JPH0669586B2 - ベンデングデスケーラ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は線材に各種の加工を施す場合の前処理として、
当該線材の周面に生じているスケールを機械的に除去す
る各種方法中の一つである、線材を屈曲してスケールを
剥離するベンデングデスケーラに関する。

〔従来の技術〕

ベンデングデスケーリングは、線材の送り通路沿いの平
面に自由回転可能な複数のロールを千鳥足状に近接配設
し、線材に相隣るロール間に形成される接線沿いに接触
しつつ蛇行することを強制することで、当該線材に屈曲
を付与し、当該屈曲に伴う線材表層の引張りおよび圧縮
がスケールに亀裂を発生させ、かつスケールを線材地肌
から剥離せしめるにある。

ところで、線材に付与する屈曲は、当該線材の線径の大
・小，軟鋼線か硬鋼線かの別，発生しているスケールの
種類等により屈曲角度を調節しなければ充分なデスケー
ル結果が得られない。そのため、従来からベンデングデ
スケーラはロールの千鳥足配置を変更して屈曲角度を調
節可能な構造とされている。

従来のベンデングデスケーラの一例を第３図に従って説
明する。

第３図において、Ｂは線材Ｗの送り通路Ｌ沿いに設けら
れた基板、FR1〜FR3ならびにMR1およびMR2それぞれは同
一径に形成された自由回動可能なロールである。

上記ロールFR1〜FR3それぞれは固定ロールであって、線
材Ｗの送り通路Ｌの図視下方側に等間隔で基板Ｂの表面
に固定配置された固定軸FSそれぞれに支承され、周面が
送り通路Ｌ上の線材Ｗと接触可能である。上記ロールMR
1およびMR2は可動ロールであって、それぞれ線材Ｗの送
り通路Ｌの図視上方側の、可動ロールMR1は上記固定ロ
ールFR1,FR2間の中間、可動ロールMR2は固定ロールFR2,
FR3間の中間それぞれに配置され、それぞれ外周に雄ね
じを具えた軸部材Ｓの一方側先端に固定される可動軸MS
に支承されている。上記軸部材Ｓの雄ねじは基板Ｂの上
部に固着してあるナット部材Ｎと螺合可能とされ、当該
軸部材Ｓの他方端に固着したハンドルＨを回動すること
により、軸部材Ｓは中空のガイド部材Ｇに案内されて線
材Ｗの送り通路Ｌに対し直角方向へ前進，後退可能であ
り、一方側先端に位置する可動ロールMR1,MR2を、前進
時に下方偏位させその周面を線材Ｗの送り通路Ｌを超え
た下方側に位置せしめ、後退時には上方変位させてその
周面を線材Ｗの送り通路Ｌから上方側へ離間させること
が可能である。而して可動ロールMR1およびMR2それぞれ
の下方変位量を所定の如く設定すれば、当該可動ロール
MR1およびMR2が固定ロールFR1〜FR3それぞれとなす相対
位置関係を所定の如く設定可能であり、上記相対位置関
係に応じてそれぞれ相隣るロール周間に形成される接触
に従って順次ロール周に当接しつつ走行する線材Ｗに所
定の蛇行を強制することとなり、線材Ｗに所定角度の屈
曲を付与してスケールを剥離するようにしている。

また、従来のベンデングデスケーラの他の例としては、
実開昭51−99718号公報に、可動ロールが相対状に支持
された支持板と、該支持板に設けられたウォーム車と、
該ウォーム車に噛合するウォームに自在接手を介して連
結する操作軸および該操作軸に取り付けられたハンドル
からなる屈曲装置が示されている。これは、ハンドルを
回動することにより、支持板を所定角度回動して、可動
ロールを線材の送り通路を超るように位置せしめること
により、可動ローラが線材の入側と出側にある固定ロー
ルそれぞれとなす相対位置関係を所定の如く設定可能で
あり、上記相対位置関係に応じてそれぞれ相隣るロール
周間に形成される接触に従って順次ロール周に当接しつ
つ走行する線材Ｗに所定の蛇行を強制することとなり、
線材Ｗに所定角度の屈曲を付与してスケールを剥離する
ようにしている。

〔従来技術に存する問題点〕

上記従来のベンデングデスケーラでは、固定ロールに対
する可動ロールの相対位置関係を調整，設定する場合は
手作業のハンドル操作で行なうので煩わしいという問題
があった。

また、相対位置関係の最適値は被処理線材に応じて計算
式もしくは経験上から求めるが、ハンドル操作では、線
材の種類が変わるごとに、最適値に調整、設定するまで
に長時間を要するとともに、その調整、設定が困難であ
るという問題があった。

〔発明の目的〕

本発明は従来のベンデングデスケーラに存する上述した
問題点を解決するためになされたもので、固定ロールに
対する可動ロールの相対位置関係を即時かつ容易に被処
理線材に応じた適正値に設定可能とするベンデングデス
ケーラを提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

(1)可動ロールが支承された回動盤の回転機構が、回動
盤の裏面に設けた半径方向へ張り出す突出部と、当該突
出部と所定位置が係合するシリンダ装置と、それぞれが
異なる長さに設定されるとともに長さ方向にシリンダ装
置のロッドに嵌挿可能な通し溝が形成されている複数の
ストッパ部材から構成され、 (2)選択した所定長さを有するストッパ部材がロッドに
嵌挿されたシリンダ装置を駆動して回動盤を所定角度回
動することにより固定ロールに対する可動ロールの相対
位置関係を調整可能に設定したベンデングデスケーラに
ある。

〔発明の作用〕

本発明は、選択した所定長さを有するストッパ部材をロ
ッドに嵌挿することにより、シリンダ装置のロッドのス
トロークを正確に規制できるので、被処理線材の種類に
応じて回動盤を所望する所定回動角度だけ即時かつ容易
に回動し、回動盤上に位置する可動ロールを線材送り方
向前方および後方に位置する固定ロールに対して最適位
置の相対位置関係を正確に設定することができる。

〔実施例〕

本願の発明を第１図及び第２図（ａ），（ｂ）に示す実
施例に従って以下に詳述する。

第１図において、10は基板、1aおよび1bは固定ロール、
２は基板10の中央部に設けられた所定内径の貫通穴へ摺
動可能に嵌着した回動盤、3aおよび3bは可動ロールであ
る。

上記固定ロール1aおよび1bそれぞれは、送り通路Ｌを矢
印方向からガイドパイプ41およびガイドロール42を介し
て送られる線材Ｗの送り方向前方および後方の一側およ
び他側にそれぞれ位置する基板10上に設けた固定軸1s,1
sそれぞれに自由回動可能に支承されており、周面には
断面円弧状の周回溝11を備え、溝底11が線材Ｗと当接可
能である。

上記回動盤２は上記固定軸1s,1s間を結ぶ直線の中間位
置（当然のことながら送り通路Ｌ上となる）を回動中心
点Ｏとする所定外径を具え、後述する回転機構により回
動可能である。

上記可動ロール3aおよび3bは上記回動盤２上に、中心点
Ｏを対称点とする所定位置に設けた可動軸3s,3sそれぞ
れに支承されており、上記固定ロール1aおよび1bと同径
かつ同様に周面に断面円弧状の周回溝31を有している。

通常ベンデングデスケーラは、線材Ｗに一平面上の屈曲
と、当該平面に直交する他の平面上の屈曲とを付与する
構成をとるので、本発明でも上記基板10に連接して図示
左側に表面角度90°変えた同一構成の基板20が設けられ
る。

第２図（ａ）は実施例ベンデングデスケーラの平面図
で、第１図に表面を示す基板10および20のいわば裏面に
あたり、当該実施例では、基板10と20とを水平に対して
それぞれの表面を異なる方向へ45°傾けてＸ状に連接し
た構成となっている。

第２図（ａ）における12aおよび12bそれぞれは、基板10
および20それぞれの表面に設けられた固定軸1s,1sの固
定軸基部であり、21は前記回動盤２を一方端面とする回
動筒本体であり、５はシリンダ装置、６は連結部材、７
はピン受け駒、８はストッパ部材である。

上記固定軸基部12a,12bそれぞれの先端部間は、例えば
中間に亀裂部61を有する上記連結部材６の両端と橋絡状
態を維持して緊締されている。

上記回動筒本体21の前記回動盤２の反対側にあたる他方
端面は涙滴型端面22に形成されており、当該涙滴型端面
22の円板部221は回度筒本体21の筒部を覆っているが、
突出部222は回動筒本体21の外周から所定方向へ突出し
ている。涙滴型端面22の円板部221中央部には、基礎部2
31から軸線方向沿いに伸延する、外周に雄ねじが刻設さ
れた回転軸23が形成されている。而して、上記基礎部23
1の頂面は上記固定軸基部12a,12bそれぞれの先端部間を
橋絡している連結部材６の下面と当接可能な高さに設定
され、従って上記回転軸23は連結部材６の亀裂部61中央
を貫通状態とされ、また連結部材６は内周に回転軸23の
雄ねじと螺合する雌ねじが形成された係止リング24の螺
進により基礎部231上に緩く挟着され、回転軸23を回動
可能に維持している。それ故、回動筒本体21は一方端面
の回動盤２の表面を基板10ないし20の表面を同一平面に
維持するとともに、回転軸23を中心とする回動を許容さ
れた状態にある。

上記シリンダ装置５は、本体前端部所定位置を上記涙滴
型端面22の突出部222とピンP1でピン結合されるととも
に、ロッド51の先端部に固着した接合部材52を介して、
基板10ないし20の裏面所定位置に固定してあるピン受け
駒７とピンP2によりピン結合されて保持状態にある。

上記ストッパ部材８は、第２図（ｂ）に示す如く、上記
シリンダ装置５のロッド51の先端部に嵌着可能な溝81を
軸方向沿いに形成された、例えば断面Ｕ字状の部材から
なり、溝81に沿う軸方向の長さＡがそれぞれ異なる複数
個を備えているて、第２図（ａ）はその中の一個が溝81
を上記ロッド51に嵌着して装着されている状態を示して
いる。

長さＡが異なるストッパ部材８を複数個準備する理由
は、ベンデングデスケール予定に含まれている各種被処
理線材Ｗの線径の大・小，軟鋼線か硬鋼線かの別，発生
しているスケールの種類等に応じて、それぞれ異なる最
適の屈曲度を線材に付与するためである。即ち、シリン
ダ装置５はピンP1により涙滴型端面22の突出部222と、
またロッド51は固着された接合部52を介してピンP2によ
り固定位置をとるピン受け駒７とそれぞれピン結合され
ており、当該シリンダ装置５を駆動してロッド51を後退
させれば、シリンダ装置５をピン受け駒７方向へ変位さ
せることとなる。従って、ロッド51に装着したストッパ
部材８の長さＡの大・小に応じてロッド51の後退ストロ
ークに長短が生じ、当該後退ストロークの長短がシリン
ダ装置５に係合する回転筒21を、非駆動時のロッド51の
長さによって設定されている基準位置から、回転軸23中
心とする回動の角度に大・小をもたらし、これに伴い回
動盤２は所定角度回動する。当該回動盤２には前述の如
く可動軸3s,3sそれぞれが設けられていて可動ロール3a
および3bを支承しているので、当該可動ロール3aおよび
3bは回動盤２の基準位置からの所定角度の回動＝ストッ
プ部材８の長さＡの大・小に応じた回動に応じ、固定ロ
ール1aおよび1bそれぞれに対して所定の相対位置関係を
占めることとなる。

上記の如く、本発明はデスケールせんとする被処理線材
Ｗに応じ、準備された複数のストッパ部材８の中から所
定の長さＡを有するものを選択してロッド51に装着のう
え、シリンダ装置５を駆動すれば、ロッド51の後退スト
ロークを選択されたストッパ部材８により正確に規制す
ることができるので、可動ロール3aおよび3aは固定ロー
ル1aおよび1bそれぞれに対して即時所定の適正な相対関
係に設定され、送り通路Ｌを走行する線材Ｗに最適とさ
れる所定屈曲角度の蛇行を強制することとなり、充分に
スケールを剥離することができる。

〔他の実施例〕

上記実施例では、回動筒21の一方端面を回動盤2,他方端
面を涙滴型端面22とし、かつ当該回動筒21を基板10もし
くは20の裏面で固定ロール1a,1bそれぞれの固定軸基部1
2a,12b先端部間を橋絡する連結部材６により支持した場
合を挙げて説明したが、これらの構成は単なる一例に過
ぎず、回動盤２表面を基板10,20と同一平面に維持可能
な構成ならば如何なる構成としてもよく、また回動盤２
が中心点Ｏを回動中心とする構造であれば勿論涙滴型端
面部材22の使用に限定されるものでなく、設計が本発明
の要旨に添い、同様の作用および効果をもたらす構成な
らばその如何を問うものでない。

また、上記実施例のシリンダ装置５は、本体を涙滴型端
面22の突出部222に、ロッド51の先端に固着した接合部
材52を固定のピン受け駒７にそれぞれピンP1およびピン
P2でピン結合した場合を挙げて説明したが、上記実施例
の逆配置構成であっても何等支障はない。

〔発明の効果〕

本発明によれば、選択した所定長さを有するストッパ部
材をロッドに装挿することにより、シリンダ装置のロッ
ドのストロークを正確に規制できるので、固定ロールに
対する可動ロールの相対位置関係を即時かつ容易に被処
理線材の種類に応じて適正に設定し得ることとなり、そ
れぞれ異なる種類ごとの被処理線材では、その種類に応
じた最適の屈曲角度によって充分なデスケールが施さ
れ、同一種類の被処理線材では、ロットごとに仕上がり
状態が異なる虞なく、常に最適な屈曲角度によって充分
なデスケーリングが施され、同一仕上がりが得られるこ
ととなり、その後に実施される加工処理が一定条件下で
なし得るなど、工程の簡易化、迅速化、製品品質の均一
高レベル化等に貢献するので、実施によりもたらされる
効果は顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例ベンデングデスケーラの部分正面図、第
２図（ａ）は実施例ベンデングデスケーラの平面図、第
２図（ｂ）は使用されるストッパ部材の斜視図、第３図
は従来ベンデングデスケーラの正面図である。 Ｌ……線材送り通路 Ｏ……中心点，対称点 1a,1b……固定ロール 1s,1s……固定軸 ２……回動盤 3a,3b……可動ロール 3s,3s……可動軸 10,20……基板 222……突出部（回転機構） ５……シリンダ装置（回転機構） 51……ロッド（回転機構） ８……ストッパ部材（回転機構） 81……溝（回転機構）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】線材（Ｗ）送り通路（Ｌ）沿いに配設され
   周部が不動で中央部に所定外径の回動盤（２）を嵌着す
   る基板（10）と、前記回動盤（２）の回動機構と、前記
   送り通路（Ｌ）入側および出側それぞれに設けた固定軸
   （1s,1s）に支承されて周面を前記送り通路（Ｌ）に臨
   ませた固定ロール（1a,1b）と、前記回動盤（２）の回
   動中心を対称点とする該回動盤（２）表面上の所定位置
   に設けた可動軸（3s,3s）に支承された可動ロール（3a,
   3b）とからなるベンデングデスケーラにおいて、前記回
   転機構が、前記回動盤（２）の裏面に設けた半径方向へ
   張り出す突出部（222）と、当該突出部（222）と所定位
   置が係合するシリンダ装置（５）と、それぞれが異なる
   長さに設定されるとともに長さ方向に前記シリンダ装置
   （５）のロッド（51）に嵌挿可能な通し溝（81）が形成
   されている複数のストッパ部材（８）から構成され、選
   択した所定長さを有するストッパ部材（８）がロッド
   （51）に嵌挿された前記シリンダ装置（５）を駆動して
   前記回動盤（２）を所定角度回動することにより前記固
   定ロール（1s,1s）に対する前記可動ロール（3s,3s）の
   相対位置関係を調整可能に設定したベンデングデスケー
   ラ。