JP4173377B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野で利用できる耐油性、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、剛性に優れた樹脂組成物に関し、さらには、成形加工材料としての成形流動性に優れ、温度による寸法変化および光軸のずれが少なく、かつUV硬化性接着剤の接着性に優れる樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非強化のポリフェニレンスルフィドは、その結晶性に起因して流動特性が良好で、耐熱性、耐水性に優れるため電子分野で利用されているが成形材料として、靱性(衝撃強度)に劣る欠点を有するため各種成形品(特に大型成形品)に利用することが困難である。
このためポリフェニレンスルフィドのこれらの欠点を解消するため各種樹脂、各種熱可塑性エラストマー等とブレンドまたはアロイ化する試みが数多く提案されている。
【0003】
例えば、ポリフェニレンオキサイド類とポリフェニレンスルフィド類から成る成形性、難燃性に優れた樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
また、ポリフェニレンスルフィドや他のエンジニアリング樹脂とα,β−不飽和カルボン酸の誘導体で変性した水添ブロック共重合体からなる、耐衝撃性、耐界面剥離性に優れた変性ブロック共重合体組成物が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
さらにポリフェニレンスルフィドや他のエンジニアリング樹脂とα,β−不飽和カルボン酸の誘導体で変性した水添ブロック共重合体およびエポキシ基含有重合体から成る耐衝撃性に優れた熱可塑性グラフト共重合体組成物が提案されている。(例えば、特許文献3参照)
【0004】
そしてポリアリレーンサルファイドとα−オレフィン/α,β−不飽和酸のグリシジルエステル共重合体からなる耐衝撃性、成形加工性に優れたポリアリレーンサルファイド樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献4参照)
また、ポリフェニレンスルフィドと不飽和カルボン酸またはその無水物またはその誘導体をグラフト共重合したポリオレフィンおよびエポキシ樹脂からなる耐衝撃性に優れた組成物が提案されている。(例えば、特許文献5参照)
さらに特定のポリフェニレンスルフィドとα−オレフィン/α,β−不飽和酸のグリシジルエステル共重合体からなる耐衝撃性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)
【0005】
そしてさらに特定のポリフェニレンスルフィドと不飽和カルボン酸またはその無水物またはその誘導体をグラフト共重合したポリオレフィンからなる耐衝撃性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献9〜11参照)
同様に、酸変性ポリフェニレンエーテルと変性ポリフェニレンスルフィドの混和性改良にスチレンとオキサゾニル基を有するエチレン性不飽和モノマーとの共重合体を用いる方法が提案されている。(例えば、特許文献12〜13参照)
また、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルの混和性改良にスチレンとオキサゾニル基を有するエチレン性不飽和モノマーとの共重合体を用いる方法が提案されている。(例えば、特許文献14参照)
【0006】
さらに、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテル樹脂組成物に、無機フィラーを用いて機械的強度、寸法安定性を向上させた樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献15〜28参照)
本出願人も特定の無機フィラーを使用し、機械的強度、寸法安定性を向上させた樹脂組成物を提案している。(例えば、特許文献29〜30参照)
しかし、これらに提案されているポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルおよび無機フィラーからなる樹脂組成物は機械的物性および寸法安定性の改良はなされているものの、これら樹脂組成物では近年のCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW等の光学系機器部品における小型精密化に伴うより高いレベルの温度変化に対する寸法安定性および光軸特性の改良要求やUV硬化性接着剤による接着性の要求を満足するものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特公昭56−34032号公報
【特許文献2】
特開昭58−27740号公報
【特許文献3】
特開昭58−40350号公報
【特許文献4】
特開昭58−154757号公報
【特許文献5】
特開昭59−207921号公報
【特許文献6】
特開昭62−153343号公報
【特許文献7】
特開昭62−153344号公報
【特許文献8】
特開昭62−153345号公報
【特許文献9】
特開昭62−169854号公報
【特許文献10】
特開昭62−172056号公報
【特許文献11】
特開昭62−172057号公報
【特許文献12】
特開平01−266160号公報
【特許文献13】
特開平02−75656号公報
【特許文献14】
特開平03−20356号公報
【特許文献15】
特開平05−339500号公報
【特許文献16】
特開平9−157525号公報
【特許文献17】
特開平9−296109号公報
【特許文献18】
特開平9−296110号公報
【特許文献19】
特開平11−106652号公報
【特許文献20】
特開平11−106653号公報
【特許文献21】
特開平11−106654号公報
【特許文献22】
特開平11−106655号公報
【特許文献23】
特開平11−158374号公報
【特許文献24】
特開平11−199774号公報
【特許文献25】
特開2000−198924号公報
【特許文献26】
特開2002−069298号公報
【特許文献27】
特開2002−121383号公報
【特許文献28】
特開2002−179915号公報
【特許文献29】
特開2002−012764号公報
【特許文献30】
特開2002−249661号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルおよび無機フィラーからなる樹脂組成物の優れた機械的物性を損なうことなく、成形流動性に優れ、温度による寸法変化および光軸のずれが少なく、かつUV硬化性接着剤による接着性に優れた樹脂組成物および光ディスクドライブ用樹脂製構造部品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような現状に鑑み、ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂および無機フィラーからなる樹脂組成物において、鋭意検討の結果、無機フィラー添加量の多い組成領域において従来問題であった成形流動性、UV硬化性接着剤による接着性、機械的物性を改良し、同時に温度による寸法変化および光軸のずれをも少なくできることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、
1.(a)塩化メチレンによる抽出量が0.7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)が15μmol/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂30〜70重量%、
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対してポリスチレン樹脂を45〜150重量部含んでなるポリフェニレンエーテル系樹脂70〜30重量%であって、
(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、
(c)エポキシ基およびまたはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーを0.3〜20重量%の割合でスチレンを主たる成分とするモノマーと共重合してなる共重合体1〜20重量部、
さらに、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、
(d)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体および/または該ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体0〜40重量部、
さらにまた、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、
(e)板状および繊維状である無機フィラーであり、かつ板状/繊維状フィラーの重量比が1以上である無機フィラー100〜400重量部を含む樹脂組成物、を提供するものである。
【0011】
さらには、この樹脂組成物において、
2.(a)〜(d)成分の全量を溶融混練し、次いで(e)成分を供給し、さらに溶融混練を続けて行う樹脂組成物の製造方法。
3.(a)〜(d)成分の全量および(e)成分の板状無機フィラーの20〜100重量%を溶融混練し、次いで(e)成分の繊維状無機フィラーおよび板状無機フィラーの残量を供給し、さらに溶融混練を続けて行う樹脂組成物の製造方法。
4.(a)〜(d)成分の全量を溶融混練し、次いで(e)成分の板状無機フィラーを供給し、さらに(e)成分の繊維状無機フィラーを供給し、溶融混練を続けて行う樹脂組成物の製造方法。
を用いて製造された樹脂組成物にて構成された光ディスクドライブ用樹脂製構造部品に関するものである。
【0012】
本発明の(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPSと略記する)は、基本的にはパラフェニレンスルフィド骨格を70モル%以上、好ましくは90モル%以上からなるポリフェニレンスルフィドである。
これら上記したPPSの製造方法は、通常、ハロゲン置換芳香族化合物、例えばp−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムまたは硫化水素と水酸化ナトリウムあるいはナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させる方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合等が挙げられるが、中でもN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当である。なお、これらの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第2513188号明細書、特公昭44−27671号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特開昭61−225217号公報および米国特許第3274165号明細書、英国特許第1160660号明細書さらに特公昭46−27255号公報、ベルギー特許第29437号明細書、特開平5−222196号公報、等に記載された方法やこれら特許等に例示された先行技術の方法で得ることが出来る。
【0013】
さらに本発明の(a)成分であるポリフェニレンスルフィド樹脂の塩化メチレンによるオリゴマー抽出量は0.7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)が15μmol/g以上であるポリフェニレンスルフィドである。
この塩化メチレンによるオリゴマー抽出量と−SX基(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)濃度を共に満たすポリフェニレンスルフィド樹脂を用いることで、本発明の無機フィラーを多量に含む樹脂組成物においては、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルとの混和性および樹脂組成物から得られる成形品の引張強度・アイゾット衝撃強度・成形品の表面濡れ性の改善効果によるUV硬化性接着剤の接着強度を改善できる。しかし、上記オリゴマー抽出量と−SX基濃度の少なくともいずれか一方が範囲外の場合、これらを改善することはできない。
【0014】
上記オリゴマー抽出量の範囲が上記範囲にあるということは、PPS中におけるオリゴマー(約10〜30量体)の量が少ないことを意味する。
ここで、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量の測定は以下の方法により行うことができる。すなわち、PPS粉末5gを塩化メチレン80mlに加え、4時間ソクスレー抽出を実施した後、室温まで冷却し、抽出後の塩化メチレン溶液を秤量瓶に移す。更に、上記の抽出に使用した容器を塩化メチレン合計60mlを用いて、3回に分けて洗浄し、該洗浄液を上記秤量瓶中に回収する。次に、約80℃に加熱して、該秤量瓶中の塩化メチレンを蒸発させて除去し、残渣を秤量し、この残渣量よりPPS中に存在するオリゴマー量の割合を求めることができる。
【0015】
また、−SX基の定量は以下の方法により行うことができる。すなわち、PPS粉末を予め120℃で4時間乾燥した後、この乾燥PPS粉末20gをN−メチル−2−ピロリドン150gに加えて粉末凝集塊がなくなるように室温で30分間激しく撹拌混合しスラリー状態にする。
かかるスラリーを濾過した後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて7回洗浄を繰り返す。得た濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化した後、1Nの塩酸を加えて該スラリーのPHを4.5に調整する。次に、25℃で30分間撹拌し、濾過した後、約80℃の温水1リットルを用いて6回洗浄を繰り返す。得られた濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化し、次いで、1Nの水酸化ナトリウムにより滴定し、消費した水酸化ナトリウム量よりPPS中に存在する−SX基の量を求める。
【0016】
ここで、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量が0.7重量%以下であり、かつ−SX基が20μmol/g以上であるPPSの具体的な製造方法としては、特開平8−253587号公報の実施例1および2に記載された製造方法(段落番号0041〜0044)や特開平11−106656号公報の合成例1および2に記載された製造方法(段落番号0046〜0048)等が挙げられる。
さらに、本発明で用いるPPSは320℃における溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/D=10/1で6分間保持した値)は、好ましくは1〜10,000ポイズであり、さらに好ましくは100〜10,000ポイズである。
かかる(a)成分の配合量は、耐熱性、成形流動性、耐溶剤性および成形品の表面濡れ性の改善効果によるUV硬化性接着剤の接着性改良の観点から30〜70重量%である。
【0017】
つぎに本発明の(b)成分はポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対してポリスチレン樹脂を45〜150重量部の割合で混合したものをいう。
かかるポリスチレン樹脂の混合量は、無機フィラーを多量に含む本発明の樹脂組成物では、成形流動性が著しく悪化することから45重量部以上であり、得られる成形品の温度変化に対する寸法安定性および光軸のずれ、成形品の表面濡れ性の改善効果によるUV硬化性接着剤の接着強度、引張強度、アイゾット衝撃強度、荷重たわみ温度を考慮すると150重量部以下である。
この本発明の(b)成分の構成要素であるポリフェニレンエーテル樹脂(以下、単にPPEと略記)は、本発明のポリマーアロイおいて耐熱性(荷重撓み温度:DTUL)、および難燃性を付与するうえで必須な成分であり、
該PPEは、結合単位(式1)
【0018】
【化1】
Figure 0004173377
【0019】
(ここで、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい)からなり、還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)が、0.15〜2.0の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜1.0の範囲にあるホモ重合体および/または共重合体である。
【0020】
このPPEの具体的な例としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0021】
かかるPPEの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号明細書、同第3257357号および同第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報および特開昭50−51197号公報および同63−152628号公報等に記載された方法で容易に製造できる。
【0022】
つぎに、本発明の(b)成分のポリスチレン樹脂とは、スチレン系化合物の単独重合体、2種以上のスチレン系化合物の共重合体およびそれらスチレン系化合物の重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなるゴム変性スチレン樹脂が挙げられ、これら2種以上の混合物も好適に用いることができる。
スチレン系化合物とは、次の一般式(2)で表される化合物を意味する。
【0023】
【化2】
Figure 0004173377
【0024】
(式中、Rは水素、炭素数1〜4の低級アルキルまたはハロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び炭素数1〜4の低級アルキルよりなる群から選択される基を表し、qは0〜5の整数である。)
これらの具体例としては、スチレンのほか、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−エチルスチレン等が挙げられる。 これらはその2種以上を併用しても良いが、好ましくは、スチレンの単独重合体である。
【0025】
本発明におけるポリスチレン樹脂の還元粘度ηsp/cは、好ましくは0.70dl/g以上、より好ましくは0.8dl/g以上である。ここで、還元粘度ηsp/cとは、溶液濃度0.5g/100mlのトルエン溶液を30℃で測定して求めた値である。なお、ポリスチレン樹脂のηsp/cの上限は特にないが、あまりηsp/cが高くなりすぎると押出加工が困難となる。
本発明のポリスチレン樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、当業者に良く知られている塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれの方法を用いても良い。ポリスチレン樹脂の分子量分布は、組成物中で1.5〜5が好ましい。また、このスチレン樹脂の分子の立体構造については、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチックが挙げられるが、いずれでも好適に用いることができる。
【0026】
またさらに、本発明で用いる事が出来るゴム変性スチレン樹脂とは、一般的にはゴム状重合体をスチレン系化合物単量体(および不活性溶媒を加えた液)に溶解し、攪拌下、塊状重合、塊状懸濁重合または溶液重合を行い、ゴム状重合体を析出し、粒子化することにより得られるが、重合法に限定されるものではない。また、前記ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリイソプレン,ブタジエン・イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン・プロピレン共重合体を挙げることができるが、一般的には、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体が好ましく、また、これらを部分水素添加したものがさらに好ましい。
【0027】
上記ゴム変性スチレン樹脂については特に制約はないが、一般的には4〜15重量%、より好ましくは6〜13重量%である。さらにゴム変性スチレン樹脂のゴム状重合体粒子の平均粒子径は、0.5〜6.0μmの範囲であることが好ましい。また、前記ゴム変性スチレン樹脂のゲル含量(トルエン不溶分)は、常法の15〜40重量%に調整されるが、より好ましくは20〜35重量%である。かかる(b)成分の配合量は、耐熱性、成形流動性、耐溶剤性および成形品の表面濡れ性の改善効果によるUV硬化性接着剤の接着性の観点から70〜30重量%である。
【0028】
つぎに本発明の(c)成分は、(a)成分のPPSと(b)成分のPPEを混合する際の相溶化剤として作用し、本発明の樹脂組成物に優れた機械的物性を与える効果を奏するものである。
かかる(c)成分としては、エポキシ基および/またはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーとスチレンを主たる成分とするモノマーとの共重合体であり、ここで言うスチレンを主たる成分とするモノマーとは、スチレンモノマーと共重合可能な他のモノマーであれば何ら問題なく使用でき、その割合が少なくともスチレンモノマーを65重量%以上含むことを意味するものである。
【0029】
具体的には、エポキシ基および/またはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーとスチレンモノマーの共重合体、エポキシ基および/またはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーとスチレン/アクリロニトリル=90〜75重量%/10〜25重量%の共重合体が挙げられる。
上記のエポキシ基含有不飽和モノマーとしては、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、グリシジルイタコネート等が挙げられ、中でもグリシジルメタアクリレートが好ましい。また、上記のオキサゾニル基含有不飽和モノマーとしては、下記一般式(式3)
【0030】
【化3】
Figure 0004173377
【0031】
(ここでRは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基またはアルコキシ基)である。)この構造を示すビニルオキサゾリン化合物であり、中でもRが水素原子またはメチル基を示す化合物が好ましい。その中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手でき好ましく使用できる。
これら、エポキシ基および/またはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーと共重合する他の不飽和モノマーとしては、スチレン等のビニル芳香族化合物、アクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、かかるスチレンモノマーを少なくとも65重量%以上含むことが必須である。また、相溶化効果、機械的物性の観点から エポキシ基および/またはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーは、(c)成分の共重合体中に0.3〜20重量%、好ましくは、1〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。
【0032】
これら共重合可能な不飽和モノマーを共重合して得られる(c)成分の共重合体の例として、例えば、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルオキサゾリン共重合体、スチレン−ビニルオキサゾリン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
【0033】
この(c)成分の配合量は、相溶化剤としての混和効果および未溶融物発生、成形品の表面濡れ性の改善効果によるUV硬化性接着剤の接着強度の観点から(a)成分と(b)成分100重量部に対して1〜20重量部である。
つぎに本発明で(d)成分として用いるビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体および該ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体は、(b)成分のポリフェニレンエーテル樹脂中に分散し、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の靱性付与に大きな効果を奏するものである。
【0034】
この本発明における(d)成分として用いるビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体および該ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体とは、例えばA−B、A−B−A、B−A−B−A、(A−B−)4−Si、A−B−A−B−A等の構造を有し、結合したビニル芳香族化合物を5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%含んだブロック共重合体およびこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体である。
【0035】
またブロック構造に言及すると、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとは、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロックまたはビニル芳香族化合物を好ましくは50重量%を超え、更に好ましくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造を有しており、そしてさらに、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロックまたは共役ジエン化合物を好ましくは50重量%を超え、更に好ましくは70重量%以上含有する共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックの構造を有するものである。
【0036】
これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせで成っていてもよく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックおよび該共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0037】
このブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上を選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でも、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。そして共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは、そのブロックにおける結合形態のミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、ブタジエンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−ビニル結合が2〜90%が好ましく、より好ましくは8〜80%である。また、イソプレンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量が2〜80%、より好ましくは3〜70%である。
【0038】
本発明で用いる(d)成分のブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体の数平均分子量は、5,000〜1,000,000であるものが好ましく、特に好ましくは20,000〜500,000の範囲のものであり、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定しポリスチレン換算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〕は10以下であるものが好ましい。さらに、このブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
【0039】
このような構造をもつ水添ブロック共重合体は、上記したブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とした重合体ブロックBの脂肪族系二重結合を水素添加反応を実施し、本発明で用いる(d)成分の水添ブロック共重合体として利用できる。かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は、少なくとも20%を超えることが好ましく、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上である。
かかる水素添加率は例えば核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
【0040】
この(d)成分の配合量は、耐衝撃性および機械的物性の観点から(a)成分と(b)成分100重量部に対し0〜40重量部、好ましくは、0〜20重量部の範囲より選ばれることが好ましい。
さらに、本発明で(e)成分として用いる板状および繊維状の無機フィラーは形状が板状および繊維状であり、その配合比率は板状/繊維状フィラーの重量比が1以上である組み合わせの無機物ならば公知の無機フィラーを使用でき、これらを2種類以上併用してもよい。
かかる(e)成分の無機フィラーは、板状および繊維状無機フィラーを併用したものであり、その配合比率は成形流動性および樹脂組成物から得られる成形品の温度変化に対する寸法安定性および光軸のずれ・UV硬化性接着剤の接着性の観点から、板状無機フィラー/繊維状無機フィラーの重量比で1以上が好ましく、より好ましくは1.5以上より選ばれることが好ましい。
【0041】
また、本発明の(e)成分は、(a)成分および(c)成分に合わせた表面処理、例えばシラン系やチタネート系等の種々のカップリング剤で処理を施したものを用いることが好ましい。繊維状の無機フィラーの一例として、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムおよび炭酸カルシウムのウイスカー類等が挙げられる。これらの繊維状の無機フィラーはその補強効果の観点から、繊維の平均直径(D)と平均長さ(L)の比で表されるL/Dが5以上であることが好ましい。つぎに板状の無機フィラーの一例としては、ガラスフレーク、マイカ、鱗片状黒鉛、タルク等が挙げられる。これらの板状の無機フィラーはその補強効果の観点から、板の平均厚み(H)と平均板径(R)の比で表されるR/Hが5以上であることが好ましい。
【0042】
この(e)成分の配合量は機械的物性、成形流動性、温度による寸法変化および光軸のずれ、成形品の表面濡れ性の改善効果によるUV硬化性接着剤の接着性の観点から(a)成分と(b)成分100重量部に対し100〜400重量部であり、好ましくは、150重量部を超え400重量部、より好ましくは150重量部を超え350重量部の範囲より選ばれることが好ましい。
本発明では、上記の成分の他に本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて他の付加的成分、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、縮合有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、造核剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0043】
本発明の樹脂組成物の製造法は、種々の溶融混機を用いて製造することができ、これらの方法を行う溶融混練機として例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズなどが挙げられる。
【0044】
押出機を用いた本発明の好ましい態様を以下に述べる。押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は20以上60以下の範囲であり、好ましくは30以上50以下の範囲である。押出機は原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2〜第4原料供給口を設け、さらにその下流に第2真空ベントを設けたものが好ましい。なかでも、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口の間にニーディングセクションを設け、また第2〜第4原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。第2〜第4原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものでは無いが、押出機第2〜第4原料供給口開放口よりの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方が安定で好ましい。
【0045】
特に、本発明の樹脂組成物のように粉体、フィラー等が非常に多く含まれる場合は、押出機サイドから供給する強制サイドフィーダーの方がより好ましく、強制サイドフィーダーを第2〜第4原料供給口に設け、これら粉体、フィラー等を分割して供給するのがより好ましい。そして、押出機第2〜第4原料供給口の上部開放口は同搬する空気を抜くため開放とすることもできる。この際の溶融混練温度、スクリュー回転数は特に限定されるものではないが、通常溶融混練温度300〜350℃、スクリュー回転数100〜1200rpmの中から任意に選ぶことができる。
【0046】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、
1.上記した(a)成分〜(d)成分を第一供給口より供給し、次いで(e)成分の繊維状無機フィラーおよび板状無機フィラーを第二供給口より溶融混練状態下に供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法。
2.(a)成分〜(d)成分の全量および(e)成分の板状無機フィラーの20〜100重量%を第一原料供給口より供給し、次いで(e)成分の繊維状無機フィラーおよび板状無機フィラーの残量を第二原料供給口より溶融混練状態下に供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法。
3.(a)成分〜(d)成分の全量を第1原料供給口より供給し、次いで(e)成分の板状無機フィラーを第2原料供給口より溶融混練状態下に供給し、さらに(e)成分の繊維状無機フィラーを第3原料供給口より溶融混練状態下に供給し、溶融混練を続けて行う樹脂組成物の製造方法が挙げられる。
【0047】
このような製法を取ることにより、得られる樹脂組成物は(a)成分〜(e)成分が各々優れた均一分散形態を得ることができ、これらの相溶化剤である(c)成分の配合効果を最も顕著に発現させ、さらに(e)成分中の繊維状フィラーの溶融混練中の破砕を抑えることで、優れた機械的物性を損なうことなく、成形流動性、温度による寸法変化および光軸のずれ、UV硬化性接着剤による接着性が優れる樹脂組成物を得ることが出来る。この製法を取ることは、本発明の樹脂組成物を得るにあたり、非常に重要である。
【0048】
このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、従来の多量の無機フィラーを含むポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物の欠点であった成形流動性および機械的物性を著しく改善し、さらに温度による寸法変化および光軸のずれ、UV硬化性接着剤による接着性に優れる。
特に、上記2,3の製造方法で得られる樹脂組成物は1の製造方法と比べ、流動性に優れた樹脂組成物が得られることが最大の特徴である。
このため、本発明の樹脂組成物は、広く射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形、圧縮成形により目的に応じた各種部品の成形体として成形できる。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、例えばコンピューター、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW等の各種ディスクプレーヤー等のディスクを記録媒体として用い、光または磁気で書き込みまたは読み取りを行う機器に用いられる機構部品等で利用でき、中でも光ディスクドライブ用機構部品としてのピックアップベース、トラバースベース、サブシャーシ、ベースシャーシ等のシャーシ類やディスクトレー、チェンジャートレー等のトレー類、ディスクガイド、フレーム等、付随部品等の樹脂製機構部品に適する。特に温度等使用環境の厳しい車載用のCDプレーヤー、DVDビデオ、DVDナビゲーション、MDプレイヤー等向けピックアップベース類、シャーシ類やトレー類等の光ディスクドライブ用機構部品用として、本発明の樹脂組成物を使用する効果は大きい。
【0050】
さらにその他の用途、例えば電気機器の内外装部品として好適に使用でき、具体的には各種コンピューターおよびその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、冷蔵庫、工業用部品用途では各種ポンプケーシング等の部品用途に適している。また、自動車部品が挙げられ、具体的には、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品、さらに自動車、電気自動車およびハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品に適している。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、これらの実施例により限定されるものではない。
(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂
a−1:溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/=10/1で6分間保持した後測定した値。)が500ポイズ、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量が0.4重量%、−SX基量が29μmol/gのPPS。
a−2:溶融粘度が600ポイズ、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量が1.8重量%、−SX基量が30μmol/gのPPS。
a−3:溶融粘度が500ポイズ、塩化メチレンによるオリゴマー抽出量が0.5重量%、−SX基量が9μmol/gのPPS。
【0052】
(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂
b−1:2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.54のPPE。
b−2:アタクチックポリスチレン。(A&M社製 ポリスチレン685)
b−3:ゴム変性ポリスチレン樹脂。(A&M社製 ポリスチレンH9405)
(c)成分の相溶化剤
c−1:グリシジルメタクリレートを5重量%含有するスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体。(重量平均分子量110,000)
c−2:2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを5重量%含有するスチレン−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体。(重量平均分子量146,000)
【0053】
(d)成分のブロック共重合体、水添ブロック共重合体
d−1:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造であり、結合スチレン量が35重量%、数平均分子量が178,000、水素添加する前のポリブタジエン部の1,2−ビニル結合量が48%である水添ブロック共重合体。
【0054】
(e)成分の無機フィラー
e−1:平均直径13μ、平均長さ3mm、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
e−2:平均板径90μ、平均厚み2μ、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、マイカ。
e−3:平均板径600μ、平均厚み5μ、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラスフレーク。
e−4:平均粒子径7μ(平均L/D=1.6)である炭酸カルシウム。
e−5:平均粒子径7μ(平均L/D=1.6)である炭酸カルシウム100重量部に対し、シランカップリング剤(β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)1.5重量部を予めブレンダーを用いてブレンドした物。
e−6:平均粒子径1.6μ、平均厚み0.4ミクロンであるタルク。
e−7:平均粒子径0.5μ(球の扁平率=1.04)であるガラスビーズ。
【0055】
【実施例1〜17および比較例1〜17】
二軸押出機ZSK−40(WERNER&PFLEIDERER社製)を用い原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流に第2原料供給口および第3原料供給口を設け、さらにその下流に真空ベントを設けた。また、第2供給口および第3原料供給口への原材料供給方法は、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する。上記のように設定した押出機を用い、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(c)相溶化剤、(d)ブロック共重合体、水添ブロック共重合体、(e)無機フィラーを表1および表2に示した組成で配合し、押出温度300〜320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量80kg/時間の条件にて溶融混練しペレットとして得た。
【0056】
このペレットを用いて310℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度130℃の条件でASTM−D638−1号ダンベル試験片金型を用いてその試験片の成形下限圧(ゲージ圧力)を測定し、成形流動性の評価とした。
さらに、上記の射出成形機を用い、同様の条件で引張試験用テストピース、アイゾット衝撃試験用テストピース、荷重撓み温度測定用テストピースおよび3インチ角×厚み1/8インチの平板を射出成形した。
【0057】
つぎに、3インチ角×厚み1/8インチの平板を用い、中心に4mmΦの穴を開け、10mm角×厚み2mmのアルミニウム板の中心を穴の中心に合わせUV硬化性接着剤(東亞合成(株)製 ラックストラックLCR0641)5mgを2点塗布し、UV照射器(浜松ホトニクス(株)製 LC5)を用いて500mW/cm2、12秒の条件で硬化接着した。この試験片を温度23℃、湿度50%に管理された恒温室内で押し抜き試験機(島津製作所(株)製 GS−500D)を用いて10mm/分の条件で測定を行い、UV硬化性接着剤の接着強度とした。
【0058】
また、光ディスク用ピックアップシャーシ試験片を310℃に設定したスクリューインライン型射出成形機にて金型温度130℃の条件で成形した。次にこの試験片の中央孔部にハーフミラーを取り付け、恒温槽中で焦点距離150mm、波長670nm、出力0.3mWの半導体コリメーターからレーザー光を発振し、ハーフミラーに対し直角に照射し、反射したレーザー光をCCDカメラを用いて受光した。23℃における反射レーザー光の位置を原点とし、1℃/分の速度で60℃に昇温し1時間静置後の光軸ずれを測定した。その後、−30℃まで1℃/分で降温し1時間静置後、光軸のずれを測定した。
【0059】
さらに、引張試験用テストピースを用いて線膨張係数(ASTM D696に準拠:測定温度−30〜65℃)および引張強度(ASTM D−638に準拠:測定温度23℃)を測定し、それぞれのテストピースでアイゾット(厚み1/8、ノッチ付き)衝撃強度(ASTM D−256に準拠:測定温度23℃)および荷重撓み温度(ASTM D−648:1.82MPa荷重)を測定した。これらの結果を成形流動性、UV硬化性接着剤の接着強度の評価と併せて表1および表2に載せた。
【0060】
表1および表2より、本発明の樹脂組成物は引張強度、耐衝撃性および耐熱性を損なうことなく、成形流動性、温度による寸法変化および光軸のずれが少なく、かつUV硬化性接着剤による接着性が同時に優れるが、本発明の組成が範囲外である場合、引張強度、耐衝撃性および耐熱性を損なうことなく成形流動性、温度による寸法変化および光軸のずれが少なく、かつUV硬化性接着剤による接着性を同時に改良する事が出来ないことが明らかになった。
【0061】
【表1】
Figure 0004173377
【0062】
【表2】
Figure 0004173377
【0063】
【発明の効果】
ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、相溶化剤、ブロック共重合体及び無機フィラーからなる樹脂組成物において、特定のポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂と特定のポリスチレン樹脂、ならびに無機フィラーとして板状および繊維状であり、板状/繊維状フィラーの重量比が1以上である無機フィラーを用い、さらに特定の製造方法をとることにより、引張強度、耐衝撃性および耐熱性を損なうことなく成形流動性、温度による寸法変化および光軸のずれが少なく、UV硬化性接着剤による接着性に優れる樹脂組成物および光ディスクドライブ用樹脂製機構部品が得られる。

Claims (8)

  1. (a)塩化メチレンによる抽出量が0.7重量%以下であり、かつ−SX基(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)が、15μmol/g以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂30〜70重量%、
    (b)ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対して、ポリスチレン樹脂を45〜150重量部含んでなるポリフェニレンエーテル系樹脂70〜30重量%であって、
    (a)成分と(b)成分の合計100重量部に対し、
    (c)エポキシ基およびまたはオキサゾニル基を有する不飽和モノマーを0.3〜20重量%の割合でスチレンを主たる成分とするモノマーと共重合してなる共重合体1〜20重量部、
    さらに、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、
    (d)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体および/または該ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体0〜40重量部、
    さらにまた、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して、
    (e)板状および繊維状である無機フィラーであって、かつ板状/繊維状フィラーの重量比が1以上である無機フィラー 100〜400重量部を含む樹脂組成物。
  2. (b)成分に混合されるポリスチレン樹脂が、アタクチックポリスチレンである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (e)成分の無機フィラーが、150重量部を超え400重量部含む請求項1〜2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. (a)〜(d)成分の全量を溶融混練し、次いで(e)成分を供給し、さらに溶融混練を続けて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. (a)〜(d)成分の全量および(e)成分の板状無機フィラーの20〜100重量%を溶融混練し、次いで(e)成分の繊維状無機フィラーおよび板状無機フィラーの残量を供給し、さらに溶融混練を続けて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. (a)〜(d)成分の全量を溶融混練し、次いで(e)成分の板状無機フィラーを供給し、さらに(e)成分の繊維状無機フィラーを供給し、溶融混練を続けて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物にて構成された光ディスクドライブ用樹脂製構造部品。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物にて構成された光ディスクドライブ用ピックアップベース。
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