JP3246993B2 - 低温靭性に優れた厚鋼板の製造方法 - Google Patents

低温靭性に優れた厚鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温靭性に優れた厚鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板は構造物として用いられるため、
構造物の安全性確保の観点から低温靭性を要求される場
合が多い。厚鋼板において、低温靭性を得る方法として
は、高価な合金元素を用いずに、他の特性劣化を生じな
い方法としてフェライト(α)結晶粒径の微細化が代表
的であり、αの微細化方法として従来から種々の方法が
提案され、実用化されている。
【0003】代表的な方法として、例えば、特公昭49
−7291号公報、特公昭57−21007号公報、特
公昭59−14535号公報等にあるように、オーステ
ナイト(γ)の未再結晶温度域において制御圧延を行
い、引き続いて加速冷却を行うことによるγからαへの
変態時にαを微細化する方法が提案されている。γから
αへの変態を利用する方法では、γが粗大な場合は未再
結晶圧延の有効活用によりγ/α変換比を高めることが
可能であるが、γが微細になるとγ/α変換比は1に近
づくため、αの微細化の程度は飽和してしまい、極端な
αの微細化は望めない。また、未再結晶域での圧下を増
加すると、生産性が極端に低下する点は制御圧延を前提
とした方法の本質的な欠点として解決が非常に困難な問
題として残る。
【0004】また、圧延等の熱間加工によらず熱処理に
よる方法も提案されている。例えば、〔鉄と鋼,第77
年,第1号,1991,第171〜178頁〕に示され
ているように、V,Nを多量に添加させることによりγ
の微細化を図るとともに、変態時のγ/α変換比を増大
させて、焼きならし処理で微細なα組織とする方法が開
発されている。しかし、焼きならしで細粒化効果を十分
発揮するためにはVを0.01%以上、Nも0.01%
以上添加する必要があるが、到達できるα粒径は5μm
程度である。
【0005】さらに、〔材料とプロセス,第3年,第6
号,1990,第1796頁〕において、γ−α変態の
繰り返しを含む複雑な加工熱処理により粒径が3μm以
下の超細粒鋼を得る方法が開示されている。この方法
は、制御圧延後、加速冷却を行い、500℃程度で加速
冷却を停止した後、常温まで冷却することなく900℃
に再加熱し、所定の温度で熱間圧延を行うことにより超
細粒鋼を得るものであるが、α粒径は冷却停止温度の影
響を強く受け、冷却停止温度が500℃ごく近傍以外で
は3μm以下のα粒径は得られておらず、工業的に安定
して製造することは困難であると考えられる。
【0006】従って、上記の従来の方法はいずれも生産
性の劣化や熱処理工程の増加、さらには合金元素の増加
等、コスト高を伴うとともに、安定して得られるα粒径
は一部の実験的手法を除けば、10μm程度、厳密に制
御された複雑な工程によっても5μm程度が限界であ
り、それ以上のαの微細化による大幅な靭性向上は望め
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高価な合金
元素の多量な添加や生産性の劣る工程や、複雑な繰り返
し工程を行わずに、生産性よく、平均α粒径が3μm以
下程度の超細粒αを得ることのできる低温靭性に優れた
厚鋼板の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべく検討した結果、従来のγからαへの変態を利用し
たαの細粒化では工業的には限界があり、むしろαを直
接加工することで超微細なα組織が得られることを見い
だしたものであり、その要旨とするところは、重量%
で、C:0.01〜0.20%、Si:0.03〜1.
0%、Mn:0.30〜2.0%、Al:0.005〜
0.1%、N:0.001〜0.01%を含有し、さら
に必要に応じて、Cr:0.01〜0.50%、Ni:
0.01〜3.0%、Mo:0.01〜0.50%、C
u:0.01〜1.5%、Ti:0.003〜0.10
%、V:0.005〜0.20%、Nb:0.003〜
0.05%、B:0.0003〜0.0020%の1種
または2種以上を含有し、残部Fe及び不可避不純物か
らなり、以下の〜に該当するミクロ組織を有する鋼
片をAc1 変態点以上をAc3 変態点未満に加熱した
後、累積圧下率50%以上の圧延をAc1 変態点以上A
3 変態点未満の温度範囲で行って平均フェライト粒
径が3μm以下の超細粒組織を生成せしめ、そして、そ
の後必要に応じて、5℃/秒以上の冷却速度で650℃
以下の温度に加速冷却するか、圧延終了に引き続いて5
℃/秒以上の冷却速度で650℃以下の温度に加速冷却
した後、Ac1 変態点以下に焼き戻すことを特徴とする
低温靭性に優れた厚鋼板の製造方法にある。 マルテンサイト単相組織、あるいはベイナイト単相組
織、あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満の、フェライトとマル
テンサイト、あるいはフェライトとベイナイト、あるい
はフェライト、ベイナイト、マルテンサイト3者の混合
組織 フェライトの平均粒径が20μm以下の、フェライト
単相組織あるいはフェライトとマルテンサイト、ベイナ
イト、パーライトの内、1種または2種以上からなる混
合組織。
【0009】
【作用】先ず、本発明者らは鋼片をAc1 変態点以上A
3 変態点未満に加熱した後、累積圧下率50%以上の
圧延をAc1 変態点以上Ac3 変態点未満の温度範囲で
行い、αに直接加工を加えることにより超細粒化できる
ことを見いだした。αを加工する厚鋼板の製造方法とし
て、従来から制御圧延の延長として行われてきた、γ域
加工に引き続いて冷却過程のα,γ共存域で圧延を加え
る、いわゆる二相域圧延法がある。この方法ではαに加
工組織を導入することにより強度の上昇を図ることは可
能であるが、αの効果的な細粒化は困難であり、靭性も
改善が難しく、αが加工強化された分、靭性はむしろ劣
化する場合が多い。
【0010】一方、本発明は冷却過程に比べて加熱過程
では同じ温度でもαの割合が多い、即ち、加工段階で同
じαの割合を高温で確保できることにより、αの回復・
再結晶が容易となって、靭性に有害な加工歪を残存させ
ずに、再結晶によりαが顕著に細粒化し、またこの時に
共存しているγも極低温で加工されるため、冷却中に変
態するαも従来のγ単相域で加工された後、変態した場
合に比べて細粒化し、全体的にαが顕著に微細化するた
め、優れた靭性を得ることが可能となる。
【0011】しかしながら、単に二相域に加熱して加工
するだけではαは必ずしも均一に超細粒化しない。それ
は、加工前の組織、特にα粒径が粗大であると、圧下率
を大きくしても再結晶が生じ難くなるためである。本発
明者らはαの加工において、均一微細化するための条件
を鋭意研究した結果、加工前のミクロ組織により、再結
晶の生じやすさが変化し、その結果としてαが均一に微
細化するか否かが決定されることを見いだした。以下
に、先ず、実験結果に基づいて本発明の製造方法のう
ち、加工前組織に関する限定理由を説明する。
【0012】重量%で、C:0.12%、Si:0.3
3%、Mn:1.45%、Ti:0.011%、Al:
0.03%、N:0.0028%を含有する鋼片につい
て、先ず、厚さ10mmの鋼片を圧延を加えない種々の熱
処理により、マルテンサイト単相組織、ベイナイト+マ
ルテンサイト混合組織、αの割合が約18%のα+ベイ
ナイト混合組織、αの割合が約55%でその平均粒径が
約35μmのα+ベイナイト混合組織の4種類の組織
(以降、この段階での組織を前組織と呼ぶ)を有する鋼
片とした後、種々の温度に2時間保持し、温度の低下を
極力少なくなるよう、加熱炉から抽出後直ちに1パスの
圧延を加え、板厚4mmとし、そのまま室温まで放冷し
た。その時の加熱温度(約加工温度)と得られた平均α
粒径の関係を図1に示す。
【0013】前組織によらず、加工温度がAc1 変態点
未満であると、α伸長した未再結晶粒で、回復も不十分
である。一方Ac3 変態点以上であるとγ単相域で加工
して冷却する、通常の熱間圧延と同様の条件となるた
め、α粒径は5μm以上で、極端な細粒化は達成されな
い。Ac1 変態点以上、Ac3 変態点未満の温度範囲で
加工すると、αは最も細粒化するが、その細粒化の程度
は前組織により大きく異なり、前組織がマルテンサイト
単相組織、ベイナイト+マルテンサイト混合組織、αの
割合が約18%のα+ベイナイト混合組織では3μm以
下の非常に微細なα組織が得られるのに対して、αの割
合が約55%でその平均粒径が約35μmのα+ベイナ
イト混合組織では細粒化が十分でない。
【0014】これは、αを加熱した場合はもとの粒径が
加熱温度の上昇につれて粗大化する一方であるのに対し
て、マルテンサイトあるいはベイナイト組織を加熱した
場合は、マルテンサイト、ベイナイトのラスやブロック
が実質的な粒界の役割を果たすため加工前の粒径として
は微細であること、また、加熱前に存在したり、加熱中
に析出する微細なセメンタイトが粒内に存在すると、二
相域温度では微細なγとなってαへの均一加工を助け、
再結晶が容易になるため、前組織がマルテンサイトある
いはベイナイトであれば加工後のαの超細粒化は容易と
なる。前組織中にαが存在してもその割合が少なけれ
ば、全体の微細化に大きな悪影響は及ぼさない。図1の
結果及び本発明者らの他の実験結果から前組織中のαの
割合が20%未満であれば超細粒化に支障がない。
【0015】α主体組織が超細粒化し難いのは、その粒
径が粗い場合である。図2には図1と同じ鋼片を用い
て、前組織がαとパーライトの混合組織の場合に熱処理
条件により前組織のα粒径を変化させて加工温度と平均
α粒径の関係を調べた図である。この場合、前組織中の
αの割合は約80%以上であるが、α粒径が約20μm
以下であればα主体組織であっても二相域で加工した場
合に超細粒化し得る。他の第二相は加熱中にαとγに分
離するため、加工前のα粒径としては元々αである場合
に比べて細粒となる。従って、αが20%を超える組織
でもα粒径を20μm以下としておけば残りの組織の種
類によらず超細粒化は可能となる。
【0016】以上、図1,図2に示した実験結果から、
αを超細粒化して低温靭性を向上させるための製造条件
として、Ac1 変態点以上、Ac3 変態点未満の温度範
囲での加熱、加工が必要なこと、加工する前の組織を以
下のいずれかを満足する組織とする必要があることが明
らかである。 マルテンサイト組織、あるいはベイナイト組織、ある
いは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満の、フェライトとマル
テンサイト、あるいはフェライトとベイナイト、あるい
はフェライト、ベイナイト、マルテンサイト3者の混合
組織 フェライトの平均粒径が20μm以下の、フェライト
単相組織あるいはフェライトとマルテンサイト、ベイナ
イト、パーライトの内、1種または2種以上からなる混
合組織
【0017】次に、他の製造条件に関する限定理由を説
明する。Ac1 変態点以上、Ac3 変態点未満の温度範
囲に加熱、加工する場合、αが再結晶するためには一定
以上の加工を加える必要があり、本発明者らの実験結果
に基づけば、累積圧下率として50%以上が必要であ
る。該温度範囲ではγ域に比べて温度が低いので、加え
られた加工の歪は蓄積されるので、各パスの圧下率の大
小は問わない。ただし、各パスの圧下の効果をαの再結
晶に有効に働かせるためには、各パスの間隔は短い方が
好ましい。
【0018】本発明における圧延温度域は最高でもAc
3 変態点未満であるので、圧延後の冷却中のαの成長や
セメンタイト、析出物の粗大化の懸念は小さい。従っ
て、圧延後の冷却としては、空冷あるいは所望の鋼板強
度レベルに応じて、圧延に引き続いて5℃/秒以上の冷
却速度で650℃以下まで加速冷却したり、加速冷却後
Ac1 変態点以下で焼戻し処理を施すことが可能であ
る。以上が製造方法に関する本発明の限定理由である
が、低温靭性を確保するためには製造方法だけでなく、
化学成分も適正範囲内とする必要がある。以下に、本発
明における化学成分の限定理由を述べる。
【0019】先ず、Cは鋼の強度を向上させる有効な成
分として添加するもので、0.01%未満では構造用鋼
に必要な強度の確保が困難であり、また0.20%を超
える過剰の添加は靭性や耐溶接割れ性等を著しく低下さ
せるので、0.01〜0.20%の範囲とした。次にS
iは脱酸元素として、また、母材の強度確保に有効な元
素である。0.03%未満の添加では脱酸が不十分とな
り、また強度確保に不利である。逆に1.0%を超える
過剰の添加は粗大な酸化物を形成して延性や靭性劣化を
招く。そこで、Siの範囲は0.03〜1.0%とし
た。
【0020】また、Mnは母材の強度、靭性の確保に必
要な元素であり、最低限0.30%以上添加する必要が
あるが、溶接部の靭性、割れ性等材質上許容できる範囲
で上限を2.0%とした。Alは脱酸、γ粒径の細粒化
等に有効な元素であり、効果を発揮するためには0.0
05%以上含有する必要があるが、0.1%を超えて過
剰に添加すると、粗大な酸化物を形成して延性を極端に
劣化させるため、0.005〜0.1%の範囲に限定す
る必要がある。NはAlやTiと結びついてγ粒微細化
に有効に働くが、その効果が明確になるためには0.0
01%以上含有させる必要がある一方、過剰に添加する
と固溶Nが増加して靭性に悪影響を及ぼす。許容できる
範囲として上限を0.01%とする。
【0021】以上が本発明鋼の基本成分であるが、所望
の強度レベルに応じて母材強度の上昇の目的で、必要に
応じてCr,Ni,Mo,Cu,Ti,V,Nb,Bの
1種または2種以上を含有することができる。先ず、C
r及びMoはいずれも母材の強度向上に有効な元素であ
るが、明瞭な効果を生じるためには0.01%以上必要
であり、一方、0.50%を超えて添加すると、靭性が
劣化する傾向を有するため、0.01〜0.50%の範
囲とする。
【0022】またNiは母材の強度と靭性を同時に向上
でき、非常に有効な元素であるが、効果を発揮させるた
めには0.01%以上含有させる必要がある。含有量が
多くなると強度、靭性は向上するが3.0%を超えて添
加しても効果が飽和するため、経済性を考慮して、上限
を3.0%とする。次にCuもほぼNiと同様の効果を
有するが、1.5%超の添加では熱間加工性に問題を生
じるため、0.01〜1.5%の範囲に限定する。
【0023】Tiは析出強度により母材強度向上に寄与
するとともに、TiNの形成によりγ粒微細化にも有効
な元素であるが、効果を発揮できるためには0.003
%以上の添加が必要である。一方、0.10%を超える
と、Alと同様、粗大な酸化物を形成して靭性や延性を
劣化させるため、上限を0.10%とする。V及びNb
はいずれも主として析出強化により母材の強度向上に寄
与するが、過剰の添加で靭性が劣化する。従って、靭性
の劣化を招かずに、効果を発揮できる範囲として、Vは
0.005〜0.20%、Nbは0.003〜0.05
%とする。Bは0.0003%以上のごく微量添加で鋼
材の焼入性を高めて強度上昇に非常に有効であるが、過
剰に添加するとBNを形成して、逆に焼入性を落とした
り、靭性を大きく劣化させるため、上限を0.0020
%とする。
【0024】
【実施例】実施例に用いた供試鋼の化学成分を表1に示
す。鋼種1〜7は本発明の化学成分範囲内であり、鋼種
8,9は本発明の化学成分から、C,Tiがそれぞれ逸
脱している。表1の供試鋼を用いて行った厚鋼板の、前
熱処理により得られた前組織の状態、製造条件、及び得
られた強度、靭性を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】鋼No.A1〜A13は本発明の方法により
製造した厚鋼板で、最終的に得られたα粒径は全て3μ
m以下と、顕著に細粒化しており、従って、シャルピー
衝撃試験の破面遷移温度(vTrs)で評価した靭性値
はvTrsで−100℃と優れている。
【0030】鋼No.B1〜B7は比較例で、いずれも本
発明の条件を満足していないため、本発明により製造し
た厚鋼板に比べて靭性は大幅に劣化している。即ち、比
較鋼B1,B2は化学成分が本発明の範囲外であるた
め、最終的に得られるα粒径は微細だが、靭性は劣る。
また、比較鋼B3は前組織のα粒径が粗大であるため、
B4はα粒径が粗大な上に圧下率が小さすぎるため、ま
た、B5は前組織は本発明を満足しているが、累積圧下
率が不十分なため、いずれも圧延後のα粒径が粗大とな
って、良好な靭性が得られない。
【0031】一方、比較鋼B6,B7は加熱及び圧延温
度が本発明の範囲外のため、本発明により製造した厚鋼
板に比べて靭性が劣化する。即ち、鋼B6は加熱,圧延
温度が低すぎるため、αが再結晶せず、細粒化しない上
に加工歪が残り、靭性が改善されない。比較鋼B7は逆
に加熱温度が高すぎてAc3 変態点を超えているため、
通常の熱間圧延となんら異なるところがないため、αが
細粒化せず靭性も劣る。以上の実施例によれば、本発明
の製造方法により従来の製造方法に比べて顕著な靭性改
善が可能であることが明らかである。
【0032】
【発明の効果】本発明は、高価な合金元素を用いたり、
複雑な熱履歴により生産性を低下させることなく、低温
靭性の良好な厚鋼板を製造できる画期的な方法であり、
製造コストの低減、構造物としての安全性の向上等、産
業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】加工温度とフェライト粒径の関係に及ぼす前組
織の種類の影響を示す図表。
【図2】前組織がフェライトとパーライトの混合組織の
場合の加工温度とα粒径の関係に及ぼす初期フェライト
粒径の影響を示す図表。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−148544(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.20%、 Si:0.03〜1.0%、 Mn:0.30〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、 N :0.001〜0.01%、 残部Fe及び不可避不純物からなり、以下の〜に該
    当するミクロ組織を有する鋼片をAc1 変態点以上をA
    3 変態点未満に加熱した後、累積圧下率50%以上の
    圧延をAc1 変態点以上Ac3 変態点未満の温度範囲で
    行うことにより、平均フェライト粒径が3μm以下の超
    細粒組織を生成せしめることを特徴とする低温靭性に優
    れた厚鋼板の製造方法。 マルテンサイト単相組織、あるいはベイナイト単相組
    織、あるいは両者の混合組織 フェライトの割合が20%未満の、フェライトとマル
    テンサイト、あるいはフェライトとベイナイト、あるい
    はフェライト、ベイナイト、マルテンサイト3者の混合
    組織 フェライトの平均粒径が20μm以下の、フェライト
    単相組織あるいはフェライトとマルテンサイト、ベイナ
    イト、パーライトの内、1種または2種以上からなる混
    合組織。
  2. 【請求項2】 重量%でさらに、 Cr:0.01〜0.50%、 Ni:0.01〜3.0%、 Mo:0.01〜0.50%、 Cu:0.01〜1.5%、 Ti:0.003〜0.10%、 V :0.005〜0.20%、 Nb:0.003〜0.05% B :0.0003〜0.0020% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項1記載の低温靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 圧延終了に引き続いて5℃/秒以上の冷
    却速度で650℃以下の温度に加速冷却することを特徴
    とする請求項1または2記載の低温靭性に優れた厚鋼板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 圧延終了に引き続いて5℃/秒以上の冷
    却速度で650℃以下の温度に加速冷却した後、Ac1
    変態点以下に焼き戻すことを特徴とする請求項1または
    2記載の低温靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
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