JP4819185B2 - 超高強度ラインパイプ用鋼板および鋼管の製造方法 - Google Patents

超高強度ラインパイプ用鋼板および鋼管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼管の周方向の引張強度(TS)が625MPa以上になる変形能および低温靱性に優れた超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法およびこの鋼板により製造された超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法に関する。特に、本発明の製造方法によって得られた鋼管は、天然ガス・原油輸送用ラインパイプとして広く使用できる。
本願は、2008年11月6日に、日本に出願された特願2008−285612号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、原油・天然ガスの長距離輸送方法としてパイプラインの重要性がますます高まっている。現在、長距離輸送用の幹線ラインパイプとしては米国石油協会(API)規格X65が設計の基本になっており、X65のラインパイプの実際の使用量も圧倒的に多い。しかし、(1)高圧化による輸送効率の向上や(2)ラインパイプの外径・重量の低減による現地施工能率向上のため、より高強度のラインパイプが要望されている。これまでにX120(引張強度915MPa以上)までのラインパイプが実用化されている。
一方、近年、ラインパイプの設計の考え方が変化している。従来は、応力を一定にしたパイプラインの設計(「stress based design」)であった。しかしながら、最近は、パイプラインにひずみが加わっても鋼管の円周溶接部が破壊しないような、あるいは鋼管自体が座屈しないような設計(「strain based design」)を取り入れている。これまで、X80以上の高強度ラインパイプについては、母材の低温靭性や溶接熱影響部の靱性を確保するような化学成分や製造条件が検討されていた。しかしながら、「strain based design」の場合には、母材の変形能あるいは、鋼管の塗装後の変形能も要求される。これらの靭性や変形能に関する課題を解決しなければ、「strain based design」用のX80以上のラインパイプ用鋼管の製造は不可能である。パイプラインの超高強度化には、母材の強度と低温靱性とのバランス、溶接金属靭性および溶接熱影響部(HAZ)靱性、現地溶接性、耐継手軟化性、バースト試験による耐管体破断性などを確保しながら、母材の変形能に優れた鋼管を製造するための製造条件が必要とされる。そのため、これらの鋼管特性を満たすX80以上の超高強度厚肉ラインパイプの開発が要望されている。
これまで、ラインパイプ用鋼管の製造方法に関して、上記鋼管特性を改善するために、例えば、次のような方法が提案されている。特許文献1及び特許文献2には、鋼管の変形能を向上させるために、いずれも500〜600℃までの前段では、鋼板を緩冷却し、その後の後段では、前段よりも速い冷却速度で冷却する方法が提案されている。この方法では、鋼板および鋼管のミクロ組織を制御することができる。さらに、特許文献3及び特許文献4には、鋼管の耐座屈性を改善するために、いずれも15℃/s以上の一定の冷却速度で冷却して、16mm厚の鋼板を製造している。
特開2004−131799号公報 特開2003−293089号公報 特開平11−279700号公報 特開2000−178689号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている方法では、鋼板の水冷停止温度のばらつきが大きいため、鋼板の材質のばらつきが大きくなるという問題がある。また、特許文献3及び特許文献4に開示されている方法においても、鋼板の水冷停止温度のばらつきが大きいため、鋼板の強度のばらつきが大きいことに加え、鋼板の変形能を確保する点で大きな問題となる。
本発明は、母材の強度、低温靱性および変形能に優れ、かつ現地溶接が容易な引張強度625MPa以上(API規格X80以上)の超高強度ラインパイプ用鋼板および鋼管の製造方法を提供する。
本発明者らは、引張強度が625MPa以上であり、かつ低温靱性に優れた超高強度鋼板および鋼管を得るための鋼板および鋼管の製造条件について鋭意研究を行った。その結果、超高強度ラインパイプ用鋼板および超高強度ラインパイプ用鋼管の新しい製造方法を発明するに至った。本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜0.50%、Mn:1.5〜2.5%、P:0.01%以下、S:0.0030%以下、Nb:0.0001〜0.20%、Al:0.0001〜0.03%、Ti:0.003〜0.030%、B:0.0003%未満、N:0.0010〜0.0050%、O:0.0050%以下を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を溶製し;この鋼を鋳造して鋼片とし;この鋼片に熱間圧延を施して鋼板とし;M点より高い所定の温度になるまで水冷を行った後、復熱を行う処理を少なくとも1回以上繰り返して、前記鋼板の表面を冷却し;最終水冷を行って、前記鋼板の表面をM点以下の温度まで冷却する。
ここで、
=545−330[C]+2[Al]−14[Cr]−13[Cu]−23[Mn]−5[Mo]−4[Nb]−13[Ni]−7[Si]+3[Ti]+4[V]
但し、[C]、[Al]、[Cr]、[Cu]、[Mn]、[Mo]、[Nb]、[Ni]、[Si]、[Ti]、[V]は、それぞれ、C、Al、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、Vの含有量(%)である。
(2)上記(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、前記鋼が、更に、質量%で、Mo:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.5%、Ni:0.01〜5.0%、Cr:0.01〜1.5%、V:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.0%、Zr:0.0001〜0.050%、Ta:0.0001〜0.050%のうち少なくとも1種を含有してもよい。
(3)上記(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、前記鋼が、更に、質量%で、Mg:0.0001〜0.010%、Ca:0.0001〜0.005%、REM:0.0001〜0.005%、Y:0.0001〜0.005%、Hf:0.0001〜0.005%、Re:0.0001〜0.005%のうち少なくとも1種を含有してもよい。
(4)上記(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、最初の水冷から鋼板表面がマルテンサイト変態開始温度(M点)に達するまでの平均冷却速度(℃/s)がVC90以下であってもよい。
ここで、
=545−330[C]+2[Al]−14[Cr]−13[Cu]−23[Mn]−5[Mo]−4[Nb]−13[Ni]−7[Si]+3[Ti]+4[V]
C90=10(3.69−0.75β)
β=2.7[C]+0.4[Si]+[Mn]+0.45([Ni]+[Cu])+0.8[Cr]+2[Mo]
但し、[C]、[Al]、[Cr]、[Cu]、[Mn]、[Mo]、[Nb]、[Ni]、[Si]、[Ti]、[V]は、それぞれ、C、Al、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、Vの含有量(%)である。
(5)上記(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、前記水冷及び前記最終水冷の速度がVC90以上であってもよい。
(6)上記(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、前記熱間圧延で、前記鋼片の再加熱温度が950℃以上、前記鋼片の未再結晶温度域での圧下比が3以上であってもよい。
(7)上記(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法では、800℃以下の冷却開始温度から冷却してもよい。
(8)超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法では、(1)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法で製造した鋼板を、UO造管によって管状に成形し;前記鋼板の突き合わせ部を内外面から溶接ワイヤ−と焼成型もしくは溶融型フラックスとを使用してサブマージドアーク溶接を行い;その後、拡管を行う。
(9)上記(8)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法では、前記サブマージドアーク溶接を行った後でかつ前記拡管を行う前に、溶接部を熱処理してもよい。
(10)上記(8)に記載の超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法では、前記溶接部を200℃以上500℃以下の温度で熱処理してもよい。
本発明によれば、化学成分を限定した鋼板を熱間圧延後、水冷と復熱とを繰り返しながら冷却することにより、鋼板及び鋼管の強度のばらつきを少なくし、ひずみ時効前後の鋼板及び鋼管の変形能を良好にすることが可能である。その結果、ラインパイプに対する安全性が大幅に向上する。
製造された鋼板の板厚方向の硬度分布の概略図である。 冷却中の鋼板の板厚方向の温度分布の概略図である。 鋼板表面の冷却パターンと鋼の変態線図との関係の一例を示す概略図である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
本発明は、625MPa以上の引張強度(TS)を有する低温靱性に優れた超高強度ラインパイプに関する発明である。この強度水準の超高強度ラインパイプは、従来から主流であるX65と較べて約1.2から2.0倍の圧力に耐えるため、従来と同じサイズでより多くのガスを輸送することが可能になる。より高い圧力でX65を使用する場合は、ラインパイプの肉厚を厚くする必要がある。そのため、材料費、輸送費、現地溶接施工費が高くなり、パイプライン敷設費が大幅に上昇する。したがって、パイプライン敷設費を削減するために、625MPa以上の引張強度(TS)を有する低温靱性に優れた超高強度ラインパイプが必要とされる。一方、要求される鋼管の強度が増加するとともに、急激に鋼管の製造が困難になる。特に、「strain based design」を要求された時は、母材の強度と低温靭性とのバランスおよびシーム溶接部の靭性だけでなく、ひずみ時効後の変形能も含めた目標特性を得ることが必要である。しかしながら、これらのすべての特性を満足させることは、非常に困難である。
「strain based design」を要求されたラインパイプでは、ラインパイプ間を接続する溶接金属の強度(円周溶接部の強度)が母材(鋼板または鋼管の鋼板であった部分)の長手方向(ラインパイプの管軸方向)の強度よりも高くなければならない。ラインパイプを使用する環境では、夏に凍土が融解したり、冬に再度凍土が生じたりすることがある。このような場合には、ラインパイプにひずみが生じ、円周溶接部より破断する。特に、円周溶接部の強度が母材の強度よりもアンダーマッチングとなる場合には、より小さなひずみで破断する。そのため、母材の長手方向の強度を円周溶接部の強度よりも下げる必要があり、母材の長手方向の強度は、円周溶接部の強度によって、上限が設定される。特に、ラインパイプの各グレードには強度範囲があるので、この上限によって、ラインパイプを製造するための母材の強度は、狭い範囲に制限される。従って、強度のばらつきを抑えたラインパイプとその母材とを安定して製造することが要求される。
ラインパイプの母材の引張り強度を625MPa以上、かつ、狭い範囲に制限するために、発明者らは、鋭意研究を行った。その結果、鋼板に低炭素鋼を用い、鋼板の熱間圧延時の冷却条件を適正にすることが極めて重要であることが明らかになった。例えば、C量が0.08%を超えると、焼入れ性が高すぎるため、鋼板の中心部と表面とで強度が大きく変化する。そのため、鋼板には、低炭素鋼を用いる。また、例えば、C量が0.08%以下であっても、鋼板表面の冷却条件を全く制限せずに冷却すると、鋼板表面の冷却方法によっては、マルテンサイトが生成したり、しなかったりする。その場合、鋼板表面と鋼板の板厚方向中心部(鋼板内部)との間に硬度の差が生じたり、一枚の鋼板内や製造された鋼板間で強度にばらつきが生じたりするため、狭いレンジの強度を有するラインパイプが製造できなくなる。
図1A及び図1Bを用いて、上記強度のばらつきについて説明する。図1Aは、製造された鋼板の板厚方向の硬度分布の概略図であり、図1Bは、冷却中の鋼板の板厚方向の温度分布の概略図である。図1Aおよび図1Bにおいて、点線は、板厚の中心を、一点鎖線(a)は、水冷による単純冷却(例えば、図2中の破線(i)で示す冷却条件)による結果を、実線(b)は、本発明の冷却条件による結果を示す。図1Aの一点鎖線(a)で示すように、鋼板表面の冷却条件を全く制限せずに冷却(単純冷却)を行った場合には、鋼板表面と鋼板の板厚方向中心部(鋼板内部)との間に硬度の差が生じる。この硬度の差は、図1Bに示すような冷却中の鋼板の板厚方向の温度分布に起因している。水冷時に鋼板表面は、直接水と接触するため、冷却されやすい。しかしながら、鋼板内部では、冷却速度が伝熱により支配されるため、鋼板内部は、鋼板表面よりも冷却されにくい。そのため、鋼板表面と鋼板内部とでは、それぞれ硬度が異なる組織が得られる。したがって、単純冷却では、冷却中の鋼板内の温度分布により、製造された鋼板内に硬度分布が生じる。このような硬度分布は、板厚方向に限られず、冷却の水量のむら等の不均一性によって、鋼板内の任意の場所に生じうる。このような鋼板内の強度のばらつきは、鋼板表面に応力集中が生じる鋼管製造時にしわや割れ等の表面欠陥の原因となる点で問題である。また、単純冷却では、鋼板の水冷を停止する温度が製造ロット毎で変化することがあるため、製造された鋼板間において、強度のばらつきが生じやすい。
このような強度のばらつきを抑制するために、鋼板表面を、一度に冷却せず、水冷と後述する復熱とを繰り返しながら冷却することにより、一枚の鋼板内および製造された鋼板間の強度のばらつきを抑えることに成功した。復熱とは、所定の時間水冷を停止して、鋼板内部から鋼板表面へと熱を伝えること(高温部から低温部への伝熱)により、水冷直後よりも鋼板表面(低温部)の温度を高くする処理をいう。この復熱により、鋼板内部と鋼板表面との温度差が減少し、鋼板内の温度分布が均一になる。また、異なる製造ロットであっても、温度履歴を均一に制御することができる。しかしながら、本発明では、ベイナイト/フェライト混合組織を得るため、鋼板の表面をマルテンサイト変態開始温度(M点)より高い所定の温度に水冷を行った後、復熱を行う処理を少なくとも一回以上繰り返して、冷却することが最も重要である。さらに、水冷開始(最初の水冷)から鋼板表面がマルテンサイト変態開始温度(M点)に達するまでの鋼板表面の平均冷却速度を90%マルテンサイト組織が得られる臨界の冷却速度以下にすると、強度のばらつきは、さらに抑制される。なお、冷却の水量を調整すること(例えば、水量を減らすこと)によって、復熱を行ってもよい。また、最終水冷を行った後に復熱してもよい。この場合、水冷停止温度がM点を超えることもある。
以下、本発明の鋼板(母材)成分を限定した理由について述べる。なお、本発明の化学成分について、%は、質量%を意味する。
Cは、母材の強度を向上させる基本的な元素として欠かせない。そのため、0.03%以上のCを添加する必要がある。0.08%を越えて過剰にCを添加すると、鋼材の溶接性や靱性が低下する。そのため、Cの添加量の上限を0.08%とする。
Siは、製鋼時の脱酸元素として必要とされる。脱酸のために、鋼中に0.01%以上のSiを添加する必要がある。しかしながら、0.50%を越えてSiを添加すると、鋼材のHAZ靱性が低下する。そのため、Siの添加量の上限を0.50%とする。
Mnは、母材の強度および靱性を確保するために必要な元素である。しかしながら、Mnの量が2.5%を越えると、母材のHAZ靱性が著しく低下する。Mnの量が1.5%未満では、母材の強度確保が困難になるため、Mnの量の範囲を1.5〜2.5%とする。
Pは、鋼の靱性に影響を与える元素である。Pの量が0.01%を越えると、母材だけでなくHAZの靱性も著しく低下する。そのため、Pの量の上限を0.01%とする。
Sは、0.0030%を越えて過剰に添加されると、粗大な硫化物を生成させる。この粗大な硫化物が靱性を低下させるので、Sの量の上限を0.0030%とする。
Nbは、炭化物、窒化物を形成して強度を向上させる効果を有する元素である。しかしながら、0.0001%以下のNbの添加では、その効果がない。また、0.20%を越えるNbの添加では、靱性の低下を招く。そのため、Nbの量の範囲を0.0001〜0.20%とする。
Alは、通常脱酸材として添加される。本発明においては、0.03%を越えてAlを添加すると、Ti主体の酸化物が生成しない。そのため、Alの量の上限を0.03%とする。また、溶鋼中の酸素量を低減するために、Alを0.0001%以上添加する必要がある。そのため、Alの量の下限を0.0001%とする。
Tiは、脱酸材として、さらには窒化物形成元素として、結晶粒の細粒化に効果を発揮する元素である。しかしながら、多量のTiの添加は、炭化物の形成による著しい靱性の低下をもたらすため、Tiの量の上限を0.030%にする必要がある。しかしながら、所定の効果を得るためには、0.003%以上のTiを添加する必要がある。したがって、Tiの量の範囲を0.003〜0.030%とする。
Bは、一般に、鋼中に固溶して焼入れ性を増加させ、フェライトの生成を著しく抑制する元素である。したがって、Bの量を0.0003%未満とする。
Nは、TiNを微細に析出させて、オーステナイト粒径を微細化するために必要である。Nの量が0.0010%では、微細化が十分でないため、Nの量の下限を0.0010%とする。また、Nの量が0.0050%を超えると、固溶Nの量が増加し、母材の低温靭性が劣化するので、Nの量の上限を0.0050%とする。
Oは、0.0050%を越えて過剰に添加されると、粗大な酸化物が生成し、母材の靱性を低下させる。そのため、Oの量の上限を0.0050%とする。
以上のような元素を含有し、残部が鉄(Fe)および不可避的不純物からなる鋼が、本発明の鋼板および鋼管に用いる好ましい基本組成である。
なお、本発明においては、必要に応じて、強度および靱性を改善する元素として、Mo、Cu、Ni、Cr、V、Zr、Taの中から、少なくとも1種の元素を添加することができる。
Moは、焼入れ性を向上させると同時に、炭化物及び窒化物を形成し強度を改善する元素である。その効果を得るために、Moを0.01%以上添加する必要がある。しかしながら、1.0%を越えた多量のMoの添加は、必要以上に母材の強度を増加させるとともに、靱性を著しく低下させる。したがって、Moの量の範囲を0.01〜1.0%とする。
Cuは、靱性を低下させずに強度を増加させるために有効な元素である。しかしながら、Cuの量が0.01%未満ではその効果がなく、Cuの量が1.5%を越えると鋼片加熱時や溶接時に割れを生じやすくなる。従って、Cuの量の含有量を0.01〜1.5%とする。
Niは、靱性および強度の改善に有効な元素である。その効果を得るためにNiを0.01%以上添加する必要がある。しかしながら、5.0%を超えてNiを添加した場合には、溶接性が低下する。そのため、Niの量の上限を5.0%とする。
Crは、析出強化によって鋼の強度を向上させる元素である。そのため、Crを0.01%以上添加する必要がある。しかしながら、多量にCrを添加すると、焼入れ性が増加するため、マルテンサイト組織が生じ、靱性が低下する。従って、Crの量の上限を1.5%とする。
Vは、炭化物及び窒化物を形成して強度を向上させる効果を有する元素である。しかしながら、0.01%以下のVの添加では、その効果がない。また、0.10%を越えるVの添加では、靱性の低下を招く。そのため、Vの量の範囲を0.01〜0.10%とする。
Wは、焼入れ性を向上させると同時に、炭化物及び窒化物を形成し強度を改善する元素である。その効果を得るために、Wを0.01%以上添加する必要がある。しかしながら、1.0%を越えた多量のWの添加は、必要以上に母材の強度を増加させるとともに、靱性を著しく低下させる。したがって、Wの量の範囲を0.01〜1.0%とする。
Zr及びTaもNbと同様に炭化物、窒化物を形成して強度を向上させる効果を有する元素である。しかしながら、0.0001%以下の添加では、その効果がない。また、0.050%を越えるZrもしくはTaの添加では、靱性の低下を招く。そのため、ZrもしくはTaの量の範囲を0.0001〜0.050%とする。
また、本発明においては、必要に応じて、酸化物によるピニング効果あるいは耐ラメラテアー性を向上させるために、Mg、Ca、REM、Y、Hf、Reの中から少なくとも1種の元素を添加することができる。
Mgは、主に脱酸材として添加される。しかしながら、0.010%を越えてMgを添加すると、粗大な酸化物が生成し易くなり、母材およびHAZ靱性が低下する。また、0.0001%未満のMgの添加では、粒内変態とピニング粒子として必要な酸化物の生成とを十分に期待できない。そのため、Mgの添加範囲を0.0001〜0.010%とする。
CaおよびREM、Y、Hf、Reは、硫化物を生成することにより圧延方向に伸長しやすいMnSの生成を抑制し、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラテアー性を改善する。CaおよびREM、Y、Hf、Reは、いずれも0.0001%未満では、この効果が得られない。そのため、CaおよびREM、Y、Hf、Reの量の下限を0.0001%とする。逆に、CaおよびREM、Y、Hf、Reは、いずれも0.0050%を越えると、Ca及びREM、Y、Hf、Reの酸化物の個数が増加し、超微細なMg含有酸化物の個数が低下する。そのため、CaおよびREM、Y、Hf、Reの量の上限を0.0050%とする。
上記の成分を含有する鋼を製鋼工程で溶製後、連続鋳造などにより鋳造して鋼片(鋳片)とする。この鋼片に熱間圧延(鋼片の加熱後、圧延)を施して、鋼板にする。この場合、鋼片をAC3点以上の温度(再加熱温度)に加熱し、再結晶温度域での圧下比が2以上、未再結晶温度域での圧下比が3以上となるように圧延する。その結果、得られた鋼板の平均旧オーステナイト粒径は、20μm以下になる。
上記の鋼片(鋳片)の再加熱温度は、950℃以上であることが好ましい。また、再加熱温度が高くなりすぎると、加熱時にγ粒が粗大化するので、再加熱温度を1250℃以下にすることが好ましい。
再結晶温度域での圧下比については、圧下比が2未満であると再結晶が十分に生じないので圧下比を2以上とすることが好ましい。
未再結晶温度域での圧下比を3以上にすれば、鋼板の平均旧オーステナイト粒径は、20μm以下になる。そのため、未再結晶温度域での圧下比を3以上とすることが好ましい。より好ましくは、未再結晶温度域での圧下比が4以上である。この場合、鋼板の平均旧オーステナイト粒径を10μm以下にすることができる。
水冷を開始する温度(水冷開始温度)については、鋼板を800℃以下の水冷開始温度から冷却することが好ましい。すなわち、Ae3点以下から鋼板の冷却を開始する。この場合、フェライト変態が生じて、鋼板の降伏比が低下するので、鋼板の変形能が良好になる。
冷却方法については、鋼板表面がマルテンサイト変態開始温度に達するまで、水冷と復熱とを繰り返すことによって、鋼板表面を冷却することが最も重要である。この冷却方法によって、上述した鋼板の強度のばらつきを抑えることができる。さらに、水冷開始(最初の水冷)から鋼板表面がマルテンサイト変態開始温度(M点)に達するまでの鋼板表面の平均冷却速度(℃/s)を90%マルテンサイト組織が得られる臨界の冷却速度VC90(℃/s)以下にすると、強度のばらつきは、さらに抑制される。なお、下記(1)と(2)および(3)式とに、それぞれM点とVC90との計算式を示す。
=545−330[C]+2[Al]−14[Cr]−13[Cu]−23[Mn]−5[Mo]−4[Nb]−13[Ni]−7[Si]+3[Ti]+4[V] ・・・(1)
C90=10(3.69−0.75β) ・・・(2)
β=2.7[C]+0.4[Si]+[Mn]+0.45([Ni]+[Cu])+0.8[Cr]+2[Mo] ・・・(3)
但し、上記(1)〜(3)式における[C]、[Al]、[Cr]、[Cu]、[Mn]、[Mo]、[Nb]、[Ni]、[Si]、[Ti]、[V]は、それぞれC、Al、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、Vの含有量(%)である。
なお、鋼板表面の温度は、鋼板の幅方向中央部を測定している。
本発明における復熱について説明する。本発明における復熱は、鋼板を冷却する際、M点より高い所定の温度になるまで鋼板の表面を一度水冷により冷却した後、一定時間水冷を停止し、水冷直後よりも鋼板表面の温度を高くする操作である。すなわち、M点より高い所定の温度になるまで水冷を行った後、復熱を行う処理を少なくとも1回以上繰り返して、鋼板の表面を冷却する。その後、最後の水冷(最終水冷)を行って、鋼板の表面をM点以下の温度まで冷却する。この最終水冷の後、再度復熱してもよい。この復熱が行われた場合、最終冷却温度は、最後の復熱後の温度とする。なお、鋼板内の強度のばらつきを防ぐために、最終水冷前の鋼板の復熱回数は、2回以上であることが好ましい。また、生産性を確保するために、水冷及び最終水冷の速度は、VC90以上であることが好ましい。本発明で用いた冷却装置には、水量密度が同じになるように制御できるノズルが集まった場所(ゾーンとよぶ)がいくつかある。本発明では、例えば、これらのゾーンを、水冷を行う水冷ゾーンと水冷を行わない復熱ゾーンとに割り当てる。すなわち、第一のゾーン(水冷ゾーン)で水冷を行い、第二のゾーン(復熱ゾーン)で水冷を行わない時、鋼板の表面温度について、第二のゾーンの出口における温度が第一のゾーンの出口における温度よりも高くなる。さらに、第三のゾーン(水冷ゾーン)で水冷を行うと、鋼板の表面温度が下がる。このように、水冷ゾーンと復熱ゾーンとを繰り返すことによって鋼板の表面温度を下げていく。水冷を行わないゾーン(復熱ゾーン)は、鋼板の冷却状況等を勘案して任意に決めることができる。最終的に、鋼板表面は、最後の水冷ゾーンでM点以下の温度まで冷却される。
上記冷却条件で、冷却を行う理由について、図2を参照して以下に具体的に説明する。図2は、鋼板表面の冷却パターンと鋼の変態線図との関係の一例である。図2の破線(i)は、鋼板を冷却速度VC90で冷却した場合の冷却パターンを示している。この冷却パターンでは、鋼板の約90%がマルテンサイト組織となる。図2の点線(ii)で示すように、冷却速度VC90よりも、鋼板表面の平均冷却速度が大きい場合には、鋼板表面は、ほぼマルテンサイト組織となる。そのため、鋼板表面の復熱を行った場合であっても、鋼板表面の靭性が著しく低下し、鋼管製造時に鋼板に表面割れ等の表面欠陥が生じることがあるが、強度のばらつきは抑制することができる。一方、図2の実線(iii)および(iv)で示すように、冷却速度VC90よりも、鋼板表面の平均冷却速度が小さい場合には、鋼板は、本発明のベイナイト/フェライト混合組織となる。加えて、鋼板表面を復熱することにより、鋼板内部の組織が均一となり、強度のばらつきが少ない鋼板を製造することができる。
冷却停止温度については、200℃以下で最後の水冷(最終水冷)を停止させると、鋼板の板厚中心部に水素に起因すると考えられる欠陥が生成する。そのため、冷却停止温度の下限を200℃とすることが好ましい。
次に、上述した製造方法によって製造された超高強度ラインパイプ用鋼板を用いて、UOプロセス(UO造管)によりラインパイプを製造する方法について述べる。板厚が12〜25mmの鋼板を製造後、UO造管(Cプレス、Uプレス、Oプレス)によって管状に成形する。その後、管状に成形された鋼板の端部をそれぞれつき合わせて、仮付け溶接を行う。この仮付け溶接には、MAG溶接あるいはMIG溶接を用いる。仮付け溶接後、管状に成形された鋼板の突き合わせ部を内外面からサブマージドアーク溶接を行う。このサブマージドアーク溶接には、溶接ワイヤーと焼成型もしくは溶融型フラックスとを用いる。最後に、拡管を行い、鋼管を製造する。
本発明の超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法においては、上記の内外面のサブマージドアーク溶接を行った後、かつ、拡管を行う前に溶接部(シーム溶接部)に熱処理を施すことが好ましい。また、この鋼管の熱処理条件として、溶接部を200℃以上500℃以下の温度で熱処理することが好ましい。この熱処理により、溶接部(溶接金属)に生じる靭性に有害なMA(オーステナイトとマルテンサイトとの混合組織)を低減することができる。溶接部を200℃以上500℃以下の温度に加熱すると、旧オーステナイト粒界に沿って生成した粗大なMAが微細なセメンタイトに分解する。しかしながら、200℃未満で溶接部を熱処理した場合には、粗大なMAがセメンタイトに分解しない。そのため、溶接部の熱処理温度の下限は、200℃である。また、500℃を超えて溶接部を熱処理すると、溶接部の靭性が劣化する。そのため、溶接部の熱処理温度の上限は、500℃である。
次に、本発明の実施例について述べる。
表1の化学成分を有する厚さ240mmの鋼片を1000〜1210℃に加熱した後、鋼片の厚さ(移送厚)が70〜100mmになるまで950℃以上の再結晶温度域で熱間圧延を行った。さらに、鋼片の厚さ(板厚)が12〜25mmになるまで880〜750℃の範囲の未再結晶温度域で熱間圧延を行った。その後、650〜795℃の温度から鋼板の冷却(最初の水冷)を開始し、M点より高い所定の温度に水冷を行った後、復熱を行う処理を少なくとも1回以上繰り返して冷却を行った。その後、300〜470℃の温度で冷却(最終水冷)を停止した。なお、表1中には、参考のため、炭素当量Ceq及び溶接割れ感受性指標Pcmも示している。
製造されたそれぞれの鋼板の降伏強度と引張強度とを評価するために、それぞれの鋼板からAPI5L規格に準拠した全厚試験片を採取して、常温で引張試験を行った。採取方向について、これらの全厚試験片は、全厚試験片の長手方向が鋼板の幅方向と一致するように採取された。また、全厚試験片の採取位置は、鋼板先端部および鋼板末端部から鋼板の長手方向に1m離れた位置である。これらの位置における鋼板の板幅中心部から両側に2本の全厚試験片が採取された。
次に、この鋼板をUO造管により成形した後、鋼板の突き合わせ部を炭酸ガスアーク溶接によって仮付け溶接を行った。その後、溶接ワイヤーと溶融フラックスとを用いて鋼板の突き合わせ部の内外面からサブマージドアーク溶接によるシーム溶接を行い、鋼管とした。シーム溶接の平均入熱量は、2.0〜5.0kJ/mmとした。なお、一部の鋼管については、シーム溶接部に250〜450℃の熱処理を実施した。鋼板および鋼管の製造条件を表2に示す。
製造されたそれぞれの鋼管の降伏強度と引張強度とを評価するために、それぞれの鋼管からAPI試験片を採取して、引張試験を行った。採取方向について、これらのAPI試験片は、API試験片の長手方向が鋼管の管軸方向と一致するように採取された。また、採取位置について、これらのAPI試験片は、管軸に垂直な切断面においてそれぞれの鋼管のシーム溶接部から1/4周離れた位置を中心としてその両側に2本ずつ採取された。また、参考として、ひずみ時効後の変形能を評価するためにこれらの鋼管を210℃で熱処理(5分間保持後空冷)し、上記と同様の位置から2本ずつAPI試験片を採取し、引張り試験を行った。引張り試験は、API規格2000に準拠している。また、鋼管の靭性を評価するために、−30℃におけるシャルピー試験とDWT試験とを実施した。シャルピー試験及びDWT試験も、API規格2000に準拠している。シャルピー試験片とDWT試験片とは、試験片の長手方向が鋼管の円周方向と一致するように、管軸に垂直な切断面において鋼管のシーム溶接部から1/2周離れた位置から採取された。DWT試験片は、それぞれの鋼管から2本ずつ採取され、シャルピー試験片は、それぞれの鋼管の肉厚中心部から3本ずつ採取された。
さらに、製造されたそれぞれの鋼管のHAZ靭性を評価した。HAZ靭性を評価するための試験片は、鋼管のシーム溶接部近傍の溶接熱影響部(HAZ)から採取し、FL+1mm(HAZ部とシーム溶接部との境界からHAZ部側に1mmの位置)にノッチが入れられた。これらの試験片は、それぞれの鋼管から3本ずつ採取された。これらの試験片は、いずれも−30℃におけるシャルピー試験により評価された。
これらの試験結果を表3に示す。なお、表3中には、参考のため、引張強度だけでなく、降伏強度および降伏比についても示している。
鋼1〜22は、本発明の実施例を示す。表3から明らかなように、これらの鋼板及び鋼管は、X80以上の引張強度を有しており、かつ鋼板及び鋼管内の強度のばらつきも60MPa以下に抑えられていた。また、鋼管のシャルピーエネルギーは、200J以上、DWTT延性破面率は、85%以上であり、溶接熱影響部のシャルピー吸収エネルギー(HAZ靭性)は、50Jを超えていた。このように、本発明の実施例における鋼管は、高い靭性を有していた。鋼23〜35は、本発明の製造条件を満たさない比較例を示す。すなわち、鋼23では、本発明の範囲より鋼中のC量が少ないため、引張強度が十分でなかった。鋼24〜29では、基本成分及び選択元素の内少なくとも1種の元素が、本発明の範囲を越えて鋼中に添加されているため、鋼管の母材の靭性(シャルピーエネルギー)またはHAZ靱性が十分でなかった。一方、鋼30〜35では、鋼板表面を復熱することなく冷却したため、鋼板及び鋼管の強度のばらつきが、100MPa以上と大きかった。また、210℃で熱処理を行った後の鋼管の降伏強度が鋼板の降伏強度に比べ、200MPa以上増加した。すなわち、鋼板表面を復熱することなく冷却したため、ひずみ時効後の変形能が大きく低下した。
Figure 0004819185
Figure 0004819185
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母材の強度、低温靱性および変形能が優れ、かつ現地溶接が容易な引張強度625MPa以上(API規格X80以上)の超高強度ラインパイプ用鋼板および鋼管の製造方法を提供することができる。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.08%
    Si:0.01〜0.50%
    Mn:1.5〜2.5%
    P:0.01%以下
    S:0.0030%以下
    Nb:0.0001〜0.20%
    Al:0.0001〜0.03%
    Ti:0.003〜0.030%
    B:0.0003%未満
    N:0.0010〜0.0050%
    O:0.0050%以下
    を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を溶製し;
    この鋼を鋳造して鋼片とし;
    この鋼片に熱間圧延を施して鋼板とし;
    点より高い所定の温度になるまで水冷を行った後、復熱を行う処理を少なくとも1回以上繰り返して、前記鋼板の表面を冷却し;
    最終水冷を行って、前記鋼板の表面をM点以下の温度まで冷却する;
    ことを特徴とする超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
    =545−330[C]+2[Al]−14[Cr]−13[Cu]−23[Mn]−5[Mo]−4[Nb]−13[Ni]−7[Si]+3[Ti]+4[V]
    但し、[C]、[Al]、[Cr]、[Cu]、[Mn]、[Mo]、[Nb]、[Ni]、[Si]、[Ti]、[V]は、それぞれ、C、Al、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、Vの含有量(%)
  2. 前記鋼が、更に、質量%で、
    Mo:0.01〜1.0%
    Cu:0.01〜1.5%
    Ni:0.01〜5.0%
    Cr:0.01〜1.5%
    V:0.01〜0.10%
    W:0.01〜1.0%
    Zr:0.0001〜0.050%
    Ta:0.0001〜0.050%
    のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼が、更に、質量%で、
    Mg:0.0001〜0.010%
    Ca:0.0001〜0.005%
    REM:0.0001〜0.005%
    Y:0.0001〜0.005%
    Hf:0.0001〜0.005%
    Re:0.0001〜0.005%
    のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
  4. 最初の水冷から鋼板表面がマルテンサイト変態開始温度(M点)に達するまでの平均冷却速度(℃/s)がVC90以下であることを特徴とする請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
    =545−330[C]+2[Al]−14[Cr]−13[Cu]−23[Mn]−5[Mo]−4[Nb]−13[Ni]−7[Si]+3[Ti]+4[V]
    C90=10(3.69−0.75β)
    β=2.7[C]+0.4[Si]+[Mn]+0.45([Ni]+[Cu])+0.8[Cr]+2[Mo]
    但し、[C]、[Al]、[Cr]、[Cu]、[Mn]、[Mo]、[Nb]、[Ni]、[Si]、[Ti]、[V]は、それぞれ、C、Al、Cr、Cu、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、Vの含有量(%)
  5. 前記水冷及び前記最終水冷の速度がVC90以上であることを特徴とする請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
  6. 前記熱間圧延で、前記鋼片の再加熱温度が950℃以上、前記鋼片の未再結晶温度域での圧下比が3以上であることを特徴とする請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
  7. 800℃以下の冷却開始温度から冷却することを特徴とする請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法。
  8. 請求項1に記載の超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法で製造した鋼板を、UO造管によって管状に成形し;
    前記鋼板の突き合わせ部を内外面から溶接ワイヤ−と焼成型もしくは溶融型フラックスとを使用してサブマージドアーク溶接を行い;
    その後、拡管を行う;
    ことを特徴とする超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法。
  9. 前記サブマージドアーク溶接を行った後でかつ前記拡管を行う前に、溶接部を熱処理することを特徴とする請求項8に記載の超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法。
  10. 前記溶接部を200℃以上500℃以下の温度で熱処理することを特徴とする請求項9に記載の超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法。
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