JPH0670644B2 - 半導体容量式加速度センサとその製造方法 - Google Patents

半導体容量式加速度センサとその製造方法

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JPH0670644B2
JPH0670644B2 JP1230372A JP23037289A JPH0670644B2 JP H0670644 B2 JPH0670644 B2 JP H0670644B2 JP 1230372 A JP1230372 A JP 1230372A JP 23037289 A JP23037289 A JP 23037289A JP H0670644 B2 JPH0670644 B2 JP H0670644B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は半導体容量式の加速度センサに係り、特に、低
レベル(0〜±1G)低周波(0〜10Hz)の加速度を高精
度に検出するに好適な加速度センサとこれを使用した制
御装置等に関する。
[従来の技術] 加速度センサは、加速度の検出部と、該検出部で検出し
た信号を処理する信号処理部とを近在あるいは一体化さ
せて構成するのが好ましい。従来の加速度センサとし
て、例えば特開昭63−81274号公報記載のものは、絶縁
基板の一端側に加速度に応動するウェート部をエッチン
グ加工し、該絶縁基板の他端側表面に信号処理用の回路
パターンを印刷技術で形成すると共に、一緒に歪ゲージ
をウェート部を支えるビーム部分に形成し、前記回路パ
ターンに電子部品を搭載するようにしている。
[発明が解決しようとする課題] 上述した従来の加速度センサは、歪ゲージ式というもの
で、ウェート部の移動によりビーム部の受ける歪に応じ
た信号(圧電効果により表れる電圧信号)を歪ゲージで
検出し、これを電子回路で処理するものである。この歪
ゲージ式は、あまり高感度ではなく、低レベル(0〜±
1G),低周波数(0〜10Hz)の加速度を高精度に検出す
ることはできない。尚、1Gは、9.8m/S2である。
低レベル低周波の加速度を高精度に検出できる加速度セ
ンサとして、半導体容量式の加速度センサがある。この
半導体容量式の加速度センサでは、半導体基板をエッチ
ング加工してウェート部を造り、該ウェート部を電極板
間に介在させ、ウェート部の移動によって生じる電極−
ウェート部間の静電容量の変化を検出する方式を採用し
ている。
しかし、この半導体容量式加速度センサは、加速度によ
る微小な静電容量の変化を測定するため、検出部と信号
処理部との間の配線長や、信号処理部内の回路配線の持
つ寄生容量や、この寄生容量の変動等の影響を受け易
く、加速度の大きさによって静電容量の測定制度が変動
したり、外来雑音が配線にのって信頼性を低下させると
いう問題がある。そこで、検出部−信号処理部間の配線
長を短くしたり信号処理部回路内部の配線長を短くしな
ければならない要請が上記の従来技術より高い。しか
し、上記従来技術のように、基板の一端側表面に回路パ
ターンを印刷し此処に電子部品を搭載する構成だけで
は、歪ゲージ式加速度センサには有効であるが、半導体
容量式加速度センサではまだ不十分である。しかも、搭
載電子部品の質量が大きいと、この電子部品により構成
される信号処理部の固有の機械的振動が検出部の方に伝
播し易く、真の加速度の検出を妨げるという問題もあ
る。
本発明の目的は、低レベル低周波の加速度でも信頼性良
くしかも高精度に検出することができる半導体容量式加
速度センサとその製造方法を提供し、併せて、この半導
体容量式加速度センサを使用した制御装置を提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的のうち、半導体容量式加速度センサは、信号処
理部を半導体集積回路で構成し、該半導体集積回路を搭
載した半導体基板を、加速度センサを構成する基板の1
つの固定部とすることで、あるいは、センサの検出部と
半導体集積回路製信号処理部とを別体とするもこれを同
一ステム上に近接配置することで、達成される。
上記目的のうち、制御装置は、加速度センサとして上記
半導体容量式加速度センサを用い、該センサの検出した
加速度の大きさや加速度の有無により、各制御を行わせ
る構成とすることで、達成される。
[作用] 本発明の半導体容量式加速度センサは、該加速度センサ
を構成する半導体基板の一部の固定部に半導体集積回路
として信号処理部が形成されているので、該信号処理部
の質量の移動による機械的振動が生じることがなく、ま
た、寄生容量も低減でき、更にコンパクトなのでシール
ド効果の高い金属容器内に納めることが容易となり、外
来雑音に強い構造とすることができる。従って、エンジ
ンのように雑音を発する機器の制御装置として使用して
も良好に加速度を検出でき、また、センサ全体もコンパ
クトなため、小さい機器の制御装置に組み込むことも容
易となる。
[実施例] 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図は、本発明の第1実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例に係る半導体容量式
加速度センサは、三枚のシリコン基板1,2,3を積層して
なる。真中のシリコン基板2は、異方性エッチングによ
り、ビーム4で支持された質量mの可動電極部5が形成
されている。この可動電極部5の厚さは、該シリコン基
板2の厚さより薄くされ、固定電極板となる基板1ある
いは基板3方向に変位可能になっている。
シリコン基板1,3は固定電極とするため、例えば可動電
極部5に対向する面側の不純物濃度を高めてある。そし
て、三枚のシリコン基板1,2,3を積層する場合、可動電
極部5と固定電極とが短絡しない様に、各シリコン基板
1,2,3の接合箇所表面を酸化してから積層してある。
本実施例では、更に、シリコン基板1の可動電極部5と
反対側表面に、信号処理回路6を半導体微細加工技術に
より集積回路として形成してある。そして、シリコン基
板2とシリコン基板1,3の固定電極との間に現われる信
号をこの信号処理回路6に入力させる配線用の導電性膜
が蒸着などで形成されている(図示せず)。
斯かる半導体容量式加速度センサを制御対象物に搭載
し、該制御対象物が移動し、その移動方向(第1図の上
下方向とする。)に加速度(マイナスの加速度つまり減
速度も含む。)が加わった場合、可動電極部5に働く慣
性力とシリコンビーム4よる復元力との釣合いから、そ
の加速度の大きさに応じて、可動電極部5と固定電極と
してのシリコン基板1,3との間の空隙の寸法が変化す
る。固定電極は、可動電極5に対向した面が加速に対し
て全く移動しないので、上記空隙間の静電容量が変化す
る。即ち静電容量の変化は、可動電極部5とシリコン基
板1の間あるいは可動電極部5とシリコン基板3間の間
隙で変化し、この静電容量変化を検出することができ
る。そして、この静電容量に応じた信号は、シリコン基
板1,2,3内蒸着膜などを通じてシリコン基板1に造成さ
れた信号処理回路6に入力されるから、検出信号の損失
減衰が少なく、寄生容量や寄生容量の変動等の影響を受
けたり、また外来雑音の影響を受けることなく高感度の
信号検出及び信号処理をすることができる。信号処理回
路6では入力された信号を処理し、加速度に対応した信
号として他の図示しない外部制御回路へ出力する。
なお、信号処理回路としては、特に限定するものではな
く、可動電極部と固定電極との間の容量変化に応じた信
号を生成して出力するものであっても、また、加速度が
変化しても可動電極部が両固定電極間で移動しないよう
に可動電極部と固定電極との間に印加する静電気力を電
子的に追従させこの電子的に追従する静電気力に応じた
信号を出力させるものでもよい。
いずれにしても、信号処理回路6は、固定電極を形成す
るシリコン基板1に設けた半導体集積回路であるから、
質量の大きい電子部部品を搭載したときのように、その
電子部品により構成される信号処理部の固有の機械的振
動が信号検出部の方に伝播して加速度信号の検出精度を
変動させたり低下させたりすることなく、測定精度を高
めることができる。また、この信号処理回路6の半導体
集積回路を固定電極を形成したシリコン基板1に設けた
ので、これが可動電極部5等の可動部の加速度変動に影
響を与えることがなく、加速度に対応する信号の検出が
高精度をもって行なえる。
なお、信号処理回路6は、他の固定電極のシリコン基板
3とか、可動電極部5を形成したシリコン基板2の固定
部分に設けることができる。また、本実施例では、固定
電極として両方ともシリコン基板を使用したが、一方を
導体板、その他としてもよい。
第2図は、本発明の第2実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例に係る半導体容量式
加速度センサは、第1実施例に係る半導体容量式加速度
センサと基本的に同じであるが、異なる点は、シリコン
基板1,2,3を低融点ガラス7,8で接合して各基板1,2、1,3
間の絶縁を図り、信号処理回路6(シリコン基板1〜3
を積層する前に製造しておく。)の表面側をパシベーシ
ョン膜9で覆い、このパシベーション膜9の所要位置に
窓を明けてポリシリコンやAl等の配線膜10を蒸着し、更
に、該配線膜10,シリコン基板(可動電極部)2,固定電
極用のシリコン基板3に夫々Al膜11,12,13を蒸着してボ
ンディングパッドとする。
尚、本実施例では、低融点ガラス7,8でシリコン基板を
接合したが、高温度雰囲気中で接合することで、接合表
面に酸化シリコン膜を形成し、これで絶縁を図ることで
もよいことは勿論である。このように、あるいは第1実
施例でも同様であるが、3枚の同一基材のシリコン基板
1,2,3を積層する構成のため、基板間での熱膨張率のミ
スマッチのない温度特性の優れた加速度センサが得られ
る。
尚、本実施例では、シリコン基板1の可動電極部5と反
対側に信号処理用集積回路6を設けたが、集積回路6の
製造位置は此処に限定されるものではなく、例えばシリ
コン基板1の裏側や、シリコン基板2の固定部,シリコ
ン基板3のいずれにも形成できるものである。
第3図は、本発明の第3実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例は、第2実施例とそ
の基本構成は同じであるが、第2実施例では、ボンディ
ングパッドを利用して配線接続したが、本実施例では、
一部の配線をシリコン基板自体に設けた高濃度拡散層を
利用して行う。まず、シリコン基板1にアルカリエッチ
ングによる上面から下面に至る穴を明け、更に、一方の
基板表面に信号処理用の集積回路6を製造する。また、
集積回路6と反対側表面及び前記穴の内周面とに不純物
を高濃度に拡散して固定電極14とする。そして、集積回
路6を設けた側の表面をパシベーション膜9で被覆し、
集積回路6の信号入力部と固定電極の当該表面側にまで
延在する箇所とに該当するパシベーション膜9に窓を明
け、その上から配線膜10を蒸着する。斯かる構成のシリ
コン基板1と、可動電極部5を異方性エッチングで製造
したシリコン基板2と、他方の固定電極部となるシリコ
ン基板3とを酸化シリコン膜あるいは低融点ガラス7,8
を介して接合し、シリコン基板2,3に夫々ボンディグパ
ッド12,13を蒸着している。
本実施例によれば、上側の固定電極から集積回路6への
電気的接続をシリコン基板内で行うので、実装がより簡
単になる。
第4図は、本発明の第4実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例では、シリコン基板
1の一面に酸化膜8で基板本体と絶縁した固定電極膜15
を形成し、基板1の反対側に信号処理用の集積回路6を
製造し、この集積回路6側をパシベーション膜9で被覆
し、該当箇所に窓を明け、その上から配線膜10を蒸着
し、配線膜10の所要箇所にボンディグパッド11を蒸着す
る。シリコン基板3の片面は、これも酸化膜7で基板本
体から絶縁した固定電極膜16を形成する。また、シリコ
ン基板2は異方性エッチングによりビーム4に支持され
た可動電極部5を製造するが、本実施例では、固定電極
側の電極膜15,16が可動電極側に若干出っ張るので(第
1〜第3実施例に比較して)、可動電極部5の厚さをそ
れだけ薄くするようにする。そして、シリコン基板1,2,
3を積層して加速度センサを構成する。
本実施例によれば、第2実施例と同様に、信号処理方式
に広範な選択の余地があり、更に、デバイス構造が単純
になるという効果がある。
上述した各実施例は、基板自体が半導体であるため、基
板中の信号処理用の集積回路6を形成し、また、同一基
材の基板1,2,3を積層して熱膨張によるミスマッチを回
避する構成としたが、本発明の半導体容量式加速度セン
サは斯かる構造に限定されるものではない。以下、基本
構造が第1〜第4実施例とは異なる半導体容量式加速度
センサについて説明する。
第5図は、本発明の第5実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例の半導体容量式加速
度センサは、シリコンと熱膨張係数が近いホウケイ酸系
のガラス基板18,19と、可動電極部5を形成したシリコ
ン基板2と、集積回路でなる信号処理部6を製造するシ
リコン基板17で構成する。ガラス基板18,19の夫々の片
面に固定電極膜15,16を蒸着等で形成したあと、該ガラ
ス基板18,19の夫々の固定電極膜15,16を対向させてシリ
コン基板2を挾持し、ガラス基板18の他の面に、シリコ
ン基板17を陽極接合する。この陽極接合は、300℃〜400
℃の比較的低温で可能なため、固定電極膜15の材料とし
て、アルミニウムを使用することが可能となる。尚、固
定電極15,16、可動電極部5と、集積回路6との電気的
接続は、ワイヤボンディグ等でセンサ外部を通じて行
う。
本実施例は、比較的低温で加速度センサを製造できると
いう効果がある。
第6図は、本発明の第6実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例の加速度センサは、
第5実施例の加速度センサがシリコン基板17に信号処理
部6を形成しこのシリコン基板17をガラス基板18に陽極
接合したのに対し、信号処理部6を薄膜集積回路20とし
てガラス基板18表面上に形成したことが異なる。本実施
例によれば、第5実施例に較べ、シリコン基板17を使用
しないだけ小型化できるという効果がある。
第7図は、本発明の第7実施例に係る半導体容量式加速
度センサの断面図である。本実施例の加速度センサは、
シリコン基板17/ガラス基板18/可動電極部用シリコン基
板2/ガラス基板19/シリコン基板21の五層構造であり、
各接合は陽極接合で行っている。シリコン基板17には信
号処理用の集積回路6が形成され、ガラス基板18,19に
は固定電極膜15,16が形成されている。ガラス基板18に
は超音波加工等で貫通孔が形成され、該貫通孔には導電
性材料22が埋め込まれる。シリコン基板17には前記ガラ
ス基板18の貫通孔に対応する位置に貫通孔がアルカリエ
ッチングで形成され、該貫通孔及び集積回路6を形成し
た表面を酸化膜9で覆い、集積回路6の所要位置の酸化
膜9に窓をあける。そして、ガラス基板18とシリコン基
板17とを整合させて陽極接合し、その後に電極膜10をマ
ス蒸着することで、固定電極膜15と集積回路6とを内部
で電気的に接続する。ガラス基板19にも超音波加工等で
貫通孔をあけ此処に導電性材料23を埋め込んでおき、シ
リコン基板21とガラス基板19とを陽極接合したとき、固
定電極膜16とシリコン基板21とが電気的に接続されるよ
うにする。そして、シリコン基板2,21にボンディグパッ
ド12,13を蒸着し、該パッド12,13と集積回路6とをセン
サ外部を通して接続する。
本実施例によれば、配線の一部をセンサの内部接続でで
きるので、構造が簡易になるという効果がある。
以上の第5〜第7実施例では、集積回路6と固定電極と
は電気的に絶縁されているため、絶縁のための他の処理
を必要としない。
上述した第1〜第7実施例に係る半導体容量式加速度セ
ンサは、全てセンサ部(可動電極部及び固定電極部)と
信号処理部とがワンチップ化され、これを金属パッケー
ジ内に収納することで、外来雑音から保護され、且つ振
動にも強くなる。
上述した各実施例は、ワンチップ化した加速度センサで
あったが、本発明はワンチップであることに限定される
ものではない。第8図は、本発明の第8実施例に係る半
導体容量式加速度センサの平面図である。本実施例で
は、センサ部24(可動電極部を形成したシリコン基板を
固定電極間に介在させた物)と信号処理回路を集積回路
として形成した半導体チップ(信号処理部)25とを同一
ステム27上に隣接して搭載し、両者をワイヤボンディグ
で接続し、且つ集積回路の出力信号をステムの図示しな
いリード線に接続(26)する構成としている。また、半
導体チップ25には、オンチップ調整部30が設けられてい
る。本実施例による場合もセンサ部24の固定部が固定さ
れた同一ステム27の近接固定部分に集積回路を形成した
半導体チップ25が固定されているので、半導体チップ25
がセンサ24の可動電極部の加速度振動に影響を与えたり
検出値を変化させたりすることなく高い精度の検出が可
能である。
第9図は、本発明の第9実施例に係る半導体容量式加速
度センサの平面図である。本実施例では、第8実施例が
センサ部24と半導体チップ25とをワイヤボンディグで接
続したのに対し、センサ部24と半導体チップ25の夫々の
出力,入力端子に接続するパッド部を設け、ステム27上
に設けた絶縁基板28に印刷した厚膜配線29に接着するこ
とで接続している。
上述した第8、第9実施例は、センサ部24と信号処理部
25とを別々に製造するため、夫々の素子の製造工程で最
適な工程を選べるという効果がある。更に、パッケージ
内には、センサ部24と信号処理部25以外には何も設ける
必要がないので、両者を別体に設けたと言っても小型化
を阻害する要因とはならない。また、オンチップ調整部
30を設けてあるので、外付け抵抗やレーザ光線でトリミ
ングする印刷抵抗とかが不要となり、その分だけ小型化
を図ることが可能となり、しかも係る抵抗等の振動から
も開放される。オンチップ調整部30は、具体的には、集
積回路チップ内に抵抗アレイ群を設け、特性調整時にボ
ンディグ等により選択するようにする。尚、ROMチップ
をアレイ化してツェナーザッピング法により選択調整す
る構成とすることもできる。
尚、第1〜第7実施例では、オンチップ調整部は設けて
いないが、勿論、集積回路を製造したシリコン基板に設
けることもできることはいうまでもない。
次に、上述した半導体容量式加速度センサを使用する制
御システムについて説明する。
例えば、自動車の制御装置に半導体容量式加速度センサ
を使用する場合、自動車のエンジンは、スパークプラグ
による点火を繰り返すため、外来雑音に強いセンサが要
求される。また、常時振動する車に設けるため、センサ
部やこれに付随する信号処理部の共振振動が無いあるい
は少ない加速度センサである必要があり、更にまた、そ
の加速度のレベル,周波数も低レベル、低周波のため、
従来の歪ゲージ式では有効でない。従って、従来の自動
車制御には加速度センサは実際に使用されることはなか
った。しかし、本発明の半導体容量式加速度センサは、
外来雑音や振動に対して強く、しかも、高感度高精度な
ため、制御に使用することが可能である。
第10図は、自動車の車両制御システムの構成図である。
自動車のエンジン31の出力軸は、ミッション32とプロペ
ラシャフト33を介して後輪34,35を駆動する様になって
いる。また、前輪36,37は図示しない車体に軸支され、
該車体が駆動輪34,35の回転によって移動したとき、従
動するようになっている。エンジン31の図示しない点火
装置の点火時期、燃料噴射ポンプによる供給燃料量等
は、エンジンコントロールユニット50により制御され、
エンジンコントロールユニット50は、これらの制御量
を、各種センサの検出した、アクセル踏み込み量、エン
ジン冷却水温度、排気ガス中の酸素濃度、バッテリ電圧
値等から所定の演算式に基づいて決定する。
本発明実施例に係る車両制御システムは、上述した各種
センサの他に、車体の上下方向、前後方向及び横方向の
加速度を夫々検出する半導体容量式加速度センサであっ
て、上述した第1〜第9実施例に係る加速度センサ51a,
51b,51cが車体の所定位置に固定されている。そして、
各車輪34,35,36,37には車輪回転速度を検出する車輪速
度センサ38,39,40,41が設けられ、これらの車輪速度セ
ンサ38〜41と前記の加速度センサ51a,51b,51cの検出信
号は、車体制御装置52に入力され、該車体制御装置52
は、入力信号に基づき、各車輪のブレーキアクチュエー
タ53に制御信号を送出して各車輪毎にそのブレーキ力を
制御し、各車輪のショックアブソーバアクチュエータ54
に制御信号を送出して各ショックアブソーバの減衰力を
制御する構成になっている。また車体制御装置52は、ス
リップ状態を示す信号をエンジンコントロールユニット
50にも送出し、エンジン出力も加速状態に応じて制御す
るようになっている。尚、第10図に示す自動車は、FR方
式であるが、本発明は、FF方式でも四輪駆動方式でも適
用できるのはいうまでもない。
例えば低μ路を走行中に急制動をかけた場合、車輪がロ
ックされやすい。車輪がロックされると、横からの力に
対し不安定になって横滑りしやすくなり、ステアリング
操作が不可能な状態になる。従って、車輪がロックされ
そうになったときは、ブレーキアクチュェータを制御し
てブレーキ力を弱め、車輪が回転するように制御する必
要がある。また、これとは別に、低μ路を走行する場合
や急発進する場合、駆動トルクが大きいので、車輪が路
面に対してスリップし、無駄なトルクを使用することに
なる。斯かる場合には、エンジン出力を低下させ、車輪
のスリップ率が低下する方向に制御を進める必要があ
る。
上述した各場合において、つまり、急性動をかけた場合
や駆動トルクが大きい場合は、車体に加速度が加わる。
この加速度の方向及び大きさを半導体容量式加速度セン
サ51a,51b,51cで検出して、これと、各車輪速度センサ3
8〜41までの検出信号及びエンジンの運転状態とから車
両の状態が急制動状態にあるのか、急発進状態にあるの
か、低μ路の走行状態にあるのか等を判定し、それに応
じて各車輪のブレーキ力を制御し、ショックアブソーバ
の減衰力を制御し、エンジンに供給する燃料量等を制御
し駆動トルクを制御する。
本発明に係る半導体容量式加速度センサをカメラに搭載
することで、次の様な制御も可能となる。
例えば、カメラで被写体を撮る場合、先ず、カメラの絞
り,焦点距離,シャッタースピード等をセットしてか
ら、あるいは自動的にこれらがセットされてから、レリ
ーズするのであるが、このレリーズ時にカメラが動き、
ピンボケになってしまうことがある。そこで、本発明で
は、前述した半導体容量式加速度センサをカメラに内蔵
し、該加速度センサが加速度を検出したとき、つまり、
レリーズ時にカメラが動きこれが加速度としてセンサに
検出されたとき、カメラ内蔵のCPUがシャッタースピー
ドをセット値より早めることで、手振れによるピンボケ
が回避される。また、この時、シャッタースピードの早
めた分だけ絞り明けることで、画像がくらくなるのを回
避できる。
[発明の効果] 本発明の半導体容量式加速度センサによれば、コンパク
トで信頼性が高くしかも高精度に加速度を検出すること
ができるという効果がある。また、本発明の制御装置に
よれば、微小な加速度が被制御装置に加わった場合で
も、この加速度に応じて適切な制御ができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図,第3図,第4図,第5図,第6図,第
7図,第8図,第9図は夫々本発明の第1,第2,第3,第4,
第5,第6,第7,第8,第9実施例に係る半導体容量式加速度
センサの断面図、第10図は半導体容量式加速度センサを
搭載した制御装置の一例である車両制御システムの構成
図である。 1,2,3…シリコン基板、4…ビーム、5…可動電極部、
6…信号処理部(集積回路)、15,16…固定電極膜、27
…ステム、38〜41…車輪速度センサ、51a,51b,51c…半
導体容量式加速度センサ、52…車体制御装置、53…ブレ
ーキ制御用アクチュエータ、54…ショックアブソーバ用
アクチュエータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 昌大 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 横田 吉弘 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所佐和工場内 (56)参考文献 特開 昭50−59068(JP,A)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三枚の基板A,B及びCをこの順に積層して
    成り、中間の基板Bを半導体製とし該半導体基板にビー
    ムに支持された可動電極部が前記基板A及びC方向に変
    位可能に設けられ、且つ前記基板A及びCを半導体製と
    し該半導体基板を固定電極とするかあるいは前記可動電
    極部との対向面に固定電極が形成され、作用する加速度
    の大きさに応じて変化する前記可動電極部と固定電極と
    の間の静電容量に応じた信号を出力する半導体容量式加
    速度センサにおいて、前記基板A,B及びCの少なくとも
    1つの基板の固定部に前記信号処理用の半導体集積回路
    を設けて成ることを特徴とする半導体容量式加速度セン
    サ。
  2. 【請求項2】三枚の基板A,B及びCをこの順に積層して
    成り、中間の基板Bを半導体製とし該半導体基板にビー
    ムに支持された可動電極部が前記基板A及びC方向に変
    位可能に設けられ、且つ前記基板A及びCの少なくとも
    一方を半導体製とし該半導体基板を固定電極とするかあ
    るいは前記可動電極部との対向面に固定電極が形成さ
    れ、作用する加速度の大きさに応じて変化する前記可動
    電極部と固定電極との間の静電容量に応じた信号を出力
    する半導体容量式加速度センサにおいて、前記基板A,B
    及びCの少なくとも1つの基板の固定部に前記信号処理
    用の半導体集積回路を設けて成ることを特徴とする半導
    体容量式加速度センサ。
  3. 【請求項3】三枚の基板A,B及びCをこの順に積層して
    成り、中間の基板Bを半導体製とし該半導体基板にビー
    ムに支持された可動電極部が前記基板A及びC方向に変
    位可能に設けられ、且つ前記基板A及びCの少なくとも
    一方を絶縁体製とし該絶縁基板の前記可動電極部との対
    向面に固定電極が形成され、作用する加速度の大きさに
    応じて変化する前記可動電極部と固定電極との間の静電
    容量に応じた信号を出力する半導体容量式加速度センサ
    において、前記基板A,B及びCの少なくとも1つの基板
    の固定部に前記信号処理用の半導体集積回路を設けて成
    ることを特徴とする半導体容量式加速度センサ。
  4. 【請求項4】可動電極部が形成された半導体基板を固定
    電極が形成された基板間に介挿し加速度の変化を固定電
    極に対する可動電極部の相対位置変位として検出するた
    めの前記固定電極と前記可動電極部との間の静電容量の
    変化を検出するセンサ部と、該センサ部が検出した静電
    容量に応じた信号を処理する信号処理回路とを備えて成
    る容量式加速度センサにおいて、前記センサ部を構成す
    るチップの固定部と、該チップとは別体の半導体集積回
    路で成る前記信号処理回路のチップとを同一ステム上の
    近接位置に搭載したことを特徴とする半導体容量式加速
    度センサ。
  5. 【請求項5】請求項4において、信号処理回路は、オン
    チップ調整部を備えることを特徴とする半導体容量式加
    速度センサ。
  6. 【請求項6】半導体基板Bにビームに支持された可動電
    極部を製造し、他の半導体基板Aに信号処理用の半導体
    集積回路を形成し、該半導体基板Aと別の半導体基板C
    との間に前記可動電極部を製造した半導体基板Bを介挿
    し、前記半導体基板Aと前記可動電極部間あるいは前記
    半導体基板Cと前記可動電極部間に現われる静電容量の
    変化に応じた信号を前記半導体集積回路に入力するよう
    にしたことを特徴とする半導体容量式加速度センサの製
    造方法。
  7. 【請求項7】半導体基板Bにビームに支持された可動電
    極部を製造し、他の半導体基板Aに信号処理用の半導体
    集積回路を形成すると共に該半導体基板Aの片面に絶縁
    膜を介して電極膜を形成し、該半導体基板Aと別の半導
    体基板Cの片面に絶縁膜を介して電極膜を形成し、前記
    半導体基板A,Cの電極膜を対面させたその間に前記可動
    電極部を製造した半導体基板Bを絶縁物を介して前記可
    動電極部が前記両電極膜に対面するように介挿し、前記
    可動電極部と前記電極膜との間に現われる静電容量の変
    化に応じた信号を前記半導体集積回路に入力させるよう
    にしたことを特徴とする半導体容量式加速度センサの製
    造方法。
  8. 【請求項8】半導体基板Bにビームに支持された可動電
    極部を製造し、2枚の絶縁基板の少なくとも一方の基板
    の片面の前記可動電極部に対面する領域に電極膜を形成
    し、他の半導体基板Aに信号処理用の半導体集積回路を
    形成し、前記両絶縁基板間に前記半導体基板Bを前記可
    動電極部が前記電極膜に対面するように介挿させると共
    にいずれか一方の絶縁基板の外側に前記半導体基板Aを
    配置して該半導体基板A,Bと前記絶縁基板を一体化し、
    前記可動電極部と前記電極膜との間に現われる静電容量
    の変化に応じた信号を前記半導体集積回路に入力させる
    ようにしたことを特徴とする半導体容量式加速度センサ
    の製造方法。
  9. 【請求項9】半導体基板にビームに支持された可動電極
    部を製造し、2枚の絶縁基板の少なくとも一方の基板の
    片面の前記可動電極部に対面する領域に電極膜を形成
    し、前記絶縁基板の少なくとも一方に電極膜を形成した
    場合はその反対側に信号処理用の薄膜半導体集積回路を
    形成し、前記両絶縁基板の間に前記半導体基板を前記可
    動電極部が前記電極膜に対面するように介挿して一体化
    し、前記可動電極部と前記電極膜間に現われる静電容量
    の変化に応じた信号を前記薄膜半導体集積回路に入力さ
    せるようにしたことを特徴とする半導体容量式加速度セ
    ンサの製造方法。
  10. 【請求項10】ブレーキ機構が設けられた車輪のスリッ
    プ状態を検出し該スリップ状態に応じて前記ブレーキ機
    構を制御し車輪に加わるブレーキ力を制御する車両制御
    装置において、車輪の実際の回転速度を検出する車輪速
    度センサと、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記
    載の半導体容量式加速度センサと、該半導体容量式加速
    度センサが検出した車両のマイナス方向の加速度の大き
    さと前記車輪速度センサが検出した車輪の回転速度とに
    応じて前記ブレーキ機構を制御して車輪の地面に対する
    スリップ率を低減させる方向に制御を進める制御手段と
    を設けたことを特徴とする車両制御装置。
  11. 【請求項11】エンジンの駆動力が伝達して回転する車
    輪を備える車両の制御装置において、車両の加速度ある
    いは減速度の大きさを検出する請求項1乃至請求項5の
    いずれか1つに記載の半導体容量式加速度センサと、車
    輪の回転速度を検出する車輪速度センサと、前記半導体
    容量式加速度センサの検出値と前記車輪速度センサの検
    出値とに応じて車輪の回転速度がエンジンの駆動トルク
    に対応する値となる方向にエンジンの駆動トルク制御を
    進め車輪の地面に対するスリップ率を低減させる制御手
    段とを備えることを特徴とする車両制御装置。
  12. 【請求項12】使用するフイルム感度と露出計の出力信
    号とに応じてセットされたシャッタスピートで写真をと
    るカメラにおいて、請求項1乃至請求項5のいずれか1
    つに記載の半導体容量式加速度センサと、該半導体容量
    式加速度センサがシャッタレリーズ時に加速度を検出し
    たとき前記のシャッタスピードのセット値を早める手振
    れ防止制御手段とを内臓することを特徴とするカメラ。
  13. 【請求項13】使用するフイルム感度と露出計の出力信
    号とに応じてセットされた絞りとシャッタスピードで写
    真をとるカメラにおいて、請求項1乃至請求項5のいず
    れか1つに記載の半導体容量式加速度センサと、該半導
    体容量式加速度センサがシャッタレリーズ時に加速度を
    検出したとき前記のシャッタスピードのセット値を早め
    ると共にそれに応じて絞りセット値を変える手振れ防止
    制御手段とを内臓することを特徴とするカメラ。
  14. 【請求項14】車体に取り付けられた車輪を弾性支持す
    るショックアブソーバの減衰力を制御する車体制御装置
    において、車体に加わる加速度を検出する請求項1乃至
    請求項5のいずれか1つに記載の半導体容量式加速度セ
    ンサと、該半導体容量式加速度センサの検出値に応じて
    ショックアブソーバの減衰力を制御する制御手段とを備
    えることを特徴とする車体制御装置。
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