JP2533250B2 - 加工性に優れた低降伏比薄肉ウェブh形鋼の製造方法 - Google Patents

加工性に優れた低降伏比薄肉ウェブh形鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】フランジ厚に対しウェブ厚が薄い
薄肉ウェブH形鋼を熱間圧延によって製造する際に、ウ
ェブ波を防止するとともに、強制冷却によって生じるフ
ランジ冷却面の硬度上昇を抑制すると同時に降伏強度の
異常上昇を抑制することにより、ドリル穿孔等の加工性
に優れ、耐震性能を高めた低降伏比薄肉ウェブH形鋼の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】単位長さ当りの重量に対して断面係数が
大きく、経済性の優れた薄肉ウェブH形鋼は、従来は溶
接によるビルドアップH形鋼が主流であったが、近時は
圧延による各種の製造手段が提案されるようになった。
即ち、圧延による薄肉ウェブH形鋼の製造方法で最も重
要な課題はウェブ波の発生をいかに抑制するかであった
が、近時に至り各種の実用的な対策が提案されている。
【0003】薄肉ウェブH形鋼のウェブ波とは周知のと
おり、フランジとウェブの冷却過程における温度差に起
因する残留応力によって、ウェブの座屈限界を超える内
部圧縮応力がウェブに発生し、これがウェブに波状の形
状不良として現れるものである。
【0004】ウェブ波の無い薄肉ウェブH形鋼を経済的
に製造する技術として、本願出願人らは先に特開平1−
205028号公報の技術を提供した。この提案の要旨
は熱間仕上げ圧延直後のH形鋼のフランジを強制冷却
し、ウェブ波を防止する薄肉ウェブH形鋼の製造方法で
あり、強制冷却中にウェブ波が発生しない水冷時間の上
限もしくは水冷直後のフランジとウェブの温度差の下限
と、強制冷却後常温に至るまでのウェブの熱応力がウェ
ブの座屈応力以下となる水冷時間の下限もしくは水冷直
後のフランジとウェブの温度差の上限をH形鋼のサイズ
および冷却水量密度毎に予め定めておき、この上下限範
囲内でフランジの強制冷却を行い、水冷終了時のフラン
ジのウェブの温度差が一定範囲内になるようにする手段
である。
【0005】しかしながら前記強制冷却によりフランジ
に焼きが入り、フランジ表面硬度が過度に上昇する場合
があることがわかった。表面硬度が高くなりすぎると、
孔明け等の加工が困難になり、好ましくない。
【0006】また昨今、建築業界では新しい耐震設計法
の導入により鋼材の特性に低降伏比{通常:R=(降
伏強度/引張強度)×100(%)}化を具備するよう
に要求している。従って、建築業界の要求に満足しうる
薄肉ウェブH形鋼を製造するためには、ウェブ波の防止
は言うに及ばずフランジ表面の硬度上昇抑制ならびに低
降伏比化を満足する新規な製造技術が必要となる。
【0007】ところで硬度上昇を抑制する方法として
は、特開昭59−182916号公報の鋼板での硬度不
均一抑制方法がある。しかしながら、例えばH形鋼の場
合、一般的に断面形状が複雑で各部位の板厚が異なる場
合が多いことから圧延時の鋼材温度が各部位によって異
なる。また形鋼では圧延材の長さが長く、また同一圧延
機によるリバース圧延が一般的であるために、圧延の際
に一度だけ強制冷却を行っても圧延中に復熱してしまう
時間が充分にある。従って、前記特開昭59−1829
16号公報の技術を形鋼の熱間圧延工程へ適用すること
は不可能である。また特開平2−19422号公報で
は、高強度形鋼を製造するために、圧延後の鋼材に強制
冷却を行うプロセスにおける冷却面の硬度上昇抑制方法
を示している。しかしながら、この方法はむしろ強度上
昇を目的とした技術であり、そのプロセスにおいて冷却
面の硬度上昇抑制をいかにして達成するかを提案するも
のであり、降伏強度あるいは降伏比の制御については言
及されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】フランジを強制冷却す
る熱間圧延法によって薄肉ウェブH形鋼を製造する際
に、ウェブ波の防止と同時にフランジ表面の硬度上昇な
らびに降伏強度の異常上昇を抑制することにより、ドリ
ル穿孔等の加工性に優れた低降伏比薄肉ウェブH形鋼の
製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】薄肉ウェブH形鋼の冷却
中に発生するウェブ波は、基本的には上記の冷却手段に
よって防止可能であるが、水冷開始時のフランジの温度
が高く、水冷時間が長い場合にはフランジ外側面に焼き
が入り、硬度が著しく高くなり所定の材質を満足するこ
とができないことがわかった。第2表鋼番3−1がその
例であるが、ウェブ波は防止できてもフランジ表面の硬
度が著しく上昇して強度が上昇し、伸び不足となる場合
があることがわかる。これは図3(a)に示すように、
フランジ外側面の表層部がベイナイト組織となっている
ことに起因する。
【0010】フランジ外側面の硬度の目標としては、特
に決められた値は無いが、ビッカース硬さHv(10)
≦200とした。これは厚鋼板のTMCP(Thermo Mec
hanical Control Process )鋼を参考にするとともに、
鋼材加工業界の情報をも基にして決定したものである。
【0011】本発明者らは、種々の検討を行い、ウェブ
波を防止するための前記仕上げ圧延直後の強制冷却に先
立って、フランジ外側面の表層部熱間組織を微細化して
おくことにより、仕上げ圧延後の冷却によって焼きが入
りにくくなることを知見した。本法によれば、生産性を
低下させることなく、フランジ水冷面の焼き入れ硬化現
象を防止することができる。しかしながら、焼き入れ性
の低減を重視し、圧延中の過剰な水冷によりフランジの
圧延温度を過度に低下させる低温圧延を行うと、熱間組
織を過度に微細化することになり、硬度上昇抑制は達成
できるものの、今度は過度の細粒化による降伏強度上昇
効果が顕著となり、降伏比が極端に上昇することがわか
った。なお、降伏比の上限値の目標は現在明確に規定さ
れていないが、昨今の高層建築物向け鋼材に求められる
実績より、80%以下とした。
【0012】例えば第2表鋼番3−4に示すように、ウ
ェブ波およびフランジ表面の硬度上昇は抑制するもの
の、降伏比が上昇し、目標値80%を大きく超えてしま
う場合がある。これは図3(b)に示すように、フラン
ジ外側面の表層部が極めて微細なフェライト、パーライ
ト組織となっており、また圧延加工時に導入された歪が
残存していると思われる温間加工組織も存在することに
起因する。この組織を走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、図3(c)に示すように2〜3μm径の亜粒界が観
察され、低温圧延が行われたことを裏付ける。
【0013】本発明者らは、さらに検討を重ねた結果、
低降伏比化は熱間組織を適度に微細化することで実現で
きることを知見した。即ち、仕上げ圧延温度の下限を規
制し、所定のフランジ表層部厚さを微細な熱間組織に制
御する必要があること、およびTiN、AlNを形成し
組織微細化効果を有するTi、Alの添加量の規制、な
らびにオーステナイト相の未再結晶温度を高めるNb添
加量の規制が有効であることを知見した。
【0014】以上の知見に基づき課題を解決したもので
あり、その要旨とするところは下記のとおりである。
【0015】熱間仕上げ圧延直後のH形鋼のフランジを
強制冷却する際に、強制冷却中にウェブ波が発生しない
水冷直後のフランジとウェブの温度差の下限と、強制冷
却後常温に至るまでのウェブの熱応力がウェブの座屈応
力以下となる水冷直後のフランジとウェブの温度差の上
限とをH形鋼のサイズおよび冷却水量密度毎に予め求め
ておき、前記温度差の上・下限内でフランジを強制冷却
する薄肉ウェブH形鋼の製造方法において、重量%で C :0.04〜0.20% Si:0.01〜0.50% Mn:0.3 〜1.80% Ti:0.02% 以下 Al:0.060%以下 Nb:0.02% 以下とし、 必要に応じて Mo:0.3%以下 V :0.2%以下 Cr:0.7%以下 Cu:1.0%以下 Ni:1.0%以下 B :0.003%以下 Ca:0.001〜0.005% の1種または2種以上を含有し、かつ、炭素当量Ce
q.(=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr
/5+Mo/4+V/14)(%)が0.40%以下で
あり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱
間圧延に供し、前記仕上げ圧延前の中間圧延段階でフラ
ンジ外側面を強制冷却し、フランジ外側面の表層部温度
を一回以上700℃以下まで冷却する水冷工程と、冷却
を停止しフランジ外側面の表層部温度を700℃超まで
復熱させる復熱工程とを繰り返しながら圧延を行い、前
記仕上げ圧延終了温度の下限を750℃以上にし、仕上
げ圧延直後のフランジ強制冷却を行うことを特徴とする
薄肉ウェブH形鋼の製造方法。
【0016】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】図1は本発明法の中間圧延段階における圧
延状況を時間の経過とH形鋼の温度変化との関係で示し
たものである。図2はその設備配置例であり、中間圧延
機1の前後面には水冷装置2aを配置し、次工程の仕上
げ圧延機3の後面には冷却ウェブ波を防止するための水
冷装置2bを配置している。図1においてフランジ部の
平均温度は漸次低下していくのに対して、フランジ表層
部温度は冷却・復熱を交互に繰り返すため鋸歯状となっ
ている。このように冷却・復熱を交互に行いつつ圧延す
ることによって、フランジ外側面の表層部はフェライト
変態の促進、未変態オーステナイトの微細化促進などに
より組織を微細化し焼き入れ性の低減を達成できるもの
である。
【0018】さて、降伏比を低くするには、降伏強度
(以下、σy )を低くし、歪硬化指数を大きくすること
ができればよい。しかし歪硬化指数を制御することは一
般の構造用鋼では極めて困難であり、σy を低くする方
法を見い出すことが有効であるとの結論に至った。
【0019】σy は、式(1)で示される。
【0020】 σy =σo +σd +k・d-1/2 式(1) σo :固溶強化、析出強化 σd :転位の導入による加工強化 d :結晶粒径 即ち、フェライトとパーライト分率が一定であれば、フ
ェライト中の固溶炭素量とその粒径によって支配され、
さらに低温圧延により温間加工などを受ける場合には、
転位の導入により亜粒界が形成されるために一層強い影
響をうける。
【0021】従って低降伏比化には、特にフェライト粒
径を過度に小さくしないような成分系の選定ならびに圧
延条件・冷却条件などの制御が重要となる。
【0022】即ち、本発明にかかる薄肉ウェブH形鋼は
降伏比が低く、耐震性に優れているが、これは成分系の
選定および中間圧延段階での加工および水冷条件の適正
な制御を実現することにより、ミクロ組織が比較的大き
なフェライトから成ることによるのである。
【0023】本発明において仕上げ温度の下限を規制し
たのはこのためであり、中間圧延段階でのフランジ外側
面の冷却を強化したために仕上げ温度が750℃より低
くなった場合には、図3(b)に示した極細粒および温
間加工組織が顕著に現出し、降伏比が上昇することがわ
かったため、その下限値を750℃とした。
【0024】一方、該仕上げ温度を確保できた場合は、
図4に示すように、加工組織のほとんど無いほぼ正常な
細粒組織となり、硬度上昇を抑制した低降伏比薄肉ウェ
ブH形鋼を得ることができる。
【0025】次に本発明形鋼の基本成分範囲の限定理由
について述べる。
【0026】まず、Cは鋼の強度を向上させる有効な成
分として添加するもので、0.04%未満では構造用鋼
として必要な強度が得られず、また、0.20%を超え
る過剰の添加は、母材靭性、溶接割れ性、溶接熱影響部
(以下HAZと称す)靭性などを著しく低下させるの
で、上限を0.20%とした。
【0027】次に、Siは母材の強度確保、溶鋼の予備
脱酸などに必要であるが、0.50%を超えるとHAZ
組織内に硬化組織の島状マルテンサイトを生成し、溶接
継手部靭性を著しく低下させる。また、0.01%未満
では母材靭性が劣化するためSi含有量をこの範囲に限
定した。
【0028】Mnは母材の強度、靭性の確保には0.3
%以上の添加が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性な
どの許容できる範囲で上限を1.8%とした。
【0029】TiはNを固定しTiNとなって微細析出
し、鋼片加熱時のオーステナイト粒を微細化し、圧延組
織の微細化に有効な元素であり、添加量の増加にともな
い細粒化を促進し、さらには炭化物生成による靭性低下
を招くため、上限を0.02%とした。
【0030】Alは強力な脱酸元素として鋼精練時の脱
酸に有効ではあるが、Nを固定してAlNとなり結晶粒
の微細化効果を示す合金元素であり、0.060%より
多いとHAZ靭性を著しく劣化させるため、上限を0.
060%とした。
【0031】Nbは微細な炭窒化物を形成し、オーステ
ナイト相の未再結晶温度を上昇させ、該未再結晶温度域
での圧延により圧延組織の微細化を可能ならしめる母材
の強靭化に有効な元素であり、さらに過剰の添加は、靭
性及び硬化性の観点から有害となるため0.02%以下
とした。
【0032】不可避不純物として含有するP,Sはその
量について特に限定しないが凝固偏析による溶接割れ、
靭性の低下を生じるので、極力低減すべきであり、望ま
しくはP,S量はそれぞれ0.02%,0.02%以下
である。
【0033】以上が本発明鋼の基本成分であるが、母材
強度の上昇あるいは母材の靭性向上の目的等で、必要に
応じて、Mo,V,Cr,Cu,Ni,BおよびCaの
1種または2種以上を含有することができる。
【0034】まず、Moは母材強度の確保に有効な元素
であるが、高価であるため0.3%以下に制限した。
【0035】VはVNとして細粒化、析出強化による高
強度化のために重要であるが、0.2%を超えると析出
量が過剰になり母材靭性が低下するため0.2%以下に
限定した。
【0036】Crは焼き入れ性の向上により、母材の強
化に有効であるが、過剰の添加は靭性および硬化性の観
点から有害となるため、上限を0.7%とした。
【0037】Cuは母材の強化、耐候性に有効な元素で
あるが、溶接割れ性、熱間加工割れなどを考慮して、上
限を1.0%とした。
【0038】Niは母材の強靭性を高める極めて有効な
元素であるが、1.0%を超す添加は合金コストを増加
させ経済的でないので上限を1.0%とした。
【0039】さらに、Bは、焼き入れ性不足を補う必要
がある場合に0.003%以下の微量で十分に焼き入れ
性が確保できる有能な元素であるが、過剰に添加した場
合は、粒界脆化の原因となるので上限を0.003%と
した。
【0040】Caは、強力な脱酸元素であり、さらに不
純物のSと結びついてSの害を防ぐものであるが、その
量が多すぎると靭性ならびに溶接性を悪化させるため、
その範囲を0.001〜0.005%とした。
【0041】但し、これらの元素は、上記含有量範囲に
おいて、以下に定義される炭素当量Ceq.が所定量以
下になるように含有させる必要がある。すなわち、炭素
当量Ceq.(%)は、Ceq.=C+Si/24+M
n/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14と
定義され、Ceq.が0.40%を越えると、適正な圧
延条件および水冷条件で製造しても、靭性の低下ならび
に降伏強度および引張強度の著しい増加を招くため好ま
しくない。したがって、Ceq.は0.40%以下とす
る。
【0042】なお、本発明において冷却の復熱の境界温
度とした700℃は、厳密には鋼材成分によって異なる
が、引張強度40〜50kg/mm2 クラスの圧延H形
鋼では該温度を実操業の基準値として管理すれば本発明
の目的は十分に達成されることを各種試験で確認した結
果定めたものである。
【0043】
【実施例】第1表に示す化学成分を有する鋼につき、第
2表に示す圧延条件および冷却条件で薄肉ウェブH形鋼
を製造した。得られた機械的性質、フランジ水冷面の硬
度およびウェブ波の発生有無を第2表に併記する。
【0044】第1表において、鋼1〜鋼8は本発明範囲
内の化学成分を有する鋼である。一方、鋼9〜鋼11は
本発明範囲外の化学成分を有する鋼であり、鋼9はNb
添加量が多く、鋼10はNbおよびTiが共に多く、鋼
11は炭素当量Ceq.が高い例である。
【0045】また、第2表において、鋼番2−1、2−
2は、第1表の鋼2に対して異なった製造条件を適用し
たことを示すものであり、鋼番3−1、3−2等につい
ても同様である。
【0046】第2表より明らかなように、本発明鋼1、
2−1、3−2、3−3、3−5、4、5、6、7−
1、8−1は、いずれも適正な化学成分でかつ適切な圧
延ならびに冷却条件下で製造したものであり、降伏比は
目標値80%以下を安定して満足しており、フランジ表
面硬度も目標値Hv(10)200以下を満足し、しか
もウェブ波の無い健全な薄肉ウェブH形鋼が得られた。
【0047】一方、比較鋼2−2、比較鋼3−4および
比較鋼7−2は中間圧延段階でフランジ表面が700℃
以下になる水冷回数が比較的多く、仕上げ温度が低くな
ったために、組織の微細化あるいは亜粒界が生成した結
果、降伏比が高く目標値80%を越えている。
【0048】比較鋼3−1は中間圧延段階でフランジ水
冷を行わなかったため、圧延後の水冷によりフランジ外
側面に焼きが入り、硬度が著しく上昇して、目標値Hv
(10)200を越えている。この鋼はこの硬度上昇に
よりドリル穿孔等の加工性が極めて悪化している。
【0049】比較鋼8−2は中間圧延段階でフランジ表
面が700℃以下になる水冷回数が0回のため、圧延後
の水冷によりフランジ外側面に焼きが入り、硬度が著し
く上昇して、目標値Hv(10)200を越えている。
【0050】また比較鋼9はNb添加量が多いため、細
粒化が過度となり降伏比が高く、目標値80%を越えて
いる。比較鋼10はNbおよびTiが共に過多のため
に、降伏比が高い。鋼11は炭素当量Ceq.が高いた
めに強度が高く、伸びが著しく低下している。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】従来の薄肉ウェブH形鋼製造法では、仕
上げ圧延後の冷却によってフランジ表面の硬度上昇や強
度の異常上昇等が避けられなかったが、本発明法によれ
ばウェブ波発生の防止は勿論、中間圧延段階の冷却と復
熱の温度制御を精度良く行うことによって、フランジ表
面の硬度上昇抑制ならびに低降伏比化を達成できる。ま
たTi,Nb等の高価な合金元素の添加が不要あるいは
削減できるので、ドリル穿孔等の加工性に優れ、かつ耐
震性能を高めた低降伏比薄肉ウェブH形鋼を極めて経済
的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における圧延材の温度変化を示すグラ
フ。
【図2】本発明法を実施する装置配置例の説明略図。
【図3】(a),(b)および(c)は従来法(比較
法)で製造した場合のフランジ表層部断面の金属組織の
光学顕微鏡写真および電子顕微鏡写真を表す図。
【図4】本発明法で製造した場合の金属組織のフランジ
表層部断面の光学顕微鏡写真を表す図。
【符号の説明】
1…中間圧延機 2a…中間圧延機前後面の水
冷装置 3…仕上圧延機 2b…仕上圧延機後面の冷却
装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若月輝行 堺市築港八幡町1番地 新日本製鐵株式 会社堺製鐵所内 (72)発明者 稲垣 彰 堺市築港八幡町1番地 新日本製鐵株式 会社堺製鐵所内 (72)発明者 長谷川 博行 堺市築港八幡町1番地 新日本製鐵株式 会社堺製鐵所内 (56)参考文献 特開 平3−271320(JP,A) 特開 平1−205028(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間仕上げ圧延直後のH形鋼のフランジ
    を強制冷却する際に、強制冷却中にウェブ波が発生しな
    い水冷直後のフランジとウェブの温度差の下限と、強制
    冷却後常温に至るまでのウェブの熱応力がウェブの座屈
    応力以下となる水冷直後のフランジとウェブの温度差の
    上限とをH形鋼のサイズおよび冷却水量密度毎に予め求
    めておき、前記温度差の上・下限内でフランジを強制冷
    却する薄肉ウェブH形鋼の製造方法において、重量%で C :0.04〜0.20% Si:0.01〜0.50% Mn:0.3〜1.80% Ti:0.02% 以下 Al:0.060%以下 b:0.02% 以下とし、かつ炭素当量Ceq.
    (=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
    +Mo/4+V/14)(%)が0.40%以下であ
    り、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間
    圧延に供し、前記仕上げ圧延前の中間圧延段階でフラン
    ジ外側面を強制冷却し、フランジ外側面の表層部温度を
    一回以上700℃以下まで冷却する水冷工程と、冷却を
    停止しフランジ外側面の表層部温度を700℃超まで復
    熱させる復熱工程とを繰り返しながら圧延を行い、前記
    仕上げ圧延終了温度の下限を750℃以上にし、仕上げ
    圧延直後のフランジ強制冷却を行うことを特徴とする、
    加工性に優れた低降伏比薄肉ウェブ形鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載の鋼成分に必要に応じて Mo:0.3%以下 V :0.2%以下 Cr:0.7%以下 Cu 1.0%以下 Ni:1.0%以下 B :0.003%以下 Ca:0.001〜0.005% の1種または2種以上を添加したことを特徴とする、加
    工性に優れた低降伏比薄肉ウェブH形鋼の製造方法。
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