JPH0672224B2 - ピツチの製造方法 - Google Patents

ピツチの製造方法

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JPH0672224B2
JPH0672224B2 JP62090673A JP9067387A JPH0672224B2 JP H0672224 B2 JPH0672224 B2 JP H0672224B2 JP 62090673 A JP62090673 A JP 62090673A JP 9067387 A JP9067387 A JP 9067387A JP H0672224 B2 JPH0672224 B2 JP H0672224B2
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thermal reforming
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真樹 佐藤
義昭 松井
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は製鋼用黒鉛電極,アルミニウム製錬用電極等の
炭素材料を製造する際に用いられるバインダーピツチ、
含浸ピツチなどに適したピツチを得るためのコールター
ルピツチの改質法に関するものである。
(従来の技術) 炭素材料の多くは石油コークス、ピツチコークス等のフ
イラーにピツチ、タール等のバインダーを加えて成形
し、次いで炭化する事により製造されている。さらに、
必要に応じピツチ、タール等を含浸して再焼成し、密
度、強度を向上させている。製鋼用黒鉛電極の製造の際
はこの再焼成品を電気炉を用いて、窒素、アルゴン等の
不活性気体中、もしくは詰め粉を行つて空気を遮断した
状態で約3000℃に加熱し、コークスを黒鉛に変化させて
いる。
製鋼用黒鉛電極,アルミニウム製錬用電極等の炭素材料
の原料の一つであるバインダーピツチと含浸ピツチは以
下のような性質を要求されている。バインダーピツチの
場合は粘結性が良いこと、炭化率が高いことが要求され
ている。一般的な性状としては、次のものが挙げられ
る。
軟化点(SP) 90〜115℃ トルエン不溶分(TI) 25〜35重量% キノリン不溶分(QI) 8〜20重量% 固定炭素(FC) 55〜65重量% ここで固定炭素とはJIS規格で定められた分析法により
求められるものであるが、固定炭素が高くなると炭化率
も高くなるという良い相関があるのでピツチの炭化率を
評価する重要な指標として用いられている。
また、含浸ピツチも含浸性の良いこと、炭化率の高いこ
とが要求されている。一般的な性状としては、次のもの
が挙げられる。
軟化点(SP) 約80℃ トルエン不溶分(TI) 約15重量% キノリン不溶分(QI) 3重量%以下 固定炭素(FC) 50〜55重量% バインダーピツチは炭化率が低いため、炭化工程で揮発
する部分が多く、製品中に多くの気孔を残すので高密
度、高強度の製品を得ることが難しい。そこで焼成後、
含浸ピツチ等で含浸し再焼成する工程を数回繰返し密
度、強度を向上させているのが現状である。このような
現状からバインダーピツチ、含浸ピツチの炭化率の向上
が強く望まれている。
(発明が解決しようとする問題点) 現在、製鋼用黒鉛電極,アルミニウム製錬用電極等の炭
素材料の原料の一つであるバインダーピツチ、含浸ピツ
チは主として石炭系の原料から製造されている。通常の
コールタール連続蒸留から得られるピツチ(軟ピツチ)
の性状は前記のバインダーピツチ、含浸ピツチとして要
求される特性値と比較すればいずれも低く、種々の改質
操作を加える必要がある。通常バインダーピツチは軟ピ
ツチを用途に応じて300〜500℃で2〜24時間熱改質して
製造されている。また、含浸ピツチは含浸性を阻害する
物質を除去した後、熱改質して製造されている。バイン
ダーピツチ、含浸ピツチの熱改質反応は液相で進行す
る。液相での熱改質反応は重合反応が進むとメソフエー
スが生成しやすい特徴をもつている。バインダーピツチ
中のメソフエースは流動性を阻害したり、焼成電極の組
織上の欠陥を生じさせてクラツク発生の原因となつたり
する。また、含浸ピツチ中のメソフエースは流動性、浸
透性を阻害させ、含浸効率を低下させる。したがつてバ
インダーピツチ、含浸ピツチにはメソフエースが含まれ
ないように加熱条件を制御して製造する。メソフエース
は光学的異方性を有しているので、ピツチがメソフエー
スを含有するかどうかは、偏光顕微鏡で観察すれば容易
に織別できる。
一方、重質油あるいはピツチを水素存在下で熱改質する
方法は炭素繊維用原料ピツチやニードルコークス用原料
ピツチに関して行なわれている。たとえば炭素繊維用原
料ピツチに関しては触媒を用いて水素化する方法(特公
昭45−28013号)、無触媒で水素化改質する方法(特開
昭57−168989号,特開昭57−1689900)、等が提案され
ている。また、ニードルコークス用原料ピツチに関して
は、触媒の存在下に水素化する方法(特開昭60−149690
号)等が提案されている。しかし、これらはいずれもメ
ソフエースを生成させ、異方性組織を発達させるピツチ
を目的としており、このような方法で得られたピツチは
バインダーピツチ、含浸ピツチ用には適さない。
本発明は前述の問題点を解決し炭化率が高く、かつメソ
フエースを含有しないピツチを製造する方法を提供しよ
うとするものである。
(問題点を解決する手段) すなわち本発明は、コールタールピツチを水素化触媒の
存在下に水素化度が5g−H/Kg−ピツチ以上でかつ脱窒素
率が80重量%以下の範囲で水素化精製を行なつた後、35
0〜450℃,0.5〜10時間密閉系で熱開質してピツチを製造
するものである。また、水素化触媒の存在下に水素化度
が水素吸収量で5g−H/Kg−ピツチ以上でかつ脱窒素率で
80重量%以下の範囲で水素化精製を行なつたコールター
ルピツチを水素化精製を行なわないピツチに添加し、35
0〜450℃,0.5〜10時間密閉系で熱改質してピツチを製造
するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。原料となるコー
ルタールピツチには軟化点70℃以下の軟ピツチ、軟化点
70〜85℃の中ピツチ、軟化点85℃以上の硬ピツチがあ
り、いずれも使用可能であるが、取り扱いの点で軟ピツ
チを使用することが有利である。
一般にコールタールピツチには窒素分が1〜2重量%程
度含有されている。コールタールピツチを水素化すると
最初は核水添反応が起こりやすく、脱窒素反応は比較的
起こりにくい。水素化反応がさらに進むと核分解反応が
著しく増加するため脱窒素反応が進行する。水素吸収量
は、水素化精製の初期の段階では反応が進むにつれて、
大きくなるため水素化の指標となりうる。しかし、脱窒
素率は核分解反応が少ないので増加が小さく、指標とな
りにくい。一方、水素化反応が進展し、核水添反応の段
階から核分解反応の段階になると水素吸収量は増加せ
ず、脱窒素率が増加してくる。このため、水素吸収量は
水素化の指標とはなりにくく、逆に脱窒素率の方が水素
化の進行度を良く反映することになる。したがつて本発
明においては水素吸収量と脱窒素率とによつて水素化の
程度を制御しておくものである。
水素吸収量は原料のコールタールピツチの重量と水素化
精製で消費された水素の重量との比から算出される。ま
た脱窒素率は原料のコールタールピツチの窒素含有量と
これを水素化精製して軟化点を調製したピツチの窒素含
有量との比から算出される。
水素吸収量が5g−H/Kg−ピツチ未満では核水添等の水素
化反応が不十分であり、熱改質を行なつても高炭化率の
ピツチが得られない。また、脱窒素率が80重量%を越え
る場合は核分解反応が著しく増加するため、ピツチの軽
質化が起こり、炭化率が減少する。
水素化精製は水素化触媒の存在下に行なう。水素化触媒
としては、重油などの炭化水素油の水素化精製に用いら
れる水素化触媒が使用できる。このような触媒は、たと
えば特公昭52−39044号、特公昭53−6113号、特公昭53
−29392号、特公昭53−36435号等に示されている。
一般的には、水素化触媒としてニツケル、モリブデン、
コバルト、タングステン等の遷移金属を主成分とする酸
化物、硫化物が使用できる。ニツケル−モリブデン、ニ
ツケル−タングステンを組み合わせた触媒は活性および
寿命が優れる。かかる触媒はシリカまたはアルミナ等の
担体に担持させるのも効果的である。
水素化触媒は、固定床、懸濁床、沸騰床等の状態で使用
される。水素化反応はバツチ反応でも連続反応であつて
も差し支えないが、連続水素化精製する方法は工業的に
有利である。水素化条件はバツチ反応の場合、たとえば
50〜30Kg/cm2G水素圧、300〜500℃の反応温度、300〜20
00Nl/の水素/コールタール系原料比である。反応時
間は触媒の種類、量、反応温度等の条件によつて異なる
が、いずれにしても水素吸収量が5g−H/Kg−ピツチ以上
となるまで行なう。好ましくは10g−H/Kg−ピツチ以上
である。水素化精製は脱窒素率で80重量%を超えないよ
うにする。好ましくは脱窒素率で65重量%以下である。
脱窒素率が80重量%を超えると、核分解反応が著しく進
行し、ピツチが軽質化しすぎるため、これを熱改質して
も炭化率の高いピツチが得られない。また、連続反応の
場合の反応条件はバツチ反応の場合と同様であるが、反
応時間、すなわち接触時間は液基準空間速度として0.1
〜2Hr-1,好ましくは0.5〜1.5Hr-1が適当である。
水素化精製を行なつたピツチは密閉系で熱改質を行ない
バインダーピツチ、含浸ピツチとする。密閉系の熱改質
は水素化精製を行なつたピツチを全量で行なつても良い
し、さらにはこのように水素化精製を行なつたピツチを
水素化精製を行なわないピツチに添加して行なつても良
い。水素化精製を行なつたピツチを添加して密閉系で熱
改質する場合は、水素化精製を行なつたピツチの添加量
は、水素化度にもよるが、5重量%以上が良い。好まし
くは10重量%以上である。水素化度は、水素化精製を行
なつたピツチを単独で熱改質を行なう場合よりもやや高
めに設定することが有利である。
熱改質は密閉系で行なうことが重要である。開放系で熱
改質を行なうと、熱分解で生成した水素、脂肪族化合物
が系外に散逸し、熱分解反応が連続的に進行する結果、
ピツチの低分子量化が過度に進み、炭化率が低くなる。
開放系では改質効果がなく、炭化率が逆に低下する場合
もある。密閉系での熱改質の方法としては、オートクレ
ーブ、管型反応器等、熱改質反応にともない発生するガ
スが系内に閉じこめられる装置を用いればよい。
熱改質は自生圧下でも加圧下でもよい。また、熱改質の
雰囲気は一般的に行なわれているピツチの熱改質と同様
に不活性ガス雰囲気下で行なえばよい。
水素化精製を行なつたピツチを単独で熱改質を行なう場
合、熱改質条件は350〜450℃、0.5〜10時間である。好
ましくは360〜380℃,4〜6時間である。熱改質温度が35
0℃未満では熱改質効果が小さく、450℃を超える温度で
はメソフエースが生成するので好ましくない。熱改質時
間が0.5時間未満では熱改質効果が小さく、10時間を超
える時間ではメソフエースが生成するので好ましくな
い。一方、水素化精製を行なつたピツチを水素化精製を
行なわないピツチに添加して熱改質を行なう場合は、水
素化精製を行なつたピツチを単独で熱改質を行なう場合
と比べると、メソフエースが生成しにくくなるので、そ
の熱改質条件は若干緩和される。たとえば、1時間の熱
改質を考えると、450℃でメソフエースが生成するピツ
チは水素化精製を行なうことにより、メソフエース生成
温度が低下し、430℃でメソフエースが生成する。この
水素化精製を行なつたピツチを水素化精製を行なわない
ピツチに対して25重量%添加した混合ピツチでは430℃,
1時間の熱改質ではメソフエースが生成せず、より高い
温度で熱改質することができ、より良い改質効果が期待
できる。
(作用) コールタールピツチは縮合芳香族多環化合物の混合物で
ある。コールタールピツチを水素ガスで水素化精製を行
なうと、核水添反応と核分解反応が起こる。核水添反応
ではナフテン環が生成する。芳香族化合物はナフテン環
の生成により粘度が低下する。一方、核分解反応では芳
香環の破壊が起こり、縮合環数が減り、脂肪族側鎖が増
加する。縮合環数が減り低分子量化することによつても
粘度が低下する。すなわち、ピツチを水素化精製するこ
とにより、ピツチの構成成分の芳香族環数が減少して低
分子量化するとともに、ナフテン環が増加し、脂肪族側
鎖が増加し、粘度が低下する。
この水素化精製されたピツチを密閉系で熱改質を行なう
と、熱分解で生成した水素、脂肪族化合物等の熱分解ガ
スが系内に閉じこめられるため、過度の熱分解反応が抑
制される。その結果、粘度を低下させ、炭化率を大きく
変化させない適当な分子量分布をもつたピツチが得られ
ると考えられる。すなわち、同じ軟化点(粘度と重要な
相関がある)で比較した場合、炭化率が向上することに
なる。
また、水素化精製を行なつたピツチを水素化精製を行な
わないピツチに添加して炭化率が向上する理由は以下の
ように考えられる。水素化精製を行なつたピツチは水素
供与能が極めて高いため、これを水素化精製を行なわな
いピツチに添加して得られた混合ピツチを密閉系にて熱
改質を行なうと、水素化精製を行なつたピツチが水素化
精製を行なわないピツチに対して水添溶剤として作用
し、混合ピツチの粘度を低下させる。一方、水素化精製
を行なわないピツチは水素化精製を行なつたピツチに比
べて炭化率が高く、水素化精製を行なつたピツチを添加
しても炭化率は大きくは低下することはない。したがつ
て、粘度が低下し、炭化率は大きく低下しないので、同
じ軟化点(粘度と重要な相関がある)で比較した場合、
炭化率が向上することになる。
(実施例) 実施例1 固定床連続水素化精製装置を用い、反応温度は398℃、
反応圧力150Kg/cm2G、液空間速度1.98Hr-1、水素化触媒
として市販されているNi−Mo/アルミナ系水素化触媒で
コールタールピツチ(SP−1とする)を水素化精製し
た。水素化精製されたタールピツチを減圧蒸留して、軽
質油分を20重量%除去し、第1表の特性を有する軟ピツ
チ(HP−1)を得た。
このピツチを100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置
換した後、自生圧下で380℃,5時間熱改質を行なつた。
反応終了時の圧力は3Kg/cm2Gであつた。次にこのピツチ
を蒸留で軽質分を除去し、キノリン不溶分量が約10重量
%になるように調整した後、軟化点を約90℃に調製し
た。得られたピツチの特性値を第2表に示す。
実施例2 実施例1の水素化精製装置を用い、反応温度は402℃、
反応圧力150Kg/cm2G、液空間速度1.33Hr-1の条件でSP−
1を水素化精製した。水素化精製されたタールピツチを
減圧蒸留して、軽質油分を20重量%除去し、第1表の特
性を有する軟ピツチ(HP−2)を得た。
このピツチを100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置
換した後、自生圧下で380℃,5時間熱改質を行なつた。
反応終了時の圧力は5Kg/cm2Gであつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製し
た。得られたピツチの特性値を第2表に示す。
実施例3 実施例1の水素化精製装置を用い、反応温度は400℃、
反応圧力150Kg/cm2G、液空間速度0.75Hr-1の条件でSP−
1を水素化精製した。水素化精製されたタールピツチを
減圧蒸留して、軽質油分を20重量%除去し、第1表の特
性を有する軟ピツチ(HP−3)を得た。
このピツチを100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置
換した後、自生圧下で380℃,5時間熱改質を行なつた。
反応終了時の圧力は20Kg/cm2Gであつた。次にこのピツ
チを実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製し
た。得られたピツチの特性値を第2表に示す。
比較例1 SP−1を100mlのガラス製反応管に50g仕込み、窒素気流
下で、380℃,5時間熱改質を行なつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で軟化点を約90℃に調製した。
得られたピツチの特性値を第2表に示す。
第2表より、実施例1,実施例2,実施例3のいずれの場合
も比較例1に比べて得られたピツチの固定炭素が高く、
炭化率が向上していることがわかる。
実施例4 HP−1を100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置換し
た後、自生圧下で360℃,5時間熱改質を行なつた。反応
終了時の圧力は2Kg/cm2Gであつた。次にこのピツチを実
施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製した。得
られたピツチの特性値を第3表に示す。
比較例2 SP−1を100mlのガラス製反応管に50g仕込み、窒素気流
下で、360℃,5時間熱改質を行なつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製し
た。得られたピツチの特性値を第3表に示す。
第3表より、実施例4は比較例2に比べて得られたピツ
チの固定炭素が高く、炭化率が向上していることがわか
る。
実施例5 HP−1を100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置換し
た後、自生圧下で430℃,1時間熱改質を行なつた。反応
終了時の圧力は25Kg/cm2Gであつた。次にこのピツチを
実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製した。
得られたピツチの特性値を第4表に示す。
比較例3 SP−1を100mlのガラス製反応管に50g仕込み、窒素気流
下で、380℃,5時間熱改質を行なつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で軟化点を約90℃に調製した。
得られたピツチの特性値を第4表に示す。
第4表より、実施例5は比較例3に比べて得られたピツ
チの固定炭素が高く、炭化率が向上していることがわか
る。
実施例6 HP−1を100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置換し
た後、自生圧下で350℃,10時間熱改質を行なつた。反応
終了時の圧力は2Kg/cm2Gであつた。次にこのピツチを実
施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製した。得
られたピツチの特性値を第5表に示す。
比較例4 SP−1を100mlのガラス製反応管に50g仕込み、窒素気流
下で、350℃,10時間熱改質を行なつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で軟化点を約90℃に調製した。
得られたピツチの特性値を第5表に示す。
第5表より、実施例6は比較例4に比べて得られたピツ
チの固定炭素が高く、炭化率が向上していることがわか
る。
実施例7 実施例1の水素化精製装置を用い、反応温度は400℃、
反応圧力150Kg/cm2G、液空間速度1.68Hr-1の条件でコー
ルタールピツチ(SP−2とする)を水素化精製した。水
素化精製されたタールピツチを減圧蒸留して、軽質油分
を20重量%除去し、第6表の特性を有する軟ピツチ(HP
−4)を得た。
このピツチを100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素置
換した後、自生圧下で380℃,5時間熱改質を行なつた。
反応終了時の圧力は3Kg/cm2Gであつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製し
た。得られたピツチの特性値を第7表に示す。
比較例5 SP−2を100mlのガラス製反応管に50g仕込み、窒素気流
下で、380℃,5時間熱改質を行なつた。次にこのピツチ
を実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製し
た。得られたピツチの特性値を第7表に示す。
第7表より、実施例7は比較例5に比べて得られたピツ
チの固定炭素が高く、炭化率が向上していることがわか
る。
実施例8 SP−1に実施例2の方法で水素化精製ピツチを10重量%
添加したものを100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素
置換した後、自生圧下で360℃,5時間熱改質を行なつ
た。反応終了時の圧力は2Kg/cm2Gであつた。次にこのピ
ツチを実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製
した。得られたピツチの特性値を第8表に示す。
実施例9 SP−1に実施例2の方法で水素化精製ピツチを25重量%
添加したものを100mlオートクレーブに50g仕込み、窒素
置換した後、自生圧下で360℃,5時間熱改質を行なつ
た。反応終了時の圧力は2Kg/cm2Gであつた。次にこのピ
ツチを実施例1と同様の方法で、軟化点を約90℃に調製
した。得られたピツチの特性値を第8表に示す。
第8表より、実施例8、実施例9は比較例2に比べて得
られたピツチの固定炭素が高く、炭化率が向上している
ことがわかる。
(発明の効果) 本発明により、炭化率が高く、かつメソフエースを含有
しないピツチが製造できる。本発明の方法により製造さ
れたピツチはバインダーピツチ、含浸ピツチとして高性
能であり、製鋼用黒鉛電極、アルミニウム製錬用炭素電
極等の製造原料として用いた場合、製品歩留の向上、製
品特性の向上等が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 正弘 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社第1技術研究所内 (72)発明者 藤本 研一 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社第1技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コールタールピツチを水素化触媒の存在下
    に水素化度が水素吸収量で5g−H/Kg−ピツチ以上でかつ
    脱窒素率で80重量%以下の範囲で水素化精製を行なつた
    後、350〜450℃,0.5〜10時間密閉系で熱改質することを
    特徴とするピツチの製造方法
  2. 【請求項2】水素化度が水素吸収量で10g−H/Kg−ピツ
    チ以上でかつ脱窒素率で65重量%以下であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項に記載のピツチの製造方法
  3. 【請求項3】水素化精製を行なつた後、360〜380℃,4〜
    6時間熱改質することを特徴とする特許請求の範囲第1
    項に記載のピツチの製造方法
  4. 【請求項4】水素化触媒の存在下に水素化度が水素吸収
    量で5g−H/Kg−ピツチ以上でかつ脱窒素率で80重量%以
    下の範囲で水素化精製を行なつたコールタールピツチを
    水素化精製を行なわないピツチに添加し、350〜450℃,
    0.5〜10時間密閉系で熱改質することを特徴とするピツ
    チの製造方法
  5. 【請求項5】水素化精製を行なつたピツチを水素化精製
    を行なわないピツチに対して10重量%以上を添加するこ
    とを特許請求の範囲第4項に記載のピツチの製造方法
  6. 【請求項6】水素化度が水素吸収量で10g−H/Kg−ピツ
    チ以上でかつ脱窒素率で65重量%以下であることを特徴
    とする特許請求の範囲第4項に記載のピツチの製造方法
  7. 【請求項7】水素化精製を行なつた後、360〜380℃,4〜
    6時間熱改質することを特徴とする特許請求の範囲第4
    項に記載のピツチの製造方法
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