JP2001316679A - 重質炭化水素油の水素化精製方法 - Google Patents

重質炭化水素油の水素化精製方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫黄分、アスファルテン分と共に、重金属分
を含む重質炭化水素油を水素化処理する際に使用する水
素化処理触媒の活性低下を抑制することができる重質炭
化水素油の水素化処理方法を提供する。 【解決手段】 3種類の触媒を前段リアクタ1、中段リ
アクタ2、後段リアクタ3に充填して使用し、前段触媒
として、ホウ素を触媒基準、酸化物換算で1〜12質量
%含む含ホウ素アルミナ担体に第VI族金属を担持し、
触媒の平均細孔径が19nm〜25nm、比表面積が7
0〜130m/gの重質炭化水素油の水素化処理触
媒、亜鉛を触媒基準、酸化物換算で1〜15質量%含む
含亜鉛アルミナ担体に周期律表第VI族金属を担持し、
触媒の平均細孔径が19〜35nm、比表面積が70〜
150m/gの重質炭化水素油の水素化処理触媒、又
は多孔性炭素担体に周期律表第VI族金属を担持し、触
媒の平均細孔径が10〜100nm、比表面積が70〜
1500m/gの重質炭化水素油の水素化処理触媒を
使用し、かつリアクタ1の上部より水を注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重質炭化水素油の
水素化処理方法に関し、詳しくは硫黄分、アスファルテ
ン分と共に、ニッケル、バナジウム等の重金属分を含む
重質炭化水素油を水素化処理する際に使用する水素化処
理触媒の活性低下を抑制することができる重質炭化水素
油の水素化処理方法に関する。
【0002】
【技術背景】日本における石油製品の需要動向は白油化
の傾向にあり、硫黄分、金属分、アスファルテン分を多
量に含む常圧残油や減圧残油を水素化処理することによ
り中間留分を増産することが重要となっている。また、
重油留分に関しては、産業燃料用としての利用やFCC
の原料油として要求されるレベルは高く、水素化処理に
よる低硫黄重油を精製する技術に関する研究が盛んに行
われている。
【0003】近年、原油は重質化しており、ニッケル、
バナジウム等の金属化合物を多量に含む重質炭化水素油
を接触処理工程に付すと、これらの金属化合物が触媒上
に多量に沈着して触媒の活性を低下させ、触媒寿命を短
縮させる。従って、このような原料油の重質化に対応し
た触媒活性の向上が求められている。また、重質炭化水
素油は、巨大分子量成分であるアスファルテンを含有し
ており、このような難反応性の巨大分子を分解すること
が求められている。
【0004】一方、常圧残油の水素化脱硫装置は、通常
1年間の商業運転を行い、定期点検や触媒交換等を行っ
ているが、触媒活性の向上や劣化抑制を図ることができ
れば、商業運転の期間を1.5年間や2年間に延長可能
となり、触媒費用、定期点検や触媒交換等の作業費用の
低減、原料油の重質化や運転条件等のフレキシビリティ
ーが増大し、多大な経済効果が期待できる。
【0005】J.D.Shoemakerらは、固定床
のリアクタを直列に接続し、触媒床の間に空間を設け、
その空間にクエンチとして水を導入することで、触媒の
初期の劣化を抑制できると報告している(USP3,7
53,894)。しかし、このプロセスの使用触媒は、
細孔径が100Å以下であり、重質な常圧残油の水素化
処理に耐え得るものではなく、また劣化に関しても評価
日数が1ヶ月未満と短く、最低1年間の商業運転を考え
た場合、重要な反応中期以降の劣化挙動に関するデータ
が無いことから、水添加により劣化を抑制できるとは言
い難い。しかも、活性に関しては顕著な向上を示してい
ない。
【0006】F.X.Mayerらは、スラリー床と固
定床を組み合わせて接続し、後段の固定床において触媒
床の間に空間を設け、その空間に水を導入することによ
り冷却効果が得られ、活性が向上すると報告している
(USP3,767,569)。しかし、実施例のプロ
セスコンディションを考察すると、触媒の細孔径が小さ
く、非常に低圧で行っていることから、日本国内の重質
な常圧残油の水素化処理に耐え得るものではない。ま
た、生成油の硫黄分レベルも非常に高く、脱硫活性が十
分とは言えず、日本国内のシビアリティーの高い運転条
件において、十分な活性を示すとは言えない。更に、劣
化に関しても効果があると言及しているが、性能を示す
データは無く、実施例に示すプロセスコンディションの
ような、低いシビアリティーの中で、劣化が抑制されて
いても十分とは言えない。
【0007】
【発明の目的】本発明は、重質な常圧残油や減圧残油等
を、固定床の水素化処理方法により、高いシビアリティ
ーで長期間に渡り運転した場合に、安定した性能を示す
水素化処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【発明の概要】本発明の水素化処理方法は、上記目的を
達成するために、3種類の触媒を前段、中段、後段と組
み合わせて使用し、前段触媒として、次の(1)〜
(3)のいずれかを使用し、かつリアクタ上部より水を
注入することを特徴とする。 (1)ホウ素を触媒基準、酸化物換算で1〜12質量%
含む含ホウ素アルミナ担体に第VI族金属を担持し、触
媒の平均細孔径が19nm〜25nm、比表面積が70
〜130m/gの重質炭化水素油の水素化処理触媒。 (2)亜鉛を触媒基準、酸化物換算で1〜15質量%含
む含亜鉛アルミナ担体に周期律表第VI族金属を担持
し、触媒の平均細孔径が19〜35nm、表面積が70
〜150m/gの重質炭化水素油の水素化処理触媒。 (3)多孔性炭素担体に周期律表第VI族金属を担持
し、触媒の平均細孔径が10〜100nm、比表面積が
70〜1500m/gの重質炭化水素油の水素化処理
触媒。 このとき、温度300〜500℃、圧力3〜20MP
a、水素/油比400〜3000NL/L、LHSV
0.1〜3h−1の条件で行うことが好ましい。
【0009】本発明の前段触媒は、アルミナ中にホウ素
を触媒基準、酸化物換算で1〜12質量%含む含ホウ素
アルミナ担体、アルミナ中に亜鉛を触媒基準、酸化物換
算で1〜15質量%含む含亜鉛アルミナ担体、又は多孔
性炭素担体を用いる。ホウ素は、ホウ素単体の形態で存
在してもよいし、ホウ素化合物の形態で存在してもよい
が、アルミナ中にほぼ均一に分散されていることが好ま
しい。亜鉛も、亜鉛単体の形態で存在してもよいし、亜
鉛化合物の形態で存在してもよいが、アルミナ中にほぼ
均一に分散されていることが好ましい。ホウ素の含有割
合は、触媒基準、酸化物換算で1〜12質量%、好まし
くは2〜10質量%である。ホウ素が1質量%未満であ
ると触媒強度を上げることができず、12質量%を超え
ると細孔容積や比表面積を十分上げることができない。
亜鉛の含有割合は、触媒基準、酸化物換算で1〜15質
量%、好ましくは2〜12質量%である。亜鉛が1質量
%未満であると触媒の平均細孔径や触媒強度を上げるこ
とができず、15質量%を超えると比表面積を上げるこ
とができない。また、多孔性炭素担体は、石炭、木材、
ヤシ殻、オリーブ、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、コーク
ス、石油ピッチ、コールタールピッチ、炭化水素類等の
ような材料が原料として使用できる。
【0010】本発明の前段触媒は、上記の含ホウ素アル
ミナ担体、含亜鉛アルミナ担体又は多孔性炭素担体に、
第VI族金属(以下、6族金属)を担持したものであ
る。6族金属としては、モリブデン、タングステン等が
用いられ、特にモリブデンが好ましく、金属単体の形態
で存在してもよいし、金属硫化物等の金属化合物の形態
で存在してもよい。6族金属は、1種単独で用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。6族金属
の担持量は、特に制限はないが、含ホウ素アルミナ担
体、含亜鉛アルミナ担体、多孔性炭素担体のいずれの場
合も、触媒基準、酸化物換算で通常2〜15質量%が好
ましく、4〜13質量%がより好ましい。
【0011】また、本発明の前段触媒においては、6族
金属と共に他の水素化活性金属を共担持させてもよい。
共担持させる水素化活性金属としては、ニッケル、コバ
ルト、鉄等の第VIII族金属(以下、8族金属)が好
ましく、これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合
わせて用いられる。具体的な組み合わせ例としては、モ
リブデン−ニッケル、モリブデン−コバルト、タングス
テン−ニッケル等の種々のものがあるが、モリブデン−
ニッケルの組み合わせが好適である。共担持させる8族
金属の担持量は、特に制限はないが、含ホウ素アルミナ
担体、含亜鉛アルミナ担体、多孔性炭素担体のいずれの
場合も、触媒基準、酸化物換算で通常0.001〜4質
量%、好ましくは1〜3質量%である。
【0012】6族、8族金属等の水素化活性金属の量を
増加すると、水素化処理活性、特に脱金属活性は増加す
るが、細孔容積は小さくなる傾向があり、活性金属量を
減少すると、十分な水素化処理活性、特に脱金属活性が
得られない傾向がある。
【0013】本発明の前段触媒において、含ホウ素アル
ミナ担体を用いる場合の触媒の平均細孔径は、19〜2
5nm、好ましくは20〜24nmである。平均細孔径
が19nm未満であると十分な脱金属活性が得られず、
25nmを超えると水素化処理活性が低下する。また、
この触媒のBET法による比表面積は、70〜130m
/g、好ましくは80〜120m/gである。比表
面積が70m/g未満であると十分な水素化処理活性
が得られず、130m/gを超えると平均細孔径が低
下し、脱金属活性も低下する。なお、この触媒の細孔容
積は、特に制限しないが、0.65〜0.8ml/g、
好ましくは0.67〜0.78ml/gが適している。
細孔容積が0.65ml/g未満であると十分な水素化
処理活性や触媒寿命が得られず、0.8ml/g以上で
あると触媒強度が大きく低下する。
【0014】含亜鉛アルミナ担体を用いる場合の触媒の
平均細孔径は、19〜35nm、好ましくは20〜30
nmである。平均細孔径が19nm未満であると十分な
脱金属活性が得られず、35nmを超えると水素化処理
活性が低下する。また、この触媒のBET法による比表
面積は、70〜150m/g、好ましくは90〜14
0m/gである。比表面積が70m/g未満である
と十分な水素化処理活性が得られず、比表面積が150
/gを超えると平均細孔径が低下し、脱金属活性も
低下する。なお、この触媒の細孔容積も、特に制限しな
いが、0.65〜0.8ml/g、好ましくは0.67
〜0.78ml/gが適している。細孔容積が0.65
ml/g未満であると十分な水素化処理活性や触媒寿命
が得られず、0.8ml/gを超えると触媒強度が大き
く低下する。
【0015】多孔性炭素担体を用いる場合の触媒の平均
細孔径は、10〜100nm、好ましくは15〜80n
mである。平均細孔径が10nm未満であると十分な脱
金属活性が得られず、100nmを超えると水素化処理
活性が低下する。また、この触媒のBET法による比表
面積は、70〜1500m/g、好ましくは200〜
1200m/gである。比表面積が70m/g未満
であると十分な水素化処理活性が得られず、1500m
/gを超えると平均細孔径が低下し、脱金属活性も低
下する。なお、この触媒の細孔容積も、特に制限しない
が、0.50〜0.85ml/g、好ましくは0.54
〜0.80ml/gが適している。細孔容積が0.50
ml/g未満であると十分な水素化処理活性や触媒寿命
が得られず、0.85ml/g以上であると触媒強度が
大きく低下する。
【0016】本発明の前段触媒の調製法は、例えば、次
のようにして、先ず、各担体を調製し、次いで、これら
各担体に水素化活性金属を担持させる方法が採用され
る。含ホウ素アルミナ担体や含亜鉛アルミナ担体の場合
は、アルミナ原料の水溶液をゲル化し、加熱熟成し、不
純物を洗浄除去し、水分調整した後、ホウ素又は亜鉛の
原料を混合し、この混合物を例えば洗浄、加熱熟成、一
次乾燥、成型、二次乾燥、焼成等の通常の処理方法で処
理してこれらの担体を調製する。このとき、洗浄、加熱
熟成、一次乾燥、成型、二次乾燥、焼成等の処理は、適
当に省略しても構わない。また、多孔性炭素担体の場合
は、例えば亜炭を二酸化炭素気流中で400〜800℃
に加熱乾留して得られた乾留炭を、更に二酸化炭素、又
はスチーム雰囲気下、あるいは二酸化炭素とスチームと
の共存下、600〜900℃で活性化処理して多孔性炭
素担体とする。上記の含ホウ素アルミナ担体、含亜鉛ア
ルミナ担体又は多孔性炭素担体への6族金属や必要に応
じての他の水素化活性金属の担持方法は、公知の方法に
より行うことができる。例えば、含ホウ素アルミナ担体
を水素化活性金属成分を含有する溶液中に浸漬する方
法、含ホウ素アルミナ担体を水素化活性金属成分を含有
する溶液と接触させる方法等で担持させることができ
る。なお、複数の水素化活性金属を担持させる場合の担
持順序は特に制限されない。水素化活性金属を担持した
後、乾燥、焼成して本発明における前段触媒が調製され
る。
【0017】前段触媒の形状は、特に限定されず、通常
の触媒形状に用いられる種々の形状にすることができ、
特に三葉や四葉のような異型のものが好ましい。大きさ
も、特に限定されず、通常の1/10〜1/22インチ
程度であればよい。
【0018】本発明における中段及び後段の水素化処理
触媒は、通常の水素化処理触媒が使用される。この通常
の水素化処理触媒とは、当業界で残油等の重質炭化水素
油を水素化処理する際に通常使用される触媒を言う。例
えば、アルミナ等の酸化物担体に、モリブデン、タング
ステン、ニッケル、コバルト、バナジウム、リン等の活
性金属の1種以上を、触媒基準、酸化物換算で1〜15
質量%担持させた触媒で、BET法による比表面積が少
なくとも100m/g、細孔容積が0.4ml/g以
上、平均細孔径が7nm以上のものが挙げられる。
【0019】前段触媒の充填割合は、全触媒床容積の1
0〜50%、好ましくは15〜45%である。この範囲
を外れる場合は、触媒寿命が短くなるばかりか、プラン
ト全体における脱硫活性や脱金属活性も低下する。中段
と後段の触媒の充填割合は、それぞれ20〜50%、好
ましくは25〜45%である。前段、中段、後段の触媒
は、同一のリアクタに充填しても良く、それぞれ別々の
リアクタに充填してもよい。別々のリアクタに充填する
場合における全触媒床容積とは、個々のリアクタの触媒
床を合計した容積を言う。ただし、前段、中段、後段の
各触媒床は混合しないものとする。
【0020】本発明の方法は、上記触媒の存在下で、水
をリアクタの上部より注入して行い、前段、中段、後段
の触媒をそれぞれ別々のリアクタに充填する場合には、
前段リアクタの上部より注入して行う。なお、注入する
水は、凝縮水(コンデンセート)やスチーム状のものが
使用でき、また注入して反応に一度使用した水を油水分
離器で分離し、リサイクルして使用しても良い。水の注
入量は、原料油の通油量に対して1〜50vol%、好
ましくは3〜20vol%、より好ましくは5〜15v
ol%が適している。水注入量が1vol%未満では、
水注入の技術的効果が得られず、50vol%より多い
と、原料油の通油量が一定なので、LHSVが速くな
り、触媒との接触時間が短くなることから、反応が進み
難い方向へシフトするので、そうした場合には原料油の
通油量を低下させて、水を含めた全体のLHSVを下げ
る必要が生じる。LHSVを下げる場合、触媒量は変更
できないので、通油量を下げて調整する必要がある。こ
の場合、生産量が低下するので、水の添加量を増やすメ
リットはない。
【0021】水素化処理条件は、根本的には要求される
反応過酷度等に依存するため、適宜選定すればよいが、
本発明においては、一般には、温度300〜500℃、
好ましくは350〜450℃、水素/油比400〜30
00NL/L、好ましくは500〜1800NL/L、
圧力(水素分圧)3〜20MPa、好ましくは8〜17
MPa、LHSV0.1〜3h−1、好ましくは0.1
5〜1.0h−1、より好ましくは0.15〜0.75
−1が適している。
【0022】本発明における重質炭化水素油としては、
原油、原油から蒸留により得られる常圧蒸留残油、減圧
蒸留残油、ビスブレーキング油、タールサンド油、シェ
ールオイル等、またはこれらの混合油等が挙げられる。
本発明は、ニッケル、バナジウム等の重金属分が30〜
1500ppm、特に40〜1000ppm、硫黄分が
2〜6質量%、特に3〜5.5質量%、アスファルテン
分が1〜15質量%、特に2〜10質量%の重質炭化水
素油に対して効果的である。
【0023】本発明における重質炭化水素油の水素化処
理は、重質炭化水素油と水素との接触による処理を言
い、比較的反応条件の過酷度の低い水素化精製、比較的
過酷度の高い若干の分解反応を伴う水素化精製、異性
化、水素化脱アルキル化、重質炭化水素油中に含まれる
金属の脱金属化、その他の水素存在下における重質炭化
水素油の反応を包含する。例えば、常圧蒸留の残油、減
圧蒸留の留出液や残油の水素化脱硫、水素化脱窒素、水
素化分解、あるいはワックス、潤滑油留分の水素化精製
等を含む。
【0024】
【実施例】〔水素化処理触媒Aの調製〕先ず、5質量%
のアルミン酸ソーダ水溶液10kgを60℃に加熱し、
60℃に保ったまま25質量%の硫酸アルミニウム水溶
液2.8kgを加えてpH7に調整してゲル化させた
(工程1)。次いで、濾過し(工程2)、濾別されたゲ
ルを0.3質量%のアンモニア水溶液で洗浄し(工程
3)、そのゲルに水5kgを加え、更に10質量%のア
ンモニア水溶液を加えてpH11に調整してゲルの水分
散液とした(工程4)。続いて、このゲル水分散液を9
0℃に加熱し、25時間撹拌、還流して熟成した(工程
5)。その後、5規定の硝酸水溶液を加えてpH2に調
整し(工程6)、15分間撹拌し(工程7)、更に10
質量%のアンモニア水溶液を加えてpH11に調整した
(工程8)。得られたゲルの水分散液を濾過し、室温
(約20℃)で加水を行って成型し易い粘度になるよう
に水分調整した(工程9)。水分調整後のアルミナゲル
の水含有量は70質量%であった。なお、上記の工程5
〜工程8は、3度繰り返した。
【0025】上記のアルミナゲルに、含ホウ素物質とし
てホウ酸を触媒基準、酸化物換算で4質量%となるよう
に加え、混合した(工程10)。得られた含ホウ素アル
ミナゲルを押出し成型し(工程11)、110℃で10
時間乾燥し(工程12)、800℃で2時間焼成した。
【0026】焼成された含ホウ素アルミナ担体100g
を、パラモリブデン酸アンモニウムと硝酸ニッケルをそ
れぞれモリブデン、ニッケルの酸化物換算で9質量%、
2質量%となるように100gの水に溶解させた含浸液
に加えた(工程13)。この金属含浸含ホウ素アルミナ
担体を110℃で4時間加熱して乾燥させ、続いて50
0℃で3時間焼成し(工程14)、水素化処理触媒Aを
調製した。また、触媒の形状は四葉型で、大きさは1/
20インチであった。
【0027】〔水素化処理触媒Bの調製〕アルミナ担体
に活性金属を水素化処理触媒上に酸化物としてモリブデ
ン12質量%及びニッケル4質量%となるようにした以
外は、水素化処理触媒Aと同様にして水素化処理触媒B
を調製した。
【0028】〔水素化処理触媒Cの調製〕アルミナ担体
に活性金属を水素化処理触媒上に酸化物としてモリブデ
ン15質量%、ニッケル2.5質量%、コバルト2.5
質量%となるようにした以外は、水素化処理触媒Aと同
様にして水素化処理触媒Cを調製した。
【0029】〔水素化処理触媒Dの調製〕ホウ素に代え
て亜鉛を、触媒基準、酸化物換算で8質量%となるよう
にし、工程11の押出し成型後の焼成温度を750℃と
した以外は、水素化処理触媒Aと同様にして水素化処理
触媒Dを調製した。
【0030】〔水素化処理触媒Eの調製〕亜炭を二酸化
炭素流通下で室温から600℃まで5℃/minで昇温
し、600℃で60分保持乾留して乾留炭を得た。得ら
れた乾留炭を二酸化炭素雰囲気下で600℃から850
℃まで10℃/minで昇温した後、60分保持して活
性化させ、多孔性炭素担体を得た。活性化させた多孔性
炭素担体100gに、パラモリブデン酸アンモニウムを
モリブデンの酸化物換算で10質量%となるように10
0gの水に溶解させた含浸液を加えた。次に、金属含浸
多孔性炭素担体を110℃で4時間加熱し、乾燥させ、
続いて窒素雰囲気下で500℃にて3時間焼成して水素
化処理触媒Eを調製した。
【0031】〔水素化処理触媒Fの調製〕アルミナ担体
に活性金属を触媒上に酸化物としてモリブデン9質量
%、ニッケル2質量%となるようにした以外は、水素化
処理触媒Aと同様にして水素化処理触媒Fを調製した。
【0032】〔水素化処理触媒Gの調製〕ホウ素含量を
触媒基準、酸化物換算で8質量%となるようにし、工程
5の熟成時間を30時間とし、工程5〜工程8を4度繰
り返した以外は、水素化処理触媒Aと同様にして水素化
処理触媒Gを調製した。
【0033】〔水素化処理触媒Hの調製〕ホウ素に代え
て亜鉛を触媒基準、酸化物換算で8質量%となるように
し、工程5の熟成時間を50時間とし、工程11の押出
し成型後の焼成温度を850℃とした以外は、水素化処
理触媒Aと同様にして水素化処理触媒Hを調製した。
【0034】〔水素化処理触媒Iの調製〕オリーブ炭を
原料として、活性金属を水素化処理触媒上に酸化物とし
てモリブデン13質量%となるようにした以外は、水素
化処理触媒Eと同様にして水素化処理触媒Iを調製し
た。以上のようにして、調製した各触媒の組成及び物性
を表1、2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】実施例1 図1に概略的に示す装置を用い、リアクタ1に前段触媒
として水素化処理触媒Aを、リアクタ2に中段触媒とし
て水素化処理触媒Bを、リアクタ3に後段触媒として水
素化処理触媒Cを容積比20:40:40で充填し、こ
こに表3に示す性状の原料油を用いて硫化した後、表4
に示す条件において、390℃一定で水を原料油に対し
て10vol%の流量で添加して水素化処理を行った。
なお、図1において、水注入は、リアクタ1の上部から
原料油と水素に混入して行い、リアクタ3から流出する
油は高圧セパレータ(油水分離器)4と低圧セパレータ
5とを経由して生成油とし、これらのセパレータ4、5
で分離されるガスは硫化水素アブソーバ6でジエタノー
ルアミン水溶液(以下、DEA)により硫化水素を吸着
除去した後、燃料ガスとして回収し、硫化水素を吸着し
たDEAは廃DEAとして回収し、再生後再使用した。
【0038】実施例2 前段触媒として水素化処理触媒Dを使用した以外は、実
施例1と同様にして水素化処理を行った。
【0039】実施例3 前段触媒として水素化処理触媒Eを使用した以外は、実
施例1と同様にして水素化処理を行った。
【0040】比較例1 水を添加しない以外は、実施例1と同様にして水素化処
理を行った。
【0041】比較例2 水を添加しない以外は、実施例2と同様にして水素化処
理を行った。
【0042】比較例3 水を添加しない以外は、実施例3と同様にして水素化処
理を行った。
【0043】比較例4 前段触媒として水素化処理触媒Fを使用し、水を添加し
ない以外は、実施例1と同様にして水素化処理を行っ
た。
【0044】比較例5 水を原料油に対して10vol%の流量で注入した以外
は、比較例4と同様にして水素化処理を行った。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】〔本発明の性能評価例1〕上記実施例1〜
3及び比較例1〜5における反応生成油中の硫黄分を測
定し、この値から数1式に基づいて反応速度定数(k
s)を求めた。硫黄分の測定方法は、JIS K254
1原油及び石油製品硫黄分析試験方法(放射線励起法)
によった。
【0048】
【数1】 ks=LHSV×〔(1/C)−(1/Co)〕 ks:反応速度定数 Co:原料油中の硫黄分(質量%) C :生成油中の硫黄分(質量%)
【0049】なお、相対活性はksa/ksbで表し、
ksaは対象条件において得られた値、ksbは基準条
件において得られた値を示す。ここでは、比較例1で得
られた脱硫活性レベルを100とし、各条件における活
性比較を表5に示した。
【0050】
【表5】
【0051】表5から明らかなように、本発明による実
施例1〜3は、比較例1〜5に比べて脱硫活性に優れて
いることが分かる。また、表2と表5から明らかなよう
に、前段触媒の平均細孔径が20nm以上の場合に水注
入による脱硫活性の向上が顕著であることが分かる。更
に、比較例4、5から明らかなように、アルミナ担体に
金属を担持した前段触媒Fを用いた場合においても、水
注入で、脱硫活性は僅かながら向上するが、実施例1〜
3のように含ホウ素アルミナ担体、含亜鉛アルミナ担
体、又は多孔性炭素担体に金属を担持した前段触媒を用
いる場合には、水注入で、脱硫活性が飛躍的に向上する
ことが分かる。含ホウ素アルミナ担体、含亜鉛アルミナ
担体、又は多孔性炭素担体は、弱酸性を有しており、そ
こに亜臨界状態の水が存在することで最適な反応場を形
成し、難脱硫性物質であるアスファルテン等の巨大分子
の反応が一層進むことから脱硫活性が向上していると考
えられる。
【0052】〔本発明の性能評価例2〕実施例1〜3及
び比較例1〜5における反応生成油中の金属分(ニッケ
ル分+バナジウム分)を測定し、この値から数2式に基
づいて反応速度定数(km)を求めた。金属分の測定方
法は、テクノス社製蛍光X線分析装置TREX660に
よる放射線励起法によった。
【0053】
【数2】km=LHSV×ln(Co/C) km:反応速度定数 Co:原料油中の金属分(ppm) C :生成油中の金属分(ppm)
【0054】なお、相対活性はkma/kmbで表し、
kmaは対象条件において得られた値、kmbは基準条
件において得られた値を示す。ここでは、比較例1で得
られた脱金属活性レベルを100とし、各条件における
活性比較を表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】表6から明らかなように、本発明による実
施例1〜3は、比較例1〜5に比べて脱金属活性に優れ
ていることが分かる。また、表2と表6から明らかなよ
うに、前段触媒の平均細孔径が20nm以上の場合に水
注入による脱金属活性の向上が顕著であることが分か
る。更に、比較例4、5から明らかなように、アルミナ
担体に金属を担持した前段触媒Fを用いた場合において
も、水注入で、脱金属活性は僅かながら向上するが、実
施例1〜3のように含ホウ素アルミナ担体、含亜鉛アル
ミナ担体、又は多孔性炭素担体に金属を担持した前段触
媒を用いる場合には、水注入で、脱金属活性が飛躍的に
向上することが分かる。上記のように、含ホウ素アルミ
ナ担体、含亜鉛アルミナ担体、又は多孔性炭素担体は弱
酸性を有しており、そこに亜臨界状態の水が存在するこ
とで最適な反応場を形成し、アスファルテン等の巨大分
子の分解が進み、会合した芳香族シート間や芳香族シー
ト内部に存在する難反応性のニッケルやバナジウム等の
化合物が脱離し、この結果、脱金属反応が進行している
と考えられる。
【0057】〔本発明の性能評価例3〕上記実施例1〜
3及び比較例1〜5における反応生成油中のアスファル
テン分を測定し、この値から数3式に基づいて脱アスフ
ァルテン率(HDAs)を求めた。アスファルテン分の
測定方法は、UOP614−68 Heptane−I
nsoluble Matter in petrol
eum Oils Using a Membrane
Filterによった。
【0058】
【数3】 HDAs=〔(Cf−Cp)/Cf〕×100 Cf:原料油中のアスファルテン分(質量%) Cp:生成油中のアスファルテン分(質量%)
【0059】なお、脱アスファルテン率の評価はHDA
sa/HDAsbの相対比較で表し、HDAsaは対象
条件において得られた値、HDAsbは基準条件におい
て得られた値を示す。ここでは、比較例1で得られた脱
アスファルテン活性レベルを100とし、各条件におけ
る活性比較を表7に示す。
【0060】
【表7】
【0061】表7から明らかなように、本発明による実
施例1〜3は、比較例1〜5に比べて脱アスファルテン
率に優れており、反応が進行していることが分かる。ま
た、表2と表7から明らかなように、前段触媒の平均細
孔径が20nm以上の場合に水注入による脱アスファル
テン活性の向上が顕著であることが分かる。更に、比較
例4、5から明らかなように、アルミナ担体に金属を担
持した前段触媒Fを用いた場合においても、水注入で、
脱アスファルテン活性は僅かながら向上するが、実施例
1〜3のように含ホウ素アルミナ担体、含亜鉛アルミナ
担体、又は多孔性炭素担体に金属を担持した前段触媒を
用いる場合には、水注入で、脱アスファルテン活性が飛
躍的に向上することが分かる。上記のように、含ホウ素
アルミナ担体、含亜鉛アルミナ担体、又は多孔性炭素担
体は弱酸性を有しており、そこに亜臨界状態の水が存在
することで最適な反応場を形成し、アスファルテン等の
巨大分子の分解が進んでいると考えられる。
【0062】〔本発明の性能評価例4〕実施例1〜3及
び比較例1〜5における劣化挙動を評価した。表4の条
件で、生成油中の硫黄分が0.3質量%となるように温
度を調整し、この生成油硫黄分一定運転を約180日間
行い、1日当たりの温度変化であるTIR(Tempe
rature Increase Rate)を数4式
に基づいて求めた。なお、TIRの算出は、運転開始後
約70日経過以降の、活性の安定した期間を用いて行っ
た。
【0063】
【数4】TIR=(Tb−Ta)/(b−a) Ta:運転日数a日における要求温度 Tb:運転日数b日における要求温度 a :運転日数 b :運転日数ここで、a<bとする。
【0064】なお、劣化の評価はTIRa/TIRbの
相対比較で表し、TIRaは対象条件において得られた
値、TIRbは基準条件において得られた値を示す。こ
こでは、比較例1で得られたTIRを基準値100と
し、各条件における劣化挙動の比較を表8に示した。
【0065】
【表8】
【0066】表8から明らかなように、本発明による実
施例1〜3は、比較例1〜5に比べて劣化が抑制されて
いることが分かる。また、表2と表8から明らかなよう
に、前段触媒の平均細孔径が20nm以上の場合に水注
入で劣化抑制効果が顕著であることが分かる。更に、比
較例4、5から明らかなように、アルミナ担体に金属を
担持した前段触媒Fを用いた場合においても、水注入
で、劣化は僅かながら抑制されるが、実施例1〜3に示
すように、含ホウ素アルミナ担体、含亜鉛アルミナ担
体、又は多孔性炭素担体に金属を担持した前段触媒を用
いた場合に、水注入で、劣化が効果的に抑制されること
が分かる。亜臨界状態の水は、拡散係数大きく、有機溶
媒並の低極性を有している。従って、亜臨界状態の水
は、反応場において、コーク前駆体への溶解力が大き
く、触媒活性点のコークによる被覆や細孔閉塞等を抑制
し、触媒の劣化を抑制すると考えられる。一般に、重質
炭化水素油の炭素化精製における運転モードは、生成油
中の硫黄分が一定となるように触媒劣化に合わせて昇温
する方法を採用しているので、その装置固有の反応上限
温度に達したら、運転を中止し、触媒交換を行う必要が
ある。従って、本発明の方法によれば、反応上限温度に
達するまでの時間が長いので、同じ触媒で長く装置を運
転できる利点が得られる。
【0067】実施例4 図2に概略的に示す装置を用い、前段触媒として水素化
処理触媒Gを、中段触媒として水素化処理触媒Bを、後
段触媒として水素化処理触媒Cを容積比35:30:3
5で使用し、ここに表9に示す性状の原料油を用いて硫
化した後、表10に示す条件において、400℃一定で
水を原料油に対して10vol%の流量で添加して水素
化処理を行った。なお、図2において、図1と同一符号
は図1と同一機能部を示し、図1と異なるのは、高圧セ
パレータ(油水分離器)4で分離された水を、水リサイ
クルラインを経由してリアクター1に戻して再使用する
点である。
【0068】実施例5 前段触媒として水素化処理触媒Hを使用した以外は、実
施例4と同様にして水素化処理を行った。
【0069】実施例6 前段触媒として水素化処理触媒Iを使用した以外は、実
施例4と同様にして水素化処理を行った。
【0070】比較例6 水を添加しない以外は、実施例4と同様にして水素化処
理を行った。
【0071】比較例7 水を添加しない以外は、実施例5と同様にして水素化処
理を行った。
【0072】比較例8 水を添加しない以外は、実施例6と同様にして水素化処
理を行った。
【0073】比較例9 前段触媒として水素化処理触媒Fを使用し、水を添加し
ない以外は、実施例4と同様にして水素化処理を行っ
た。
【0074】比較例10 水を原料油に対して10vol%の流量で注入した以外
は、比較例9と同様にして水素化処理を行った。
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
【0077】〔本発明の性能評価例5〕上記実施例4〜
6及び比較例6〜10における反応生成油中の硫黄分を
測定し、この値から数1式に基づいて反応速度定数(k
s)を求めた。なお、相対活性はksa/ksbで表
し、ksaは対象条件において得られた値、ksbは基
準条件において得られた値を示す。ここでは、比較例6
で得られた脱硫活性レベルを100とし、各条件におけ
る活性比較を表11に示した。
【0078】
【表11】
【0079】表11から明らかなように、本発明による
実施例4〜6は、比較例6〜10に比べて、高圧の条件
においても脱硫活性に優れていることが分かる。一般に
触媒の平均細孔径が大きいと水素化処理活性が低下する
傾向があるが、表2と表11から明らかなように、前段
触媒の平均細孔径が、含ホウ素アルミナ担体を用いた触
媒で24nm、含亜鉛アルミナ担体を用いた触媒で30
nm、多孔性炭素担体を用いた触媒で20nmの場合に
おいても、水注入による脱硫活性の向上が顕著であるこ
とが分かる。
【0080】〔本発明の性能評価例6〕実施例4〜6及
び比較例6〜10における反応生成油中の金属分(ニッ
ケル分+バナジウム分)を測定し、この値から数2式に
基づいて反応速度定数(km)を求めた。なお、相対活
性はkma/kmbで表し、kmaは対象条件において
得られた値、kmbは基準条件において得られた値を示
す。ここでは、比較例6で得られた脱金属活性レベルを
100とし、各条件における活性比較を表12に示す。
【0081】
【表12】
【0082】表12から明らかなように、本発明による
実施例4〜6は、比較例6〜10に比べて、高圧の条件
においても脱金属活性に優れていることが分かる。ま
た、表2と表12から明らかなように、前段触媒の平均
細孔径が、含ホウ素アルミナ担体を用いた触媒で24n
m、含亜鉛アルミナ担体を用いた触媒で30nm、多孔
性炭素担体を用いた触媒で20nmの場合においても、
水注入による脱金属活性の向上が顕著であることが分か
る。
【0083】〔本発明の性能評価例7〕実施例4〜6及
び比較例6〜10における反応生成油中のアスファルテ
ン分を測定し、この値から数3式に基づいて脱アスファ
ルテン率(HDAs)を求めた。なお、脱アスファルテ
ン率の評価はHDAsa/HDAsbの相対比較で表
し、HDAsaは対象条件において得られた値、HDA
sbは基準条件において得られた値を示す。ここでは、
比較例6で得られた脱アスファルテン活性レベルを10
0とし、各条件における活性比較を表13に示す。
【0084】
【表13】
【0085】表13から明らかなように、本発明による
実施例4〜6は、比較例6〜10に比べて脱アスファル
テン率に優れており、高圧の条件においても反応が進行
していることが分かる。また、表2と表13から明らか
なように、前段触媒の平均細孔径が、含ホウ素アルミナ
担体を用いた触媒で24nm、含亜鉛アルミナ担体を用
いた触媒で30nm、多孔性炭素担体を用いた触媒で2
0nmの場合においても、水注入による脱アスファルテ
ン活性の向上が顕著であることが分かる。
【0086】〔本発明の性能評価例8〕実施例4〜6及
び比較例6〜10における触媒の劣化挙動を評価した。
表10の条件で、生成油中の硫黄分が0.3質量%とな
るように温度を調整し、生成油硫黄分一定運転を約18
0日行い、1日当たりのTIRを数4式に基づいて求め
た。なお、TIRの算出と劣化の評価は、前記〔本発明
の性能評価例4〕と同様とした。ここでは、比較例6で
得られたTIRを基準値100とし、各条件における劣
化挙動の比較を表14に示した。
【0087】
【表14】
【0088】表14から明らかなように、本発明による
実施例4〜6は、比較例6〜10に比べて、高圧条件に
おいても劣化が抑制されていることが分かる。また、表
2と表14から明らかなように、前段触媒の平均細孔径
が、含ホウ素アルミナ担体を用いた触媒で24nm、含
亜鉛アルミナ担体を用いた触媒で30nm、多孔性炭素
担体を用いた触媒で20nmの場合においても、水注入
による劣化抑制効果が顕著であることが分かる。従っ
て、本発明の方法によれば、限界反応温度に達するまで
の時間が長いので、それだけ長く装置を運転できる利点
が得られる。
【0089】
【発明の効果】本発明の方法によれば、触媒の脱硫活
性、脱金属活性、脱アスファルテン活性を優れたものと
することができるばかりか、触媒の劣化を抑制すること
ができ、運転期間を長期とすることができる。この結
果、製油所における触媒費用、定期点検や触媒交換等の
作業費用の低減を図ることができ、更には処理量の増大
によるメリットをも図ることができる。また、現行と同
じ運転期間とする場合には、原料油をより一層重質なも
のとすることができるばかりか、運転条件のフレキシビ
リティーをも増大することができ、これらから得られる
経済効果が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた装置の基本的な構成を
概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施例で用いた他の装置の基本的な構
成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 リアクタ(前段触媒) 2 リアクタ(中段触媒) 3 リアクタ(後段触媒) 4 高圧セパレータ(油水分離器) 5 低圧セパレータ 6 硫化水素アブソーバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 弘一 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 (72)発明者 水谷 喜弘 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 (72)発明者 出井 一夫 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 AA15 BA01A BA01B BB04B BC35B BC57A BC57B BC59B BC67B BC68B BD03A BD03B CC02 EC02X EC02Y EC03X EC03Y EC07Y EC14X EC14Y EC15X EC15Y EC16X 4H029 CA00 DA00 DA09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3種類の触媒を前段、中段、後段と組み
    合わせて使用し、前段触媒として、 (1)ホウ素を触媒基準、酸化物換算で1〜12質量%
    含む含ホウ素アルミナ担体に第VI族金属を担持し、触
    媒の平均細孔径が19nm〜25nm、比表面積が70
    〜130m/gの重質炭化水素油の水素化処理触媒、 (2)亜鉛を触媒基準、酸化物換算で1〜15質量%含
    む含亜鉛アルミナ担体に周期律表第VI族金属を担持
    し、触媒の平均細孔径が19〜35nm、比表面積が7
    0〜150m/gの重質炭化水素油の水素化処理触
    媒、 (3)多孔性炭素担体に周期律表第VI族金属を担持
    し、触媒の平均細孔径が10〜100nm、比表面積が
    70〜1500m/gの重質炭化水素油の水素化処理
    触媒、のいずれかを使用し、かつ、 リアクタ上部より水を注入することを特徴とする重質炭
    化水素油の水素化処理方法。
  2. 【請求項2】 温度300℃〜500℃、圧力3〜20
    MPa、水素/油比400〜3000NL/L、LHS
    V0.1〜3h−1の条件で行うことを特徴とする請求
    項1記載の重質炭化水素油の水素化処理方法。
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