JP2004132792A - センサユニットの構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加速度センサ及びヨーレートセンサ双方の信号出力部であるセンサチップ12をセンサ下ダイボンド剤50により、また、センサチップ12からの信号を処理するIC54をダイボンド剤56により、それぞれ基板52に接着固定する。また、基板52を基板下ダイボンド剤60によりケース70の一部となるステム62に接着固定する。センサ下ダイボンド剤50の厚さ及び基板下ダイボンド剤60の厚さを、加速度センサ及びヨーレートセンサのゼロ点変動の抑制と、ヨーレートセンサの駆動能力の維持とを考慮して、互いに関連させて設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサユニットの構造に係り、特に、物理量に応じた信号を出力するセンサチップが接着剤で基板に接着され、また、その基板が接着剤でケースに接着されるセンサユニットの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、加速度に応じた信号を出力するセンサチップを基板に接着固定したセンサユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このセンサユニットにおいて、センサチップと基板との間の接着層は、十分な厚さを有している。このため、封止工程時や環境温度が変化した際にも、その際に発生する応力が接着層に吸収され易く、センサチップの変形や反りの発生は抑制される。従って、従来のセンサユニットにおいては、加速度が生じていないにもかかわらず加速度が生じているような信号が出力される事態、すなわち、加速度センサのゼロ点が変動するのを抑制することができる。
【0003】
ところで、加速度センサが、軸回りに生ずる角速度に応じた信号を出力するヨーレートセンサと一体に構成されたセンサユニットが知られている(例えば、特許文献2参照)。このセンサユニットにおいて、ヨーレートセンサは、振動する部材に角速度が加わることにより生ずるコリオリ力を検知し、その振動部材に加わる角速度に応じた信号を出力する。すなわち、ヨーレートセンサを用いて軸回りに生ずる角速度を検出するためには、部材を常に振動させる必要がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−194382号公報
【特許文献2】
特開平9−113285号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ヨーレートセンサの振動部材の周りに存在するガスが高圧状態にあるほど、振動部材の振動はガスとの摩擦により減衰し易いため、振動部材を所望の振幅で振動させるのに必要な電力が増大する。従って、ヨーレートセンサの振動部材の駆動能力を高く維持するうえでは、振動部材の周りを、基板が接着固定されるケースにより密閉し、そのケース内を真空に近い状態に維持することが望ましい。
【0006】
しかしながら、ヨーレートセンサと一体に構成される加速度センサのセンサチップと基板との間の接着剤が、上記特許文献1記載の如く十分に大きな厚さを有している構成では、その分だけ接着剤の体積が大きく、その接着剤の中に含まれる水分やガスの量が多量であるため、封止工程での高温溶接時に接着剤からケース内に向けて蒸発する水分やガスの量が増大し、ケース内の真空度を低圧状態に維持することが困難となる。この点、ケース内の真空度を低圧状態に維持したうえでセンサチップの変形を抑制するためには、単にセンサチップと基板との間の接着剤を厚くするだけでは不十分である。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、封止工程時や温度変化時等におけるセンサチップの変形の抑制と、封止が行われた後におけるケース内の真空度の維持とを両立させることが可能なセンサユニットの構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、センサチップと、前記センサチップが第1の接着剤により接着される基板と、前記基板が第2の接着剤により接着されるケースと、を備え、前記センサチップが前記ケース内にパッケージされたセンサユニットの構造であって、
前記第1の接着剤の厚さと前記第2の接着剤の厚さとが互いに関連して設定されているセンサユニットの構造により達成される。
【0009】
本発明において、センサチップと基板とを接着させる第1の接着剤の厚さと基板とケースとを接着させる第2の接着剤の厚さとは、互いに関連して設定される。センサチップと基板との接着面積は基板とケースとの接着面積よりも小さい。この点、封止工程時等におけるセンサチップの変形を抑制するうえでは、第1及び第2の接着剤の厚さをトータルとして所定の厚さ以上に確保することが重要であると共に、封止が行われた後におけるケース内の真空度を所望の低圧状態に維持するうえでは、第1及び第2の接着剤の厚さを両者の関係を考慮して設定することが必要である。従って、第1の接着剤の厚さと第2の接着剤の厚さとを互いに関連させて設定することとすれば、封止工程時等におけるセンサチップの変形の抑制と、封止が行われた後におけるケース内の真空度の維持とを両立させることが可能となる。
【0010】
また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、請求項1記載のセンサユニットの構造において、前記第2の接着剤の厚さが前記第1の接着剤の厚さに比して小さいセンサユニットの構造により達成される。
【0011】
本発明において、第2の接着剤は、第1の接着剤よりも小さな厚さを有している。センサチップと基板との接着面積は基板とケースとの接着面積よりも小さい。従って、本発明の構成においては、センサチップとケースとの間に介在する接着剤の厚さが本発明の構成におけるものと同一である一方、第2の接着剤が第1の接着剤よりも本発明の構成における差厚と同量だけ大きな厚さを有している構成と比較して、接着剤の量が少なくなる。この場合には、接着剤中に含まれる水分やガスの量も少なくなる。このため、封止工程時等におけるセンサチップの変形を抑制すると共に、封止が行われた後におけるケース内の真空度を低圧状態に維持することが可能となる。
【0012】
ところで、加速度に応じた信号を出力する加速度センサは、加速度が加わった際に変形が生ずる例えば半導体歪ゲージを備える。また、軸回りの角速度に応じた信号を出力するヨーレートセンサは、回転運動が加わった際にコリオリ力が発生する振動素子を備える。
【0013】
従って、請求項3に記載する如く、請求項1又は2記載のセンサユニットの構造において、前記センサチップは、加速度に応じた信号を出力する加速度センサと、コリオリ力を用いて軸回りの角速度に応じた信号を出力するヨーレートセンサと、を有することとすれば、封止工程時等におけるセンサチップの変形が抑制されると共に、封止が行われた後におけるケース内の真空度が低圧状態に維持されるため、加速度センサのゼロ点変動を抑制することができると共に、ヨーレートセンサの有する振動素子の駆動能力を所望の範囲に維持することができる。
【0014】
この場合、第1又は第2の接着剤の厚さの下限値は、センサチップの変形が抑制される程度に制限される。また、その上限値は、ケース内が所定の低圧状態に維持される程度に制限される。
【0015】
従って、請求項4に記載する如く、請求項3記載のセンサユニットの構造において、前記第1又は第2の接着剤の厚さは、前記加速度センサの特性条件に従った下限値以上に設定され、前記ヨーレートセンサの特性条件に従った上限値以下に設定されていることとすれば、加速度センサのゼロ点変動の抑制と、ヨーレートセンサの有する振動素子の駆動能力の維持とを確実に両立させることができる。
【0016】
尚、請求項5に記載する如く、請求項1乃至4の何れか一項記載のセンサユニットの構造において、前記第1の接着剤の厚さは、前記第2の接着剤の厚さが10μm近傍であるとき、30μm以上かつ150μm以下であることとしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例であるセンサユニット10の構造を表した図を示す。尚、図1には、センサユニット10の側断面図が示されている。本実施例のセンサユニット10は、車両に生ずる車体前後方向又は車幅方向の加速度Gに応じた信号を出力する加速度センサと、車両の重心軸回りに生ずる角速度ωに応じた信号を出力するヨーレートセンサとを一体に構成した、車両に搭載されるサブアッシィである。センサユニット10は、加速度センサ及びヨーレートセンサ双方の信号出力部であるセンサチップ12を備えている。
【0018】
図2は、センサユニット10が備えるセンサチップ12の上面図を示す。図3は、図2に示すセンサチップ12を直線III−IIIで切断した際の断面図を示す。センサチップ12は、シリコン結晶の表面に微細加工によるエッチングを施すことにより形成される。センサチップ12は、シリコン基板14を備えている。シリコン基板14上には、それぞれ質量mからなる可動部20−1,20−2と、シリコン基板14に固定されたアンカ部22と、可動部20−1,20−2とアンカ部22との間に介在する駆動梁24−1〜24−4及び検出梁26−1〜26−4と、が設けられている。
【0019】
可動部20−1,20−2は、シリコン基板14の表面から離れて配置されており、アンカ部22により駆動梁24−1〜24−4及び検出梁26−1〜26−4を介してシリコン基板14に支持されている。駆動梁24−1〜24−4は、アンカ部22に対する可動部20−1,20−2のY軸方向の変位を許容する梁である。また、検出梁26−1〜26−4は、アンカ部22に対する可動部20−1,20−2のX軸方向の変位を許容する梁である。
【0020】
可動部20−1は可動電極30−1を、また、可動部20−2は可動電極30−2を、それぞれ有している。また、シリコン基板14上には、固定電極32−1,32−2が設けられている。固定電極32−1,32−2と可動電極30−1,30−2とは、常態で所定の隙間を空けて対向するように配置されている。可動電極30及び固定電極32には、配線を介して後述の集積回路が接続されている。
【0021】
シリコン基板14上には、励磁電極34−1〜34−4が設けられている。また、駆動梁24−1〜24−4には、可動部20−1,20−2と一体に構成された駆動電極36−1〜36−4が設けられている。励磁電極34−1〜34−4と駆動電極36−1〜36−4とは、常態で所定の隙間を空けて対向するように配置されている。励磁電極34−1〜34−4には、配線を介して後述の集積回路が接続されており、イグニションオン中には所定周波数の励磁電圧が印加される。尚、励磁電極34−1,34−2に印加される励磁電圧と、励磁電極34−3,34−4に印加される励磁電圧とは、互いに大きさが一致する一方、位相が180°異なる電圧である。
【0022】
励磁電極34−1〜34−4に所定周波数の励磁電極が印加されると、励磁電極34−1〜34−4と駆動電極36−1〜36−4との間に、その周波数に応じた周期で可動部20−1,20−2をY軸方向に振動させる力が発生する。この際、上記の如く、励磁電極34−1,34−2に印加される励磁電圧と励磁電極34−3,34−4に印加される励磁電圧とは位相が互いに180°異なる電圧であるので、可動部20−1が振動する方向と、可動部20−2が振動する方向とは、Y軸方向で互いに逆向きとなる。
【0023】
上記の構成において、車両に加速度が生じ、シリコン基板14にX軸方向の加速度が加わると、可動部20にその加速度及び質量mに応じた慣性力が作用する。この際、検出梁26はアンカ部22を支点としてその慣性力の大きさに応じた分だけ弾性変形するので、可動部20の有する可動電極30と固定電極32との隙間が慣性力の大きさの分だけ変化する。尚、この隙間の初期値は、その状態で所定の慣性力が作用しても両電極30,32が接触しないように設定されている。
【0024】
可動部20−1の質量と可動部20−2の質量とは同一であるので、可動部20−1に作用する慣性力と可動部20−2に作用する慣性力とは、X軸方向の向きが一致しかつ大きさが一致する力である。従って、シリコン基板14にX軸方向の加速度が加わった際、可動部20−1の有する可動電極30−1と固定電極32−1との隙間の変化方向と、可動部20−2の有する可動電極30−2と固定電極32−2との隙間の変化方向とは一致する。可動電極30と固定電極32との隙間が変化すると、両者間の静電容量がその隙間に応じて変化する。従って、車両に生ずるX軸方向の加速度Gは、可動電極30と固定電極32との間の静電容量の変化に基づいて検出することができる。
【0025】
また、上記の構成において、可動部20−1,20−2が励振され振動している状態で、車両に角速度が生じ、シリコン基板14にZ軸回りの角速度が加わると、可動部20に振動速度、質量m、及び角速度に応じたコリオリ力が作用する。この際、検出梁26はアンカ部22を支点としてそのコリオリ力の大きさに応じた分だけ弾性変形するので、可動部20の有する可動電極30と固定電極32との隙間がコリオリ力の大きさの分だけ変化する。尚、この隙間の初期値は、その状態で所定のコリオリ力が作用しても両電極30,32が接触しないように設定されている。
【0026】
可動部20−1が振動する方向と可動部20−2が振動する方向とは、上記の如くY軸方向で互いに逆向きであり、また、可動部20−1の質量と可動部20−2の質量とは同一であるので、可動部20−1に作用するコリオリ力と可動部20−2に作用するコリオリ力とは、大きさが一致する一方でX軸方向の向きが逆方向となる力である。従って、シリコン基板14にZ軸回りの角速度が加わった際、可動部20−1の有する可動電極30−1と固定電極32−1との隙間の変化方向と、可動部20−2の有する可動電極30−2と固定電極32−2との隙間の変化方向とは互いに逆向きとなる。可動電極30と固定電極32との隙間が変化すると、両者間の静電容量がその隙間に応じて変化する。従って、車両に生ずるZ軸回りの角速度ωは、可動電極30と固定電極32との間の静電容量の変化に基づいて検出することができる。
【0027】
このように、センサチップ12の構造によれば、車両に生ずるX軸方向の加速度GおよびZ軸回りの角速度ωに応じた信号を出力することができ、2つの可動部20−1,20−2による可動電極30−1と固定電極32−1との静電容量の変化と、可動電極30−2と固定電極32−2との静電容量の変化との関係に基づいて、加速度Gおよび角速度ωを同時に検出させることができるヨーレート・加速度一体センサが構成される。
【0028】
図1に示す如く、センサチップ12は、ダイボンド剤50により台座としての基板52に接着固定されている。ダイボンド剤50は、硬化後に柔軟性を示すシリコーン系の材料により構成されている。センサチップ12は、例えば5(mm)×5(mm)程度の面積を有しており、その下面全面にダイボンド剤50が塗布された状態で基板52に接着される。また、基板52は、例えばシリコン材料により構成されており、例えば14.5(mm)×8(mm)程度の面積を有している。
【0029】
基板52には、また、集積回路(IC)54がダイボンド剤56により接着固定されている。ダイボンド剤56は、ダイボンド剤50と同様に、硬化後に柔軟性を示すシリコーン系の材料により構成されており、一定の厚さを有している。IC54は、例えば8(mm)×6(mm)程度の面積を有しており、その下面全面にダイボンド剤56が塗布された状態で基板52に接着される。IC54は、センサチップ12からの信号を処理する機能を有している。
【0030】
基板52は、ダイボンド剤60によりステム62に接着固定されている。ステム62は、表面にニッケルめっきが施された鉄材料により構成されている。ステム62には、その全周にフランジ部64が形成されている。ステム62のフランジ部64には、断面コの字状のシェル66が、センサチップ12及びIC54が接着固定された基板52を覆うように取り付けられている。シェル66も、ステム62と同様に、表面にニッケルめっきが施された鉄材料により構成されている。シェル66とステム62とは、例えば75(Pa)程度の真空下でスポット溶接の一種であるプロジェクション溶接が行われるにより互いに固定される。このため、センサユニット10の封止後は、シェル66とステム62とで囲まれるケース内は、大気圧より低い圧力の真空度に保たれる。
【0031】
以下、シェル66とステム62とで囲まれるケースをケース70と称し、また、ダイボンド剤50をセンサ下ダイボンド剤50と、ダイボンド剤60を基板下ダイボンド剤60と、それぞれ称す。
【0032】
図4は、基板下ダイボンド剤60の厚さを10μmに固定した場合のセンサ下ダイボンド剤50の厚さと封止後における加速度センサの0点変動との関係を表した実験結果を示す。ダイボンド剤50,60は、上記の如く硬化後に柔軟性を示すため、ステム62側で発生する力を吸収する。この際、ダイボンド剤50,60の、センサチップ12と基板52とステム62との積層方向の厚さ(以下、単に厚さと称す)がトータルとして大きいほど、ステム62側で発生する力は吸収され易く、センサチップ12側に伝わり難い。センサチップ12に力が伝わり難いと、そのセンサチップ12の変形や反りの発生は抑制され、加速度センサ部16およびヨーレートセンサ部18において加速度および角速度が生じていないにもかかわらず加速度および角速度が生じているような信号が検出電極(固定電極32)から出力される事態(すなわち、ゼロ点変動)は抑制される。
【0033】
図4に示す如く、基板下ダイボンド剤60の厚さが10μmである状況下、加速度センサのゼロ点は、センサ下ダイボンド剤50の厚さが30μm未満である場合には−0.07G(のちの制御に影響を与える最小値)相当(すなわち、加速度が実際には生じていない状態で加速度センサが−0.07Gを示す信号を出力すること)を超え、制御に影響を与える程度に変動する。一方、センサ下ダイボンド剤50の厚さが30μm以上である場合には−0.07G相当以下の、制御に影響を与えない程度に抑えられる。
【0034】
尚、センサのゼロ点変動を抑制するうえでは、センサ下ダイボンド剤50及び基板下ダイボンド剤60のトータルの厚さを大きくすれば十分である。センサ下ダイボンド剤50の厚さを10μmに固定した場合の基板下ダイボンド剤60の厚さと封止後における加速度センサの0点変動との関係は、図4に示す結果と同様の結果を示す。この点、センサ下ダイボンド剤50の厚さを大きくする代わりに、基板下ダイボンド剤60の厚さを大きくすることとしても、センサのゼロ点変動を抑制することは可能である。
【0035】
一方、ダイボンド剤50,60の厚さが大きくなると、ケース70内に存在するダイボンド剤50,60の体積がその分だけ大きくなり、その中に含まれる水分やガスの量は比較的多くなる。ダイボンド剤50,60の体積が大きくなると、センサユニット10の封止工程での高温溶接時にダイボンド剤50,60からケース70内に向けて蒸発する水分やガスの量が増大し、ケース70の真空度が高圧側に上昇する。
【0036】
特に、上記の如く、センサチップ12は5(mm)×5(mm)程度の面積を有し、また、基板52は14.5(mm)×8(mm)程度の面積を有しており、基板52の面積はセンサチップ12の面積よりも大きい。このため、センサ下ダイボンド剤50の厚さを大きくする代わりに、基板下ダイボンド剤60の厚さを大きくした場合には、センサ下ダイボンド剤50の厚さを同量だけ大きくした場合に比べて、その分だけセンサユニット10の有するダイボンド剤の体積が増大し、ケース70の真空度が高圧側に上昇する。
【0037】
図5は、ケース70内の真空度(Pa)とヨーレートセンサ部18の駆動能力(励磁電極34に1Vの電圧を印加した際の可動部32の変位量μm;μm/V)との関係を表した実験結果を示す。また、図6は、ダイボンド剤60,50の厚さを10μmに固定した場合のダイボンド剤50,60の厚さ(μm)と封止後におけるケース70内の真空度(Pa)との関係を表した実験結果を示す。尚、図6においては、基板下ダイボンド剤60を固定した場合のセンサ下ダイボンド剤50の厚さと真空度との関係を実線で、また、センサ下ダイボンド剤50を固定した場合の基板下ダイボンド剤60の厚さと真空度との関係を破線で、それぞれ示す。
【0038】
ヨーレートセンサは、角速度が生じた際に発生するコリオリ力を基に角速度に応じた信号を出力するものであるため、常に所定周波数で振動する可動部32を有している。可動部32の周囲に存在するガスが高圧状態にあるほど、可動部32の振動がガスとの摩擦により減衰し易い。このため、ケース70内の真空度が高圧側であるほど、可動部32を所望の振幅で振動させるために必要な励磁電極34への電力が増大し、ヨーレートセンサの駆動能力が低下する。
【0039】
図5に示す如く、可動部32は、ケース70内の圧力が約120Pa未満である場合には励磁電圧1V当たりに4μm以上変位するが、ケース70内の圧力が約120Pa以上である場合には励磁電圧1V当たりに4μm未満しか変位しない。尚、この4μmは、励磁電圧1V当たりの可動部32が振動すべき所望の振幅の下限値である。この点、可動部32の振幅を所望の量だけ確保し、ヨーレートセンサの駆動能力を確保するためには、ケース70内の真空度を約120Pa未満の低圧側にすることが必要である。
【0040】
図6に示す如く、ケース70内の真空度を約120Pa未満の低圧側にするためには、基板下ダイボンド剤60の厚さが10μmである場合、センサ下ダイボンド剤50の厚さを約150μm以下に設定することが必要である一方、基板下ダイボンド剤60の面積はセンサ下ダイボンド剤50の面積に比して小さいため、センサ下ダイボンド剤50の厚さが10μmである場合、基板下ダイボンド剤60の厚さを約70μm以下に設定することが必要である。従って、ヨーレートセンサの駆動能力を所望の範囲内に維持するためには、基板下ダイボンド剤60の量(すなわち、体積)とセンサ下ダイボンド剤50の量とを互いに関連させて設定する必要がある。尚、この場合にも、センサ下ダイボンド剤50はセンサチップ12と基板52とが確実に接着する程度の厚さを有し、また、基板下ダイボンド剤60は基板52とステム62とが確実に接着する程度の厚さを有する。
【0041】
このように、基板下ダイボンド剤60の厚さが10μmである場合、センサ下ダイボンド剤50の厚さは、センサのゼロ点変動を抑制するうえで30μm以上である必要があり、一方、ヨーレートセンサの駆動能力を所望の範囲内に維持するうえで150μm以下である必要がある。また、センサ下ダイボンド剤50の厚さが10μmである場合、基板下ダイボンド剤60の厚さは、センサのゼロ点変動を抑制するうえで30μm以上である必要があり、一方、ヨーレートセンサの駆動能力を所望の範囲内に維持するうえで70μm以下である必要がある。
【0042】
本実施例において、ダイボンド剤50,60の量すなわち厚さは、封止工程時等におけるセンサチップ12の変形や反りの発生によるセンサのゼロ点変動の抑制と、ケース70内の真空度の確保によるヨーレートセンサの駆動能力の維持とを考慮して、互いに関連して設定される。具体的には、基板下ダイボンド剤60の厚さが10μmとされた場合、センサ下ダイボンド剤50の厚さは、30μm以上かつ150μm以下に設定する。また、センサ下ダイボンド剤50の厚さが10μmとされた場合、基板下ダイボンド剤60の厚さは、30μm以上かつ70μm以下に設定される。
【0043】
かかる構成によれば、ダイボンド剤50,60のトータルの厚さが、ステム62とシェル66との溶接が行われるセンサユニット10の封止工程時や環境温度の変化時に発生する応力を十分に吸収できる程度に確保されるので、封止工程時等におけるセンサチップの変形や反りの発生を抑制することができると共に、ケース70内におけるダイボンド剤50,60の量が、封止時に水分やガスが発生してもケース70内の真空度がある程度低圧側に維持される程度に確保されるので、封止後におけるケース70内の真空度を所望の低圧側に維持することができる。
【0044】
このように、本実施例においては、封止工程時等におけるセンサチップ12の変形の抑制と、封止が行われた後におけるケース70内の真空度の維持とを両立させることができ、その結果、加速度センサやヨーレートセンサのゼロ点変動を抑制すると共に、ヨーレートセンサの駆動能力を所望の範囲内に維持することが可能である。従って、本実施例のセンサユニット10によれば、加速度センサやヨーレートセンサのゼロ点変動に伴う加速度や角速度の検出精度の低下を防止することができ、また、ヨーレートセンサの駆動能力の低下に伴う消費電力の増大を防止することが可能となっている。
【0045】
尚、基板下ダイボンド剤60の厚さを10μmとし、センサ下ダイボンド剤50の厚さを30μm以上かつ150μm以下に設定する場合(すなわち、基板下ダイボンド剤60の厚さがセンサ下ダイボンド剤50の厚さよりも小さい場合)と、センサ下ダイボンド剤50の厚さを10μmとし、基板下ダイボンド剤60の厚さを30μm以上かつ70μm以下に設定する場合(すなわち、基板下ダイボンド剤60の厚さがセンサ下ダイボンド剤50の厚さよりも大きい場合)とを比較すると、一方の厚さを固定した場合の他方の厚さの許容領域が順に150−30=120μm,70−30=40μmであり、基板下ダイボンド剤60の厚さがセンサ下ダイボンド剤50の厚さよりも小さい場合の方が大きな許容領域を有する。
【0046】
このため、基板下ダイボンド剤60の厚さがセンサ下ダイボンド剤50の厚さよりも小さい場合には、大きい場合に比べて、センサチップ12の作製を容易に行うことが可能である。従って、基板下ダイボンド剤60の厚さをセンサ下ダイボンド剤50の厚さよりも小さく設定することとすれば、大きく設定する場合に比べて、封止工程時等におけるセンサチップ12の変形の抑制と、封止が行われた後におけるケース70内の真空度の維持とを図るセンサチップ12の実現可能性を高くすることが可能である。
【0047】
尚、上記の実施例においては、センサ下ダイボンド剤50が特許請求の範囲に記載した「第1の接着剤」に、基板52が特許請求の範囲に記載した「基板」に、基板下ダイボンド剤60が特許請求の範囲に記載した「第2の接着剤」に、それぞれ相当している。
【0048】
ところで、上記の実施例においては、センサ下ダイボンド剤50の厚さ及び基板下ダイボンド剤60の厚さの一方を10μmに固定すると共に、他方をそれがセンサ下ダイボンド剤50である場合には30μm〜150μmに設定し、基板下ダイボンド剤60の場合には30μm〜70μmに設定することとしているが、これらの厚さの組み合わせはこれに限定されるものではなく、両ダイボンド剤50,60の厚さをそれぞれ、封止工程時等におけるセンサチップ12の変形の抑制と、封止が行われた後におけるケース70内の真空度の維持とが両立される範囲内で設定することとすればよい。
【0049】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1、2、及び5記載の発明によれば、封止工程時等におけるセンサチップの変形の抑制と、封止が行われた後におけるケース内の真空度の維持とを両立させることができる。
【0050】
請求項3及び4記載の発明によれば、加速度センサのゼロ点変動を抑制することができると共に、ヨーレートセンサの有する振動素子の駆動能力を所望の範囲内に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるセンサユニットの構造を表した図である。
【図2】本実施例のセンサユニットが備えるセンサチップの上面図である。
【図3】図2に示すセンサチップを直線III−IIIで切断した際の断面図である。
【図4】接着剤の厚さと封止後における加速度センサの0点変動との関係を表した図である。
【図5】ケース内の真空度とヨーレートセンサの駆動能力との関係を表した図である。
【図6】接着剤の厚さと封止後におけるケース内の真空度との関係を表した図である。
【符号の説明】
10 センサユニット
12 センサチップ
50 センサ下ダイボンド剤
52 基板
60 基板下ダイボンド剤
62 ステム
66 シェル
70 ケース
Claims (5)
- センサチップと、前記センサチップが第1の接着剤により接着される基板と、前記基板が第2の接着剤により接着されるケースと、を備え、前記センサチップが前記ケース内にパッケージされたセンサユニットの構造であって、
前記第1の接着剤の厚さと前記第2の接着剤の厚さとが互いに関連して設定されていることを特徴とするセンサユニットの構造。 - 前記第2の接着剤の厚さが前記第1の接着剤の厚さに比して小さいことを特徴とする請求項1記載のセンサユニットの構造。
- 前記センサチップは、加速度に応じた信号を出力する加速度センサと、コリオリ力を用いて軸回りの角速度に応じた信号を出力するヨーレートセンサと、を有することを特徴とする請求項1又は2記載のセンサユニットの構造。
- 前記第1又は第2の接着剤の厚さは、前記加速度センサの特性条件に従った下限値以上に設定され、前記ヨーレートセンサの特性条件に従った上限値以下に設定されていることを特徴とする請求項3記載のセンサユニットの構造。
- 前記第1の接着剤の厚さは、前記第2の接着剤の厚さが10μm近傍であるとき、30μm以上かつ150μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のセンサユニットの構造。
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