JPH0673076U - ウインチ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 従来技術のウインチ装置では、ワイヤドラム
のフランジ側板にワイヤロープの通し穴を開穿し、ワイ
ヤロープの基端末をフランジ側板の外側面部に、押え金
物で締付固定している。そのために上記押え金物がワイ
ヤドラムの外側面部の外側に突出し、安全上かつスペー
ス利用上、具合が悪かった。この問題点を解決する。 ［構成］ 本考案のウインチ装置では、ワイヤドラムの
円筒ドラムにリング状のクランプ板を嵌挿して設け、そ
のクランプ板がフランジ側板と相対する面側のクランプ
板がフランジ側板と相対する面側のクランプ板内径穴部
の全周にわたって切欠き溝を形成し、ワイヤロープの基
端末をワイヤドラムの位置決め穴部に挿入するとともに
円筒ドラムのコーナ部にほぼ一周位置決めし、上記クラ
ンプ板を複数個のボルトにてフランジ側板の内面部に対
して締付けるように構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建設機械，作業車両等に搭載しているウインチ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図５は、ワイヤロープの取付けを図示していない従来技術の第１実施例ウイン チ装置１の切欠き要部正面図である。図において、２Ｌ，２Ｒは左右のフレーム 、３はフリーホイール用フレーム、４は油圧モータ、５はワイヤドラム、６はワ イヤドラム（５）用のフリーホイール脱着部である。図６は、図５のＡより見た 側面図である。図７は、従来技術の第２実施例ウインチ装置７の要部側面図であ る。図において、８はフレーム本体、９は油圧モータ、１０はワイヤドラム、１ １はワイヤドラム１０のフランジ側板、１２Ｌ，１２Ｒはフランジ側板１１に開 穿したワイヤロープ１３の基端末側を通す通し穴、１４は押え金物、１５は締付 ボルトである。なお矢印イ，ロは、使用するワイヤロープ（１３）のＺより，Ｓ より、またワイヤロープのワイヤドラム（１０）上部側，下部側取出しにもとづ き選択するワイヤロープの取付方向を示す。図８は、図７のＢより見た要部平面 図である。図５〜図８に示す従来技術のウインチ装置（１，７）では、少くとも 一組のフレームを立設し、そのフレームに対してワイヤドラムを回転自在に支承 せしめ、そのワイヤドラムを動力にて回転させることによりワイヤロープの巻上 を行うようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来技術のウインチ装置ではワイヤドラムのフランジ側板にワイヤロープの通 し穴を開穿し、ワイヤロープの基端末をフランジ側板の外側面部に、押え金物で 締付固定している。そのために上記押え金物がワイヤドラムの外側面部の外側に 突出し、安全上かつスペース利用上、具合が悪かった。またワイヤロープの基端 末側が上記通し穴及び押え金物の部分でかなりきつく曲げられるので、メンテナ ンス上良くなかった。また図９は、従来技術の他実施例ワイヤドラム１６を示す 要部正面図である。このワイヤドラム１６ではワイヤロープ（図示していない） をくさび部材１７で止めるようにしているが、ワイヤドラム１６の円筒ドラム１ ８の内部側にくさび溝１９が突出し、フリーホイル脱着部などの組込みを阻害す るので、具合が悪かった。またくさび溝１９の開口部ハがかなり大きいので、ワ イヤロープをワイヤドラム１６に多層巻きしたとき、変形影響が出て具合が悪か った。本考案は、上記の問題点を解決できるウインチ装置を提供することを目的 とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案のウインチ装置では、ワイヤドラムのフランジ側板の内側端面と円筒ド ラム外周面とのコーナ部にワイヤロープの基端末を挿入する位置決め穴部を設け 、また上記円筒ドラムの外周部を大きな隙間がなく嵌挿移動できる内径穴を有し 、かつ外径が上記フランジ側板内側にリング状のクランプ板を円筒ドラムに嵌挿 して設け、上記クランプ板がフランジ側板と相対する面側のクランプ板内径穴部 の切欠き溝を形成し、ワイヤロープの基端末をワイヤドラムの上記位置決め穴部 に挿入するとともに円筒ドラムのコーナ部にほぼ一周だけ位置決めし、上記クラ ンプ板を複数子のボルトにてフランジ側板の内面部に対して締付けることにより 、ワイヤロープの基端末側をワイヤドラムに固定した。また上記リング状のクラ ンプ板の内径穴部にワイヤロープを通すことのできる切欠き穴部を形成し、ワイ ヤドラムの円筒ドラムのコーナ部に固定するワイヤロープの基端末側を上記切欠 き穴部を通して円筒ドラムに多層巻きするようにした。また上記クランプ板の外 周縁部に近い位置に、クランプ板の内側面と外側面を貫通するねじ穴を複数個開 穿し、そのねじ穴にそれぞれ調整ねじを取付け、ワイヤロープの基端末側締付時 に、そのワイヤロープの直径の大小に対応して、クランプ板とフランジ側板との 対面間隙間を調整設定するように構成した。また、上記クランプ板をワイヤドラ ムの左右のフランジ側板の内面部に対してそれぞれ設けるようにした。

【０００５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図１は、本考案のウ インチ装置２０の切欠き要部平面図である。図１におけるウインチ装置２０のワ イヤロープは、図示していない。図１において、２１Ｌ，２１Ｒは左右のフレー ム、２２はワイヤドラム、２３はワイヤドラム２２の円筒ドラム、２４Ｌ，２４ Ｒはそれぞれ左右のフランジ側板、２５Ｌ，２５Ｒのそれぞれ内面側に設けたク ランプ板、２６は油圧モータ、２７，２８はそれぞれワイヤガイドローラである 。図２は図１のＣ部詳細図であるが、使用するワイヤロープ２９を図示している 。なお左右のクランプ板２５Ｌと２５Ｒは互いに対称形に構成されているので、 その構成の符号説明はクランプ板２５Ｌを代表して行う。図２において、３０は クランプ板２５Ｌの内径穴、３１は切欠き溝、３２はボルト穴、３３はねじ穴、 ３４はボルト、３５は調整ねじ、寸法ｍは内径穴３０の内径寸法、寸法ｎは円筒 ドラム２３の外径寸法、Ｓは隙間である。図３は、図２におけるクランプ板２５ Ｌ周辺の組立構成を示す図である。図において、３６はワイヤドラム２２に設け た位置決め穴部である。図４は、図１のＤーＤより見たクランプ板２５Ｌの取付 状態を示す図である。図において、３７はクランプ板２５Ｌの内径穴部に形成し た切欠き穴部である。

【０００６】 次に、本考案のウインチ装置２０の構成を図１〜図４について述べる。本考案 のウインチ装置２０では、ワイヤドラム２２のフランジ側板２４Ｌ（フランジ側 板２４Ｒも２４Ｌと対称形に形成されているが説明の都合上省略する）と円筒ド ラム（２３）外周面とのコーナ部にワイヤロープ２９の基端末を挿入する位置決 め穴部３６（図３に示す）を設けた。また上記円筒ドラム２３の外周部を大きな 隙間がなく嵌挿移動できる内径穴３０を有し、かつ外径が上記フランジ側板２４ Ｌの外径とほぼ同じ寸法をそなえたリング状のクランプ板２５Ｌを円筒ドラム２ ３に嵌挿して設け、上記クランプ板２５Ｌがフランジ側板２４Ｌと相対する面側 のクランプ板（２５Ｌ）内径穴部の全周にわたって切欠き溝３１を形成し、ワイ ヤロープ２９の基端末をワイヤドラム２２の上記位置決め穴部３６に挿入すると ともに円筒ドラム２３のコーナ部にほぼ一周だけ位置決めし、上記クランプ板２ ５Ｌを複数個のボルト３４にてフランジ側板２４Ｌの内面部に対して締付けるこ とにより、ワイヤロープ２９の基端末側をワイヤドラム２２に固定した。また上 記リング状のクランプ板２５Ｌの内径穴部３０にワイヤロープ２９を通すことの できる切欠き穴部３７（図４に示す）を形成し、ワイヤドラム２２の円筒ドラム ２３のコーナ部に固定するワイヤロープ２９の基端末側を上記切欠き穴部３７を 通して円筒ドラム２３に多層巻きするようにした。また上記クランプ板２５Ｌの 外周縁部に近い位置に、クランプ板２５Ｌの内側面と外側面を貫通するねじ穴３ ３を複数個開穿し、そのねじ穴３３にそれぞれ調整ねじ３５を取付け、ワイヤロ ープ２９の基端末側締付時に、そのワイヤロープ２９の直径の大小に対応して、 クランプ板２５Ｌとフランジ側板２４Ｌとの対面間隙間ｔ（図２に示す）を調整 設定するように構成した。また、クランプ板２５Ｌと２５Ｒをワイヤドラム２２ の左右のフランジ側板２４Ｌ，２４Ｒの内面部に対してそれぞれ設けるようにし た。

【０００７】 次に、本考案のウインチ装置２０の作用について述べる。本考案のウインチ装 置２０では、ワイヤロープ２９の基端末側をワイヤドラム２２に対して固定する とき、ワイヤロープ２９の基端末をワイヤドラム２２の上記位置決め穴部３６に 挿入するとともに円筒ドラム２３のコーナ部にほぼ一周位置決めし、上記クラン プ板２５Ｌを複数個のボルト３４にてフランジ側板２４Ｌの内面部に対して締付 けるようにしたので、従来技術のように１個の小形の押え金物（１４）を使用す る構造に比べて、格段の強さで固定することができる。また締付固定したワイヤ ロープ２９は上記コーナ部よりクランプ板２５Ｌの切欠き穴部３７を通すだけで 円筒ドラム２３に多層巻きするので、ワイヤロープ２９がきつく曲げられること はない。また、クランプ板２５Ｌと２５Ｒをワイヤドラム２２の左右のフランジ 側板２４Ｌ，２４Ｒの内面部に対してそれぞれ設けるようにしたので、ワイヤロ ープ２９の基端末側を締付固定する構造の部分がワイヤドラム２２の左右のフラ ンジ側板２４Ｌ，２４Ｒの外側や、円筒ドラム２３の内部側に、全く突出しない 。したがって上記左右のフランジ側板２４Ｌ，２４Ｒに近接して左右のフレーム ２１Ｌ，２１Ｒを配置できるし、円筒ドラム２３の内部側に支承なくたとえばフ リーホイル脱着部などを組付けることができる。また円筒ドラム２３の外周面部 には、従来技術のようなくさび溝（１９）の開口部（ハ）が存在しないので、ワ イヤロープ２９の多層巻きに変形などの不具合がおこらない。また上記クランプ 板２５Ｌの外周縁部に近い位置に、クランプ板２５Ｌの内側面と外側面を貫通す るねじ穴３３を複数個開穿し、そのねじ穴３３にそれぞれ調整ねじ３５を取付け 、ワイヤロープ２９の基端末側締付時に、そのワイヤロープ２９の直径の大小に 対応して、クランプ板２５Ｌとフランジ側板２４Ｌとの対面間隙間ｔを調整でき るので、直径の異なるワイヤロープに取付け替えしたときでも、そのワイヤロー プを確実に締付固定することができる。また、クランプ板２５Ｌと２５Ｒをワイ ヤドラム２２の左右のフランジ側板２４Ｌ，２４Ｒの内面部に対してそれぞれ設 けるようにしたので、使用するワイヤロープのＺより，Ｓより、またワイヤロー プのワイヤドラム上部側，下部側取出しに対応して、所要のクランプ板の側にワ イヤロープの基端末側を締付固定することができる。

【０００８】

【考案の効果】

本考案のウインチ装置では、ワイヤロープの基端末側をワイヤドラムに対して 固定するとき、ワイヤロープの基端末をワイヤドラムの位置決め穴部に挿入する とともに円筒ドラムのコーナ部にほぼ一周だけ位置決めし、上記クランプ板を複 数個のボルトにてフランジ側板の内面部に対して締付けるようにしたので、従来 技術のように１個の小形の押え金物を使用する構造に比べて、格段の強さで固定 することができる。すなわちワイヤロープの基端末側が確実にワイヤドラムに対 して固定されるので、安全性を全くすることができる。また締付固定したワイヤ ロープは上記コーナ部よりクランプ板の切欠き穴部を通すだけで円筒ドラム多層 巻きするので、ワイヤロープがきつく曲げられることはない。それにより、ワイ ヤロープのメンテナンス性を向上させることができる。また、クランプ板をワイ ヤドラムの左右のフランジ側板の内面部に対してそれぞれ設けるようにしたので 、ワイヤロープの基端末側を締付固定する構造の部分がワイヤドラムの左右のフ ランジ側板の外側や、円筒ドラムの内部側に、全く突出しない。したがって上記 左右のフランジ側板に近接して左右のフレームを配置できるし、円筒ドラムの内 部側に支承なくたとえばフリーホイル脱着部などを組付けることができる。した がってウインチ装置を最小限のコンパクトなものにすることができ、スペース活 用を有効に行うことができる。また上記クランプ板の外周縁部に近い位置に、ク ランプ板の内側面と外側面を貫通するねじ穴を複数個開穿し、そのねじ穴にそれ ぞれ調整ねじを取付け、ワイヤロープの基端末側締付時に、そのワイヤロープの 直径の大小に対応して、クランプ板とフランジ側板との対面間隙間を調整できる ので、直径の異なるワイヤロープに取付替えしたときでも、そのワイヤロープを 確実に締付固定することができる。したがって本考案のウインチ装置では、ワイ ヤドラムに対してワイヤロープの基端末側を確実に締付固定して安全性をたかめ ることができるとともに、ウインチ装置の形状を最小限のものにすることができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のウインチ装置の切欠き要部平面図であ
る。

【図２】図１のＣ部詳細図である。

【図３】図２におけるクランプ板周辺の組立構成を示す
図である。

【図４】図１のＤーＤより見たクランプ板の取付状態を
示す図である。

【図５】従来技術の第１実施例ウインチ装置の切欠き要
部正面図である。

【図６】図５のＡより見た側面図である。

【図７】従来技術の第２実施例ウインチ装置の要部側面
図である。

【図８】図７のＢより見た要部平面図である。

【図９】従来技術の他実施例ワイヤドラムを示す要部正
面図である。

【符号の説明】

１，７，２０ ウインチ装置 ２Ｌ，２Ｒ，２１Ｌ，２１Ｒ フレーム ４，９，２６ 油圧モータ ５，１０，１６ ワイヤドラム ６，２２ フリーホイル脱着部 １１，２４Ｌ，２４Ｒ フランジ側板 １３，２９ ワイヤロープ １８，２３ 円筒ドラム ２５Ｌ，２５Ｒ クランプ板 ３０ 内径穴 ３１ 切欠き溝 ３４ ボルト ３５ 調整ねじ ３６ 位置決め穴部 ３７ 切欠き穴部

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 少くとも一組のフレームを立設し、その
   フレームに対してワイヤドラムを回転自在に支承せし
   め、そのワイヤドラムを動力にて回転させることにより
   ワイヤロープの巻上を行うようにしているウインチ装置
   において、ワイヤドラムのフランジ側板の内側端面と円
   筒ドラム外周面とのコーナ部にワイヤロープの基端末を
   挿入する位置決め穴部を設け、また上記円筒ドラムの外
   周部を嵌挿移動できる内径穴を有し、フランジ側板の内
   側にリング状のクランプ板を円筒ドラムに嵌挿して設
   け、上記クランプ板がフランジ側板と相対する面側のク
   ランプ板内径穴部に切欠き溝を形成し、ワイヤロープの
   基端末をワイヤドラムの上記位置決め穴部に挿入すると
   ともに円筒ドラムのコーナ部にほぼ一周位置決めし、上
   記クランプ板を複数個のボルトにてフランジ側板の内面
   部に対して締付けることにより、ワイヤロープの基端末
   側をワイヤドラムに固定したことを特徴とするウインチ
   装置。
2. 【請求項２】 実用新案登録請求の範囲請求項１記載の
   ウインチ装置において、リング状のクランプ板の内径穴
   部にワイヤロープを通すことのできる切欠き穴部を形成
   し、ワイヤドラムの円筒ドラムのコーナ部に固定するワ
   イヤロープの基端末部を上記切欠き穴部を通して円筒ド
   ラムに多層巻きしたことを特徴とするウインチ装置。
3. 【請求項３】 実用新案登録請求の範囲請求項１記載の
   ウインチ装置において、リング状のクランプ板の外周縁
   部に近い位置に、クランプ板の内側面と外側面を貫通す
   るねじ穴を複数個開穿し、そのねじ穴にそれぞれ調整ね
   じを取付け、ワイヤロープの基端末側締付時に、そのワ
   イヤロープの直径の大小に対応して、クランプ板とフラ
   ンジ側板との対面間隙間を調整設定するように構成した
   ことを特徴とするウインチ装置。
4. 【請求項４】 実用新案登録請求の範囲請求項１記載の
   ウインチ装置において、クランプ板をワイヤドラムの左
   右のフランジ側板の内面部に対してそれぞれ設けるよう
   にしたことを特徴とするウインチ装置。