JPH0667316B2 - L―フコースデヒドロゲナーゼ - Google Patents

L―フコースデヒドロゲナーゼ

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JPH0667316B2
JPH0667316B2 JP63234745A JP23474588A JPH0667316B2 JP H0667316 B2 JPH0667316 B2 JP H0667316B2 JP 63234745 A JP63234745 A JP 63234745A JP 23474588 A JP23474588 A JP 23474588A JP H0667316 B2 JPH0667316 B2 JP H0667316B2
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
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    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)
    • C12N9/0006Oxidoreductases (1.) acting on CH-OH groups as donors (1.1)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/26Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving oxidoreductase
    • C12Q1/32Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving oxidoreductase involving dehydrogenase

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、L−フコースに作用してL−フコノラクトン
にすると共に、酸化型ニコチンアミド・アデニン・ジヌ
クレオチドリン酸(NADP)を還元型ニコチンアミド・ア
デニン・ジヌクレオチドリン酸(NADPH)に還元する新
規なL−フコースデヒドロゲナーゼ(以下L−FDHとい
う)に関するものである。
<従来の技術> 蛋白質や脂質に結合している複合糖質が、生体の情報伝
達の一部を担っていることが指摘されて以来、これらの
糖質に関する知見が急速に増加している。それらの中
に、肺ガンの病態に呼応して、そのL−フコースが増減
するという報告〔Clin.Chem.Vol.22,No.9,1516〜1521,
(1976)〕がある。故にこの糖を測定することは、この
種の患者の病態に関して有用な情報を与えると思われ
る。
その測定法は、酵素を用いた方法が精度と簡便性の上に
おいて優れている。L−フコース定量用の酵素として
は、ブタ肝臓由来のL−FDH〔J.Biol.Chem.,Vol.244,47
85〜4792,(1969)〕羊肝臓由来のL−FDH〔Arch.Bioch
em.Biophys.,Vol.186,184〜188,(1978)〕,ウサギ肝
臓由来のL−FDH〔J.Biochem.,Vol.86,1559〜1565,(19
79)〕,コリネバクテリウム属細菌由来のL−FDH(特
開昭62−155085),プルラリアプルランス由来のL−FD
H〔Arq.Biol.Tecnol.,Vol.30,361〜366,(1987)〕など
が知られているが、いずれも補酵素としてニコチンアミ
ド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)を利用するデヒ
ドロゲナーゼである。
これらを利用してL−フコースを定量する試みも、また
いくつか提出されている。たとえば、特開昭62−175197
やAnal.Biochem,Vol.121,129〜134,(1982)やAnal.Bio
chem.,Vol.112,76〜81,(1981)およびMethods Enzym,
Anal.(3rd Ed.),Vol.6,387〜398等である。
<発明が解決しようとする問題点> 生体の一部、たとえば血清などを試料としてその成分を
酵素的に測定する場合、当然のことながら、生体に本来
含有されている対謝系の酵素や対謝物の影響ができるだ
け少ない様に測定系を組み立てることが望ましい。
この観点から見て、NADPを補酵素として利用するデヒド
ロゲナーゼを測定に用いるのは、NADを補酵素として利
用するデヒドロゲナーゼを用いるのに比べて、優れてい
る。なぜならば、血清等には、NAD(またはNADH)を利
用する酵素(たとえば、ラクテート・デヒドロゲナーゼ
など)が比較的多く含まれており、また、その代謝物
(たとえば、ピルビン酸や、乳酸など)も常に含有され
ており、NADの定量系では、これらの影響を受け易いか
らである。
本発明者等は、操作が簡単で、しかも精度の高いL−フ
コースの測定法について検討したところ、土壌から分離
したシュードモナス属に属する一細菌が、L−フコース
に作用して、L−フコノラクトンにすると共にNADPをNA
DPHに還元する新規な酵素を生産し、この酵素がL−フ
コースの測定に有効に利用できることを見出し、本発明
を完成した。
すなわち、本発明はL−フコースに作用して、L−フコ
ノラクトンにすると共にNADPをNADPHに還元する新規な
酵素L−FDHである。
<問題点を解決するための手段> 以下、本発明を具体的に説明する。
本発明における新規酵素L−FDHの理化学的性質は下記
の通りである。
(1)作用及び基質特異性 次の反応式に示されるごとく、L−フコースとNADPの共
存下でL−フコースをL−フコノラクトンに酸化すると
共にNADPをNADPHに還元する。
L−フコース+NADP→L−フコノラクトン+NADPH+H+ 本酵素は、L−フコース(100%)に最も特異性が高い
が、L−ガラクトース(96%),D−アラビノース(1
%)などにも作用する。しかし、他の通常存在する糖類
には、ほとんど、または全く作用しない。
また、本酵素は、補酵素としてNADP(100%)を要求
し、NAD(1%)に対しては、わずかしか作用を示さな
い。
(2)至適pH及び安定pH範囲 トリス−イミダゾール−酢酸ナトリウム緩衝液を用いた
場合、第1図に示すとおり、9.0〜10.0である。安定pH
範囲は同じく第2図に示すごとく、8.0〜10.5である。
(3)作用適温の範囲 第3図に示すごとく、40〜60℃である。
(4)pH、温度等による失活の条件 第4図に示すごとく、10分間の熱処理では、40℃まで安
定であり、それ以上の温度では急速に失活する。30℃,6
0分間の熱処理ではpH8.0〜10.5で安定であり、pH6.0以
下では特に不安定である。
(5)阻害剤の影響及び安定化 上表は、各種金属塩及び阻害剤を2mMの濃度で含有する
反応液中での酵素活性を測定したものである。
その他、CaCl2,MgSO4,NiSO4,CuSO4,EDTA,O−フェナント
ロリン,α,α′−ジピリジル,KCN,NaN3等の阻害及び
活性化は観察されなかった。
(6)精製方法 本酵素の単離精製は、常法に従って行うことができる。
たとえば、硫安沈殿、フェニルセファロースを用いたカ
ラムクロマトグラフィー,DEAEセファデックスを用いた
カラムクロマトグラフィー,セファデックスG−100に
よるゲル濾過等の精製手段を単独もしくは適宜組合わせ
て使用する。
(7)分子量 0.05Mリン酸カリウム緩衝液(0.1M NaCl含有)を用い
てセファデックスG−100カラムによるゲル濾過法によ
り測定した値は、 約32,000〜36,000である。
(8)ポリアクリルアミドゲル電気泳動 15%ポリアクリルアミドゲルを用いて、常法によって電
気泳動を行った結果、第5図に示すごとく、ほぼ単一の
バンドが認められた。ブロムフェノールブルーを指標と
した時の相対泳動距離は、7.5%ゲルの場合が0.79,10%
ゲルの場合が0.57,15%ゲルの場合が0.37であった。
(9)等電点 アクリルアミド焦点電気泳動法によって測定した値は、
5.2である。
(10)活性の測定法 トリス−イミダゾール−酢酸ナトリウム緩衝液(各々0.
12M含有液を4N NaOHでpH9.5に調製する)2.5mlに15mM
NADP溶液0.2mlを加える。37℃に5分間保った後に酵
素液0.1mlを加え、更に150mM L−フコース溶液0.2ml
を加えて混合し、反応を始める。直ちに37℃に保った吸
光度測定用セル(1cm光路)に移し、340nmの波長で2分
または必要であれば、それ以上の時間にわたって吸光度
を測定する。1単位は、1分間に1μモルのNADPHを生
成させる酵素量である。
以上のように本酵素は、その補酵素にNADPを用いるとい
う点で従来知られていなかった新規なL−FDHである。
次に、本発明による新規な酵素L−FDHの製造法につい
て説明する。
使用される微生物は、シュードモナス属に属し、該L−
FDH生産能を有する菌株であって、その具体例として
は、シュードモナスsp.No.1143が挙げられ、該菌の変種
もしくは変異株も用いられる。シュードモナスsp.No.11
43は、本発明者等が土壌中より分離した菌株であり、そ
の菌学適性質は下記の通りである。
(a)形 態 顕微鏡的観察(24℃,肉汁寒天培地,16時間培養) 細胞の大きさ:0.4〜0.5×0.7〜1.0μmの桿菌 細胞の多形性:均一な桿菌であり、末端で相互に連な
った短い連鎖状態も見られる。
運動性:運動性あり(極毛)。2個連鎖したものは、
回転する。
胞子の有無:形成しない。
グラム染色性:陰性 抗酸性:陰性 (b)各培地における生育状態 肉汁寒天平板培養:30℃2日間の培養で直径1mmで円
状、淡黄色油質様光沢を持つコロニーとなる。周縁はや
や波状であるが、更に時間がたつと、全縁となる。
肉汁寒天斜面培養:生育は普通で淡黄色油質様光沢の
ある菌で表面は円滑である。培地の着色は見られない。
肉汁液体培養:30℃振盪培養では1日で良く生育し、
5日程で溶菌を始め、7日では完全に溶けて透明になっ
た。30℃静置培養では、表面にわずかの菌環と、少しの
白い沈澱を作り、全体がわずかに混濁した。
肉汁寒天穿刺培養:(30℃7日培養)刺条にそってわ
ずかに生育し、糸状になる。
リトマスミルク:底部分がわずかに還元して脱色し、
わずかに酸性化する。
BCPミルク:わずかに酸性化する。
ゼラチン穿刺培養:24℃7日間の培養によって、表面
が少し液化した。
(c)生理的性質 硝酸塩の還元:陽性 脱窒反応:嫌気的生育は見られるが、ガスの生成はな
し。
MRテスト:陰性 VPテスト:陰性 インドールの生成:陰性 硫化水素の生成:陽性(酢酸鉛試験紙法) デンプンの分解:陽性 クエン酸の利用:陰性 無機窒素源の利用:アンモニウム塩は利用するが、硝
酸塩は利用しない。
色素の生成:黄色の非拡散性色素を生成する。
ウレアーゼ:陰性 オキシダーゼ:陰性 カタラーゼ:陽性 生育の範囲:温度16〜38℃ (至適27℃付近) pH5.0〜9.8 (至適pH7付近) 酸素に対する態度:好気的 O−Fテスト:変化なし 糖類から酸及びガスの生成 (d)その他の性質 菌体内ポリハイドロキシブチレートの蓄積 陰性 蛍光性物質の生産 陽性 アルギニン・ジハイドロラーゼの生産 陰性 以上の新規なL−FDH生産能を有する本菌の分類学的諸
性質を、「バージェイズ・マニュアル・オブ・システマ
チック・バクテリオロジー」(1984年)第1巻の分類と
対比すると、本菌は、グラム染色性が陰性、好気性の無
胞子桿菌で極毛を持つカタラーゼ陽性菌であることか
ら、シュードモナス属に属すると思われる。菌体内にポ
リハイドロキシブチレートを蓄積せず、蛍光性物質を生
産し、アルギニン・ジハイドロラーゼを生産しないオキ
シダーゼ陰性菌という事から、シュードモナス・シリン
ガエ(Pseudomonas syringae)またはシュードモナス
・ビリジフラバ(Pseudomonas viridiflava)に近縁と
思われるが、デンプンの分解性や脱窒反応、黄色色素の
生産等の点で異なっており、従来知られていない新規な
菌株と思われる。
以上の理由により本菌をシュードモナスsp.No.1143と命
名した。なおシュードモナスsp.No.1143は、通商産業省
工業技術院微生物工業技術研究所に微工研条寄第2056号
(FERM BP−2056)として寄託されている。
次に本発明で使用する培地としては、炭素源,窒素源,
無機物,その他の栄養素を適宜含有する培地ならば、合
成培地または天然培地のいずれでも使用可能である。
炭素源としては、グルコース,ラクトース,フラクトー
ス,マルトース,グリセリン等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニウム塩の他にペプトン,カゼ
イン消化物,グルタミン酸ソーダ,酵母エキス等の窒素
性有機物が好適に使用できる。無機物としては、ナトリ
ウム,カリウム,マグネシウム,マンガン,カルシウ
ム,鉄等の塩類が使用できる。
本発明においては、該L−FDH生産能を有する菌株をL
−フコースを含有する培地で培養したときにL−FDHが
収率よく得られる。該培養培地の好適な例としては、L
−フコース0.3%,ペプトン0.1%,イーストエキス0.1
%,リン酸一カリウム0.09%,リン酸二カリウム0.11
%,硫酸マグネシムウ0.05%,硫酸第一鉄0.001%(pH
7.0)の培地例が挙げられる。そして該培地で30℃,24時
間好気的に培養した場合は、L−フコースを他の炭素源
におきかえた場合の10〜100倍の生産力価を得ることが
できる。
培養温度は通常20〜35℃の範囲で、好適には30℃近辺で
行なわれる。培養開始のpHは通常6〜8の条件であり、
好適には7付近である。この様な条件下で、20〜40時
間、振盪または深部攪拌培養を行うと、該培養物にL−
FDHが生成蓄積する。
L−FDHは、通常菌体中に存在するので、培養物を遠心
分離、あるいは濾過等の方法で、菌体だけを分離するの
が好ましい。これを適量の緩衝液中で破壊して酵素を可
溶化することによって溶液中へ放出させる。
菌体の破壊方法は、ダイノミル,フレンチプレス,超音
波等の物理的なものや、トリトンX−100,ラウリル硫酸
ソーダ,EDTA等の化学的な方法,リゾチーム等の酵素的
な方法を単独、または併用して用いることができる。こ
のようにして得られた菌体破壊液から核酸を常法によっ
て除去し、濾過または遠心によって不溶物を除き、L−
FDHを得る。更に該L−FDHは必要により酵素の単離精製
の常法に従って、例えば、(1)硫安分画(2)フェニ
ルセファロースによるカラムクロマドグラフィー(3)
DEAEセファデックスによるカラムクロマトグラフィー
(4)セファデックスG−100によるゲル濾過等の方
法、またはその他の方法を必要に応じて組合わせて用い
ることにより、精製されたL−FDHを得ることができ
る。
次に本発明によるL−フコースの定量法及び定量用キッ
トについて具体的に説明する。
本発明の測定原理は下記に示す通りである。
試料中のL−フコースにL−FDHを作用させ、生成され
たNADPHを公知の測定方法、たとえば紫外部340nmの吸光
度を測定する方法等によって測定することができる。
本発明に用いるL−FDHは、補酵素としてNADPを利用す
るものであれば、いかなる起源のものでも使用できる
が、たとえば、微生物、殊にシュードモナス属に属する
細菌から選ばれた菌を培養して得られるL−FDHを用い
ることが好ましい。
シュードモナス属に属する上記酵素生産菌としては、た
とえば、シュードモナスsp.No.1143(FERM BP−2056)
等が挙げられる。
試料中のL−フコースに上記L−FDHを作用させる場合
には、pH7〜10及び温度60℃以下、好ましくはpH8〜10及
び温度35〜50℃の条件で、通常は2〜20分間程度反応さ
せる。pHの調整には、前記pH範囲を維持することがで
き、かつ酵素反応を阻害しない任意の緩衝液が用いら
れ、たとえば、リン酸カリウム緩衝液,トリス−塩酸緩
衝液,グリシン−苛性ソーダ緩衝液,炭酸ナトリウム緩
衝液等が好適に使用できる。
L−FDHの作用により生成されるNADPHの定量は、いかな
る方法を用いても良いが、最も一般的に用いられている
方法は、紫外部340nmにおける吸光度を測定する方法で
ある。可視部に吸収を持つ色素に転換して定量する方法
は、 NADPHをフェナジンメトサルフェートとニトロブルーテ
トラゾリウムとで反応させて、生成したダイホルマザン
を570nmにおける吸光度で測定するものや、フェナジン
メトサルフェートまたは、それに類する作用をする電子
伝達体または金属イオンと反応させて生成した過酸化水
素をパーオキシダーゼと各種色源体と共に発色させて、
それぞれの好適な波長での吸光度を測定するものなどが
ある。過酸化水素に導かれたものは、ルミノールと共に
発光させて検出することもできる。また適当に選択した
複数の酸化還元指示薬と電子伝達体を共存させて、その
色調の特徴から半定量的に検出することも可能である。
これらの検出方法は、その特徴によって使いわければ良
い。
またL−フコースの定量を実施する場合には、試料中の
L−フコースは遊離の状態にあることが必要であり、複
合糖質の一部として結合しているL−フコースを測定す
る場合には、α−L−フコシダーゼなどを作用させて遊
離状態にすることが必要である。この場合に使用するα
−L−フコシダーゼは、いかなる起源のものでも良い
が、複合糖質のα−L−フコシド結合を素早く切断でき
ることが必要である。この例としては、アスペルギルス
属由来のα−L−フコシダーゼ〔J.Biol.Chem.,Vol.24
5,299〜304,(1970)〕や海産巻貝由来のα−L−フコ
シダーゼ〔J.Biochem.,Vol.70,75〜78,(1971)〕や動
物由来(J.Biol.Chem.,Vol.247,23〜32,(1972)〕など
がある。
本発明のL−フコース定量用キットは、L−FDH,NADPと
生成されるNADPHを定量するための酵素や試薬類、及び
これらの反応を円滑に進めるための緩衝用試薬からなっ
ている。この試薬類、酵素類は、液剤、固形剤もしくは
凍結乾燥製剤とし、必要に応じて使用前に緩衝液に溶解
混合して測定用試薬とする。
L−フコースの測定方法は、L−フコース含有試料に直
接作用させることによってNADPHを生成させる。そし
て、これをそのまま、あるいはNADPH定量用試薬を加え
ることによってNADPHを測定する。これらの測定方法
は、1試薬系でも2試薬系でも良く、さらに何試薬系で
測定しても良い。
<発明の効果> 本発明の新規なL−FDHを用いると、L−フコースの定
量を精度良く行うことができ、肺ガン等の病態診断に有
益な情報を得ることができる。また、本発明によれば、
操作が簡単でしかも共存するグルコースやピルビン酸,
乳酸,ラクテートデヒドロゲナーゼなどの影響を受けな
い正確性の高いL−フコース定量が可能となり、複合糖
質の研究分野において極めて有意義である。
次に本発明を実施例により説明する。
<実施例> 実施例1 シュードモナスsp.No.1143(FERM BP−2056)を150ml
の三角フラスコに入った30mlの減菌種培地(L−フコー
ス0.3%,ペプトン0.1%,酵母エキス0.1%,リン酸一
カリウム0.09%,リン酸二カリウム0.11%,硫酸マグネ
シウム0.05%,硫酸第1鉄0.001%,pH7.0)に植菌し、3
0℃にて振盪培養した。これを同じ組成をもった培地2
が入ったジャーファーメンター(株式会社いわしや生
物科学製)に10ml接種した。30℃,24時間,通気(2
/min),攪拌(400rpm)培養した。この培養液を8,000
rpmで20分間遠心分離して菌体を集めた。L−FDHは菌体
部分に蓄積されていた。
実施例2 実施例1のようにして培養した後集菌して、−20℃に凍
結保存してあった生菌体1.1kgを、0.02Mリン酸カリウム
緩衝液(pH8.0)(以下これを標準緩衝液という)50
に分間させて、リゾチーム(長瀬産業製)25gを加え、2
4℃に18時間放置した。これに硫安1.32kg,トリトンX−
100の10%水溶液500mlを添加して、均一に攪拌した。こ
れにエチレンイミンポリマー水溶液(10%,pH8.0)80ml
を少しづつ添加して、生じた沈殿を濾過して除いた。
瀘液を、ホローファイバー限外濾過装置(AIL−2011、
旭化成工業株式会社製)によって5まで濃縮した。冷
却した後、硫安1.08kgを加えて溶かし、2時間放置して
生じた沈殿を8,000rpm,20分間遠心分離して除いた。得
られた上澄に更に硫安0.74kgを加えて再び2時間放置し
て生じた沈殿を8,000rpm,20分間遠心分離して集めた。
この沈殿を標準緩衝液1に溶かした。これに硫安140g
を加えて溶かし、あらかじめ硫安14%を含有した標準緩
衝液に平衡化したフェニルセファロースCL−4B(スウェ
ーデン,ファーマシア社製)のカラム(直径13.3cm,高
さ38cm)に通して、酵素を吸着させた。これをエチレン
グリコールの濃度勾配(0→30%)と硫安の逆濃度勾配
(14→0%)を持った標準緩衝液50で溶出した。
活性部分をホローファイバー限外濾過装置で500mlまで
濃縮し、更に0.1Mの塩化カリウムを含有した標準緩衝液
3で透析濾過を行った。これをあらかじめ0.1M塩化カ
リウムを含有した標準緩衝液に平衡化させたDEAE→セフ
ァデックスA−50のカラム(直径6cm,高さ35cm)に通し
て酵素を吸着させ、塩化カリウムの濃度勾配(0.1→0.8
M)を持った標準緩衝液10で溶出した。活性部を限外
濾過装置(米国,アミコン社製)で15mlまで濃縮し、こ
のうち2mlをあらかじめ0.1M塩化カリウム含有の標準緩
衝液に平衡化したセファデックスG−100カラム(直径
2.5cm,高さ100cm)にかけて、ゲル濾過を行った。活性
部を集めて濃縮した。すべての酵素をゲル濾過した結
果、L−フコース脱水素酵素34,000単位を得た。これは
第5図に示す通りほとんど単一バンドを示す酵素標品で
あった。
実施例3 溶液中のL−フコースの濃度を下記試料を用いて下記方
法により定量した。
1.試 薬 0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 1.57ml NADP(15mM) 0.065ml L−FDH(44単位/ml) 0.065ml 試料溶液 0.30ml 2.定量方法 各試薬をそれぞれ所定量試験管にとり、37℃で5分間反
応させ、340nmで吸光度を測定した。同様にして試料溶
液のかわりに水を同量加えて反応させた場合の吸光度を
差し引いて試料溶液の吸光度とした。
別に、既知濃度のL−フコース溶液を同様にして得た検
量線から試料溶液中のL−フコースの濃度を求めた。第
6図にその検量線を示す。
実施例4 溶液中のL−フコースの濃度を下記の試薬を用いて下記
方法により定量した。
1.試 薬 0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)(0.1%トリトンX
−100含有) 150μl フェナジンメトサルフェート(1mg/ml) 5μl ニトロブル−テトラゾリウム(10mg/ml) 5μl NADP(15mM) 15μl L−FDH(44単位/ml) 15μl 試料溶液 10μl 2.定量方法 上記試薬をおのおの所定量試験管にとり、37℃で10分間
反応させた。その後、0.3規定塩酸2.0mlを添加して良く
攪拌した。
生成した色素を570nmで吸光度を測定した。試料溶液の
かわりに水を同量添加して同様に反応処理したものの吸
光度をブランクとして差し引いた。
別に既知濃度のL−フコース溶液を同様にして得た検量
線から試料溶液中のL−フコースの濃度を求めた。
実施例5 2′−フコシルラクトース中のL−フコースを下記の試
薬を用い、下記の方法により定量した。
1.試 薬 0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 215μl NADP(15mM) 15μl L−FDH(44単位/ml) 60μl α−L−フコシダーゼ(牛上皮由来) (12単位/ml) 100μl 2.定量方法 上記試薬を所定量マイクロキュベットにとり、37℃で5
分間保った後、これに2′−フコシルラクトース(シグ
マ社製)の0.3,0.6,0.9および1.2mM溶液10μlをそれぞ
れ添加した。37℃で15分間反応させた後、これらを340n
mで吸光度を測定した。2′−フコシルラクトース溶液
のかわりに水を同量添加した場合の吸光度をブランクと
して差し引いた結果、添加した2′−フコシルラクトー
スと、340nmの吸光度の増加量には、良好な直線関係が
得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本酵素の至適pHを示すグラフであり、第2図
は、安定pHを示すグラフである。 第3図は、本酵素の作用適温の範囲を示すグラフであ
り、第4図は、本酵素の熱安定性を示すグラフである。 第5図は、電気泳動によるバンドを示す図である。 第6図は、実施例3におけるL−フコースの検量線であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(1)〜(3)の理化学的性質を有す
    るL−フコースデヒドロゲナーゼ。 (1)作用及び基質特異性 L−フコースから水素を奪ってL−フコノラクトンにす
    ると共に補酵素NADPをNADPHに還元する。L−フコース
    (100%)に最も特異性が高く、D−アラビノース(1
    %)にはわずかしか作用せず、また補酵素としてNADP
    (100%)を要求し、NAD(1%)に対しては、わずかし
    か作用を示さない。 (2)至適pH及び安定pH範囲 トリスーイミダゾール−酢酸ナトリウム緩衝液を用いた
    場合、至適pHは9.0〜10.0であり、安定pH範囲は8.0〜1
    0.5である。 (3)分子量 0.05Mリン酸カリウム緩衝液(0.1MNaCl含有)を用いて
    セファデックスG−100カラムによるゲル濾過法により
    測定した値は約32,000〜36,000である。
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