JP2007244991A - 塗工用ロッド、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗工むらを一層高い精度で防止できる塗工用ロッドを提供する。
【解決手段】均等に分布するように独立に設けられた多数の凹所18によって外周部の凹凸12が構成されており、その凹所18内に塗工剤を保持することにより、被塗工部材に塗工剤を塗布したり被塗工部材から余分な塗工剤を掻き落としたりして略均一な厚さの塗工剤の膜を形成する。その場合に、凹所18は、正方形の一辺の長さL≒0.2mmである一方、深さdは約0.06mmで、一辺の長さLに対して約0.3Lと浅く、平坦な底面18aを有する皿形状を成しているため、表面張力によって凹所18内に塗工剤が滞留することが抑制され、滞留に起因して塗工むらが生じることが防止される。
【選択図】図1
【解決手段】均等に分布するように独立に設けられた多数の凹所18によって外周部の凹凸12が構成されており、その凹所18内に塗工剤を保持することにより、被塗工部材に塗工剤を塗布したり被塗工部材から余分な塗工剤を掻き落としたりして略均一な厚さの塗工剤の膜を形成する。その場合に、凹所18は、正方形の一辺の長さL≒0.2mmである一方、深さdは約0.06mmで、一辺の長さLに対して約0.3Lと浅く、平坦な底面18aを有する皿形状を成しているため、表面張力によって凹所18内に塗工剤が滞留することが抑制され、滞留に起因して塗工むらが生じることが防止される。
【選択図】図1
Description
本発明は塗工用ロッドに係り、特に、塗工むらを低減する技術に関するものである。
円柱形状の外周部に凹凸が設けられて被塗工部材の表面近傍に略平行に配設され、軸心まわりに回転させられるとともにその被塗工部材の表面に沿って相対移動させられることにより、その被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する塗工用ロッドが知られている。かかる塗工用ロッドは、従来、円柱形状のロッドの外周面に所定の径寸法のワイヤを螺旋状に巻回したものが用いられていたが、例えば特許文献1に記載されているように、転造加工によって螺旋状の凸条を一体に設けたものも提案されている。
図7の塗工用ロッド100は、上記特許文献1に記載されているもので、断面が半円形状の凸条102が外周面に螺旋状に一体に設けられており、例えば図8の(a) 、(b) に示すように使用されて、合成樹脂製のフィルムやシート等の被塗工部材104の表面に所定の塗工剤106を塗布する。図7の上半分は正面外観図で、下半分は断面図である。また、塗工剤106は、例えば所定の粘性、流動性を有する液状物質である。
図8の(a) は、略水平に配設された送りローラ108の上方に略平行に塗工用ロッド100が配設され、長手形状の被塗工部材104が送りローラ108によって図の右方向へ走行させられるとともに、その送り速度に応じて定められた一定の回転速度で塗工用ロッド100が矢印で示すように送り方向へ回転させられることにより、被塗工部材104の上面に供給された塗工剤106を定量送りして被塗工部材104の上面に所定の厚さで略均一に塗布するようになっている。また、図8の(b) は、複数の送りローラ110によって塗工剤106が収容された容器112内を被塗工部材104が走行させられることにより、その被塗工部材104の表面に塗工剤106が付着させられる一方、その容器112の上方において被塗工部材104の表面に近接して略平行に配設された塗工用ロッド100が矢印で示すように逆方向へ所定の回転速度で回転させられ、余分な塗工剤104が掻き落とされることにより、被塗工部材104の表面に塗工剤106が所定の厚さで略均一に塗布されるようになっている。なお、何れの場合も、塗工用ロッド100は被塗工部材104の送り方向に対して略直角になる姿勢で配設される。
なお、図8(a) についても、被塗工部材104の走行方向と逆向きに塗工用ロッド100を回転させて、余分な塗工剤106の通過を阻止することにより、塗工剤106を略均一に塗布するようにしても良いなど、塗工用ロッド100の使用態様は上記図8(a) 、(b) に限定されるものではない。
一方、このような塗工用ロッド100は、例えば図9に示す転造加工装置120によって製造される。転造加工装置120は、一対の転造丸ダイス122、124で円柱形状のロッド素材126を両側から挟圧して転造加工を行うもので、ロッド素材126は支持部材128によって支持されるようになっている。図9の(a) は、ロッド素材126の軸方向から見た正面図で、(b) は(a) の右側面図である。転造丸ダイス122、124は、何れも前記凸条102の間の凹部形状に対応する断面形状の成形凸部130が凸条102のピッチ(=リード)Pと略同じピッチ、厳密にはP×cos θ(θ:凸条102のリード角)の間隔、で軸方向に離間して外周面に複数平行、すなわちリードが0の状態で設けられたもので、図9(b) に示すように成形凸部130がロッド素材126の軸心に対して直角な方向から凸条102のリード角θと同じ角度だけ傾斜した姿勢で配設される。一対の転造丸ダイス122、124は、図9(b) の状態において互いに反対方向へ角度θで傾斜させられており、その状態で図9(a) に矢印で示す方向へ回転駆動されることにより、ロッド素材126の外周面にはリード角θで凸条102が転造加工されるとともに、ロッド素材126は軸心まわりに回転しつつ図9(b) の左方向へリード送りされ、所定長さで切断されることにより前記塗工用ロッド100が得られる。
しかしながら、このような塗工用ロッド100は、凸条102が一条ねじのように設けられているだけであるとともに、被塗工部材104は塗工用ロッド100の軸心と直角方向、すなわち凸条102と略平行な方向へ相対移動させられるため、例えば塗工剤106の粘性が高い場合などに、その凸条102と平行な縞模様の塗工むらが生じ易い。このため、例えば特許文献2のように、軸方向およじ周方向に離間して互いに独立に多数の凸部を設けることが提案されている。図10の塗工用ロッド138はその一例で、(a) は塗工用ロッドの外周面を平面的に展開して示す図、(b) は(a) におけるB−B断面図であり、等間隔で平行な多数の直線状の第1溝140から成る第1溝群、およびその第1溝140と直角に交差するように設けられた等間隔で平行な多数の直線状の第2溝142から成る第2溝群により、それ等の第1溝140、第2溝142で囲まれた多数の四角錘形状の凸部144が、塗工用ロッド138の外周面に均等に分布するように設けられている。図10(a) における右上がりの二点鎖線で示す直線は、第1溝群の多数の第1溝140の中心線で、右下がりの一点鎖線で示す直線は、第2溝群の第2溝142の中心線である。また、特許文献3には、上記凸部144とは逆に四角錘形状等の多数の凹所を独立に設けることが提案されている。
実公平4−40767号公報
特開2002−301411
特開平9−96993号公報
ところで、上記特許文献2では第1溝および第2溝の溝内に塗工剤を保持し、特許文献3では凹所内に塗工剤を保持することにより、被塗工部材にその塗工剤を塗布したり被塗工部材から余分な塗工剤を掻き落としたりする。しかしながら、それ等の溝や凹所は、底部に向かうに従って幅が狭くなるV字形状を成しているため、底部の幅狭部分に表面張力によって塗工剤が滞留し易く、その滞留の有無や程度で塗工むらが生じることがあった。
また、特許文献2の塗工用ロッドの凹凸は、例えば前記図9の一方の転造丸ダイス122の成形面に上記第1溝に対応する多数の凸条を設けるとともに、他方の転造丸ダイス124の成形面に上記第2溝に対応する多数の凸条を設けることにより、その図9の転造加工装置120を用いて転造加工により形成することができる。しかしながら、両方の転造丸ダイス122、124で転造加工が行われるため、盛り上げられる凸部の頂形状が不規則になり、被塗工部材に疵を付ける恐れがあるため、転造加工後に研磨加工などの仕上げ加工が不可欠である。
特許文献3では、同じく転造加工により凹所を設けることが提案されており、凹所に対応する突起の間に円筒面を形成し、その円筒面を塗工用ロッドの外周面に押圧することにより、塗工用ロッドの外周面の変形を防止するようにしている。しかしながら、このように突起を食い込ませて凹所を形成する場合、その食い込んだ部分の余肉の逃げ場が必要であるため、塗工用ロッドの外周面の変形を確実に防止することは困難であり、塗工用ロッドの使用分野によっては転造加工後に研磨加工等の仕上げ加工を行う必要がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その第1の目的は、塗工むらを一層高い精度で防止できる塗工用ロッドを提供することにある。また、第2の目的は、その塗工用ロッドを転造加工で製造する際に、研磨加工等の仕上げ加工が必ずしも必要ない製造方法を提供することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、円柱形状の外周部に凹凸が設けられて被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する塗工用ロッドであって、(a) 前記凹凸は、前記円柱形状の軸方向および周方向において互いに離間させられているとともに略均等に分布するように独立に設けられた多数の凹所によって構成されており、(b) その凹所は、深さdがその凹所の最も大きい開口幅Wに対して0.4W以下で、平坦な底面を有する皿形状を成していることを特徴とする。
第2発明は、円柱形状の外周部に凹凸が設けられて被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する塗工用ロッドであって、(a) 前記凹凸は、前記円柱形状の外周面を平面的に展開した状態において、それぞれ等間隔で平行な多数の直線状の凸条から成る複数の凸条群が互いに交差するように配置され、それ等の凸条で囲まれた多数の角形の凹所がその円柱形状の軸方向および周方向において均等に分布するように独立に設けられている格子状の凹凸であり、(b) 前記凹所は、深さdがその凹所の開口の最も長い一辺の長さLに対して0.5L以下で、平坦な底面を有する角皿形状を成していることを特徴とする。
第3発明は、第2発明の塗工用ロッドにおいて、(a) 前記複数の凸条群は、第1凸条群および第2凸条群の2つで、(b) 前記凹所は、正方形、長方形、菱形、または平行四辺形であることを特徴とする。
第4発明は、第3発明の塗工用ロッドにおいて、(a) 前記第1凸条群および前記第2凸条群は、それぞれ前記凸条が前記円柱形状の軸心に対して90°以外の所定のねじれ角で傾斜させられており、(b) 前記多数の凹所は、前記円柱形状の軸方向の何れの部分においてもその円柱形状の軸心まわりにおいて部分的に重なるように設けられていることを特徴とする。
第5発明は、第4発明の塗工用ロッドにおいて、前記第1凸条群および前記第2凸条群は、前記凸条の間隔が互いに等しいとともに、その凸条は前記円柱形状の軸心に対して互いに反対方向へ45°のねじれ角で傾斜するように設けられて90°の交差角度で交差させられており、(b) 前記凹所は正方形であることを特徴とする。
第6発明は、第2発明〜第5発明の何れかの塗工用ロッドにおいて、前記凹所の側壁面は、底面へ向かうに従って30°〜60°の範囲内で定められた傾斜角度βで内側へ傾斜する傾斜面とされていることを特徴とする。
第7発明は、円柱形状のロッド素材に転造加工を行って第2発明〜第6発明の何れかの塗工用ロッドを製造する方法であって、前記複数の凸条群の凸条に対応する格子状の溝が成形面に設けられた第1転造丸ダイスと、成形面が平坦な円筒面の第2転造丸ダイスとを、前記ロッド素材の軸方向において互いに反対方向へ同じ角度だけ傾斜させた状態でそのロッド素材を挟んで両側に配置し、そのロッド素材の外周面に押圧しながら中心線まわりに回転させることにより、その傾斜に応じてそのロッド素材を軸方向へ前進させながら外周部に連続的に前記格子状の凹凸を転造加工することを特徴とする。
このような塗工用ロッドにおいては、略均等に分布するように独立に設けられた多数の凹所によって外周部の凹凸が構成されており、その凹所内に塗工剤を保持することにより、被塗工部材に塗工剤を塗布したり被塗工部材から余分な塗工剤を掻き落としたりして略均一な厚さの塗工剤の膜を形成する。その場合に、本発明の凹所は、深さdが凹所の最も大きい開口幅Wに対して0.4W以下で、平坦な底面を有する皿形状を成しているため、表面張力によって凹所内に塗工剤が滞留することが抑制され、滞留に起因して塗工むらが生じることが防止される。
第2発明の凹所も、深さdが凹所の開口の最も長い一辺の長さLに対して0.5L以下で、平坦な底面を有する角皿形状を成しているため、第1発明と同様に、表面張力によって凹所内に塗工剤が滞留することが抑制され、滞留に起因して塗工むらが生じることが防止される。また、第2発明では、多数の直線状の凸条から成る複数の凸条群が互いに交差するように配置されることにより、それ等の凸条で囲まれた部分に多数の凹所が形成されるようになっているため、例えば転造加工でその凹所を形成する場合、転造ダイスの成形面には凹所に対応する多数の凸部を設ける必要があるが、複数の凸条群の凸条に対応する格子状の溝を形成するだけで良いため、転造ダイスを簡単且つ安価に作製することが可能であり、高い生産性が得られる転造加工により塗工用ロッドを低コストで製造できる。
第4発明は、複数の凸条群が第1凸条群および第2凸条群の2つの場合で、それ等の第1凸条群および第2凸条群は、それぞれ凸条が円柱形状の軸心に対して90°以外の所定のねじれ角で傾斜させられており、多数の凹所は円柱形状の軸方向の何れの部分においてもその円柱形状の軸心まわりにおいて部分的に重なるように設けられている。このため、軸方向の総ての部位で凹所により塗工剤が保持されるようになり、例えば何れかの凸条群の凸条が軸心と直角な方向すなわち周方向に設けられる場合など、軸心まわりの全周に凹所が存在しない箇所を有する塗工用ロッドに比較して、被塗工部材に対して一層均一に塗工剤を塗布できるようになる。
第6発明では、凹所の側壁面が、底面へ向かうに従って30°〜60°の範囲内で定められた傾斜角度βで内側へ傾斜する傾斜面とされているため、凹所の底面と側壁面とが交わる角部の内角が120°〜150°の鈍角になり、塗工剤の滞留が一層効果的に防止される。
第7発明は、第2発明〜第6発明の塗工用ロッドを一対の転造丸ダイスを用いて、ロッド素材が自動的に軸方向へ送られる歩み転造加工で製造する場合で、第1転造丸ダイスの成形面には複数の凸条群の凸条に対応する格子状の溝を形成するだけで良いため、その第1転造丸ダイスを簡単且つ安価に作製することが可能であり、ロッド素材の送り装置が必要無いことと相まって、高い生産性が得られる歩み転造加工により塗工用ロッドを低コストで製造できる。
また、ロッド素材を挟んで第1転造丸ダイスと反対側に配置される第2転造丸ダイスは、成形面(外周面)が平坦な円筒面であるため、実質的に転造加工を行わず、第1転造丸ダイスで転造加工されたロッド素材の外周面を押圧するだけである。このため、第1転造丸ダイスによる転造加工で盛り上げられる凸条の頂形状が不規則になっても、第2転造丸ダイスが押圧されることによって平坦に成形され、転造加工後の研磨加工などの仕上げ加工が必ずしも必要でなくなり、製造コストが更に低減される。
本発明の塗工用ロッドは、例えば前記図8(a) 、(b) に示すように、被塗工部材の表面近傍に略平行に配設され、軸心まわりに回転させられるとともにその被塗工部材の表面に沿って相対移動させられることにより、その被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する場合に好適に用いられる。塗工用ロッドは、例えば被塗工部材との相対移動方向に対して直角になる姿勢で配設されるが、直角方向から所定角度だけ傾斜させることもできる。
また、被塗工部材としての合成樹脂製のフィルムやシートの表面に所定の塗工剤を薄く塗布する場合に好適に用いられるが、このようなフィルムやシート以外の被塗工部材に塗工剤を塗布する場合に用いることも可能である。塗工剤としては、例えば所定の流動性、粘性を有する液状物質が好適に用いられるが、粉状物などを塗工剤として塗布することもできる。
塗工用ロッドの直径寸法は、使用分野等によって異なるが、例えば数mm〜50mm程度のものが広く用いられている。この範囲を超えるものにも本発明は適用され得る。
第1発明の凹所の開口形状は、三角形、四角形等の角形であっても良いし、円形、楕円形など角形以外の形状でも良く、適宜定められる。凹所の形状は一定であることが望ましいが、異なる形状の複数種類の凹所を混在して設けることも可能である。
第2発明の一辺の長さLと第1発明の開口幅Wとの関係は、凹所の開口形状によって異なり、必ずしも一定の相関関係は無いが、一般に開口幅Wが大きい場合は一辺の長さLも大きくなる。例えば、凹所の開口形状が第5発明のように正方形の場合、その対角線の長さが開口幅Wに相当するが、W=2L/(√2)で表される。そして、深さdが第1発明のように0.4W以下の場合、一辺の長さLに対しては約0.57L以下となり、この場合は深さdを0.5L以下とする第2発明は、第1発明の一実施態様と言える。
第2発明の複数の凸条群における凸条の間隔は、互いに同じであっても良いが、異なる間隔で設けることも可能である。また、この凸条の幅寸法は、大きいと凹所が小さくなって塗工能率が悪くなり、小さいとエッジ状になって被塗工部材を疵付ける可能性があるため、塗工用ロッドの使用分野に応じて適宜定められ、例えば0.01〜0.1mm程度の範囲内、或いは凹所の開口の1辺の長さLに対して0.1L〜0.3L程度の範囲内で設定されるが、これ等の範囲を超えて設定することもできる。
上記凸条群が第3発明のように2つであれば、凹所の開口形状は四角形になるが、凸条群を3つ以上設けることも可能で、凹所の開口形状を三角形など四角形以外の角形とすることもできる。第2発明では、個々の凸条群の凸条は等間隔であるが、第1発明の実施に際しても、平行な多数の凸条を有する複数の凸条群を互いに交差するように配置して多数の凹所を形成することが可能で、その場合、各凸条群の凸条を不等間隔で配置することもできる。
第2発明の一辺の長さLや第1発明の開口幅Wは、塗工用ロッドの使用分野や塗工剤の特性(粘性や流動性など)、或いは凹所の開口形状等に応じて適宜定められ、例えば0.1〜1.0mm程度の範囲で設定されるが、この範囲を超えて設定することもできる。凹所の最小の開口幅は、表面張力による塗工剤の滞留を防止できるように、塗工剤の特性等に応じて適宜定められ、例えば0.05mm以上で、望ましくは0.1mm以上の寸法に設定される。深さdは、0.4W以下、或いは0.5L以下の範囲で定められるが、0.3W以下或いは0.4L以下の範囲で設定することが望ましい。この深さdは、実際の寸法では、例えば0.3mm以下、更には0.1mm以下の寸法に設定される。
凹所の平坦な底面は、大きな凹凸が存在しないことを意味するもので、必ずしも平面である必要はなく、塗工用ロッドの軸心からの径寸法が一定の凸形状の円弧面、或いは転造丸ダイスの径寸法に対応する凹形状の円弧面などでも良い。
第4発明では、2つの凸条群がそれぞれ塗工用ロッドの軸心に対して90°以外の所定のねじれ角で傾斜させられることにより、多数の凹所が塗工用ロッドの軸方向の何れの部分においても軸心まわりにおいて部分的に重なるようになっているが、3つ以上の凸条群を有する場合でも、何れの凸条群の凸条も軸心と直角な方向すなわち周方向に対して傾斜して設けられるようにして、軸方向の何れの部分においても軸心まわりにおいて凹所が部分的に重なるようにすることができる。
第4発明では2つの凸条群がそれぞれ塗工用ロッドの軸心に対して90°以外の所定のねじれ角で傾斜させられているが、他の発明の実施に際しては、一方の凸条群が軸心と平行で、他方の凸条群が軸心と直角、或いは軸心に対して所定のねじれ角で傾斜させられている場合など、種々の態様が可能である。
第6発明では、側壁面が30°〜60°の傾斜角度βで内側へ傾斜させられているが、他の発明の実施に際しては、必ずしも30°〜60°の範囲内である必要はなく、例えば底面に対して垂直(β=0°)であっても良いなど、種々の態様が可能である。なお、第6発明は第2発明〜第5発明に従属しているが、第1発明についても、凹所の側壁面を、底面へ向かうに従って30°〜60°の範囲内で定められた傾斜角度βで内側へ傾斜する傾斜面とすることが可能である。
第2発明〜第6発明の塗工用ロッドは、第7発明のように一対の転造丸ダイスを傾斜させて転造加工を行う歩み転造加工によって好適に製造されるが、第1発明の塗工用ロッドを含めて他の製造方法を採用することができる。例えば、平ダイスを用いて転造加工を行ったり、転造丸ダイスの回転中心線がロッド素材の軸心と平行になる姿勢で転造加工を行ったり、或いは切削加工やレーザ加工など転造加工以外の加工方向で凹所を加工したりすることもできる。
また、第7発明では、第2転造丸ダイスの成形面が平坦な円筒面とされていたが、第1転造丸ダイスと同様に格子状の溝を設けて転造加工を行うこともできる。一対の平ダイスを用いて転造加工を行う場合も、何れか一方の平ダイスのみに格子状の溝を設けて他方は平坦面(平面)とすることができるが、両方の平ダイスに格子状の溝を設けて転造加工を行うことも可能である。
第7発明では、目的とする塗工用ロッドの長さ寸法に予め切断されたロッド素材に1本ずつ転造加工を行うものでも良いが、目的とする塗工用ロッドの長さ寸法の2倍以上の長さのロッド素材を用いて、歩み転造加工によりその全長に転造加工を行って凹凸を形成した後に、目的とする長さ寸法に切断するようにしても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である塗工用ロッド10を説明する図で、(a) は軸心Oと直角な方向から見た正面図、(b) は塗工用ロッド10の外周部に設けられた凹凸12を説明する図で、円柱形状の塗工用ロッド10の外周面を平面的に展開して示す拡大図、(c) は(b) におけるC−C断面の拡大図である。この塗工用ロッド10の凹凸12は、円柱形状のロッド素材20の外周面にそれぞれ等間隔で平行な多数の直線状の第1凸条14、第2凸条16が格子状に交わった形状を成している。これにより、それ等の第1凸条14、第2凸条16で囲まれた部分に多数の角形の凹所18が塗工用ロッド10の軸方向および周方向において均等に分布するように独立に形成されている。本実施例では、多数の第1凸条14によって第1凸条群が構成され、多数の第2凸条16によって第2凸条群が構成されており、図1(b) において右下がりの一点鎖線で示す直線は第1凸条14の中心線で、右上がりの二点鎖線で示す直線は第2凸条16の中心線である。
図1は、本発明の一実施例である塗工用ロッド10を説明する図で、(a) は軸心Oと直角な方向から見た正面図、(b) は塗工用ロッド10の外周部に設けられた凹凸12を説明する図で、円柱形状の塗工用ロッド10の外周面を平面的に展開して示す拡大図、(c) は(b) におけるC−C断面の拡大図である。この塗工用ロッド10の凹凸12は、円柱形状のロッド素材20の外周面にそれぞれ等間隔で平行な多数の直線状の第1凸条14、第2凸条16が格子状に交わった形状を成している。これにより、それ等の第1凸条14、第2凸条16で囲まれた部分に多数の角形の凹所18が塗工用ロッド10の軸方向および周方向において均等に分布するように独立に形成されている。本実施例では、多数の第1凸条14によって第1凸条群が構成され、多数の第2凸条16によって第2凸条群が構成されており、図1(b) において右下がりの一点鎖線で示す直線は第1凸条14の中心線で、右上がりの二点鎖線で示す直線は第2凸条16の中心線である。
第1凸条14は、ロッド素材18の軸心Oに対して右まわりにねじれ角α1 で捩じれた多条のねじ山形状を成しており、第2凸条16は、第1凸条14のねじれ方向と反対方向(左まわり方向)へねじれ角α2 で捩じれた多条のねじ山形状を成している。本実施例ではねじれ角α1 =45°、α2 =−45°で、第1凸条14および第2凸条16は直角に交差している。また、第1凸条14および第2凸条16の間隔は互いに等しく、凹所18の開口形状は正方形とされている。
凹所18は、開口部の1辺の長さLに対して深さdが0.5L以下で、平坦な底面18aを有する角皿形状を成している。本実施例では、1辺の長さLが約0.2mmで、深さdは約0.06mmであり、d=0.3Lである。また、凹所18の最も大きい開口幅Wは、正方形の対角線の長さで、W=2L/(√2)≒0.28mmであり、d≒0.21Wである。上記底面18aは、略平面であるが、厳密には凹凸12が図2に示す転造加工装置30により転造加工によって形成されることから、その第1転造丸ダイス32の径寸法に対応する凹形状の円弧面を成している。
また、正方形の凹所18の4つの側壁面18bは、何れも底面18aへ向かうに従って30°〜60°の範囲内で定められた傾斜角度βで内側へ傾斜する傾斜面とされており、本実施例ではβ=45°で傾斜させられている。すなわち、本実施例の凹所18は、横断面が正方形の浅い截頭四角錐形状を成しているのであり、各側壁面18bと底面18aとが交わる角部の内角は135°の鈍角になる。
一方、前記第1凸条14および第2凸条16は同じ幅寸法tを有し、本実施例ではt≒0.04mm=0.2Lである。塗工用ロッド10の直径寸法Dは約40mmで、周方向に多数の凹所18が設けられるが、幅寸法tが狭いことから、それ等の凹所18は図1(b) から明らかなように、塗工用ロッド10の軸方向の何れの部分においても軸心まわり、すなわち図1(b) の上下方向において部分的に重なるように配置される。凹所18の軸方向ピッチP、すなわち多数の凸条14や16の軸方向の中心間距離は、本実施例では約0.34mmとなる。なお、図1は、凹凸12の形状を含めて塗工用ロッド10の各部の寸法の比率や角度を正確に表現したものではない。他の図面についても同様である。
そして、このような塗工用ロッド10は、図2〜図4に示す転造加工装置30を用いて好適に製造される。この転造加工装置30は、基本的に前記転造加工装置120と同じ構成で、一対の第1転造丸ダイス32、第2転造丸ダイス34が異なるだけであり、ロッド素材20は前記支持部材128によって支持されるようになっている。図2の(a) は、ロッド素材20の軸方向から見た正面図で、(b) は(a) の右側面図である。図3は、転造加工装置30の上方から見た平面図で、図4は、第1転造丸ダイス32の外周部に設けられた成形面36の凹凸形状を示す断面図である。
第1転造丸ダイス32の成形面36は、図3および図4に示すように、前記第1凸条14および第2凸条16に対応して多数の第1成形溝40、第2成形溝42が格子状に設けられることにより、前記凹凸12を反転した凹凸、すなわち前記凹所18に対応する凸部44が多数形成された凹凸形状とされている。第1凸条14を成形する第1成形溝40は、中心線S1 の左まわりにねじれ角γ1 で捩じれた多条ねじ状に設けられている一方、第2凸条16を成形するする第2成形溝42は、中心線S1 の右まわりにねじれ角γ2 で捩じれた多条ねじ状に設けられている。図4は、第1成形溝40と平行に切断した断面図である。また、第2転造丸ダイス34の成形面38は、中心線S2 を中心とする平坦な円筒面とされている。したがって、ロッド素材20の外周面に第1転造丸ダイス32の凸部44が食い込むことにより、前記第1凸条14、第2凸条16が盛り上げられて多数の凹所18が形成される。本実施例では、これ等の第1転造丸ダイス32、第2転造丸ダイス34の直径寸法は約180mmで、幅寸法(軸方向寸法)は約50mmである。
また、上記第1転造丸ダイス32、第2転造丸ダイス34は、ロッド素材20の軸方向の同じ位置でロッド素材20を挟んでその両側に配置されているとともに、図2の(b) から明らかなように、ロッド素材20の軸方向において第1転造丸ダイス32は傾斜角θ1 だけ左方向、すなわちロッド素材20の送り方向へ傾斜させられ、第2転造丸ダイス34は傾斜角θ2 だけ右方向へ傾斜させられている。傾斜角θ1 、θ2 は、傾斜方向が異なるだけで同じ角度であり、第1転造丸ダイス32および第2転造丸ダイス34がロッド素材20を挟圧した状態で、図2(a) において何れも中心線S1 、S2 の右まわりに同期して回転駆動されることにより、傾斜角θ1 、θ2 に応じてロッド素材20を図2(b) 、図3の左方向へ自動的に前進させながら前記第1凸条14および第2凸条16を転造加工する。転造丸ダイス32、34の外径寸法は同じで、本実施例では同じ回転速度で回転駆動される。なお、第2転造丸ダイス34の成形面38は平坦面で、転造加工を行うものではなく、ロッド素材20の撓み変形を防止するバックアップ部材として機能するとともに、転造加工された第1凸条14、第2凸条16の頂部を押し潰して平坦に成形する作用を有するものであるため、必ずしも同期回転させる必要はなく、ロッド素材20の回転に追従して中心線S2 まわり回転させるだけでも良い。また、第2転造丸ダイス34の径寸法は必ずしも第1転造丸ダイス32の径寸法と同じである必要はない。
前記ねじれ角γ1 、γ2 、および傾斜角θ1 は、前記ねじれ角α1 、α2 で第1凸条14、第2凸条16が転造加工されるように、次式(1) 、(2) を満足するように定められる。また、傾斜角θ1 (=θ2 )は、ロッド素材20の1回転当たりの軸方向の進み量X(=πDtanθ1 =πDtanθ2 )が、第1凸条14、第2凸条16、或いは凹所18の軸方向ピッチP(本実施例では約0.34mm)の整数倍になるように、ロッド素材20の直径寸法Dや凸条14、16の間隔などに応じて設定される。本実施例では第1凸条14のねじれ角α1 =45°であるため、その第1凸条14を転造加工する第1成形溝40のねじれ角γ1 、傾斜角θ1 は、例えばγ1 =−45°15′、θ1 =15′に設定される。また、第2凸条16のねじれ角α2 =−45°であるため、θ1 =15′に設定されると、第2凸条16を転造加工する第2成形溝42のねじれ角γ2 =44°45′となる。そして、このように傾斜角θ1 =θ2 =15′に設定されると、ロッド素材20は1回転毎にその傾斜角θ1 に応じて定まる軸方向進み量Xずつ前進させられ、歩み転造加工が行われる。ロッド素材20は、目的とする塗工用ロッド10の長さ寸法(例えば300mm)に予め切断され、1本ずつ転造加工が行われるようになっていても良いが、目的とする塗工用ロッド10の長さ寸法の2倍以上の長さのロッド素材20を用いて、歩み転造加工によりその全長に転造加工を行って凹凸12を形成した後に、目的とする長さ寸法に切断するようにしても良い。第1転造丸ダイス32は食付き部、完全山部、逃げ部を有するとともに、完全山部には軸方向に多数の成形溝40、42が設けられており、その成形溝40、42による凸条14、16の転造加工と、第2転造丸ダイス34によるそれ等の凸条14、16の頂部の潰し成形とが繰り返し行われることにより、高い寸法精度で凹凸12が転造成形される。
α1 =−(γ1 +θ1 ) ・・・(1)
α2 =−(γ2 +θ1 ) ・・・(2)
α1 =−(γ1 +θ1 ) ・・・(1)
α2 =−(γ2 +θ1 ) ・・・(2)
また、このような塗工用ロッド10は、軸心Oが被塗工部材の表面と略平行になる姿勢でその表面の近傍に配設され、軸心Oまわりに回転させられるとともに被塗工部材の表面に沿って相対移動させられることにより、その被塗工部材の表面に所定の塗工剤を略均一に塗布するように使用される。例えば前記図8(a) 、(b) において前記塗工用ロッド100の代わりに配設され、軸心Oまわりに所定の回転方向へ回転させられることにより、塗工剤106を定量送りしたり掻き落としたりして、被塗工部材104の表面に所定の厚さで略均一に塗布するのである。
ここで、このような塗工用ロッド10においては、均等に分布するように独立に設けられた多数の凹所18によって外周部の凹凸12が構成されており、その凹所18内に塗工剤を保持することにより、被塗工部材に塗工剤を塗布したり被塗工部材から余分な塗工剤を掻き落としたりして略均一な厚さの塗工剤の膜を形成する。その場合に、本実施例の凹所18は、正方形の一辺の長さL≒0.2mmで、最大開口幅W≒0.28mmである一方、深さdは約0.06mmで、最大開口幅Wに対して約0.21W、一辺の長さLに対して約0.3Lと浅く、平坦な底面18aを有する皿形状を成しているため、表面張力によって凹所18内に塗工剤が滞留することが抑制され、滞留に起因して塗工むらが生じることが防止される。
特に、本実施例では、凹所18の側壁面18bが、底面18aへ向かうに従って傾斜角度β=45°で内側へ傾斜する傾斜面とされているため、凹所18の底面18aと側壁面18bとが交わる角部の内角が135°の鈍角になり、凹所18内に塗工剤が滞留することが一層効果的に防止される。
また、多数の直線状の第1凸条14、第2凸条16から成る2つの凸条群が互いに交差するように配置されることにより、それ等の凸条14、16で囲まれた部分に多数の凹所18が形成されるようになっているため、転造加工によって凹所18を形成する場合、転造ダイスには2つの凸条群の凸条14、16に対応する格子状の成形溝を形成するだけで良く、転造ダイスを簡単且つ安価に作製することが可能であり、高い生産性が得られる転造加工により塗工用ロッド10を低コストで製造できる。
また、上記第1凸条14および第2凸条16は、塗工用ロッド10の軸心Oに対して互いに反対まわりに45°のねじれ角で傾斜させられているとともに、それ等の凸条14、16の幅寸法tは約0.04mmであり、多数の凹所18は塗工用ロッド10の軸方向の何れの部分においても軸心Oまわりにおいて部分的に重なるように設けられている。このため、軸方向の総ての部位で凹所18により塗工剤が保持されるようになり、例えば凸条14、16の何れか一方が軸心Oと直角な方向すなわち周方向に設けられる場合など、軸心Oまわりの全周に凹所18が存在しない箇所を有する塗工用ロッドに比較して、被塗工部材に対して一層均一に塗工剤を塗布できるようになる。
また、本実施例では、図2、図3に示す転造加工装置30を用いて、ロッド素材20を図2(b) 、図3の左方向へ自動的に前進させながら第1凸条14および第2凸条16を転造加工する歩み転造加工を行うが、第1転造丸ダイス32の成形面36には2つの凸条群の凸条14、16に対応する格子状の成形溝40、42を形成するだけで良いため、その第1転造丸ダイスを簡単且つ安価に作製することが可能であり、ロッド素材20の送り装置が必要無いことと相まって、高い生産性が得られる歩み転造加工により塗工用ロッド10を低コストで製造できる。
また、ロッド素材20を挟んで第1転造丸ダイス32と反対側に配置される第2転造丸ダイス34は、成形面38が平坦な円筒面であるため、実質的に転造加工を行わず、第1転造丸ダイス32で転造加工されたロッド素材20の外周面を押圧するだけである。このため、第1転造丸ダイス32による転造加工で盛り上げられる凸条14、16の頂形状が不規則になっても、第2転造丸ダイス34が押圧されることによって平坦に成形され、これが第1転造丸ダイス32の完全山部で何回も繰り返されることにより、転造加工後の研磨加工などの仕上げ加工が必ずしも必要でなくなり、製造コストが更に低減される。
なお、上記実施例では、第1凸条14および第2凸条16が軸心Oに対して互いに反対まわりに45°のねじれ角で傾斜させられていたが、図5に示す塗工用ロッド50のように、一方の第1凸条14を軸心Oと平行に設け、他方の第2凸条16を軸心Oと直角に設けることにより、軸方向および周方向に整列するように多数の正方形の凹所18を有する凹凸52を形成することも可能である。図5は図1に対応する図で、(a) は軸心Oと直角な方向から見た正面図、(b) は塗工用ロッド50の外周面を平面的に展開して示す拡大図、(c) は(b) におけるC−C断面の拡大図である。
また、図6の塗工用ロッド60は、軸心Oと直角な第1凸条62、軸心Oに対して互いに反対まわりに30°のねじれ角で傾斜させられた第2凸条64、第3凸条66の計3つの凸条群を有し、それ等の凸条62、64、66によって囲まれた部分に多数の正三角形の凹所68が形成されることにより、格子状の凹凸70が構成されている場合である。凹所68は、開口部の1辺の長さLに対して深さdが0.5L以下、好ましくは0.4L以下で、平坦な底面68aを有する皿形状を成しているとともに、側壁面68bは、30°〜60°の範囲内で例えば45°程度に設定される傾斜角度βで内側へ傾斜する傾斜面とされている。また、第1凸条62、第2凸条64、および第3凸条66は同じ幅寸法tを有し、その幅寸法tは、例えば0.1L〜0.3L程度の範囲内で設定される。この図6も図1に対応する図で、(a) は軸心Oと直角な方向から見た正面図、(b) は塗工用ロッド60の外周面を平面的に展開して示す拡大図、(c) は(b) におけるC−C断面図である。また、図6(b) において破線で示す上下の直線は第1凸条62の中心線で、右下がりの一点鎖線で示す直線は第2凸条64の中心線で、右上がりの二点鎖線で示す直線は第3凸条66の中心線である。
このような塗工用ロッド60においても、深さdが小さい皿形状の凹所68が設けられることにより、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
10、50、60:塗工用ロッド 12、52、70:凹凸 14、62:第1凸条(第1凸条群) 16、64:第2凸条(第2凸条群) 18、68:凹所 18a、68a:底面 18b、68b:側壁面 20:ロッド素材 32:第1転造丸ダイス 34:第2転造丸ダイス 36、38:成形面 40:第1成形溝(溝) 42:第2成形溝(溝) 66:第3凸条(第3凸条群) O:軸心 L:1辺の長さ d:深さ
Claims (7)
- 円柱形状の外周部に凹凸が設けられて被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する塗工用ロッドであって、
前記凹凸は、前記円柱形状の軸方向および周方向において互いに離間させられているとともに略均等に分布するように独立に設けられた多数の凹所によって構成されており、
該凹所は、深さdが該凹所の最も大きい開口幅Wに対して0.4W以下で、平坦な底面を有する皿形状を成している
ことを特徴とする塗工用ロッド。 - 円柱形状の外周部に凹凸が設けられて被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する塗工用ロッドであって、
前記凹凸は、前記円柱形状の外周面を平面的に展開した状態において、それぞれ等間隔で平行な多数の直線状の凸条から成る複数の凸条群が互いに交差するように配置され、それ等の凸条で囲まれた多数の角形の凹所が該円柱形状の軸方向および周方向において均等に分布するように独立に設けられている格子状の凹凸であり、
前記凹所は、深さdが該凹所の開口の最も長い一辺の長さLに対して0.5L以下で、平坦な底面を有する角皿形状を成している
ことを特徴とする塗工用ロッド。 - 前記複数の凸条群は、第1凸条群および第2凸条群の2つで、
前記凹所は、正方形、長方形、菱形、または平行四辺形である
ことを特徴とする請求項2に記載の塗工用ロッド。 - 前記第1凸条群および前記第2凸条群は、それぞれ前記凸条が前記円柱形状の軸心に対して90°以外の所定のねじれ角で傾斜させられており、
前記多数の凹所は、前記円柱形状の軸方向の何れの部分においても該円柱形状の軸心まわりにおいて部分的に重なるように設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の塗工用ロッド。 - 前記第1凸条群および前記第2凸条群は、前記凸条の間隔が互いに等しいとともに、該凸条は前記円柱形状の軸心に対して互いに反対方向へ45°のねじれ角で傾斜するように設けられて90°の交差角度で交差させられており、
前記凹所は正方形である
ことを特徴とする請求項4に記載の塗工用ロッド。 - 前記凹所の側壁面は、底面へ向かうに従って30°〜60°の範囲内で定められた傾斜角度βで内側へ傾斜する傾斜面とされている
ことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の塗工用ロッド。 - 円柱形状のロッド素材に転造加工を行って請求項2〜6の何れか1項に記載の塗工用ロッドを製造する方法であって、
前記複数の凸条群の凸条に対応する格子状の溝が成形面に設けられた第1転造丸ダイスと、成形面が平坦な円筒面の第2転造丸ダイスとを、前記ロッド素材の軸方向において互いに反対方向へ同じ角度だけ傾斜させた状態で該ロッド素材を挟んで両側に配置し、該ロッド素材の外周面に押圧しながら中心線まわりに回転させることにより、該傾斜に応じて該ロッド素材を軸方向へ前進させながら外周部に連続的に前記格子状の凹凸を転造加工する
ことを特徴とする塗工用ロッドの製造方法。
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