JP3264956B2 - 厚肉鋼板の加速冷却型製造方法 - Google Patents
厚肉鋼板の加速冷却型製造方法Info
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- JP3264956B2 JP3264956B2 JP31678091A JP31678091A JP3264956B2 JP 3264956 B2 JP3264956 B2 JP 3264956B2 JP 31678091 A JP31678091 A JP 31678091A JP 31678091 A JP31678091 A JP 31678091A JP 3264956 B2 JP3264956 B2 JP 3264956B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板厚方向における材質
のばらつきが小さい50Kgf/mm2 級の厚肉鋼板を製造す
る加速冷却型製造方法に関する。
のばらつきが小さい50Kgf/mm2 級の厚肉鋼板を製造す
る加速冷却型製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築用鉄骨材(スキンプレートやダイヤ
フレーム等)に使用される,厚肉(板厚が40〜100
mm)で50Kgf/mm2 級の鋼板は、従来、焼きならし処理
によって製造されていたが、該焼きならし処理にて製造
した鋼板は、炭素当量が高く、しかも溶接時の低温割れ
防止の為に予熱を必要としたり、溶接継手の靭性保証の
為の入熱制限を必要とするといった問題があった。
フレーム等)に使用される,厚肉(板厚が40〜100
mm)で50Kgf/mm2 級の鋼板は、従来、焼きならし処理
によって製造されていたが、該焼きならし処理にて製造
した鋼板は、炭素当量が高く、しかも溶接時の低温割れ
防止の為に予熱を必要としたり、溶接継手の靭性保証の
為の入熱制限を必要とするといった問題があった。
【0003】そこで、従来、造船用の降伏点が32Kgf/
mm2 や36Kgf/mm2 級の鋼を製造する技術として開発さ
れた低炭素当量で且つ高強度,高靭性の得られる加熱冷
却型製造方法が採用されていた。これは、熱間圧延され
た高温の厚肉鋼板を水冷にて設備能力最大の高冷却速度
で加速冷却する方法で、建築用で50Kgf/mm2 級の厚肉
鋼板の製造に適用された。
mm2 や36Kgf/mm2 級の鋼を製造する技術として開発さ
れた低炭素当量で且つ高強度,高靭性の得られる加熱冷
却型製造方法が採用されていた。これは、熱間圧延され
た高温の厚肉鋼板を水冷にて設備能力最大の高冷却速度
で加速冷却する方法で、建築用で50Kgf/mm2 級の厚肉
鋼板の製造に適用された。
【0004】しかしながら、厚肉鋼板の場合には、造船
用の板厚40mm以下の薄肉鋼板と違い、高冷却速度で加
速冷却すると、板厚方向の表層付近と板厚中心部では水
冷時の冷却速度が大きく異なって、降伏点や引張強度等
が板厚方向でばらつくという問題があった。また、耐震
設計上の安全性確保の為に、降伏比を75%或いは80
%以下に抑えるようにとの建築設計側からの要求も多
く、製造時の条件として大きな制約を受けていた。
用の板厚40mm以下の薄肉鋼板と違い、高冷却速度で加
速冷却すると、板厚方向の表層付近と板厚中心部では水
冷時の冷却速度が大きく異なって、降伏点や引張強度等
が板厚方向でばらつくという問題があった。また、耐震
設計上の安全性確保の為に、降伏比を75%或いは80
%以下に抑えるようにとの建築設計側からの要求も多
く、製造時の条件として大きな制約を受けていた。
【0005】これに対して、従来では、例えば特開平2
−205628号公報に記載されているように、フェラ
イト分率を制御するために、熱間圧延後に,炭素当量に
応じた冷却速度で400〜550℃まで冷却する方法
や、特開昭63−20410号公報に記載されているよ
うに、冷却開始から終了まで水冷に使用される冷却水量
を動的に徐々に増加させる方法や、特開平2−8051
6号公報に記載されているように、圧延温度域及び累積
圧下率を指定して熱間圧延を行い、60秒以上空冷した
後に毎秒1〜10℃の冷却を行い400〜550℃で冷
却を停止する方法等が提供されていた。
−205628号公報に記載されているように、フェラ
イト分率を制御するために、熱間圧延後に,炭素当量に
応じた冷却速度で400〜550℃まで冷却する方法
や、特開昭63−20410号公報に記載されているよ
うに、冷却開始から終了まで水冷に使用される冷却水量
を動的に徐々に増加させる方法や、特開平2−8051
6号公報に記載されているように、圧延温度域及び累積
圧下率を指定して熱間圧延を行い、60秒以上空冷した
後に毎秒1〜10℃の冷却を行い400〜550℃で冷
却を停止する方法等が提供されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
1番目の製造方法では、冷却停止温度が400〜550
℃と低いために残留応力が残り、条切り時に反りやキャ
ンバ(横曲がり)が発生するという問題がある。また、
前記第2番目に製造方法では、搬送される鋼板を停止し
て冷却操業をする必要があり、操業の能率低下を招くと
いう問題があった。
1番目の製造方法では、冷却停止温度が400〜550
℃と低いために残留応力が残り、条切り時に反りやキャ
ンバ(横曲がり)が発生するという問題がある。また、
前記第2番目に製造方法では、搬送される鋼板を停止し
て冷却操業をする必要があり、操業の能率低下を招くと
いう問題があった。
【0007】さらに、前記第3番目の製造方法では、製
造された鋼板は音響異方性は少ないが、第1番目の製造
方法と同様に残留応力が残ると共に、降伏比の下げ率が
充分でないという問題がある。本発明は、上記の問題点
に着目してなされたもので、低降伏比で且つ板厚方向の
材質差の小さい板厚鋼板を提供する加速冷却型製造方法
を目的としている。
造された鋼板は音響異方性は少ないが、第1番目の製造
方法と同様に残留応力が残ると共に、降伏比の下げ率が
充分でないという問題がある。本発明は、上記の問題点
に着目してなされたもので、低降伏比で且つ板厚方向の
材質差の小さい板厚鋼板を提供する加速冷却型製造方法
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の板厚鋼板の加速冷却型製造方法は、C 0.0
5 〜0.20重量%, Si 0.10 〜0.50重量%, Mn 0.5〜
2.0 重量%, Nb 0.005〜0.030 重量%, Ti 0.005〜
0.020 重量%を含有し、且つ、炭素当量が0.43重量%以
下からなり、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼
を、所定温度に加熱後、800 〜950 ℃の温度域で仕上げ
圧延を終了させ、その後、強度を保証する箇所の冷却速
度を毎秒0.5 〜5.0 ℃として550 〜770 ℃(ただし、5
50℃は除く)の温度域まで冷却して、鋼板表面から板
厚中心まで圧延だけの鋼板に比べ若干微細なフェライト
+パーライト組織の鋼板を製造することを特徴としてい
る。ここで、上記炭素当量は、下記(1)式で求められ
る。 炭素当量(%)=C+(Mn/6)+(Si/24)+(Ni/40) +(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14) ・・・(1)
に、本発明の板厚鋼板の加速冷却型製造方法は、C 0.0
5 〜0.20重量%, Si 0.10 〜0.50重量%, Mn 0.5〜
2.0 重量%, Nb 0.005〜0.030 重量%, Ti 0.005〜
0.020 重量%を含有し、且つ、炭素当量が0.43重量%以
下からなり、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼
を、所定温度に加熱後、800 〜950 ℃の温度域で仕上げ
圧延を終了させ、その後、強度を保証する箇所の冷却速
度を毎秒0.5 〜5.0 ℃として550 〜770 ℃(ただし、5
50℃は除く)の温度域まで冷却して、鋼板表面から板
厚中心まで圧延だけの鋼板に比べ若干微細なフェライト
+パーライト組織の鋼板を製造することを特徴としてい
る。ここで、上記炭素当量は、下記(1)式で求められ
る。 炭素当量(%)=C+(Mn/6)+(Si/24)+(Ni/40) +(Cr/5)+(Mo/4)+(V/14) ・・・(1)
【0009】前記鋼としては、さらに、溶接性等の特性
に悪影響を与えない範囲で、Cu≦0.3 重量%, Ni≦
1.0 重量%, Cr≦0.5 重量%, Mo≦0.6 重量%, 若
しくはV≦0.1 重量%のうちの1種又は2種以上を含有
している鋼であってもよい。
に悪影響を与えない範囲で、Cu≦0.3 重量%, Ni≦
1.0 重量%, Cr≦0.5 重量%, Mo≦0.6 重量%, 若
しくはV≦0.1 重量%のうちの1種又は2種以上を含有
している鋼であってもよい。
【0010】
【作用】従来の加速冷却型製造方法では、設備能力最大
にして冷却していたため、後述する表3のE鋼に示され
るように、冷却が早い表層はベイナイト+マルテンサイ
ト組織に,板厚方向1/4の位置ではフェライト+ベイ
ナイト+パーライト組織に、冷却が一番遅い板厚中央部
ではフェライト+パーライト組織となり、表層と板厚中
央部では10Kgf/mm2 程度の降伏強度(YP)の差があ
った。これを改善する目的で、板厚方向の組織を均一な
フェライト+パーライト(+ベイナイト)にするため
に、加速冷却時の冷却速度を強度向上に寄与できる程度
の最低冷速側の緩冷却,即ち毎秒0.5〜5℃になるよ
うにして、板厚方向での冷却速度差を小さくした。
にして冷却していたため、後述する表3のE鋼に示され
るように、冷却が早い表層はベイナイト+マルテンサイ
ト組織に,板厚方向1/4の位置ではフェライト+ベイ
ナイト+パーライト組織に、冷却が一番遅い板厚中央部
ではフェライト+パーライト組織となり、表層と板厚中
央部では10Kgf/mm2 程度の降伏強度(YP)の差があ
った。これを改善する目的で、板厚方向の組織を均一な
フェライト+パーライト(+ベイナイト)にするため
に、加速冷却時の冷却速度を強度向上に寄与できる程度
の最低冷速側の緩冷却,即ち毎秒0.5〜5℃になるよ
うにして、板厚方向での冷却速度差を小さくした。
【0011】なお、前記冷却速度は、目的の板厚強度を
保証する板厚方向の位置,例えば板厚方向1/4の位置
での冷却速度を示している。また、ミクロ組織上,冷却
停止温度の影響を受けにくい高温側を実験によって求め
た加工CCTから選んで、本発明では550℃〜770
℃(但し、550℃を除く)とした。また、圧延仕上が
り温度は、下げ過ぎると音響異方性が悪化し、降伏比が
上昇するため、800〜950℃とした。なお、望まし
くは800〜900℃の範囲がより良好な結果が得られ
ることが実験により見出されている。
保証する板厚方向の位置,例えば板厚方向1/4の位置
での冷却速度を示している。また、ミクロ組織上,冷却
停止温度の影響を受けにくい高温側を実験によって求め
た加工CCTから選んで、本発明では550℃〜770
℃(但し、550℃を除く)とした。また、圧延仕上が
り温度は、下げ過ぎると音響異方性が悪化し、降伏比が
上昇するため、800〜950℃とした。なお、望まし
くは800〜900℃の範囲がより良好な結果が得られ
ることが実験により見出されている。
【0012】また、前記冷却速度は、毎秒0.5℃より
遅くなると、鋼板の強度が充分に保証出来ないだけでな
く、特に鋼板下面側の冷却速度の制御が難しくなるた
め、下限値を毎秒0.5℃とした。望ましくは、冷却速
度を毎秒1.0℃以上にすると良好な結果が得られる。
但し、冷却速度が毎秒5.0℃を超えると鋼板の表面と
板厚方向中央部との温度差が大きくなりやすいため、本
発明では冷却速度の上限値を5.0℃/sec とした。
遅くなると、鋼板の強度が充分に保証出来ないだけでな
く、特に鋼板下面側の冷却速度の制御が難しくなるた
め、下限値を毎秒0.5℃とした。望ましくは、冷却速
度を毎秒1.0℃以上にすると良好な結果が得られる。
但し、冷却速度が毎秒5.0℃を超えると鋼板の表面と
板厚方向中央部との温度差が大きくなりやすいため、本
発明では冷却速度の上限値を5.0℃/sec とした。
【0013】本発明の場合、冷却速度が遅いために、加
工CCTの長時間側で且つ高温寄りを冷却カーブが通過
するので、表層近傍の降伏強度(YP),引張強度(T
S)は、低下して板厚方向中央部の強度に近づく。ま
た、表層部の降伏比(YR)も低下し、表層部と板厚方
向中央部との降伏比(YR)の差は3Kgf/mm2 以下程度
まで下がり、特に板厚方向1/4の位置と板厚方向中央
部との降伏比(YR)の差は2Kgf/mm2 以下に低減され
る。
工CCTの長時間側で且つ高温寄りを冷却カーブが通過
するので、表層近傍の降伏強度(YP),引張強度(T
S)は、低下して板厚方向中央部の強度に近づく。ま
た、表層部の降伏比(YR)も低下し、表層部と板厚方
向中央部との降伏比(YR)の差は3Kgf/mm2 以下程度
まで下がり、特に板厚方向1/4の位置と板厚方向中央
部との降伏比(YR)の差は2Kgf/mm2 以下に低減され
る。
【0014】また、これは、冷却停止温度を550〜7
70℃(但し、550℃を除く)と高くすることによ
り、さらに効果があり、残留応力も小さく抑えられる。
冷却停止温度が本発明のように高い場合であっても、圧
延のままの組織と比較して粒径が若干小さくなってい
る。また、本発明に基づいて製造された鋼板は、強度,
靭性上も厚肉建築用鋼板として要求される所定強度を満
足していることが実験により確認されている。
70℃(但し、550℃を除く)と高くすることによ
り、さらに効果があり、残留応力も小さく抑えられる。
冷却停止温度が本発明のように高い場合であっても、圧
延のままの組織と比較して粒径が若干小さくなってい
る。また、本発明に基づいて製造された鋼板は、強度,
靭性上も厚肉建築用鋼板として要求される所定強度を満
足していることが実験により確認されている。
【0015】また、冷却速度の板厚方向位置での変化の
影響は、フェライト粒径の変化として現れるが、やや高
温で冷却を停止することで変化が小さくなり、材質の板
厚方向のバラツキ低減が有効有効に行われる。本発明に
おける鋼の化学成分は、強度保証,靭性,溶接性を考慮
して上限値を限定し、主に建築用肉厚鋼板に適用できる
ものとしている。
影響は、フェライト粒径の変化として現れるが、やや高
温で冷却を停止することで変化が小さくなり、材質の板
厚方向のバラツキ低減が有効有効に行われる。本発明に
おける鋼の化学成分は、強度保証,靭性,溶接性を考慮
して上限値を限定し、主に建築用肉厚鋼板に適用できる
ものとしている。
【0016】次に、鋼に含有される成分の限定理由を述
べる。Cは、構造用鋼として必要な強度を得るためには
0.05重量%以上添加する必要があり、また、溶接硬
化性,及び溶接割れ感受性を考慮して、その上限を0.
20重量%とした。Siは、脱酸の都合上0.10重量
%以上必要である。また、Siの添加量を増加させれば
強度は上昇するが、0.50重量%を超えると、母材の
靭性を劣化させるために上限を0.50重量%以下とし
た。
べる。Cは、構造用鋼として必要な強度を得るためには
0.05重量%以上添加する必要があり、また、溶接硬
化性,及び溶接割れ感受性を考慮して、その上限を0.
20重量%とした。Siは、脱酸の都合上0.10重量
%以上必要である。また、Siの添加量を増加させれば
強度は上昇するが、0.50重量%を超えると、母材の
靭性を劣化させるために上限を0.50重量%以下とし
た。
【0017】Mnは、母材に延性と強度を与えるため
に、0.5重量%以上添加する必要があるが、その添加
量が2.0重量%を超えると、溶接硬化性を著しく上昇
させるために、その上限を2.0重量%とした。Nb,
Tiは、本発明に重要な元素で、いずれも析出硬化型の
元素であって、C等を上げることなく強度を上昇させ
る。また、熱間圧延において、未再結晶領域を拡大して
オーステナイト中に変形帯を導入して変態後のフェライ
ト粒を小さくして靭性を向上させるものである。
に、0.5重量%以上添加する必要があるが、その添加
量が2.0重量%を超えると、溶接硬化性を著しく上昇
させるために、その上限を2.0重量%とした。Nb,
Tiは、本発明に重要な元素で、いずれも析出硬化型の
元素であって、C等を上げることなく強度を上昇させ
る。また、熱間圧延において、未再結晶領域を拡大して
オーステナイト中に変形帯を導入して変態後のフェライ
ト粒を小さくして靭性を向上させるものである。
【0018】なお、Nb,Tiは、0.005重量%以
下では、上記効果は得られず、また、Nbにおいて0.
030重量%,Tiにおいては0.020重量%を超え
て添加するとその効果は飽和すると共に溶接部の靭性が
劣化する。このため、Nbを0.005〜0.030重
量%、Tiを0.005〜0.020重量%とすること
が必要である。また、Vについては、Nb,Tiと同様
の効果があるが、過剰添加は溶接部の靭性を低下させ
る。したがって、Vを含有させる場合には、上限を0.
1重量%とすることが好ましい。
下では、上記効果は得られず、また、Nbにおいて0.
030重量%,Tiにおいては0.020重量%を超え
て添加するとその効果は飽和すると共に溶接部の靭性が
劣化する。このため、Nbを0.005〜0.030重
量%、Tiを0.005〜0.020重量%とすること
が必要である。また、Vについては、Nb,Tiと同様
の効果があるが、過剰添加は溶接部の靭性を低下させ
る。したがって、Vを含有させる場合には、上限を0.
1重量%とすることが好ましい。
【0019】さらに、高張力化あるいは、その他の目的
のために、Ni,Cu,Cr,若しくはMoのうちから
選択した1種若しくは2種以上を添加してもよい。これ
らの元素を添加しても上記本発明の特徴は何も失われる
ことなく、上記諸元素の添加によって、高張力化あるい
は下記の諸効果が達成される。上記成分の添加の目的と
添加量を限定する理由を説明する。
のために、Ni,Cu,Cr,若しくはMoのうちから
選択した1種若しくは2種以上を添加してもよい。これ
らの元素を添加しても上記本発明の特徴は何も失われる
ことなく、上記諸元素の添加によって、高張力化あるい
は下記の諸効果が達成される。上記成分の添加の目的と
添加量を限定する理由を説明する。
【0020】Niは、溶接熱影響部の硬化性及び靭性に
悪い影響を与えることなく鋼の強度と靭性を向上させる
ことができるために添加するが、コスト面からその上限
を1.0重量%にした。Cuは、Niと同じ作用効果を
奏する他に耐食性を向上させるが、0.3重量%を超え
て添加すると熱間脆性が生じ易くなるので、その上限を
0.3重量%とした。
悪い影響を与えることなく鋼の強度と靭性を向上させる
ことができるために添加するが、コスト面からその上限
を1.0重量%にした。Cuは、Niと同じ作用効果を
奏する他に耐食性を向上させるが、0.3重量%を超え
て添加すると熱間脆性が生じ易くなるので、その上限を
0.3重量%とした。
【0021】Cr,Moは、焼き入れ性の向上と析出硬
化とにより、母材の強度を高め、また母材の低温靭性の
向上を期待できる。しかし、各成分の上限値を超える過
剰の添加はHAZ靭性及び硬化性の観点から極めて有害
となるため、Cr,Moの各上限値を夫々0.5重量
%.0.6重量%とした。
化とにより、母材の強度を高め、また母材の低温靭性の
向上を期待できる。しかし、各成分の上限値を超える過
剰の添加はHAZ靭性及び硬化性の観点から極めて有害
となるため、Cr,Moの各上限値を夫々0.5重量
%.0.6重量%とした。
【0022】
【実施例】本発明に実施例を図面,表に基づいて説明す
る。本実施例は、図1に示すように、加熱炉1にて加熱
された厚肉鋼板は、圧延工程2に搬送されて熱間圧延処
理をされる。このとき、仕上げ圧延終了時の鋼板の温度
が800〜950℃になるように、加熱炉1からの払い
出し温度やパスラインの搬送速度等を制御する。図1中
鎖線は鋼板の搬送方向(パスライン)を示している。
る。本実施例は、図1に示すように、加熱炉1にて加熱
された厚肉鋼板は、圧延工程2に搬送されて熱間圧延処
理をされる。このとき、仕上げ圧延終了時の鋼板の温度
が800〜950℃になるように、加熱炉1からの払い
出し温度やパスラインの搬送速度等を制御する。図1中
鎖線は鋼板の搬送方向(パスライン)を示している。
【0023】次に、仕上げ圧延が終了した鋼板は、加速
冷却工程に入り、冷却装置3中を搬送されている間に、
上下から水が噴出されて急冷される。このとき、搬送速
度や噴出する水の水量等を制御することで該鋼板の冷却
速度を毎秒0.5〜5.0℃に調整する。該搬送速度や
噴出させる水量等は、前もって実験等により求めた値を
使用する。
冷却工程に入り、冷却装置3中を搬送されている間に、
上下から水が噴出されて急冷される。このとき、搬送速
度や噴出する水の水量等を制御することで該鋼板の冷却
速度を毎秒0.5〜5.0℃に調整する。該搬送速度や
噴出させる水量等は、前もって実験等により求めた値を
使用する。
【0024】そして、該鋼板の温度が、550℃を越え
且つ770℃以下の範囲になったところで水冷を停止す
る。前記のような加速冷却方法を、下記表1に示す化学
成分を含有する鋼,A鋼〜E鋼について、夫々表2に示
すような条件のもとに実施した。ここで、各鋼の炭素当
量は0.43重量%以下で製品としての鋼板の肉厚を8
0mmとしている。
且つ770℃以下の範囲になったところで水冷を停止す
る。前記のような加速冷却方法を、下記表1に示す化学
成分を含有する鋼,A鋼〜E鋼について、夫々表2に示
すような条件のもとに実施した。ここで、各鋼の炭素当
量は0.43重量%以下で製品としての鋼板の肉厚を8
0mmとしている。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】なお、E鋼は比較のために従来の製造条件
にて製造したものである。また、本実施例においては、
強度向上のためにMn,Nbを若干多めにしているが、
溶接性等に影響を及ぼさない範囲である。また、前記冷
却速度は強度を保証する箇所の冷却速度であり、その箇
所の冷却速度を制御している。本実施例の場合は、板厚
方向1/4の位置での板の強度を保証するものと仮定し
て該板厚方向1/4の位置での冷却速度を制御してい
る。
にて製造したものである。また、本実施例においては、
強度向上のためにMn,Nbを若干多めにしているが、
溶接性等に影響を及ぼさない範囲である。また、前記冷
却速度は強度を保証する箇所の冷却速度であり、その箇
所の冷却速度を制御している。本実施例の場合は、板厚
方向1/4の位置での板の強度を保証するものと仮定し
て該板厚方向1/4の位置での冷却速度を制御してい
る。
【0028】前記条件における急速冷却処理をした際の
板厚方向の冷却速度を測定すると、図2に示すようにな
った。これから、分かるように、比較鋼であるE鋼では
冷却速度が表層と板厚方向中央部とでは大きな差がある
が、本発明に基づいて製造された鋼板では、表層と板厚
方向中央部と冷却速度に余り差が発生していないで、ほ
ぼフェライト+パーライト主体の組織構成になっている
ことがわかる。
板厚方向の冷却速度を測定すると、図2に示すようにな
った。これから、分かるように、比較鋼であるE鋼では
冷却速度が表層と板厚方向中央部とでは大きな差がある
が、本発明に基づいて製造された鋼板では、表層と板厚
方向中央部と冷却速度に余り差が発生していないで、ほ
ぼフェライト+パーライト主体の組織構成になっている
ことがわかる。
【0029】また、製造された各鋼板の板厚方向各位置
での機械的性質(降伏強度(YP),引張強度(T
S))や組成を試験すると、下記表3に示されるような
結果が得られた。また、A鋼,B鋼及び比較鋼であるE
鋼における機械的性質である降伏強度(YP),及び引
張強度(TS)を図示すると図3に示されるようにな
る。
での機械的性質(降伏強度(YP),引張強度(T
S))や組成を試験すると、下記表3に示されるような
結果が得られた。また、A鋼,B鋼及び比較鋼であるE
鋼における機械的性質である降伏強度(YP),及び引
張強度(TS)を図示すると図3に示されるようにな
る。
【0030】
【表3】
【0031】なお、表3中の組織の表示で、Mはマルテ
ンサイト,Bはベイナイト,Pはパーライト,Fはフェ
ライトを夫々表している。これらに示されるように、本
発明の基づく鋼板の板厚方向の組織はほぼ均一になって
いることがわかる。また、本実施例で板の強度を保証す
ると仮定した板厚方向1/4と板厚中央部との降伏強度
(YP)の差も2〜3Kgf/mm2 以内の変化に抑えられて
いる。
ンサイト,Bはベイナイト,Pはパーライト,Fはフェ
ライトを夫々表している。これらに示されるように、本
発明の基づく鋼板の板厚方向の組織はほぼ均一になって
いることがわかる。また、本実施例で板の強度を保証す
ると仮定した板厚方向1/4と板厚中央部との降伏強度
(YP)の差も2〜3Kgf/mm2 以内の変化に抑えられて
いる。
【0032】また、降伏比(YR)についても、本実施
例で板の強度を保証すると仮定した板厚方向1/4,及
び板厚中央部において75%以下にすることができた。
さらに、板厚方向の降伏強度(YP)のばらつきも低減
でき残留応力が1.5Kgf/mm2 以下に抑えられているこ
とも確認できている。
例で板の強度を保証すると仮定した板厚方向1/4,及
び板厚中央部において75%以下にすることができた。
さらに、板厚方向の降伏強度(YP)のばらつきも低減
でき残留応力が1.5Kgf/mm2 以下に抑えられているこ
とも確認できている。
【0033】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の板厚
鋼板の加速冷却製造方法では、加速冷却時の冷却速度を
遅くし、且つ冷却停止温度を550〜770℃(但し、
550℃を除く)と高く設定することで、板厚方向の表
層から中央部までフェライト+パーライトの均一の組織
が得られ、また、降伏点でも該表層と中央部とで3Kgf/
mm2 以下といった材質のばらつきの小さい75%以下の
低降伏比の50Kgf/mm2級厚板鋼板の製造ができるとい
う効果がある。
鋼板の加速冷却製造方法では、加速冷却時の冷却速度を
遅くし、且つ冷却停止温度を550〜770℃(但し、
550℃を除く)と高く設定することで、板厚方向の表
層から中央部までフェライト+パーライトの均一の組織
が得られ、また、降伏点でも該表層と中央部とで3Kgf/
mm2 以下といった材質のばらつきの小さい75%以下の
低降伏比の50Kgf/mm2級厚板鋼板の製造ができるとい
う効果がある。
【0034】また、冷却時の冷却停止温度が高く、残留
応力が小さいので、条切り加工時のキャンバ,反りも従
来よりも低減できるという効果もある。さらに、板厚方
向の組織が均一になって音響異方性も従来の薄肉鋼板と
比較しても同レベルで通常要求される1.02%以下を
満足している。
応力が小さいので、条切り加工時のキャンバ,反りも従
来よりも低減できるという効果もある。さらに、板厚方
向の組織が均一になって音響異方性も従来の薄肉鋼板と
比較しても同レベルで通常要求される1.02%以下を
満足している。
【図1】鋼板に対する処理工程を示す概略構成図であ
る。
る。
【図2】本実施例における板厚方向の各位置での水冷時
の冷却速度を示す図である。
の冷却速度を示す図である。
【図3】本実施例における板厚方向の各位置での機械的
性質の変化を示す図である。
性質の変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60
Claims (2)
- 【請求項1】 C 0.05 〜0.20重量%, Si 0.10 〜0.
50重量%, Mn 0.5〜2.0 重量%, Nb 0.005〜0.030
重量%, Ti 0.005〜0.020 重量%を含有し、且つ、炭
素当量が0.43重量%以下からなり、残部がFeおよび不
可避的不純物である鋼を、所定温度に加熱後、800 〜95
0 ℃の温度域で仕上げ圧延を終了させ、その後、強度を
保証する箇所の冷却速度を毎秒0.5 〜5.0 ℃として550
〜770℃(ただし、550℃は除く)の温度域まで冷却
することを特徴とする厚肉鋼板の加速冷却型製造方法。 - 【請求項2】 前記鋼が、さらにCu≦0.3 重量%, N
i≦1.0 重量%, Cr≦0.5 重量%, Mo≦0.6 重量
%, 若しくはV≦0.1 重量%のうちの1種又は2種以上
を含有していることを特徴とする請求項1記載の厚肉鋼
板の加速冷却型製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31678091A JP3264956B2 (ja) | 1991-11-29 | 1991-11-29 | 厚肉鋼板の加速冷却型製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31678091A JP3264956B2 (ja) | 1991-11-29 | 1991-11-29 | 厚肉鋼板の加速冷却型製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05148543A JPH05148543A (ja) | 1993-06-15 |
JP3264956B2 true JP3264956B2 (ja) | 2002-03-11 |
Family
ID=18080831
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31678091A Expired - Fee Related JP3264956B2 (ja) | 1991-11-29 | 1991-11-29 | 厚肉鋼板の加速冷却型製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3264956B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR100660200B1 (ko) * | 2005-07-20 | 2006-12-21 | 주식회사 포스코 | 두께방향의 재질편차가 적은 후판의 제조방법 |
JP5447778B2 (ja) * | 2009-01-29 | 2014-03-19 | Jfeスチール株式会社 | 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 |
CN108164534A (zh) | 2013-11-25 | 2018-06-15 | 四国化成工业株式会社 | 具有官能团的甘脲类及其利用 |
WO2015076399A1 (ja) | 2013-11-25 | 2015-05-28 | 四国化成工業株式会社 | 官能基を有するグリコールウリル類とその利用 |
JP6520186B2 (ja) * | 2015-02-18 | 2019-05-29 | コニカミノルタ株式会社 | 走査光学装置 |
-
1991
- 1991-11-29 JP JP31678091A patent/JP3264956B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05148543A (ja) | 1993-06-15 |
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