JPH0833482A - 新規なソルビトールデヒドロゲナーゼ、その製造方法並びに該酵素を用いたソルビトールの定量のための試薬及び方法 - Google Patents

新規なソルビトールデヒドロゲナーゼ、その製造方法並びに該酵素を用いたソルビトールの定量のための試薬及び方法

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JPH0833482A
JPH0833482A JP29670194A JP29670194A JPH0833482A JP H0833482 A JPH0833482 A JP H0833482A JP 29670194 A JP29670194 A JP 29670194A JP 29670194 A JP29670194 A JP 29670194A JP H0833482 A JPH0833482 A JP H0833482A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 NAD+ の存在下で、D−ソルビトールを酸
化してD−フルクトースとNADH生成し、また本反応
の逆反応によって、NADHの存在下で、D−フルクト
ースを還元してD−ソルビトールとNAD+ を生成する
熱安定性に優れた新規なソルビトールデヒドロゲナー
ゼ、シュードモナス属に属し、ソルビトールデヒドロゲ
ナーゼ生産能を有する菌株を用いる該酵素の製造方法、
並びに該酵素及びNAD+ を用いたD−ソルビトールの
定量のための試薬及び方法。 【効果】 本酵素は、D−ソルビトールの酵素的測定法
に極めて有用であり、従来になく酵素活性が安定であ
り、本酵素を用いれば、D−ソルビトール量又はD−フ
ルクトース量を精度よく測定することが可能である。ま
た本発明の製造方法を用いれば、容易にそして安価に本
酵素を製造することができる。更に、本発明の試薬及び
方法によれば、D−ソルビトール量を精度よく測定する
ことが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、NAD+ の存在下で、
D−ソルビトールを酸化してD−フルクトースを生成
し、また本反応の逆反応によって、NADHの存在下
で、D−フルクトースを還元してD−ソルビトールを生
成する、新規なソルビトールデヒドロゲナーゼ、その製
造方法並びに該酵素を用いたD−ソルビトールの定量の
ための試薬及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】D−ソルビトールは、ヒトの血清中や尿
中などに微量に存在し、病気、例えば糖尿病などの診断
において、その含有量が重要な指標となることが知られ
ており、現在、研究機関などでは酵素法を用いて、血清
中のD−ソルビトールが測定されている。
【0003】また、粉末又は粒状のD−ソルビトール
は、ブドウ糖を高温高圧のもとで水素添加することによ
り、D−ソルビトール液が得られ、この液をイオン交換
樹脂などにより精製することにより得られる。D−ソル
ビトールは、においがなく、爽快な甘味を有し、舌に寒
冷感を与えることや、吸湿性に優れていることから、チ
ューインガム、キャンディー、その他製菓類などの甘味
料として、また、合成酒のコク付けやタバコの甘味保湿
剤などに、広く用いられている。
【0004】そしてまた、D−フルクトースは、イヌリ
ンを多量に含有する植物、例えばきくいもなどを加水分
解する方法、ショ糖にインベルターゼを作用させて転化
する方法などによって得られる。このD−フルクトース
は、上品で強い甘味を有し、かつ、湿潤性を与えること
などから、食品業界では甘味料などとして広範囲にわた
り用いられている。
【0005】このようなことから、血清中や尿中などに
微量に存在するD−ソルビトール、そして食品中に含有
するD−ソルビトール又はD−フルクトースを測定する
のに利用可能な酵素を得ることは産業上極めて重要な意
義を有する。従来知られているソルビトールデヒドロゲ
ナーゼとしては、動物肝由来、例えばSIGMA社など
から販売されている羊肝由来のもの、また微生物由来酵
素としては、例えばエンザイム・マイクロバクテリア・
テクノロジー(EnzymeMicrob.Techn
ol.)第13巻、4月号、第332〜337頁、19
91年、に記載のシュードモナス エスピー(Pseu
domonas sp.)由来のものやジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal
of Biological Chemistry)第
267巻、35号、第24989〜24994頁、19
92年、に記載のバチルス サブチリス(Bacill
us subtilis)由来のものが知られている。
【0006】しかしながら、前記の動物肝由来のソルビ
トールデヒドロゲナーゼは、製造方法が煩雑で、しかも
価格の面で問題があること、また前記のPseudom
onas sp.由来の該酵素は、20mMトリス−塩
酸緩衝液pH7.0の条件下で、40℃では、5分間で
その活性が半減するため、酵素法による測定で多く採用
される37℃で30分間反応させる方法においては、酵
素活性の安定性に欠けることなどの欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従
来のソルビトールデヒドロゲナーゼが有する欠点を克服
し、例えば、食品中に含有されるD−ソルビトール又は
D−フルクトースあるいはヒトの血清中や尿中などに存
在するD−ソルビトールの測定に利用でき、そして通常
の酵素法による測定で多く採用される温度条件において
も、酵素活性が安定である、微生物由来の新規な酵素及
びこの酵素を安価に、そして容易に製造する方法、並び
にこの酵素を用いたソルビトールの定量のための試薬及
び方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ね、広く自然界より微生
物の検索を行った結果、土壌中より分離したシュードモ
ナス(Pseudomonas)属に属する菌株が、D
−ソルビトールに作用しD−フルクトースを生成し、ま
た本反応の逆反応によって、D−フルクトースに作用し
てD−ソルビトールを生成する新規な酵素を生産するこ
と、そして、この酵素が通常の酵素法による測定で多く
採用される温度条件においても、酵素活性が安定である
こと、そしてこの酵素を用いればD−ソルビトールを酵
素法により精度よく定量しうることを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の第1は、下記の理化学的性
質: (1)作用:NAD+ の存在下で、D−ソルビトールを
酸化してD−フルクトースとNADHを生成し、また本
反応の逆反応によって、NADHの存在下で、D−フル
クトースを還元してD−ソルビトールとNAD+ を生成
する。 (2)基質特異性:D−ソルビトール及びガラクチトー
ルに特異的に作用する。
【0010】(3)至適pH及び安定pH範囲:至適p
Hは10近辺であり、安定pH範囲は、30℃、4時間
処理で、pH5.5〜10.5である。 (4)作用適温の範囲:100mMトリス−塩酸緩衝液
(pH9.0)で作用適温の範囲は、50℃近辺であ
る。
【0011】(5)pH、温度などによる失活の条件:
30℃、4時間処理で、pH5.5〜10.5で安定あ
り、pH5.0以下及びpH11.0以上で完全に失活
する。pH7.0において、30分間処理で、40℃近
辺まで安定であり、またpH7.0で40℃の条件にお
いて24時間で完全に失活する。 (6)阻害:HgCl2 によって強く阻害される。
【0012】(7)分子量:約64,500±5,00
0(ゲルろ過法)。を有するソルビトールデヒドロゲナ
ーゼであり、また本発明の第2は、シュードモナス属に
属し、前記ソルビトールデヒドロゲナーゼ生産能を有す
る菌株を培地に培養し、その培養物からソルビトールデ
ヒドロゲナーゼを採取することを特徴とする前記ソルビ
トールデヒドロゲナーゼの製造方法であり、また本発明
の第3は、前記ソルビトールデヒドロゲナーゼ及びNA
+ を含むD−ソルビトール定量用試薬であり、更に本
発明の第4は、D−ソルビトール含有試料に、前記ソル
ビトールデヒドロゲナーゼ及びNAD+ を作用させ、生
成するNADHを定量することを特徴とするD−ソルビ
トールの定量方法である。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本
発明の新規な酵素、ソルビトールデヒドロゲナーゼ(以
下「本酵素」ということもある)の理化学的性質の詳細
は下記のとおりである。 (1)作用:本酵素は、NAD+ の存在下で、1mol
のD−ソルビトールを酸化して1molのD−フルクト
ースとNADHを生成し、また本反応の逆反応によっ
て、NADHの存在下で、1molのD−フルクトース
を還元して1molのD−ソルビトールとNAD+ を生
成する。
【0014】この結果より、本酵素は、次の反応式:
【0015】
【化1】
【0016】で示される反応を触媒することが認められ
た。 (2)基質特異性:D−ソルビトール及びガラクチトー
ルに特異的に作用し、L−イディトールにも作用する。
本酵素の各種基質に対する相対活性を調べた結果の一例
を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】(3) 至適pH及び安定pH範囲:至適
pHは、緩衝液として、100mMリン酸カリウム緩衝
液(pH6.0〜7.5)、100mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5〜9.0)、100mMグリシン−水
酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0〜10.5)、10
0mM炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液(p
H10.5〜11.5)、100mMシクロヘキシルア
ミノプロパンスルホン酸(CAPS)−水酸化ナトリウ
ム緩衝液(pH10.5〜11.0)を用い、37℃で
各pHにおける本酵素の活性測定を行って求めた。酵素
活性の測定は、100mMの各緩衝液2.4ml、1.
1M D−ソルビトール水溶液0.5ml及び30mM
NAD+ 水溶液0.05mlを混合し、37℃でプレ
インキュベーションした後、0.05mlの酵素液を加
え、37℃で反応させ、70〜80秒間の340nmに
おける吸光度増加量を測定することにより行った。その
結果は図1に示すとおりであり、本酵素の至適pHは1
0近辺、特にpH9.5〜10.5である。
【0019】また、安定pH範囲は、緩衝液として、1
00mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5〜
6.0)、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.
0〜8.0)、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5〜9.0)、100mMグリシン−水酸化ナトリ
ウム緩衝液(pH9.0〜10.5)、100mM炭酸
ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH11.0
〜11.5)を用い、pH4.5〜11.5において3
0℃で4時間それぞれ処理した後、100mMトリス−
塩酸緩衝液で10倍に希釈し、本酵素の残存活性を測定
して求めた。その結果は図2に示すとおりであり、本酵
素の安定pH範囲はpH5.5〜10.5である。
【0020】(4)作用適温の範囲:後述する力価の測
定法における基質・酵素混合液を用い、種々の温度にて
本酵素の活性測定を行った。即ち、100mMトリス−
塩酸緩衝液(pH9.0)2.4ml、1.1M D−
ソルビトール水溶液0.5ml及び30mM NAD +
水溶液0.05mlを混合し、所定温度でプレインキュ
ベーションした後、0.05mlの酵素液を加え、所定
温度で反応させ、30〜90秒間の340nmにおける
吸光度増加量を測定することにより本酵素の活性測定を
行った。その結果は図3に示すとおりであり、本酵素の
作用適温の範囲は50℃近辺である。
【0021】(5)pH、温度などによる失活の条件:
本酵素は、30℃、4時間処理で、pH5.5〜10.
5で安定あり、図2からわかるように、pH5.0以下
及びpH11.0以上で完全に失活する。
【0022】また、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH
9.0)及び20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用
いて、各温度(30℃、37℃、40℃)で本酵素を3
0分間〜24時間処理した場合の熱安定性を調べた。そ
の結果は図4及び図5に示すとおりであり、本酵素は、
前記各温度で30分間処理では、いずれも40℃近辺ま
で安定であり、また40℃における本酵素の活性半減時
間は、pH9.0で約3.5時間であり、pH7.0で
約2時間であり、更にまた本酵素は、pH7.0〜pH
9.0で40℃の条件において24時間で完全に失活す
る。
【0023】(6)阻害:後述する力価の測定法におけ
る基質・酵素混合液に、種々の添加剤(金属塩)を各1
mMの濃度になるように添加して酵素活性を測定した。
その結果は表2に示すとおりであり、本酵素はHgCl
2 によって強く阻害される。
【0024】
【表2】
【0025】(7)分子量:TSKgel G3000
SWXL(東ソー社製)によるゲルろ過法で、分子量は
約64,500±5,000である。なお、SDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動法によるサブユニットの
分子量は、約27,400であるため、本酵素は、2量
体と考えられる。また、アクリルアミド10〜20%
(W/V)の濃度勾配を有するポリアクリルアミドゲル
を用い、常法によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動を行った結果、図6に示すごとく単一のバンドが
認められ単一酵素であることを確認した。 (8)力価の測定法:本酵素の力価の測定は、下記の方
法で行い、1分間に1μmolのNADHを生成する酵
素量を1Uとした。
【0026】(試薬調製) 1液;基質液 D−ソルビトール20gを蒸留水に溶解し100mlと
する。 2液;基質液 NAD+ 86mgを蒸留水に溶解し、4mlとする。 3液;緩衝液 トリス−塩酸6.05gを蒸留水に溶解した後、4規定
塩酸でpHを9.0に調整した後、500mlにする。
【0027】(測定手順) 1)1液0.5ml、2液0.05ml、3液2.4m
lを混合し37℃にて5分間プレインキュベーションす
る。 2)前記5分間プレインキュベーションした液と0.1
〜0.8U/mlに調整した酵素液0.05mlを混合
し、37℃において340nmにおける1分間あたりの
サンプル吸光度増加量を測定する。 3)ブランク値の測定は1液の代わりに蒸留水0.5m
lを加え、2液0.05ml、3液2.4mlを混合し
37℃にて5分間プレインキュベーションし、0.1〜
0.8U/mlに調整した酵素液0.05mlを混合
し、37℃において340nmにおける1分間あたりの
ブランク吸光度増加量を測定する。
【0028】(力価の計算)
【0029】
【数1】
【0030】(9)精製方法:本酵素の単離、精製は、
常法に従って行うことができ、例えば、硫安塩析法、有
機溶媒沈澱法、イオン交換クロマトグラフ法、ゲルろ過
クロマトグラフ法、吸着クロマトグラフ法、アフィニテ
ィークロマトグラフ法、電気泳動法などを単独又は適宜
組み合わせて用いられる。
【0031】次に、本酵素のその他の理化学的性質の一
例を示す。 (10)Km値及びVmax/Kmの相対比(D−ソル
ビトールの値を100とした値):ラインウエーバー・
バークのプロットから、Km値は1.41×10-2
(D−ソルビトールを基質としてpH9.0、37℃に
おいて)であった。
【0032】本酵素のpH9.0、37℃における各基
質に対するKm値(mM)、Vmax(μmol・mi
-1・mg-1)、Vmax/Km、及びD−ソルビトー
ルのVmax/Kmを100としたときの相対比は、表
3に示すとおりである。
【0033】
【表3】
【0034】表3から、D−ソルビトールを基質とした
ときのKm値が最も小さく、またD−ソルビトールのV
max/Km(min-1・mg-1)を100としたとき
の相対比は、D−ソルビトールが最も大きいことから見
ても、本酵素はD−ソルビトールに対して最も親密に作
用することがわかる。本発明の酵素の主要な理化学的性
質は前記のとおりであるが、この酵素が新規である根拠
を次に示す。
【0035】従来、前記、羊肝由来のソルビトールデヒ
ドロゲナーゼ、シュードモナス エスピー(Pseud
omonas sp.)又はバチルス サブチリス(B
acillus subtilis)が生産するソルビ
トールデヒドロゲナーゼが、NAD+ 存在下でD−ソル
ビトールを酸化し、D−フルクトースを生成することが
知られている。
【0036】
【表4】
【0037】(注1):羊肝由来酵素(SIGMA社製
「ソルビトールデヒドロゲナーゼS−3764」)を用
いて、本発明酵素と同様な前記の方法で、分子量、至適
pH、安定pH範囲を測定した。 (注2):公知シュードモナス エスピー由来の酵素の
データは、Enz-yme Microb. Tech
nol.(第13巻、4月号第332〜337頁、19
91年)から引用した。
【0038】(注3):公知バチルス由来の酵素のデー
タは、Journal ofBiological C
hemistry(第267巻、35号、第24989
〜24994頁、1992年)から引用した。 (注4):熱安定性は、20mMリン酸緩衝液(pH
7.0)及び20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
0)を用いて、37℃、40℃において酵素活性が10
0%残存する時間を示す。
【0039】また、活性半減条件は、同緩衝液で40℃
において活性が半減する時間を示す。
【0040】しかしながら、表4から、本発明の酵素
は、特に分子量において羊肝由来の酵素が129,00
0±5,000(ゲルろ過法)、またバチルス サブチ
リス由来の酵素が153,000(ゲルろ過法)であ
り、いずれも4量体であるのに対して64,500±
5,000(ゲルろ過法)で2量体であることから、本
発明の酵素はこれらの酵素とは全く異なるものである。
【0041】また特に、熱安定性において前記シュード
モナス エスピー由来の酵素がpH7.0で40℃にお
ける活性半減時間が5分間であるのに対し、本酵素の活
性半減時間が、pH7.0で約2時間であることから、
この酵素は、本発明の酵素とは全く異なるものであるこ
とがわかる。即ち、本発明の酵素は、D−ソルビトール
に作用し、かつ、pH7.0〜9.0において、30分
間処理で、40℃近辺まで安定で約100%の活性を保
ち、本酵素の活性半減時間が、pH7.0で約2時間で
あるという従来にない性質を有する新規なソルビトール
デヒドロゲナーゼである。
【0042】次に、本発明の新規ソルビトールデヒドロ
ゲナーゼの製造方法について説明する。先ず、使用され
る菌としては、シュードモナス属に属し、本酵素生産能
を有するする菌株であればいかなる菌でもよく、またこ
れらの菌の変種又は変異株でもよい。そして、その微生
物の具体例としては、シュードモナス(Pseudom
onas)sp.KS−E1806が挙げられ、該菌株
の変種又は変異株も用いることができる。このシュード
モナス sp.KS−E1806は、本発明者らが京都
府内の土壌より分離して得た菌株であり、その菌学的性
質は以下に示すとおりである。
【0043】なお、菌学的性質の同定のための実験は、
主として、長谷川武治編著「微生物の分類と同定」東京
大学出版会(1975年)によって行った。また分類同
定の基準として、「バージーズ・マニュアル・オブ・デ
ターミネイティブ・バクテリオロジー(Bergey’
s Manual of Determinative
Bacteriology)」第8版(1974年)
を参考にした。
【0044】 シュードモナス sp.KS−E1806の菌学的性質 (A)形態的性質 顕微鏡的観察[肉汁寒天培地( pH9.0) 、30℃、
24〜48時間培養] (1)細胞の形及び大きさ:0.5〜1.0×2.0〜
4.0μmの短桿菌である。 (2)細胞の多形性の有無:なし (3)運動性の有無:あり。極多毛を有する。 (4)胞子の有無:なし (5)グラム染色性:陰性 (6)抗酸性:陰性
【0045】 (B)各培地(pH 8.0)における生育状態 (1)肉汁寒天平板培養:30℃、48時間の静置培養
で、直径4〜5mmのやや乳白色に近い茶色の円形コロ
ニ−を形成する。表面は平滑で光沢があり、周縁はなめ
らかである。色素の産生は認められない。 (2)肉汁寒天斜面培養:30℃、48時間の培養で、
糸状の生育を示す。 (3)肉汁液体培養:30℃、48時間の静置培養で、
培地全体に生育(濁り)が認められ、菌膜を生じ、沈渣
も認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:20℃、10日間の静置
培養で、培地中部まで生育し、ゆっくりとゼラチンを液
化する。 (5)リトマスミルク培養:30℃、14日間の静置培
養で、リトマスミルクの凝固は認められないが、液化は
認められる。酸及びアルカリの産生も認められない。
【0046】(C)生理学的性質 主にpH6.5 に調整した培地を用いて試験した。 (1)硝酸塩の還元:還元しない。 (2)脱窒反応:なし。 (3)MRテスト:陰性 (4)VPテスト:陰性 (5)インド−ルの生成:生成しない。 (6)硫化水素の生成:生成しない。 (7)デンプンの加水分解:加水分解しない。 (8)クエン酸の利用:利用する。
【0047】(9)無機窒素源の利用:硝酸塩は利用し
ないが、アンモニウム塩は利用する。 (10)色素の生成:生成しない。 (11)ウレア−ゼ:陽性 (12)オキシダ−ゼ:陽性 (13)カタラ−ゼ:陽性 (14)生育の範囲:温度;25〜40℃、pH;5.
0〜8.0 (15)酸素に対する態度:好気性 (16)O−Fテスト(Hugh−Leifson
法):酸化 (17)糖類からの酸及びガスの生成:表5に示すとお
り、D−キシロース、D−グルコース、D−マンノー
ス、D−ガラクトース、ショ糖より酸の生成が認められ
るが、ガスの生成はいずれからも認められない。
【0048】
【表5】
【0049】前記した菌学的性質を有し、新規ソルビト
ールデヒドロゲナーゼ生産能を有する本菌株は、グラム
染色性が陰性であること、運動性を有し、極多毛を有す
ること、O−Fテストが酸化であることなどから、シュ
ードモナス属に属するものと判定される。従って、本菌
株をシュードモナス(Pseudomonas)sp.
KS−E1806と命名した。なお、本菌株は工業技術
院生命工学工業技術研究所に、FERM P−1429
9として寄託されている。
【0050】なお、本発明におけるソルビトールデヒド
ロゲナーゼとしては、前記した作用、基質特異性などの
主要な理化学的性質を有するものであればよく、その他
の理化学的性質が多少の相違を示すものであっても、本
発明の酵素として包含される。そして、前記の微生物
は、このようなソルビトールデヒドロゲナーゼを得るた
めの使用菌の一例であって、本発明においてはシュード
モナス属に属し、前記ソルビトールデヒドロゲナーゼ生
産能を有するものであればすべて使用できる。
【0051】次に、前記ソルビトールデヒドロゲナーゼ
生産能を有する微生物を用いて、本発明のソルビトール
デヒドロゲナーゼを製造するには液体培養法が用いられ
る。そしてその培地としては、炭素源、窒素源、無機
物、その他の栄養素を適度に含有するものであれば、合
成培地又は天然培地のいずれでも使用できる。
【0052】炭素源としては、同化可能な炭素化合物で
あればよく、例えばD−ソルビトール、グルコース、フ
ルクトース、マルトース、デンプン加水分解物、糖蜜な
どが使用される。また窒素源としては、利用可能な窒素
化合物であればよく、例えば酵母エキス、ポリペプト
ン、肉エキス、コーンスチープリカー、大豆粉、アミノ
酸、硫安、硝酸アンモニウムなどが使用される。その他
無機物としては、食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウ
ム、塩化マンガン、硫酸第一鉄、リン酸二水素カリウ
ム、リン酸水素二カリウムなど種々の塩類、その他ビタ
ミン類、消泡剤などが用いられる。これらの栄養源は、
それぞれ単独又は組合せによっても用いることができ
る。
【0053】前記のごとくして調製した液体培地を用い
て本酵素を生産するには、通気攪拌培養又は振盪培養等
により好気的に培養することが好ましい。その際に、培
地の初発pHを6.5〜7.5程度に調整し、25〜3
7℃、好ましくは30℃前後の温度で、10〜36時間
培養する。このようにすることにより、培養物中に本酵
素が生成される。培養終了後、培養物からソルビトール
デヒドロゲナーゼを採取するには、通常の酵素採取手段
を用いることができる。
【0054】本酵素は、主に菌体内に存在する酵素であ
るため、培養物から、例えばろ過、遠心分離などの操作
により菌体を分離し、この菌体から本酵素を採取するこ
とが好ましい。この場合、菌体をそのまま用いることも
できるが、例えば超音波破砕機、フレンチプレス、ダイ
ナミルなどの種々の破壊手段を用いて菌体を破壊する方
法、リゾチームなどのような細胞壁溶解酵素を用いて菌
体細胞壁を溶解する方法、トリトンX−100などの界
面活性剤を用いて菌体から酵素を抽出する方法などを単
独又は組み合わせて採用するができる。次いで、これを
ろ過又は遠心分離などによって不純物を除き、本酵素の
粗酵素液を得る。
【0055】このようにして得られた粗酵素液から本酵
素を必要により単離、精製するには、前記精製方法が適
用できる。以上のごとくして得られた本酵素は、D−ソ
ルビトールの定量に極めて有用であり、本酵素を用いる
ことにより酵素的にD−ソルビトールの定量が可能とな
る。例えば、ヒトの血清中又は尿中に存在するD−ソル
ビトール量の測定に用いて糖尿病など各種疾患の診断へ
の利用、また食品中などに含まれているソルビトールの
定量、更に本酵素の逆反応によるD−フルクトースの定
量などにも使用が可能である。
【0056】本発明のD−ソルビトール定量用試薬は、
本酵素及びNAD+ を含むものである。D−ソルビトー
ルを定量するための有利な系としては、例えば反応試薬
としては、0.5 〜20U/mlの本酵素及び10〜500 mMの緩
衝剤を含有するpH 6.5〜10.0の系、0.5 〜3mMのNAD
+ の系などが挙げられる。
【0057】これらの系に用いられる緩衝剤としては、
例えばリン酸カリウム、トリス塩酸塩などが挙げられ
る。このような系に、前記成分以外に、本発明の目的を
損なわない範囲で必要に応じて慣用の種々の添加成分、
例えば溶解補助剤、安定化剤などとして、界面活性剤
(トリトンX−100 など)、還元剤(2−メルカプトエ
タノール、ジチオスレイトールなど)、牛血清アルブミ
ン、糖類(グリセリン、ショ糖など)などを添加するこ
ともできる。これらの成分は、前記の系を調製する適当
な段階で添加し、1種又は2種以上を組み合わせて用い
ることもできる。
【0058】本発明の試薬は、乾燥物又は溶解した状態
のものを用いてもよいし、薄膜状の担体、例えばシート
含浸性の紙などに含浸させて用いてもよい。また使用酵
素は、常法により固定化させて反復使用してもよい。こ
のような本発明の試薬を用いることにより、各種の試料
中に含有されるD−ソルビトールを簡単な操作で精度よ
く定量することができる。
【0059】次に、本発明のD−ソルビトールの定量方
法は、前記のごとく、D−ソルビトール含有試料に本酵
素及びNAD+ を添加、作用させて生成するNADHを
定量することにより行うものであるが、D−ソルビトー
ル含有試料としては、D−ソルビトールを含有するもの
であれば如何なるものでもよく、例えばD−ソルビトー
ルを測定すべき、ヒトの血清、尿などの診断用試料、及
び液体又は粉末食品、ジュース、チューインガム、キャ
ンディーその他の製菓類、合成酒、タバコなどの嗜好品
類などが挙げられる。
【0060】そして、該試料は、そのまま又は水、緩衝
液などで抽出し、D−ソルビトールが適当な濃度になる
ように濃縮又は希釈して定量に供してもよい。定量に際
しては、これらの試料のpHは無調整でもよいが、適当な
pH調整剤、例えば塩酸、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどによりpH8〜10に調整すること
が望ましい。
【0061】また、D−ソルビトール含有試料に作用さ
せる本酵素の添加量は、該試料中に含まれるD−ソルビ
トール含有量、酵素反応条件などにより適宜選択される
が、例えば通常、本酵素を終濃度0.5 〜20U/mlになる
ように添加する。次に、D−ソルビトール含有試料に本
酵素及びNAD+ を作用させ、生成するNADHを定量
する方法は、特に制限されず、如何なる方法を用いても
よい。NADHの定量方法としては、例えば (i) 340nm
における吸光度増加量を測定する方法、(ii)励起波長 3
66nm、蛍光波 452nmを用いて蛍光測定する方法などによ
り、それぞれ予め作成した検量線を用いて試料中のD−
ソルビトールを算出する方法が挙げられる。
【0062】次に、本発明のD−ソルビトールの定量方
法の好適な一例を示す。先ず、D−ソルビトール含有試
料に、本酵素を0.5 〜20U/ml、好ましくは2〜6U/
ml及び緩衝剤(pH7〜9)を50〜150 mM、NAD+ を0.
5 〜3mMとなるように加え、pH7〜9、温度25〜40℃で
酵素反応させる。このときの反応時間は、D−ソルビト
ールを酸化するに十分な時間であればよく、15〜60分
間、好ましくは25〜35分間である。次いで、生成するN
ADHを前記の方法によって定量し、予め同方法で定量
して作成したD−ソルビトールの検量線を用いて試料中
のD−ソルビトールの定量値を算出する。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定され
るものではない。 (実施例1)D−ソルビトール0.5%、ポリペプトン
2.0%、酵母エキス0.5%、KH2 PO4 0.01
%、K2 HPO4 0.01%、MgSO4 ・7H2
0.01%、及び水道水からなる培地(pH7.2)1
00mlを坂口コルベンに入れて、121℃で15分間
殺菌した。シュードモナス(Pseudomonas)
sp.KS−E1806(FERM P−14299)
の保存スラントより1白金耳接種し、これを振盪機にて
30℃で約24時間振盪培養し、種培養液とした。
【0064】次に、前記と同様にして調製、殺菌した培
地20Lを含む30L容ジャーファメンターへ前記種培
養液100ml(坂口コルベン1本分)を接種し、回転
数300rpm、通気量20L/min、30℃で約2
0時間培養した。培養終了後、培養液20Lから旭化成
マイクローザ(PW−303)を用いて菌体を集め、2
0mMリン酸緩衝液(pH7.5)にて菌体を洗浄した
後、菌体を同緩衝液約5Lに懸濁した。本酵素の精製
は、以下に示す操作によって行った。
【0065】ステップ1(粗酵素液の調製):前記菌体
懸濁液に、リゾチーム10g、トリトンX−100を1
0mlと0.55M EDTA 2Na(pH8.0)
500mlを添加、混合し、20℃で一晩放置した後、
5%プロタミン水溶液(pH8.0)200mlを攪拌
しながら滴下して除核酸処理を行った。この上澄液を限
外ろ過膜を用いて、50mM塩化カリウムを含有する1
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)(以下「緩衝
液A」という)に対して透析した。
【0066】ステップ2(DEAE−セルロース処
理):透析液(約10L)に、湿重量約9kgのDEA
E−セルロースを添加、混合して、本酵素を吸着させた
後、50mM塩化カリウムを含む緩衝液AにてDEAE
−セルロースを洗浄し、次に、0.5M塩化カリウムを
含有する緩衝液Aにて本酵素を溶出して、限外濃縮し
た。 ステップ3(QAE−Sephadex A−50 処
理):前記濃縮液(1000ml)に1000mlのQ
AE−Sephadex A−50を添加、混合して、
本酵素を吸着させた後、0.05M塩化カリウムを含有
する緩衝液AにてQAE−Sephadex A−50
を洗浄し、次に、0.5M塩化カリウムを含有する緩衝
液Aにて本酵素を溶出して、限外濃縮し、更に40mM
塩化カリウムを含有する20mM酢酸−酢酸ナトリウム
緩衝液(pH6.0)(以下「緩衝液B」という)にて
透析した。
【0067】ステップ4(QAE−Toyopearl
550cカラムクロマトグラフィー):前記濃縮透析
液(100ml)を、QAE−Toyopearl 5
50cのカラム(2.5×33cm)に吸着させ、0.
04M塩化カリウムを含有する緩衝液Bにて洗浄し、次
に、0.05M〜0.1M塩化カリウムを含有する緩衝
液Bにて直線濃度勾配法により溶出させ、約0.6M塩
化カリウムにて溶出された活性画分を限外濃縮した。
【0068】ステップ5(バイオゲル A 1.5m
200−400meshカラムクロマトグラフィー):
濃縮液(約2ml)を、バイオゲル A 1.5m 2
00−400meshカラム(2.5×95cm)に通
過させ、0.1M食塩及び0.02%アジ化ナトリウム
を含有する緩衝液Aにてゲルろ過を行い、溶出された活
性画分(46ml)を採取した。
【0069】以上の精製操作により得た該画分は、SD
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(図6)により均
一と判断された本酵素の精製標品であり、全タンパク量
が5.3mg、全活性が480U、比活性が90U/m
gであった。
【0070】(実施例2) (1)D−ソルビトール定量用試薬の調製 精製水に以下の成分を以下の濃度で溶解することによ
り、試薬を調製した。また酵素液については、100m
M塩化カリウムを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(p
H8.0)にて、所定の単位に濃度を調整した。
【0071】 成 分 濃 度 トリス−塩酸緩衝液(pH9.0) 250mM NAD+ (オリエンタル酵母工業(株)製) 30mM 本酵素 40U/ml
【0072】(2)D−ソルビトールの定量方法 D−ソルビトール標品(和光純薬工業(株)製、1級)
を用いて25,50,75,100μMに調整した試料
各1.0mlにそれぞれトリス−塩酸緩衝液(pH9.
0)0.8ml、NAD+ 0.1mlを添加し、37℃
で5分間プレインキュベーションを行った。そして本酵
素0.1mlを添加し、日立社製分光光度計(U−20
00型)内で37℃で30分間反応を行い、30分後の
340nmの吸光度を求め、試料の代わりに蒸留水を用
いたブランク値を差し引いた、該吸光度増加量(ΔO
D)を求めた。この値とD−ソルビトール含有量との間
には直線的な相関があった。その検量線を図7に示す。
該検量線の式は、 y=0.0298X+0.002 (r=1.000 ) となる。これから検量線として有効であることがわか
り、しかも試料中のD−ソルビトールを正確に定量でき
た。
【0073】
【発明の効果】本酵素は、D−ソルビトールに作用し、
しかも通常の酵素法による測定で多く用いられる条件
(pH9.0、37℃、30分間の反応)においても酵
素活性が安定である新規な酵素であり、本酵素を用いれ
ば、例えば食品中あるいはヒトの血清中又は尿中に存在
するD−ソルビトール量を精度よく測定することが可能
である。また、本酵素の逆反応によって、例えば食品中
D−フルクトースを測定することも可能である。
【0074】また本酵素は、従来市販されている羊肝由
来酵素などの動物起源の酵素とは異なり、微生物由来酵
素であるため、容易にそして安価に製造することができ
るので、産業上きわめて有用である。更に、本酵素を用
いた本発明の定量用試薬及び定量方法によれば、例えば
食品中あるいはヒトの血清中又は尿中に存在するD−ソ
ルビトール量を精度よく測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素の37℃における至適pHを示すグラフ
である。
【符号の説明】
○ 100mMリン酸カリウム緩衝液 ▲ 100mMトリス−塩酸緩衝液 □ 100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液 △ 100mM CAPS−水酸化ナトリウム緩衝液 ● 100mM炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩
衝液
【図2】本酵素の30℃における安定pH範囲を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
× 100mM炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩
衝液 ○ 100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液 ● 100mMトリス−塩酸緩衝液 △ 100mMリン酸カリウム緩衝液 ▲ 100mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液
【図3】本酵素のpH9.0における作用適温の範囲を
示すグラフである。
【図4】本酵素のpH9.0における熱安定性を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
○ 30℃ ● 37℃ △ 40℃
【図5】本酵素のpH7.0における熱安定性を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
○ 30℃ ● 37℃ △ 40℃
【図6】本酵素の電気泳動図である。
【図7】D−ソルビトールの検量線を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するソルビトー
    ルデヒドロゲナーゼ。 (1)作用:NAD+ の存在下で、D−ソルビトールを
    酸化してD−フルクトースとNADHを生成し、また本
    反応の逆反応によって、NADHの存在下で、D−フル
    クトースを還元してD−ソルビトールとNAD+ を生成
    する。 (2)基質特異性:D−ソルビトール及びガラクチトー
    ルに特異的に作用する。 (3)至適pH及び安定pH範囲:至適pHは10近辺
    であり、安定pH範囲は、30℃、4時間処理で、pH
    5.5〜10.5である。 (4)作用適温の範囲:100mMトリス−塩酸緩衝液
    (pH9.0)で作用適温の範囲は、50℃近辺であ
    る。 (5)pH、温度などによる失活の条件:30℃、4時
    間処理で、pH5.5〜10.5で安定あり、pH5.
    0以下及びpH11.0以上で完全に失活する。pH
    7.0において、30分間処理で、40℃近辺まで安定
    であり、またpH7.0で40℃の条件において24時
    間で完全に失活する。 (6)阻害:HgCl2 によって強く阻害される。 (7)分子量:約64,500±5,000(ゲルろ過
    法)。
  2. 【請求項2】 シュードモナス属に属し、請求項1記載
    のソルビトールデヒドロゲナーゼ生産能を有する菌株を
    培地に培養し、その培養物からソルビトールデヒドロゲ
    ナーゼを採取することを特徴とする請求項1記載のソル
    ビトールデヒドロゲナーゼの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のソルビトールデヒドロゲ
    ナーゼ及びNAD+を含むD−ソルビトール定量用試
    薬。
  4. 【請求項4】 D−ソルビトール含有試料に、請求項1
    記載のソルビトールデヒドロゲナーゼ及びNAD+ を作
    用させ、生成するNADHを定量することを特徴とする
    D−ソルビトールの定量方法。
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