽和結合と酸無水物
基を分子内に併せ持つ化合物、具体的には無水マレイン
酸とポリフェニレンエーテルを溶融混練して得られる酸
変性ポリフェニレンエーテルが用いられている。しかし
ながら、この樹脂成形体の機械的強度は、実用上、不十
分である。
【0007】また、特開平1−259060号公報に
は、その他の変性ポリフェニレンエーテル、具体的には
無水マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
グリシジルメタクリレート等とポリフェニレンエーテル
を溶融変性して得られる酸変性ポリフェニレンエーテ
ル、水酸基変性ポリフェニレンエーテルまたはエポキシ
基変性ポリフェニレンエーテルと同様に変性されたポリ
フェニレンスルフィドの組み合わせによって機械的強度
が優れた組成物が得られることが開示されている。しか
し、これらいずれの方法によっても、ポリフェニレンエ
ーテルとポリフェニレンスルフィドの混和性は十分とは
言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリフェニ
レンスルフィドとポリフェニレンエーテルの混和性が極
めて優れ、成形品の外観、機械的強度、耐溶剤性の優れ
た成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、 成分(a):分子中にヒドロキシアルキル基とメルカプ
ト基またはジスルフィド基を同時に有する化合物から選
ばれた変性剤でポリフェニレンスルフィドを変性して得
られるヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂 成分(b):ヒドロキシアルキル基と反応する官能基を
有するポリフェニレンエーテル樹脂 上記成分(a)を10〜90重量%および成分(b)を
90〜10重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂組成物
を提供するものである。
【0010】さらに本発明の第2は、成分(a):分子
中にヒドロキシアルキル基とメルカプト基またはジスル
フィド基を同時に有する化合物から選ばれた変性剤でポ
リフェニレンスルフィドを変性して得られるヒドロキシ
アルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂 成分(b):ヒドロキシアルキル基と反応する官能基を
有するポリフェニレンエーテル樹脂 成分(c):熱可塑性エラストマーよりなる耐衝撃剤 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
0重量%から構成される樹脂100重量部に対して、成
分(c)が3〜40重量部の割合で配合されてなる熱可
塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
【作用】成分(a)のヒドロキシアルキル基と、成分
(b)の官能基が溶融混練時に反応することによりポリ
フェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルの共重
合体が生成するため、相溶性、機械的強度の優れたポリ
マーアロイを与える。以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。
【0012】
【発明の具体的な説明】ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹
脂(a) 成分(a)のヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレン
スルフィド樹脂は、分子中にヒドロキシアルキル基とメ
ルカプト基またはジスルフィド基を同時に有する化合物
から選ばれた変性剤ポリフェニレンスルフィドを反応さ
せてフェニレン核にヒドロキシアルキル基を導入したポ
リフェニレンスルフィド樹脂であって、ポリフェニレン
スルフィドと前記変性剤を溶融状態または有機溶剤中で
反応させることにより製造できる。
【0013】<ポリフェニレンスルフィド>変性剤と反
応させるポリフェニレンスルフィドは、一般式(1)
【0014】
【化1】
【0015】で示される繰り返し単位を主構成要素とし
て含有する結晶性樹脂である。本発明では、上記の繰り
返し単位からなるもの、またはこれを主成分として好ま
しくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上
含むものが、耐熱性等の物性上の点から好ましい。
【0016】ポリフェニレンスルフィドの構成成分の実
質的全量が上記繰り返し単位からなる成分で成り立って
いない場合、残り(20モル%以下)は共重合可能な、
例えば下記のような繰り返し単位からなる成分で充足さ
せることができる。
【0017】
【化2】
【0018】(式中、Yはアルキル基、フェニル基、ア
ルコキシ基である) このポリフェニレンスルフィドは、実質的に線状構造で
あるものが、成形品の物性などの観点から好ましい。こ
の物性を実質的に低下させない範囲において、例えは重
合時に有効量の架橋剤(例えばトリハロベンゼン)を用
いて得た重合架橋物、あるいはポリフェニレンスルフィ
ドを酸素の存在下等で加熱処理して架橋させた熱架橋物
も使用可能である。
【0019】ポリフェニレンスルフィドは、300℃で
の溶融粘度が100〜100,000ポイズ、好ましく
は、500〜50,000ポイズ、さらに好ましくは、
500〜20,000ポイズの範囲のものが好ましい。
溶融粘度が100ポイズ未満では、流動性が高すぎて成
形が困難となる。また、溶融粘度が100,000ポイ
ズ超過でも逆に流動性が低すぎて、成形が困難となる。
【0020】ポリフェニレンスルフィドは、例えば、特
公昭45−3368号で開示されたような比較的分子量
の小さい重合体の製造法、特公昭52−12240号で
開示されたような線状の比較的高分子量の重合体の製造
法又は低分子量重合体を酸素存在下で加熱して架橋体を
得る方法に従って、あるいはこれらに必要な改変を加え
て、製造することができる。
【0021】<変性剤>ポリフェニレンスルフィドにヒ
ドロキシアルキル基を導入する変性剤は、分子中にヒド
ロキシアルキル基と、メルカプト基またはジスルフィド
基を同時に有する化合物であり、次の一般式(ix)及び
一般式(x)で示される化合物が代表的な例示である。
【0022】
【化3】HS−R1 −OH (ix)
【0023】
【化4】HO−R1 −S−S−R1 −OH (x)
【0024】(式中、R1 は、炭素数が1〜10の脂肪
族または脂環式残基を表し、R1 は水酸基、メルカプト
基等の官能基を含んでいてもよい。) かかる変性剤の具体例を挙げると、ジチオエリスリトー
ル、ジチオスレトール、2,2′−ジチオジエタノー
ル、3,3′−ジチオジプロパノール、1,1′−ジチ
オジグリセロール、1−チオグリセロール、3−メルカ
プト−2−ブタノール、2−メルカプトエタノール、1
−メルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプ
ト−1−プロパノール等が挙げられる。好ましくは、ジ
チオエリスリトール、2,2′−ジチオジエタノール、
1−チオグリセロールが挙げられる。
【0025】<ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレ
ンスルフィド>ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレ
ンスルフィドは、変性剤を溶融状態または有機溶剤中で
ポリフェニレンスルフィドと反応させることにより容易
に製造できる。ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂は、前記ポリフェニレンスルフィドと
変性剤をポリフェニレンスルフィドが溶解可能または一
部溶解可能な有機溶媒中、ポリフェニレンスルフィドと
変性剤(ポリフェニレンスルフィドに対して0.1〜1
00重量部、好ましくは1〜20重量部)を170℃〜
300℃で加熱、反応させることにより容易に製造でき
る。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、生成し
た変性ポリフェニレンスルフィド樹脂を溶液中より析出
沈澱させこれを濾別する。さらに、未反応の変性剤を除
くために濾過物をアセトン、メタノール、トルエン等の
溶剤で洗浄したのち、加熱あるいは減圧加熱乾燥し、所
望のヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂を得る。
【0026】ここで使用される有機溶媒は原料であるポ
リフェニレンスルフィドを溶解可能であることが望まし
いがポリフェニレンスルフィドを一部膨潤させることの
可能な有機溶媒もまた使用可能である。具体的には、ジ
フェニル、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、クロロ
ベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハ
ロゲン化芳香族溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、スル
ホラン等の非プロトン性の極性溶媒が挙げられる。
【0027】さらに、本発明のヒドロキシアルキル基含
有ポリフェニレンスルフィド樹脂は、次に示す溶融反応
によっても製造できる。例えば前記ポリフェニレンスル
フィドに変性剤をポリフェニレンスルフィドに対して
0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部
混合した後に2軸または1軸の押出機や混練機等を用い
て280〜350℃の温度範囲で、好ましくは290℃
〜320℃の温度範囲で溶融混練してヒドロキシアルキ
ル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂は製造される。
【0028】製造されたヒドロキシアルキル基含有ポリ
フェニレンスルフィド樹脂のヒドロキシアルキル基の官
能基量は、官能化に用いた変性剤の結合量として原料の
ポリフェニレンスルフィドの0.1〜20重量%、好ま
しくは0.1〜10重量%である。0.1重量%未満で
は、他の樹脂との反応性等が充分と言えず、20重量%
を越えては樹脂の物性の低下、ゲル化等が起きるため好
ましくない。
【0029】反応性官能基を有するポリフェニレンエー
テル樹脂(b) (b)成分の変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、
(a)成分の変性ポリフェニレンスルフィド樹脂のヒド
ロキシアルキル基と反応する官能基を有することが必要
である。これらの典型的な官能基として、エポキシ基、
カルボキシル基(酸無水物基も含む)、アルコキシシリ
ル基、エステル基、イソシアナト基、スルホン酸基、オ
キサゾリニル基、アズラクトン基等が挙げられる。ポリ
フェニレンエーテルへのこれらの官能基導入は、後述す
る種々の方法で行える。
【0030】<ポリフェニレンエーテル>原料のポリフ
ェニレンエーテルは、一般式(XI)
【0031】
【化5】
【0032】(式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級
もしくは第二級アルキル基、アリール基、アミノアルキ
ル基、ハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化
水素オキシ基を表し、Q2 は各々水素原子、ハロゲン原
子、第一級もしくは第二級アルキル基、ハロ炭化水素基
又はハロ炭化水素オキシ基を表す。)で示される構造単
位を有する単独重合体又は共重合体である。
【0033】Q1 およびQ2 の第一級アルキル基の好適
な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、
n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、2,3−
ジメチルブチル、2−、3−もしくは4−メチルペンチ
ル又はヘプチルである。第二級アルキル基の例はイソプ
ロピル、sec−ブチル又は1−エチルプロピルであ
る。多くの場合、Q1 はアルキル基又はフェニル基、特
に、炭素数が1〜4のアルキル基であり、Q2 は水素原
子である。
【0034】具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ
プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,
4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノー
ル/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,
6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェ
ノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,
3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプ
ロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール
共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共
重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−ト
リメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合
したグラフト共重合体等が挙げられる。
【0035】好適なポリフェニレンエーテルの単独重合
体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4
−フェニレンエーテル)である。好適な共重合体として
は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルと
2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル
とのランダム共重合体である。ポリフェニレンエーテル
の分子量は、通常クロロホルム中、30℃の固有粘度が
0.2〜0.8dl/g程度のものである。
【0036】ポリフェニレンエーテルは、通常前記のモ
ノマーの酸化カップリングにより製造される。ポリフェ
ニレンエーテルの酸化カップリング重合に関しては、数
多くの触媒系が知られている。触媒の選択に関しては特
に制限はなく、公知の触媒のいずれも用いることができ
る。例えば、銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物
の少なくとも一種を通常は種々の他の物質との組み合わ
せで含むもの等である。
【0037】<反応性官能基を有するポリフェニレンエ
ーテル樹脂>成分(b)の反応性官能基を有するポリフ
ェニレンエーテル樹脂とは、ヒドロキシアルキル基と反
応して共有結合を形成する官能基を含むポリフェニレン
エーテルである。この官能基の典型的な例は、カルボキ
シル基、エステル基、エポキシ基、アルコキシシリル
基、イソシアナト基、スルホン酸基、オキサゾリニル
基、アズラクトン基等である。
【0038】これらの反応性官能基を有する変性ポリフ
ェニレンエーテル樹脂の製造法の例を挙げると、主に以
下に示す製造法がある。 ポリフェニレンエーテルに、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、無水マレ
イン酸、N−〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)−
3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミド、ビニルト
リメトキシシラン等のエチレン性の二重結合と反応性官
能基を同時に有する変性剤をグラフト反応させて製造す
る。
【0039】 ポリフェニレンエーテルの末端基のフ
ェノール性水酸基をクロル酢酸、3−(グリシジルオキ
シ)プロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピル
トリメトキシシラン、無水4−ニトロフタル酸、4−ク
ロロメチル安息香酸、無水トリメリト酸クロライド、エ
ピクロロヒドリン等で変性して、反応性官能基を導入す
る。
【0040】 官能基が置換したフェノール誘導体を
共重合させて反応性官能基を有するポリフェニレンエー
テルを製造する。成分(b)の反応性官能基を有するポ
リフェニレンエーテル樹脂は、その一部(80重量%
迄)を未変性ポリフェニレンエーテルに置き換えること
ができる。
【0041】熱可塑性エラストマーC 成分(c)の熱可塑性エラストマーは、衝撃性を向上さ
せるものであり、室温における弾性率が108 (dyn
/cm2 )以下の重合体であり、例えば、ポリオレフィ
ン系エラストマー、ジエン系エラストマー、ポリスチレ
ン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエ
ステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、
フッ素系エラストマー、シリコン系エラストマー等公知
のものが挙げられるが、好ましくは、ポリオレフィン系
エラストマー、ポリスチレン系エラストマーが挙げられ
る。
【0042】ポリオレフィン系エラストマーとしては、
例えば、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、
エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン
−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリ
シジルメタクリレート共重合体、エチレン−マレイン酸
共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げ
られる。
【0043】ジエン系エラストマーとしては、例えば、
ポリブタジエンおよびその水素化物、ポリイソプレンお
よびその水素化物、ブタジエン−スチレンランダム共重
合体およびその水素化物等が挙げられる。ポリスチレン
系エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物と共役ジ
エン化合物のブロック共重合体またはこのブロック共重
合体の水素添加物(以下、水添ブロック共重合体と略記
する)が挙げられ、具体的には少なくとも1個のビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくと
も1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
とからなるブロック共重合体およびこのブロック共重合
体を水素添加し、このブロック共重合体中の共役ジエン
化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも80%を水
素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0044】ブロック共重合体を構成するビニル芳香族
化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、
1,1−ジフェニルエチレン等の内から1種または2種
以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役
ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン等の内から1種または2種以上が選ばれ、
中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わ
せが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックは、そのブロックにおけるミクロ構造を
任意に選ぶことができ、例えばポリブタジエンブロック
においては、1,2−ビニル結合構造が5〜65%、好
ましくは10〜50%である。ブロック共重合体の分子
構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意
の組み合わせのいずれであってもよい。
【0045】これらのブロック共重合体の製造方法とし
ては、例えば、特公昭40−23798号公報に記載さ
れた方法によりリチウム触媒を用いて不活性溶媒中でビ
ニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体
を合成することができる。また、水添ブロック共重合体
とは、上記のかかるビニル芳香族化合物−共役ジエン化
合物ブロック共重合体を水素添加することによって得ら
れるものであり、この水添ブロック共重合体の製造方法
としては、例えば、特公昭42−8704号公報、特公
昭43−6636号公報に記載された方法で得ることも
できる。特に、得られる水添ブロック共重合体の耐熱
性、耐熱劣化性に優れた性能を発揮するチタン系水添触
媒を用いて合成された水添ブロック共重合体が最も好ま
しく、例えば、特開昭59−133203号公報、特開
昭60−79005号公報に記載された方法により、不
活性溶媒中でチタン系水添触媒の存在下に、上記した構
造を有するブロック共重合体を水素添加して得ることが
できる。その際、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合
物ブロック共重合体の共役ジエン化合物に基づく脂肪族
二重結合は少なくとも80%を水素添加せしめ、共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックを形態的にオレ
フィン性化合物重合体に変換させる必要がある。
【0046】この水添ブロック共重合体中に含まれる非
水添の脂肪族二重結合の量は、フーリエ変換赤外分光光
度計、核磁気共鳴装置等により容易に知ることができ
る。さらに、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系
エラストマーあるいはスチレン系エラストマー100重
量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘
導体あるいはアクリルアミドおよびその誘導体の内、一
種または二種以上0.01〜10重量部を、ラジカル開
始剤の存在下、非存在下で反応させた変性物等も挙げる
ことができる。α,β−不飽和カルボン酸およびその誘
導体の具体例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、グリシジルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリ
ル酸、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、クロトン酸、シス−4−シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボン酸、およびその無水物、エン
ド−シス−ビシクロ〔2.2.1〕−5−ヘプテン−
2,3−ジカルボン酸、およびその無水物、マレインイ
ミド化合物等が挙げられる。また、アクリルアミドおよ
びその誘導体の具体例としては、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、N−〔4−(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,5−ジメチルフェニルメチル〕アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0047】また、この変性の際に必要に応じて用いら
れるラジカル開始剤としては公知のものであれば何等限
定されるものではなく、例えばジクミルパーオキサイ
ド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−
ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、n−ブチル−4,4−ビス(ter
t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t
ert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、tert−ブチルパーオキシトリフェニ
ルシランおよびtert−ブチルパーオキシトリメチル
シラン等が挙げられ、これらの中から好適に一種類以上
を選ぶことができる。また、有機過酸化物の他のラジカ
ル開始剤として、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニ
ルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタ
ン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(p−メチルフェニ
ル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(ブロモフ
ェニル)ブタン等の化合物を用いて変性反応を行っても
かまわない。
【0048】このラジカル開始剤の使用量は、ポリオレ
フィン系エラストマー、ジエン系エラストマーあるいは
ポリスチレン系エラストマー100重量部に対して、通
常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量
部である。なお、変性ポリオレフィン系エラストマー、
変性ジエン系エラストマーあるいは変性スチレン系エラ
ストマーの製造方法は、溶融混練変性、溶液混合変性で
も実施することができる。
【0049】好適なポリオレフィン系エラストマーの具
体的な例としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−無水マレイン酸、そして変性物としては
エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボル
ネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタ
ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体および
エチレン−ブテン−1共重合体の無水マレイン酸グラフ
ト変性物、グリシジルメタクリレートグラフト変性物お
よびN−〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,
5−ジメチルフェニルメチル〕アクリルアミド変性物等
が挙げられる。
【0050】好適なジエン系エラストマーの具体的な例
としては、カルボキシル基またはエポキシ基を含有する
ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素化物およびポリ
イソプレンの水素化物の無水マレイン酸グラフト変性
物、グリシジルメタクリレート変性物およびN−〔4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフ
ェニルメチル〕アクリルアミド変性物等が挙げられる。
【0051】好適なポリスチレン系エラストマーの具体
的な例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体およびその水添ブロック共重合体、スチレン−イソプ
レンブロック共重合体およびその水添ブロック共重合
体、そして変性物としては、スチレン−ブタジエン水添
ブロック共重合体とスチレン−イソプレン水添ブロック
共重合体の無水マレイン酸グラフト変性物、グリシジル
メタクリレートグラフト変性物およびN−〔4−(2,
3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル
メチル〕アクリルアミド変性物等が挙げられる。熱可塑
性エラストマーは、他の熱可塑性エラストマーを1種の
みならず2種以上併用しても構わない。
【0052】<付加的成分>本発明による樹脂組成物に
は、必要に応じて、本発明の樹脂組成物の性質を損なわ
ない程度に、他の付加的成分を樹脂成分100重量部に
対し、添加することができる。例えば、無機充填剤とし
て、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、
酸化鉄、酸化マグネシウム、アルミナ等)、ケイ酸塩
(カオリン、クレー、マイカ、ベントナイト、シリカ、
タルク、ワラステナイト、モンモリロナイト等)、水酸
化鉄、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、窒化ホウ
素、炭化ケイ素、ガラスビーズ、ガラス繊維、アルミナ
繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ケ
イ素繊維、窒化ホウ素繊維、アスベスト繊維、炭化ケイ
素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、石こう繊維、ポリアミ
ド繊維、フェノール繊維、炭化ケイ素ウィスカ、チタン
酸カリウムウィスカ、カーボン繊維を40重量部未満、
さらに、各種難燃剤を20重量部以下、結晶化促進材
(造核剤)、メルカプトシラン、ビニルシラン、アミノ
シラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、酸
化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミ
ン系光安定剤、着色剤を5重量部未満を添加できる。ポ
リフェニレンスルフィドの架橋度を目的で架橋促進剤と
してチオホスフィン酸金属塩や架橋防止剤のジアルキル
錫ジカルボキシレート、アミノトリアゾール等を5重量
部添加することができる。
【0053】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
各成分の反応を促進するためにパラトルエンスルホン
酸、リン酸等の酸性化合物、炭酸ナトリウム、ピリジン
等の塩基性化合物、トリ−n−ブチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリフェニルアミン、ベンジルジメチルアミ
ン、トリス(ジメチルアミノ)メチルフェノール、4−
(N,N−ジメチル)ピリジン等の三級アミン、トリエ
チルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルア
ンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウ
ムクロライド等の四級アンモニウム塩、テトラブチルホ
スホニウムブロマイド等の四級ホスホニウム塩、2−エ
チル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイ
ミダゾール化合物等の触媒を添加することができる。
【0054】上記の反応を促進する触媒は、成分(a)
および(b)からなる樹脂組成物100重量部に対し
て、10重量部未満、より好ましくは5重量部未満を添
加することができる。反応を促進する触媒が、10重量
部以上では、成形時にガスが発生し、成形品の外観を悪
化させたり、物性の低下を引き起こすこともある。
【0055】<構成成分の組成比>本発明の熱可塑性樹
脂組成物における成分(a)のヒドロキシアルキル基含
有ポリフェニレンスルフィド樹脂と成分(b)の反応性
官能基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の組成比は、機
械的強度と耐有機溶剤性のバランスから、ヒドロキシア
ルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂と反応性官
能基含有ポリフェニレンエーテル樹脂の組成比は重量比
で10対90から90対10の範囲、好ましくは20対
80から80対20、より好ましくは、30対70から
70対30である。ポリフェニレンスルフィドが10重
量%未満では耐有機溶剤性が劣り好ましくなく、90重
量%超過では耐熱剛性が十分でなく好ましくない。成分
(c)の熱可塑性エラストマーは、成分(a)および
(b)からなる樹脂組成物100重量部に対して、耐衝
撃性向上、成形性の面から2〜40重量部、より好まし
くは5〜30重量部である。
【0056】<混合組成物の製法および成形法>本発明
の熱可塑性樹脂組成物を得るための溶融混練の方法とし
ては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練
方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各成分
を、必要であれば、付加的成分の項に記載の添加物等と
共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブ
レンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混
練押出機、ロール、バンバリーミキサー等で混練する事
ができる。溶融混練の温度は、150〜370℃、好ま
しくは250〜350℃である。本発明の熱可塑性樹脂
組成物の成形加工法は、特に限定されるものではなく、
熱可塑性樹脂について一般に用いられる成形法、すなわ
ち、射出成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成
形、圧縮成形等の成形法が適用できる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、詳しく説明
する。使用した各成分は次のとおりである。 ポリフェニレンスルフィド:トープレン社製ポリフェニ
レンスルフィド(商品名:トープレンT−7)を用い
た。(表中、PPSで示す。) ポリフェニレンエーテル:日本ポリエーテル(株)社製
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)(30℃におけるクロロホルム中で測定した固有粘
度0.3dl/g)を用いた。(表中、PPEで示
す。) 水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体:シェル化学のクレイトンG1651 (商品名)を用
いた。(表中、SEBSで示す。)
【0058】〔製造例1〕ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹
脂(PPS−1) ポリフェニレンスルフィド(トープレンT−7)100
重量部に、チオグリセロール3重量部を加えて均一に混
合した後、二軸押出機で310℃の温度で溶融混練し
(ダイより)、ストランド状に押し出し、カッティング
してペレットを得た。メルトフロー値の増加はほとんど
認められなかった。
【0059】得た変性ポリフェニレンスルフィド樹脂の
0.5gを1−クロロナフタレン20mlに220℃で
溶解し、冷却後メタノール30mlを加えて沈澱させ、
得たポリマーを濾別、乾燥した後に、プレスシートを作
成し、赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結
果、344cm-1付近にヒドロキシアルキル基に帰属さ
れる吸収が観測された。予め、1910cm-1のピーク
を内部標準としてピーク比により作成した赤外線吸収ス
ペクトルの検量線と比較することにより、チオグリセロ
ールのポリフェニレンスルフィドへの結合量は、約2重
量%であることが認められた。
【0060】〔製造例2〕ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹
脂(PPS−2) ポリフェニレンスルフィド(トープレンT−7)100
重量部に2−ヒドロキシエチルメタクリレート3重量部
を加えて均一に混合した後、二軸押出機で310℃の温
度で溶融混練し、ダイよりストランド状に押出し、カッ
ティングしてペレットを得た。
【0061】〔製造例3〕エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE−
1) ポリフェニレンエーテル350gに、エピクロルヒドリ
ン5リットルを加え、窒素雰囲気下、100℃で撹拌し
て溶解させた。この溶液中にナトリウムエトキシド70
g及びメタノール300ミリリットルを20分間で加え
た。更に、100℃で4時間撹拌を続けた。反応混合物
を室温まで冷却後、メタノール10リットルを加え、末
端エポキシ化ポリフェニレンエーテルを沈澱させた。こ
の生成物を濾過後、メタノール10リットルで洗浄、更
に純水10リットルで2回洗浄し、再びメタノール10
リットルで洗浄した。得られたエポキシ化ポリフェニレ
ンエーテルを80℃で減圧加熱乾燥させたところ351
gであった。
【0062】末端基を定量したところ、原料ポリフェニ
レンエーテルの末端フェノール性水酸基の99%が反応
していることが判明した。なお、ポリフェニレンエーテ
ルの末端フェノール性水酸基の反応率は、ジャーナル・
オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス:アプライド
・ポリマー・シンポジウム(Journal of A
pplied Polymer Science:Ap
plied Polymer Symposium)、
34巻、(1987年)、103〜117頁に記載の方
法に準じて、反応前後の末端フェノール性水酸基を定量
して計算した。
【0063】〔製造例4〕 エポキシ基含有ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE−
2) 固有粘度0.3dl/gのポリフェニレンエーテル10
0重量部に、N−〔4−(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミド(カ
ネカ A×E 鐘淵化学工業製)3重量部を加えて均一
に混合した後、二軸押出機で260℃の温度で溶融混練
し、ダイよりストランド状に押出し、カッティングして
ペレットを得た。このエポキシ基含有ポリフェニレンエ
ーテル樹脂はその赤外線吸収スペクトルの1685cm
-1付近にカルボニル基に帰属される吸収を示した。
【0064】〔製造例5〕 アルコキシシリル基含有ポリフェニレンエーテル樹脂
(PPE−3) ポリフェニレンエーテル400g及びトルエン4リット
ルを反応器内に仕込み、80℃で加熱撹拌してポリフェ
ニレンエーテルを溶解させた。続いて、塩基性触媒とし
てナトリウムエトキシド6gを添加した後、90℃に反
応混合物の温度を上げ、同温度で30分撹拌を続けた。
続いて変性剤である3−グリシジルオキシプロピルトリ
メトキシシラン100gを15分かけて添加した。更
に、同温度で7時間加熱撹拌後、反応溶液を冷却しメタ
ノール15リットルに注ぎ、生成した変性樹脂を沈澱さ
せた。
【0065】これを濾別した後、水10リットルで洗浄
し、更にメタノール10リットルで洗浄した。80℃で
減圧加熱乾燥してアルコキシシリル基含有ポリフェニレ
ンエーテル樹脂を得た。収率は100%、ポリフェニレ
ンエーテル末端の水酸基の反応率は、98%であった。
得られたアルコキシシリル基含有ポリフェニレンエーテ
ル樹脂は、クロロホルム溶液から調製されたキャストフ
ィルムの赤外吸収スペクトルにおいて、1090cm-1
にアルコキシシリル基に帰属される吸収が認められた。
【0066】〔製造例6〕末端カルボン酸無水物基化ポリフェニレンエーテル樹脂
(PPE−4) 固有粘度0.3dl/gのポリフェニレンエーテル50
0gに、トルエン2リットルを加え、窒素雰囲気下、8
0℃で撹拌して完全溶解させた。この溶液に触媒のトリ
エチルアミン41gを加えた後、無水トリメリト酸クロ
ライド42gを30分かけて添加した。更に、80℃で
6時間撹拌を続けた。反応混合物をアセトニトリル10
リットル中に注ぎ、生成物の末端カルボン酸無水物化ポ
リフェニレンエーテル樹脂を沈澱させた。生成物を濾別
して、アセトニトリルで2回洗浄後、80℃で減圧加熱
乾燥した。
【0067】この末端カルボン酸無水物基化ポリフェニ
レンエーテル樹脂はその赤外線吸収スペクトルの178
0cm-1付近に酸無水物基に由来する吸収を示した。ま
た、末端基のフェノール性水酸基の定量を実施したとこ
ろ、85%が反応していることが判明した。なお、ポリ
フェニレンエーテルの末端フェノール性水酸基の反応率
は、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエ
ンス・アプライド・ポリマー・シンポジウム(Jour
nal of Applied Polymer Sc
ience:Applied Polymer Sym
posium)、34巻、(1987年)、103〜1
17頁に記載の方法に準じて、反応前後の末端フェノー
ル性水酸基を定量して計算した。
【0068】〔製造例7〕無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PP
E−5) 固有粘度0.3dl/gのポリフェニレンエーテル10
0重量部に、無水マレイン酸3重量部を加えて均一に混
合した後、二軸押出機で260℃の温度で溶融混練し、
ストランドに押出し、カッティングしてペレットを得
た。この酸無水物基含有ポリフェニレンエーテル樹脂
は、その赤外線吸収スペクトルの1780cm-1付近に
カルボニル基に帰属される吸収を示した。フーリエ変換
赤外分光光度計で作成した検量線から求めた無水マレイ
ン酸の結合量は、0.8重量部であった。
【0069】<実施例1>製造例1のヒドロキシアルキ
ル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)
70重量部と、製造例3の官能化ポリフェニレンエーテ
ル樹脂(PPE−1)30重量部をドライブレンドした
後、東洋精機(株)製ラボプラストミルを用い、温度3
10℃、ローター回転数180rpmで5分間混練し
た。混練終了後、粉砕機で粉砕して粒状とした。粒状の
試料を東洋精機(株)製圧縮成形機を用いて、温度31
0℃の条件で、厚さ2mmのシートを成形した。このシ
ートを熱風乾燥器内で、120℃、4時間加熱し、ポリ
フェニレンスルフィドの結晶化を充分に行った。このシ
ートより物性評価用の試験片を切削加工した。
【0070】なお、混練、成形に際して、ヒドロキシア
ルキル基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂はあらかじ
め100℃、24時間真空乾燥したものを用いた。ま
た、物性評価用試験片は2日間、デシケータ内に保存し
た後評価した。剛性は、JIS−K−7106に準じて
23℃において曲げこわさ試験を実施した。耐衝撃強度
はJIS−K−7110に準じて2mm厚試片を3枚重
ねにして、アイゾット衝撃試験機にて測定した。分散形
態は、シートの一部を切り取り、日立製作所(株)製走
査形電子顕微鏡S−2400を用い、倍率1000倍お
よび5000倍で観察した。観察した形態写真から日本
アビオニクス(株)製SPICCAII型画像解析装置を
用いて数平均分散粒径Dnを次式により求めた。
【0071】Dn=Σnidi/Σni
【0072】外観は良好なものを○、これより悪いが実
用上問題ないものを△、疎面で実用上問題があるものを
×とした。これらの結果を表1に示した。
【0073】<実施例2〜11>表1に示す配合でドラ
イブレンドし、実施例1と同様に実施して試験片を得
た。これらの結果を表1または表2に示す。
【0074】<比較例1〜6>表1に示す配合でドライ
ブレンドし、実施例1と同様に実施して試験片を得た。
これらの結果を表1または表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】ヒドロキシアルキル基含有ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂とヒドロキシアルキル基と反応する官
能基を有するポリフェニレンエーテル樹脂の樹脂組成物
は両者の相溶性が良好であるので、外観と衝撃強度の優
れた成形体を与える。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(a):分子中にヒドロキシアルキ
    ル基とメルカプト基またはジスルフィド基を同時に有す
    る化合物から選ばれた変性剤でポリフェニレンスルフィ
    ドを変性して得られるヒドロキシアルキル基含有ポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂 成分(b):ヒドロキシアルキル基と反応する官能基を
    有するポリフェニレンエーテル樹脂 上記成分(a)を10〜90重量%および成分(b)を
    90〜10重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 成分(a):分子中にヒドロキシアルキ
    ル基とメルカプト基またはジスルフィド基を同時に有す
    る化合物から選ばれた変性剤でポリフェニレンスルフィ
    ドを変性して得られるヒドロキシアルキル基含有ポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂 成分(b):ヒドロキシアルキル基と反応する官能基を
    有するポリフェニレンエーテル樹脂 成分(c):熱可塑性エラストマーよりなる耐衝撃改良
    剤 上記成分(a)10〜90重量%と成分(b)90〜1
    0重量%から構成される樹脂100重量部に対して、成
    分(c)が3〜40重量部の割合で配合されてなる熱可
    塑性樹脂組成物。
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