JPH0670736A - 着香用ジテルペノイドアルコール - Google Patents

着香用ジテルペノイドアルコール

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JPH0670736A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Burseraceae(カンラン)科又は
Pinaceae(マツ)科に属する植物から得られる
植物材料を分別することによって、たばこ、たばこ製品
又はたばこ代替物の着香に好適な新規着香成分を得る。 【構成】 Burseraceae科又はPinace
ae科に属する植物の植物材料から蒸留などの分別によ
って得られる生成物。ここで、蒸留は減圧蒸留が好まし
く、ジテルペノイドアルコール類、特にセンブラノイド
アルコール類が濃縮されて最終濃度が2重量%以上とな
るように行う。分別の出発原料として好ましい植物材料
は、Pinaceae科の植物、特にAbietoid
eae属並びにPinoideae属、又はBurse
raceae科の植物、特にBoswellieae属
(特にBoswellia種)から得られるものであ
る。特に好ましい植物材料は乳香である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は着香用化合物に関する。
より詳細には、本発明は、たばこ、たばこ製品又はたば
こ代替物を着香するためのある種のジテルペノイドアル
コールの使用に関する。本発明は、植物材料から上記化
合物を得るための方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】欧州特許公開第0035684号には、
ジテルペン類の光酸化によってたばこ着香成分を製造す
ることが開示されている。これらのジテルペン類に富む
混合物は、新鮮なタバコ草の色々な部分の抽出液から得
られている。このようにして得られるジテルペノイド類
を次いで空気又は酸素存在下でUV光照射して酸化し、
しかる後にカラムクロマトグラフィーによって溶液から
酸化生成物を単離する。このように、たばこの葉を抽出
かつ分離して得られたジテルペン類は光酸化並びにたば
こ着香組成物への使用に適した化合物を得るための精製
工程に付す必要がある。
【0003】I.WahlbergとC.R.Enze
ll(Swedish Tobacco Compan
y, Research Department,スウ
ェーデン国ストックホルム)は、1975年から198
4年までの文献をカバーした総説において、ジテルペノ
イド類及びその誘導体を含め、2500種類を超える化
合物がタバコに存在することを報告している。ただし、
これらのジテルペノイド類の官能面での重要性について
は全く触れていない。
【0004】P.Maupetitによって、Bosw
ellieae属(Burseraceae科)の植物
材料中にもジテルペノイド類が見出だされている(Pe
rfumer & Flavorist,,19−3
7,1984/1985)。この文献には、この植物材
料から250種類以上の成分を含むゴム樹脂を得ること
ができると記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】たばこ、たばこ製品及
び/又はたばこ代替物を着香するための多数の化合物が
知られているにもかかわらず、新規着香成分及び組成物
に対する必要性は常に存在しており、天然素材から得ら
れる着香成分に対する需要は増大しつつある。
【0006】
【課題を解決するための手段】今回、Burserac
eae科(カンラン科)又はPinaceae科(マツ
科)に属する植物から得られる植物材料の分別によって
得られる生成物が、たばこ、たばこ製品又はたばこ代替
物の着香に適していることを見出だした。かかる分別は
ジテルペノイドアルコール類(特にセンブラノイドアル
コール(cembranoid alcohol))の濃縮をもたらす。かか
る生成物は本明細書中では分別生成物と呼ぶ。ジテルペ
ノイドアルコールの濃縮という用語は、分別前の植物材
料よりもジテルペノイドアルコール含有量、特にセンブ
ラノイドアルコール含有量の高い生成物を与えるような
分別をいうものと理解すべきである。分別生成物は好ま
しくはセンブラノイドアルコールを2重量%以上含んで
いるべきであり、より好ましくは5重量%以上含んでい
る。植物から得られる植物材料とは、本明細書中では、
葉、根、樹皮、茎のみならず、樹脂や樹脂状物などの分
泌物も含むものと理解すべきである。
【0007】Pinaceae科に属する植物の中で
は、Abietoideae属(特にこれに属する種で
あるPseudotsuga menziezii)、
並びにPinoideae属(特に、これに属する種で
あるPinus Koraiensis、Pinus
cembra及びPinus cembroides)
から分別生成物の原料たる植物材料を得るのが好まし
い。同様に、Burseraceae科に属する植物の
中では、Boswellieae属(特にこれに属する
種であるBoswellia)から分別生成物の原料と
しての植物材料を得るのが好ましい。分別は不必要な物
質(より詳細には、揮発性成分、糖及び糖誘導体)の含
有量が減少するように行うべきである。樹脂酸などのそ
の他の化合物は、所望に応じて、分別生成物中に取込ん
でもよいし、分別生成物から除去してもよい。
【0008】好適な分別方法は、抽出及び蒸留又はこれ
らの組合わせが含まれる。分別生成物は好ましくは揮発
性成分を5重量%未満しか含んでおらず、より好ましく
は2重量%しか含んでいない。本発明の目的とするとこ
ろでは、揮発性成分とは1kPaの圧力における沸点が
80℃未満であるものをいう。
【0009】分別の原料としては乳香(olibanu
m)が最も適していることが判明した。乳香はBosw
ellieae属(Burseraceae科)の植物
から得られる樹脂状の物質であり、各種等級のものが市
販されている。
【0010】たばこ、たばこ製品又はたばこ代替物の着
香に特に有用な分別生成物は、下記に示す式の化合物
I、II又はIII を1種類以上含むものである。
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】これらの化合物の少なくとも1種類を含む
分別生成物を乳香から得ることができる。ある種の乳香
原料中に化合物I及びIIが存在していることが報告され
ているが(H.Obermann,Dragoco B
erichte;E.Klein,H.Oberman
n Tetrah. Letters,349−35
2,1978)、官能特性に関しては何も示唆されてい
ない。
【0015】かかる分別生成物を得るための好適な分別
法には、蒸留、特に減圧蒸留又は水蒸気蒸留が含まれ
る。かかる蒸留は、出発原料の品質及び最終分別生成物
に望まれる組成に応じて、有機溶媒(例えばエタノール
等のアルコール、又はヘキサンやシクロヘキサン等の炭
化水素)による抽出と組合わせてもよい。
【0016】所望により、分別をさらに継続してもよ
く、化合物I、II及びIII が実質的に純粋な状態で得ら
れるまで、上記以外の分別法(例えば各種クロマトグラ
フィーなど)を用いてもよい。また、化合物I、II及び
III のうちの1種以上を他の原料から又は合成によって
得ることもできる。
【0017】本発明の目的とするところでは、実質的に
純粋な状態の化合物I、II及びIIIも含め、上述のよう
にして得られる生成物はすべて「分別生成物」という用
語に包含される。分別生成物は化合物III を0.2重量
%以上含んでいるのが好ましく、より好ましくは0.5
重量%以上含む。
【0018】本発明の分別生成物は、そのまま使用する
こともできるし、互いに配合して使用することもできる
し、或いは着香組成物の一部として使用することもでき
る。後者の場合、着香組成物は、かかる組成物中に通常
用いられる化合物群と本発明の分別生成物を含んでな
る。これに関連して、「着香組成物」という用語は、着
香成分の混合物であり、所望により、適当な溶媒に溶解
されているか、或いは粉末基質と混合したもの又は粉末
生成物となるように加工処理されたものであると定義さ
れる。かかる着香組成物には着香前駆体系も含まれる。
【0019】使用される分別生成物の量は、特に、本発
明の化合物の使用されるたばこ製品、着香組成物中に存
在する他成分の性質及び量並びに所望とする着香効果に
よって大きく変化しかつ左右される。一般には、かかる
組成物中に本発明の分別生成物が0.01%以上の量で
存在していれば、官能効果がはっきりと認識される。最
終製品中に存在する分別生成物の量は一般に0.01p
pm以上である。
【0020】本発明の分別生成物は数多くの製品を着香
するのに適しているが、着香製品はその使用のある段階
において加熱されるのが好ましい。これは、本発明の分
別生成物がそのままの状態では環境条件下でさほど揮発
性を示さないからである。かかる性質並びに分別生成物
の示す特異的な着香力の面で、本発明の分別生成物は、
たばこ、たばこ製品及び/又はたばこ代替物の着香、或
いは、例えば紙巻たばこ用の巻紙などのたばこ製品の製
造に使用する材料の着香に特に適している。本明細書中
で用いる「たばこ」という用語は、ヴァージニア(Vi
rginia)種、バーレー(Burley)種、トル
コ(Turkish)種、メリーランド(Maryla
nd)種、黄色種(flue cured)その他のた
ばこ種などの天然品のみならず、再構成やホモジナイズ
されたたばこや葉などのたばこ様もしくはたばこ系産物
も含めて意味するものと理解すべきである。これに関連
して、「たばこ製品」という用語は、特に紙巻たばこ、
葉巻たばこ及びパイプたばこなどの、喫煙を目的として
製造、販売又は使用されるたばこ又はたばこ代替物を含
む製品を意味する。「たばこ代替物」という用語は、本
明細書中では、天然のたばこ又はたばこ製品の代りとな
り得る化合物、組成物、材料又は構造物を意味するもの
と理解すべきである。
【0021】本発明の分別生成物と好適に配合すること
のできる基礎着香物質は、例えば、各種の抽出物、精
油、アブソルート(absolute)、レジノイド、
樹脂、コンクリート(concrete)などの天然品
だけでなく、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケト
ン、エーテル、酸、エステル、アセタール、ケタールな
どの合成基礎物質でもよく、飽和及び不飽和化合物、脂
肪族、炭素環式又は複素環式化合物なども含まれる。か
かる基礎材料は、例えば、S.Arctander著
「Perfume and Flavor Chemi
cals」(Montclair発行,1969)、
S.Arctander著「Perfumeand F
lavor Materials of Natura
l Origin」(Elizabeth発行,196
0)、T.E.Furia他著「CRC Fenaro
li´s Handbook of Flavor I
ngredients」(第2版,CRC Press
Inc.発行,1983)、H.B.Heath著
「Source Book of Flavours」
(The Avi Publishing Co. I
nc発行)並びに「Flavor and Fragr
ance Materials−1991」(Allu
red Publishing Co.発行)に記載さ
れている。
【0022】本発明の分別生成物を含む着香組成物中に
使用することのできる補助物質及び補助溶媒は、例え
ば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、グリセロール、トリアセチン
などである。着香組成物中に使用すべき分別生成物の量
は、該組成物の使用される製品、並びに着香又は香料組
成物中の他の成分の性質及び量によって、大きく変化し
かつ左右される。
【0023】多数の方法で本分別生成物を(そのまま或
いは組成物の一成分として)たばこ製品又はたばこ代替
物に添加することができるが、これはたばこ製品又はた
ばこ代替物に特有の性質によって大きく左右される。
【0024】たばこの場合、香料又は着香組成物を添加
するための諸方法が公知であり、例えば、香料又は着香
組成物(アルコールなどの適当な溶媒に稀釈してある場
合もある)を単に大量のたばこの上に吹付もしくは噴霧
する方法などがある。また、乳化剤、水相及び油相から
なるエマルジョンを大量のたばこの上に微細散布する方
法もあり、本発明の分別生成物をエマルジョンに加えて
もよい。他の化合物を配合してもよい。このような方法
は欧州特許公開第366835号に詳細に記載されてい
る。たばこに香料化合物を添加するための別法として、
香料成分(所望により他の成分と混合したもの)をマイ
クロカプセル化し、次いでたばこ塊と混合するという方
法がある。所望により、たばこの葉にマイクロカプセル
を固着させるために接着剤を使用してもよい。このよう
にして、本発明の分別生成物で(そのままで又は組成物
の一成分として)着香されたたばこ、たばこ製品又はタ
バコ代替物を得ることができる。
【0025】以下の実施例は本発明を例示するためのも
のであり、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0026】
【実施例】実施例1 乳香を水蒸気蒸留して、樹脂状の残留物を得た。この残
留物の1kgを細かく破砕して、1.25リットルのヘ
キサンを加えた。撹拌した後、混合を一晩放置した。こ
の間に上記樹脂状物の大半が溶解した。ブフナー漏斗で
濾過して未溶解物を除去した。回転薄膜式蒸発器(Ro
tavap)でヘキサンの一部を除去して、透明な液体
の容積を約3分の1に減少させた。120〜175℃の
温度で蒸留(0.93kPaの圧力)することにより、
化合物I、II及びIII の混合物を約50%含む留出物9
5gを得た。
【0027】実施例2 バーレー種のたばこの香気を改良するための香料組成物
を、以下に示す諸成分を混合することによって調製した
(各成分量は、全量を1000としたときの重量部で表
す)。
【0028】 シクロテン 10 5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾール 1 2,3−ペンタンジオン 2 2,5−ジメチルピラジン 2 フルフリリデン酢酸 2 フルフリルメルカプタン溶液(エタノール中10%) 2 テトラメチルピラジン 6 トリメチルピラジン 10 マルトール溶液(エタノール中10%) 13 3−エチル−ピリジン 25 ココア含油樹脂 250 コーヒー抽出液 300 実施例1で得られた混合物 3 プロピレングリコール 374
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C11B 9/02 2115−4H (72)発明者 ヨハネス・マリヌス・バン・ドール オランダ国、3749・エイイー・ラゲ・ブー ルシュ、エイケンラーン 13 (72)発明者 ハリー・レネス オランダ国、1394・ディービー・ネデルホ ースト、リビエラホフ 21

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Burseraceae科又はPina
    ceae科に属する植物の植物材料から得られる分別生
    成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の分別生成物において、当
    該分別生成物が、Boswellieae属(Burs
    eraceae科)又はAbietoideae属もし
    くはPinoideae属(共にPinaceae科)
    に属する植物の植物材料から得られることを特徴とする
    分別生成物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の分別生成物において、当
    該分別生成物が、Boswellia種(Burser
    aceae科、Boswellieae属)に属する植
    物の植物材料から得られることを特徴とする分別生成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の分別生成物において、前
    記植物材料が乳香であることを特徴とする分別生成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記
    載の分別生成物において、当該分別生成物が5重量%未
    満の揮発性成分しか含んでいないことを特徴とする分別
    生成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記
    載の分別生成物において、当該分別生成物が少なくとも
    1種類のセンブラノイドアルコールを含んでいることを
    特徴とする分別生成物。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の分別生成物において、当
    該分別生成物がセンブラノイドアルコールを5重量%以
    上含んでいることを特徴とする分別生成物。
  8. 【請求項8】 請求項6又は請求項7記載の分別生成物
    において、当該分別生成物が下記に示す化合物I、II又
    はIII の少なくとも1種類を含んでいることを特徴とす
    る分別生成物。 【化1】 【化2】 【化3】
  9. 【請求項9】 請求項8記載の分別生成物において、当
    該分別生成物が化合物III を0.2重量%以上含んでい
    ることを特徴とする分別生成物。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項9のいずれか1項
    記載の分別生成物を得るための方法にして、当該方法が
    蒸留段階を含んでいることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の方法において、前記
    蒸留を減圧下で行うことを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 たばこ、たばこ製品又はたばこ代替物
    を着香するための着香用組成物にして、当該着香組成物
    が請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の分別生成
    物を含んでなることを特徴とする着香組成物。
  13. 【請求項13】 たばこ、たばこ製品及びたばこ代替物
    にして、当該たばこ、たばこ製品及びたばこ代替物が請
    求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の分別生成物又
    は請求項12記載の着香組成物を含んでなることを特徴
    とする着香組成物。
  14. 【請求項14】 たばこ、たばこ製品及び/又はたばこ
    代替物を着香する方法にして、当該たばこ、たばこ製品
    及び/又はたばこ代替物に、請求項1乃至請求項9のい
    ずれか1項記載の分別生成物又は請求項12記載の着香
    組成物を配合することを特徴とする方法。
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