JP2010043870A - 角速度センサ素子、角速度センサ及び電子機器 - Google Patents

角速度センサ素子、角速度センサ及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】外部からの衝撃に対して高い耐久性を有するとともに検出精度の高い角速度センサを提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る角速度センサ1は、基部3と、振動子部2と、支持部16と、緩衝部15とを具備する。支持部16は、基部3と振動子部2との間に接続されており、振動子部2を支持し、基部3の幅よりも小さい幅を有している。緩衝部16は、基部3と支持部16との間に接続されており、基部3の厚みよりも小さい厚みを有し、基部3の幅と同等の幅を有している。支持部16は、基部3の幅よりも小さい幅で形成されているため、振動子部2から基部3へ向かう振動の伝播を効率よく抑える。また、緩衝部16は、基部3の厚さよりも小さい厚みで形成されているため、基部3に比べて撓み易く、これにより支持部16に作用する応力を効果的に緩和する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、ビデオカメラの手振れ検知や、バーチャルリアリティ装置における動作検知、カーナビゲーションシステムにおける方向検知などに用いられる角速度センサ素子、これを備えた角速度センサ及び電子機器に関する。
従来、民生用の角速度センサとしては、振動子を所定の共振周波数で振動させておき、角速度の影響によって生じるコリオリ力を圧電素子などで検出することによって角速度を検出する、いわゆる振動型のジャイロセンサ(以下、角速度センサという。)が、広く使用されている。
角速度センサは、単純な機構、短い起動時間、安価で製造可能といった利点を有しており、例えば、ビデオカメラ、バーチャルリアリティ装置、カーナビゲーションシステムなどの電子機器に搭載され、それぞれ手振れ検知、動作検知、方向検知などをする際のセンサとして活用されている。
従来は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材を機械加工により薄片状に加工し、バネ等で保持し、電気信号を加えて振動させる構成のジャイロセンサが一般的であったが、小型化が困難であった。
角速度センサは、搭載される電子機器の小型化、高性能化に伴い、小型化、高性能化が要求されている。例えば、電子機器の多機能化のため、他の用途に用いられる各種センサと組み合わせて同一集合基板上に搭載し、小型化を図るといった要請がある。この小型化を行う上で、シリコン(Si)などの単結晶基板と、半導体製造分野で用いられている薄膜形成プロセスとフォトリソグラフィ技術を用いて構造体を形成する、MEMSと呼ばれる微細加工技術を用いることが一般的となってきている(例えば特許文献1参照)。
下記特許文献1には、振動子部の一表面に、圧電膜を介して励振用の駆動電極と角速度検出用の検出電極がそれぞれ形成された片持ち梁型の角速度センサが開示されている。この角速度センサは、圧電膜の形成面と垂直な方向に振動子を励振させ、圧電膜の形成面と平行な方向の振動成分を角速度の検出方向としたものである。
特開2007−24861号公報
角速度センサの小型化に伴って、外部から加えられる振動や衝撃等の外部負荷に対して高い耐久性が求められている。特に、片持ち梁型の振動子部を有する角速度センサにおいては、振動子部の固定端近傍に応力集中するため、外部からの衝撃によって割れや欠けが生じやすい傾向がある。
また、一般に角速度センサは、配線基板などの支持基板の上に搭載されて使用される。この場合、振動子部の振動が上記配線基板に伝播し種々の弊害を生じさせることがある。特に、角速度センサの小型化に伴って、上記配線基板に伝播した振動子部の振動による影響で、当該振動子部の振動特性が変動することがある。したがって、角速度の検出精度を高めるためには、振動子部の振動を上記配線基板へ伝播させないようにする必要がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、外部からの衝撃に対して高い耐久性を有するとともに検出精度の高い角速度センサ素子、角速度センサ及び電子機器を提供することにある。
本発明の一形態に係る角速度センサ素子は、基部と、振動子部と、支持部と、緩衝部とを具備する。
上記基部は、第1の方向に幅方向、及び、上記第1の方向と直交する第2の方向に厚み方向を有する。上記振動子部は、上記第1の方向及び上記第2の方向に各々直交する第3の方向に長さ方向を有する。上記支持部は、上記基部と上記振動子部との間に形成されており、上記基部の幅よりも小さい幅を有している。上記緩衝部は、上記基部と上記支持部との間に形成されており、上記支持部の厚みと同等の厚みを有し、上記基部の幅と同等の幅を有している。
支持部は、基部の幅よりも小さい幅で形成されているため、振動子部から基部へ向かう振動の伝播を効率よく抑えることができる。また、緩衝部は、支持部と同等の厚み(基部の厚さよりも小さい厚み)で形成されているため、基部に比べて撓み易く、これにより支持部に作用する応力を効果的に緩和することができる。さらに、緩衝部は、基部の幅と同等の幅で形成されているので、緩衝部の機械的強度を向上させることができる。
したがって、上記角速度センサ素子によれば、振動子部から基部へ伝播する振動を効果的に減衰して角速度の検出感度の向上を図れるようになる。また、外部からの衝撃に対する耐久性を高めることが可能となる。
上記緩衝部は、上記支持部の長さの1/8以上、1/2以下の長さで形成されてもよい。
これにより、外部衝撃に対して高い耐久性を有し、かつ、角速度の検出精度に優れた角速度センサ素子を得ることができる。
上記支持部は、上記緩衝部と接続され、上記緩衝部に向かって漸次幅広となる端部とを有する構成とすることができる。
これにより、支持部と緩衝部との境界部における機械的強度が向上するため、外部からの衝撃に対する角速度センサの耐久性を高めることが可能となる。
上記振動子部は、2本以上の振動アームで構成することができる。上記振動子部が3本の振動アーム部で構成される場合、各振動アームを、これら各振動アームを連結する連結部を介して、上記支持部へ接続することができる。
上記角速度センサ素子において、上記基部、上記振動子部、上記支持部及び上記緩衝部は、同一のシリコン基板で構成することができる。
したがって、基部、振動子部、支持部及び緩衝部を有する角速度センサを、シリコン基板に対する微細加工技術によって同時に形成することが可能となる。
また、上記基部は、上記振動子部、上記支持部及び上記緩衝部と同一の厚みの第1の層と、上記第1の層に積層された第2の層とを有していてもよい。
この場合、例えば、SOI(Silicon On Insulator)技術を用いて、上記角速度センサ素子を構成することができる。
また、上記振動子部と上記支持部とからなる振動系の振動数を上記振動子部の振動数の√2分の1以下とすることにより、振動子部から基部への振動の伝播を効果的に抑制することが可能となる。ここで、「√2」は、2の平方根を意味する(以下同じ)。
さらに、上記角速度センサ素子においては、上記基部に配線基板と接続される端子部が形成されていてもよい。配線基板との電気的接続部が当該角速度センサの固定部に設けられることで、配線基板への振動の伝播を抑えることができる。
本発明の一形態に係る角速度センサは、角速度センサ素子と、回路基板とを具備する。
上記角速度センサ素子は、基部と、振動子部と、支持部と、緩衝部とを具備する。
上記基部は、第1の方向に幅方向、及び、上記第1の方向と直交する第2の方向に厚み方向を有する。上記振動子部は、上記第1の方向及び上記第2の方向に各々直交する第3の方向に長さ方向を有する。上記支持部は、上記基部と上記振動子部との間に形成されており、上記基部の幅よりも小さい幅を有している。上記緩衝部は、上記基部と上記支持部との間に形成されており、上記支持部の厚みと同等の厚みを有し、上記基部の幅と同等の幅を有している。
上記回路基板は、上記角速度センサ素子が実装される。
上記角速度センサによれば、振動子部から基部へ伝播する振動を効果的に減衰して角速度の検出感度の向上を図れるようになる。また、外部からの衝撃に対する耐久性を高めることが可能となる。
本発明の一形態に係る電子機器は、角速度センサ素子と回路基板とを具備する角速度センサが搭載される。
上記角速度センサ素子は、基部と、振動子部と、支持部と、緩衝部とを具備する。
上記基部は、第1の方向に幅方向、及び、上記第1の方向と直交する第2の方向に厚み方向を有する。上記振動子部は、上記第1の方向及び上記第2の方向に各々直交する第3の方向に長さ方向を有する。上記支持部は、上記基部と上記振動子部との間に形成されており、上記基部の幅よりも小さい幅を有している。上記緩衝部は、上記基部と上記支持部との間に形成されており、上記支持部の厚みと同等の厚みを有し、上記基部の幅と同等の幅を有している。
上記回路基板は、上記角速度センサ素子が実装される。
上記電子機器によれば、振動子部から基部へ伝播する振動を効果的に減衰して角速度の検出感度の向上を図れるようになる。また、外部からの衝撃に対する耐久性を高めることが可能となる。
以上のように、本発明によれば、外部からの衝撃に対して高い耐久性を有するとともに検出精度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1から図4は本発明の一実施の形態に係る角速度センサ素子1の概略構成を示している。ここで、図1は角速度センサ素子1の実装面側の平面図、図2は角速度センサ素子1の正面図、図3は角速度センサ素子1の側面図、図4は角速度センサ素子1の実装面側の斜視図である。図1〜図3において、X軸方向は角速度センサ素子1の幅方向を示し、Y軸方向は角速度センサ素子1の長手方向を示している。また、Z軸方向は角速度センサ素子1の厚み方向を示している。
角速度センサ素子1は、基部3と、振動子部2と、支持部16と、緩衝部15とを含むベース層20を有している。
基部3は、角速度センサ素子1の固定部として機能し、図示しない配線基板へ機械的電気的に接続される。
振動子部2は、所定の周波数で振動され、角速度センサ素子1に作用する角速度を検出する機能を有している。振動子部2は、図1において左側から順に、第1のアーム部21(第1の振動アーム)、第2のアーム部22(第2の振動アーム)及び第3のアーム部23(第3の振動アーム)を有している。これらのアーム部21〜23は、連結部14によって連結されている。アーム部21〜23は、基部3の幅方向(図1で示すX軸方向)及び厚さ方向(図1で示すZ軸方向)に各々直交する方向(図1で示すY軸方向)に、等間隔で平行に延びる直方体形状で形成されている。
支持部16は、振動子部2で生じた振動が基部3へ伝播することを抑制する機能を有している。支持部16は、基部3と振動子部2との間に形成されている。また、支持部16は、振動子部2(連結部14)を支持し、基部3の幅よりも小さい幅で形成されている。これにより、振動子部2と基部3との間にくびれ部8が形成される。支持部16の厚みは、振動子部2の厚みと同等に形成されている。
支持部16は、連結部14と接続される第1の端部と、緩衝部15側に接続される第2の端部とを有している。本実施の形態の角速度センサ1においては、支持部16の上記第2の端部は、緩衝部15側に向かって漸次幅広となる形状の補強部17が形成されている。
図5は、補強部17の形状の一例を示す。図5(A)は補強部17が曲面状に形成された例を示し、図5(B)は補強部17が平坦な面で形成された例を示している。なお、補強部17の形状は上記の例に限られず、直線形状や曲線と直線を組み合わせた形状などでもよい。
緩衝部15は、支持部16に作用する応力を緩和する機能を有している。緩衝部15は、支持部16と基部3との間に形成されている。また、緩衝部15は、基部3の厚みよりも小さい厚みで形成されている。本実施の形態では、緩衝部15は、振動子部2及び支持部16の厚みと同等に形成されている。緩衝部15の幅は、基部3の幅と同等に形成されている。
基部3、振動子部2、支持部16及び緩衝部15からなるベース層20は、非圧電材料で形成されており、本実施の形態では単結晶シリコンで形成されている。したがって、基部3、振動子部2、支持部16及び緩衝部15を有する角速度センサ素子1を、シリコン基板に対する微細加工技術によって同時に形成することが可能となる。
図3及び図4に示すように、ベース層20は、図示しない配線基板と対向する実装面18Aと、実装面18Aとは反対側の非実装面18Bとを有している。基部3、振動子部2、支持部16及び緩衝部15は、実装面18A側に連続な平坦面を形成し、非実装面18B側に段部18Cを介した屈曲面を形成している。
段部18Cは、ベース層20の非実装面18B側をウェットエッチングすることで形成される凹部の側面に対応している。段部18Cの傾斜角は、ベース層20の結晶方位に依存して決定される。例えば、非実装面18Bが(100)面である場合、非実装面18Bに対する段部18Cの傾斜角は、約55°である。緩衝部15の長さ(Y軸方向の長さ)は、上記凹部を形成するためのマスクの形成位置を変更することで、任意の大きさに形成することができる。
図1及び図2を参照して、振動子部2の実装面18A側の表面には、下部電極4、圧電膜5及び上部電極6の多層膜でなる圧電機能層7が形成されている。圧電機能層7は、第1〜第3のアーム部21〜23のそれぞれの表面に形成されている。
第1のアーム部21には、下部電極4と、圧電膜51と、上部電極61及び64aとでなる圧電機能層が形成されている。上部電極61は第1のアーム部21を励振する駆動電極として機能し、上部電極64aは第1のアーム部に発生する歪を検出する検出電極として機能する。なお、以下の説明では、「上部電極61」を「駆動電極61」ともいい、「上部電極64a」を「検出電極64a」ともいう。
第2のアーム部22には、下部電極4と、圧電膜52と、上部電極62、64b及び64cとでなる圧電機能層が形成されている。上部電極62は第2のアーム部22を励振する駆動電極として機能し、上部電極64b及び64cは第2のアーム部22に発生する歪を検出する検出電極として機能する。なお、以下の説明では、「上部電極62」を「駆動電極62」ともいい、「上部電極64b」及び「上部電極64c」をそれぞれ「検出電極64b」及び「検出電極64c」ともいう。
そして、第3のアーム部23には、下部電極4と、圧電膜53と、上部電極63及び64dとでなる圧電機能層が形成されている。上部電極63は第3のアーム部23を励振する駆動電極として機能し、上部電極64dは第3のアーム部23に発生する歪を検出する検出電極として機能する。なお、以下の説明では、「上部電極63」を「駆動電極63」ともいい、「上部電極64d」を「検出電極64d」ともいう。
下部電極4は、第1のアーム部21、第2のアーム部22及び第3のアーム部23に対して共通に形成された共通電極として機能する。なお、以下の説明では、「下部電極4」を「共通電極4」ともいう。共通電極4は所定の基準電位(グランド電位または直流オフセット電位)に接続されている。駆動電極61〜63は、図示しない制御部における駆動信号発生回路に接続されており、中央の第2アーム部22と外側の2本のアーム部21、23との間において互いに逆位相の駆動信号が入力される。検出電極64a〜64dは、上記駆動信号発生回路(自励発振回路)及び角速度検出回路に接続される。
圧電膜51〜53は、例えば、鉛とチタン、ジルコニウムの酸化物の混合物であるPZTなどを用いることができる。共通電極4及び上部電極(駆動電極61〜63、検出電極64a〜64d)は、例えば、チタンと白金の積層膜で構成することができる。
PZTの組成は、Pb1+X(ZrTi1−Y)O3+Xで表すことができる。具体的なPZTの組成は、例えば、Xを0以上0.3以下、Yを0以上0.55以下とすることができる。この場合のPZTの膜厚は、例えば、400nm以上1000nm以下とすることができる。
3本のアーム部21〜23は、縦方向の共振周波数がそれぞれほぼ同じ共振周波数をもつように設定され、横方向の共振周波数もそれぞれほぼ同じように設定されるが、これに限られない。アーム部21〜23の縦共振周波数は、例えば、36〜39kHzに設定することができる。
また、本実施の形態では、中央側の第2のアーム部22の中央部に駆動電極62とその両側に一対の検出電極64b、64cを形成し、外側の第1、第3のアーム部21、23には中央部に駆動電極61、63を、その一側方に検出電極64a、64dをそれぞれ形成した。これに代えて、検出電極を外側のアーム部にのみ形成したり、中央側のアーム部にのみ形成したりしてもよい。駆動電極についても同様に、3本のアーム部にそれぞれ形成する例に限られず、外側のアーム部にのみ、あるいは、中央側のアーム部にのみ形成するようにしてもよい。
圧電機能層7の形成面と同一側である基部3の表面には、振動子部2を構成する各アーム部21〜23上の圧電機能層7と電気的に接続されるパッド部9(9a〜9h)と、それらの配線部13(13a〜13h)がそれぞれ形成されている。パッド部9は、図示しない回路基板(外部回路)に電気的に接続される端子部を構成している。なお、パッド部9は、Auなどで形成することができる。
ここで、パッド部9aは、配線部13aを介して第1のアーム部21の駆動電極61に接続され、パッド部9bは、配線部13bを介して第1のアーム部21の検出電極64aに接続されている。パッド部9cは、配線部13cを介して共通電極4に接続され、パッド部9dは、配線部13dを介して第2のアーム部22の検出電極64bに接続されている。パッド部9eは、配線部13eを介して第2のアーム部22の駆動電極62に接続され、パッド部9fは、配線部13fを介して第2のアーム部22の検出電極64cに接続されている。そして、パッド部9gは、配線部13gを介して第3のアーム部23の検出電極64dに接続され、パッド部9hは、配線部13hを介して第3のアーム部23の駆動電極63に接続されている。
各パッド部9a〜9hには、バンプ10がそれぞれ形成されている。本実施の形態では、角速度センサ素子1は図示しない回路基板上へフリップチップ方式で実装される。バンプ10は、角速度センサ素子1と上記回路基板との間を電気的、機械的に接続する機能を果たす。バンプ10はAuバンプやはんだバンプなどで構成することができる。また、バンプ10は角速度センサ素子1側に形成される例に限られず、上記配線基板側に形成されていてもよい。
角速度センサ素子1は、バンプ10を介して、上記回路基板上に実装される。角速度センサ素子1と上記回路基板とにより角速度センサが構成され、例えばセンサモジュールとしてパッケージ化される。更に、この角速度センサ素子は、上記回路基板を介して、電子機器の制御回路(図示せず)に接続される。当該電子機器としては、例えばデジタルカメラ、携帯型情報端末、携帯型ゲーム機、ハンドヘルド型表示装置などが該当する。
以上のように構成される角速度センサ素子1の各部の大きさは、おおよそ以下のとおりである。各アーム部21〜23の厚みは100μm、基部3と支持層12のトータル厚みは400μm、素子長さ(全長)は3mm、素子幅は500μm、各アーム部21〜23の長さは1.8〜1.9mm、各アーム部21〜23の幅は100μmである。また、支持部16の幅は、基部3の幅の1/2である250μmとすることができる。
次に、以上のように構成される角速度センサ素子1の典型的な動作例を説明する。
駆動電極61〜63に駆動信号が入力されると、第1〜第3のアーム部21〜23は図2においてZ軸方向に振動する。上述のように、中央のアーム部22と外側の2本のアーム部21、23には互いに逆位相の駆動信号が入力されるため、中央のアーム部22と外側の2本のアーム部21、23は図2に示すように逆位相で振動する。このとき、第2のアーム部22の振幅が第1、第3のアーム部21、23の振幅の2倍で振動することで、不要な振動が縮退し安定な振動モードが得られる。
図2に示すように、振動子部2の軸方向(Y軸方向)の周りに角速度ωが加えられると、各アーム部21〜23にコリオリ力が作用し、圧電機能層7の形成面と平行な方向(主としてX軸方向)に振動する成分が生成される。角速度センサ素子1は、この振動成分を検出電極64a〜64dにより検出し角速度信号として図示しない制御部に出力する。上記制御部は、入力された角速度信号に基づいて角速度を算出する。
本実施の形態の角速度センサ素子1において、支持部16は、連結部14の幅よりも小さい幅で形成されているため、振動子部2から基部3へ向かう振動の伝播が支持部16によって効率よく抑えられる。すなわち、支持部16は、振動子部2から基部3へ伝播する振動を減衰する機能を果たすことで、角速度センサ素子1による角速度の検出感度の向上を図れるようになる。
また、上記のように、基部3と振動子部2との間にくびれ部8が形成された角速度センサ素子1においては、外部からの衝撃によって、くびれ部8の形成領域での破断が生じやすい。本実施の形態では、緩衝部15は、支持部16と同等の厚みで形成されているため、基部3に比べて薄く、厚み方向に撓み易い。これにより、支持部16に作用する応力を緩衝部15によって効果的に緩和できるようになり、外部からの衝撃に対する耐久性を高めることが可能となる。
緩衝部15による応力の緩和作用は、緩衝部15の長さ(Y軸方向の長さ)によって変化する。すなわち、緩衝部15の長さ寸法が大きいほど支持部16に作用する応力の緩和作用が大きく、支持部16の破壊防止効果が高い。一方、緩衝部15の長さ寸法が大きくなるほど、基部3へ伝播する振動量が大きくなる傾向にある。緩衝部15の長さ寸法に対する素子の破壊数と、基部3へ漏出する振動量(振幅)の変化の一例を図7に示す。破壊数は、落下試験に基づいて算出した。落下試験は、角速度センサ素子を75cmの高さからP(プラスチック)タイルへ自由落下させることによって行った。また、各試験数(n数)は100とした。なお、ここでいう破壊とは、目視において認められた角速度センサ素子の欠損を意味し、破壊数は、一部にでも欠損が認められた素子の数をいう。
なお、図6に示すように、実験に用いた角速度センサ素子は、補強部17のない、すなわち支持部16の幅が一様な構成を用いた。角速度センサ素子の各部の寸法は、上述した角速度センサ素子1のディメンジョンと同一とした。緩衝部15の長さが0のときの支持部16の長さ寸法を200μmとした。
図7に示すように、緩衝部15の長さが大きくなるほど、素子の破壊数が減少することがわかる。これは、支持部16の端部に集中する応力の緩和作用が緩衝部15の長さが大きくなるほど大きくなることをも表している。すなわち、支持部16の端部に作用するモーメントの減少によって素子が破壊される割合が減少する。
一方、図7に示すように、緩衝部15の長さが大きくなるほど、基部3側へ漏出する振動量が増加することがわかる。これは、緩衝部15の長さ寸法の増加に伴う緩衝部15の振動量の増大が原因と考えられる。したがって、素子の大きさや要求されるセンサの特性などの仕様に応じて、緩衝部15の長さは適宜変更される必要がある。
高精度な角速度検出を確保するためには、基板へ伝播する振動量を低減し、振動に起因するノイズによる影響を抑える必要がある。つまり、振動子部2の根元部位における振動を抑制することが、角速度信号の検出精度を高める上できわめて重要となる。
上述した素子サイズにおける緩衝部15の長さの最適値としては、25μm以上100μm以下とすることができる。緩衝部15の長さが25μm未満の場合、支持部16に作用する応力の十分な緩和作用が得られず、素子の破壊に対する耐久性が乏しくなる。また、緩衝部15の長さが100μmを超えると、基部3及び配線基板へ漏出する振動量が大きくなりすぎて角速度の検出精度の向上が図れなくなる。したがって、本実施の形態の場合、緩衝部15の長さは、支持部16の長さの1/8から1/2の長さの範囲に設定されることで、外部衝撃に対して高い耐久性を有し、かつ、角速度の検出精度に優れた角速度センサを得ることが可能となる。
次に、本実施の形態の角速度センサ素子1においては、緩衝部16に隣接する支持部15の端部に補強部17が形成されている。このため、支持部15と緩衝部16の境界部における機械的強度を向上させることができる。
補強部17による支持部16の強度向上効果は、補強部15の側面の曲率半径の大きさによって変化する。図8に示す角速度センサ素子において、補強部17の曲率半径の大きさに対する素子の破壊数と、基部3へ漏出する振動量(振幅)の変化を測定した。その結果を図9に示す。破壊数は、落下試験に基づいて算出した。落下試験は、角速度センサ素子を75cmの高さからP(プラスチック)タイルへ自由落下させることによって行った。また、各試験数(n数)は100とした。なお、ここでいう破壊とは、目視において認められた角速度センサ素子の欠損を意味し、破壊数は、一部にでも欠損が認められた素子の数をいう。なお、角速度センサの各部の寸法は、上述した角速度センサ素子1のディメンジョンと同一とし、緩衝部15の長さは50μmとした。
図9に示すように、補強部17の曲率半径が25μmから75μmの範囲で素子(角速度センサ)の破壊数がほとんど0となることがわかる。すなわち、補強部17の曲率半径が25μm未満では、支持部16の補強効果が乏しく、外部からの衝撃に対して素子の破壊に対する耐久性が低下する。また、補強部17の曲率半径が75μmを超える場合、緩衝部15に過大な応力が加わる結果、緩衝部15における破壊が顕著となる。一方、図9に示すように、補強部17の曲率半径が大きくなるほど、基部3側へ漏出する振動量が増加することがわかる。これは、補強部17の曲率半径の増加に伴って支持部16による振動の減衰作用が低下することが原因である。以上のように、素子の大きさや要求されるセンサの特性などの仕様に応じて、補強部17の曲率半径は適宜変更される必要がある。
参考として、図10に示すように緩衝部15を有していない角速度センサ素子を用いて行った実験結果を図11に示す。図11は、補強部17の曲率半径の大きさに対する素子の破壊数と、基部3へ漏出する振動量(振幅)の変化の一例を示している。落下試験は、図9の例と同一の条件とした。図11より、補強部17の曲率半径が25μm以上100μm以下の場合に、十分な機械的強度と少ない振動漏れ量を両立させることができることがわかる。
以上述べたように、本実施の形態の角速度センサ素子1によれば、支持部16と基部3との間に緩衝部15が設けられているので、支持部16による振動の減衰作用を確保しつつ支持部16に集中する応力を効果的に緩和して、外部衝撃に対する素子の耐久性を高めることが可能となる。
一方、振動子部2で生じた振動が基部3へ伝播することを抑制するために、振動子部2と支持部16からなる振動系の振動数が振動子部2(アーム部21〜23)の振動数の√2分の1以下に設定することができる。例えば、振動子部2の振動数が36〜39kHzの場合、支持部16を含む振動系の振動数は23kHzに設定することができる。
図12(A)、(B)は本発明の他の実施の形態による角速度センサ素子71の構成を示している。ここで、図12(A)は角速度センサ素子71の側面図、図12(B)は角速度センサ素子71の背面図、図13は角速度センサ素子71の斜視図である。なお、図において、上述の角速度センサ素子1の構成と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12に示すように、角速度センサ素子71は、ベース層11(第1の層)と支持層12(第2の層)との積層構造を有している。後述するように、ベース層11は、振動子部2を含む活性層として構成されており、支持層12は、ベース層11の補強層として構成されている。
ベース層11は、振動子部2と、振動子部2を支持する固定部19と、振動子部2と固定部19との間に形成された支持部16及び緩衝部15をそれぞれ有する。支持部16の緩衝部15側の端部には補強部17が形成されている。ベース層11は非圧電基板からなり、本実施の形態では、シリコン単結晶基板で構成されている。ベース層11の厚みは、振動子部2の厚さと同一とされ、その大きさは例えば100μmである。ベース層11の厚みは、上記の例に限らず、例えば、50μm以上200μm以下とすることができる。角速度センサ素子1を後述するような幅寸法及び長さ寸法で形成する場合、ベース層11の厚みは90μm以上110μm以下とすることができる。
支持層12は、ベース層11の固定部19に一体的に接合されている。支持層12は、バンプ10が形成されている固定部19の実装面とは反対側の表面(非実装面)に接合されている。支持層12は、ベース層11と同様に、シリコン単結晶基板で構成されている。ベース層11と支持層12の間には接合層13が形成されており、この接合層13はシリコン酸化膜で構成されている。なお、ベース層11の固定部19と、支持層12とにより、角速度センサ素子71の基部3が構成される。
支持層12は、ベース層11よりも厚みが大きく形成されている。具体的には、角速度センサ素子71を製造する上で薄厚のベース層11に所定の機械的強度を付与できるのに十分な厚さで支持層12が形成されている。例えば、ベース層11の厚みが100μmである場合、支持層12の厚み(Z方向寸法)は300μmとすることができる。支持層12の厚みは、上記の例に限らず、例えば、200μm以上400μm以下とすることができ、素子の形状や大きさ等に応じて、適宜設定可能である。
支持層12の幅(X方向寸法)、長さ(Y方向寸法)は適宜変更することが可能である。本実施の形態では、支持層12の幅は、固定部19の幅と同一の大きさに設定されている。また、支持層12の長さは、支持部16と固定部19の間に緩衝部15が露出される大きさに設定されている。緩衝部15の長さは、例えば25μm以上100μm以下とされる。ここで、支持層12の振動子部2側の端部は、固定部19のパッド部9(9a、9h)の形成位置からくびれ部8までの間の領域に設定することができる。これにより、パッド部9a〜9hの形成位置を含む領域にわたって、固定部19の第2の主面側に支持層12が接合されることになる。この場合、支持層12による基部3の補強機能が得られるため、実装治具(マウンタ)を用いて角速度センサ素子1を外部回路(回路基板)へ実装するに際して、上記外部回路に対する角速度センサ素子の押し付け力から基部3の破損を防止することが可能となる。
角速度センサ素子71の各部の大きさは、おおよそ以下のとおりである。各アーム部21〜23の厚みは100μm、基部3と支持層12のトータル厚みは400μm、素子長さ(全長)は3mm、素子幅は0.5mm、各アーム部21〜23の長さは1.8〜1.9mm、各アーム部21〜23の幅は100μmである。また、支持部16の幅は、基部3の幅の1/2である250μmとすることができる。
上記構成の角速度センサ素子71においても、上述した角速度センサ素子1と同様の作用及び効果を得ることができる。すなわち、振動子部2から基部3へ向かう振動の伝播を支持部16によって効率よく抑えることができ、角速度の検出感度の向上を図れるようになる。また、緩衝部15によって、支持部16に作用する応力を効果的に緩和できるようになり、外部からの衝撃に対する耐久性を高めることが可能となる。
また、緩衝部15の長さは(Y軸方向の長さ)は、振動子部2側に位置するパッド部9(9a,9h)とくびれ部8までの間の距離s(図13)で規定することもできる。図13は、第1の層11のみで構成された角速度センサの斜視図である。図14は、距離sの長さと、破壊試験の結果を示している。破壊試験の結果は、上述と同様の落下試験を行ったときの結果を示している。
図14に示すように、距離sが25μm以上75μm以下の範囲で、破壊数がほとんど0となることがわかる。このような特性を利用して、第1の層11の構成の最適化を図ることができる。すなわち、第1及び第2の層11、12の積層領域の境界部が、当該素子と配線基板との間の固着部(パッド部9の形成位置)に対応する緩衝部15の長さの起点となることから、第1の層11へ第2の層12を積層した結果形成される緩衝部15の長さ寸法が25μm以上75μm以下となるように第2の層12の長さを設定することができる。これにより、図6に示した結果と同様に、所期の振動減衰作用と破壊耐久性を備えた角速度センサを得ることができる。
次に、以上のように構成される角速度センサ素子71の製造方法について図15〜図25を参照して具体的に説明する。ここで、図15〜図25において(A)は基板の斜視図、(B)はその断面図である。
まず、図15に示すように、支持層12を構成する基板112を準備する。基板112としては、例えば、厚さ300μmのシリコン単結晶基板が用いられる。
次に、図16に示すように、酸素雰囲気中で加熱処理することで、基板112の表面に熱酸化膜112a、112bを全面に形成する。これにより、基板112の表面に絶縁膜を容易に形成することができる。なお、図においては基板112の表面側及び裏面側に熱酸化膜が形成された状態を示しているが、実際は基板の側面にも同様な熱酸化膜が形成される。
熱酸化膜112a、112b(絶縁膜)はシリコン酸化膜(SiO膜)である。熱酸化膜112a、112bの膜厚は、例えば、約1μmとすることができるが、上記の例に限らず、0.1μm以上3μm以下とすることができる。なお、酸化膜の形成方法は、上述した熱酸化法に限られず、例えばCVD法などで形成した化学蒸着膜あるいはプラズマTEOS膜で上記酸化膜を形成することも可能である。酸化膜を熱酸化法で形成することにより、結晶性等の膜質に優れた酸化膜を形成でき、後述する基板接合工程において安定した接合作用を得ることが可能となる。
続いて、図17に示すように、基板112の一方の表面に形成した熱酸化膜112aに、基板112の表面の一部を露出させる開口90を形成する。
開口90の形成方法としては、公知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。具体的には、熱酸化膜112aの表面にフォトレジスト膜を形成した後、開口90の形状パターンを有するマスクを介して上記フォトレジスト膜を露光する。その後、フォトレジスト膜を現像して開口90の形状パターンに対応したレジストパターンを形成する。そして、基板112をフッ化アンモニウムなどの適宜の薬液に浸してレジストパターンの開口部に位置する熱酸化膜112aをエッチングして除去する。
なお、説明及び理解の容易のため、開口90は基板112上に1つだけ図示されているが、一枚の基板から複数(例えば数十〜数百)のセンサを同時に作製する場合には、開口90は基板112上に複数個形成される。
次に、図18に示すように、ベース層11を構成する基板111を準備する。基板111としては、例えば、振動子部2と同じ厚さ100μmのシリコン単結晶基板が用いられる。基板111の大きさは、基板112とほぼ同一の大きさに形成されている。
そして、図19に示すように、熱酸化膜112aを挟んで基板111及び基板112を相互に貼り合わせる。また、基板111と基板112は一体接合されることで、以降の工程では、一枚の基板(SOI基板110)としてハンドリングできるようになる。ここで、熱酸化膜112aは、角速度センサ素子1におけるベース層11と支持層12の間を接合する接合層13として機能する。
基板111、112の貼り合わせには、SOI技術において一般的な基板接合技術を用いることができる。具体的には、加熱加圧技術を用いた原子拡散による固相接合を用いることができる。また、基板111、112の間に電圧を印加して接合する陽極接合法を用いることができる。さらに、接着剤を用いた接着接合も適用可能である。
続いて、図20に示すように、酸素雰囲気中で加熱処理することで、基板111の表面に熱酸化膜111aを全面に形成する。熱酸化膜111aが形成される基板111の表面は、後に圧電機能層7が形成されるSOI基板110の主面に対応する。なお、図においては基板111の表面側に熱酸化膜が形成された状態を示しているが、実際は基板の側面にも同様な熱酸化膜が形成される。
熱酸化膜111a(絶縁膜)はシリコン酸化膜(SiO膜)である。熱酸化膜111aの膜厚は特に限定されず、例えば、約1μmとすることができるが、上記の例に限らず、0.1μm以上3μm以下とすることができる。なお、酸化膜の形成方法は、上述した熱酸化法に限らず、例えばCVD法などで形成した化学蒸着膜あるいはプラズマTEOS膜で上記酸化膜を形成することも可能である。酸化膜を熱酸化法で形成することにより、結晶性等の膜質に優れた酸化膜を形成できる。
次に、図21に示すように、基板111の上に、熱酸化膜111aを介して、上述した圧電機能層7、パッド9a〜9h、バンプ10、配線部13a〜13h等を形成する。
このとき、基板112上の開口90の形成位置に対応する基板111上の領域内に角速度センサの振動子部2、支持部16(くびれ部8)及び緩衝部15が配置されるように、また、熱酸化膜112aの形成位置に対応する基板111上の領域内に角速度センサの基部2(固定部19)が配置されるように素子形成領域を設定する。緩衝部15の長さは、この素子形成領域で適宜設定することができる。なお、図において参照符号101は、個片化する前のウエハ状態における角速度センサを示し、102は当該角速度センサ101の振動子部、103は当該角速度センサ101の基部をそれぞれ示している。
圧電機能層7の形成方法としては、熱酸化膜111a上に共通電極4を構成する電極膜、圧電膜5、上部電極6を構成する電極膜をスパッタリング法などの薄膜形成方法を用いて適宜形成する。また、フォトリソグラフィ技術を用いて振動子部の各アーム部21〜23に対応する形状のパターン形成を行い、適宜エッチングを繰り返す。以上のようにして、図1に示した圧電機能層7を形成することができる。
続いて、図22に示すように、開口90の形成位置に対応する基板111上の領域をドライエッチングして、基板111を厚さ方向に貫通する、振動子部2の外形形状に対応したエッチング溝91を形成する。このドライエッチング工程では、振動子部2の外形形状は勿論、支持部16、必要に応じて補強部17、及び緩衝部15の外形加工が同時になされる。これにより、開口90の直上に、振動子部102が形成される。
エッチング溝91の形成方法としては、例えば、Deep RIE (Reactive Ion Etching)のようなシリコンの深堀加工技術を用いることができる。これは、エッチングプロセスと成膜プロセスを交互に繰り返し実施することで、エッチングパターンの側壁部に保護膜を形成しながらエッチングを進行させる加工技術である。これにより、基板の厚さ方向にエッチングを進行させる異方性エッチングを実現することができる。ここでは、エッチングガスとしてSFを、成膜ガスとしてCをそれぞれ用いることができる。なお、エッチング溝91の形成時、振動子部102や基部103の形成領域はレジスト等の保護膜で被覆される。
次に、図23及び図24に示すように、開口90を介して振動子部102を露出させる貫通孔93を基板112に形成する。
図22に示した工程の終了によって振動子部102は独立した形態で形成されるため、上記貫通孔93を形成せずとも振動子部102は基部103に対して振動することが可能となる。しかし、振動子部102の許容振幅は熱酸化膜102aの厚み寸法に制限されるため、熱酸化膜102aの膜厚によっては振動子部102の自由振動を確保できない場合がある。そこで、本実施の形態では以下に詳述するように振動子部102の下部領域に十分な空間を形成するため、上記貫通孔93を形成するようにした。なお、熱酸化膜102aの膜厚が十分である場合は、以下の工程は省略することができる。
貫通孔93の形成工程では、図23に示すように、ドライエッチングプロセスを用いて、基板112に開口90の外形に対応したエッチング溝92が環状に形成される。これにより、図24に示すように、エッチング溝92の内方側に位置する基板112のブロック部112pは、基板112との本体部との連続性が失われて分離される。また、ブロック部112pの形成領域は開口90の形成によって基板111と分離されている。
したがって、エッチング溝92の形成により、貫通孔93を容易に形成することが可能となる。また、貫通孔93の形成領域を全てエッチング除去する場合と比較して、エッチング面積を低減することができるので、効率よく貫通孔93を形成することが可能となる。さらに、エッチング面積が大きい場合、エッチングガスの供給が間に合わなくなったり、ガス成分をプラズマ化して基板にイオンを照射するためのバイアスエネルギーが分散されたりすることで、エッチング効率が低下するおそれがあるが、本実施の形態ではこのような懸念を解消することが可能となる。
貫通孔93の形成後、図25に示すように、SOI基板110をダイシングにより切断して、個々の角速度センサ素子1に個片化する。ダイシングラインは、角速度センサ1の基部3の外形とする。振動子部2は、エッチング溝91により外形が形成されているので、このダイシング工程によって、図12に示した角速度センサ素子71が製造される。
以上のように、本実施の形態においては、基板112は、基板111を支持する支持層として機能する。したがって、振動子部2の厚みと同等の厚みで構成された基板111のハンドリング性が高まるとともに、基板111の割れの発生を防止することが可能となる。
本実施の形態によれば、基板111に対するウェットエッチングプロセスを用いることなく、ドライプロセスのみで振動子部2の外形が形成されている。したがって、エッチング精度を高めることができるとともに、基板上の面内エッチングレートの均一性が高まることで、振動子部2の厚み寸法が基板の面内位置に依存しない、感度特性に優れた角速度センサ素子71を製造することが可能となる。また、振動子部の振動空間を上記絶縁膜の開口内に確保することができる。このため、振動子を直接エッチング液に曝すことなく上記振動空間を形成することができるとともに、エッチング液の使用によって圧電膜が被る悪影響を回避することができる。
本実施の形態によれば、出発材料(基板111)の厚みで振動子部2の厚みを決定することができるので、振動子部の厚みの調整に機械加工を行う必要がなくなる。なお、SOI基板110の作製後、基板111の主面を所定量研磨することによって、基板111の厚みを振動子部2の厚みに調整することも可能である。この場合、基板112は基板111の支持層として機能するので、研磨工程における基板111のハンドリング性、加工性が高められる。
さらに、本実施の形態によれば、振動子部2を形成する基板111の面方位の選定に自由度が得られるため、振動子部の強度の向上を図れるようになる。
つまり、シリコン基板をウェットエッチングして振動子の振動空間を形成する方法においては、エッチング特性がシリコン基板の面方位に大きく依存するため、振動子の形成面に大きな制限があった。一方、シリコン基板は、一般に、そのへき開(又はへき界)面((110)、(111)面)に沿った破壊が生じやすいことが知られている。このため、振動子のくびれ部分など応力が集中する部位に上記へき開面が存在すると、当該部位の強度が低下し、僅かな衝撃によって角速度センサの破壊を招くおそれがある。
これに対して、本実施の形態では、振動子部2が形成される基板111と、振動子部2の振動空間が形成される基板112とがそれぞれ別々の基板で構成されているため、振動子部2が形成される基板111の面方位の選定に高い自由度が得られる。したがって、基板111の面方位を適宜の方位に配向させることによって、振動子部2の破壊強度を向上させ、角速度センサの耐久性を高めることが可能となる。具体的には、振動子部2のくびれ部8の外面がシリコン基板のへき開面と交差するように、基板111あるいは振動子部2の面方位を選定することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、以上の実施の形態では、振動子部2と緩衝部15との間に形成される支持部16の端部に補強部17を形成する例について説明したが、当該補強部17は必要に応じて省略されてもよい。
本発明の一実施の形態に係る角速度センサ素子の実装面側を示す平面図である。 図1の角速度センサ素子の正面図である。 図1の角速度センサ素子の側面図である。 図1の角速度センサ素子の斜視図である。 図1の角速度センサにおける補強部の拡大図である。 図1の角速度センサ素子の実験モデルを示す模式図である。 図5に示した角速度センサ素子の緩衝部の長さと破壊数及び振動量との関係を示す実験結果である。 図1の角速度センサ素子の他の実験モデルを示す模式図である。 図8に示した角速度センサ素子の補強部の曲率半径と破壊数及び振動量との関係を示す実験結果である。 図1の角速度センサ素子の更に他の実験モデルを示す模式図である。 図10に示した角速度センサ素子の補強部の曲率半径と破壊数及び振動量との関係を示す実験結果である。 本発明の他の実施の形態に係る角速度センサ素子の側面図及び背面図である。 図12の角速度センサ素子の実験モデルを示す模式図である。 図13に示した角速度センサ素子の緩衝部の長さと破壊数及び振動量との関係を示す実験結果である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第2の層を形成する基板の準備工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第2の層を形成する基板の表面への絶縁膜の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、絶縁膜への開口部の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板と第2の層を形成する基板との接合工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板と第2の層を形成する基板との接合工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板の表面への絶縁膜の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板の表面への圧電機能層の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の外形加工工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の振動空間の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の振動空間の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。 図12の角速度センサ素子の製造方法を説明する一工程図であり、素子の個片化工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
符号の説明
1、71…角速度センサ素子
2…振動子部
3…基部
4…下部電極(共通電極)
5、51、52、53…圧電膜
6、61、62、63…上部電極(駆動電極)
64a、64b、64c、64d…上部電極(検出電極)
7…圧電機能層
8…くびれ部
9…パッド部
10…バンプ
11…ベース層
12…支持層
13…接合層
14…連結部
15…緩衝部
16…支持部
17…補強部
21〜23…アーム部

Claims (9)

  1. 第1の方向に幅方向、及び、前記第1の方向と直交する第2の方向に厚み方向を有する基部と、
    前記第1の方向及び前記第2の方向に各々直交する第3の方向に長さ方向を有する振動子部と、
    前記基部と前記振動子部との間に形成され、前記基部の幅よりも小さい幅を有する支持部と、
    前記基部と前記支持部との間に形成され、前記支持部の厚みと同等の厚みを有し、前記基部の幅と同等の幅を有する緩衝部と
    を具備する角速度センサ素子。
  2. 請求項1に記載の角速度センサ素子であって、
    前記緩衝部は、前記支持部の長さの1/8以上、1/2以下の長さを有する
    角速度センサ素子。
  3. 請求項1に記載の角速度センサ素子であって、
    前記支持部は、
    前記緩衝部と接続され、前記緩衝部に向かって漸次幅広となる端部を有する
    角速度センサ素子。
  4. 請求項1に記載の角速度センサ素子であって、
    前記振動子部は、
    第1の振動アームと、
    第2の振動アームと、
    第3の振動アームと、
    前記第1、第2及び第3の振動アームを連結し前記支持部と連接する連結部とを有する
    角速度センサ素子。
  5. 請求項1に記載の角速度センサ素子であって、
    前記基部、前記振動子部、前記支持部及び前記緩衝部は、同一のシリコン基板からなる
    角速度センサ素子。
  6. 請求項1に記載の角速度センサ素子であって、
    前記基部は、前記振動子部、前記支持部及び前記緩衝部と同等の厚みの第1の層と、
    前記第1の層に積層された第2の層とを有する
    角速度センサ素子。
  7. 請求項1に記載の角速度センサ素子であって、
    前記基部は、配線基板と接続される端子部をさらに有する
    角速度センサ素子。
  8. 第1の方向に幅方向、及び、前記第1の方向と直交する第2の方向に厚み方向を有する基部と、前記第1の方向及び前記第2の方向に各々直交する第3の方向に長さ方向を有する振動子部と、前記基部と前記振動子部との間に形成され、前記基部の幅よりも小さい幅を有する支持部と、前記基部と前記支持部との間に形成され、前記支持部の厚みと同等の厚みを有し、前記基部の幅と同等の幅を有する緩衝部とを含む角速度センサ素子と、
    前記角速度センサ素子が実装される回路基板と
    を具備する角速度センサ。
  9. 第1の方向に幅方向、及び、前記第1の方向と直交する第2の方向に厚み方向を有する基部と、前記第1の方向及び前記第2の方向に各々直交する第3の方向に長さ方向を有する振動子部と、前記基部と前記振動子部との間に形成され、前記基部の幅よりも小さい幅を有する支持部と、前記基部と前記支持部との間に形成され、前記支持部の厚みと同等の厚みを有し、前記基部の幅と同等の幅を有する緩衝部とを含む角速度センサ素子と、
    前記角速度センサ素子が実装される回路基板と
    を具備する角速度センサを搭載した電子機器。
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