JPH066038A - 低温焼成セラミックス多層基板の製造方法 - Google Patents

低温焼成セラミックス多層基板の製造方法

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JPH066038A
JPH066038A JP4141687A JP14168792A JPH066038A JP H066038 A JPH066038 A JP H066038A JP 4141687 A JP4141687 A JP 4141687A JP 14168792 A JP14168792 A JP 14168792A JP H066038 A JPH066038 A JP H066038A
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cuprous oxide
green sheet
binder
copper
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JP4141687A
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Yoshikazu Nakada
好和 中田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 LSI、チップ部品などを実装し、かつそれ
らを相互配線するための導体材料としてCuを用いた低
温焼成セラミックス多層基板の製造方法に関する。 【構成】 セラミックス原料に、有機バインダ及び可塑
剤を混合してグリーンシート11を作製する工程と、グ
リーンシート11に、酸化第一銅を主成分とするペース
ト12,13を所望の回路パターンで印刷する工程と、
回路パターンが印刷されたグリーンシート11を積層し
てグリーンシート積層体を形成する工程と、グリーンシ
ート積層体中の有機バインダを分解・飛散させる脱バイ
ンダ工程と、脱バインダ工程の後、水素濃度が4%以下
の還元雰囲気中で前記酸化第一銅を還元すると同時にセ
ラミックスを焼成する還元焼成工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温焼成セラミックス多
層基板の製造方法、より詳細にはLSI、チップ部品な
どを実装し、かつそれらを相互配線するための導体材料
としてCuを用いた低温焼成セラミックス多層基板の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、LSI、チップ部品などの実装基
板としては、卓越した絶縁性、熱伝導性、安定性及び機
械的強度を有するアルミナが広く使用されている。しか
し、アルミナ基板は、誘電率が高く、また高温で焼成す
る必要があることから配線導体として導通抵抗の高いW
やMoを使用しなければならず、またシリコンとの熱膨
張率の整合性が悪い等の欠点があるため、LSIやIC
を搭載した場合、電気信号の処理速度の高速化、電気信
号の高周波化または信頼性の向上を図ることが困難であ
った。近年、これらの問題を解決するためにAu、A
g、Ag−Pd、Cu等の導通抵抗の低い導体材料を使
用し、これらの金属の融点近傍の温度で焼成することが
できるセラミックス材料を絶縁体として用い、導体を同
時焼成する低温焼成セラミックス多層基板が開発されて
いる。
【0003】しかしながら、これらの導体材料のうちA
uなどの貴金属は酸化性雰囲気で焼成できるので信頼性
が高いものの資源的に乏しく、高価で価格変動も激し
く、経済的に使用することが困難である。
【0004】一方、Cuは酸化しないような非酸化性雰
囲気で焼成する必要はあるものの、安価であるうえに低
抵抗であり、かつ耐マイグレーション性に優れているの
で、層間の間隔を狭くすることができ、高密度化、高周
波化に対応することができる実装基板用の最有力な導体
材料として注目されている。しかし、非酸化性雰囲気の
焼成ではグリーンシートや導体ペースト中に含まれる有
機バインダの分解・飛散が困難となる。その結果、有機
バインダが炭化して基板内に残り、銅粉末やセラミック
ス粉末の焼結が進行しないばかりか、絶縁抵抗、耐電圧
などの基板特性を劣化させるという問題点を有してい
た。
【0005】このような問題点を解決するために、水蒸
気を含む窒素雰囲気で脱バインダを行う方法(特開昭6
0−254697号公報及び特開平2−141458号
公報)が提案されているが、この方法では脱バインダ工
程に長時間の焼成を要するので経済的でないという問題
点を有していた。
【0006】また、空気雰囲気下で脱バインダ工程を行
う方法(特開平2−155294号公報)も提案されて
いるが、この方法では、脱バインダ工程後の焼成物中の
カーボン残量を600から1500ppmもしくは60
0から3000ppmの範囲内に調整しなければならな
ず、脱バインダ工程の条件設定がきわめて困難である。
さらに、銅導体をセラミックスと同時焼成した場合は、
銅が少しでも酸化すれば膨張するのでセラミックス層に
クラックが入りやすく、酸化性雰囲気中での脱バインダ
処理はきわめて困難であるという問題点を有していた。
【0007】さらに、弱酸化性雰囲気での熱処理で脱バ
インダ処理を行なった後、還元雰囲気下で焼成する方法
(特開平2−25094号公報)が提案されているが、
この方法も樹脂バインダの酸化燃焼と銅の酸化防止との
バランスを保つための焼成雰囲気の調整はきわめて微妙
であり、両者を同時に達成することは困難であるため生
産性は低い。また積層体の積層枚数およびサイズ、さら
に導体パターンが変われば樹脂バインダの酸化燃焼と銅
の酸化防止とのバランスも変わるため焼成雰囲気も新た
に調整しなければならないという問題点を有していた。
【0008】さらに、極微量の水蒸気及び酸素を含む窒
素雰囲気下で焼成して銅導体の多層基板を得る方法(特
開昭63−292692号公報)が提案されているが、
この方法では焼成雰囲気の設定及び調整は容易ではなく
連続生産は困難であるという問題点を有していた。また
易分解性樹脂を使用する方法(特開平2−16795号
公報)が提案されているが、この方法でも焼成雰囲気の
調整は同様に容易でないという問題点を有していた。
【0009】また、導体配線材料に酸化銅を用い、酸化
雰囲気中での焼成で内部の有機成分を熱分解して飛散さ
せ、その後に該酸化銅が金属銅に還元される雰囲気下で
銅とセラミックスを焼結させて多層配線基板を得る方法
(特開昭61−26293号公報)が提案されている。
この方法では水素と窒素の混合ガス中で約1000℃に
過熱する必要があるため安全性に問題があった。
【0010】上記のような問題点を解決するために、導
体配線材料に酸化銅を用い、空気中の熱処理による脱バ
インダ工程と酸化第二銅を金属銅に還元する還元工程、
さらに銅と基板材料を焼結一体化する焼結工程とを行な
うことにより、有機バインダの除去が完全に行える方法
(特公平3−21109号公報)が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公平3−21109号公報における方法でも、酸化第二
銅から金属銅に還元する工程において水素及び窒素の混
合ガスの雰囲気下で300℃以上の温度で熱処理を行う
必要があり、安全性に問題があった。また前記温度より
も低い温度で還元熱処理を行なった場合には酸化第二銅
が残存し、導通抵抗がきわめて高くなり、導体による配
線が不可能となるという課題もあった。
【0012】さらにこの方法は3段階の熱処理工程を必
要とするので生産性が低く、生産コストが高くなり、ま
た酸化銅を金属銅へ還元させた場合は体積収縮が大きい
ので配線が断線したり、基板が湾曲したり割れたりする
という課題もあった。
【0013】本発明は上記課題に鑑み発明されたもので
あって、銅の有する導通抵抗が小さいという特性を十分
に発現させることができ、また脱バインダ工程を完全に
完了させることができ、さらに還元工程と焼成工程とを
同時にかつ安全に行なうことで容易にセラミックス多層
基板を製造することができ、工程の簡素化が可能となり
コストの削減を図ることができ、さらに還元収縮による
基板の変形を生じさせず、基板特性及び導体特性に優れ
たセラミックス多層基板を得ることが可能な低温焼成セ
ラミックス多層基板の製造方法を提供することを目的と
している。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者は低温焼成セラミックス多層基板の製造方法
について研究を重ねた結果、ペーストの主成分として酸
化第一銅粉末を用いることで、空気中で脱バインダ処理
が行なえ、爆発限界以下の微量の水素を含む還元雰囲気
で焼成することで、安全かつ容易な焼成操作で良好な銅
導体配線を内層する低温焼成セラミックス多層基板が得
られることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0015】本発明の要旨とするところは、セラミック
ス原料に、有機バインダ及び可塑剤を混合してグリーン
シートを作製する工程と、該グリーンシートに、酸化第
一銅を主成分とするペーストを所望の回路パターンで印
刷する工程と、該回路パターンが印刷されたグリーンシ
ートを積層してグリーンシート積層体を形成する工程
と、該グリーンシート積層体中の有機バインダを分解・
飛散させる脱バインダ工程と、該脱バインダ工程の後、
水素濃度が4%以下の還元雰囲気中で前記酸化第一銅を
還元すると同時にセラミックスを焼成する還元焼成工程
とを含むことにある。
【0016】上記方法における、酸化第一銅粉末は硫酸
銅水溶液を酒石酸イオン及び苛性アルカリの存在下にぶ
どう糖で還元することにより得ることが望ましい。該条
件下では単分散酸化第一銅粉末が得られるが、このよう
に単分散粉末が得られるのはCu2+イオンが酒石酸イオ
ンによってキレートされているために還元析出反応が均
一に起こるためと考えられる。なお、酸化第一銅粉末の
粒径は反応温度を高めれば小さくなり、グリーンシート
の収縮性にあう粒径の酸化第一銅粉末を容易に形成する
ことができる。
【0017】酸化第一銅の製造は30%以下の濃度の硫
酸銅水溶液に酒石酸ナトリウムをCu2+イオン1モルに
対して0.001から0.1モル溶解させ、苛性アルカ
リを加えてpHを12以上に調整した後、ぶどう糖をC
2+イオン1モルに対して0.5モル以上添加して酸化
第一銅を還元析出させることが望ましい。なお、硫酸銅
水溶液の濃度を30%以下としたのは、30%を超える
と粒子が沈殿した際の溶液の粘度が高すぎて攪拌が充分
にできないためである。また酒石酸ナトリウムの添加量
をCu2+イオン1モルに対して0.001から0.1モ
ルとしたのは、酒石酸ナトリウムの添加量がCu2+イオ
ン1モルに対して0.001モル未満ではCu2+イオン
のキレート化が不十分となるために酸化第一銅粉末の粒
径が不揃いとなり、一方、Cu2+イオン1モルに対して
0.1モルを超えると酒石酸イオンが過剰となり経済的
でないためである。また溶液のpHを12以上としたの
は、pHが12未満ではぶどう糖による酸化第一銅の還
元が充分に起こらないからであり、またぶどう糖の添加
量がCu2+イオン1モルに対して0.5モル未満では酸
化第一銅が完全に析出しないので好ましくない。また、
硫酸銅水溶液の温度は50℃から80℃の範囲に設定が
可能で、温度を調整することにより酸化第一銅粉末の粒
径を0.4μmから5μmの範囲で制御が可能である。
【0018】酸化第一銅のペースト化には、溶剤及び可
塑剤に樹脂を溶解させたビヒクル中に酸化第一銅粉末を
3本ロールミルにより混練すればよい。樹脂としてはエ
チルセルロースもしくはアクリル樹脂、溶剤としてはテ
ルピネオール、可塑剤としてはジブチルフタレートが使
用可能である。酸化第一銅の粉末の粒径は前述したよう
にグリーンシートの焼結収縮に適合するものを設定する
ことが望ましい。なお、表層銅導体形成用の酸化第一銅
ペーストにはセラミックス絶縁層との接着性向上のため
に酸化第一銅ペーストにガラスフリットを添加してもよ
く、前記ガラスフリットとしては銅の焼成時に溶融流動
することが必要なので軟化点が500℃から800℃の
範囲にあるものが望ましい。また、ガラスフリットとし
ては鉛ホウケイ酸系ガラスが上記軟化点の条件を満足す
るので好ましい。ガラスフリットの添加量は銅に対し5
重量%を超えると銅の導通抵抗が高くなり、半田ぬれ性
が低下するので5重量%以下が望ましい。
【0019】本発明に使用可能な低温焼成セラミックス
は銅の融点以下で焼成できる必要があり、ガラスと無機
フィラーとを混合したガラス複合セラミックス、結晶化
ガラス系セラミックス、非ガラス系セラミックス等が挙
げられる。例えばホウケイ酸系ガラスにアルミナ、ムラ
イト、フォルステライト等の無機フィラーを複合化した
セラミックスが望ましい。
【0020】該セラミックス原料のスラリー化は、セラ
ミックス原料を溶剤中で湿式微粉砕混合したのち、有機
バインダ、分散剤、可塑剤等を適宜配合した後、混合す
ることにより行う。
【0021】溶剤としてはアルコール、トルエン、アセ
トン、メチルエチルケトン、トリクロロエチレンまたは
これらの混合物などの有機溶剤や水などが使用可能であ
る。有機バインダとしてはメタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合
体、α−メチルスチレン重合体、テトラフルオロエチレ
ン重合体等の易熱分解性の有機バインダが使用可能であ
る。しかし、有機バインダとして広く使用されているポ
リビニルブチラール、酢酸ビニルなどは脱バインダに高
温を要するので好ましくない。分散剤としてはオクタデ
シルアミン、グリセリルモノオレート、ソルビタンモノ
オレエートなどが用いられる。可塑剤としてはジオクチ
ルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが使用
可能である。
【0022】上記方法により得られたスラリーからドク
ターブレード法などの公知の方法によって均一な厚みの
グリーンシートを形成し、ハンドリング可能な状態まで
乾燥させる。このグリーンシートをカッターあるいは打
ち抜き型によって所望の形状に加工し、必要に応じてさ
らに打ち抜き型等により所望の位置にスルーホールを形
成する。その後、加工されたグリーンシート上に酸化第
一銅ペーストをスクリーン印刷して配線パターンを形成
する。
【0023】本発明においては、配線の多層化方法とし
て、(1)前記配線パターン形成済みグリーンシートの
所望枚数を熱圧着して積層する方法と、(2)前記加工
済みグリーンシートの表裏に酸化第一銅ペーストと実質
的にセラミックス基板の組成と同組成である絶縁体ペー
ストの印刷を交互に繰り返して積層する方法のいずれの
方法によっても積層が可能である。
【0024】積層済グリーンシートの脱バインダ工程は
空気中において350℃〜650℃の範囲で行なうこと
が望ましい。加熱温度が350℃未満では脱バインダが
不十分となり、650℃を超えると酸化第一銅が酸化第
二銅に酸化されて次の還元工程が困難になるため好まし
くない。
【0025】脱バインダ工程後の還元焼成工程は4%以
下の水素を含む窒素ガス雰囲気中で800℃〜1050
℃に加熱することで行なうことが望ましい。水素濃度が
4%以上では爆発の危険があり安全上問題がある。厳密
には爆発限界濃度(4.1%)を超えると爆発の危険性
がある。また温度800℃未満の還元ではセラミックス
が焼結しない場合があり、1050℃を超えると銅が溶
融流動し、配線パターンが崩れてしまうので好ましくな
い。
【0026】
【作用】上記方法によれば、導体材料の出発材料として
酸化第一銅を用いることで脱バインダ工程を空気中で行
うことが可能となり、樹脂バインダを完全に除去できる
ので良好な導体特性および基板特性が得られる。さら
に、酸化第一銅は酸化第二銅よりも低次の酸化物である
ために金属銅への還元が起こりやすく、酸化第一銅を金
属銅へ還元する還元も爆発限界以下の水素を含む窒素雰
囲気下にて行なうことができ、安全性が高まり、操作
性、経済性も改善されるので生産性が大きく向上する。
本発明における還元雰囲気は爆発限界以下とされる4%
以下の水素を含む窒素ガス雰囲気であるため安全に加熱
することができる。つまり、爆発限界水素濃度4.1%
より低い濃度であるので爆発の危険性がない。また酸化
第一銅は酸化第二銅よりも還元収縮が小さいためにグリ
ーンシートと同時焼成した場合、収縮率の整合性が良好
である。
【0027】さらに、酸化第一銅として凝集していない
単分散した粉末を用いることにより還元反応を均一かつ
速やかに進行させることが可能となる。
【0028】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る低温焼成セラ
ミックス多層基板の製造方法の実施例及び比較例を説明
する。まず、アルミナ粉末とホウケイ酸系ガラス粉末を
それぞれ50重量%調合し、粉砕混合してセラミックス
原料とする。このセラミックス原料69%とメタクリル
酸エステル樹脂9%、DOP3%、トルエン9%、イソ
プロピルアルコール10%にオクタデシルアミン系分散
剤を極微量加え、ボールミルで混合してセラミックスス
ラリーを作った。このスラリーを真空脱泡機で脱泡した
後、ドクターブレード法により、前記セラミックススラ
リーから厚み250μmのグリーンシートを作製した。
このグリーンシートを所定の大きさに切断した後、必要
な箇所に直径200μmのスルーホールを形成した。
【0029】次に、5%の硫酸銅水溶液2lに酒石酸ナ
トリウムを2g添加し、水酸化ナトリウムの24%液を
300ml注入した後、ぶどう糖60gを添加して酸化
第一銅を作製した。また酒石酸ナトリウムを無添加で同
様に生成させた酸化第一銅も作成した。このとき、反応
温度を変化させることで酸化第一銅の粒径を制御し、反
応温度と酸化第一銅の粒径との関係を下記の表1に示し
た。
【0030】
【表1】
【0031】次に、この酸化第一銅をエチルセルロール
5%、テルピネオール55%、ジブチルフタレート40
%とからなるビヒクルに分散させ、3本ロールミルで混
練してペースト化した。この酸化第一銅ペーストを前記
加工剤グリーンシート上にスクリーン印刷により塗布し
て配線パターンを形成した。また、最上面のグリーンシ
ートには、表層導体形成用酸化第一銅ペーストとして前
記酸化第一銅ペーストに鉛ホウケイ酸ガラスフリットを
2%加えたものを塗布した。なお、この印刷工程におい
て、前記スルーホールの内部にも酸化第一銅ペーストが
充てんされる。
【0032】その後、配線パターン形成済みグリーンシ
ートを所望枚重ね合わせて圧力30MPa、温度100
℃で積層し一体化させた。図1は配線パターン圧着後の
グリーンシート積層体を示しており、11はグリーンシ
ート、12は内部導体ペースト、13は表層導体ペース
トをそれぞれ表わしている。
【0033】次に、この未焼成グリーンシートのバイン
ダ除去を行う。空気中でピーク温度350℃から700
℃、ピーク保持時間90分を含む3時間の加熱プロファ
イルで焼成した。
【0034】次に積層体中の酸化第一銅の金属銅への還
元と該還元銅とセラミックスとの一体化焼成を含む熱処
理を行う。前記脱バインダ済のグリーンシート積層体を
1〜4%水素と窒素の混合ガス中でピーク温度900
℃、ピーク温度保持時間30分を含む1.5時間の加熱
プロファイルで焼成を行なった。
【0035】上記表1より、酒石酸イオンの存在下で生
成した酸化第一銅は粒径が均一であり、酒石酸イオンが
存在しない状態で生成した酸化第一銅は粒径がばらつく
ことが確認された。
【0036】上記した低温焼成セラミックス多層基板の
製造方法により、(1)表1に示した導体ペーストの試
料Cu2 O−A、B、C、D、E、F、(2)Cu2
−AにCuを加えたもの、(3)CuO、をそれぞれ導
電ペーストとして用い、下記表2に示した条件下でセラ
ミックス多層基板を作製した。
【0037】
【表2】
【0038】次に前記セラミックス多層基板を用いて以
下の実験を行ない、その結果を併せて表2に示した。
【0039】前記セラミックス多層基板の表層銅導体の
接着強度は基板上に形成された2mm角の銅導体電極パ
ッド部に錫メッキ銅線を半田付けし、引張試験機でピー
ル強度を測定した。接着強度は実用上2.5kg/2m
m□以上が必要である。また、表層銅導体の半田濡れ性
は焼成済み基板を230℃の温度に維持した63%Sn
−37%Pb半田浴に3秒間浸漬し、4mm角の銅厚膜
上に被着した半田の被覆率を目視で測定し、被覆率95
%以上を良、それ未満を不良とした。
【0040】試験No.1〜12に示す実施例は酒石酸
イオンの存在下で生成させた単分散の酸化第一銅のペー
ストを用いて焼成を行ったものであり、表2から明らか
なように脱バインダ温度350℃から650℃の範囲、
還元焼成温度900℃で、基板に変形を生じず、基板特
性及び導体特性に優れた低温焼成セラミックス多層基板
を得ることができた。
【0041】また試験No.13〜15に示す実施例
は、酒石酸イオン無添加で生成させ、粒径がばらついて
いる酸化第一銅を用いており、導通抵抗と接着強度は試
験No.1〜12のものに比べてわずかに劣っている。
しかし実用的には許容限度内である。従って、酸化第一
銅の製造には酒石酸イオンを加える方がより望ましいと
いえる。
【0042】さらに、試験No.16、17は比較例を
示しており、比較例16では導体ペーストの原料粉末と
して酸化第一銅粉末に銅粉末(1.5μm)を10%含
ませたために基板が割れた。比較例17では酸化第二銅
(2μm)を用いているので、還元による収縮が大きく
なり、基板が変形した。また水素濃度が5%でも還元が
不十分であるため導通抵抗が高い。
【0043】上記したように、実施例に係る方法によれ
ば銅の有する導通抵抗が小さいという特性を十分に発現
させることができ、また脱バインダ工程を完全に完了さ
せることができ、さらに水素濃度4%以下の還元雰囲気
中で還元工程と焼成工程とを同時に行なうことにより、
安全かつ容易にセラミックス多層基板を製造することが
でき、工程の簡素化が可能となりコストの削減を図るこ
とができる。さらに還元収縮による基板の変形を生じさ
せず、基板特性及び導体特性に優れたセラミックス多層
基板を得ることができる。
【0044】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明に係る低温焼成セラミックス多層基板の製造方法にお
いては、セラミックス原料に、有機バインダ及び可塑剤
を混合してグリーンシートを作製する工程と、該グリー
ンシートに、酸化第一銅を主成分とするペーストを所望
の回路パターンで印刷する工程と、該回路パターンが印
刷されたグリーンシートを積層してグリーンシート積層
体を形成する工程と、該グリーンシート積層体中の有機
バインダを分解・飛散させる脱バインダ工程と、該脱バ
インダ工程の後、水素濃度が4%以下の還元雰囲気中で
前記酸化第一銅を還元すると同時にセラミックスを焼成
する還元焼成工程とを含んでいるので、銅の有する導通
抵抗が小さいという特性を十分に発現させることがで
き、また脱バインダ工程を完全に完了させることがで
き、さらに水素濃度4%以下の還元雰囲気中で還元工程
と焼成工程とを同時に行なうことができる。その結果、
安全かつ容易にセラミックス多層基板を製造することが
でき、工程の簡素化が可能となりコストの削減を図るこ
とができる。さらに還元収縮による基板の変形を生じさ
せず、基板特性及び導体特性に優れたセラミックス多層
基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低温焼成セラミックス多層基板の中間工程品の
一例を示す断面図である。
【符合の説明】
11 グリーンシート 12 内部導体ペースト 13 表層導体ペースト

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス原料に、有機バインダ及び
    可塑剤を混合してグリーンシートを作製する工程と、 該グリーンシートに、酸化第一銅を主成分とするペース
    トを所望の回路パターンで印刷する工程と、 該回路パターンが印刷されたグリーンシートを積層して
    グリーンシート積層体を形成する工程と、 該グリーンシート積層体中の有機バインダを分解・飛散
    させる脱バインダ工程と、 該脱バインダ工程の後、水素濃度が4%以下の還元雰囲
    気中で前記酸化第一銅を還元すると同時にセラミックス
    を焼成する還元焼成工程とを含んでいることを特徴とす
    る低温焼成セラミックス多層基板の製造方法。
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Cited By (3)

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