JPH0665864U - 回転検出機能付ホィールベアリングシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】自動車のアンチロックブレーキシステムにおけ
る回転検出装置の装着スペースを削減し、感知性能を向
上させる。 【構成】車輪の回転部に装着されるホィールベアリング
に、回転検出機能を付加したものにおいて、ホィールベ
アリングシール１のアキシャル方向フラット面に硬質磁
性材料よりなる薄層２を形成し、薄層２へ着磁せしめて
多極磁石３を形成し、これにパルス検出センサー４を近
接せしめた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、相対回転する軸受部の回転検出装置に関し、具体的には自動車のア ンチロックブレーキシステムにおける前後輪の回転を検出する回転検出機能装置 を装着したホィールベアリングシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、自動車のスキッドを防止するためのアンチスキッド用回転検出装置とし ては次のような構造が多く用いられている。 すなわち、前記回転検出装置は歯付ローターと感知センサーからなっており、 その際軸受を密封するシール装置よりそれぞれ離間させて配置し、一つの独立し た回転検出装置を構成しているものが一般的である。 以下、図面を参照しつつ詳述する。

【０００３】 このような従来例を示すと、図４のように回転軸（５）に嵌合された金属製の 焼結体かまたは板金加工体等からなる歯付ローター（６）を、ナックル（７）に 取付られた回転検出センサー（８）で感知検出する構造を示している。 ここで軸受（９）はその側部に独立して設けられたシール装置（Ａ）によって 水分あるいは異物の侵入から守られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような回転検出装置の構造は、該歯付ローター（６）及び 回転検出センサー（８）を取り付ける専用のスペースを必要とし、さらにシール 装置（Ａ）の併設配置など複雑構造にならざるを得ないものであり、また、歯付 ローター（６）の圧入部の精密な研磨仕上げを要する。 本考案はこのような欠点に鑑み、装着スペースを削減せしめ感知性能を飛躍的 に向上させた車輪回転検出のための回転検出装置を有したベアリングシールを提 供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案を図面に基づいて説明すると、図１に示すように、ホィール軸受部の密 封をなし、該軸受の回転運動をパルス検出センサー（４）によって検出するため の回転検出機能付ホィールベアリングシール（１）であって、前記ホィールベア リングシール（１）の回転するアキシャル方向フラット面に硬質磁性材料を付着 せしめて薄層（２）を形成し、この薄層（２）に着磁して多極磁石（３）を構成 せしめ、前記薄層（２）の多極磁石（３）へパルス検出センサー（４）を近接配 置したことを特徴としている。

【０００６】

【作用】

本考案は、上記した構造をもって下記に示す優れた作用をなす。 すなわち、回転するホィールベアリングシール（１）のアキシャル方向フラッ ト面へ、例えば図１に示すように硬質磁性材料よりなる薄層（２）を塗布硬化あ るいは、コーティング、蒸着等の公知の方法と手段を用いて付着形成せしめ、前 記薄層（２）へＮ−Ｓの磁極を交互に形成着磁して周状となる多極磁石（３）を 構成する。この薄層（２）の多極磁石（３）へ図３に示すようにパルス検出セン サー（４）を近接配置し、磁気作用を利用した回転検出装置として使用する。

【０００７】

【実施例】

本考案を実施するに、図１で示すようにホィールベアリング（１）のアキシャ ル方向フラット面へ薄層（２）を環状に形成する場合、前記した如くＮ−Ｓの磁 極を環状に着磁せしめるが、図２で示すように薄層（２）を一定の間隔をあけて 点在する島形状に造形する場合は該島状物にそれぞれ着磁せしめてパルスを発生 せしめる構成とする。

【０００８】 この薄層（２）は、図１で示したシングルシールタイプのホィールベアリング （１）であっても、あるいは図２で示した組合せシールタイプのホィールベアリ ング（１）であってもその形状に影響を及ぼさず、また、前記回転するアキシャ ル方向フラット面が、図１に示すような合成ゴム等の弾性体で覆われた非磁性体 で形成されても、図２に示すような金属材料で構成された非磁性または軟磁性の 材料で形成されても一向に差し支えない。勿論他に考えられる合成樹脂材あるい はセラミック材などであっても良い。 このフラット面に薄層（２）を付着させる方法においては、硬質磁性材料の液 状物を塗布しこれを硬化せしめるとか、あるいはコーティング、蒸着等の公知の 方法と手段を用いて付着形成せしめる。

【０００９】

【考案の効果】

本考案によると、従来別部品として装着されていた高精度の必要な歯付ロータ ー（６）を、ホィールベアリングシール（１）で代用せしめることができ、しか もこれを成型の容易な硬質磁性材料の薄層（２）でなさしめるものであり、自由 な形状に設計できると共に、得られる精度と軽量化及び省スペース性において極 めて有用な効果をもたらす。 もちろん、その取付においてもホィールベアリングシール（１）の装着完了に よって正確に配置されるから取付工程そのものを減じせしめる。

【００１０】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視断面図である。

【図２】本考案の他の実施例を示す斜視断面図である。

【図３】本考案の作用を示す略図である。

【図４】本考案を使用しない従来例を示す断面図であ
る。

【００１１】

【符号の説明】

１ ホィールベアリングシール ２ 薄層 ３ 多極磁石 ４ パルス検出センサー ５ 回転軸 ６ 歯付ローター ９ 軸受 Ａ シール装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホィール軸受部の密封をなし、該軸受の
   回転を検出するための回転検出機能付ホィールベアリン
   グシールにおいて、前記ホィールベアリングシール
   （１）の回転するアキシャル方向フラット面に硬質磁性
   材料を付着させて薄層（２）を形成し、この薄層（２）
   に着磁して多極磁石（３）を構成せしめ、該多極磁石
   （３）へパルス検出センサー（４）を近接配置したこと
   を特徴とする回転検出機能付ホィールベアリングシー
   ル。