JPH0661778B2 - フイルムの製法 - Google Patents

フイルムの製法

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JPH0661778B2
JPH0661778B2 JP5948986A JP5948986A JPH0661778B2 JP H0661778 B2 JPH0661778 B2 JP H0661778B2 JP 5948986 A JP5948986 A JP 5948986A JP 5948986 A JP5948986 A JP 5948986A JP H0661778 B2 JPH0661778 B2 JP H0661778B2
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隆 藤原
重光 村岡
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ポリ(P−フエニレンテレフタルアミド)
(以下、PPTAと称する)からなるフイルムの製法に
関し、さらに詳しくはフイルムの長尺方向(以下、MD
方向と略す)および幅方向(TD方向)共に優れた機械
特性を示し、かつ優れた表面性有するPPTAフイルム
の製法に関するものである。
(従来の技術) PPTAは、特に優れた結晶性や高い融点を有し、また
剛直な分子構造の故に、耐熱性で高い機械的強度を有し
ており、近年、特に注目されている高分子素材である。
またその光学異方性を示す濃厚溶液から紡糸された繊維
は高い強度およびモジユラスを示すことが報告され、既
に工業的に実施されるに到つているが、フイルムへの応
用例の提案は少なく、実用化例も未だ知られていない。
PPTAの有する問題点としては、その有用な高分子量
のポリマーは有機溶媒に難溶であり、濃硫酸等の無機の
強酸が溶媒として用いられねばならないということが挙
げられ、これを回避するために、例えば特公昭56-45421
号公報では、直線配位性芳香族ポリアミドの芳香核にハ
ロゲン基を導入した単位と、PPTA以外の芳香核に置
換基をもたない芳香族ポリアミドを共重合することによ
り有機溶媒に可溶とし、それからフイルムを得ようとす
る試みがなされている。しかし、これはモノマーが高価
なため、コストが高くなる上に、折角の直線配位性芳香
族ポリアミドの耐熱性や結晶性を損なう欠点がある。
一方、特公昭59-14567号公報には光学異方性を有する芳
香族ポリアミド溶液をスリツトから短い空気層を介して
凝固浴中に押出す方法が開示されているが、この方法で
はMD方向の機械的強度のみ強く、それと直交するTD
方向の機械的強度は極端に弱く、裂けやすいものしか得
られなかつた。
このように単に芳香族ポリアミドの光学異方性ドープを
押出し、そのまま凝固させただけでは、吐出方向に過度
に配向するために、フイブリル化しやすいTD方向に弱
いものとなつてしまうため、これを改良しようとするフ
イルム製造方法が種々検討された。
例えば特公昭57-35088号公報には、光学異方性を有する
芳香族ポリアミド溶液を、リングダイから押出し、イン
フレーシヨン法を用いてドープの状態で2軸方向に同時
流延させた後、湿式凝固させることにより等方性のフイ
ルムが得られるとしている。しかし、この方法では均一
な厚みの透明フイルムを得るのは難しく、機械的強度殊
に引裂強度が低いという欠点がある。
また特公昭59-5407号公報、特開昭54-132674号公報で
は、直線配位性芳香族ポリアミドの光学異方性または光
学等方性のドープを、ダイ中で押出し方向と直角の方向
に機械的に剪断力を与えることにより、押出し時に押出
し方向とその直角方向の2軸方向に配向させる提案をし
ているが、ダイの構造が複雑で、工業的実施上の難点が
ある。
さらにJ.Appl.Polym.Sci.vol.27、NO.8、P.2965〜2985
(1982)には、PPTAの光学異方性ドープをリングダ
イより油塗布した円錐状のマンドレル上に押出すことに
より、2軸配向したフイルムを得ることが提案されてい
るが、このフイルムは、機械的強度が等方的であるもの
の低く、ドラフトをかけた場合、MD方向の機械的強度
は高いが、TD方向のそれは著しく低いという欠点があ
る。
特公昭57-17886号公報には、直線配位性芳香族ポリアミ
ドの光学異方性ドープを凝固直前に、光学等方性となる
まで加熱した後、凝固させることによつて、透明で機械
的物性が等方的であるフイルムを得ることが記載されて
いる。この方法は、従来の光学異方性ドープの活用によ
り高性能を得んとする大方の概念に逆らつた独創的なも
のであり、これにより光学異方性ドープの極端な1軸配
向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液晶ドメイン
構造がドープを押出した後も残り、そのまま凝固して不
透明なフイルムとなつてしまうことを回避することに成
功している。しかし、表面精度の良好なフイルムについ
ては何も開示していない。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、既に工業的生産が開始されているPP
TAを用いて、ビデオテープ用のベースフイルム等とし
て特に有用な表面精度の良いフイルムの製法を提供する
ものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的に沿つたPPTAフイルムを得
るべく鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得た。
即ち、特公昭57-17886号公報に開示された技術(PPT
Aの光学異方性ドープをまずつくりこれを光学等方化し
て凝固するという方法により、透明性のある機械的性能
にすぐれたPPTAフイルムが得られること)におい
て、特に工業的な製造を行うに当つては、使用する溶媒
が硫酸系に限られるためドープを流延する支持面体の材
質が限られ、従つて支持面体の加工精度に制限をうける
ことが多く、そのような場合得られる凝固フイルムも表
面精度や厚みムラなどの点で必ずしも十分とはいえない
こともあるが、凝固フイルム又は水洗後の湿潤フイルム
を鏡面加工された面にはさんで圧力をかけることによ
り、収縮制限乾燥されたフイルムの表面精度や厚みムラ
が著しく改善されることがわかつた。
本発明者らはこれらの知見をもとに、更に研究を重ねて
本発明として完成させたものである。
即ち、本発明は対数粘度が3.5以上のポリ(P−フエニ
レンテレフタルアミド)と95重量%以上の硫酸とから
実質的になる光学異方性ドープを、光学異方性を保つた
まま支持面上に流延し、吸湿又は/及び加熱により該ド
ープを光学等方性に転化したのち凝固させるフイルムの
製法において、凝固後、硫酸及び水の合計量のポリ(P
−フエニレンテレフタルアミド)に対する重量比が0.8
〜5.0の湿潤フイルムの少なくとも一面に鏡面を接圧し
フイルムの収縮を制限しつつ乾燥することを特徴とする
フイルムの製法である。
本発明に用いられるPPTAは実質的に で表されるポリマーであり、従来公知のパラフエニレン
ジアミンとテレフタロイルクロライドから、低温溶液重
合法により製造するのが好都合である。
なお、光学異方性ドープを形成しうるという条件のもと
に、例えば特開昭47-39458号公報、特公昭50-8474号公
報等に記載された芳香族ポリアミドにも、本発明の方法
が適用できる。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性質
の良好なフイルムが得られなくなるため、3.5以上好ま
しくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマー
0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度
のものが選ばれる。
本発明の方法において、まずPPTAの光学異方性ドー
プを調製する必要がある。
本発明のPPTAフイルムの成型に用いるドープを調製
するのに適した溶媒は、95重量%以上の濃度の硫酸で
ある。95%未満の硫酸では溶解が困難であつたり、溶
解後のドープが異常に高粘度になる。本発明のドープに
は、クロル硫酸、フルオロ硫酸、五酸化リン、トリハロ
ゲン化酢酸などが少し混入されていてもよい。硫酸は10
0重量%以上のものも可能であるが、ポリマーの安定性
や溶解性などの点から98〜100重量%濃度が好ましく
用いられる。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20℃〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方
性を示す濃度以上のものが好ましく用いられ、具体的に
は約10重量%以上、好ましくは約11重量%以上で用
いられる。これ以下のポリマー濃度、すなわち常温また
はそれ以上の温度で光学異方性を示さないポリマー濃度
では、成型されたPPTAフイルムが好ましい機械的性
質を持たなくなることが多い。ドープのポリマー濃度の
上限は特に限定されるものではないが、通常は20重量
%以下、特に高いηinhのPPTAに対しては18重量
%以下が好ましく用いられ更に好ましくは16重量%以
下である。
本発明のドープには普通の添加剤、例えば、増量剤、除
光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔
料、溶解助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の方
法、例えば特公昭50-8474号公報記載の方法で調べるこ
とができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポリ
マー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依存
するので、これらの関係を予め調べることによつて、光
学異方性ドープを作り、光学異方性ドープとなる条件に
変えることで、光学異方性から光学等方性に変えること
ができる。
本発明に用いられるドープは、成形・凝固に先立つて可
能な限り不溶性のゴミ、異物等を過等によつて取除い
ておくこと、溶解中に発生又は巻きこまれる空気等の気
体を取除いておくことが好ましい。脱気は、一旦ドープ
を調製したあとに行うこともできるし、調製のための原
料の仕込段階から一貫して真空(減圧)下に行うことに
よつても達成しうる。ドープの調製は連続又は回分で行
うことができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保つ
たまま、ダイ、例えばスリツトダイから、支持面上に流
延される。また、実験室的には、ガラス板上にドクター
ナイフで流延できる。本発明において、流延及びそれに
続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延伸、乾燥など
の工程を連続的に行つても、これらの全部又は一部を断
続的に、つまり回分式に行つてもよい。好ましくは、流
延工程を連続的に、しかも、ドープを流延する支持面の
移動速度をダイからのドープの吐出線速度の2倍以上で
行う方法である。
本発明に用いられる支持面は、ベルトやドラムの形状
で、或いは板状物として用いられる。その材質は、少な
くともそのドープに接する面が耐酸性があれば特に限定
されず、例えば、ガラス、ハステロイ、タンタル、金・
白金・窒化チタン等のメツキを施した金属フツ素樹脂な
どが好ましく用いられる。好ましくは、これらの材料が
いわゆる鏡面仕上されているものであり、その場合本発
明の方法により得られるフイルムの表面品位が一段と向
上する。
本発明のフイルムを得る方法は、ドープを支持面上に流
延した後、凝固に先立つてドープを光学異方性から光学
等方性に転化するものである。
光学異方性から光学等方性にするには、具体的には支持
面上に流延した光学異方性ドープを凝固に先立ち、吸湿
させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶解
能力およびポリマー濃度の変化により光学異方性域に転
移させるか、または加熱することによりドープを昇温し
ドープの相を光学等方性に転移させる或いは、吸湿と加
熱とを同時又は逐次的に併用することにより達成でき
る。特に、吸湿を利用する方法は、加熱を併用する方法
も含めて、光学異方性の光学等方化が効率よくかつPP
TAの分解をひきおこすことなく出来るので、有用であ
る。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気でも
よいが、好ましくは、加湿又は加温加湿された空気を用
いる。加湿空気は飽和蒸気圧をこえて霧状の水分を含ん
でいてもよく、いわゆる水蒸気であつてもよい。ただ
し、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮
水を含むことが多いので好ましくない。吸湿は通常、室
温〜約180℃、好ましくは50℃〜150℃の加湿空気によ
つて行われる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定されず、
上記の如き加湿された空気を流延ドープに当てる方法、
赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方法など
である。
支持面上で光学等方化された流延ドープは、次に凝固を
うける。本発明において、ドープの凝固液として使用で
きるのは、水、約70重量%以下の硫酸水溶液、カセイ
ソーダ等のアルカリ水溶液などである。
凝固浴は好ましくは10〜50重量%の硫酸水溶液であ
る。
本発明において、凝固液の温度は好ましくは30℃以
下、より好ましくは10℃以下である。これは、この温
度が低い程、凝固速度を小さくできることと、 フイルムに包含されるボイドが少なくなるという傾向と
が見出され、従つてフイルムの表面精度が向上するから
である。
凝固させたフイルムはそのままで、或いは、後述する洗
浄を先に済ませたのちに、フイルムの少なくとも一面に
鏡面を接圧する必要がある。接圧処理するとき、フイル
ムは、ポリマーに対して、0.8〜5.0の重量比の水及び必
要に応じ硫酸を含有していることが重要である。0.8よ
り小さい重量比においては接圧の効果が小さくて、表面
精度等の向上が期待しにくく、5.0をこえると接圧処理
後再び表面が傷をうける等の不利益があり好ましくな
い。望ましくは、1.5〜4.0の重量比である。
接圧処理により、一般に、湿潤又は凝固フイルム中に含
有されていた水や硫酸が絞り出されてくる。接圧処理の
圧力は、通常、0.1〜100kg/cm2の範囲である。
接圧処理する面は鏡面加工されていることが重要であ
る。鏡面は、好ましくは機械加工の表面あらさで表示し
て10−S以下、更に好ましくは1−S以下、最も好まし
くは0.1−Sである。
接圧処理は、凝固させたままの状態、部分的に洗浄した
状態、完全に洗浄を終つた状態のいずれにおいても実施
できるが、一般に、接圧効果の点からは洗浄の進んでい
ない状態が好ましく、鏡面材料の選択の広さの点からは
洗浄の終つた状態が好ましい。
鏡面の材質は、耐酸性のステンレス、ハステロイ、ガラ
ス等でつくればよい。
接圧処理は、例えば、実験室的には鏡面加工された板の
間に湿潤又は凝固フイルムを挟み、静荷重又は必要に応
じてプレス機などで圧をかけることによつて行えるし、
走行するフイルムに連続的に施す場合には、鏡面ロール
を介して走行フイルムに張力をかける方法、少なくとも
一方が鏡面加工されている一対のロールの間にフイルム
を挟んで圧をかける方法などで行われる。
接圧処理の前又は/及び後に、フイルムは、酸分の洗
浄、除去をできるだけ行う必要がある。酸分の除去は、
具体的には約500ppm以下まで行うことが望ましい。洗浄
液としては水が通常用いられるが、必要に応じて温水で
行つたり、アルカリ水溶液で中和洗浄した後、水などで
洗浄してもよい。洗浄は、例えば洗浄液中でフイルムを
走行させたり、洗浄液を噴霧する等の方法により行われ
る。
洗浄されたフイルムは、乾燥をうける前に、湿潤状態で
延伸されるのが好ましい。延伸は、一方向又は2方向に
1.01倍以上に延伸倍率で行う。このとき、フイルム内に
含有されている水分が汗の如く出てくることがしばしば
見受けられる。一方向の延伸の場合、MD方向であつて
も、それと直角の方向であつてもどちらでもよい。2方
向の延伸は、同時2軸延伸であつても、逐次的に一軸づ
つ延伸してもよい。延伸によつて延伸方向にPPTA分
子鎖を配向させることができるため、機械的性質が向上
する。なお、延伸は乾燥前の湿潤状態で行う必要があ
り、硫酸が多量に残つている状態や乾燥後では機械的性
質向上に有効な延伸が施せない。
乾燥は、緊張下、定長下または僅かに延伸しつつ、フイ
ルムの収縮を制限して行う必要がある。
もし、洗浄液(例えば水)の除去とともに収縮する傾向
を有するフイルムを、何らの収縮の制限を行うことなく
乾燥した場合には、ミクロに不均一な構造形成(結晶化
など)がおこるためか得られるフイルムの光線透過率が
小さくなつてしまう。また、フイルムの平面性が損なわ
れたり、カールしてしまうこともある。収縮を制限しつ
つ乾燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に挟ん
での乾燥などを利用することができる。乾燥に係る他の
条件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空気、
窒素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気ヒー
タや赤外線ランプなどの輻射熱の利用法、誘電加熱法な
どの手段から自由に選ぶことができ、乾燥温度も、特に
制限されるものではないが、常温以上であればよい。た
だし、機械的強度を大にするためには、高温の方が好ま
しく、100℃以上、さらに好ましくは200℃以上が用いら
れる。乾燥の最高温度は、特に限定されるものではない
が、乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば、
500℃以下が好ましい。
なお、本発明において、透明性のすぐれた、即ち光線透
過率の極めて大きい、フイルムを得るために、ドープは
無論のこと、吸湿用気体、加熱用気体、支持面体、凝固
液、洗浄液、乾燥気体等のゴミやチリの含有量が可及的
に少なくなるようにすることが好ましく、この点、いわ
ゆるクリーンルームやクリーン水で本発明のフイルムを
製造するのも好ましい実施態様の1つである。
本発明の方法により得られたフイルムは、その少なくと
も一方向のヤング率が700kg/mm2以上である。この要件
は、フイルムの変形抵抗性と密接に関連している。殊
に、洗浄後の湿潤状態で延伸されて製造された好ましい
態様のフイルムは、約1000kg/mm2以上の著しく高いヤ
ング率を有している。
本発明の方法により得られるフイルムは、また全ての方
向の引張伸度が8%以上である。8%より小さい伸度を
もつフイルムは裂けやすく実用的でない。引張伸度は好
ましく10%以上である。これに対して、特公昭55-141
70号公報に記載された方法でつくつたPPTAフイルム
はMD方向の伸度が高々4〜6%である上に、TD方向
の伸度は1%未満できわめて裂けやすい。
本発明の方法により得られるフイルムは、さらに、その
少なくとも一表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.05μm以下
という優れた表面精度を有している。このような優れた
表面精度は、特定の含液状態のフイルムに鏡面を接圧す
ることと乾燥時のフイルムの収縮を制限しつつ行うこと
の組合わせに依存していることが発見された。中心線平
均粗さ(Ra)は、JISB−0601及びJISB−0651に従つて測
定できる。例えば、東京精密社製万能表面形状測定機サ
ーフコム3Bを使うことができる。
本発明の方法によるフイルムは、また、きわめて高い透
明性を有している。高い透明性は、例えば、600nmの波
長の可視光線の透過率が好ましくは55%以上、より好
ましくは70%以上を有する。
また、本発明の方法によるフイルムは、好ましくは、実
質的にボイドを含まない。
(実施例) 以下に実施例および参考例(PPTAの製造例)を示す
が、これらの参考例および実施例は本発明を説明するも
のであつて、本発明を限定するものではない。なお、実
施例中特に規定しない場合は重量部または重量%を示
す。対数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポリマー0.5g
を溶解し、30℃で常法で測定した。ドープの粘度は、
B型粘度計を用い1rpmの回転速度で測定したものであ
る。フイルムの厚さは、直径2mmの測定面を持つたダイ
ヤルゲージで測定した。強伸度およびモジユラスは、定
速伸長型強伸度測定機により、フイルム試料を100mm×
10mmの長方形に切り取り、最初のつかみ長さ30mm、
引張り速度30mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、こ
れより算出したものである。
参考例(PPTAの製造) 低温溶液重合法により、次のごとくPPTAを得た。特
公昭53-43986号公報に示された重合装置中でN−メチル
ピロリドン1000部に無水塩化リチウム70部を溶解し、
次いでパラフエニレンジアミン48.6部を溶解した。8℃
に冷却した後、テレフタル酸ジクロライド91.4部を粉末
状で一度に加えた。数分後に重合反応物はチーズ状に固
化したので、特公昭53-43986号公報記載の方法に従つて
重合装置より重合反応物を排出し、直ちに2軸の密閉型
ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反応物を微粉砕し
た。次に微粉砕物をヘキシエルミキサー中に移し、ほぼ
等量の水を加えさらに粉砕した後、過し数回温水中で
洗浄して、110℃の熱風中で乾燥した。ηinhが5.8の淡
黄色のPPTAポリマー95部を得た。
なお、異なつたηinhのポリマーは、N−メチルピロリ
ドンとモノマー(パラフエニレンジアミンおよびテレフ
タル酸ジクロライド)の比、または/およびモノマー間
の比等を変えることによつて容易に得ることができる。
実施例1 小型のクリーンベンチを用意して、本実施例はその中で
行つた。
ηinhが、5.8のPPTAを99.5%の硫酸にポリマー濃度
12%で溶解し、60℃で光学異方性をもつドープを得
た。このドープは約30℃で9600ポイズを示した。この
ドープを約65〜70℃で5時間にわたり真空下に脱気
した。
このドープを65℃以上に保つたまま、表面仕上を入念
に施したガラス板上にキヤストし、次いでドクターナイ
フでフイルム状に流延した。流延した光学異方性ドープ
をガラス板ごと、120℃のホツトプレート上において加
熱するとともに、32℃80%湿度の空気から吸湿させ
て、透明な光学等方性ドープに転化した。
次いで、ドープを流延したガラス板を、−5℃の10%
硫酸水溶液中に浸漬して凝固させた。約10分間浸漬し
たのち、形成されたフイルムを硫酸水溶液からとり出し
た。このフイルムはPPTA1gに対して、硫酸0.64
g、水2.35gを含有していた。フイルムをガラス板に接
していた面を下にして凝固に使用したのと全く同じ別の
ガラス板の上に敷いて、その上から凝固に使用したガラ
ス板を押しあてた。そのあと、約25℃の水中に2昼夜
静置して(ただし、計7回水をとりかえた。)洗浄し
た。
得られた湿潤フイルムをそのままの状態で一方向に1.2
倍延伸し、次いでステンレス製の枠にはさんで、定長で
乾燥した。乾燥は約25℃の大気中に1昼夜放置するこ
とで行つた。
乾燥後のフイルムは、透明で厚さ8.5μm、延伸方向の
引張強度34kg/mm2、引張伸度21%、ヤング率1260k
g/mm2で、延伸方向と直角の方向の引張強度20kg/mm
2、引張伸度31%、ヤング率810kg/mm2であり、延伸
方向と30°,45°,60°の方向に引張試験したと
ころ伸度は20〜35%の間に全て入つていた。また、
フイルム調製時、ガラス板と接していなかつた側の面の
中心線平均粗さ(Ra)は0.011μmで、ガラス板と接して
いた側の面の(Ra)は0.023μmであつた。
実施例2〜4 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸にポリマ
ー濃度11.5%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドー
プを得た。このドープの粘度を常温で測定したところ、
10600ポイズだつた。製膜しやすくするために、このド
ープを約70℃に保つたまま、真空下に脱気した。この
場合も上記と同じく光学異方性を有し、粘度は4400ポイ
ズであつた。タンクからフイルターを通し、ギアポンプ
をへてダイに到る1.5mの曲管を約70℃に保ち、0.15m
m×300mmのスリツトを有するダイから、タンタル製
のベルトにキヤストし、相対湿度約85%の約90℃の
空気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し、ベルト
とともに、約0℃の15重量%硫酸水溶液の中に導いて
凝固させた。次いで凝固フイルムをベルトからひきはが
して凝固浴からとり出し、約40℃の温水中を走行させ
て洗浄した。洗浄の終了したフイルム(約400ppmの硫酸
と360%の水を含有)を乾燥させずに1対のステンレス
製鏡面ロールの間を、ロール間に約1kg/cm2の圧がか
かるようにして通過させ、次いでテンターで湿潤延伸
し、更に別のテンターを用いて定長下に240℃で熱風乾
燥した。
湿潤状態での延伸条件を変えてサンプリングした結果を
第1表に示す 実施例5 ηinhが4.8のPPTAを99.5%硫酸に10%で溶解し4
5℃で光学異方性のある8400ポイズのドープを得た。脱
気、過したのち、0.25mm×300mmのスリツトを有する
ダイから、このドープをタンタル製のベルト上に流延し
た。相対湿度約80%の約75℃の空気を吹きつけて流
延ドープを透明な光学等方性ドープに転化し、次いで5
℃の水で凝固させた。凝固したフイルムをベルトからは
がして凝固浴からとり出し、凝固浴に近接して互いに圧
着するように設置した1対のハステロイ製鏡面ロールの
間に、凝固フイルムを通したのち、常温の水、2%カセ
イソーダ水溶液、約30〜40℃の水の順に洗浄した。
凝固浴からとり出したフイルムを別にサンプリングした
ところ、PPTAに対して0.61の硫酸と2.17の水とを含
んでいたことがわかつた。
洗浄されて約250〜350%の水を含有する湿潤フイルムを
テンターでMDに1.3倍、TDに1.1倍延伸し、次いで15
0℃の熱風のじゆんかんする別のテンター中で、TDに
のみ1.05倍に延伸しつつ乾燥した。得られたフイルム
は、厚み9.4μm,ηinh4.5,光線透過率87%,密度
1.404g/cm3,MD強度25kg/mm2,TD強度24kg
/mm2,MD伸度14%,TD伸度17%,MDヤング
率1520kg/mm2,TDヤング率1110kg/mm2であつた。ま
た、流延ベルトに接して形成した面のRaは0.013μm,
それと反対の面のRaは0.008μmであつた。
(発明の効果) 本発明の方法で得られるフイルムは、実施例に示したよ
うに市販のフイルムには見られない高い強度と高いヤン
グ率で表される良好な機械的性質を有し、しかも、表面
精度が非常に良好である。またこれらの性質のみなら
ず、優れた電気絶縁性、耐熱性、耐油性、耐圧性、強酸
以外の耐薬品性、構造の緻密性を有する。このため、本
発明のフイルムは、コンデンサーの絶縁材料や高速回転
する電気機器の絶縁材料や磁気テープ、フレキシブルプ
リント配線基板、電線被覆材、過膜等に好適に使用す
ることができ、さらにもうひとつの特徴である透明性に
優れていることから、包装材料、製版材料、写真フイル
ム等にも有用なものである。
特に、本発明のフイルムは、高いヤング率と強い耐引裂
性、高い表面精度を全て備えているので、ビデオテー
プ、コンピユータテープ、オーデイオテープなどの磁気
テープとして有用で、殊に画像の鮮明性や安定性にもす
ぐれた高品質のビデオテープとして有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上のポリ(P−フエニレ
    ンテレフタルアミド)と95重量%以上の硫酸とから実
    質的になる光学異方性ドープを、光学異方性を保つたま
    ま支持面上に流延し、吸湿又は/及び加熱により該ドー
    プを光学等方性に転化したのち凝固させるフイルムの製
    法において、凝固後、硫酸及び水の合計量のポリ(P−
    フエニレンテレフタルアミド)に対する重量比が0.8〜
    5.0の湿潤フイルムの少なくとも一面に鏡面を接圧しフ
    イルムの収縮を制限しつつ乾燥することを特徴とするフ
    イルムの製法
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CN111333039B (zh) * 2020-03-31 2021-01-22 河南神马尼龙化工有限责任公司 一种对位芳纶纺丝用高品质高浓硫酸的生产装置和生产工艺

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