JPH0625434A - 架橋ポリエチレン成形物 - Google Patents

架橋ポリエチレン成形物

Info

Publication number
JPH0625434A
JPH0625434A JP4185705A JP18570592A JPH0625434A JP H0625434 A JPH0625434 A JP H0625434A JP 4185705 A JP4185705 A JP 4185705A JP 18570592 A JP18570592 A JP 18570592A JP H0625434 A JPH0625434 A JP H0625434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyethylene
gel
cross
molding
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4185705A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08855B2 (ja
Inventor
Masaru Matsuo
勝 松生
Chie Sawato
千枝 沢渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP60134355A priority Critical patent/JPH0668030B2/ja
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP4185705A priority patent/JPH08855B2/ja
Publication of JPH0625434A publication Critical patent/JPH0625434A/ja
Publication of JPH08855B2 publication Critical patent/JPH08855B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物を提
供すること。 【構成】 180℃以上の測定温度で六方晶系結晶部を
有する架橋ポリエチレン成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性の改良されたポ
リエチレン成形物の製法に関する。また本発明は、耐熱
性が改良され、かつ高弾性率を有する延伸されたポリエ
チレン成形物の製法に関し、中でも本発明は分子鎖が高
度に配向したポリエチレンで、分子鎖の配向方向の弾性
率が金属のスズと同程度以上であるが、横方向にも簡単
に手で引き裂かれることがなく、かつ230℃近くでも
0.5GPa以上の弾性率を保有するフイルム及びフィ
ラメントを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ポリエチレンの架橋については、γ
線照射や電子線照射による物理的方法と、架橋剤と反応
させる化学的方法とがある。前者の物理的方法は未延伸
ポリエチレンについてはきわめて効果的であるが、配向
したポリエチレン、特に延伸倍率が50倍を越すものに
ついては、架橋よりもむしろ主鎖の切断が優先した、例
えば100Mrad電子線照射すると配向ポリエチレン
は手で切断が可能なほど劣化が生じた。
【0003】[文献名 Dynamic Mechan
ical Behavior ofUltradraw
n Polyethylene Films Prod
uced by Gelation/Crystall
ization fromsolution Chie
Sawatari and Masaru Mats
uo, Colloid & Polymer Sci
ence in press]後者の化学的方法を用い
てポリエチレン繊維の架橋する方法は最近ペニングス教
授らにより開発された。
【0004】[ジェー・デボア、エイチジェー・ファン
デンベルグ及びエイ・ジェー・ペニングス、ポリマー第
25巻513〜519ページ(1984年)J.deB
oer、H.−J.van den Berg and
A.J.Pennings;POLYMER Vol
25 P.513〜519(1984)]の方法は架
橋剤であるジクミルペルオキシドをノルマルヘキサンに
溶解し(溶液濃度30%まで)、50℃に保ってポリエ
チレン繊維を6時間浸漬し、その後窒素中で熱処理して
架橋を進行させた。この方法により彼等は200℃近く
まで熱処理した試料を再び冷却して常温で力学試験を行
うと、14GPaの弾性率の値を保持していると報告し
ている。しかしこの方法は架橋剤がポリエチレン繊維中
に充分はいりこんでいないため、高温での力学測定は困
難であり、195℃で0.4 N近くの荷重下で試料が
溶融破壊しないということにすぎない。この方法は我々
の追試によって確認され、浸漬時間を2週間にしても大
きな差はみられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、耐熱性の
改良されたポリエチレン成形品を効率よく製造すること
を目的とし、中でも耐熱性が改良され、かつ高度に配向
されたポリエチレン成形物を効率よく製造することを目
的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段及び作用】すなわち本発
明は、ポリエチレン及び該ポリエチレンに対する溶媒か
ら成るゲル状物に、成形温度に於て架橋し得るペルオキ
シド系架橋剤を含浸させ、得られた含浸処理したゲル状
物を加熱および/または加圧下に成形処理することを特
徴とするポリエチレン成形物の製法に関する。
【0007】本発明で使用されるポリエチレンは、各用
途に応じて適宜選ぶことができる。中でも高分子量のポ
リエチレンを用いることが望ましく高強度、高弾性率の
成形品を得るためには、その分子量(粘度平均分子量)
が約60万以上であることが望ましく、さらに約80万
ないし約100万であることが望ましい。
【0008】またポリエチレンのゲル状物を構成する溶
媒としては、特に制限はないが、常温で液体の溶媒がと
くに望ましく、ディカリンを好適例としてあげることが
できる。
【0009】ポリエチレン及び該ポリエチレンに対する
溶媒から成るゲル状物を調製する方法としては、ポール
・スミス及びピー・ジェー・レムストラ;ジャーナル・
オブ・マテリアル・サイエンス第15巻505〜514
ページ(1980年)[Paul Smith and
P.J.Lemstra;Journal ofMa
terial Science,Vol 15 P.5
05〜514(1980)]及びポール・スミス、ピー
・ジェー・レムストラ及びエイチ・シー・ブーイヒ;ジ
ャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス;ポリマーフィ
ジックス・エディション第19巻877〜888ページ
(1981年)[Paul.Smith,P.J.Le
mstra and H.C.Booij;Journ
alof Polymer Science,Poly
mer Physics Edition, Vol.
9 P.877〜888(1981)]に示されている
如く、ポリエチレンのパウダーを加熱溶媒に溶解し、こ
れを冷却、例えば急冷する方法がある。
【0010】ゲル状物の調製は、不活性ガス例えば窒素
雰囲気下で行うことが望ましい。また、高分子量のポリ
エチレンの場合はディカリンがゲル作成に最も好まし
い。
【0011】ゲル状物を構成する溶媒としてディカリン
を用い、かつ高分子量のポリエチレンを用いる場合は、
ポリエチレン溶液の濃度は0.3g/100ml〜10
g/100mlが好ましいが、特に0.5g/100m
l〜1g/100mlが好ましい。作成されたゲルはデ
ィカリンを大量に含んでいるので乾燥及び圧縮にて、デ
ィカリンを通常2/3以上追い出して、本発明の原料と
して使用される。
【0012】すなわち本発明に使用されるゲル状物中の
ポリエチレンと溶媒の割合は、通常ポリエチレン0.7
ないし90重量部および溶媒99.3ないし10重量部
(合計100重量部)からなる。
【0013】ゲル状物にペルオキシド系架橋剤を含浸さ
せる際には、該ペルオキシド系架橋剤に対する溶媒の存
在下に行うことが望ましく、例えば該ペルオキシド系架
橋剤とその溶剤からなる溶液を流し込んで含浸させるこ
とにより、ペルオキシド系架橋剤を未反応のままゲル状
物中に充分浸み込ませることが望ましい。
【0014】架橋剤の溶媒は、一応、架橋剤が溶ける溶
媒であれば良いが、しかし架橋剤の溶媒はポリエチレン
の溶媒と同一であることが最も好ましい。
【0015】使用されるペルオキシド架橋剤は、成形温
度に於て架橋し得るものであればよく、用途に応じて適
宜選択される。ペルオキシド系架橋剤としては例えばベ
ンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシ
ド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペル
オキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシ
ベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert
−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイ
ルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペル
オキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−
ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニ
ルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、
tert−ブチルペル−sec−オクトエート、クミル
ペルピバレートおよびtert−ブチルペルジェチルア
セテートなどがある。
【0016】ペルオキシド系架橋剤による架橋処理を主
として延伸処理において行う場合は、該架橋剤として、
約130℃ないし約170℃の温度範囲で架橋反応が顕
著に生じるものが望ましく、とくにジクミルペルオキシ
ドが好適である。
【0017】架橋剤とポリエチレンに充分浸み込んだと
思われる時点で架橋剤がポリエチレンを圧縮して溶媒を
とり除く。この時、架橋剤の濃度が高いと、圧縮時に溶
媒とともに架橋剤が流出しても、ポリエチレンを架橋す
るのに充分な架橋剤がポリエチレンに含まれている。一
方、架橋剤の量が少い場合は、架橋剤を注入したゲルを
架橋剤が架橋反応を実質上起こさない温度範囲に於て、
例えば50℃付近で乾燥してやる必要がある。乾燥温度
が高いと溶媒の蒸発効果は大きいが、しかし架橋剤が溶
媒と反応したりあるいは未配向状態のポリエチレン鎖を
架橋する可能性があるので、温度が高すぎると好ましく
ない。
【0018】含浸処理したゲル状物から成形する方法と
しては以下の方法が例示される。
【0019】A)含浸処理されたゲル状物を加熱押出成
形により成形物とし、引き続き140℃ないし160℃
の温度で延伸処理すると共に、該延伸処理に於て、ゲル
状物中の溶媒の除去、分子の配向及び架橋処理を行う方
法。加熱押出成形された成形物は、延伸処理前にいった
ん巻き取り、冷却させることも可能であるが、連続して
延伸処理することもできる。またこれらの成形は不活性
ガス例えば窒素等の雰囲気下で行うことが望ましい。ま
た、含浸処理されたゲル状物を直接140℃ないし16
0℃の温度で延伸処理すると共に、架橋処理することも
採用することができる。
【0020】B)含浸処理されたゲル状物を乾燥させた
後、該ゲル状物を加熱押出成形により成形物とし、引き
続き140℃ないし160℃の温度で延伸処理すると共
に、架橋処理を行う方法。この方法は、松生勝;日本レ
オロジー学会誌第13巻4〜15ページ(1985年)
に開示された方法を利用するものである。すなわちこの
方法の好ましい態様によれば架橋剤ポリエチレンゲルに
充分浸み込んだと考えられる段階で溶剤を圧縮あるいは
乾燥によって取り除きほぼ乾燥したゲルをノズルから1
40〜160℃の温度範囲で押し出す。
【0021】ノズルから押し出された試料は、140〜
160℃の不活性ガス雰囲気を通って巻き取られる。こ
の工程で分子の配向と分子間の架橋を同時に進行させ
る。また、含浸処理されたゲル状物から、溶媒をほとん
ど除去し、例えば溶媒の含有率を10重量%以下とした
後、直接140℃ないし160℃の温度で延伸処理する
と共に、架橋処理することも採用することができる。
【0022】50%程度好ましくは90%程度のディカ
リンの回収は機械力によるため、この作業にはエネルギ
ーをほとんど必要とせず、極めて低コストで行える。さ
らに溶媒を乾燥させる必要がある。しかし乾燥ゲル状物
中に極く少量のディカリンが存在することは、超延伸の
際ディカリンが可塑剤として働き、延伸をスムーズにす
るのに役立っているように思える。またディカリンを少
量含むゲル状物は、結晶ラメラがくずれない程度に、例
えば140℃程度に加熱し(この温度は分子量によって
多少変化するが、この温度をDSC曲線の融点ピークの
立ち上りに設定するとよい)ノズルから押出せばよい。
この時、ノズルの口径は、溶融紡糸の条件よりも大きな
ものでなければならない。したがって、繊維の場合細い
繊維の生産を期待しすぎて口径を小さくしすぎると、加
熱ゲルは粘度が高いため、押し出しに極度に大きい圧力
が必要になるきらいがある。溶融紡糸の条件よりも大き
な口径で、140℃前後の不活性ガス、例えば窒素の槽
に押し出された繊維に、更に張力を加えて延伸すると延
伸過程において折り畳み結晶が繊維状結晶に移転し、細
い繊維となることが考えられる。
【0023】C)含浸処理されたゲル物を固相押出成形
処理または圧縮成形処理する方法。これらの方法に於
て、架橋処理は、これらの成形処理と同時の場合、また
これらの成形処理に引き続いて成形時に溶媒の除去され
た成形品を加熱する場合がある。またこれら成形品を加
熱して架橋処理する際には、必要に応じて同時に延伸処
理することもできる。これらの処理は不活性ガス、例え
ば窒素ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0024】未配向架橋ポリエチレン成形物を製造する
際には、ほぼ乾燥した架橋剤の混入したポリエチレンを
鋳型に入れて圧縮成形し、鋳型とも加熱して架橋反応を
おこさせると、ほとんど非晶性の架橋ポリエチレン成形
物が得られ、耐熱性のよい成形物となる。これらの成形
物からは必要に応じて、架橋反応に寄与しなかった架橋
剤等を抽出等の方法で除去することも行われる。この態
様ではとくに薄手あるいは細手の成形品が好適に成形さ
れる。
【0025】以上A)〜C)の方法において延伸処理も
併用する場合は、延伸倍率は用途に応じて変えることが
でき、延伸温度としては、とくに140℃ないし160
℃の範囲が望ましく、高倍率の延伸が可能である。
【0026】本発明の製法で成形された延伸成形物は、
分子が配向し、かつ架橋処理がされた成形物であり、こ
れら延伸成形物、例えば延伸されたフイラメントやフイ
ルムは再び150〜160℃前後で熱処理すると未だ未
架橋な架橋剤が架橋に関与し、さらに優れた熱的性質を
もつ試料となる
【0027】
【実施例】次に本発明に関する実施例を項目にわけ詳細
に説明する。
【0028】i)試料作成に必要な溶解濃度 一般に分子量約600万のポリエチレンをディカリンで
溶解し、アルミニウム枠に流し込んでゲル化し、乾燥後
延伸する場合、溶液濃度は0.4g/100mlが最適
で最大延伸倍率は300倍に達した。しかしこの実験は
酸化防止剤(2・6−ジ−t−ブチル−Pクレゾール)
0.1%を加えて窒素下で約30分間135℃で溶解し
た場合である。しかし本発明では架橋剤ジクミルパーオ
キシド(DCP)を混入するので、架橋剤を酸化防止剤
との反応を防ぐため、酸化防止剤の混入なしにポリエチ
レンの溶解を行わなくてはならない。しかし酸化防止剤
が存在しない場合は135℃で溶解すると、分子量の低
下が粘度実験で認められたので、溶解濃度は0.4g/
100mlから0.5g/100mlにあげ、分子量の
低下によるからみ合いの効果の低下を防ぐことにつとめ
た。
【0029】ii)試料作成の条件設定 まず、試料作成の最適条件を見いだすために次の3通り
の方法を試みた。
【0030】方法1. ポリエチレンをディカリン15
00mlに150℃で約30分間溶解し、0.5g/1
00mlの溶液を作成し、これをアルミニウム枠に流し
込んで空冷しゲル化した。常温で乾燥させ、ゲルの体積
が30〜35%減じた時点でDCPを溶解したディカリ
ン300mlを注ぎ込み、50℃で乾燥させて、乾燥ゲ
ルフイルムを作成した。
【0031】方法2. ポリエチレンをディカリン15
00mlに150℃で約30分間溶解し、0.5g/1
00mlの溶液を作成した。一方DCPを50℃で溶解
させたディカリン300mlをつくっておき、同時にア
ルミニウム枠に流し込み、冷却後再びアルミニウム枠を
50℃に保ち、ディカリンを蒸発させて乾燥ゲルフイル
ムを得た。
【0032】方法3. ポリエチレン、DCPをディカ
リンに150℃で溶解し、得られた溶液をアルミニウム
枠に流し込んだ。ゲル作成後、アルミニウム枠を50℃
に保って、ディカリンを蒸発させ、乾燥ゲルフイルムを
作成した。
【0033】図1はA)架橋剤なし、B)方法1 C)
方法2 D)方法3により作成した試料に、膜面に平行
にX線を入射した場合の小角散乱及び広角回折図形であ
る。A)の架橋剤が混入されていない場合とD)の方法
による場合は、小角散乱及び広角回折図形ともきわめ
て類似の図形となり、ポリエチレンとDCPをディカリ
ン中で溶解させると、架橋剤が加熱溶解中にディカリン
と反応してしまい、ポリエチレンと架橋する度合はきわ
めて小さいことがかわった。C)の方法2による場合
は、広角回折図形にわずかに非晶ハローがあらわれ、す
でにポリエチレンの非晶鎖セグメントの架橋がみられる
が、この様な場合延伸がきわめて困難である。B)の
法1による場合は、広角回折図形に架橋剤からの回折リ
ングがみられ、また小角散乱像の散乱極大も散乱中に近
づき、ラメラ間の長周期の増加がみられる。これはあき
らかにラメラ間隔に架橋剤が入り込んでその距離をひろ
げたものと考えられる。以上のことより、方法1が架橋
剤の効能をそこねずポリエチレンゲルフイルムの中で混
入しえる最も良好な方法であることがわかった。なおD
CPの量は極端な条件として、重量にして、ポリエチレ
ンの2倍の量を混入した。
【0034】図2は図1に示した4種類のポリエチレン
乾燥ゲルフイルムを窒素中で約10時間熱処理した場合
のX線回折図形である。X線は膜面に平行に入射した。
熱処理温度は125、135及び145℃の3種類とし
た。D)の場合は架橋剤がないA)の場合と同様の像を
とり、熱処理による架橋効果があらわれず、方法3では
良好な架橋ポリエチレンが得られないことがわかった。
C)の場合すなわち方法2では熱処理により非晶ハロー
があらわれて架橋効果が見い出されるが、B)の場合、
すなわち方法1よりもその効果は顕著でなかった。
【0035】従って、以上の結果から、方法1)が最も
優れていることがわかった。そこで以下、方法1)によ
って得られた試料についてのみ検討を加えていく。
【0036】iii)架橋のための熱処理温度の決定 図3は方法1によって得た試料を、125、135及び
145℃で、それぞれ10時間窒素中で熱処理し、得ら
れた熱処理ゲルフイルムを示差走査型熱量計(DSC)
により融解挙動を検討したものである。熱処理温度が1
35℃以上では結晶の融解ピークはみられず、ほぼ非晶
化されることが判明した。ポリエチレン乾燥ゲルフイル
ムは通常145℃が最適延伸温度であったので、架橋剤
を含む場合でも架橋と延伸が同時に進行させるという試
みで延伸温度を145℃から165℃の範囲で試みた
が、最適温度は150〜160℃であることが判明し
た。延伸は窒素中で、行った。
【0037】図4は架橋剤を含まない場合と200%含
んだ場合についてのX線広角回折図形である。X線は試
料の膜面に垂直に入射され、延伸倍率λ=50まで行っ
た。延伸による結晶配向は、架橋剤を含まない方がやや
優れている。λ=50では、DCPの混入にもかかわら
ず、微結晶からの明確なスポットがみられた。しかし架
橋剤を混入しない場合は、横方向にきわめて弱く、簡単
にひき裂かれたが、DCPを混入した試料は横方向に引
き裂かれることはなかった。
【0038】iv)架橋ポリエチレンの力学定数の温度
依存性 図5は延伸倍率λ=50の、DCPを含まない場合とD
CPを含む試料についての複素弾性率の実部E′と虚部
E″の温度依存性を示している。なお、DCPを含む試
料については延伸後、窒素中145℃でさらに90分間
熱処理を行った。また、熱処理後、反応が終った架橋剤
をできるだけ取り除くため、50℃エタノール中で約6
時間浸漬した。E′及びE″は対数で与えた。架橋がほ
どこされていない試料については150℃付近で融解が
生じたが、架橋をほどこした試料については、145℃
で約10GPa、170℃で約1GPa、230℃で約
0.5GPaであり、230℃以上では試料は切断し
た。この結果は、超延伸された架橋ポリエチレンが常温
では強化プラスチックの値を越え、平衡融点をはるかに
越えた225℃付近でも、一般に市販されている未延伸
ポリエチレンフイルムの力学的性質にほぼ等しいことを
示しており、架橋超延伸ポリエチレンは、従来のポリエ
チレンの熱的性質では想像しえないような耐熱性を保持
していることである。
【0039】図6はtanδを示している。tanδの
値は150℃付近まで架橋しない試料も架橋した試料も
ほぼ等しいが、架橋した試料については150℃以上で
は急激な減少がみられ170℃以上でレベル・オフす
る。
【0040】v)架橋ポリエチレンが225℃付近で
も、0.5GPa以上の弾性率を保有する要因 ポリエチレンの平衡融点は145.5℃と言われてお
り、少々スーパーヒーティングの現象をおこしても、1
55℃で溶融するのが普通である。ところが架橋延伸試
料は図4に示すごとく、結晶相は存在している。もし、
架橋していない結晶部が融解しているなら、160℃以
上では力学特性は極めてよくないことが考えられるのに
本試料は225℃でも約0.5GPaの弾性率を保有し
ている。
【0041】そこで試料のX線回折図形を色々な温度に
ついて検討した。7はその結果である。これはスポット
のいずれをはっきりさせるために、赤道方向のみに着目
したものである。145℃付近までは(110)及び
(200)面の回折があらわれているがスポットが散乱
中心によってきており、特に(200)面において顕著
である。これはa軸の膨張が大きいことを物語ってい
る。160℃で(200)面のスポットが消滅しはじ
め、180℃では結晶は斜方晶系から六方晶系へ移転し
ているのが理解しえる。六方晶系に変化してからも結晶
格子は膨張しつづけ、230℃では六方晶系(100)
面からのスポットも消滅し、この温度で試料は切断し
た。
【0042】さらに斜方晶系から六方晶系への移転を確
認するために結晶(002)面についての回折強度が温
度の上昇とともにどのように劣化するかを検討した。図
8はその結果を示している。斜方晶系の(002)面か
らの回折強度は温度上昇とともに減少し、170℃付近
で激減し、180℃ではほぼ消滅した。この現象は明ら
かに結晶が斜方晶系から六方晶系へと移転したことを物
語っている。
【0043】図9は一定ひずみ10%与えたときの応力
緩和状態を温度の関数として検討したものである。応力
は130℃付近まで一般の高分子にみられるように低下
していくが、130℃を越えると逆に上昇し、ゴム弾性
の挙動を示す。また160〜170℃付近で、応力の上
昇が緩慢になるが、この付近で結晶の移転がおこること
によるものと考えられる。以上実施例として、実験室レ
ベルでの詳細なデータを示したが、この工業化はきわめ
て容易である。すなわち高分子量ポリエチレンを溶解急
冷後、生じた生ゲルを機械的に圧縮すると容易にディカ
リンが流出し、ディカリンの含有量が100〜500%
程度のゲルになりうる。このゲルにDCPを含有したデ
ィカリンを注ぎ込み、20〜50℃で生ゲルの中にDC
Pをしみ込ませ乾燥させる。充分乾燥しきらない状態
で、150〜160℃でノズルから押し出せばよい。こ
の時の口径は溶融紡糸の条件よりも大きなものでなくて
はならない。また紡糸のかわりに、DCPを含んだポリ
エチレンを回相押し出しや、あるいは未配向の状態で成
形加工してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、X線小角散乱及びX線広角回折図形で
ある。
【図2】図2は、X線広角回折図形である。
【図3】図3は、示差走査型熱量計(DSC)による融
解曲線の図である。
【図4】図4は、X線広角回折図形である。
【図5】図5は、複素弾性率の実部E′虚部E″の温度
依存性を示す図である。
【図6】図6は、tanδの温度依存性を示す図であ
る。
【図7】図7は、X線広角回折図形の赤道方向の部分の
図である。
【図8】図8は、(002)面についてのX線回折強度
の温度依存性を示す図である。
【図9】図9は、応力緩和状態を温度の関数として示し
た図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 180℃以上の測定温度で六方晶系結晶
    部を有する架橋ポリエチレン成形物。
  2. 【請求項2】 170℃以上の温度下で複素弾性率の実
    部E′が少なくとも0.5GPaである第1項記載の架
    橋ポリエチレン成形物。
  3. 【請求項3】 架橋ポリエチレン成形物が延伸成形物で
    ある第1項もしくは第2項記載の架橋ポリエチレン成形
    物。
JP4185705A 1985-06-21 1992-06-22 架橋ポリエチレン成形物 Expired - Lifetime JPH08855B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60134355A JPH0668030B2 (ja) 1985-06-21 1985-06-21 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法
JP4185705A JPH08855B2 (ja) 1985-06-21 1992-06-22 架橋ポリエチレン成形物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60134355A JPH0668030B2 (ja) 1985-06-21 1985-06-21 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法
JP4185705A JPH08855B2 (ja) 1985-06-21 1992-06-22 架橋ポリエチレン成形物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60134355A Division JPH0668030B2 (ja) 1985-06-21 1985-06-21 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0625434A true JPH0625434A (ja) 1994-02-01
JPH08855B2 JPH08855B2 (ja) 1996-01-10

Family

ID=26468488

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60134355A Expired - Lifetime JPH0668030B2 (ja) 1985-06-21 1985-06-21 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法
JP4185705A Expired - Lifetime JPH08855B2 (ja) 1985-06-21 1992-06-22 架橋ポリエチレン成形物

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60134355A Expired - Lifetime JPH0668030B2 (ja) 1985-06-21 1985-06-21 耐熱性の改良されたポリエチレン成形物の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JPH0668030B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63265619A (ja) * 1986-12-19 1988-11-02 Toyobo Co Ltd ポリエチレン延伸フィラメントおよび延伸フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS61293229A (ja) 1986-12-24
JPH08855B2 (ja) 1996-01-10
JPH0668030B2 (ja) 1994-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Narkis et al. Structure and tensile behavior of irradiation-and peroxide-crosslinked polyethylenes
US5066755A (en) Novel irradiated polyethylene filaments tapes and films and process therefor
De Boer et al. Crosslinking of ultra-high molecular weight polyethylene in the oriented state with dicumylperoxide
Peppas et al. Differential scanning calorimetry of crystallized PVA hydrogels
JP2740187B2 (ja) 超延伸可能な重合体材料の製法、超延伸可能な材料及び該材料を用いた物品の製法
JPH06228400A (ja) 均一分散結晶フィブリルを含む強化ポリビニル・アルコール・ヒドロゲル及びその製造方法
Ikada et al. Preparation of hydrogels by radiation technique
JPH0826487B2 (ja) 高強度ポリマ−繊維
JP2001176484A (ja) 多孔質膜
JPH064274B2 (ja) 高引張強度および高モジユラスを有するポリエチレンフイルムの製造方法
JP2618866B2 (ja) 分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリエチレン成形体及びその製法
US3576933A (en) Cross-linking process
CN111234116A (zh) 一种反式聚异戊二烯-马来酸酐共聚物及热塑性高强度吸水橡胶的制备方法
EP0192303B1 (en) Process for prepapring polyolefin gel articles, as well as for preparing herefrom articles having a high tensile strength and modulus
NL9001069A (nl) Voorwerpen uit vernet geoerienteerd hoog-moleculair polyetheen.
JPH0625434A (ja) 架橋ポリエチレン成形物
Perkins et al. Effect of gamma radiation and annealing on ultra‐oriented polyethylene
US3567697A (en) Method of producing articles of cross-linked polyethylene
JP3267129B2 (ja) ポリテトラフルオロエチレンの一軸延伸成形物及びその製造方法
JPS63135429A (ja) ポリエチレン・ポリプロピレン混合物の架橋による材料の製造方法
JPH10306191A (ja) ポリビニルアルコール/エチレンービニルアルコール 共重合体のコンポジット
JPS6395234A (ja) 分子配向及びシラン架橋ポリエチレン成形体及びその製法
JPH10180865A (ja) ポリオレフィン成形体の製造方法
FR2527217A1 (fr) Procede pour la fabrication de mousses de polypropylene reticulees
Rudin et al. New process for ultradrawn polyethylene structures

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term