JP3824244B2 - コレステロール・エステラーゼの製造方法 - Google Patents

コレステロール・エステラーゼの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コレステロール・エステルを加水分解し、コレステロールと脂肪酸を生成するコレステロール・エステラーゼの製造方法、さらに詳しくはキサントモナス属に属し、コレステロール・エステラーゼ生産能を有する菌株を培地に培養し、その培養物からコレステロール・エステラーゼを採取する、コレステロール・エステラーゼの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血中の総コレステロール(遊離型コレステロールとエステル型コレステロールの合計量)及びエステル型コレステロールの定量は、臨床学的な診断に際して非常に重要であり、その定量値を知ることは動脈硬化症、心筋梗塞症などの診断に役立ち、保健上重視されている。
従来、遊離型コレステロールの定量法としては、コレステロール・オキシダーゼを作用させて酵素的に直接定量する方法が知られているが、該酵素は、エステル型コレステロールには作用しないため、エステル型コレステロールを定量する場合には、まずエステル結合を加水分解して遊離型のコレステロールを生成させ、その後遊離型のコレステロールにコレステロール・オキシダーゼを作用させて生成する過酸化水素を測定してエステル型のコレステロールを定量する方法が一般的に行われている。
前記のエステル型コレステロールを加水分解する方法としては、例えばアルコール性水酸化カリウムと化学的に反応させてケン化する方法、あるいは酵素的にコレステロール・エステラーゼを作用させる方法などが挙げられる。そして後者の方法は、前記分解操作が簡便で、自動分析法などにおいて直接かつ迅速に定量ができることから好ましく用いられる。
【0003】
コレステロール・エステラーゼは、エステル型コレステロールに作用して遊離型コレステロールと脂肪酸を生成する酵素であり、特に動物の膵臓、肝臓などに由来するもの、あるいは微生物由来のものなどが知られている。微生物由来のコレステロール・エステラーゼとしては、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物から得たもの(特開昭50−157588号公報参照)、フザリウム(Fusarium)属に属する微生物から得たもの(ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)第81巻、1209−1215頁、1977年、参照)、シゾフィラム(Schizophyllum)属に属する微生物から得たもの(特公昭55−34674号公報参照)、カワラタケ属から得たもの(特公昭56−53355号公報参照)、ストレプトミセス(Streptomyces)属から得たもの(特公昭60−15311号公報参照)、ノカルジア・コレステロリカム(Nocardia cholesterolicum)NRRL5767から得たもの(特公昭60−58955号公報参照)などが知られている。
しかしながら、キサントモナス(Xanthomonas)属に属する微生物由来のコレステロール・エステラーゼについての報告はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エステル型コレステロールの定量などの際に用いられる、実用性に優れた理化学的性質を有するコレステロール・エステラーゼを、容易に得る方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ね、広く自然界よりコレステロール・エステラーゼを生産し得る微生物の検索を行った結果、土壌より分離したキサントモナス属に属する菌株がコレステロール・エステラーゼを生産すること、そしてその菌株によって生産された酵素の至適pHが微酸性にあり、かつ熱安定性に優れて実用に適していることなどを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明はキサントモナス属に属し、コレステロール・エステラーゼ生産能を有する菌株を培地に培養し、その培養物からコレステロール・エステラーゼを採取することを特徴とするコレステロール・エステラーゼの製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明に用いられる菌としては、キサントモナス(Xanthomonas)属に属し、コレステロール・エステラーゼ生産能を有する菌株であればいかなる菌でもよく、またこれらの変種又は変異株でもよい。そして、その具体例としては、キサントモナス・エスピー No.81−13(Xanthomonas sp.No.81−13)が挙げられ、該菌株の変種又は変異株も用いることができる。このキサントモナス・エスピー No.81−13(以下、本菌という)は、本発明者らが熊本市郊外の畑の土壌から採取して純粋分離して得た菌であり、その菌学的性質は以下に示すとおりである。
【0007】
<キサントモナス・エスピー No.81−13の菌学的性質>
(a)形態的性質
顕微鏡的観察(肉汁寒天培地(pH7.0)上で、30℃、20時間培養)
(1)細胞の大きさ及び形:0.3〜0.6×1.5〜1.7μmの桿菌。
(2)細胞の多形性の有無:なし。
(3)運動性の有無及び鞭毛の着生状態:運動性あり。1乃至数本の極鞭毛を有する。
(4)胞子の有無:なし。
(5)グラム染色性:陰性。
【0008】
(b)生育状態
(1)肉汁寒天平板培養:30℃、24時間培養で直径約0.8〜1.0mmの円形コロニーを形成し、その表面は平滑で光沢があり、凸状に隆起しやや透明感のあるレモン色を呈する。
(2)肉汁液体培養:30℃、24時間の振盪培養で良好に生育し、濁化する。また48時間以上の静置培養では培養液が粘性を帯びてくる。
(3)肉汁ゼラチン穿刺培養:30℃、4日間で液化する。
(4)リトマスミルク:30℃、2日間で液化が見られるが、酸、アルカリの生産はない。
【0009】
(c)生理学的性質
(1)硝酸塩の還元:陽性。
(2)脱窒反応:陰性。
(3)MRテスト:陽性。
(4)VPテスト:陰性。
(5)インドールの生成:陰性。
(6)硫化水素の生成:陰性。
(7)デンプンの加水分解:陽性。
(8)クエン酸の利用:コーザー培地 陽性、クリステンセン培地 陽性。
(9)無機窒素源の利用:硝酸塩、アンモニウム塩ともに陽性。
(10)色素の生成:陰性。
(11)ウレアーゼ:陰性。
(12)オキシダーゼ:陽性。
(13)カタラーゼ:陽性。
(14)生育の範囲:pH;4.5〜9.5、温度;15〜48℃。
(15)酸素に対する態度:好気性。
(16)O−Fテスト:酸化的。
(17)栄養要求性:なし。
(18)ONPGテスト(β−ガラクトシダーゼの生産テスト):陽性。
(19)菌体外DNase:陽性。
(20)カゼインの分解:陽性。
(21)エスクリンの分解:陽性。
(22)チロシン分解:陽性。
(23)アミノ酸デカルボキシラーゼ:
基質としてL−リジンを使用した場合、陰性。
基質としてL−オルニチンを使用した場合、陰性。
(24)アルギニンジヒドロラーゼ:陰性。
(25)アミノ酸デアミナーゼ:基質としてフェニルアラニンを使用した場合、フェニルピルビン酸の生成 陽性。基質としてトリプトファンを使用した場合、インドールピルビン酸の生成 陰性。
(26)リパーゼ:陽性。
(27)レシチナーゼ:陽性。
(28)キノンタイプ:Q−8。
(29)菌体内主要脂肪酸:13−メチルテトラデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、12−メチルテトラデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸など。
(30)糖からの酸及びガスの生成の有無:
L−アラビノース、D−キシロース、D−グルコース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ガラクトース、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース及びデンプンから酸を生成する。また何れからもガスの生成は認められない。
【0010】
以上の諸性質をバージーズ・マニュアル・オブ・デタミネイティブ・バクテリオロジー(Bergey′s Manual of Determinative Bacteriology)第9版(1994年)の記載と対比すると、本菌株は、好気性のグラム陰性桿菌で、1乃至数本の極鞭毛を有し、発酵性がなく、種々の糖から酸の生成が見られること、さらにはキノンタイプがQ−8であることから、シュードモナス(Pseudomonas)属に近縁の細菌であることが予想された。
【0011】
そこで菌体の脂肪酸組成を調べたところ、13−メチルテトラデカン酸と15−メチルヘキサデカン酸の分岐型脂肪酸を主要成分とする組成であることが分かった。シュードモナス属タイプの細菌で分岐型の脂肪酸組成を示すものは、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)属及びキサントモナス(Xanthomonas)属の細菌に見られる特徴である〔ジャーナル・オブ・ジェネラル・アンド・アプライド・ミクロバイオロジー(Journal of General and Applied Microbiology)第24巻、199−213頁、1978年、及びインターナショナル・ジャーナル・オブ・システマチック・バクテリオロジー(International Journal of Systematic Bacteriology)、第46巻、298−304頁、1996年、参照〕。
【0012】
まず、ステノトロフォモナス属との比較のためDNA−DNAハイブリダイゼーションを行った。ステノトロフォモナス属には、現在ステノトロフォモナス・マルトフィリア(S.maltophilia)とステノトロフォモナス・アフリカナ(S.africana)の2種が報告されているが、後者は新種として発表されたばかりであり、タイプストレインが入手できないため、ステノトロフォモナス・マルトフィリアとのみで相同性を調べた。その結果、本菌はステノトロフォモナス・マルトフィリアとは20%程度の相同性しか示さないことから、明らかにステノトロフォモナス・マルトフィリアとは異なっており、ステノトロフォモナス属に属する細菌とは考えられなかった。
次にキサントモナス属との比較は16S リボゾーマルDNA(rDNA)の塩基配列で行った。その結果、16S rDNA塩基配列のホモロジー検索から、本菌はキサントモナス属の細菌と近縁であることが分かり、特にキサントモナス・カムペストリス(X.campestris)と最もホモロジーが高かった。
そこで、文献(インターナショナル・ジャーナル・オブ・システマチック・バクテリオロジー、第47巻、328−335頁、1997年)に記載のとおり、代表的なキサントモナス属細菌13株及びステノトロフォモナス属細菌2株を用いて近隣結合法(neighbor−joining method)による系統解析を行った。その結果、本菌は高いブートストラップ値(近隣結合法に基づいて作成した系統樹の信頼性を示す値)でキサントモナス属細菌とは異なった系統樹を形成した。次に近縁属であるシュードモナス属細菌3株及びブルクホルデリア(Burkholderia)属細菌1株をさらに含めて同様に系統樹を作成したところ、本菌はブートストラップ値が高い値で、ステノトロフォモナス属とキサントモナス属細菌の間に位置することが分かった。前述のステノトロフォモナス・マルトフィリアは、以前にはキサントモナス属に含められていたが、本菌はそれよりもキサントモナス属に近縁であると考えられる。しかし、いずれの系統樹においてもキサントモナス属細菌の集団の外側に位置することから、本菌はキサントモナス属の新種と判断された。
以上のことから、本菌株をキサントモナス・エスピー No.81−13(Xanthomonas sp.No.81−13)と命名した。そしてこの菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−16369として寄託されている。
【0013】
次に、前記のキサントモナス属に属し、コレステロール・エステラーゼ生産能を有する菌株を培地に培養し、その培養物からコレステロール・エステラーゼを採取してコレステロール・エステラーゼ(以下、本酵素という)を製造するには、先ず培養方法としては、通常の固体培養法でもよいが、液体培養法が好ましい。そしてその培地としては、炭素源、窒素源、無機物、その他の栄養素を程よく含有するものであれば、合成培地又は天然培地のいずれでも使用できる。炭素源としては、同化可能な炭素化合物であればいずれでもよく、例えばマルトース、グルコース、デンプン加水分解物、グリセリン、フラクトース、糖蜜、大豆油、ステアリン酸コレステリルなどが使用される。また、窒素源としては、利用可能な窒素化合物であればよく、例えば酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コーンスチープリカー、大豆粉、アミノ酸、硫安、硝酸アンモニウムなどが使用される。その他、食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの種々の塩類、ビタミン類、消泡剤などが使用される。そしてこれらの栄養源はそれぞれ単独で用いることもでき、また組み合わせて用いることもできる。
このようにして調製した培地を用いて本酵素を製造するには、通気撹拌深部培養または振盪培養などにより好気的に培養し、その際に、培地の初発pHを5〜9程度に調整し、20〜40℃、好ましくは25〜35℃前後の温度で10〜50時間、好ましくは15〜25時間培養する。こうすることによって、培養物中に本酵素が生成し、蓄積する。
【0014】
次いでこの培養物から本酵素を採取するには、通常の酵素採取手段を用いることができる。本酵素は、主に菌体外に存在する酵素であるため、培養物から、例えばろ過、遠心分離などの操作により菌体を除去したのち、その菌体除去液からアセトン、アルコールによる有機溶媒沈殿法、あるいは硫安、その他塩類による塩析法などの通常用いられる方法で酵素を得る。さらに高度に精製された酵素標品を得るには、疎水及びイオン交換を応用した吸着溶出法及び電気泳動法などを用いることができる。
次に本発明の方法によって得られた本酵素の理化学的性質の一例は、下記のとおりである。
【0015】
<キサントモナス・エスピー No.81−13由来コレステロール・エステラーゼの理化学的性質>
(1)作用:コレステロール・エステルを加水分解して脂肪酸とコレステロールを生成する。
【0016】
(2)基質特異性:
本酵素の、種々のコレスエロール・エステルに対する活性を後に述べる活性測定法によって測定し、コレステロール・リノール酸に対する活性を100としたときの相対活性(%)を求めた結果の一例を表1に示す。
【0017】
【表1】
表1
Figure 0003824244
【0018】
表1からわかるように、本酵素は、コレステロール・リノール酸、コレステロール・オレイン酸、コレステロール・パルミチン酸、コレステロール・オクタン酸及びコレステロール・ステアリン酸に作用し、中でもコレステロール・オレイン酸に対して最も強く作用する。また、コレステロール・酢酸にもわずかに作用する。
【0019】
(3)至適pH及び安定pH範囲:
至適pHは、200mMリン酸緩衝液を用い、希釈した水酸化ナトリウム及び塩酸にて各pHに調整し、各pHにおける本酵素の活性測定を行って求めた。その結果は、図1に示すとおりであり、本酵素の至適pHは6.5付近である。
また、安定pH範囲は、50mM酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液(pH4.5〜5.5)、50mMメス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5〜7.0)、50mMヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH7.0〜8.0)及び50mMチェス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.0〜10.0)を用い、pH4.5〜10.0において37℃、60分間それぞれ処理した後、本酵素の残存活性を測定して求めた。その結果は、図2に示すとおりであり、本酵素の安定pH範囲は5.5〜8.5である。
なお、図2中に示すマークで、□は50mM酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液(pH4.5〜5.5)を、■は50mMメス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5〜7.0)を、●は50mMヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH7.0〜8.0)を、また○は50mMチェス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.0〜10.0)を、それぞれ用いたときの結果を示している。
【0020】
(4)作用適温の範囲:
後記する力価の測定法におけると同一の基質と酵素液を用い、種々の温度(25℃〜70℃)で反応を行い、本酵素の活性測定を行った。その結果は、図3に示すとおりであり、本酵素の作用適温の範囲は45〜50℃である。
【0021】
(5)pH、温度などによる失活の条件:
本酵素は、37℃、60分間の処理では、pH5.5〜8.5で安定であり、50mMのヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH7.0)を用いて、各温度で30分間処理した場合の本酵素の熱安定性を調べた。
その結果は、図4に示すとおりであり、本酵素は55℃まで安定であり、65℃で約40%失活する。
【0022】
(6)阻害、活性化及び安定化:
後記する力価の測定法における同一の基質・酵素混合液に、表2に示す種々の金属塩(各々1mMの濃度)を添加して酵素活性を測定し、各金属塩による影響を調べた結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
表2
Figure 0003824244
【0024】
表2からわかるように、本酵素は、HgCl2で強く阻害され、またZnSO4とCuSO4で15〜25%程度阻害されるが、活性化及び安定化に特別に寄与する金属塩は見当らない。
【0025】
(7)分子量:
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による本酵素の分子量は、約55,000である。
【0026】
(8)力価の測定方法:
コレステロール・リノール酸を基質として、コレステロール・エステラーゼを作用させ、生成するコレステロールをさらにコレステロール・オキシダーゼによって酸化し、生成する過酸化水素をさらに4−アミノアンチピリンとフェノールを定量的に酸化縮合せしめ、キノン色素を生じさせる。この色素を500nmで測定し、酵素力価を求めた。なお、酵素反応液の組成及び測定手順は以下のとおりである。また、本発明におけるコレステロール・エステラーゼ1単位は、コレステロール・リノール酸を基質として、pH7.0、37℃の条件で1分間に1マイクロモルの遊離コレステロールを生成するに要する酵素量とした。
【0027】
<反応液の組成>
▲1▼ 0.6mM コレステロール・リノール酸溶液(1%トリトンX−100含有); 1.0ml
▲2▼ 86.6mM 4−アミノアンチピリン水溶液;0.05ml
▲3▼ 638mM フェノール水溶液;0.1ml
▲4▼ パーオキシダーゼ溶液(150単位/ml、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0);0.1ml
▲5▼ コレステロール・オキシダーゼ溶液(100単位/ml、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0);0.1ml
▲6▼ 酵素液;0.1ml
▲7▼ 200mMリン酸緩衝液(pH7.0);1.5ml
反応液量;2.95ml
【0028】
<測定手順>
前記の▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲7▼の反応混液(2.75ml)を試験管に採り、37℃で約5分間予備加温し、これに▲5▼を加えてさらに2分間加温する。次に前記した▲6▼を添加し、緩やかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で500nmの吸光度変化を3〜4分間記録し、その初期直線部分から1分間あたりの吸光度変化量を求める。
【0029】
(9)精製方法:
本酵素の単離、精製は常法に従って行うことができ、例えば硫安塩析法、有機溶媒沈澱法、イオン交換体などによる吸着処理法、イオン交換クロマトグラフ法、疎水クロマトグラフ法、ゲルろ過クロマトグラフ法、吸着クロマトグラフ法、アフィニティークロマトグラフ法、電気泳動法などを単独又は適宜組合わせて用いられる。
【0030】
なお、本発明によって得られるコレステロール・エステラーゼの主要な理化学的性質は前記のとおりであるが、この酵素が従来知られているコレステロール・エステラーゼとは異なるものであることを、主として至適pH、熱安定性について表3に示して比較する。
比較の対象としては、シュードモナス属として、(1)特開昭50−157588号公報記載のシュードモナス・フルオレッセンス KY3955、(2)特公昭58−30033号公報記載のシュードモナス・ノブ・エスピーNo.109、(3)アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)第40巻、1957−1964頁、1976年、記載のシュードモナス・フルオレッセンスATCC21156、及び(4)東洋紡績カタログに記載のシュードモナス・エスピー由来のものを挙げた。また(5)フザリウム属として、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)第81巻、1209−1215頁、1977年、に記載のFusarium oxysporum IGH−2由来のものを、(6)シゾフィラム属として、特公昭55−34674号公報記載のSchizophyllum commune IFO4928由来のもの、(7)カワラタケ属として、特公昭56−53355号公報記載のCoriolus versicolor K−1213由来のもの及び(8)ストレプトミセス属として、特公昭60−15311号公報記載のStreptomyces lavendulae H−646−SY2由来のもの、を挙げて各文献に記載のコレステロール・エステラーゼの性質と本酵素のそれとを比較した。
【0031】
【表3】
Figure 0003824244
【0032】
表3に示すごとく、本発明の方法によるコレステロール・エステラーゼは、至適pHが微酸性にあり、かつ熱安定性がpH7.0で30分間の処理で55℃まで安定であり、他の微生物由来のそれとは異なっている。
【0033】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
大豆油 0.5%(W/V)、酵母エキス 0.5%(W/V)、リン酸一カリウム 0.1%(W/V)、リン酸二カリウム 0.1%(W/V)、硫酸マグネシウム・7水和物 0.01%(W/V)、硫酸第一鉄・7水和物 0.005%(W/V)及び水道水からなる培地(pH7.5)20lを30l容ジャーに入れて、120℃で15分間殺菌した。
この培地に、キサントモナス・エスピーNo.81−13(Xanthomonas.sp.No.81−13)の保存スラント(3本)から、生理食塩水を用いて調製した菌体懸濁液を接種し、これを30℃で約24時間、等量通気で撹拌培養した。培養終了後、培養液20lを遠心分離によって菌体を除去し、上清を限外ろ過膜を用いて濃縮して2mMエチレンジアミン四酢酸を含有する10mMのリン酸緩衝液(pH7.5)(以下緩衝Aという)に対して透析した。
本酵素の精製は、濃縮透析液(約4l)の半分量の2lに対して、以下に示す操作により行なった。
【0034】
ステップ1;(フェニル−セファロースCL−4B・クロマトグラフィー)
透析液(2l)に5%飽和になるように硫安粉末を添加、混合した後、フェニル−セファロースCL−4Bのカラム(8×31cm)に本酵素を吸着させ、緩衝液Aにてカラムを洗浄した。次に、0M〜1.0M尿素と35mMコール酸ナトリウムを含有する緩衝液Aの直線濃度勾配法により本酵素を溶出させ、活性画分を限外濃縮し、緩衝液Aに対して透析した。
ステップ2;(DEAE−セファセル・クロマトグラフィー)
前記透析液(240ml)を、DEAE−セファセルのカラム(6×20cm)に吸着させた後、緩衝液Aにてカラムを洗浄し、次ぎに0M〜2.0M尿素と70mMコール酸ナトリウムを含有する緩衝液Aの直線濃度勾配法により溶出させ、活性画分を限外濃縮し、緩衝液Aに対して透析した。
ステップ3;(セファデックスG−200・クロマトグラフィー)
濃縮液(12ml)の一部(2ml)をセファデックスG−200のカラム(2.5×95cm)に添加した後、0.1M塩化カリウムを含有する緩衝液Aを用いてゲルろ過を行い、溶出された活性画分80mlを採取した。
以上のステップ3の精製操作を合計6回繰り返し行い、全タンパク量9mg、全活性770Uの精製酵素標品を得た。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、熱安定性に優れたコレステロール・エステラーゼを容易に製造することができる。そして本酵素は、熱安定性に優れているため実用性に富み、本酵素を液状試薬としたときなどの保存性がよいことから、例えばエステル型コレステロールの定量などの際の試薬として有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本酵素の至適pHを示すグラフ。
【図2】 本酵素の安定pH範囲を示すグラフ。
【図3】 本酵素の作用適温の範囲を示すグラフ。
【図4】 本酵素の熱安定性を示すグラフ。

Claims (1)

  1. コレステロール・エステラーゼ生産能を有するキサントモナス・エスピー No.81−13(FERM P−16369)菌株を培地に培養し、その培養物からコレステロール・エステラーゼを採取することを特徴とするコレステロール・エステラーゼの製造方法。
JP23916397A 1997-08-21 1997-08-21 コレステロール・エステラーゼの製造方法 Expired - Fee Related JP3824244B2 (ja)

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