JP3261515B2 - 低温靱性に優れた厚鋼板の製造方法 - Google Patents

低温靱性に優れた厚鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温靱性に優れた厚鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板は構造物として用いられるため、
構造物の安全性確保の観点から低温靱性を要求される場
合が多い。厚鋼板において、低温靱性を得る方法は種々
提案されているが、高価な合金元素を用いずに、他の特
性劣化を生じない方法としてフェライト(α)結晶粒径
の微細化が代表的であり、αの微細化方法として、従来
から種々の方法が提案され、実用化されている。
【0003】代表的な方法としては、例えば特公昭49
−7291号公報、特公昭57−21007号公報、特
公昭59−14535号公報等にあるように、オーステ
ナイト(γ)の未再結晶温度域において制御圧延を行
い、引き続いて加速冷却を行うことによるγからαへの
変態時にαを微細化する方法が提案されている。γから
αへの変態を利用する方法では、γが粗大な場合は未再
結晶域圧延の有効活用によりγ/α変換比を高めること
が可能であるが、γが微細になるとγ/α変換比は1に
近づくため、αの微細化の程度は飽和してしまい、αの
顕著な微細化は望めない。
【0004】制御圧延の温度域をα/γ二相域まで拡大
した、いわゆる二相域圧延による強度・靱性改善技術も
提案されている。例えば、特公昭58−5967号公報
にあるように、成分やγ域での圧下条件の工夫等により
二相域圧延に特徴的なセパレーションの発生を抑制して
靱性の向上を計る技術が提案されている。しかし、従来
の技術ではα粒径は通常の制御圧延と同程度であり、セ
パレーションの発生による3軸応力の低減効果を用いて
初めて大幅な靱性向上が計れる。
【0005】また、圧延等の熱間加工によらず熱処理に
よる方法も提案されている。例えば、〔鉄と鋼、第77
年、第1号、1991、第171〜178頁〕に示され
ているように、V、Nを多量に添加させることによりγ
の細粒化を計るとともに、変態時のγ/α変換比を増大
させて、焼きならし処理で微細なα組織とする方法が開
発されている。しかし、焼きならしで細粒化効果を十分
発揮するためには、Vを0.01%以上、Nも0.01
%以上添加する必要があり、到達できるα粒径も5μm
程度である。
【0006】さらに、〔材料とプロセス、第3年、第6
号、1990、第1796頁〕においては、γ−α変態
の繰り返しを含む複雑な加工熱処理により、粒径が3μ
m以下の超細粒鋼を得る方法が開示されている。この方
法は、制御圧延後、加速冷却を行い、500℃程度で加
速冷却を停止した後、常温まで冷却することなく900
℃に再加熱し、所定の温度で熱間圧延を行うことにより
超細粒鋼を得るものであるが、α粒径は冷却停止温度の
影響を強く受け、冷却停止温度が500℃のごく近傍以
外では3μm以下のα粒径は得られておらず、工業的に
安定して製造することは困難であると考えられる。
【0007】従って、上記の従来の方法は、いずれも生
産性の劣化や熱処理工程の増加、さらには合金元素の増
加等、コスト高を伴うとともに、安定して得られるα粒
径は一部の実験的手法を除けば10μm程度、厳密に制
御された複雑な工程によっても5μm程度が限界であ
り、それ以上のαの微細化による大幅な靱性向上は望め
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高価な合金
元素の多量な添加や生産性の劣る工程や、複雑な繰り返
し工程を行わずに、生産性良く、平均α粒径が3μm以
下程度の超細粒αを得ることのできる低温靱性に優れた
厚鋼板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、αの熱間加工挙動を詳細に調査する
ことにより、αの超細粒化のための手段を見出し、本発
明を完成するに至ったものである。即ち、本発明の要旨
とするところは、重量%で、C:0.01〜0.20
%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.30〜2.
0%、Al:0.005〜0.1%、N:0.001〜
0.01%を含有し、さらに必要に応じて、Cr:0.
01〜0.50%、Ni:0.01〜3.0%、Mo:
0.01〜0.50%、Cu:0.01〜1.5%、T
i:0.003〜0.10%、V:0.005〜0.2
0%、Nb:0.003〜0.05%、B:0.000
3〜0.0020%の1種または2種以上を含有し、残
部Feおよび不可避不純物からなる鋼片を、Ac3変態点
以上、1200℃以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上
の温度で終了する粗圧延により平均オーステナイト粒径
を50μm以下とした上で、2℃/秒以下の冷却速度で
フェライト分率が面積率で50%以上となる温度まで冷
却した後、累積圧下率50%以上の仕上圧延を650℃
以上の温度で終了し、引き続いて5℃/秒以上の冷却速
度で550℃以下の温度に加速冷却することにより平均
フェライト粒径を3μm以下とし、必要に応じて、60
0℃以下の加熱温度で焼き戻すことを特徴とする低温靱
性に優れた厚鋼板の製造方法にある。
【0010】以下に本発明について実験結果に基づいて
詳細に説明する。本発明はαの細粒化の手段として、加
工αの回復・再結晶による方法を用いている点に特徴を
有する。即ち、γ/α二相域で加工を加えることにより
得られるαを加工後回復・再結晶せしめて実質的なαの
細粒化を計る。この場合、超細粒化のためには加工後の
αの回復・再結晶は再加熱熱処理のような方法ではな
く、圧延後の冷却中、好ましくは圧延中あるいは直後に
生じさせる方が有利となる。ただし、冷却中にαを一定
量以上生成させようとすると必然的に温度が低下するた
め、圧延中あるいはその後の冷却中に適正な回復・再結
晶を生じせしめることは一般的には困難である。本発明
者らは、この冷却過程での加工におけるαの挙動を詳細
な実験により調査し、加工αの回復・再結晶により超細
粒化するためには二相域加工条件の適正化とともに二相
域加工に入る前の組織を規定する必要があることを見出
し、本発明を完成するに至った。以下に実験に基づいて
さらに説明する。
【0011】化学組成がC:0.15%、Si:0.2
%、Mn:1.2%、Nb:0.006%、Ti:0.
01%、N:0.0032%の鋼を1150℃に加熱
し、γ域の圧延条件(圧下率、圧下温度)を変化させ
て、γ/α変態前のγ粒径を約30μmと65μmの2
種類とした上で、圧下率と圧下温度を変えた二相域1パ
ス加工を行った。二相域圧下温度を変化させることは加
工時のフェライト分率を変えることを意味する。二相域
加工に入るときの板厚が揃うように初期スラブ厚を変え
た。従って、二相域圧下後の板厚は圧下率に応じて異な
る。二相域圧下後は冷却速度が約20℃/秒になるよう
に調整して、ほぼ室温まで制御冷却を行い、板厚中心部
の組織を観察した。αの形態はナイタール腐食組織を光
学顕微鏡により観察して判定し、α粒径は走査型電子顕
微鏡により倍率3500倍の写真を用いて測定した。走
査型電子顕微鏡写真では、いわゆる大傾角粒界と小傾角
粒界とは明確には区別できないが、本発明では両者を全
て粒界とみなして測定した。
【0012】図1、図2は二相域圧下条件とαの形態お
よびα粒径の関係を示す図であるが、図1は変態前のγ
粒径が約30μmの場合、図2は65μmの場合の結果
である。図1から圧下率が増加するにつれてα粒径は微
細化する傾向が認められるが、整細粒で粒径が約3μm
以下となるためには、圧下率だけでなく、二相域加工時
フェライト分率も規定する必要があることが分かる。
【0013】即ち、フェライト分率が小さいと加工され
るαの割合が小さいため、得られる組織としては加工α
から形成される組織よりもγから変態する組織が主体と
なり、圧下率が大きくてもγからの変態で生じるαの粒
径には限界があるため、全体のα粒径の微細化にも限度
がある。また、混粒組織にもなりやすい。一方、フェラ
イト分率が多くても、圧下率が小さいとαの回復・再結
晶が進行し難いため、加工ままαとなりαの微細化は達
成されない。従って、超細粒化のためには、一定以上の
フェライト分率を確保した上で一定以上の圧下率で圧下
を加える必要がある。図1の検討を種々の成分の鋼につ
いて実施した結果、超細粒化するための圧下条件範囲は
加工前のフェライト分率と圧下率で規定すれば鋼種によ
らずほぼ一定であることが判明しており、α粒径が安定
して3μm以下となる条件から、γ域の圧下に引き続く
二相域温度での圧下条件として、加工時のフェライト
率が面積率で50%以上で、かつ累積圧下率が50%以
上を本発明の範囲とする。
【0014】以上は、変態開始前のγ粒径が約30μm
と微細な場合であるが、αの超細粒化のためには、上記
二相域圧下条件だけでなく、加工前の組織を規定する必
要がある。即ち、図2は変態前のγ粒径が約65μmの
場合であるが、この場合は図1と同様の二相域圧下条件
範囲内であってもほとんどα粒径が3μm以下とはなら
ない。これは、前組織が粗大であるためαの回復・再結
晶が抑制されることに起因する。二相域加工前の組織は
圧延条件としては変態域での冷却速度と変態前のγ粒径
で代表され、一般的にはγ粒径が一定であれば、冷却速
度が大きいほど前組織は微細となる。一方、冷却速度が
大きくなるにつれてαの生成が抑制されるため、同じ
ェライト分率を得るためにはより低温まで冷却する必要
が生じ、その結果としてαの加工温度も低下することに
なる。前組織を微細化してもαの加工温度が低くなると
αの回復・再結晶は抑制されるため、冷却速度を高める
ことでの前組織の微細化は却ってαの細粒化にとっては
不利となる。むしろ、より高温でαの量を確保するため
に冷却速度は小さくすべきである。このような条件下で
前組織を微細化する方法としては、γの微細化が有効と
なる。別途、詳細な検討の結果、γ単相域での加工後、
所望のフェライト分率を得るまでの冷却速度が2℃/秒
以下で、かつその冷却条件下でγ粒径を50μm以下と
すれば前組織を微細化でき、図1で示したように二相域
加工時のフェライト分率が面積率で50%以上で、かつ
累積圧下率が50%以上の条件で約3μm以下の超細粒
αを安定して得ることが可能となることを知見した。こ
の、所望のフェライト分率を得るまでの冷却速度が2℃
/秒以下で、かつその冷却条件下でγ粒径が50μm以
下の前提条件を外れた場合は、二相域圧下の条件を如何
に調整しても超細粒αが得られないか、得られてもその
二相域圧下条件範囲が非常に狭く、工業的に利用するこ
とが難しい。
【0015】以上の理由から、本発明においては、所定
の化学組成を有する鋼片をAc3変態点以上、1200℃
以下の温度に加熱し、Ar3変態点以上の温度で終了する
粗圧延により平均オーステナイト粒径を50μm以下と
した上で、2℃/秒以下の冷却速度でフェライト分率が
面積率で50%以上となる温度まで冷却した後、累積圧
下率50%以上の仕上圧延を行うことを要件とする。
【0016】ここで、加熱温度をAc3変態点以上、12
00℃以下としたのは、Ac3変態点未満では容体化が不
十分であり、また、未変態のαが粗大な場合は引き続く
圧延、冷却によっては、二相域加工前のαの微細化が困
難なためであり、一方1200℃を超えるとγが混粒を
生じやすく、平均的なγ粒径を50μm以下にしても一
部αが超細粒化しない部分が生じ、靱性値としては改善
が望めないためである。
【0017】また、γ粒の調整を目的とした圧延におい
ては、その終了温度はAr3変態点以上とする。これは、
変態点未満での圧延はγ粒の微細化に有効でなく、また
αを十分形成する前の加工はαの超細粒化にも有効でな
いためである。なお、二相域圧延となる仕上圧延は65
0℃以上で終了する必要がある。これは、加工温度が低
いとαの回復・再結晶が抑制されて超細粒化が不十分と
なるためで、二相域圧延の全過程でαの回復・再結晶を
進行せしめて安定的に超細粒組織を得るための条件であ
る。
【0018】圧延後は、5℃/秒以上の冷却速度で55
0℃以下の温度に加速冷却する。また、加速冷却後、強
度調整、残留応力除去等の目的で焼き戻しを施すことも
可能であるが、その場合は得られた超細粒αを成長させ
ないように、焼き戻し温度は600℃以下とすべきであ
る。
【0019】
【作用】以上が製造方法に関する本発明の限定理由であ
るが、低温靱性を確保するためには、製造方法だけでな
く、化学成分も適正範囲内とする必要がある。以下に、
本発明における化学成分の限定理由を述べる。先ず、C
は鋼の強度を向上させる有効な成分として添加するもの
で、0.01%未満では構造用鋼に必要な強度の確保が
困難であり、また0.20%を超える過剰の添加は靱性
や耐溶接割れ性などを著しく低下させるので、0.01
〜0.20%の範囲とした。
【0020】次に、Siは脱酸元素として、また母材の
強度確保に有効な元素である。0.03%未満の添加で
は脱酸が不十分となり、また強度確保に不利である。逆
に、1.0%を超える過剰の添加は粗大な酸化物を形成
して延性や靱性劣化を招く。そこで、Siの範囲は0.
03〜1.0%とした。また、Mnは母材の強度、靱性
の確保に必要な元素であり、最低限0.30%は添加す
る必要があるが、溶接部の靱性、割れ性など材質上許容
できる範囲で上限を2.0%とした。
【0021】Alは脱酸、γ粒径の細粒化等に有効な元
素であり、効果を発揮させるためには0.005%以上
含有する必要があるが、0.1%を超えて過剰に添加す
ると、粗大な酸化物を形成して延性を極端に劣化させる
ため、0.005〜0.1%の範囲に限定する必要があ
る。NはAlやTiと結びついてγ粒微細化に有効に働
くが、その効果を明確にするためには0.001%以上
含有させる必要がある。一方、過剰に添加すると固溶N
が増加して靱性に悪影響を及ぼすため、許容できる範囲
として上限を0.01%とする。
【0022】以上が本発明鋼の基本成分であるが、所望
の強度レベルに応じて母材強度の上昇を目的として、必
要に応じて、Cr、Ni、Mo、Cu、Ti、V、N
b、Bの1種または2種以上を含有することができる。
先ず、CrおよびMoは、いずれも母材の強度向上に有
効な元素であるが、明瞭な効果を生じさせるためには
0.01%以上必要であり、一方、0.50%を超えて
添加すると、靱性が劣化する傾向を有するため、0.0
1〜0.50%の範囲とする。
【0023】また、Niは母材の強度と靱性を同時に向
上でき、非常に有効な元素であるが、効果を発揮させる
ためには0.01%以上含有させる必要がある。含有量
が多くなると強度、靱性は向上するが、3.0%を超え
て添加しても効果が飽和するためと、Ar3変態点が極端
に低下して本発明の条件である、仕上圧延前のフェライ
ト分率が面積率で50%以上と、仕上圧延開始温度65
0℃以上を同時に満足することができなくなるため、経
済性も考慮して、上限を3.0%とする。
【0024】次に、CuもほぼNiと同様の効果を有す
るが、1.5%超の添加では熱間加工性に問題を生じる
ため、0.01〜1.5%の範囲に限定する。Tiは析
出強化により母材の強度向上に寄与するとともに、Ti
Nの形成によりγ粒微細化にも有効な元素であるが、効
果を発揮させるためには0.003%以上の添加が必要
である。一方、0.10%を超えると、Alと同様、粗
大な酸化物を形成して靱性や延性を劣化させるため、上
限を0.10%とする。
【0025】VおよびNbは、いずれも主として析出強
化により母材の強度向上に寄与するが、過剰に添加する
と靱性が劣化する。従って、靱性の劣化を招かずに、効
果を発揮できる範囲として、Vは0.005〜0.20
%、Nbは0.003〜0.05%とする。Bは0.0
003%以上のごく微量添加で鋼材の焼入性を高めて強
度上昇に非常に有効であるが、過剰に添加するとBNを
形成して、逆に焼入性を落としたり、靱性を大きく劣化
させるため、上限を0.0020%とする。
【0026】次に、本発明の効果を実施例によってさら
に具体的に述べる。
【0027】
【実施例】実施例に用いた供試鋼の化学成分を表1に示
す。各供試鋼は造塊後、分塊圧延により、あるいは連続
鋳造により鋼片となした。表1の内、鋼番〜10は本
発明の化学成分範囲を満足しており、鋼番11〜13は
本発明の化学成分範囲を外れている。
【0028】表1の鋼片を表2、表3(表2のつづき−
1)、表4(表2のつづき−2)、表5(表2のつづき
−3)に示す条件により鋼板に製造し、強度、シャルピ
ー衝撃特性、DWTT特性を調査した。試験片は全て板
厚中心部から圧延直角方向に採取した。シャルピー衝撃
特性は50%破面遷移温度(vTrs)で、またDWT
T特性は85%延性破面遷移温度(85%FATT)で
それぞれ評価した。強度、靱性の試験結果も表2〜表5
に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】表2〜表5において、試験No.A4〜A
17はいずれも本発明に従って製造した鋼板であり、全
て平均α粒径が約3μm以下の超細粒組織が得られ、靱
性値もvTrsで−100℃以下、DWTTの80%F
ATTで−70℃以下が達成されている。一方、試験N
o.B1〜B9は比較例であり、いずれかの条件が本発
明の限定範囲を外れているためαの超細粒化が計られて
おらず、本発明例に比べてシャルピー特性、DWTT特
性ともはるかに劣る。即ち、試験No.B1は加熱温度
が高過ぎるため、前組織の微細化が十分計られていな
い。B2およびB5は変態前のγ粒径が粗大な上、二相
域加工時のフェライト分率が本発明の限定範囲を外れて
いる。また試験No.B3およびB6は仕上圧延の圧下
率が不十分なため、超細粒化が不十分である。また、B
4はγ粒径が粗大なため、B7〜B9は化学成分範囲が
本発明範囲外であるため、超細粒化が達成されなかった
り、他の靱性劣化要因のために低温靱性が劣る。
【0035】以上から、本発明によれば約3μm以下の
超細粒化組織を有し、非常に良好な低温靱性を示す鋼板
の製造が可能であることが明白である。
【0036】
【発明の効果】本発明は、高価な合金元素を用いたり、
複雑な熱履歴により生産性を低下させることなく、低温
靱性の良好な厚鋼板を製造できる画期的な方法であり、
製造コストの低減、構造物としての安全性の向上等、産
業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】変態前γ粒径が30μmの場合の二相域圧下条
件とαの形態、粒径との関係をを示す図である。
【図2】変態前γ粒径が65μmの場合の二相域圧下条
件とのαの形態、粒径との関係を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−9651(JP,A) 特公 昭62−1454(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.20%、 Si:0.03〜1.0%、 Mn:0.30〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、 N :0.001〜0.01% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼片
    を、Ac3変態点以上、1200℃以下の温度に加熱し、
    r3変態点以上の温度で終了する粗圧延により平均オー
    ステナイト粒径を50μm以下とした上で、2℃/秒以
    下の冷却速度でフェライト分率が面積率で50%以上と
    なる温度まで冷却した後、累積圧下率50%以上の仕上
    圧延を650℃以上の温度で終了し、引き続いて5℃/
    秒以上の冷却速度で550℃以下の温度に加速冷却する
    ことにより平均フェライト粒径を3μm以下とすること
    を特徴とする低温靱性に優れた厚鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記加速冷却した後、600℃以下の温
    度で焼き戻すことを特徴とする請求項1記載の低温靱性
    に優れた厚鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、さらに、 Cr:0.01〜0.50%、 Ni:0.01〜3.0%、 Mo:0.01〜0.50%、 Cu:0.01〜1.5%、 Ti:0.003〜0.10%、 V :0.005〜0.20%、 Nb:0.003〜0.05%、 B :0.0003〜0.0020% の1種または2種以上を含有したことを特徴とする請求
    項1または2記載の低温靱性に優れた厚鋼板の製造方
    法。
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