JPH066740B2 - 低降伏比厚肉高張力鋼の製造方法 - Google Patents

低降伏比厚肉高張力鋼の製造方法

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JPH066740B2
JPH066740B2 JP62212591A JP21259187A JPH066740B2 JP H066740 B2 JPH066740 B2 JP H066740B2 JP 62212591 A JP62212591 A JP 62212591A JP 21259187 A JP21259187 A JP 21259187A JP H066740 B2 JPH066740 B2 JP H066740B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は低降伏比高張力鋼の製造方法に関し、特に降伏
比85%以下、引張強度50Kgf/mm2以上で溶接性に優れた
厚肉高張力鋼を製造し得る方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、橋梁、土木建築、高層ビル等の溶接構造物には、
地震発生時等における安全性の観点から降伏比の低い鋼
が用いられてきた。降伏比は、鋼の組織、析出物、可動
転位密度等に関与する特性である。一般に、降伏比を低
下させるためには、C、N等で固着されておらず、タン
グル等も形成していない可動転移を多く含むベイナイ
ト、マルテンサイト組織を有する鋼とするか、もともと
降伏比の低いフェライトを含む鋼にする必要がある。従
来の圧延まま、あるいは焼準処理で製造される鋼の組織
は、フェライト+パーライトであるため、通常は降伏比
が低くなっている。しかし、フェライト+パーライト組
織鋼でSM58鋼等の60キロ級鋼の製造を行う場合には著
しく成分を高くする必要があり、溶接性が劣化する。そ
のため、60キロ級鋼は低成分鋼を焼入−焼戻(QT)処
理することによって製造してきた。通常のQT処理で製
造した鋼の組織は、焼戻ベイナイトあるいは焼戻マルテ
ンサイト主体の組織となる。この場合、焼入れままでは
ある程度の可動転位が存在しているが、焼戻時に転位は
再配列、一部消滅し、残存した転移はC、N等の侵入型
固溶元素により固着される。そのため通常のQT材の降
伏比は高くなり、90〜95%に達することもある。
そこで、強度水準が60キロ級程度以上で、且つ低降伏比
(例えば85%以下)である鋼の製造は、組織をフェライ
ト+ベイナイト、フェライト+マルテンサイト、フェラ
イト+ベイナイト+マルテンサイト等の混合複合組織に
するようにしている。このような考え方に基づいて特開
昭57-108220号、特開昭57-114613号、特開昭58-93814号
及び特開昭59-211528号等が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
これらのうち、特開昭57-108220号はNb添加を必須と
し、スラブ加熱温度をAr3〜950℃、圧延仕上温度を(Ar
3-40)℃以上とし、その間で累積圧下率40%以上の圧延
を実施後急冷することを特徴としているが、スラブ加熱
温度が950℃以下で累積圧下率40%以上の圧下をするこ
とは、通常の実生産設備では非常に困難であり、その製
造コストは著しく高くなることが予想され実用的な方法
ではない。特開昭57-1143613号も、Nb添加が必須である
とともに、前処理として鋼の組織をベイナイト混在組織
または全面ベイナイト組織とし、その後特定の加熱、加
工を行うことを特徴としている。しかし、この方法では
特殊元素としてNbを必ず添加する必要があるとともに、
前処理として鋼の組織をベイナイト混在組織または全面
ベイナイト組織にする必要があるため、当然事前の熱処
理が必要であり、コストが上昇するとともに製造工程も
煩雑である。特開昭58-93814号では、Ti添加を必須とし
た制御圧延−直接焼入法(焼戻処理は含まれない)の適
用を提案している。しかし、焼入れままで良好な延靭性
を提案して確保することは一般に困難であり、同提案で
も延靭性については何も触れられていない。特開昭58-9
3814号の対象とする鋼の適用用途は、UOパイプ、土木
建築用構造用鋼等であるが、これらの用途の鋼は当然良
好な延靭性を具備する必要があり、したがって、この方
法は降伏比を低下させることはできるにしても、実用上
は全く有効な方法ではない。さらに、圧延仕上温度の範
囲を700〜880℃としたうえで、組織をフェライト+マル
テンサイトの混合組織にするとしているが、圧延仕上温
度がAr3〜880℃の範囲では完全オーステナイト域からの
焼入れになり、組織はフェライトの含まれないベイナイ
ト、マルテンサイト等の混合組織になる可能性があるた
め、安定した製造は困難である。特開昭59-211528号に
は、熱間圧延−加速冷却法を適用した低降伏比非調質鋼
の製造方法が示されている。しかし、加速冷却法で例え
ば、引張強度70キロ以上の高強度鋼を製造するために
は、成分を著しく高める必要があり溶接性が劣化するの
は避けられない。そのため、特開昭59-211528号では強
度水準がせいぜい63〜64Kgf/mm2程度であり、適用範囲
はかなり限定される。また、板厚の厚い鋼板への適用は
非常に困難を伴うことが考えられる。
本発明はこのような従来の問題に鑑みなされたもので、
Nb、Ti等の特殊成分を添加することなく、引張強度50キ
ロ級以上、降伏比85%以下でしかも良好な延靭性を有す
る板厚50mm以上の厚肉高張力鋼を安定して製造すること
ができる方法を提供せんとするものである。
〔問題を解決するための手段〕
このため、本願第1及び第2の発明の特徴とするところ
は、特に板厚50mm以上、vTs≦−40℃(vTs:シャルピー
衝撃試験における延性脆性破面繊維温度)の高靭性低降
伏比厚肉高張力鋼の製造に好適な方法に関するもので、
まず、本願第1の発明の特徴は、低合金鋼スラブを950
〜1250℃に加熱し、Ar3+100以上の温度域で圧下率30%
以上の圧延を行ってオーステナイト粒度を粒度No.5以
上とし、引き続きAr3以上、Ar3+100℃未満の温度域に
おいて、目的とする降伏比及び引張強度に応じて圧下率
10〜60%の圧延を行い、圧延終了後、10〜80秒間空冷し
た後、空冷を越える冷却速度で500℃以下まで冷却し、
次いで740〜860℃の温度域に加熱した後、空冷を超える
冷却速度で500℃以下まで冷却し、その後400℃Ac1の温
度域で焼戻処理するようにしたことにある。
また、本願第2の発明の特徴とするところは、低合金鋼
スラブを950〜1250℃に加熱し、Ar3+100以上の温度域
で圧下率30%以上の圧延を行ってオーステナイト粒度を
粒度No.5以上とし、引き続きAr3−50℃以上、Ar3+100
℃未満の温度域において、目的とする降伏比及び引張強
度に応じ、圧下率10〜60%で且つそのうちAr3〜Ar3−50
℃の温度域での圧下率が5%以上の圧延を施し、圧延終
了後、10〜80秒間空冷した後、空冷を越える冷却速度で
500℃以下まで冷却し、次いで740〜860℃の温度域に加
熱した後、空冷を超える冷却速度で500℃以下まで冷却
し、その後400℃Ac1の温度域で焼戻処理するようにした
ことにある。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明では、低合金鋼スラブの熱間圧延に当たり、スラ
ブを950〜1250℃に加熱する。
スラブ加熱温度が低温になると結晶粒は小さくなるた
め、靭性が向上するという効果はあるが、950℃未満で
は圧延能率が著しく低下するとともに、本発明で規定し
ている圧延条件の確保が困難になる。また、1250℃を超
えると加熱コストが著しく上昇し、また、スケールロス
等も大きくなり歩留の低下を招くため望ましくない。し
たがって、スラブ加熱温度は950〜1250℃とした。
熱間圧延では、まずAr3+100℃以上の温度域で圧下率30
%以上の圧延が施されてオーステナイト粒度を粒度No.
5以上とする。
低降伏比で、且つ高強度高靭性鋼を製造するためには最
終的な組織を細粒フェライト、微細ベイナイト、微細マ
ルテンサイトを含む混合組織にする必要がある。フェラ
イト、ベイナイト、マルテンサイトの組織分率を目的と
する降伏比、強度によって適宜調整するのは、この圧延
以降の処理で行うが、その前処理としてAr3+100℃以上
で圧下率30%以上の圧延を施し、オーステナイト粒度を
粒度No.5以上にする必要がある。つまり、細粒フェラ
イト、微細ベイナイト、微細マルテンサイト組織にする
ためには、変態前オーステナイト粒を小さくしておくこ
とが重要である。オーステナイト粒を少なくとも粒度N
o.5以上の細粒にするためには、オーステナイト再結晶
域での加工が有効である。Ar3+100以上の温度範囲は、
通常はほぼオーステナイト再結晶域に相当している。そ
こで、ここではAr3+100℃以上で圧下率30%以上の圧延
を施し、オーステナイト粒度を粒度No.5以上とするこ
ととした。圧下率30%以上と規定したのは、30%未満の
圧下率ではオーステナイトの細粒化が不十分であるため
である。
次に、十分に細粒化したオーステナイトを、Ar3以上、A
r3+100℃未満の温度域で、目的とする降伏比、比張強
度に応じて圧下率10〜60%の圧延を行う。再結晶したオ
ーステナイトをそのまま冷却すると、冷却条件によって
は、組織は完全ベイナイト、あるいは完全マルテンサイ
トまたはベイナイトとマルテンサイトの混合組織にな
り、フェライトを含む混合組織が得られない可能性があ
る。そこで、フェライトを含む混合組織を確実に得るた
めに、Ar3以上、Ar3+100℃未満の温度域で、目的とす
る降伏比、引張強度に応じて圧下率10〜60%の圧延を行
う。Ar3以上、Ar3+100℃未満の温度範囲は、通常、ほ
ぼ未再結晶オーステナイト域であるため、加工歪が累積
的に蓄積され変形帯が導入される。変形帯は、フェライ
トの核生成サイトになるため再結晶オーステナイトに比
較して、フェライト変態が促進される。その結果とし
て、組織はフェライトを含むフェライト+ベイナイト
(マルテンサイト)混合組織となり低降伏比化が達成で
きる。強度は第二相であるベイナイト、マルテンサイト
の体積分率でほぼ決定されるため、第一相のフェライト
の体積分率を調整することで第二相の体積分率を調整す
る。Ar3以上、Ar3+100℃未満の温度域での圧下率を変
えることにより、導入される変形帯の量が変化し、その
結果としてフェライトの体積分率が変化する。そこで、
上記温度範囲で、目的とする降伏比、引張強度に応じ10
〜60%の圧延を行うことにした。
また、本発明において強度をより効果的に得たい場合に
は、Ar3+100℃以上の温度域において圧下率30%以上で
圧延してオーステナイト粒度No.5以上とした後、特
に、次のような条件で圧延する。すなわち、Ar3−50℃
以上、Ar3+100℃未満の温度域において、目的とする降
伏比、引張強度に応じ圧下率10〜60%で圧延し、且つか
かる圧延においては、Ar3〜Ar3−50℃の温度域において
圧下率5%以上の圧延が実施されるようにする。
ここで、Ar3以上、Ar3+100℃未満の温度域は、通常は
ほぼ未再結晶オーステナイト域であり、ここでの圧下の
効果は上述した場合と同様である。一方、Ar3〜Ar3−50
℃の温度範囲は、フェライトとオーステナイトの二相域
である。ここで圧下すると、オーステナイトには変形帯
がさらに導入されると同時に、フェライトには歪が蓄積
され加工硬化する。この場合には、上述した圧延条件の
場合に比較してフェライト分率は増加する傾向になる
が、最終的な鋼の強度は加工硬化したフェライトと無加
工のフェライト(圧延終了後に変態し、二相域での加工
は受けていないフェライト)及び、第二相の体積分率で
決定され、二相域での圧下率を適宜選択することによ
り、フェライトの加工硬化を高強度化に有効に活用でき
る。圧延温度がAr3−50℃未満では、フェライト変態量
が増大して強度低下が顕著になるため、圧延温度の下限
をAr3−50℃とした。Ar3〜Ar3−50℃での圧下率は、5
%未満ではフェライトの加工硬化が小さく強度上昇効果
が少ないので圧下率は5%以上とした。
本発明では、圧延仕上温度は規定しない。本発明で重要
なのは、仕上圧延後10〜80秒間空冷することにあるう。
この空冷の間にフェライト変態が進行するとともに、オ
ーステナイトにはCが濃縮する。その結果、最終的の鋼
の組織は適切なフェライトCが若干濃縮した強度の高い
ベイナイトあるいは、マルテンサイトの混合組織とな
り、低降伏比で高強度である鋼が得られる。
空冷時間が10秒未満では、YS、TS、YRの顕著な上
昇があり、安定した機械的性質の確保が困難であるた
め、10秒を下限とする。一方、空冷時間が80を超える
と、フェライト体積分率が増え過ぎ、強度が低下すると
ともに、オーステナイトへのCの濃縮が顕著になって著
しくCが高く延靭性の低い組織となる。このため、空冷
時間は80秒以内とした。第1図に圧延後の空冷時間と機
械的性質の関係を示す。これからも明らかなように、空
冷時間が80秒を超えると機械的性質が顕著に変化してお
り、このため空冷時間は80秒を上限にする必要がある。
また、空冷時間80秒以内では、フェライト変態量の増大
に伴う強度の低下と、第二相へのCの濃縮による強度の
上昇がバランスすることにより、強度、降伏比はほとん
ど変化せずほぼ一定の値を示す。また、空冷時間が10秒
未満でも機械的性質が顕著に上昇しており、安定した材
質が得にくいことが示されている。
このような空冷後、空冷を超える冷却速度で500℃以下
まで冷却する。本発明では、高強度を得るために第二相
のベイナイト、マルテンサイト体積分率を適切に確保す
ることと、加工硬化フェライトを確保することが必要で
ある。加工硬化フェライトに関しては圧延条件の問題で
あり既に示した。冷却によってベイナイト、マルテンサ
イト組織を得るためには空冷以下の冷却速度では困難で
あり、フェライトが大量に析出する。したがって、冷却
速度は空冷を超えることとした。
冷却停止温度は、第二相のベイナイト、マルテンサイト
体積分率及びそれらの特性に影響を与える。少なくと
も、冷却停止温度が500℃以下であればベイナイト変態
は進行しており第二相の体積分率を確保することができ
る。また、ベイナイト、マルテンサイト体積分率を増加
させるためには、適宜冷却停止温度を低下させればよ
い。そこで、冷却停止温度は500℃以下とした。
以上述べた方法で製造した鋼の組織は、細粒フェライ
ト、微細ベイナイト、微細マルテンサイト等の混合組織
であり、十分に良好な延靭性を有する低降伏比高張力鋼
となる。しかし、本発明で得ようとしている特に板厚50
mm以上で且つvTs≦−40℃であるような高靭性低降伏比
厚肉高張力鋼を製造する場合、結晶粒が大きくなって靭
性が劣化し易く、また板厚方向での材質で不均一になり
易いという問題があり、これらの問題を解決するために
は、板厚表層から内部に亘って微細均一にする必要があ
る。
そこで、特にこのような厚肉高張力鋼の延靭性の改善に
好適な方法として、上述した加工−熱処理に引き続き、
740〜860℃の温度域に加熱し、しかる後、空冷を超える
冷却速度で500℃以下まで冷却し、その後400℃〜Ac1
温度域で焼戻処理するという一連の処理を実施する。
板厚方向での各位置における組織を均一微細にするため
に、前組織を均一微細にしておくことによって、740〜8
60℃の範囲に加熱する際、変態するオーステナイトがよ
り均一微細になり、さらに、このオーステナイトから変
態した組織は非常に微細になる。その結果として、厚肉
材でも板厚方向全体に亘って組織が均一微細であるた
め、良好な延靭性が得られるとともに板厚表層から内部
まで均質な材質が得られる。740〜860℃の範囲に加熱す
るのは、オーステナイト変態を部分的に進行させるため
であり、それに引き続いて空冷以上の冷却速度で冷却
し、最終的な組織をもともと存在したフェライト、ベイ
ナイト(あるいはマルテンサイト)と、加熱〜冷却過程
で生じたフェライト、ベイナイト、マルテンサイトの複
合混合組織にする。このような微細混合組織にすること
で、降伏比の低い高靭性厚肉高張力鋼の製造が可能であ
る。冷却停止温度については、既に示した通りである。
冷却後、400℃〜Acの温度域で焼戻処理が実施さ
れる。
上記処理のなされた鋼は焼戻処理を実施しなくても、低
降伏比で高強度を有し且つ延靭性も優れているが、焼戻
処理を行うことによりさらに延靭性を向上させることが
可能である。しかし、前述のように、一般に焼戻処理を
行うと降伏比が上昇するため、例えば、降伏比が70%
以下のような低降伏比鋼には適用できない。上記処理の
なされた鋼の組織は、もともとフェライト、ベイナイ
ト、マルテンサイト等の混合組織である。焼戻処理によ
って降伏比が上昇する原因となる可動転位の減少はベイ
ナイト、マルテンサイトの問題であり、焼戻処理によっ
てフェライトは変化しない(加工フェライトでは、転位
の消滅、再配列が起こるが、圧延後変態したフェライト
は変化しない)ため、従来のQT材よりも降伏比は十分
に低い。400℃未満での焼戻の効果は小さく、またA
を超える温度では二相域になり強度の低下が顕著で
あるため、焼戻条件は400℃〜Acの範囲とした。
本発明は厚肉の低合金鋼の加工−熱処理に特徴があり、
鋼の成分系については特に規定しない。但し、本発明が
対象とする鋼の用途を考慮すると、概ね次のような成分
系が前提となる。
C:0.03〜0.3%、Si:0.02〜0.7%、Mn:0.3〜2.0%、
P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.002〜0.15
%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりなる鋼を基
本成分とし、必要に応じて、Cu:0.1〜1.5%、Ni:0.1
〜10.0%、Cr:0.05〜2.5%、Mo:0.02〜1.0%、V:0.
01〜0.15%、Nb:0.005〜0.1%、Ti:0.003〜0.2%、
B:0.0003〜0.01%のうち一種もしくは二種以上を含有
する成分系。
〔実施例〕
第1表に供試鋼の化学成分を示す。鋼Aは厚肉用で強度
水準が60Kgf/mm2級の低合金鋼であり、本発明の範囲で
ある。
第2表及び第3表は製造条件を示すものである。第2表
のNo.1、No.2は同表で示した条件で製造してから引き
続き第3表に示す処理を行い、材料試験を実施した。N
o.1a、2は本発明鋼であり、1bは比較鋼である。ここ
では鋼板を用いて特性を調査している。なお、この結果
は鋼板に限らず鋼管、棒鋼、形鋼等でも同等のものが得
られる。第4表に材料試験結果を示す。No.1a〜2は厚
肉高張力鋼の実施例である。ここでは、板厚60mmの例を
示す。No.1a,2は本発明鋼であり、厚肉材にもかかわ
らず60Kgf/mm2以上のTSであり、YRも85%以下であ
る。また、1/4tと1/2tの特性、特に靭性は顕著な差がな
く、板厚内部に亘って均質である。比較鋼No.1bの1/4t
の強度、靭性は十分であるが、第3表で示した加熱温度
が本発明の範囲外であるため、YRは85%を超えてお
り、本発明を満足しない。さらに、1/2tでの靭性は組織
が粗大であるためvTs≦−40℃を満足せず、本発明鋼のN
o.1a,2に比較して1/4tと1/2tの材質の差が著しくなっ
ている。
このように、本発明法の適用により、YRの低い高靭性
厚肉高張力鋼の製造が容易にできることを示した。しか
も、圧延条件、熱処理条件の選択によりTS、YR、vT
sの水準も適宜選択可能である。
〔発明の効果〕 以上述べたように本発明によれば、以下に示す(1)〜(4)
の特徴を有する厚肉高張力鋼、特に溶接構造物に好適な
鋼を製造することができる。
(1)強度水準が50Kgf/mm2以上。
(2)降伏比が85%以下。
(3)良好な延靭性を有すること。
(4)板厚50mm以上で、vTsが-40℃以下の鋼に適用できる
こと。
また、このような特徴に加え、製造条件が若干変動して
も材質の変動を小さくでき、ほぼ安定して目的とする鋼
を得ることができる特徴を有している。
以上のような特性から、本発明により得られる鋼は橋
梁、土木建築、高層ビル等の鉄骨建築物のはかに、特に
冷間加工などで加工する容器用鋼、パイプなどで加工時
の変形が著しく大きく、また、スプリングバックなどが
問題になる鋼にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は圧延後の空冷時間と機械的性質との関係を示す
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長縄 裕 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉山 忠男 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 成田 宏 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−96818(JP,A) 特開 昭59−83722(JP,A) 特開 昭58−52423(JP,A) 特開 昭58−77527(JP,A) 特開 昭58−96817(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低合金鋼スラブを950〜1250℃に加熱し、A
    r3+100℃以上の温度域で圧下率30%以上の圧延を行っ
    てオーステナイト粒度を粒度No.5以上とし、引き続きA
    r3以上、Ar3+100℃未満の温度域において、目的とする
    降伏比及び引張強度に応じて圧下率10〜60%の圧延を行
    い、圧延終了後、10〜80秒間空冷した後、空冷を越える
    冷却速度で500℃以下まで冷却し、次いで740〜860℃の
    温度域に加熱した後、空冷を超える冷却速度で500℃以
    下まで冷却し、その後400℃〜Ac1の温度域で焼戻処理す
    ることを特徴とする低降伏比厚肉高張力鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】低合金鋼スラブを950〜1250℃に加熱し、A
    r3+100℃以上の温度域で圧下率30%以上の圧延を行っ
    てオーステナイト粒度を粒度No.5以上とし、引き続きA
    r3−50℃以上、Ar3+100℃未満の温度域において、目的
    とする降伏比及び引張強度に応じ、圧下率10〜60%で且
    つそのうちAr3〜Ar3−50℃の温度域での圧下率が5%以
    上の圧延を施し、圧延終了後、10〜80秒間空冷した後、
    空冷を越える冷却速度で500℃以下まで冷却し、次いで7
    40〜860℃の温度域に加熱した後、空冷を超える冷却速
    度で500℃以下まで冷却し、その後400〜℃Ac1の温度域
    で焼戻処理することを特徴とする低降伏比厚肉高張力鋼
    の製造方法。
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