JPH0668030B2 - 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法 - Google Patents

耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法

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JPH0668030B2
JPH0668030B2 JP60134355A JP13435585A JPH0668030B2 JP H0668030 B2 JPH0668030 B2 JP H0668030B2 JP 60134355 A JP60134355 A JP 60134355A JP 13435585 A JP13435585 A JP 13435585A JP H0668030 B2 JPH0668030 B2 JP H0668030B2
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勝 松生
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勝 松生
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製
法に関する。また本発明は、耐熱性が改良され、かつ高
弾性率を有する延伸されたポリエチレン成形物の製法に
関し、中でも本発明は分子鎖が高度に配向したポリエチ
レンで、分子鎖の配向方向の弾性率が金属のスズと同程
度以上であるが、横方向にも簡単に手で引き裂かれるこ
とがなく、かつ230℃近くでも0.5GPa以上の弾性
率を保有するフイルム及びフィラメントを製造する方法
に関するものである。
従来の技術 従来ポリエチレンの架橋については、γ線照射や電子線
照射による物理的方法と、架橋剤と反応させる化学的方
法とがある。前者の物理的方法は未延伸ポリエチレンに
ついてはきわめて効果的であるが、配向したポリエチレ
ン、特に延伸倍率が50倍を越すものについては、架橋
よりもむしろ主鎖の切断が優先した、例えば100Mra
d電子線照射すると配向ポリエチレンは手で切断が可能
なほど劣化が生じた。
[文献名 Dynamic Mechanical Behavior of Ultradraw
n Polyethylene Films Produced by Gelation/Crystall
ization from solution Chie Sawatari and Masaru Mat
suo,Colloid & Polymer Science in press] 後者の化学的方法を用いてポリエチレン繊維の架橋する
方法は最近ペニングス教授らにより開発された。
[ジェー・デボア,エイチジェー・ファンデンベルグ及
びエイ・ジェー・ペニングス,ポリマー第25巻513
〜519ページ(1984年)J.deBoer,H.-J.van den
Berg and A.J.Pennings;POLYMER Vol25P.513〜
519(1984)] の方法は架橋剤であるジクミルペルオキシドをノルマル
ヘキサンに溶解し(溶液濃度30%まで)、50℃に保
ってポリエチレン繊維を6時間浸漬し、その後窒素中で
熱処理して架橋を進行させた。この方法により彼等は2
00℃近くまで熱処理した試料を再び冷却して常温で力
学試験を行うと、14GPaの弾性率の値を保持してい
ると報告している。しかしこの方法は架橋剤がポリエチ
レン繊維中に充分はいりこんでいないため、高温での力
学測定は困難であり、195℃で0.4N近くの荷重下
で試料が溶融破壊しないということにすぎない。この方
法は我々の追試によって確認され、浸漬時間を2週間に
しても大きな差はみられなかった。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、耐熱性の改良されたポリエチレン成形品を効
率よく製造することを目的とし、中でも耐熱性が改良さ
れ、かつ高度に配向されたポリエチレン成形物を効率よ
く製造することを目的とする。
問題点を解決するための手段及び作用 すなわち本発明は、ポリエチレン及び該ポリエチレンに
対する溶媒から成るゲル状物に、成形温度に於て架橋し
得るペルオキシド系架橋剤を含浸させ、得られた含浸処
理したゲル状物を加熱および/または加圧下に成形処理
することを特徴とするポリエチレン成形物の製法に関す
る。
本発明で使用されるポリエチレンは、各用途に応じて適
宜選ぶことができる。中でも高分子量のポリエチレンを
用いることが望ましく高強度、高弾性率の成形品を得る
ためには、その分子量(粘度平均分子量)が約60万以
上であることが望ましく、さらに約80万ないし約10
00万であることが望ましい。
またポリエチレンのゲル状物を構成する溶媒としては、
特に制限はないが、常温で液体の溶媒がとくに望まし
く、ディカリンを好適例としてあげることができる。
ポリエチレン及び該ポリエチレンに対する溶媒から成る
ゲル状物を調製する方法としては、ポール・スミス及び
ピー・ジェー・レムストラ;ジャーナル・オブ・マテリ
アル・サイエンス第15巻505〜514ページ(19
80年)[Paul Smith and P.J.Lemstra;Journal of M
aterial Science,Vol15P.505〜514(198
0)]及びポール・スミス,ピー・ジェー・レムストラ
及びエイチ・シー・ブーイヒ ジャーナル・オブ・ポリ
マー・サイエンス;ポリマーフィジックス・エディショ
ン第19巻877〜888ページ(1981年) [Paul.Smith,P.J.Lemstra and H.C.Booij;Journal of
Polymer Science,Polymer Physics Edition,Vol19
P.877〜888(1981)]に示されている如
く、ポリエチレンのパウダーを加熱溶媒に溶解し、これ
を冷却、例えば急冷する方法がある。
ゲル状物の調製は、不活性ガス例えば窒素雰囲気下で行
うことが望ましい。また、高分子量のポリエチレンの場
合はディカリンがゲル作成に最も好ましい。
ゲル状物を構成する溶媒としてディカリンを用い、かつ
高分子量のポリエチレンを用いる場合は、ポリエチレン
溶液の濃度は0.3g/100m〜10g/100m
が好ましいが、特に0.5g/100m〜1g/100
mが好ましい。作成されたゲルはディカリンを大量に
含んでいるので乾燥及び圧縮にて、ディカリンを通常2
/3以上追い出して、本発明の原料として使用される。
すなわち本発明に使用されるゲル状物中のポリエチレン
と溶媒の割合は、通常ポリエチレン0.7ないし90重量
部および溶媒99.3ないし10重量部(合計100重量
部)からなる。
ゲル状物にペルオキシド系架橋剤を含浸させる際には、
該ペルオキシド系架橋剤に対する溶媒の存在下に行うこ
とが望ましく、例えば該ペルオキシド系架橋剤とその溶
剤からなる溶液を流し込んで含浸させることにより、ペ
ルオキシド系架橋剤を未反応のままゲル状物中に充分浸
み込ませることが望ましい。
架橋剤の溶媒は、一応、架橋剤が溶ける溶媒であれば良
いが、しかし架橋剤の溶媒はポリエチレンの溶媒と同一
であることが最も好ましい。
使用されるペルオキシド架橋剤は、成形温度に於て架橋
し得るものであればよく、用途に応じて適宜選択され
る。ペルオキシド系架橋剤としては例えばベンゾイルペ
ルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミ
ルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)
ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、te
rt−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘ
キサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチル
ペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレ
ート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、クミル
ペルピバレートおよびtart−ブチルペルジェチルアセテ
ートなどがある。
ペルオキシド系架橋剤による架橋処理を主として延伸処
理において行う場合は、該架橋剤として、約130℃な
いし約170℃の温度範囲で架橋反応が顕著に生じるも
のが望ましく、とくにジクミルペルオキシドが好適であ
る。
架橋剤とポリエチレンに充分浸み込んだと思われる時点
で架橋剤がポリエチレンを圧縮して溶媒をとり除く。こ
の時、架橋剤の濃度が高いと、圧縮時に溶媒とともに架
橋剤が流出しても、ポリエチレンを架橋するのに充分な
架橋剤がポリエチレンに含まれている。一方、架橋剤の
量が少い場合は、架橋剤を注入したゲルを架橋剤が架橋
反応を実質上起こさない温度範囲に於て、例えば50℃
付近で乾燥してやる必要がある。乾燥温度が高いと溶媒
の蒸発効果は大きいが、しかし架橋剤が溶媒と反応した
りあるいは未配向状態のポリエチレン鎖を架橋する可能
性があるので、温度が高すぎると好ましくない。
含浸処理したゲル状物から成形する方法としては以下の
方法が例示される。
A)含浸処理されたゲル状物を加熱押出成形により成形物
とし、引き続き140℃ないし160℃の温度で延伸処
理すると共に、該延伸処理に於て、ゲル状物中の溶媒の
除去、分子の配向及び架橋処理を行う方法。加熱押出成
形された成形物は、延伸処理前にいったん巻き取り、冷
却させることも可能であるが、連続して延伸処理するこ
ともできる。またこれらの成形は不活性ガス例えば窒素
等の雰囲気下で行うことが望ましい。また、含浸処理さ
れたゲル状物を直接140℃ないし160℃の温度で延
伸処理すると共に、架橋処理することも採用することが
できる。
B)含浸処理されたゲル状物を乾燥させた後、該ゲル状物
を加熱押出成形により成形物とし、引き続き140℃な
いし160℃の温度で延伸処理すると共に、架橋処理を
行う方法。この方法は、松生 勝;日本レオロジー学会
誌第13巻4〜15ページ(1985年)に開示された
方法を利用するものである。すなわちこの方法の好まし
い態様によれば架橋剤ポリエチレンゲルに充分浸み込ん
だと考えられる段階で溶剤を圧縮あるいは乾燥によって
取り除きほぼ乾燥したゲルをノズルから140〜160
℃の温度範囲で押し出す。
ノズルから押し出された試料は、140〜160℃の不
活性ガス雰囲気を通って巻き取られる。この工程で分子
の配向と分子間の架橋を同時に進行させる。また、含浸
処理されたゲル状物から、溶媒をほとんど除去し、例え
ば溶媒の含有率を10重量%以下とした後、直接140
℃ないし160℃の温度で延伸処理すると共に、架橋処
理することも採用することができる。
50%程度好ましくは90%程度のディカリンの回収は
機械力によるため、この作業にはエネルギーをほとんど
必要とせず、極めて低コストで行える。さらに溶媒を乾
燥させる必要がある。しかし乾燥ゲル状物中に極く少量
のディカリンが存在することは、超延伸の際ディカリン
が可塑剤として働き、延伸をスムーズにするのに役立っ
ているように思える。またディカリンを少量含むゲル状
物は、結晶ラメラがくずれない程度に、例えば140℃
程度に加熱し(この温度は分子量によって多少変化する
が、この温度をDSC曲線の融点ピークの立ち上りに設
定するとよい)ノズルから押出せばよい。この時、ノズ
ルの口径は、溶融紡糸の条件よりも大きなものでなけれ
ばならない。したがって、繊維の場合細い繊維の生産を
期待しすぎて口径を小さくしすぎると、加熱ゲルは粘度
が高いため、押し出しに極度に大きい圧力が必要になる
きらいがある。溶融紡糸の条件よりも大きな口径で、1
40℃前後の不活性ガス、例えば窒素の槽に押し出され
た繊維に、更に張力を加えて延伸すると延伸過程におい
て折り畳み結晶が繊維状結晶に移転し、細い繊維となる
ことが考えられる。
C)含浸処理されたゲル物を固相押出成形処理または圧縮
成形処理する方法。これらの方法に於て、架橋処理は、
これらの成形処理と同時の場合、またこれらの成形処理
に引き続いて成形時に溶媒の除去された成形品を加熱す
る場合がある。
またこれら成形品を加熱して架橋処理する際には、必要
に応じて同時に延伸処理することもできる。これらの処
理は不活性ガス、例えば窒素ガス雰囲気下で行うことが
望ましい。
未配向架橋ポリエチレン成形物を製造する際には、ほぼ
乾燥した架橋剤の混入したポリエチレンを鋳型に入れて
圧縮成形し、鋳型とも加熱して架橋反応をおこさせる
と、ほとんど非晶性の架橋ポリエチレン成形物が得ら
れ、耐熱性のよい成形物となる。これらの成形物からは
必要に応じて、架橋反応に寄与しなかった架橋剤等を抽
出等の方法で除去することも行われる。この態様ではと
くに薄手あるいは細手の成形品が好適に成形される。
以上A)〜C)の方法において延伸処理も併用する場合は、
延伸倍率は用途に応じて変えることができ、延伸温度と
しては、とくに140℃ないし160℃の範囲が望まし
く、高倍率の延伸が可能である。
本発明の製法で成形された延伸成形物は、分子が配向
し、かつ架橋処理がされた成形物であり、これら延伸成
形物、例えば延伸されたフイラメントやフイルムは再び
150〜160℃前後で熱処理すると未だ未架橋な架橋
剤が架橋に関与し、さらに優れた熱的性質をもつ試料と
なる。
実施例 次に本発明に関する実施例を項目にわけ詳細に説明す
る。
i)試料作成に必要な溶解濃度 一般に分子量約600万のポリエチレンをディカリンで
溶解し、アルミニウム枠に流し込んでゲル化し、乾燥後
延伸する場合、溶液濃度は0.4g/100mが最適で
最大延伸倍率は300倍に達した。しかしこの実験は酸
化防止剤(2・6−ジ−t−ブチル−Pクレゾール)0.
1%を加えて窒素下で約30分間135℃で溶解した場
合である。しかし本発明では架橋剤ジクミルパーオキシ
ド(DCP)を混入するので、架橋剤を酸化防止剤との
反応を防ぐため、酸化防止剤の混入なしにポリエチレン
の溶解を行わなくてはならない。しかし酸化防止剤が存
在しない場合は135℃で溶解すると、分子量の低下が
粘度実験で認められたので、溶解濃度は0.4g/100
mから0.5g/100mにあげ、分子量の低下によ
るからみ合いの効果の低下を防ぐことにつとめた。
ii)試料作成の条件設定 まず、試料作成の最適条件を見いだすために次の3通り
の方法を試みた。
方法1.ポリエチレンをディカリン1500mに15
0℃で約30分間溶解し、0.5g/100mの溶液を
作成し、これをアルミニウム枠に流し込んで空冷しゲル
化した。常温で乾燥させ、ゲルの体積が30〜35%減
じた時点でDCPを溶解したディカリン300mを注
ぎ込み、50℃で乾燥させて、乾燥ゲルフイルムを作成
した。
方法2.ポリエチレンをディカリン1500mに15
0℃で約30分間溶解し、0.5g/100mの溶液を
作成した。一方DCPを50℃で溶解させたディカリン
300mをつくっておき、同時にアルミニウム枠に流
し込み、冷却後再びアルミニウム枠を50℃に保ち、デ
ィカリンを蒸発させて乾燥ゲルフイルムを得た。
方法3.ポリエチレン,DCPをディカリンに150℃
で溶解し、得られた溶液をアルミニウム枠に流し込ん
だ。ゲル作成後、アルミニウム枠を50℃に保って、デ
ィカリンを蒸発させ、乾燥ゲルフイルムを作成した。
図1はA)架橋剤なし、B)方法1C)方法2D)方法3により
作成した試料に、膜面に平行にX線を入射した場合の小
角散乱及び広角回析図形である。A)の架橋剤が混入され
ていない場合とD)の方法3による場合は、小角散乱及び
広角回析図形ともきわめて類似の図形となり、ポリエチ
レンとDCPをディカリン中で溶解させると、架橋剤が
加熱溶解中にディカリンと反応してしまい、ポリエチレ
ンと架橋する度合はきわめて小さいことがわかった。C)
の方法2による場合は、広角回析図形にわずかに非晶ハ
ローがあらわれ、すでにポリエチレンの非晶鎖セグメン
トの架橋がみられるが、この様な場合延伸がきわめて困
難である。B)の方法1による場合は、広角回折図形に架
橋剤からの回折リングがみられ、また小角散乱像の散乱
極大も散乱中心に近づき、ラメラ間の長周期の増加がみ
られる。これはあきらかにラメラ間隔に架橋剤が入り込
んでその距離をひろげたものと考えられる。以上のこと
より、方法1が架橋剤の効能をそこねずポリエチレンゲ
ルフイルムの中に混入しえる最も良好な方法であること
がわかった。なおDCPの量は極端な条件として、重量
にして、ポリエチレンの2倍の量を混入した。
図2は図1に示した4種類のポリエチレン乾燥ゲルフイ
ルムを窒素中で約10時間熱処理した場合のX線回折図
形である。X線は膜面に平行に入射した。熱処理温度は
125,135及び145℃の3種類とした。D)の場合
は架橋剤がないA)の場合と同様の像をとり、熱処理によ
る架橋効果があらわれず、方法3では良好な架橋ポリエ
チレンが得られないことがわかった。C)の場合すなわち
方法2では熱処理により非晶ハローがあらわれて架橋効
果が見い出されるが、B)の場合、すなわち方法1よりも
その効果は顕著でなかった。
従って、以上の結果から、方法1)が最も優れていること
がわかった。そこで以下、方法1)によって得られた試料
についてのみ検討を加えていく。
iii)架橋のための熱処理温度の決定 図3は方法1によって得た試料を、125,135及び
145℃で、それぞれ10時間窒素中で熱処理し、得ら
れた熱処理ゲルフイルムを示差走査型熱量計(DSC)
により融解挙動を検討したものである。熱処理温度が1
35℃以上では結晶の融解ピークはみられず、ほぼ非晶
化されることが判明した。ポリエチレン乾燥ゲルフイル
ムは通常145℃が最適延伸温度であったので、架橋剤
を含む場合でも架橋と延伸が同時に進行させるという試
みで延伸温度を145℃から165℃の範囲で試みた
が、最適温度は150〜160℃であることが判明し
た。延伸は窒素中で、行った。
図4は架橋剤を含まない場合と200%含んだ場合につ
いてのX線広角回折図形である。X線は試料の膜面に垂
直に入射され、延伸倍率λ=50まで行った。
延伸による結晶配向は、架橋剤を含まない方がやや優れ
ている。λ=50では、DCPの混入にもかかわらず、
微結晶からの明確なスポットがみられた。しかし架橋剤
を混入しない場合は、横方向にきわめて弱く、簡単にひ
き裂かれたが、DCPを混入した試料は横方向に引き裂
かれることはなかった。
iv)架橋ポリエチレンの力学定数の温度依存性 図5は延伸倍率λ=50の、DCPを含まない場合とD
CPを含む試料についての複素弾性率の実部E′と虚部
E″の温度依存性を示している。なお、DCPを含む試
料については延伸後、窒素中145℃でさらに90分間
熱処理を行った。また、熱処理後、反応が終った架橋剤
をできるだけ取り除くため、50℃エタノール中で約6
時間浸漬した。E′及びE″は対数で与えた。架橋がほ
どこされていない試料については150℃付近で融解が
生じたが、架橋をほどこした試料については、145℃
で約10GPa、170℃で約1GPa、230℃で約
0.5GPaであり、230℃以上では試料は切断した。
この結果は、超延伸された架橋ポリエチレンが常温では
強化プラスチックの値を越え、平衡融点をはるかに越え
た225℃付近でも、一般に市販されている未延伸ポリ
エチレンフイルムの力学的性質にほぼ等しいことを示し
ており、架橋超延伸ポリエチレンは、従来のポリエチレ
ンの熱的性質では想像しえないような耐熱性を保持して
いることである。
図6はtanδを示している。taδの値は150℃付近ま
で架橋しない試料も架橋した試料もほぼ等しいが、架橋
しない試料については150℃以上では急激な減少がみ
られ170℃以上でレベル・オフする。
v)架橋ポリエチレンが225℃付近でも、0.5GPa以
上の弾性率を保有する要因 ポリエチレンの平衡融点は145.5℃と言われており、少
々スーパーヒーティングの現象をおこしても、155℃
で溶融するのが普通である。ところが架橋超延伸試料は
図4に示すごとく、結晶相は存在している。もし、架橋
していない結晶部が融解しているなら、160℃以上で
は力学特性は極めてよくないことが考えられるのに本試
料は225℃でも約0.5GPaの弾性率を保有してい
る。
そこで試料のX線回折図形を色々な温度について検討し
た。図7はその結果である。これはスポットのずれをは
っきりさせるために、赤道方向のみに着目したものであ
る。145℃付近までは(110)及び(200)面の回折があら
われているがスポットが散乱中心によってきており、特
に(200)面において顕著である。これはa軸の膨張が大
きいことを物語っている。160℃で(200)面のスポッ
トが消滅しはじめ、180℃では結晶は斜方晶系から六
方晶系へ移転しているのが理解しえる。六方晶系に変化
してからも結晶格子は膨張しつづけ、230℃では六方
晶系(100)面からのスポットも消滅し、この温度で試料
は切断した。
さらに斜方晶系から六方晶系への転移を確認するために
結晶(002)面についての回折強度が温度の上昇とともに
どのように劣化するかを検討した。図8はその結果を示
している。斜方晶系の(002)面からの回折強度は温度上
昇とともに減少し、170℃付近で激減し、180℃で
ほぼ消滅した。この現象は明らかに結晶が斜方晶系から
六方晶系へと移転したことを物語っている。
図9は一定ひずみ10%与えたときの応力緩和状態を温
度の関数として検討したものである。応力は130℃付
近まで一般の高分子にみられるように低下していくが、
130℃を越えると逆に上昇し、ゴム弾性の挙動を示
す。また160〜170℃付近で、応力の上昇が緩慢に
なるが、この付近で結晶の転移がおこることによるもの
と考えられる。以上実施例として、実験室レベルでの詳
細なデータを示したが、この工業化はきわめて容易であ
る。すなわち高分子量ポリエチレンを溶解急冷後、生じ
た生ゲルを機械的に圧縮すると容易にディカリンが流出
し、ディカリンの含有量が100〜500%程度のゲル
になりうる。このゲルにDCPを含有したディカリンを
注ぎ込み、20〜50℃で生ゲルの中にDCPをしみ込
ませ乾燥させる。充分乾燥しきらない状態で、150〜
160℃でノズルから押し出せばよい。この時の口径は
溶融紡糸の条件よりも大きなものでなくてはならない。
また紡糸のかわりに、DCPを含んだポリエチレンを固
相押し出しや、あるいは未配向の状態で成形加工しても
よい。
【図面の簡単な説明】
図1は、X線小角散乱及びX線広角回折図形である。 図2は、X線広角回折図形である。 図3は、示差走査型熱量計(DSC)による融解曲線の
図である。 図4は、X線広角回折図形である。 図5は、複素弾性率の実部E′と虚部E″の温度依存性
を示す図である。 図6は、tanδの温度依存性を示す図である。 図7は、X線広角回折図形の赤道方向の部分の図であ
る。 図8は、(002)面についてのX線回折強度の温度依存性
を示す図である。 図9は、応力緩和状態を温度の関数として示した図であ
る。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレン及び該ポリエチレンに対する
    溶媒から成るゲル状物に、成形温度に於て架橋し得るペ
    ルオキシド系架橋剤を含浸させ、得られた含浸処理した
    ゲル状物を加熱および/または加圧下に成形処理するこ
    とを特徴とする耐熱性の改良されたポリエチレン成形物
    の製法。
  2. 【請求項2】該成形処理が加熱加圧成形処理であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の製法。
  3. 【請求項3】該成形処理が加熱押出成形処理であること
    を特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の製法。
  4. 【請求項4】該加熱加圧成形処理に於て、引き続き成形
    物を延伸処理することを特徴とする特許請求の範囲第
    (2)項に記載の製法。
  5. 【請求項5】該加熱押出成形処理に於て、引き続き成形
    物を延伸処理することを特徴とする特許請求の範囲第
    (3)項に記載の製法。
  6. 【請求項6】該成形処理が固相押出成形処理または圧縮
    成形処理であることを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項に記載の製法。
  7. 【請求項7】該ペルオキシド系架橋剤による架橋処理
    が、主として該加熱下の成形処理または該加熱加圧下の
    成形処理において行われることを特徴とする特許請求の
    範囲第(1)項ないし第(3)項のいずれかに記載の製
    法。
  8. 【請求項8】該ペルオキシド系架橋剤による架橋処理
    が、主として該延伸処理において行われることを特徴と
    する特許請求の範囲第(4)項または第(5)項に記載
    の製法。
  9. 【請求項9】該ポリエチレンの分子量が60万以上であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の
    製法。
  10. 【請求項10】該ゲル状物への該ペルオキシド系架橋剤
    の含浸を溶媒の存在下に行うことを特徴とする特許請求
    の範囲第(1)項に記載の製法。
  11. 【請求項11】該ゲル状物中の溶媒と、該ペルオキシド
    架橋剤の含浸において共存させる溶媒とが、同種類の溶
    媒であることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項に
    記載の製法。
  12. 【請求項12】ポリエチレン0.7ないし90重量部およ
    び該ポリエチレンに対する溶媒99.3ないし10重量部
    (合計100重量部)からなるゲル状物を用いることを
    特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の製法。
  13. 【請求項13】高分子量ポリエチレン及び該ポリエチレ
    ンに対する溶媒から成るゲル状物に、成形温度に於て架
    橋し得るペルオキシド系架橋剤を含浸させ、得られた含
    浸処理したゲル状物を乾燥させ加熱押出成形により成形
    物とし、引き続き140℃ないし160℃の温度で延伸
    処理すると共に、該延伸処理に於て、分子の配向および
    架橋処理を行うことを特徴とする特許請求の範囲第
    (3)項または第(5)項に記載の製法。
  14. 【請求項14】高分子量ポリエチレン及び該ポリエチレ
    ンに対する溶媒から成るゲル状物に、成形温度に於て架
    橋し得るペルオキシド系架橋剤を含浸させ、得られた含
    浸処理したゲル状物中の溶媒の含有率を10重量%以下
    とした後、該ゲル状物を加熱押出成形により成形物と
    し、引き続き140℃ないし160℃の温度で延伸処理
    すると共に、架橋処理することを特徴とする特許請求の
    範囲第(3)項または第(5)項に記載の製法。
  15. 【請求項15】高分子量ポリエチレン及び該ポリエチレ
    ンに対する溶媒から成るゲル状物に、成形温度に於て架
    橋し得るペルオキシド系架橋剤を含浸させ、得られた含
    浸処理したゲル状物を、140℃ないし160℃の温度
    で延伸処理すると共に、該延伸処理に於て、ゲル状物中
    の溶媒の除去、分子の配向および架橋処理を行うことを
    特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の製法。
  16. 【請求項16】高分子量ポリエチレン及び該ポリエチレ
    ンに対する溶媒から成るゲル状物に、成形温度に於て架
    橋し得るペルオキシド系架橋剤を含浸させ、得られた含
    浸処理したゲル状物を乾燥させた後、140℃ないし1
    60℃の温度で延伸処理すると共に、架橋処理すること
    を特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の製法。
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