JP2003321727A - 曲げ加工性に優れた低降伏比型高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

曲げ加工性に優れた低降伏比型高張力鋼板およびその製造方法

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JP2003321727A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震時の変形や曲げ加工のごとく鋼板表層部
に塑性歪が集中する変形に耐えうる優れた曲げ加工性能
を有する引張強度が570MPa以上の低降伏比型高張
力鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板表面から少なくとも板厚10%まで
の領域の金属組織を、フェライト分率70%以上でフェ
ライト平均結晶粒径が10μm以下とし、かつ、鋼板表
面から板厚20%の位置から内部の領域の金属組織を、
ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの分率が70
%以上となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高張力鋼板および
その製造方法に関し、特に、構造物の安全性確保に必須
の低降伏比を達成し、かつ曲げ加工等の塑性変形性能に
優れた高張力鋼板、およびこの様な高張力鋼板を得るた
めの有用な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】震災以降、構造物の安全性を高めるべく
いわゆる耐震設計の思想が普及し、その結果、用いられ
る鋼材に対し、特性として高強度のみならず低降伏比
(YR≦80%)であることが強く求められるようにな
った。
【0003】従来より、いわゆる調質型または非調質型
(TMCP型)高張力鋼板と呼ばれる強度クラスが57
0MPa以上の溶接構造用鋼板があるが、降伏比は、強
度400MPaクラスの軟質相であるフェライト主体の
軟鋼や、500MPaクラスの鋼板と比較して高い。そ
の理由として、前記調質型または非調質型(TMCP
型)高張力鋼板は、強度を確保するため鋼板の内部組織
をベイナイト組織やマルテンサイト組織といった硬質相
とするが、これらの組織は降伏強さ(YS)も高め、結
果としてYRが高くなるためと考えられる。
【0004】一般に、低降伏比型の高張力鋼板を実現す
るには、硬質相であるベイナイトやマルテンサイト主体
の組織中に軟質相であるフェライト組織を形成する方法
が有効であることが知られており、様々な手法が鋭意検
討され実用化に至っている。
【0005】この様な低降伏比型高張力鋼板を製造する
方法の一つとして、熱間圧延工程等のオンラインとは別
のオフラインでの熱処理工程を利用し、フェライト
(α)−オ−ステナイト(γ)二相域温度に加熱した
後、焼入れ処理を行う方法がある。この様な方法によっ
て、硬質相であるベイナイトやマルテンサイト主体の組
織中に軟質相であるフェライト組織が板厚方向にランダ
ムに分布した複合組織鋼板を実現することができる。
【0006】しかしながら上記方法は、オフラインでの
熱処理工程を必要とするため、非調質型高張力鋼板と比
較して生産性が悪く、製造コストも増大するといった欠
点を有する。この様な欠点を解消すべく、オフラインで
の熱処理を省略した非調質型高張力鋼板の製造方法とし
て、特開昭59−211528号には、空冷でAr3
態点以下まで冷却したのち水冷を実施することで、空冷
時に初析フェライトを析出させ、その後の水冷で、残部
を硬質相であるベイナイトやマルテンサイト組織とする
方法が提案されている。この方法は、オフラインの熱処
理工程を必要としないため製造コストの低減は達成でき
るものの、初析フェライトを析出させるべく空冷工程を
設ける必要があるため生産性の観点からは好ましくな
い。
【0007】この様な生産性低下を解消すべく、特開平
3−104820号には、水冷工程を採用した低降伏比
型非調質高張力鋼板の製造方法が提案されている。しか
しながら上記方法で得られる鋼板は、ベイナイト/マル
テンサイト主体の組織にフェライトが分散した混合組織
となることから、低降伏比は達成できるものの、優れた
曲げ加工特性を満足させることはできないと考えられ
る。
【0008】以上の従来技術は、ベイナイトやマルテン
サイト等の硬質相主体の組織に軟質相であるフェライト
組織を分散させることで、低降伏比型の高張力鋼板を実
現するといった思想に基づく技術であるが、この様な混
合組織は、地震時の変形や曲げ加工等の様に鋼板表層部
に最も塑性歪が集中する変形に耐えられるものでなく亀
裂が生じ易い。
【0009】これは、ベイナイトやマルテンサイトとい
った硬質相が延性に乏しく、El値が軟質相であるフェ
ライトの約1/2程度だからであり、特に、外気温が0
℃近くまで低下する冬季に、表層部に塑性歪の集中する
変形を受けると、亀裂の発生が顕著となり構造物の安全
性確保が危惧される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に鑑みてなされたものであって、その目的は、低降伏比
(≦80%)であり、かつ地震時の変形や曲げ加工等の
様な鋼板表層部に塑性歪が集中する変形に耐えうる優れ
た曲げ加工性能を有する構造用高張力鋼板、およびこの
様な高張力鋼板を効率よくかつ経済的に製造する方法を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】引張強度が570MPa
以上である本発明の低降伏比型高張力鋼板とは、鋼板表
面から少なくとも板厚10%までの領域の金属組織が、
フェライト分率70%以上でフェライト平均結晶粒径が
10μm以下であり、かつ、鋼板表面から板厚20%の
位置から内部の金属組織が、ベイナイトおよび/または
マルテンサイトの分率が70%以上であるところに特徴
を有する。
【0012】本発明の鋼板は、上記要件を満足すれば所
望の特性を確保できるものであるが、化学成分は次の様
な組成を満たすものである。即ち、主成分としてC:
0.03〜0.2%、Si:0.5%以下(0%を含ま
ない)、Mn:1.6%以下(0%を含まない)、A
l:0.01〜0.06%、N:0.001〜0.01
%を満たすようにし、更に他の元素として、Ti:0.
03%以下(0%を含まない)、Nb:0.03%以下
(0%を含まない)、V:0.06%以下(0%を含ま
ない)、B:0.003%以下(0%を含まない)より
なる群から選択される1種以上を含有することが好まし
い。更に他の元素として、Cr:0.3%以下(0%を
含まない)および/またはMo:0.3%以下(0%を
含まない)を含有させたり、Cu:0.5%以下(0%
を含まない)、Ni:0.5%以下(0%を含まない)
を含有させたり、Ca:0.01%以下(0%を含まな
い)および/またはZr:0.01%以下(0%を含ま
ない)を含有させることも有効である。
【0013】本発明は、上記鋼板を得るにあたって有用
な製造方法も規定するものである。その製造方法とは、
(1)熱間圧延にて、鋼板表面に対し0.15以上の残
留累積相当塑性歪(以下、単に「残留歪」ということが
ある)を付与し、鋼板表面から板厚10%位置の温度が
(Ar3変態点−20℃)以上の状態で熱間圧延を終了
させる熱間圧延工程、(2)鋼板表面から板厚20%位
置より内部の領域(以下「領域B」という)の温度を
(Ar3変態点−40℃)以上に保持しつつ、鋼板表面
から少なくとも板厚10%までの領域(以下「領域A」
という)を、平均冷却速度5℃/s以上で(Ar3変態
点−40℃)〜600℃の温度域まで冷却する一次冷却
工程、(3)鋼板内部の熱で前記領域Aを(Ar3変態
点−20℃)以上に復熱させる工程、(4)前記領域B
を平均冷却速度7℃/s以上で550℃以下に冷却する
二次冷却工程を含むところに特徴を有するものであり、
前記二次冷却の後には、650℃以下の温度で焼戻しを
行ってもよい。
【0014】尚、前記「フェライト分率」とは、金属組
織に占めるフェライト組織の面積率をいい、「フェライ
ト平均結晶粒径」とは、個々のフェライト粒についてそ
の面積が等しくなるよう換算したときの円の直径の平均
値をいうものとする。また前記「Ar3変態点」とは、
Ar3変態点温度をいう(以下、同じ)。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した様な状況の
下で、特に、軟質相であるフェライト組織の分布形態に
ついて鋭意研究した。その結果、地震時の変形や曲げ加
工時等に塑性歪が集中する鋼板表層部にフェライトを集
中的に分布させることによって、低降伏比かつ優れた曲
げ加工性を確保することができ、かつ内部組織をベイナ
イトおよび/またはマルテンサイト主体とすることで5
70MPa以上もの引張強度を確保でき、耐震構造物用
鋼板として有用であることを見出し、本発明に想到し
た。具体的には、 低降伏比および優れた曲げ加工特性を確保するため、
鋼板表面から少なくとも板厚10%までの領域を、フェ
ライト分率70%以上の変形特性に優れたフェライト主
体層とし、かつフェライト平均結晶粒径を10μm以下
とする。
【0016】引張強度:570MPa以上の高強度を
確保するため、鋼板表面から板厚20%の位置から内部
の領域を、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの
合計分率が70%以上の硬質相主体の組織にする。
【0017】以下、この様に本発明で規定した金属組織
について詳細に説明する。
【0018】鋼板表面から少なくとも板厚10%まで
の領域;フェライト分率70%以上でフェライト平均結
晶粒径が10μm以下の組織とする <フェライト分率について>鋼板表面層に形成するフェ
ライト主体層は、フェライト分率が70%以上であるこ
とを要する(以下、この様にフェライト分率70%以上
の鋼板表面層を単に「フェライト主体層」ということが
ある)。フェライト分率が低いとその分マルテンサイト
等の硬質相の割合が多くなり、低降伏比および優れた曲
げ加工性能を達成することができないからである。前記
特性を良好に発揮させるには、前記領域のフェライト分
率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは
85%以上である。
【0019】尚、本発明は、フェライト以外の残部組織
を規定するものではなく、パーライト、ベイナイト、マ
ルテンサイト等を単独または混合組織として存在させて
もよいが、優れた低降伏比および優れた曲げ加工性能を
容易に達成させるには、フェライト以外の残部組織をパ
ーライトのみとするか、ベイナイト/マルテンサイトの
合計分率が5%以下で残部組織をパーライトとすること
が好ましい。
【0020】<フェライト主体層厚さについて>図1
は、表層部のフェライト主体層厚さと引張強度/降伏比
の関係を示したグラフであり、横軸は、フェライトが面
積率で70%以上占める領域を鋼板表面からの距離(板
厚に対する割合)で示している。実験は、後述する実施
例の鋼種Aと同様の化学成分の鋼材を種々の条件で製造
し、鋼板表面のフェライト主体層厚さの異なる鋼材を得
て各鋼板の引張特性を調べた。
【0021】この図1より、鋼板表面にフェライト主体
層を形成する場合、該層の厚みが小さすぎると低降伏比
を実現することができず、80%以下の低降伏比を達成
するには、フェライト分率70%以上のフェライト主体
層が、鋼板表面から少なくとも板厚10%までの領域
(以下、この領域を単に「領域A」ということがある)
を占めるようにする必要があることがわかる。一方、前
記フェライト主体層が厚すぎると、引張強度:570M
Pa以上を達成することが困難となるので、鋼板表面か
ら板厚20%未満とすることが好ましい。
【0022】<フェライト結晶粒径について>上述の通
り、鋼板表面から少なくとも板厚10%までの領域をフ
ェライト主体層(フェライト分率70%以上)とすれ
ば、曲げ加工特性および低降伏比を同時に達成すること
ができるが、曲げ加工時等の亀裂発生を未然に防止して
更に優れた曲げ加工特性を得るには、フェライト結晶粒
径が微細である方がよく、その粒径は、平均円相当粒径
(個々のフェライト粒についてその面積が等しくなるよ
うに換算したときの円の直径の平均値)で10μm以
下、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下
であるのがよい。
【0023】図2および図3は、表層部フェライト主体
層厚さと密着曲げ試験での割れ発生の関係を調べたグラ
フであり、図2ではフェライト平均結晶粒径が10μm
以下の鋼板を用い、図3ではフェライト平均結晶粒径が
10超〜20μmの鋼板を用いて調べた。
【0024】実験は、どちらも後述する実施例の鋼種A
と同様の化学成分組成の鋼材を用い、製造条件を変え
て、フェライト平均結晶粒径および鋼板表層部のフェラ
イト主体層厚さの異なる鋼板を製造し、各鋼板の全厚密
着曲げ試験を複数回実施し、曲げ表面における亀裂の有
無を調べたものである。
【0025】図3より、領域Aのフェライト平均結晶粒
径が大きいと、フェライト主体層をより厚くしたとして
も曲げ変形による割れを防止することができないのに対
し、図2より、領域Aのフェライト平均結晶粒径を10
μm以下とすれば、曲げ変形による割れを防止できるこ
とがわかる。
【0026】<フェライト組織の分類>領域Aのフェラ
イト組織は、後述する通り、針状のアシキュラーフェラ
イトではなく塊状のポリゴナルフェライトとする方が、
優れた曲げ加工特性を確保する観点から有効であること
も判明した。
【0027】鋼板表面から板厚20%の位置から内部
の領域;ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの合
計分率が70%以上の組織とする <ベイナイトおよび/またはマルテンサイト分率につい
て>鋼板表面から板厚20%の位置から内部の領域は、
ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの合計分率が
70%以上の組織であることを要する(以下、この様な
組織を単に「ベイナイト/マルテンサイト主体層」とい
うことがある)。ベイナイトおよび/またはマルテンサ
イト分率が低いとその分フェライト等の軟質相の割合が
多くなり、強度を確保することができないからである。
高強度達成のためには、前記領域のベイナイトおよび/
またはマルテンサイト分率が80%以上となるようにす
ることが望ましい。
【0028】尚、本発明は、前記領域のベイナイトおよ
び/またはマルテンサイト以外の残部組織を規定するも
のではなく、該領域の残部組織としてフェライト組織、
またはフェライト−パーライト混合組織等を存在させて
もよい。
【0029】<ベイナイトおよび/またはマルテンサイ
ト主体層厚さについて>図4は、板厚に対するベイナイ
トおよび/またはマルテンサイト主体層厚さと引張強度
の関係を調べたものであり、実験は、後述する実施例の
表1に示す鋼種Aと同様の化学成分組成の鋼材を用い、
製造条件を変えてベイナイトおよび/またはマルテンサ
イト主体層厚さの異なる鋼板を製造し、各鋼板の引張強
度を測定したものである。尚、図4におけるベイナイト
および/またはマルテンサイト主体層厚さの中心は板厚
中心とほぼ一致する。
【0030】この図4より、引張強度570MPa以上
の高強度を達成するには、全板厚に対してベイナイトお
よび/またはマルテンサイト主体層厚さを少なくとも4
0%、即ち、鋼板表面から板厚30%より内部をベイナ
イトおよび/またはマルテンサイト主体層とすればよい
ことがわかる。しかしながら、一次冷却で、鋼板表面か
ら板厚20%より内部まで過度に冷却を行った場合に
は、全体の保有熱量が低減し、後述する二次冷却前の復
熱を行うことができなくなる。従って、鋼板表面から板
厚20%の位置から内部の領域(以下、単に「領域B」
ということがある)は、一次冷却で冷却せずに、二次冷
却でベイナイトおよび/またはマルテンサイの硬質相主
体の組織を形成するのがよいのである。
【0031】尚、本発明の鋼板は、少なくとも鋼板表面
から板厚20%の位置から内部の領域をベイナイトおよ
び/またはマルテンサイト組織とすることを要件として
いるのであって、該領域よりも更に広範囲を上記組織と
してもよいが、前述した通り、本発明では曲げ加工特性
や低降伏比を達成すべく、フェライト主体層を鋼板表層
に設けることから、ベイナイト/マルテンサイト主体層
の最大領域は、必然的に、鋼板表面から板厚10%の位
置から内部の領域となり、多くても板厚に対し80%の
厚さとなる。
【0032】本発明は、上記以外の金属組織を規定する
ものではなく、例えば、鋼板表層部のフェライト主体層
厚さが鋼板表面から板厚10%までであり、鋼板表面か
ら板厚20%の位置から内部がベイナイト/マルテンサ
イト主体層である場合の鋼板表面から板厚10〜20%
の領域は、鋼板表層部と同様のフェライト主体層や、内
部組織と同様のベイナイト/マルテンサイト主体層、ま
たは、フェライトおよびベイナイト、マルテンサイト等
の混合組織とすることが挙げられる。
【0033】本発明者らは、この様な組織を有する鋼板
を得るにあたって、鋼材の化学成分組成および製造方法
を下記のようにすればよいことを見出した。 《化学成分組成》C:0.03〜0.2% Cは強度を確保するのに必要な元素であり、0.03%
以上、好ましくは0.05%以上含有させる必要があ
る。しかしながら過剰に含有させると、構造物に用いて
溶接する場合の溶接性および母材靭性を劣化させるの
で、0.2%以下、好ましくは0.16%以下に抑える
ようにする。
【0034】Si:0.5%以下(0%を含まない) Siは、母材の強度確保および溶製時の脱酸剤としての
役割を有する。しかしながら過剰の添加は、Cの場合と
同様に溶接性および母材靭性を劣化させることとなるの
で、0.5%以下、好ましくは0.4%以下に抑えるよ
うにする。
【0035】Mn:1.6%以下(0%を含まない) Mnは、母材の強度を確保するのに必要な元素である
が、過剰に添加すると、前記CおよびSiの場合と同様
に、溶接性および母材靭性を劣化させることとなるの
で、1.6%以下、好ましくは1.5%以下に抑えるよ
うにする。
【0036】Al:0.01〜0.06% Alは、溶製時の脱酸剤としての役割、および窒化物を
形成して母材組織の細粒化の効果を有する。この様な効
果を有効に発揮させるには、0.01%以上、好ましく
は0.015%以上添加する。しかしながら、過剰に添
加すると母材靭性が劣化するので、その上限を0.06
%とするのがよい。好ましくは0.050%以下であ
る。
【0037】N:0.001〜0.01% NはAl、Ti、Nb、V等の添加元素と窒化物を形成
し、母材組織の細粒化を図るのに有効な元素であること
から、0.001%以上、好ましくは0.002%以上
含有させるようにする。しかしながら、窒素含有量が過
剰になると固溶窒素量が増大し、特に溶接部の靭性を劣
化させるので、0.01%以下、好ましくは0.007
%以下に抑える。
【0038】本発明で規定する代表的な元素は上記の通
りであり、残部成分は実質的にFeであるが、該鋼材中
に、上記説明したものの他、原料、資材、製造設備等の
状況によって持ち込まれるPやS等の不可避的不純物が
含まれる場合も、本発明で用いる鋼材に包含される。
【0039】また本発明の鋼板に、Ti:0.03%以
下(0%を含まない)、Nb:0.03%以下(0%を
含まない)、V:0.06%以下(0%を含まない)、
B:0.003%以下(0%を含まない)よりなる群か
ら選択される1種以上を添加することも有効である。
【0040】Ti:0.03%以下(0%を含まない) Tiは、焼入れ性を向上させて所望の強度を確保するの
に有効な元素であり、また、窒化物の形成を通じて、鋼
片加熱時のオ−ステナイト粒の粗大化を抑制し、圧延終
了後のフェライト変態核生成促進によりフェライト粒の
微細化を促進させて強度を向上させる効果を有する。こ
の様な効果を有効に発揮させるには、Tiを0.004
%以上含有させるのがよい。しかしながら、過剰に添加
すると母材靭性が劣化するので、0.03%以下に抑え
るのがよく、より好ましくは0.025%以下とする。
【0041】Nb:0.03%以下(0%を含まない) Tiと同様に、焼入れ性を向上させて所望の強度を確保
するのに有効で、かつ、炭窒化物の形成を通じて圧延中
のオーステナイト粒の粗大化および再結晶抑制効果を発
揮するため、圧延終了後のフェライト粒を微細化させて
所望の強度を確保するのに有効である。この様な効果を
有効に発揮させるには0.002%以上添加するのがよ
い。一方、Nb含有量が過剰になると溶接性を劣化させ
るので、0.03%以下に抑えるのがよく、より好まし
くは0.025%以下である。
【0042】V:0.06%以下(0%を含まない) Vは、TiやNbと同様に、焼入れ性向上による強度上
昇効果や、炭窒化物の形成を通じて、圧延中のオーステ
ナイト粒の粗大化および再結晶の抑制効果を発揮し、圧
延終了後のフェライト粒を微細させて強度を高める効果
を有する。この様な効果を有効に発揮するには、Vを
0.002%以上添加するのがよい。しかしながら、過
剰に添加すると溶接性が劣化するので、その上限を0.
06%とするのがよい。より好ましくは0.05%以下
である。
【0043】B:0.003%以下(0%を含まない) Bは、少量の添加で、焼入れ性を高めて強度を上昇させ
る効果を発揮する元素であり、0.0002%以上添加
するのがよい。一方、過剰に添加しても、過度に焼入れ
されて母材の低温靭性が劣化することから、その上限を
0.003%とするのがよい。より好ましくは0.00
2%以下である。
【0044】更に本発明の鋼板に、下記の通りCuやN
i、Cr、Mo、Ca、Zrを添加することも有効であ
る。
【0045】Cu:0.5%以下(0%を含まない)、
Ni:0.5%以下(0%を含まない) Cuは焼入れ性の向上に優れた元素であるが、単独で添
加すると、圧延や連続鋳造時の熱間割れの発生を引き起
こし易いので、Niを同時に添加するのがよい。尚、N
iと同時に添加する場合であっても、Cuの過度の添加
は、母材の溶接性劣化を招きやすいので、その添加量を
0.5%以下、好ましくは0.4%以下に抑える。
【0046】Niも、Cuと同様に焼入れ性の向上に寄
与する元素であり、上述の通りCu添加による熱間割れ
の発生を抑制して、Cuの焼入れ性向上効果を有効に発
揮させるが、経済的な観点からその上限を0.5%とす
るのがよい。
【0047】Cr:0.3%以下(0%を含まない)お
よび/またはMo:0.3%以下(0%を含まない) Cr、Moは、いずれも炭窒化物を析出させて強度向上
に寄与する元素である。しかしながら過度の添加は、溶
接性および母材靭性を劣化させるので、上限を0.3%
とした。より好ましくはいずれも0.2%以下である。
【0048】Ca:0.01%以下(0%を含まない)
および/またはZr:0.01%以下(0%を含まな
い) Ca、Zrは、鋼中の介在物を球状化させることによっ
て、母材の靭性を改善する効果を有する。この様な効果
を有効に発揮させるには、Caを用いる場合には0.0
005%以上添加するのがよく、Zrを用いる場合には
0.0003%以上添加するのがよい。一方、過剰な添
加は、却って母材の靭性を劣化させるので、その上限は
いずれも0.01%とすることがよく、より好ましくは
いずれも0.001%以下である。
【0049】《製造方法》本発明の鋼板を得るには、前
掲の如く化学成分を制御し、かつ特に下記の条件で製造
を行うことが推奨される。
【0050】本発明の鋼板は、熱間圧延−一次冷却−復
熱−二次冷却の工程を経るのがよく、前記領域Aを所望
の組織とするには、特に熱間圧延、一次冷却、および復
熱の条件を制御するのがよく、前記領域Bを所望の組織
とするには、特に一次冷却および二次冷却の条件を制御
すればよいことが分かった。以下では、各工程の条件を
規定した理由について詳述する。
【0051】<熱間圧延工程>本発明者らは、まず従来
技術の検討を行った。即ち、実験:前記鋼板表層部の
冷却をAr3変態点〜(Ar3変態点+80℃)の温度域
で累積圧下率50%の圧延を行った後、鋼板表層部を5
℃/s以上の冷却速度で(Ar3変態点−20℃)まで
冷却し、該温度で一定時間保持した後に焼入れを施して
得た鋼板について、該鋼板表層部のフェライト分率を調
べたところ20%程度であった。次に実験として、前
記冷却停止温度を更に下げて(Ar3変態点−50℃)
まで冷却した場合には、前記フェライト分率は30%程
度であった。更に実験として前記従来技術(特開平3
−104820号)に準じ、Ar3変態点以上の温度域
である950〜900℃の温度域で累積圧下率50%の
圧延を行った後、(Ar3変態点−50℃)まで冷却
し、(Ar3変態点−20℃)まで復熱させた後に、焼
入れを行った場合には、フェライト分率は40%程度に
まで上昇することが分かった。
【0052】これらの結果から、熱間圧延が同一条件で
行われる場合には、一次冷却における領域Aの冷却停止
温度が低い方が好ましく、また、一次冷却後に復熱工程
を設ける方が領域Aのフェライト分率をより高めること
ができることは分かったが、鋼板表層部をフェライト分
率70%以上とすることはできない。
【0053】この様に、従来法で得られる鋼板の表層部
のフェライト分率が低いのは、Ar 3変態点以上の温度
域で50%以上の圧延を行ったとしても、圧延温度が高
いため、オ−ステナイトの再結晶や高温環境下でのセル
フテンパー効果によって歪が回復しやすく、結果として
鋼板表面に相当塑性歪が残留しないためであると考えら
れる。
【0054】そこで本発明では、領域Aのフェライト分
率を70%以上とすべく、熱間圧延にて予め残留歪を付
与し、圧延後の一次冷却過程でオ−ステナイト組織から
フェライト組織への変態を促進させるべく、残留歪の定
量的効果について調べた。
【0055】図5は、熱間圧延時に付与する残留歪量と
一次冷却速度が、領域Aのフェライト平均結晶粒径に与
える影響を示したグラフであり、実験は、後述する実施
例の表1に示す鋼種Aを用い、熱間圧延にて0.10〜
0.27の範囲で残留歪量を付与したものを、冷却速度
を変化させて一次冷却を施し(冷却開始温度:780
℃、冷却停止温度:Ar3変態点−40℃(約707
℃)で一定)、その後、復熱(領域AをAr3変態点−
20℃まで加熱)−焼入れして得られた鋼板の領域Aに
占めるフェライト組織の平均結晶粒径を調べたものであ
る。
【0056】この図5より、領域Aに存在するフェライ
ト組織の平均結晶粒径を10μm以下とするには、熱間
圧延で付与する残留歪量を0.15以上確保すればよい
ことがわかる。好ましくは熱間圧延で0.20以上の残
留歪量を確保する。上記残留歪量を確保するにあたって
は、成分組成に応じて熱間圧延温度等を適宜調整するの
がよい。
【0057】尚、残留歪を付与せずとも、後述する図7
に示す如く一次冷却を(Ar3変態点−100℃)以下
まで行い、かつ後述する復熱工程を経ることでフェライ
ト分率70%以上を確保することができるが、予め残留
歪を付与しない場合には、規定の条件で一次冷却を行っ
たとしても、得られるフェライト組織は、主として低温
度域で生成する針状のアシキュラーフェライトで、かつ
その粒径はオーステナイト粒径の影響を受け易く平均円
相当粒径が10μmを超えるものとなる。この様に結晶
方位がほぼ一定方向のアシキュラーフェライトで、かつ
平均結晶粒径が10μmを超える場合、優れた曲げ加工
特性を確保することは難しい。
【0058】従って、領域Aのフェライト分率を70%
以上とし、かつ該フェライト組織を平均結晶粒径10μ
m以下のポリゴナルフェライトとするには、熱間圧延に
て0.15以上の残留歪量を確保するのがよい。
【0059】また熱間圧延は、鋼板表面から板厚10%
位置の温度が(Ar3変態点−20℃)以上の状態で終
了させる。該温度が低すぎると、熱間圧延中にフェライ
トが析出し、加工されて加工フェライトが形成する結
果、延性が低下し、ひいては所望の曲げ加工性が得られ
ないからである。前記熱間圧延終了温度を(Ar3変態
点−20℃)以上とすれば、圧延中に析出するフェライ
ト分率は多くても10%程度で曲げ加工性が著しく損な
われることがない。熱間圧延は、前記温度がAr 3変態
点以上の状態で終了することが好ましい。
【0060】<一次冷却工程> 冷却開始温度 熱間圧延終了後から一次冷却開始まで、鋼板表面から板
厚10%位置の温度を(Ar3変態点−20℃)以上に
保持し、一次冷却は、該温度が(Ar3変態点−20
℃)以上の状態から開始する。圧延終了後から一次冷却
開始までの間に、例えば放冷状態で(Ar3変態点−2
0℃)より低温度域まで緩やかに冷却(冷却速度:約
0.5℃/s以下)された場合、初析フェライトが粗大
化し易く、曲げ加工時に粗大フェライトを基点とした割
れが発生し易くなる。好ましくは、圧延終了後から一次
冷却開始までの、鋼板表面から板厚10%位置の温度を
Ar3変態点以上に保持する。
【0061】平均冷却速度 前記図5より、領域Aに存在するフェライト組織の平均
結晶粒径を10μm以下とするには、前述の通り、熱間
圧延にて0.15以上の残留歪量を確保するのに加え、
一次冷却における領域Aの平均冷却速度を5℃/s以上
とすればよいことがわかる。該平均冷却速度は7℃/s
以上であることが好ましく、より好ましくは10℃/s
以上である。
【0062】図6は、領域Aにおけるフェライト平均結
晶粒径を10μm以下とする条件の一つとして、残留歪
量と一次冷却時の平均冷却速度の関係を示したグラフで
あり、実験は、後述する実施例の表1に示す鋼種Aを用
い、熱間圧延にて確保する残留歪量および一次冷却時の
領域Aの平均冷却速度を変化させて鋼板を製造し、得ら
れた鋼板の領域Aのフェライト平均結晶粒径を10μm
以下とすることができる条件範囲を調べたものである。
この図6に示す通り、前記平均冷却速度が5℃/s未満
であっても、平均冷却速度1℃/sで冷却する場合には
0.48以上の残留歪量を付与し、平均冷却速度3℃/
sで冷却する場合には0.24以上の残留歪量を付与す
れば、フェライト平均結晶粒径を10μm以下にするこ
とができる。しかし前記平均冷却速度が小さすぎる場
合、所定の温度まで冷却するのに長時間を要し、その間
に板厚方向の熱分配が生じて冷却後の復熱量が小さくな
るので、後述する復熱効果が得られず、領域Aにて所望
のフェライト組織が得られない他、鋼板内部が冷却され
るので二次冷却でベイナイト/マルテンサイトを十分に
析出させることができず、所望の強度を確保することが
できない。
【0063】尚、本発明は、一次冷却工程における領域
Bの平均冷却速度を特に規定するものではない。一次冷
却の間、領域Bの組織は、領域Bの温度が(Ar3変態
点−40℃)以上に保持されている限りにおいて冷却速
度の影響をほとんど受けず、オ−ステナイト組織をほぼ
維持するからである。
【0064】冷却停止温度 本発明者らは、次の様な比較実験結果に着目した。即
ち、 実験a:熱間圧延にて鋼板に規定量の残留歪量を確保し
た後、領域Aの冷却停止温度が(Ar3変態点−20
℃)となるよう一次冷却を行い、その後、規定の復熱工
程を経た。得られた鋼板は、残留歪を付与しない場合と
比較すれば領域Aのフェライト分率がわずかに上昇した
ものの、それでもフェライト分率は30%程度であっ
た。一方、 実験b:規定量の残留歪量を付与し、領域Aの一次冷却
を実験aよりも低い(Ar3変態点−60℃)の温度ま
で行い、その後、規定の復熱工程を経た。この様にして
得られた鋼板では、領域Aのフェライト分率が約75%
と急激に増加した。
【0065】そこでこの様なフェライト分率に違いが生
じる結果について更に追求すべく、一次冷却停止温度が
領域Aのフェライト分率に与える影響について調べた。
【0066】図7は、その実験結果であり、一次冷却停
止温度が領域Aのフェライト分率に与える影響を、残留
歪付与の有無および一次冷却後の復熱の有無別に示した
グラフである。実験は、後述する実施例の表1に示す鋼
種Aを用い、熱間圧延(残留歪を付与する場合の残留歪
量:0.15〜0.17)後に、冷却停止温度を変化さ
せて一次冷却(冷却速度:5℃/s)を行い、復熱を行
う場合には、一次冷却後に復熱(領域AをAr3変態点
−20℃まで復熱)させ、その後に焼入れを行い、復熱
を行わない場合には、一次冷却後ただちに焼入れを行っ
て鋼板を得た。この様にして得られた鋼板の領域Aにお
けるフェライト分率を調べた。
【0067】この図7より、領域Aのフェライト分率7
0%以上を確保するには、規定の残留歪を予め付与し、
後述する復熱工程を経ることを前提に、一次冷却を(A
3変態点−40℃)以下まで行うことが重要であるこ
とがわかる。
【0068】前記平均冷却速度での冷却を(Ar3変態
点−40℃)よりも高い温度域で終了させると、前記図
7に示す通り、熱間圧延で付与する残留歪量および一次
冷却後の復熱を制御しても、領域Aのフェライト分率7
0%以上を達成することができない。例えば、熱間圧延
にて規定量の残留歪を付与した後、上記平均冷却速度で
の冷却を(Ar3変態点−20℃)で終了させると、そ
の後Ar3変態点まで復熱させても、領域Aのフェライ
ト分率は30%程度にとどまる。冷却停止温度は、好ま
しくは(Ar3変態点−60℃)以下、より好ましくは
(Ar3変態点−80℃)以下とするのがよい。
【0069】尚、規定量の残留歪を付与し、一次冷却に
て(Ar3変態点−80℃)まで冷却した後、規定の復
熱工程を経た鋼板の組織を調べたところ、領域Aのフェ
ライト組織が塊状のポリゴナルフェライトであることを
確認した。更にポリゴナルフェライトの平均結晶粒径
は、残留歪量に応じて変化し、残留歪量が0.15以上
の場合に平均結晶粒径10μm以下となることを確認し
た。この現象は、残留歪量の増加および冷却によって生
じる過冷度(Ar3変態点との温度差)の増加によるフ
ェライト変態の駆動力の増加、および復熱による熱エネ
ルギ−の増加の相乗効果により、高温度域で生成するポ
リゴナルフェライト変態核の形成および核形成後のフェ
ライト粒成長が活性化されたためと考えられる。
【0070】一方、一次冷却停止温度が600℃を下回
ると、ベイナイトやマルテンサイト等の硬質相が形成さ
れるため好ましくなく、また、その後の復熱効果を期待
することもできない。この様な観点から、冷却停止温度
の下限は約640〜660℃程度となると考えられる。
【0071】領域Bの冷却は、前述の通り平均冷却速度
を規定するものではないが、一次冷却終了まで該領域B
を(Ar3変態点−40℃)以上に保持する必要があ
る。該領域BがAr3変態点以下になると、組織の一部
がオ−ステナイトから初析フェライトに変態するが、
(Ar3変態点−40℃)までは問題となるほど増加せ
ず組織の大半をオ−ステナイト組織の状態に維持するこ
とができ、次の二次冷却で、焼入れを行い未変態のオー
ステナイトをベイナイト/マルテンサイトに変態させ
て、硬質相を主体とする組織にすることができる。一次
冷却工程で領域Bにフェライト組織が形成されるのを抑
制するには、領域Bの一次冷却停止温度を(Ar3変態
点−20℃)以上とすることが好ましく、より好ましく
はAr3変態点以上である。
【0072】<復熱工程>一次冷却後には、鋼板内部の
熱により領域Aの温度を(Ar3変態点−20℃)以上
に復熱させる。
【0073】図8および図9は、一次冷却における冷却
停止温度、残留歪量、および復熱の有無が、領域Aのフ
ェライト平均結晶粒径に与える影響を示したグラフであ
り、実験は、後述する実施例の表1に示す鋼種Aを用
い、熱間圧延にて0.05〜0.45の範囲で残留歪量
を確保したのち、冷却停止温度を変化させて一次冷却を
行い(冷却開始温度:780℃、冷却速度:5℃/sで
一定)、その後、図8にかかる実験では、復熱工程を経
ず、一定時間(30分間)保持後に焼入れを行い、図9
にかかる実験では、冷却後に復熱(領域AをAr3変態
点−20℃まで復熱)させ、その後焼入れを行って鋼板
を得た。そして、それぞれの鋼板の領域Aのフェライト
平均結晶粒径を調べた。
【0074】図8より明らかな通り、復熱を行わない場
合、領域Aの一次冷却停止温度と熱間圧延時に付与する
残留歪量を制御しても、領域Aのフェライト平均結晶粒
径を確実に10μm以下とすることができない。尚、復
熱を行わなくとも、領域Aの一次冷却停止温度をより低
くし、かつ熱間圧延にてより多くの残留歪量を付与すれ
ば[例えば、図8にて(Ar3変態点−60℃)まで冷
却し残留歪量0.23以上確保する場合]、フェライト
結晶粒径を小さくすることは可能であるが、この場合に
は、領域Aのフェライト分率が多くて55%程度と規定
のフェライト量を確保することができない。
【0075】これに対し、図9に示す通り復熱を行った
場合には、熱間圧延時に0.15以上の残留歪を付与す
ることで、領域Aのフェライト平均結晶粒径を10μm
以下にできることがわかる。
【0076】この復熱工程では、領域Aの温度が高くな
るほど、熱エネルギーの増加によるフェライト変態核か
らフェライト粒への生成が生じ易いことから、好ましく
は領域AをAr3変態点以上に復熱させる。尚、復熱に
よる領域Aの温度は、その他の冷却条件にもよるが、領
域Aを一次冷却にて(Ar3変態点−40℃)以下にま
で冷却する必要があることから、高くても(Ar3変態
点+50℃)程度であると考えられる。
【0077】<二次冷却工程>二次冷却を行って、57
0MPa以上の強度を達成すべく鋼板内部の組織を硬質
相のベイナイトおよび/またはマルテンサイト組織に変
態させる。そのためには、領域Bを、平均冷却速度7℃
/s以上で550℃以下まで冷却する必要がある。
【0078】前記平均冷却速度が遅すぎると、軟質相で
あるフェライト相が析出するので、所望量のベイナイト
および/またはマルテンサイト相を得ることができず、
570MPa以上の強度を達成することができない。好
ましくは10℃/s以上、より好ましくは12℃/s以
上の冷却速度で行う。
【0079】また領域Bを、前記平均冷却速度で550
℃以下まで冷却する必要があるのは、冷却停止温度が高
すぎてオ−ステナイトからの変態が完全に終了しない時
点で冷却速度制御を終了すると、その後に放冷状態に置
いた場合、フェライト組織等の軟質相が析出してしま
い、所望の強度を達成することができないからである。
該冷却は、好ましくは500℃以下まで、より好ましく
は450℃以下まで行うようにする。
【0080】尚、一次冷却と復熱工程を経て形成された
領域Aの微細フェライト組織は、低温で安定な組織であ
るので、二次冷却の際に組織変化することはない。従っ
て、得られる鋼板の表面付近がフェライト主体の軟質相
で、内部がベイナイト/マルテンサイトの硬質相であ
る、複層組織構造の鋼板を実現することができる。
【0081】<焼戻し>二次冷却後には650℃以下の
温度で焼戻しを行ってもよい。ここで焼戻しを行うのは
延性や靭性を向上させるためであり、該焼戻し温度が高
すぎると生成したベイナイトやマルテンサイトがオース
テナイトに逆変態してしまい、強度が低下するので好ま
しくない。好ましくは500℃以上で600℃以下の範
囲で行う。
【0082】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】表1に示す化学成分組成の鋼材を溶製して
鋳片を得た後、次の条件で熱間圧延を行って鋼板を得
た。まず1000〜1150℃に加熱した後、表2およ
び表3に示す量の残留歪を付与するように熱間圧延を行
い、その後、表2および表3に示す条件で一次冷却、複
熱および二次冷却を行い、表4および表5に示す板厚の
鋼板を得た。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】この様にして得られた鋼板の金属組織およ
び機械的特性を調べた。金属組織は、板幅方向に垂直な
断面にて、板厚断面方向について、板厚の5%ピッチで
表面から別の表面までの組織を、フェライト、ベイナイ
ト、マルテンサイトの各組織の面積率を画像解析によ
り、またフェライト組織については切断法を用いて平均
結晶粒径を調べた。機械的特性は、引張特性として0.
2%YS、TS、YR(=0.2%YS/TS)を測定
し、TSは570MPa以上を合格とした。曲げ特性と
して、全厚密着曲げ試験(試験温度0℃)を行った場合
の亀裂の有無を評価した。これらの測定結果を表4およ
び表5に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】表4および表5から次のように考察するこ
とができる。尚、以下のNo.は実験No.を示す。
【0091】No.1〜18は、本発明で規定する化学
成分組成の鋼材を本発明で規定する方法で製造している
ので、いずれについても降伏比が80%以下と低く、か
つ曲げ特性に優れた高張力鋼板が得られていることがわ
かる。
【0092】これに対し、No.19〜39は、本発明
で規定する製造条件を満たさないことから、得られた鋼
板は降伏比が高いか、強度が不足しているか、または曲
げ試験にて亀裂が生じ曲げ特性に劣るといった不具合が
生じた。
【0093】即ち、No.19、24、32、36は、
熱間圧延時に付与する残留歪量が小さすぎたため、フェ
ライト平均結晶粒径が大きくなりすぎて曲げ特性が劣化
する結果となった。
【0094】No.38は、熱間圧延時に付与する残留
歪量が小さすぎ、かつ一次冷却条件が本発明の規定要件
を外れるため、降伏比が高く、曲げ特性に劣るものとな
った。
【0095】No.20、23、25、26、29、3
1、33、34、37は、一次冷却の冷却開始温度や冷
却停止温度が外れるか、平均冷却速度が小さすぎるか、
または復熱により回復させる鋼板温度が低過ぎることか
ら曲げ特性に劣る結果となった。特にNo.20、2
3、26および31は、一次冷却にて鋼板内部の冷却停
止温度が低過ぎることから、ベイナイト/マルテンサイ
ト組織を十分に確保することができず、所望の引張強度
が得られない結果となった。
【0096】No.21および28では一次冷却を行わ
なかったので、鋼板表層部にフェライト相を形成させる
ことができず、降伏比が高く、かつ曲げ特性に劣るもの
となった。No.22、27、30および35は、二次
冷却の条件が本発明の要件を外れるため、所望の引張強
度が得られないものとなった。またNo.39は、一次
冷却および二次冷却ともに本発明の要件を外れるもので
あることから、引張強度が小さく、曲げ特性にも劣る結
果となった。
【0097】
【発明の効果】本発明は、耐震設計に対応した構造物に
用いられる、低降伏比型であって曲げ加工性に優れた高
張力鋼板を実現できたものである。その結果、地震等に
よる変形を受けても表面層に亀裂を生じさせず構造物の
安全性向上を達成することができた。また溶接法でボッ
クス型に成形している現在のCFT柱等に替わり、曲げ
加工を適用したCFT柱等を用いることによって、溶接
工程を省略することができ、溶接工程等の省略による作
業性の向上および省エネルギーへ貢献できるなど産業の
発展に寄与する効果の極めて大きい鋼板を提供できるこ
ととなった。更に本発明は、この様な高張力鋼板を、オ
フラインの熱処理工程等を経ることなくオンラインで製
造することができ、生産性および製造コストを抑えて安
価に製造できる方法も提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】表層部フェライト主体層厚さと引張強度/降伏
比の関係を示したグラフである。
【図2】表層部フェライト主体層(フェライト平均結晶
粒径が10μm以下)厚さと密着曲げ試験での割れ発生
の関係を調べたグラフである。
【図3】表層部フェライト主体層(フェライト平均結晶
粒径が10超〜20μm)厚さと密着曲げ試験での割れ
発生の関係を調べたグラフである。
【図4】板厚に対するベイナイトおよび/またはマルテ
ンサイト主体層厚さと引張強度の関係を調べたグラフで
ある。
【図5】熱間圧延時に付与する残留歪の量と一次冷却速
度が、領域Aのフェライト平均結晶粒径に与える影響を
示したグラフである。
【図6】残留歪量と一次冷却時の平均冷却速度の関係に
て、領域Aのフェライト平均結晶粒径が10μm以下と
なる範囲を示したグラフである。
【図7】一次冷却停止温度が領域Aのフェライト分率に
与える影響を、残留歪付与の有無および一次冷却後の復
熱の有無別に示したグラフである。
【図8】一次冷却における冷却停止温度、残留歪量、お
よび復熱の有無(図8は復熱なし)が、領域Aのフェラ
イト平均結晶粒径に与える影響を示したグラフである。
【図9】一次冷却における冷却停止温度、残留歪量、お
よび復熱の有無(図9は復熱あり)が、領域Aのフェラ
イト平均結晶粒径に与える影響を示したグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面から少なくとも板厚10%まで
    の領域は、金属組織がフェライト分率70%以上でフェ
    ライト平均結晶粒径が10μm以下であり、かつ、鋼板
    表面から板厚20%の位置から内部の領域は、金属組織
    がベイナイトおよび/またはマルテンサイト分率が70
    %以上であることを特徴とする引張強度が570MPa
    以上の低降伏比型高張力鋼板。
  2. 【請求項2】 質量%で(以下同じ)、C :0.03
    〜0.2%、Si:0.5%以下(0%を含まない)、
    Mn:1.6%以下(0%を含まない)、Al:0.0
    1〜0.06%、N :0.001〜0.01%を満た
    す請求項1に記載の低降伏比型高張力鋼板。
  3. 【請求項3】 更に他の元素として、Ti:0.03%
    以下(0%を含まない)、Nb:0.03%以下(0%
    を含まない)、V :0.06%以下(0%を含まな
    い)、B :0.003%以下(0%を含まない)より
    なる群から選択される1種以上を含有する請求項2に記
    載の低降伏比型高張力鋼板。
  4. 【請求項4】 更に他の元素として、Cr:0.3%以
    下(0%を含まない)および/またはMo:0.3%以
    下(0%を含まない)を含有する請求項2または3に記
    載の低降伏比型高張力鋼板。
  5. 【請求項5】 更に他の元素として、Cu:0.5%以
    下(0%を含まない)、Ni:0.5%以下(0%を含
    まない)を含有する請求項2〜4のいずれかに記載の低
    降伏比型高張力鋼板。
  6. 【請求項6】 更に他の元素として、Ca:0.01%
    以下(0%を含まない)および/またはZr:0.01
    %以下(0%を含まない)を含有する請求項2〜5のい
    ずれかに記載の低降伏比型高張力鋼板。
  7. 【請求項7】 (1)熱間圧延にて鋼板表面に対し0.
    15以上の残留累積相当塑性歪を付与し、鋼板表面から
    板厚10%位置の温度が(Ar3変態点−20℃)以上
    の状態で熱間圧延を終了させる熱間圧延工程、(2)鋼
    板表面から板厚20%位置より内部の領域(以下「領域
    B」という)の温度を(Ar3変態点−40℃)以上に
    保持しつつ、鋼板表面から少なくとも板厚10%までの
    領域(以下「領域A」という)を、平均冷却速度5℃/
    s以上で(Ar3変態点−40℃)〜600℃の温度域
    まで冷却する一次冷却工程、(3)鋼板内部の熱で前記
    領域Aを(Ar3変態点−20℃)以上に復熱させる工
    程、(4)前記領域Bを平均冷却速度7℃/s以上で5
    50℃以下に冷却する二次冷却工程を含むことを特徴と
    する低降伏比型高張力鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記二次冷却の後、650℃以下の温度
    で焼戻しを行う請求項7に記載の製造方法。
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