JPH0660465U - ブレードコータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレードで掻き落されてミスト状になった塗
工液を液状に戻して回収させてミストを少なくし、ミス
トは捕獲して排出させる。 【構成】 基材１に塗られた塗工液４の余剰分をブレー
ド５で掻き落して回収する。ブレード５に沿って流れ落
ちた塗工液４ａは塗工液回収部２０のタンク２１に戻
す。ミストとなって飛散した塗工液はミスト衝突板２３
に当って液状に戻される。液状に戻らずにミストのまま
の塗工液は、ミスト捕獲部２４に入って捕獲され、ファ
ン３０により吸引されてミスト捕獲部２４から排出され
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は製紙工場において製造された原紙等の基材の上に塗工液を塗布して塗 被加工を施すときに用いるブレードコータに関するもので、特に、ブレードで掻 き落したミスト状の塗工液を液状に戻して回収するようにしたブレードコータに 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

たとえば、製紙工場で製造された原紙は、そのままの形で直ちに使用されるこ とは少なく、更に加工して所要の目的に適合する製品としての加工紙とする場合 が多い。加工紙には種々のものがあるが、その１つに塗被加工紙（塗工紙）があ る。塗工紙は、紙の表面の性質を改善する目的で紙の表面に塗工液を塗被させる 作業で製造するもので、この作業に用いる塗工機の１つとしてブレードコータが ある。

【０００３】 ブレードコータは、図３に一例を示す如く、塗工液を塗布すべきシート状の基 材（紙、フィルム等）１が巻き掛けられているバッキングロール（ゴム被覆ロー ル）２に対して下方から塗工液供給装置３にて供給された塗工液４の余剰分を、 その下流側位置で上記バッキングロール２に接するように配置された薄い鋼板で 形成したブレード５で掻き取るようにし、シート状の基材１の表面に所要厚さの 塗工液４の膜を形成させるようにするものである。又、上記ブレードコータでは 、ブレード５を交換できるようにするために、固定の受け部７と可動の押付け部 ８とからなるブレーキホルダー部６を先端部に有し且つ該先端部に上記押付け部 ８を押し引きする油圧シリンダ９を設置しているフレーム１０の下端部を、固定 の支持板１１に水平ピン１２にてロール２に近接、離反するように傾動自在に支 持させている。１３はフレーム１０を傾動させるために固定側の支持材１４とフ レーム後側部のブラケット１５との間に介在させた流体圧シリンダ、１６は流体 圧シリンダ１３を支持材１４に対して揺動させるための水平ピン、１７はストッ パである。

【０００４】 上記ブレードコータにおけるブレード５で掻き取られた余剰な塗工液４ａは、 図４に概略を示す如く、ブレード５の下方位置に配した樋状のステンレス製ガイ ド板１８に沿い流された後、塗工液回収桶１９に導入させて回収するようにして ある。

【０００５】 図５は従来の他の例を示すもので、塗工液供給装置３として、図４に示すノズ ル式に代えてアプリケータロールを用いたロール式としたものであり、その他の 構成は図４の場合と同様である。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、塗工液供給装置３から供給された塗工液４を基材１の表面に、1000 m/min を超える高速で塗工させる状態になると、ブレード５で掻き落された塗工 液４ａがミスト状となって周囲に飛び散り、この飛び散ったミストが塗工液４の 表面に付着し塗工液４の面質を悪くしたりブレード５の上流側位置にある塗工液 供給装置３に付着し、該塗工液供給装置３がノズル式の場合は塗工液の噴出に乱 れが生じて塗工品質を悪化させるおそれがあり、又、ミストの飛散で塗工室内の 空気も汚れて環境を悪化させる問題がある。そのため、ブレードコータの特に塗 工液供給装置３の部分を１日に１回ないし２回位清掃を余儀なくされており、操 業効率の低下を招いている。

【０００７】 そこで、本考案は、ブレードで掻き落すときにミスト状となった塗工液を飛散 させないように捕獲して回収できるようにして、ミストの飛散による塗工液供給 装置の汚れを防止し、操業効率の向上を図るようにしようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を解決するために、バッキングロールに巻き掛けられた基 材に上記ロールの下方位置より塗工液を塗被させるようにする塗工液供給装置と 、該塗工液供給装置より塗被させた基材上の塗工液の余剰分を掻き落すブレード とを備えたブレードコータにおいて、上記ブレードと塗工液供給装置との間の位 置に、上記ブレードで掻き落された塗工液を下方へ案内するシュート部と、ブレ ードで掻き落されるときに飛散するミストを衝突させてミストを液状に戻すため のミスト衝突板を有する塗工液回収部を設け、且つ液状に戻せなかったミスト状 の塗工液を掻き落された塗工液と分離して捕獲するミスト捕獲部を設けた構成と する。

【０００９】 ミスト捕獲部は吸引用ファンを備え、ミストを強制的に排出させるようにする 。

【００１０】

【作用】

ブレードで掻き落された塗工液は、塗工液回収部で受け取られて回収されるが 、高速塗工において発生したミスト状の塗工液が周囲に飛散するときにミスト衝 突板に当ると、ミストの状態から液状に戻される。液状に戻された塗工液は、上 記塗工液回収部へ入って回収される。一方、液状に戻らずミストのまま残った塗 工液は、ミスト捕獲部で捕獲され、ファンで吸収させることにより外部へ漏れる ことなく排出される。

【００１１】

【実施例】

以下、図面に基づき本考案の実施例を説明する。

【００１２】 図１は本考案の一実施例を示すもので、図３に示した従来のブレードコータと 同様に、バッキングロール２に巻き掛けられた基材１の表面に該ロールの下方位 置より塗工液供給装置３にて供給された塗工液４を塗被させ、該塗被された塗工 液４の余剰分を下流側位置で基材１に接近させられたブレード５にて掻き落し、 基材１の表面に所要厚さの塗工液４の膜を形成させるようにした構成において、 上記ブレード５の下方位置に、該ブレード５で掻き落されて該ブレード５及びブ レードホルダー部６に沿い流れ落ちる塗工液４ａを下方に設置されたタンク２１ へ戻すように案内するシュート部２２を、フレーム１０等を利用して設置すると 共に、上記ブレード５で掻き落される塗工液の一部がミスト状になるとこれを衝 突させて液状に戻して回収させるようにするためのミスト衝突板２３をシュート 部２２に一体的に取り付けて、上記シュート部２２とミスト衝突板２３とタンク ２１とで塗工液回収部２０を構成し、又、該塗工液回収部２０の上流側（塗工液 供給装置３側）に、上記シュート部２２とほぼ平行となるようにミスト捕獲用の 覆い２５を配し、該覆い２５をシュート部２２との間で密閉状態にできるように シュート部２２に一体的に取り付けて、ミスト捕獲部２４を構成し、更に、上記 シュート部２２と覆い２５との間の下部位置を、側方から見て二叉状に区画形成 して、塗工液回収部２０側にタンク２１に通じる塗工液排出口２６を形成すると 共に、ミスト捕獲部２４側にミスト排出口２７を形成する。

【００１３】 又、上記塗工液排出口２６とミスト排出口２７に分岐された分岐部２８の上面 には、ミスト衝突板２３と平行に配した仕切板２９を立設して、該仕切板２９に より塗工液回収部２０側とミスト捕獲部２４側とに仕切り、液状に戻らなくて該 仕切板２９を越えてミスト捕獲部２４側へ入ったミスト状の塗工液をミスト排出 口２７より排出させるようにする。

【００１４】 上記ミスト排出口２７には、途中にファン３０を有する配管３１を接続して、 捕獲されたミストを強制的に排出させるようにし、又、塗工液回収部２０側のタ ンク２１にはポンプ３２を接続し、戻された塗工液をタンク２１より取り出して 循環使用させるようにする。

【００１５】 なお、上記ミスト捕獲部２４は上述のように密閉構造にしてミストが外部へ飛 散しないようにするが、塗工液供給装置３が図１の如くノズル式の場合には、図 示の如く外周に水冷ジャケット３３を取り付けて水冷構造にすると、汚れにくく することができる。又、シュート部２２、覆い２５、ミスト衝突板２３、仕切板 ２９等の塗工液回収部２０及びミスト捕獲部２４の構成部材を中空部をもつ２重 構造とし、該中空部へ通水する水冷構造とするとこれら部材を汚れにくくするこ とができる。

【００１６】 基材１の表面に塗工液を高速で塗被させる場合、基材１上の余剰の塗工液がブ レード５で掻き落されるときも高速で行われるため、上記ブレード５で掻き落さ れる塗工液の一部は、ミスト状となって飛び散るものが生じる。

【００１７】 ブレード５で掻き落された塗工液のうち、該ブレード５、ブレードホルダー部 ６に沿って流れた一部の塗工液は、塗工液回収部２０のシュート部２２で案内さ れて下降し、塗工液排出口２６よりタンク２１内へ戻される。一方、ミスト状に なって飛び散った残りの塗工液は、ミスト衝突板２３に当ったものは液状に戻さ れて落下し、塗工液排出口２６からタンク２１へ戻される。これによりミストと して飛び散った塗工液を液として回収できて、ミストを少なくすることができる 。液状に戻らずにミストのままの塗工液は、仕切板２９を越えてミスト捕獲部２ ４で捕獲され、ファン３０を起動することによりミスト捕獲部２４内よりミスト 排出口２７を経て取り出され排出される。この際、ファン３０でミストを吸引す ることにより、ミストが外部へ漏れることを少なくでき、これによりミスト状の 塗工液が塗工液供給装置３の近傍位置で飛び散ることを防止でき、塗工機の汚れ を少なくすることができることになる。

【００１８】 次に、図２は本考案の他の実施例を示すもので、塗工液供給装置３として、図 １に示すノズル式に代えて、アプリケータロール３３を用いて塗工液４を基材１ 表面に塗被させる型式のものに適用した例を示すもので、塗工液回収部２０及び ミスト捕獲部２４の構成は、図１のものと同じである。

【００１９】

【考案の効果】

以上述べた如く、本考案のブレードコータによれば、バッキングロールの下方 より基材表面に塗工液を塗被させ、ブレードで余剰の塗工液を掻き落すようにす る構成において、ブレードで掻き落された塗工液を下方へ案内するシュート部と 、ミスト状となって飛散する塗工液を液状に戻すためのミスト衝突板を有する塗 工液回収部を設けると共に、液状に戻らずにミストのままの塗工液を捕獲するミ スト捕獲部を設け、更に、ミスト捕獲部で捕獲されたミスト状の塗工液はファン により強制的に排出させるようにし、又、塗工液回収部で回収された塗工液は循 環させて使用できるようにするので、ブレードで掻き落された塗工液の飛散がな くなって、塗工液の塗布面の面質の悪化を防止でき、塗工液供給装置の汚れを少 なくできて清掃に要する時間を大幅に削減でき、操業効率の向上が図れると共に 、ノズル式の塗工液供給装置の場合にノズルの汚れを防止できて、安定した塗被 作業ができ、品質を悪化させることがなく、又、ミストが周囲に飛散することが ないことから周囲の環境を良くすることができ、更に、塗工液回収部に設けたミ スト衝突板にミストを当てることにより液状に戻すことができて、液として回収 する量が多くなり、ミストを少なくすることができる、等の優れた効果を奏し得 る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のブレードコータの一実施例を示す概略
図である。

【図２】本考案の他の実施例を示す概略図である。

【図３】従来のブレードコータの一例を示す概略図であ
る。

【図４】従来のブレードで掻き落された塗工液を回収す
る状態を示す概略図である。

【図５】従来の塗工液供給装置をロール式とした場合の
塗工液の回収要領を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 基材 ２ バッキングロール ３ 塗工液供給装置 ４ 塗工液 ４ａ 掻き落された塗工液 ５ ブレード ６ ブレードホルダー部 １０ フレーム ２０ 塗工液回収部 ２１ タンク ２２ シュート部 ２３ ミスト衝突板 ２４ ミスト捕獲部 ２５ 覆い ２９ 仕切板 ３０ ファン ３２ ポンプ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バッキングロールに巻き掛けられた基材
   表面に、該ロールの下方位置より塗工液を塗被させるよ
   うにする塗工液供給装置と、該塗工液供給装置の下流側
   位置に、基材表面の塗工液の余剰分を掻き落すブレード
   とを備えたブレードコータにおいて、上記ブレードで掻
   き落した塗工液を下方へ案内するシュート部と、ミスト
   状になって飛散する塗工液を液状に戻すためのミスト衝
   突板を有する塗工液回収部を設けると共に、液状に戻ら
   ずにミストのままの塗工液を捕獲するよう上記シュート
   部の上流側に配した覆いからなるミスト捕獲部を設けた
   ことを特徴とするブレードコータ。
2. 【請求項２】 ミスト捕獲部にファンを接続してなる請
   求項１記載のブレードコータ。