JPH0574427B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は紙やフイルムなどの被塗工基材に塗工
された薬液をスムージングしてその薬液塗工の不
均一を解消するワイヤーバーコート用ワイヤーバ
ーに関するものである。 〔従来の技術〕 近年、被塗工基材に過剰に塗工された薬液を掻
き落しスムージングして薬液塗工の不均一性を解
消するワイヤーバーコート装置にはロツドにワイ
ヤーを巻き付けたワイヤーバーが使用されるよう
になつてきている。 その１例を第３図によつて説明すれば、紙やフ
イルムなどの被塗布基材３は矢印方向に送りロー
ル４から連続して移送されてきて、アプリケータ
ーロール５を介してパン６の薬液７を塗工され、
次いで送りロール８に至る間にバーホルダー９に
支承されたワイヤーバー１０によつて被塗布基材
３に過剰に塗工された薬液７を掻き落されスムー
ジングされて塗工面の不均一を解消せしめられた
後、送りロール８から送り出されて塗工品１１と
されるのである。 かかるワイヤーバーコート装置において使用さ
れるワイヤーバー１０の代表的なものが第２図に
示される標準密着巻きと呼ばれるもので、一般に
はステンレス鋼製のロツド１とワイヤー２とから
成り、ロツド１に１本のワイヤー２を順次密着し
て巻き付けられたものである。このような標準密
着巻きの他に、ロツドに切り溝をスパイラル状に
設けてその切り溝上にワイヤーを巻き付けたもの
や、ロツドに異形断面の楕円形や凹凸のあるワイ
ヤーを巻き付けたもの等がある。 従来のこのようなワイヤーバーは、そのワイヤ
ー径を大きくしたり、スパイラルの溝間隔を変え
ることによつて塗工量を幅広く調節でき、又各種
塗工方法に対しても使用できるので、薬液塗工に
頻度高く利用されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 このようなワイヤーバーコート用ナイヤーバー
を正逆回転に回転させると、被塗部基材に対して
ワイヤーの接触点は横に移動し、相対的に塗工さ
れた薬液を横に掻き慣らす、所謂スムージング効
果を持つ。このスムージング効果は、ワイヤーバ
ーの回転速度を高くすることにより高められる
が、ワイヤー外表面の摩耗を早めることになつて
あまり好ましくない。又、ロツドにワイヤーを密
着巻きにしないと、隣接するワイヤー巻に空隙が
生じて塗工された薬液を掻き慣らすスムージング
効果が低下して好ましくない。この結果、標準密
巻きにせざるを得ないのであるが、第２図に示し
た如くロツド１の直径Ｄとワイヤー２の直径ｄと
が決定すると被塗布基材の進行方向（矢印方向）
に対するワイヤー２の傾斜角θは定まつてしま
い、この傾斜角θが小さい程スムージング効果が
少なくなると共に薬液塗工量を増大せしめた場合
に対処できなくなるという問題点があつた。 一般に薬液をロール、フアンテン、ダイス等で
塗布したときの液の塗布ムラはバーで掻き慣らし
ても完全にならず、元のパターンを保ちながら慣
らされていく。この元のパターンを少しでも小さ
くするためにはワイヤー２の傾斜角θを大きくと
れば良いのであるが、同じワイヤー径ｄで傾斜角
θを大きくとるためにはロツド１の直径Ｄを小さ
くせざるを得ず、ロツド１の直径Ｄを小さくする
とロツド１へのワイヤー加工の難かしさ、ロツド
１を保持するバーホルダー９の構造や、回転を行
う際のネジレ等に問題を起こすという欠点があつ
た。このような欠点は薬液の塗工量や塗工面の不
均一性をもたらし、塗工品の品質を低下させると
いう問題点があつた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者は上記問題点を解説すべく種々研究を
行つた結果、スムージング効果はワイヤーの傾斜
角と高度の相関関係を有していて多条にワイヤー
を巻き付けたワイヤーバーが高塗工量で均一な光
学透過性を必要とする塗工に最も適することを認
め、本発明に係るワイヤーバーコート用ワイヤー
バーを完成したのである。 すなわち、本発明は、直径３〜20mmのロツドに
直径0.07〜0.7mmのワイヤーが多条に密着巻きさ
れていることを特徴とするワイヤーバーコート用
ワイヤーバーを提供するものである。 以下、第１図に示す実施例に基づいて本発明に
係るワイヤーバーコート用ワイヤーバーについて
詳細に説明する。 第１図は本発明に係るワイヤーバーコート用ワ
イヤーバーの１実施例の要部を示す正面図であ
る。 図面中、１は鋼、ステンレス鋼、真鍮等から成
りその直径Ｄが３〜20mmのロツド、２はピアノ
線、ステンレス鋼線、真鍮線、タングステン線等
の金属線又はナイロンフイラメント、テトロンフ
イラメント、等の合成樹脂線等より成りその直径
ｄが0.07〜0.7mmであつてロツド１の外周に多条
に密着巻きされているワイヤーである。 このようにロツド１の外周にワイヤー２が多条
に密着巻きされて本発明に係るワイヤーバーコー
ト用ワイヤーバーが製作されるが、ロツド１とし
ては真直性が要求される場合には焼入れ処理を施
したSK鋼などを使用すればよく、また塗工する
薬液が腐食性を有する場合にはロツド１としてメ
ツキ処理したものやステンレス鋼を使用すればよ
いが、ワイヤーバーをバーホルダーに磁力で吸着
させる必要がある場合にはフエライト系又はマル
テンサイト系の感磁性ステンレス鋼を使用すれば
よい。またワイヤー２としては上記ロツド１の材
質との組合せによつて適宜上記した材質の中から
選定すればよいが、最も一般的にはステンレス鋼
線が使用でき、このステンレス鋼線に更にメツキ
処理して耐摩耗性を向上せしめることが好ましい
が、更に耐摩耗性を要求される場合にはタングス
テン線を使用することが好ましい。上記した如き
素材で本発明で係るワイヤーバーコート用ワイヤ
ーバーを製作するに当つて、ロツド１の直径Ｄが
３〜20mmでなければならないのは、直径Ｄが３mm
未満であるとロツド径が小さ過ぎるために捩り剛
性が小さくなりすぎてロツド１を回転させるため
のトルクによつて大きな捩れが発生して好ましく
なく、また直径Ｄが20mmを超えるとワイヤーバー
が大きくなり過ぎてワイヤーバーコート装置が大
型化して好ましくないからである。またワイヤー
２の直径ｄが0.07〜0.7mmでなければならないの
は、直径ｄは大きければ大きい程第１図に示した
被塗布基材の進行方向（矢印方向）に対するワイ
ヤー２の傾斜角θを大きくできて好ましいのであ
るが、直径ｄが0.07mm未満ではワイヤー２の太さ
が細すぎてロツド１に密着巻きし難いと共に摩耗
によつて早期に断線して耐久性が劣り且つ傾斜角
θを大きくできないので好ましくなく、また直径
ｄが0.7mmを超えると隣接するワイヤー２間の凹
凸が大きくなりすぎて良好なスムージング効果が
得られないばかりかワイヤーバーが太くなり過ぎ
てワイヤーバーコート装置が大型化して好ましく
ないからである。 〔作用〕 更に本発明に係るワイヤーバーコート用ワイヤ
ーバーの作用について説明すると、第１図に示す
ように被塗布基材の進行方向（矢印方向）に対し
直角方向にあるロツド１の外周にワイヤー２を２
条揃えて並列に密着巻きすると、ワイヤー２の傾
斜角がすべて同一のθでワイヤーバー全長に亘つ
てワイヤー２が密に巻かれた多条度２の２条巻き
ワイヤーバーが得られるのである。 これを具体的例で示すと、直径10mmのロツド１
に直径0.7mmのワイヤー２を２条揃えて密着巻き
するとワイヤー２の傾斜角約3.7゜を有する多条度
２とした２条巻きワイヤーバーが得られる。 一方、従来の標準密着巻きで同じ前記のロツド
に同じ寸法のワイヤーを１条巻きすると第２図に
示されるようなワイヤー２の傾斜角約1.9゜のワイ
ヤーバーとなるのである。上記のロツド１の直径
Ｄとワイヤー２の直径ｄ、及び多条度〜傾斜角θ
の関係を次の表に示す。表中の数字は傾斜角度で
ある。

〔発明の効果〕

以上詳述した如き本発明に係るワイヤーバーコ
ート用ワイヤーバーは、ロツド１の直径Ｄを３〜
20mm、ワイヤー２の直径ｄを0.07〜0.7mmとして
ワイヤー２をトツド１に多条に密着巻きしたもの
であるから簡単且つ安価に製造できると共にワイ
ヤーバーコート装置のバーホルダーに改善を加え
る必要もなく、ワイヤーバーを回転させた際にネ
ジレの問題もないと共にワイヤー２の摩耗に対す
る配慮も大幅に減少するのであり、更にワイヤー
２の多条に密着巻きしたことによるワイヤー２の
傾斜角θの増大によつてもたらされた優れたスム
ージング効果によつ高塗工量化に加えて表面不均
一性を解消した塗工面の良好な塗工製品を製造す
ることができる効果を有する。特に、本発明に係
るワイヤーバーコート用ワイヤーバーは高塗工量
で均一な光学的透過性を必要とするフイルム等の
塗工処理には最も適したワイヤーバーであり、薬
液塗工処理における不均一性を解消するものとし
てその工業上の利用価値は非常に大きなものがあ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るワイヤーバーコート用ワ
イヤーバーの１実施例の要部を説明する正面図、
第２図は従来の標準密着１条巻きのワイヤーバー
の要部を説明する正面図、第３図はワイヤーバー
コート装置の正面略図である。 １……ロツド、２……ワイヤー、３……被塗布
基材、４……送りロール、５……アプリケーター
ロール、６……パン、７……薬液、８……送りロ
ール、９……バーホルダー、１０……ワイヤーバ
ー、１１……塗工品、Ｄ……ロツドの直径、ｄ…
…ワイヤーの直径。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 直径３〜20mmのロツドに直径0.07〜0.7mmの
   ワイヤーが多条に密着巻きされていることを特徴
   とするワイヤーバーコート用ワイヤーバー。