JPH0672899A - シクロペプチドおよび粘膜への適用時における吸収促進剤としてのその使用 - Google Patents

シクロペプチドおよび粘膜への適用時における吸収促進剤としてのその使用

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JPH0672899A
JPH0672899A JP5122478A JP12247893A JPH0672899A JP H0672899 A JPH0672899 A JP H0672899A JP 5122478 A JP5122478 A JP 5122478A JP 12247893 A JP12247893 A JP 12247893A JP H0672899 A JPH0672899 A JP H0672899A
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ユルゲン・ザンドウ
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ギユンター・デイツインガー
Hans-Peter Merkle
ハンス−ペーター・メルクレ
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 シクロペプチドおよび経鼻剤として有用な粘
膜への適用時における吸収促進剤としてのその使用法を
提供する。 【構成】 〔式中、Xは塩基性L−またはD−アミノ酸であり、
Y,Zは中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であ
り、R1はN結合される、次式 {式中、ArはOH、(C1〜C4)−アルコキシ、CO
OH、((C1〜C4)−アルキル)アミノおよびハロゲ
ンからなる系より選択される、1、2または3個によっ
て場合により置換されているフェニル基であるか、また
は2−アミノチアゾール−4−イル基であり、pは0〜
4の整数でありそしてqは0または1である}のアシル
基でありそしてn、mおよびlは0または1である〕で
表されるシクロペプチドまたはその塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシクロペプチド、並びに
粘膜への適用時におけるペプチドおよび蛋白質の吸収促
進のためのその使用に関する。
【0002】
【本発明が解決しようとする課題】医薬としてのペプチ
ドおよび蛋白質の使用は、治療または診断に使用すべき
ペプチドまたは蛋白質が適切量でかつ確実に吸収される
のに適した製剤に関する問題のためにかなり困難とされ
ている。
【0003】
【従来の技術】点鼻剤の形態によるか、または適当な溶
液を鼻腔中に噴霧するかのいずれかで1日に1回以上個
々の投与量を経鼻投与することは知られている〔J. San
dow, W. Petri (1985), Transnasal Systemic Medi
cations, Verlag Elsevier, 183〜199〕。このた
めには、保存剤および適切な場合には吸収増加用補助剤
を添加した容易に許容しうる水溶液が用いられる。吸収
を増加させる慣用補助剤(吸収強化剤)は全て粘膜を刺
激するか、または不快な臭いもしくは味のために不適当
であり、1回の投与後には早くもかなりの苦痛および流
涙をもたらし、または数回投与後には鼻粘膜の進行性刺
激および炎症を惹起させることがよくある。このことは
例えばフシジン酸誘導体、胆汁酸、界面活性剤および種
々のグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール)に云えることである。さらに、粘膜へ
の適用時におけるペプチドおよび蛋白質吸収促進用の、
天然産物質をベースとするシクロペプチドの使用はEP
−B−0302466号に記載されている。これらのシ
クロペプチドは化学的類似化合物の混合物である。従っ
て、それらは医薬使用のためには精製されなければなら
ない。とりわけ、それらは固有の抗生物質活性を有して
いて、ある種の病原菌に耐性を発生させることになる場
合がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】従って、本発明の目的は
良好な許容性を有しかつ抗生物質の二次作用を伴わず
に、吸収を良好に促進させることによって医薬として用
いられるペプチドおよび蛋白質の作用スペクトルを改善
する化合物を提供することにある。
【0005】本発明によればこの目的は下記式I
【化8】 〔式中、Xは塩基性L−またはD−アミノ酸であり、Y
は中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であり、Z
は中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であって、
Yと同一または相異なることが可能であり、R1はN−
に結合される、式II
【化9】 {式中、Arはヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキ
シ、アミノ、カルボキシル、(C1〜C4)−アルキルア
ミノおよびハロゲンからなる系より選択される同一また
は相異なる基1、2または3個によって場合により置換
されているフェニル基であるか、または2−アミノチア
ゾール−4−イル基であり、pは0〜4の整数でありそ
してqは0または1である}のアシル基でありそして
n、mおよびlは互いに独立していて0または1であ
る〕で表される化合物およびその生理学的に許容しうる
塩によって達成される。
【0006】天然産アミノ酸(例えばSchroeder, Luebk
e, The Peptides, Volume 1, NewYork 1965)およ
び2,4−ジアミノ酪酸(Dab)、その対掌体および
単純代謝産物から誘導され、それらがキラルである場合
にはD−またはL−型で存在することが可能なX、Yお
よびZ基が好ましい。γ−Dabはγ−アミノ基を介し
て環に結合された2,4−ジアミノ酪酸である。
【0007】特記しない限り、アミノ酸の基については
3文字記号(例えばPure Appl. Chem. 56(198
4)595〜624およびEur. J. Biochem. 138
(1984)9〜37参照)を使用する。これらの記号
の前には、その基がD−アミノ酸の基である場合には記
号“D”が置かれる。立体配置記号なしの基はL配置を
有する。
【0008】本発明は光学的に純粋な化合物並びに立体
異性体混合物例えばエナンチオマー混合物およびジアス
テレオマー混合物の両者に関する。
【0009】用いるのに好ましい式Iの化合物は、式中
Xがリジン、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸または
アルギニンであり、YおよびZが互いに独立していてリ
ジン、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸、アルギニ
ン、スレオニンまたはセリンであり、そしてR1、n、
mおよびlが前述の意味を有し、上記アミノ酸各々がD
−またはL−型で存在することが可能である化合物であ
る。特に好ましいのは下記の化合物である。
【0010】ペプチド PMB−I:
【化10】 ペプチド PMB−II:
【化11】 ペプチド PMB−III:
【化12】
【0011】〔製造方法〕本発明化合物は例えばペプチ
ド化学の一般手法を用いて製造される(Houben-Weyl, M
ethoden der organischen Chemie (Methods of organic
chemistry), 15/1 and 2)。該化合物は例えば、アシ
ル化されるべきアミノ基は別にしてそのアミノ基が保護
されているポリミキシンBヘプタペプチド(式I:l=
m=n=0;R1=H)またはポリミキシンBオクタペ
プチド(式I:l=m=0;Xn=L−Dab;R1
H)またはポリミキシンBノナペプチド(式I:l=
0;Ym=L−Thr;Xn=L−Dab;R1=H)お
よび対応する活性化カルボン酸(例えばカルボン酸ハラ
イド、混合無水物または活性エステル)から出発して段
階的に製造されうる。
【0012】出発ペプチドは、例えば金属水素化物例え
ばNaBH4またはNaCNBH3を用いてのN−Boc
−保護されたポリミキシンBの還元分解により、または
例えば文献で知られているプロテアーゼフィシンを用い
る酵素分解によって得ることができる。この場合には、
N−オキシド−ピリジル−メトキシカルボニル保護基が
適当なN−保護基であることが判明した。
【0013】〔有用性〕本発明はさらに粘膜への適用に
おけるペプチドおよび蛋白質の吸収促進のための式Iの
化合物の使用に関する。本発明化合物は粘膜への適用に
おけるペプチドおよび蛋白質の吸収改善をかなり促進す
る。本発明化合物の添加後におけるペプチドまたは蛋白
質の活性増加(改善された吸収をベースとして)は30
0〜400%であり、しかも個別の場合には1000%
以上も可能である。
【0014】さらに本発明化合物は、10-5〜10-1m
ol/リットル濃度で1〜200μlをヒト鼻腔に適用す
ると、粘膜に対する疼痛感覚および損傷を全く生起させ
ない。また膣内、直腸または頬内投与用医薬形態(例え
ばフィルム剤、錠剤または坐薬)による上記と同一濃度
での局所使用も粘膜の刺激を全く生起させない。
【0015】治療剤または診断剤として使用されている
か、または間もなく使用されるであろう今日知られてい
るペプチドおよび蛋白質の大部分の場合には、例えば経
鼻、頬内、直腸、膣内または肺への使用のような粘膜へ
の適用特に経鼻による該適用が適切かつ可能である。
【0016】このために適当であるペプチドおよび蛋白
質は3〜225個のアミノ酸からなるものであり、例え
ばTRH(プロチレリン、チロリベリン)、LHRH
(ゴナドリベリン)、視床下部調整ホルモンの化学変性
ペプチド類似体例えばブセレリン、ソマトスタチンおよ
び環状ソマトスタチン類似体、ソマトレリン、GRH類
似体、下垂体ホルモンのペプチド類似体例えばコルチコ
トロピン類似体アルサクチド(ACTH−17)、カル
シウム調整ホルモン(カルシトニン、パラトルモン)お
よびそれらの類似体並びに胃腸ホルモン(例えばセクレ
チンおよびコレシストキニン)および膵臓ホルモン(イ
ンシュリンおよびインシュリン類似体)を挙げることが
できる。3〜51個のアミノ酸を有するものが特に適当
である。特に挙げれば下記のとおりである。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】これらのペプチドおよび蛋白質は一般に知
られている方法、例えばMerrifield合成、遺伝子工学お
よび天然産ペプチドおよび蛋白質を単離することにより
得ることができる。
【0021】〔製剤〕本発明はさらに a) それぞれがアミノ酸3〜225個特に好ましくは
3〜51個を有するペプチドまたは蛋白質1,2または
3種またはその生理学的に許容しうる塩の薬理学的活性
量、並びに b) 式Iで表される少なくとも1種の補助剤 からなる製剤に関する。
【0022】好ましい製剤は式I{式中Xはリジン、オ
ルニチン、2,4−ジアミノ酪酸(Dab)またはアル
ギニンであり、YおよびZは互いに独立していてリジ
ン、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸、アルギニン、
スレオニンまたはセリンであり、そしてR1、n、mお
よびlは前述の意味を有し、上記アミノ酸各々はD−ま
たはL−型で存在することが可能である}で表される補
助剤を含有するものである。
【0023】特に好ましい製剤は、ペプチドPMB−I
〜−IIIから選択される少なくとも1種の補助剤を含有
するものである。さらに本発明による製剤は、アミノ酸
3〜225個特に3〜51個を有するペプチドまたは蛋
白質を含有するのが好ましい。
【0024】しかし、特に診断剤として使用するために
は、少なくとも1種の式Iの補助剤と組合せて2または
3種の相異なるペプチドおよび/または蛋白質例えばコ
ルチコトロピン+LHRH+GRH、またはプロチレリ
ン+LHRH+GRHを含有する製剤もまた重要であ
る。
【0025】本発明による製剤または生成物におけるペ
プチドおよび/または蛋白質並びに式Iの補助剤の用量
は哺乳動物好ましくはヒトに用いる場合、ペプチド/蛋
白質当たり1使用につき10μg〜10mgであり、式I
の補助剤については1使用につき10-5〜10-1mol/
リットル、好ましくは10-4〜10-2mol/リットルの
濃度である。
【0026】本発明製剤は粘膜への適用により、すなわ
ち経鼻、頬内、直腸、肺腔または膣内投与で使用されう
る。ここでは経鼻投与が好ましい。本発明製剤は当業者
に知られている手法によって、製剤の製造に適している
賦形剤を加えて製造することができる。製剤は粘膜への
適用に特に適したものであって、例えば錠剤、坐薬、カ
プセル、ゲル、フィルム、乳液、懸濁液、エーロゾル、
溶液またはスプレーを挙げることができる〔Sucker, Fu
chs, Speiser, Pharmazeutische Technologie(Pharmac
eutical Technology), Georg Thieme Verlag197
8〕。
【0027】使用するのに好ましいのは下記のとおりで
ある。 1.滴下ピペットまたは中身をしぼり出せるプラスチッ
ク容器による適用または計量ネブライザーポンプによる
噴霧用の水性または水性−アルコール性溶液 活性化合物および吸収促進剤の外に該製剤は例えば等張
化用添加剤例えば塩化ナトリウム、硝酸カリウムまたは
カリウムナトリウムホスフェート、多価アルコール例え
ばグルコース、マンニトールもしくはソルビトール、緩
衝物質例えばカリウムナトリウムホスフェート、クエン
酸およびその塩並びに3〜8のpHを得るための上記2種
の混合物、保存剤例えばベンズアルコニウムクロリド、
ベンジルアルコール、1,1,1−トリクロロ−2−メチ
ル−2−プロパノールもしくはメチル4−ヒドロキシベ
ンゾエート、キレート剤例えばナトリウムEDTAおよ
び溶媒としての水または水と(C1〜C4)−アルカノー
ルとの混合物を含有することができる。該溶液は適当な
装置で適用されるかまたは鼻腔内にもしくは口腔粘膜上
に噴霧される。
【0028】2.体腔(口、鼻、直腸、膣)中への導入
用の水性または水性−アルコール性ゲル 前記1の外に、ゲルは粘度を増加させる添加剤例えばポ
リアクリレートポリマーまたはセルロースエーテル例え
ばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、
ヒドロキシエチルセルロース(HEC)もしくはメチル
ヒドロキシエチルセルロース(MHEC)を含有する。
【0029】3.噴射ガス中の懸濁液 微粉化活性化合物および微粉化吸収促進剤の外に、該製
剤は噴射ガスとしてのクロロフルオロ炭化水素例えば R
Frigen F11、12もしくは114(R=Hoechst社の
登録商標)またはその混合物またはフルオロ炭化水素例
えばテトラフルオロエタン(HFA 134a)もしく
はヘプタフルオロプロパン(HFA 227)並びに懸
濁助剤例えばソルビタントリオレート、オレイン酸また
はレシチンを含有することができる。容器はそれ自体知
られている手法で、低温充填法または加圧充填により充
填される。
【0030】4.鼻腔内または吸入用カプセル中に充填
した、担体補助剤と一緒にした粉薬 ハードゼラチンカプセルに、適切ならば流動性改善のた
めの剤例えばラクトースを添加後に、微粉化物質(活性
化合物および吸収促進剤)を充填する。カプセルの内容
物は、粉末を吸入可能なフュームに変換させ得る吸入助
剤で鼻腔内または肺に適用される。
【0031】5.バッカル剤形 活性化合物および吸収促進剤は溶解または懸濁された形
態で存在することができる。ポリマー中の活性化合物と
吸収促進剤との混合物の圧縮製品またはラミネートが適
当な薬物形態である。可能なポリマーはセルロースエー
テル(例えばHPMCまたはカルボキシメチルセルロー
ス(CMC))またはポリアクリレートである。
【0032】
【実施例】
実施例1:PMB−Iの合成 “テトラ−Boc−ポリミキシンB−オクタペプチド”
1.26g(1mmol)をピリジン10ml中に溶解し、2
−アミノチアゾール−4−イル−2−メトキシミノ酢酸
のHOBtエステル(HOBt=1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール)0.318gを加える。24時間後にピ
リジンを真空中で蒸発させ、残留物を酢酸エチル200
ml中に溶解し次いで溶液を最初はN/10塩酸200ml
次に水200mlで洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥後、
溶媒を除去し、残留物を再び酢酸エチル/メタノール
85:15の混合物中に溶解し、溶液をシリカゲルカラ
ム(4×50cm;70〜200μm;200g)上で同
一の溶媒混合物を用いてクロマトグラフィー処理する。
10mlの40フラクションを集める。フラクション21
〜35が所望物質を含有する。溶媒は回転蒸発器で真空
除去する。 中間体の収量:1.1g(理論値の76%) 分子量:1445g/mol(C651041619S) Rf値〔薄層クロマトグラフィーシリカゲル60F 254/Me
rck, Darmstadt, 酢酸エチル/メタノール 85:1
5〕=0.51
【0033】Boc保護基の分裂 中間体1.1gをトリフルオロ酢酸10ml中で氷冷却し
ながら溶解し次いで溶液を室温で2時間放置する。濃縮
後、固形残留物をエーテルで摩砕し、濾去し、エーテル
ですすぎ次いでP25で真空乾燥する。 収量:0.96g(78.2%) 分子量:1046g/mol(C45721611S×5C
3CO2H) Rf値〔薄層クロマトグラフィーシリカゲル60F 254/Me
rck, Darmstadt, 移動相n−ブタノール(50)、ピリ
ジン(20)、氷酢酸(6)、水(24)〕=0.1
1。
【0034】実施例2:PMB−IIの合成 “テトラ−Boc−ポリミキシンBオクタペプチド”
1.25g(1mmol)をピリジン10ml中に溶解し、没
食子酸のHOBtエステル0.287gを加える。48
時間後にピリジンを留去し、残留物を酢酸エチル200
ml中に溶解し次いでこの溶液を最初はN/10塩酸20
0ml次に水200mlで洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥
後、溶媒を除去し、残留物を再び酢酸エチル/メタノー
ル(85:15)の混合物中に溶解し、溶液を同一の溶
媒混合物を用いてクロマトグラフィー処理する。あらか
じめ半濃縮塩酸で洗浄して鉄を除去し、次いで中性反応
が得られるまで水で洗浄しそして130℃で乾燥したシ
リカゲル(70〜200μm)が担体物質として使用さ
れる。15mlの40フラクションが溶出される。フラク
ション34〜39が所望物質を含有する。溶媒は回転蒸
発器で真空除去する。 中間体の収量:0.89g(62.8%) 分子量=1414.5g/mol。
【0035】Boc保護基の分裂は実施例1と同様にし
て実施した。 収量:0.79g(86%) 分子量:1014g/mol(C46711313×4CF3
CO2H=1470.21) Rf値(実施例1記載のと同様の分離系):0.05
【0036】実施例3:PMB−IIIの合成 “テトラ−Boc−ポリミキシンBオクタペプチド”
1.26g(1mmol)をピリジン10ml中に溶解し、フ
ェニル酢酸のヒドロキシスクシンイミドエステル0.2
33g(1mmol)を加える。室温での20時間の反応時
間経過後に残留物を酢酸エチル200ml中に溶解し、溶
液をN/10塩酸200ml次に水200mlで洗浄する。
硫酸ナトリウムで乾燥後に溶媒を除去し、残留物を再び
酢酸エチル/メタノール(85:15)の混合物中に溶
解し、溶液をシリカゲルカラム(4×50cm;70〜2
00μm;200g)で同一の溶媒混合物を用いてクロ
マトグラフィー処理する。15mlの40フラクションを
除去する。フラクション20〜39が所望生成物(C67
1051318)を含有する。溶媒は回転蒸発器で真空
除去する。 中間体の収量:0.85g(61.2%) 分子量:1386g/mol(Li塩) Rf値(実施例1と同様の薄層クロマトグラフィー)=
0.57
【0037】保護基の分裂は実施例1のようにして実施
した。 収量:0.59g(97.7%) 分子量:980g/mol(C47731310) Rf値(実施例1同様の薄層クロマトグラフィー溶剤混
合物):0.26
【0038】実施例4:LHRHまたはLHRH類似体
の作用についての調査 本発明のシクロペプチドによる、ペプチドまたは蛋白質
の作用強化を証明するのに適当な方法は、例えばエチル
カルバメートで麻酔した雄ラット(100g体重)にお
けるLH放出の測定である。該方法において、ホルモン
放出は処置後すなわち式Iのシクロペプチドの添加を行
うかまたは行わないで生理食塩溶液中に入れたLHRH
またはLHRH類似体を鼻腔または直腸投与した後に6
〜7時間にわたり比較する。LH放出ベースにして、ブ
セレリン10mgの鼻腔内投与量の作用の例えば21−〜
32−倍の増加が0.01M濃度のペプチドPMB−I
〜−IIIによって達成されることが判明した。LHRH
800ngの鼻腔投与量の作用は、さらに曲線下の面積を
基準にして、同一の動物モデルにおいてペプチドPMB
−I〜−IIIによって3〜6のファクターで強化され
た。
【0039】 実施例5:ACTHの作用強化についての調査 フェノバルビタールまたはエーテルで麻酔した雄ラット
(100g体重)に実施例4の供試物質を適用した後
に、ACTH(コルチコトロピン)およびACTH類似
体の吸収に及ぼす式Iのシクロペプチドの作用を調査し
た。コルチコステロンの放出は作用パラメーターとして
特異的ラジオイムノアッセイにより血清中で測定した。
例えばペプチド(PMB−I〜−III)の存在下でのA
CTH類似体アルサクチド(ACTH−17)1.5μ
gの投与量で経鼻処置した後には、コルチコステロン放
出が3時間で2−〜3−倍増加されることが判明した。
【0040】 実施例6:カルシトニンの作用強化についての調査 カルシトニンおよびカルシトニン類似体(例えばサーモ
ンカルシトニン)の吸収に及ぼす式Iのシクロペプチド
の作用は、実施例4の供試物質を体重100gまたは2
00gの雄ラットに適用した後にその血清カルシウムレ
ベルを1〜6時間にわたり測定することによって調査し
た。
【0041】サーモンカルシトニン1.2μgの経鼻投
与量の作用は例えば0.01M濃度のペプチドPMB−
Iの添加により、血清カルシウムレベルの減少に基づい
て3.4−倍増加されることが判明した。
【0042】 実施例7:インシュリンの作用強化についての調査 エーテルで麻酔した体重100gの雄ラットに実施例4
の供試物質を適用した後に、ヒトインシュリンまたはそ
の他のインシュリンの経鼻吸収に及ぼす式Iのシクロペ
プチドの作用を調査した。血中グルコースレベルの減少
を作用のパラメーターとして利用する。0.01M濃度
のペプチドPMB−I〜−IIIはヒトインシュリン20
IU/kgの経鼻吸収を3〜4のファクターで改善しうる
ことが判明した。
【0043】実施例8:粘膜許容性についての調査 吸収増加用の補助剤として用いる式Iのシクロペプチド
の許容性は、モルモットの単離された胃腸粘膜で試験す
ることができる〔Wirth K, Bickel M & Deutschlaender
N (1987):Patent Blue permeation through the isol
ated guinea pig gastric mucosa: a quantitative met
hod for the assessment of gastric irritants. Med.
Sci. Res. 15, 881〜882参照〕。同様のモデルでウシの
鼻粘膜が使用される〔Ditzinger G, Sandow J, Merkle
HP (1990): In vitro model tornasal peptide deliver
y: Enhancement effects of cyclopeptides on the tra
nsport rate of two oligopeptides. Proceed. Intern.
Symp. Contr. Rel. Bioact. Mater. 17, 220〜221参
照〕。粘膜損傷のマーカー物質としてのパテントブレー
(Patent Blue)の浸透を後者のモデルを用いて調査し
た。吸収強化剤として用いられる胆汁酸例えばナトリウ
ムデオキシコレートもしくはナトリウムグリココレート
または吸収強化剤として用いられる界面活性剤例えばポ
リデカノール(Laureth−9)はパテントブレーの浸透
を約300%増加させたが、ペプチドPMB−I〜−II
Iは全く浸透割合に影響を示さない。
【0044】実施例9:経鼻溶液 ブセレリン 0.15mg ペプチド PMB−I 1.50mg 塩化ナトリウム 0.80mg クエン酸・H2O 0.11mg クエン酸ナトリウム・2H2O 0.15mg ベンズアルコニウムクロリド 0.01mg ジナトリウム EDTA 0.01mg 水(精製された)を加えて 0.1000ml
にする。
【0045】実施例10:ゲル アルサクチド(ACTH−17) 0.003mg ペプチド PMB−II 1.200mg ポリアクリル酸 940 0.400mg 水酸化ナトリウム溶液、15% 0.900mg グリセロール 15.000mg メチル4−ヒドロキシベンゾエート 0.150mg 精製水を加えて 100.000mlと
する。
【0046】実施例11:坐薬 サーモンカルシトニン 0.200mg ペプチド PMB−III 1.000mg 坐薬基剤(硬脂肪)を加えて 2.500gと
する。
【0047】実施例12:診断剤 プロチレリン 0.050mg ゴナドリベリン 0.025mg ソマトリベリン 0.025mg ペプチド PMB−I 0.250mg クエン酸・H2O 0.170mg リン酸1水素2ナトリウム・12H2O 1.100mg 塩化ナトリウム 0.600mg ベンジルアルコール 1.000mg 精製水を加えて 0.100mlと
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ギユンター・デイツインガー ドイツ連邦共和国デー−6230フランクフル ト・アム・マイン.シユトルヒガセ23 (72)発明者 ハンス−ペーター・メルクレ スイス国ツエー・ハー−8049ツユーリヒ. オテンベルクシユトラーセ20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I 【化1】 〔式中、Xは塩基性L−またはD−アミノ酸であり、 Yは中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であり、 Zは中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であっ
    て、Yと同一または相異なることが可能であり、 R1はN−に結合される、式II 【化2】 {式中、Arはヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキ
    シ、アミノ、カルボキシル、(C1〜C4)−アルキルア
    ミノおよびハロゲンからなる系より選択される同一また
    は相異なる基1、2または3個によって場合により置換
    されているフェニル基であるか、または2−アミノチア
    ゾール−4−イル基であり、pは0〜4の整数でありそ
    してqは0または1である}のアシル基でありそして
    n、mおよびlは互いに独立して0または1である〕で
    表される化合物またはその生理学的に許容しうる塩。
  2. 【請求項2】 式中、Xがリジン、オルニチン、2,4
    −ジアミノ酪酸またはアルギニンであり、YおよびZが
    互いに独立していてリジン、オルニチン、2,4−ジア
    ミノ酪酸、アルギニン、スレオニンまたはセリンであ
    り、そしてR1、n、mおよびlが前述の意味を有し、
    上記アミノ酸の各々がD−またはL−型で存在すること
    が可能である、請求項1記載の式Iの化合物。
  3. 【請求項3】 下記の式 ペプチド PMB−I: 【化3】 で表される化合物またはその生理学的に許容しうる塩。
  4. 【請求項4】 下記の式 ペプチド PMB−II: 【化4】 で表される化合物またはその生理学的に許容しうる塩。
  5. 【請求項5】 下記の式 ペプチド PMB−III: 【化5】 で表される化合物またはその生理学的に許容しうる塩。
  6. 【請求項6】 粘膜への適用時におけるペプチドおよび
    蛋白質吸収促進用製剤を調製するための請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物の使用。
  7. 【請求項7】 a) それぞれがアミノ酸3〜225個
    特に好ましくは3〜51個を有するペプチドまたは蛋白
    質1、2または3種またはその生理学的に許容しうる塩
    の薬理学的活性量、および b) 下記式I 【化6】 〔式中、Xは塩基性L−またはD−アミノ酸であり、 Yは中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であり、 Zは中性または塩基性L−またはD−アミノ酸であっ
    て、Yと同一または相異なることが可能であり、 R1はN−に結合される、式II 【化7】 {式中、Arはヒドロキシル、(C1〜C4)−アルコキ
    シ、アミノ、カルボキシル、(C1〜C4)−アルキルア
    ミノおよびハロゲンからなる系より選択される同一また
    は相異なる基1、2または3個によって場合により置換
    されているフェニル基であるか、または2−アミノチア
    ゾール−4−イル基であり、pは0〜4の整数でありそ
    してqは0または1である}のアシル基でありそして
    n、mおよびlは互いに独立して0または1である〕で
    表される補助剤少なくとも1種または該補助剤の生理学
    的に許容しうる塩を含有する製剤。
  8. 【請求項8】 アミノ酸3〜225個を有するペプチド
    または蛋白質を含有する請求項7および8のいずれか1
    項に記載の製剤。
  9. 【請求項9】 アミノ酸3〜51個を有するペプチドま
    たは蛋白質を含有する請求項7および8のいずれか1項
    に記載の製剤。
  10. 【請求項10】 a) それぞれがアミノ酸3〜225
    個特に好ましくは3〜51個を有するペプチドまたは蛋
    白質1、2または3種またはその生理学的に許容しうる
    塩、並びに b) 式Iで表される補助剤少なくとも1種、を粘膜へ
    の適用に適した剤形にすることからなる、請求項7また
    は8のいずれか1項に記載の製剤を調製する方法。
JP5122478A 1992-05-26 1993-05-25 シクロペプチドおよび粘膜への適用時における吸収促進剤としてのその使用 Pending JPH0672899A (ja)

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