JP3267129B2 - ポリテトラフルオロエチレンの一軸延伸成形物及びその製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレンの一軸延伸成形物及びその製造方法

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JP3267129B2
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  • Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリテトラフルオロ
エチレン(以下「PTFE」という。)の一軸延伸成形
物、特に、0.5GPa以上、望ましくは1GPa以上
の引張破断強度を有するPTFEのテープ、フィルム、
繊維等の一軸延伸成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PTFEはふっ素樹脂の一つであり、こ
のふっ素樹脂には、PTFE以外に、FEP(4ふっ化
エチレン−6ふっ化プロピレン共重合体)、PFA(4
ふっ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体)、
ETFE(4ふっ化エチレン−エチレン共重合体)など
がある。
【0003】これら各ふっ素樹脂は、優れた耐熱性、耐
化学薬品性、耐水及び耐湿熱性、耐紫外線性、電気絶縁
性、さらに他に比べるもののない非粘着性と表面耐摩擦
性等を有している。PTFEは、これらのふっ素樹脂の
中にあって、とりわけ耐熱性、耐化学薬品性、耐水及び
耐湿熱性に関して最高のレベルにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PTFEをテ
ープ、フィルム、繊維等の成形物に加工して使用する場
合は機械的強度が不十分であり、その解決が望まれてい
る。
【0005】そこで、本発明は、このような実情に鑑み
なされたものであり、その目的は、1GPa以上の強度
を有するテープ、フィルム、繊維等のPTFEの一軸延
伸成形物及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のPTFEの一軸延伸成形物は、分子量60
0万以上のポリテトラフルオロエチレンのファインパウ
ダーを含むビレットをリダクション比600以上でペー
スト押出ししてなる成形物を、伸縮が自由な状態でポリ
テトラフルオロエチレンの結晶融点以上の温度で熱処理
した後ポリテトラフルオロエチレンの結晶融点よりも低
い温度となるまで10℃/分以下の冷却速度で徐冷を行
って結晶化させ、続いてポリテトラフルオロエチレンの
結晶融点以上の温度に加熱して結晶を融解させて後、5
0mm/秒以上の延伸速度で100倍以上延伸し、急冷し
て得られることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、ビレットは、P
TFE系ポリマのファインパウダを押出助剤によって湿
潤処理し、この湿潤パウダを圧縮して形成することが好
ましい。そのファインパウダの粒子径は0.1μm〜
0.5μmであることが好ましい。
【0008】本発明に用いられるPTFE系ポリマは、
PTFEつまりテトラフルオロエチレンの重合体であっ
て、分子量は600万以上、望ましくは800万以上で
ある。また、コモノマーとして数%以下の異種モノマー
を含有する共重合体であってもさしつかえない。
【0009】このポリマのファインパウダは、前にも述
べたように、ペースト押出に好適な粒子径である0.1
μm〜0.5μmが好ましく、これは乳化重合または放
射線重合によって合成される。共重合化の結果、ペース
ト押出時のリダクション比を大きくとることが可能とな
る。本発明においては、リダクション比は600以上、
望ましくは800以上が好適である。リダクション比が
これに満たない場合は、十分な強度を実現することが不
可能である。
【0010】押出助剤は、ペースト押出に必要なPTF
Eファインパウダのルブリカントとして用いられ、従来
工業的に一般に用いられてきたもので良い。配合量は通
常15〜25%の範囲で用いられるが、これに限定され
るものではなく、リダクション比を大きくとることが必
要なので、これらの範囲より大き目が良い場合もある。
【0011】押出助剤としては一般的に炭化水素系の有
機溶剤または石油系ソルベントがあり、たとえば、アイ
ソパーE、アイソパーH、アイソパーM(いずれもエッ
ソ化学製品)、スモイルP−55(松村石油)、ケロシ
ン、ナフサ、Risella #17オイル、石油エーテル等が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、押出助剤は一種又は異なる二種以上を組み合わせて
用いられる。
【0012】材料的には以上に挙げたポリマとしてのP
TFEとペースト押出に必要な押出助剤の2種類だけで
足りるものであり、これ以外に酸化防止剤その他の添加
剤は一切不要である。
【0013】次に、これらの材料を用いてPTFEの一
軸延伸成形物をつくる成形方法について述べる。
【0014】PTFEの一軸延伸成形物の成形方法は、
下記の7工程から成る。
【0015】1.PTFEファインパウダのふるい 2.PTFEファインパウダ及び押出助剤の配合 3.混合・分散・含浸・ふるい 4.プレフォーム(ビレット成形) 5.ペースト押出 6.熱処理及び冷却 7.超延伸及び冷却 これらの7工程の内、4のビレット成形工程までは一般
に行われているPTFEファインパウダのペースト押出
工程の内容とほとんど同一なものと考えてよい。PTF
Eの一軸延伸成形物をつくる上に必要なPTFE分子の
分子配列の微細構造制御にとって最も重要で本発明の要
点であるのは、後半の3工程、つまり、5.ペースト押
出、6.熱処理及び冷却、7.超延伸及び冷却である。
【0016】以下、工程の順を追ってその内容について
述べる。
【0017】1.PTFEファインパウダのふるい PTFEファインパウダは固有の粘着性を有しているた
めに、輸送及び保管中に振動や自重による力を受けて、
粉末のかたまりを形成し易い。これは取り扱いにくい上
押出助剤による均一な含浸を困難にする。また、この固
まりを機械的にほぐそうとして何らかの力を加えると、
ファインパウダはこの時の剪断力によって容易に繊維化
し、押出成形に悪影響を及ぼす。以上のことから、PT
FEファインパウダに対して、押出助剤を配合する前に
ファインパウダをできるだけ細かいさらさらとした状態
にすることが、きわめて重要である。この目的のため
に、8メッシュもしくは10メッシュのそれぞれ2.0
mmあるいは1.7mmの孔を有するふるいを通過させる必
要がある。さらに、このポリマのふるい秤量は、PTF
Eの室温転移点(約19℃)以下に調温された部屋で行
うことが望ましい。
【0018】2.PTFEファインパウダ及び押出助剤
の配合 ふるいを通した必要量のポリマと押出助剤を密栓付の十
分な容量の乾燥広口ビンに入れる。混合を良好に行うた
めには、容器容積の1/3〜2/3の空間をつくるよう
にする。配合終了後、ただちに容器を気密シールして、
押出助剤の揮散を防止する。
【0019】3.混合・分散・含浸・ふるい 配合が完了し、密栓した容器を、押出助剤が分散するよ
うに軽く振とう後、回転架台に載せて容器を20m/分
以下の適当な速度で約30分間回転させて、混合・分散
させる。回転速度は混合・分散に十分なものであって、
剪断力によるファインパウダの繊維化を生じる程強いも
のであってはならない。この後、押出助剤がファインパ
ウダの二次粒子に十分含浸・浸透して、一次粒子の表面
が押出助剤によって濡れるように室温で6時間から24
時間静置する。この後、適当サイズのふるいを通して、
混合によって生じたかたまりを除去する。
【0020】4.プレフォーム(ビレット成形) この工程には適当なプレフォームの装置が必要である。
このプレフォーム装置のシリンダーに、前工程によって
できた湿潤PTFEファインパウダを投入し、ラムで圧
縮してビレットを成形する。圧縮に用いられる圧力は、
シリンダーの大きさに対応して、1kg/cm〜10kg/cm
が必要で、数分間の保持が必要である。プレフォームに
よってビレットを成形したら、押出助剤の飛散防止のた
めに、できるだけ早急にペースト押出に供する必要があ
る。そのペースト押出の際、ビレットが、PTFE系ポ
リマのファインパウダを押出助剤によって湿潤処理し、
この湿潤パウダを圧縮して形成されているため、ビレッ
トからモノフィラメントへのペースト押出が容易であ
り、モノフィラメントの成形が容易に行える。
【0021】5.ペースト押出 PTFEファインパウダのペースト押出の温度条件は、
PTFEの結晶構造の温度変化と密接に関係する。一般
に知られているように、19℃以下ではPTFEは三斜晶
系であり、この結晶構造は変形抵抗性が大きく、PTF
Eの融点よりかなり低い温度での塑性加工には不適であ
る。19℃以上ではPTFEの結晶構造は六方晶系をと
り、温度がそれより上昇するに従って、結晶の長軸に沿
って、不規則部分が増加するために、結晶弾性が減少し
て塑性変形性が増加する。
【0022】これらの事実から、PTFEファインパウ
ダのペースト押出の温度条件は30℃以上が望ましい
が、経験的には40℃から60℃の範囲が好適である。
【0023】さらに、ペースト押出が十分効率よく行わ
れるためには、ビレットが所定の温度に十分状態調節さ
れる前にビレットに力をかけないことが重要である。こ
れが守られないと、ビレットの分量の無視できない部分
が、正規に押出されないままにシリンダー内に残留して
歩留りを悪くするか、仮に無理して押出された場合に
は、この成形物について正規の厳密な熱処理を行っても
超延伸に支障を来すことになる。
【0024】更に重要なのは、リダクション比(Reduct
ion Ratio 、以下「RR」という。)である。RRは、
押出機のシリンダー断面積とダイの断面積の比であり、
一般のペースト押出の場合も重要であるが、PTFEの
一軸延伸成形物の製造には特別の重要性を有するもので
ある。
【0025】すなわち、ポリマの高強度化の本質は、ポ
リマ分子を主鎖を構成する原子間の結合角および各々の
結合に対する回転角の可能な範囲内で伸長し、その極限
的に伸長した分子鎖を軸の方向に極限的に配列させるこ
とである。
【0026】この微細構造制御を達成する方法は、ポリ
マの分子鎖が屈曲鎖であるか、剛直鎖であるかによって
異なる。PTFEはポリエチレンと同様に屈曲鎖型のポ
リマに分類されるが、よく知られているようにPTFE
分子は螺旋構造を有している棒状分子であるために、ポ
リエチレンとは異なり、かなり剛直鎖型のポリマとして
の挙動を実際に示すことが、本発明の検討結果分ってき
た。つまり、PTFEは屈曲鎖型と剛直鎖型との中間に
位置するポリマであるといえる。従って、PTFEはポ
リエチレンと同様に屈曲鎖型のポリマでもあることか
ら、その高強度一軸延伸成形物の製造に必要な微細構造
制御のためには超延伸工程を必要とする。PTFEファ
インパウダの延伸は、事実上ペースト押出工程から始ま
る。その実質的な延伸率λは、ペースト押出成形物をそ
の端末を束縛しない状態で、つまり、伸縮自由な状態で
熱処理(Free End Anneal ;以下「FEA」という。)
した後、延伸器付恒温槽中で超延伸する時の延伸率をλ
とする時、λ=RR×λとなる筈であるが、リダクショ
と超延伸との間には熱処理工程があり、この時成形物は
収縮するので、この式は定性的には正しく、RRとλの
反比例関係を説明できるが、定量的には正しくない。
【0027】PTFEの一軸延伸成形物に必要な実質的
な延伸比λは、PTFEの分子量が一定の場合には一定
であるから、特定のPTFEに関する超延伸における延
伸比λは、PTFE成形物のRRが大きくなれば、上の
式に従って減少することになる。これがPTFEファイ
ンパウダの高強度化における重要な考え方のひとつであ
る。
【0028】リダクション比の考え方について重要なこ
とは、実質的な延伸率λが同じでも、リダクション比が
異なれば、最終的に同一の配列構造が得られないことで
ある。PTFEの高強度化を達成するためには、できる
限り、まずRRの大きなPTFE成形物を得ることが必
要である。この結果として、超延伸における延伸比は低
下しても強度はむしろ向上し、安定化する。
【0029】この理由は今のところ十分解明されていな
いが、本発明におけるFEA(自由端熱処理)条件の範
囲ではRRが大きい程、FEA後でもPTFEの配向構
造はより多く残存しており、この工程に続く超延伸によ
るPTFE分子の極限的配列に有利に作用しているもの
と考えられる。しかし、熱処理が本発明より強力な条
件、たとえば450℃以上の高温、または370℃×2
時間以上の焼結が行われるとこの配向構造は消失してし
まう。以上のことから、RRは少なくとも600以上、
望ましくは800以上必要である。
【0030】ダイスの構造も一般のPTFEのペースト
押出用で良い。つまり、テーパ角は30°〜60°、ラ
ンドはネジレやキンクの生じない程度に長目にする。
【0031】6.熱処理及び冷却 PTFEの一軸延伸にとって、熱処理条件は最も重要で
ある。なぜなら、PTFEの超延伸を可能にし、PTF
Eの一軸延伸成形物としての1GPa以上の強度をもた
らし、長手方向における強度の均一安定化を保証できる
か否かを決定するのは、この熱処理条件だからである。
ある意味ではPTFEの超延伸は容易であるが、熱処理
条件が不適当であると、超延伸は可能であるが強度が出
ない、あるいは長手方向で強度が安定して出ないという
結果になる場合が多い。熱処理とは厳密には、熱処理温
度と時間、そして冷却速度および冷却速度を一定にコン
トロールする温度範囲を明確に規定する必要がある。P
TFEの一軸延伸には、まさにこのような厳密な熱処理
条件が必要である。しかも、それらだけ厳密に規定して
も実は十分ではない。PTFEの一軸延伸に必要な熱処
理とは、PTFEのモノフィラメントが力学的にどのよ
うな状態で熱処理されなくてはならないかを要求する。
【0032】つまり、PTFEの一軸延伸に必要なモノ
フィラメントの熱処理における力学的状態とは、モノフ
ィラメントを力学的に自由にすることである。これを本
明細書では先にも述べたようにFEAとした。当然のこ
とながら、FEAはモノフィラメントの熱処理時での伸
縮を妨げない。FEAとは正反対にモノフィラメントの
両端を完全に固定してたるみなしで熱処理してみると、
このモノフィラメントはほとんど延伸できないことが分
る。従って、熱処理時におけるモノフィラメントの両端
末での束縛応力または部分的応力に対応して、延伸比は
低下してしまうことになる。しかし、熱処理時に両端を
固定しても20%程度以上のたるみ(余長)をつけて熱
処理時の熱収縮によってモノフィラメントに力がかから
ないようすれば、これは実質的にFEAと考えることが
できる。工業的製法を考える場合、この考えは重要なも
のとなる。
【0033】熱処理温度及び時間については、350
℃、30分が最低に必要なレベルである。350℃、2
0分では十分な焼結が行われることが困難である。望ま
しくは350℃以上で1.5時間が必要である。370
℃で2時間以上あるいは450℃以上は、熱処理した冷
却後に配向構造を残さないので不適なレベルである。以
上に述べたFEAがPTFEの一軸延伸成形物に必要な
PTFE分子の極限的配向をもたらすところの超延伸を
可能にする。
【0034】最後に、上に述べた特定の温度と時間につ
いて行われたPTFEの熱処理が終了した後の冷却条件
について述べる。
【0035】この冷却速度の重要性は、先にも述べた
が、その理由は冷却速度が熱処理したPTFEの結晶化
度を決定するためである。結晶化度が高い程、次の超延
伸工程でつくられるPTFE一軸延伸成形物の強度を高
めると共に、成形物の長手方向の欠陥を減少させ、強度
のバラツキを驚く程小さくする。本発明においては、結
晶化度を高くするため、熱処理温度からPTFEの結晶
融点よりも低くなる温度範囲においては、10℃/分以
下の冷却速度で徐冷を行って結晶化させている。
【0036】しかし、結晶化度が最大であればよいとい
うわけではなく、熱処理によって得られる分子配向( リ
ダクション比とたるみの程度による)と結晶化度(冷却
速度による)とのバランスによって決定されるある最適
範囲があり、これが超延伸での有効な分子配向及び一軸
成形品の高い強度を決定するものと考えられる。
【0037】結晶性ポリマの場合は、特に、融点以上の
温度での熱処理の後の冷却速度によって結晶化度が左右
されることは、一般的に知られている。しかし、その結
果としての結晶化度が、再び融点以上で行われる次の工
程(超延伸)の結果まで左右する例は、ポリマの場合珍
しいことである。
【0038】7.超延伸及び冷却 ペースト押出し後のPTFE成形品を延伸するには実験
室的に延伸器付恒温槽が必要である。
【0039】PTFEの超延伸を達成するには、延伸条
件が熱処理条件と同様に厳密に管理される必要があり、
そのためには延伸装置があるレベル以上の能力を持つ必
要がある。
【0040】この延伸装置は、PTFEモノフィラメン
トを延伸器のチャック間にセットし、しかる後に延伸器
を恒温槽内に挿入し、槽内が規定温度になったら、外部
から操作して所定の延伸比を所定の延伸速度で延伸し、
延伸が終了したら、ただちにチャック及びサンプルを室
温の外部に出すことのできる延伸器付恒温槽であって、
チャック間に保持されたPTFEモノフィラメント近傍
の温度を指示するように熱電対が位置づけられ、その温
度は±1℃以内、望ましくは±0.5℃以内にコントロ
ールできるものでなければならない。また、延伸器につ
いては、延伸速度が最低で50mm/秒必要であり、望ま
しくはその10倍の500mm/秒まで出ることが好適で
ある。
【0041】さて、FEAモノフィラメントを延伸器の
チャックに、モノフィラメント軸が延伸方向と正しく平
行になるようにはさみ、一定温度に保持された恒温槽に
挿入し、サンプルの温度をその所定温度に状態調節す
る。
【0042】一般的にいって、延伸器自体の熱容量の方
が、FEAモノフィラメントより大きいので、延伸器の
挿入による温度降下の回復にはある程度の時間を要する
が、FEAモノフィラメント付近の温度が所定温度に復
帰してから約5分間状態調節することが必要である。
【0043】次に述べる延伸温度は、超延伸の条件の中
で最も重要なものである。一般的には360℃以上であ
るが、最も好適なのは387〜388℃とごく狭い領域
である。この理由は今のところ解明できていないが、超
延伸によって形成されたPTFE一軸延伸成形物の微細
構造の熱的安定性の差のためであろうと本発明者は推定
している。
【0044】延伸速度については、装置の性能的制約が
あり、上限は明らかではないが、一般的には速い方が良
く、最低でも50mm/秒のレベルが必要である。限界延
伸比は熱処理条件、とりわけ冷却条件:冷却速度及び冷
却速度一定でコントロールする温度範囲、によってきま
るが、その限界延伸まで超延伸しないと弾性率、強度共
によい結果は得られない。これは超高分子量ポリエチレ
ンの超延伸の場合の100〜300倍のレベルと比較す
ると低いレベルである。これはPTFE分子が屈曲鎖と
剛直鎖の中間のタイプに属する高分子であるためと考え
られる。むろん、PTFEの場合のペースト押出工程に
おけるリダクション比RRを、考慮に入れれば、その実
質的延伸比はポリエチレンと同等か、それ以上となる。
【0045】超延伸の条件として最後に重要なことは、
延伸終了後直ちに恒温槽から取り出して冷却することで
ある。この冷却条件は空冷でもよいが、もっとクエンチ
に近い条件の方が望ましい。超延伸の終了直後、得られ
た一軸延伸成形物をまだ十分高温にある延伸器と接触さ
せてはならない。もし接触すると直ちに分子配向は戻っ
てしまい、強度は著しく低下してしまう。
【0046】したがって、PTFEのビレットをリダク
ション比600以上でペースト押出してなる成形物を伸
縮が自由な状態で熱処理した後徐冷し、その後、これを
50mm/秒以上の延伸速度で100倍以上延伸すること
で、分子鎖が延伸軸方向に配列されたPTFEの一軸延
伸成形物を製造することが可能となり、この分子鎖の配
列が1GPa以上の強度をもたらす作用をなす。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳述する。
【0048】(実施例1)ポリフロンTFE F−10
4(ダイキン工業製PTFEファインパウダ)を、ま
ず、4メッシュふるいにかけ、さらに8.6メッシュ及
び16メッシュふるいにかけた後、ルブリカントとして
アイソパーM(エッソ化学製品、比重0.781)を2
5重量%配合後、密栓して回転架台にかけ容器を周方向
に20m/分の速度で30分間回転させて混合を行う。
その後、密栓状態のまま室温で24時間静置後、この湿
潤PTFEをラム押出機にかけて押出温度60℃でもっ
てリダクション比800のダイスを用いて厚さ0.4m
m、幅5mmのテープに押出した。このテープをたるみ2
5%をつけて両端を固定した状態で350℃で1時間加
熱処理した後、10℃/分の冷却速度で275℃まで冷
却してから室温まで急冷した。
【0049】この焼成テープを388℃で5分間予熱
後、同温度下、延伸速度50mm/秒で100倍及び12
5倍延伸後ただちに室温まで急冷した。
【0050】この延伸テープの引張破断強度を測定した
ところ(室温、引張速度20mm/分)、100倍延伸で
1.9GPa、125倍延伸で2.1Gpaを示した。
【0051】( 実施例2)リダクション比を600とし
た以外は実施例1と同様にして厚さ0.52mm、幅5mm
のテープを製造し、実施例1と同じ条件で加熱処理した
後、同様に延伸し、急冷した。
【0052】この延伸テープの引張破断強度を測定した
ところ(室温、引張速度20mm/分)、100倍延伸で
0.56GPa、125倍延伸で1.1Gpaを示し
た。
【0053】( 実施例3)リダクション比を600とし
た以外は実施例1と同様にして厚さ0.52mm、幅5mm
のテープを製造した。この場合、押出時に厚さが約5%
減少するように引落しをかけながら(テープに前方張力
をかけながら)押出した。実施例1と同じ条件で加熱処
理した後、同様に延伸し、急冷した。
【0054】この延伸テープの引張破断強度を測定した
ところ(室温、引張速度20mm/分)、100倍延伸で
0.85GPa、125倍延伸で1.53Gpaを示し
た。 (実施例4)実施例1と同様にして得た湿潤PTFEを
リダクション比600でもってペースト押出し後、ロー
ル圧延して厚さ0.1mmのフィルムを得、これを長さ方
向に連続的にスリットして幅5mmのテープ状にした。
【0055】これを実施例1と同じ条件で加熱処理した
後、同様にして125倍延伸し、急冷した。
【0056】この延伸テープの引張破断強度を測定した
ところ(室温、引張速度20mm/分)、1.3Gpaを
示した。
【0057】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、1GPa
以上の引張破断強度を有するPTFEの一軸延伸成形物
が得られるという優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 B29L 7:00 (56)参考文献 特開 平5−279506(JP,A) 特開 平7−216102(JP,A) 特開 平8−49112(JP,A) 特開 平3−174452(JP,A) 特開 平3−221541(JP,A) 特開 昭56−24431(JP,A) 特開 昭53−55379(JP,A) 特開 昭58−145735(JP,A) 特開 昭51−19069(JP,A) 特開 昭64−78823(JP,A) 特開 平2−286220(JP,A) 特開 平4−154842(JP,A) 特開 平4−351644(JP,A) 特開 平8−132521(JP,A) 特開 平1−247432(JP,A) 特開 昭61−141529(JP,A) 特開 昭61−61827(JP,A) 特開 昭58−219025(JP,A) 特開 昭58−191127(JP,A) 特開 昭48−52863(JP,A) 特開 昭64−1711(JP,A) 特開 昭59−109506(JP,A) 特開 平1−232013(JP,A) 特開 昭57−102324(JP,A) 特開 昭58−7334(JP,A) 特開 昭61−57328(JP,A) 特開 昭61−144333(JP,A) 特公 昭51−3353(JP,B1) 特表 平8−505430(JP,A) 米国特許2790999(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 55/00 - 55/30 B29C 35/00 - 35/18 B29C 47/00 - 47/96 B29C 71/00 - 71/04 C08J 5/18 C08F 14/00 - 14/28 C08F 114/00 - 114/28 C08F 214/00 - 214/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量600万以上のポリテトラフルオロ
    エチレンのファインパウダーを含むビレットをリダクシ
    ョン比600以上でペースト押出ししてなる成形物を、
    伸縮が自由な状態でポリテトラフルオロエチレンの結晶
    融点以上の温度で熱処理した後ポリテトラフルオロエチ
    レンの結晶融点よりも低い温度となるまで10℃/分以
    下の冷却速度で徐冷を行って結晶化させ、続いてポリテ
    トラフルオロエチレンの結晶融点以上の温度に加熱して
    結晶を融解させて後、50mm/秒以上の延伸速度で10
    0倍以上延伸し、急冷して得られることを特徴とするポ
    リテトラフルオロエチレンの一軸延伸成形物。
  2. 【請求項2】分子量600万以上のポリテトラフルオロ
    エチレンのファインパウダーを含むビレットをリダクシ
    ョン比600以上でペースト押出ししてなる成形物を、
    伸縮が自由な状態でポリテトラフルオロエチレンの結晶
    融点以上の温度で熱処理した後ポリテトラフルオロエチ
    レンの結晶融点よりも低い温度となるまで10℃/分以
    下の冷却速度で徐冷を行って結晶化させ、続いてポリテ
    トラフルオロエチレンの結晶融点以上の温度に加熱して
    結晶を融解させて後、50mm/秒以上の延伸速度で10
    0倍以上延伸し、急冷することを特徴とするポリテトラ
    フルオロエチレンの一軸延伸成形物の製造方法
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