JP2002084051A - 銅メタライズ組成物、低温焼結セラミック配線基板、及びその製造方法 - Google Patents

銅メタライズ組成物、低温焼結セラミック配線基板、及びその製造方法

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JP2002084051A
JP2002084051A JP2000271846A JP2000271846A JP2002084051A JP 2002084051 A JP2002084051 A JP 2002084051A JP 2000271846 A JP2000271846 A JP 2000271846A JP 2000271846 A JP2000271846 A JP 2000271846A JP 2002084051 A JP2002084051 A JP 2002084051A
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Ryoji Nakamura
良二 中村
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 BASなどの非ガラス系低温焼結セラミック
と同時焼成することが可能で、絶縁基体に対する接着強
度、酸系やアルカリ系のめっき浴に対する耐腐食性に優
れた銅電極層を形成することが可能な銅メタライズ組成
物、それを用いて銅電極層を形成した低温焼結セラミッ
ク配線基板、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 主成分であるCu、CuO、Cu2O、
Cu−CuO混合物、Cu−Cu2O混合物、及びCu
O−Cu2O混合物からなる群より選ばれる少なくとも
1種に対して、添加成分として、Ti、Nb、W、Ti
2、Nb25、及びWOからなる群より選ばれる少な
くとも1種を、無機成分全体に対する含有率が0.5〜
30.0重量%となるような割合で添加する。非ガラス
系低温焼結セラミックとして、BaO−Al23−Si
2混合セラミック磁器を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、銅メタライズ組
成物、低温焼結セラミック配線基板、及びその製造方法
に関し、詳しくは、BaO−Al23−SiO2混合セ
ラミック磁器(以下、場合によっては「BAS」と略称
する)などの非ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成
が可能な銅メタライズ組成物、該銅メタライズ組成物を
用いて銅電極層(ランド、パッド、配線など)を形成し
た低温焼結セラミック配線基板、及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ICやLSIなどの半導体素
子を収納する半導体素子収納用パッケージや、半導体素
子の他に各種電子部品を搭載した混成集積回路装置など
の各種配線基板用の絶縁基体としては、電気絶縁性や化
学的安定性などの特性に優れたアルミナ質セラミックが
広く用いられている。
【0003】しかし、高周波化及び高密度化が進むにつ
れて、ICやLSIなどの半導体素子を搭載する配線基
板としては、アルミナ質セラミックからなる従来の絶縁
基体よりもさらに基体の誘電率が低く、また、配線抵抗
の小さいものが要求されるようになっている。そして、
近年は、絶縁基体として、BAS(BaO−Al23
SiO2混合セラミック磁器)からなるものが多用され
るに至っている。また、導体材料(電極層材料)として
は、BASと同時焼成することが可能な、焼成温度が低
く、低抵抗な材料、例えば、銅(Cu)、金(Au)、
銀(Ag)などの材料が注目されるようになっている。
【0004】かかる状況下において、BASを絶縁基体
に用い、Cuを低抵抗導体材料として用いた高密度配線
基板が開発され、実用されるに至っている。なお、BA
Sからなる絶縁基板は、通常、BAS原料粉末と有機バ
インダー、溶媒を用いて調整したスラリーをドクターブ
レード法などのシート成形方法で成形した後、得られた
セラミックグリーンシート(BASグリーンシート)に
スルーホール(ビアホール)などを打ち抜き加工し、該
スルーホールに銅メタライズ組成物を含む銅ペーストを
充填した後、同様の銅ペーストを用いて、スクリーン印
刷法などの厚膜手法により、セラミックグリーンシート
上に所定の配線パターンを印刷形成して複数枚加圧積層
し、該積層体を加熱してバインダーを除去し、次いで焼
成することにより製造されている。
【0005】また、例えば1000℃以下というような
低温で焼成することが可能な銅メタライズ組成物として
は、CuO、CuO−Cu混合物、又はCuO−Cu2
O混合物などから選ばれる主成分に、Bi23、MoO
3、Cr23などを添加した組成物などが提案されてい
る(特開平4−83781号公報、特開平5−4884
号公報)。
【0006】ところで、上述のBASなどからなる配線
基板にフィルターなどの部品を実装するにあたっては、
銅メタライズ組成物を用いて基板上に形成した銅電極層
に、めっき法などの方法により、Ni及びAuの被覆を
施した後、はんだを用いて実装を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、銅メタライズ
組成物を用いて形成した銅電極層は多孔質であるため、
NiやAuめっきを施す際に、めっきの前処理として行
われる塩酸溶液や硫酸溶液などによる酸処理工程、ある
いはアンモニアなどによるアルカリ処理工程において、
基板と銅電極層の界面にまで酸やアルカリを含む処理液
がしみ込んで、銅電極層中のCu及び焼成後に残留する
CuOが処理液に溶解し、特に基板と銅電極層の界面に
おけるCuやCuOの溶解により、銅電極層の基板への
接着強度が著しく低下するという問題点がある。
【0008】また、Niめっき浴やAuめっき浴は、酸
系あるいはアルカリ系の溶液であるため、銅電極層の腐
食が進み、さらに基板への接着強度が低下するという問
題点がある。具体的には、銅電極層の基板への接着強度
が0.5kg/2mm□程度まで低下し、めっき膜の応力に
よって容易に剥離してしまうというような問題点があ
る。
【0009】さらに、Niめっき及びAuめっきが施さ
れた電極に、はんだを用いてフィルターなどの部品を実
装した場合、はんだの熱収縮応力が加わるため、さら
に、銅電極層が基板から剥離しやすくなるという問題点
がある。
【0010】また、特開平10−95686号公報に開
示されている、Ni、Mo、Fe、Coなどの金属と、
NiOなどの酸化物を混合した銅組成物を電極材料とし
て用いた場合、めっきの前処理として行われる酸処理あ
るいはアルカリ処理によって、酸化物が銅とともに溶解
するため、めっき後の接着強度が2kg/2mm□以下にま
で低下し、はんだ実装時に電極が剥がれてしまうという
ような問題点があるものと考えられる。
【0011】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、BAS(BaO−Al23−SiO2混合セラミ
ック磁器)などの非ガラス系低温焼結セラミックと同時
焼成することが可能で、BASなどの非ガラス系低温焼
結セラミックからなる絶縁基体に対する接着強度や酸系
めっき浴に対する耐腐食性に優れた銅電極層を形成する
ことが可能な銅メタライズ組成物、該銅メタライズ組成
物を用いて配線を形成した低温焼結セラミック配線基
板、及び低温焼結セラミック配線基板を効率よく製造す
ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)の銅メタライズ組成物は、非
ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成可能な銅メタラ
イズ組成物であって、主成分であるCu、CuO、Cu
2O、Cu−CuO混合物、Cu−Cu2O混合物、及び
CuO−Cu2O混合物からなる群より選ばれる少なく
とも1種に対して、添加成分として、Ti、Nb、W、
TiO2、Nb25、及びWOからなる群より選ばれる
少なくとも1種を、無機成分全体に対する含有率が0.
5〜30.0重量%となるような割合で添加したことを
特徴としている。
【0013】本願発明(請求項1)の銅メタライズ組成
物は、主成分であるCu、CuO、Cu2O、Cu−C
uO混合物、Cu−Cu2O混合物、及びCuO−Cu2
O混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種に対し
て、添加成分として、Ti、Nb、W、TiO2、Nb2
5、及びWOからなる群より選ばれる少なくとも1種
を、無機成分中の含有率が0.5〜30.0重量%とな
るような割合で添加しているので、添加成分が、非ガラ
ス系低温焼結セラミックとの界面で接着作用を発揮する
とともに、Cuの非ガラス系低温焼結セラミック中への
拡散を抑制して、めっき時の酸処理やアルカリ処理に対
する耐腐食性を向上させる機能を果たす。すなわち、本
願発明の銅メタライズ組成物においては、主成分である
Cu、CuO、Cu2Oが、非ガラス系低温焼結セラミ
ックの焼成によって生じたガラス成分と反応して流動性
が高くなり、さらに、比重の違いにより、銅電極と非ガ
ラス系低温焼結セラミックとの界面付近に、添加成分が
集中する。その結果、添加成分は、非ガラス系低温焼結
セラミックとの界面で接着作用を発揮し、さらに、Cu
の非ガラス系低温焼結セラミック中への拡散を抑制する
機能を果たすことになる。
【0014】したがって、本願発明の銅メタライズ組成
物を用いることにより、めっき後の接着強度が2kg/2
mm□以上で、はんだ実装時のはんだの熱収縮応力による
剥がれを抑制することが可能な銅電極層を非ガラス系低
温焼結セラミック上に効率よく形成することが可能にな
る。
【0015】また、請求項2の銅メタライズ組成物は、
前記非ガラス系低温焼結セラミックが、BaO−Al2
3−SiO2混合セラミック磁器であることを特徴とし
ている。
【0016】本願発明の銅メタライズ組成物は、焼成後
に形成される銅電極層が低抵抗であり、かつ、種々の非
ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成が可能であっ
て、アルミナ質セラミックなどよりも高い電気的特性を
備えた材料であるBAS(BaO−Al23−SiO2
混合セラミック磁器)と同時焼成することも可能である
ため、高周波化及び高密度化によりよく対応することが
可能な低温焼結セラミック配線基板を製造する場合に、
好適に使用することができる。
【0017】また、本願発明(請求項3)の低温焼結セ
ラミック配線基板の製造方法は、非ガラス系低温焼結セ
ラミック上に銅電極層が形成された低温焼結セラミック
配線基板の製造方法であって、請求項1記載の銅メタラ
イズ組成物を、窒素雰囲気中、所定の温度で、非ガラス
系低温焼結セラミックと同時焼成することにより、非ガ
ラス系低温焼結セラミック上に、非ガラス系低温焼結セ
ラミックとの界面からの厚みの30%の範囲における前
記添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率で40
〜95%の範囲にある銅電極層を形成することを特徴と
している。
【0018】本願請求項1記載の銅メタライズ組成物
を、窒素雰囲気中、所定の温度で、非ガラス系低温焼結
セラミックと同時焼成することにより、非ガラス系低温
焼結セラミック上に、非ガラス系低温焼結セラミックと
の界面からの厚みの30%の範囲における添加成分の占
有率が、銅電極層断面の面積比率で40〜95%の範囲
にある銅電極層を形成することが可能になり、基板への
接着強度の大きい銅電極層を備えた低温焼結セラミック
配線基板を効率よく製造することが可能になる。
【0019】なお、銅電極層の、基板との界面からの銅
電極層の厚みの30%の範囲内の、添加成分(金属又は
金属酸化物)の占有率が銅電極層断面の面積比率で40
%未満になると、めっき時及びはんだ実装時の銅電極層
と基板との接着強度が極端に劣化し、また、95%を超
えると、銅電極層の電気抵抗が高くなるので好ましくな
い。また、本願発明において、添加成分の占有率が40
〜95%の範囲が、銅電極層と基板との界面からの銅電
極層の厚みの30%より多くなると、はんだ濡れ性が低
下するため望ましくない。
【0020】なお、本願発明の低温焼結セラミック配線
基板において、銅電極層は、ランドやパッド、あるいは
配線として機能するものであり、そのパターンについて
は特に制約はない。
【0021】また、本願発明(請求項4)の低温焼結セ
ラミック配線基板の製造方法は、非ガラス系低温焼結セ
ラミック上に銅電極層が形成された低温焼結セラミック
配線基板の製造方法であって、請求項1記載の銅メタラ
イズ組成物を、酸素濃度0.1〜30ppmの窒素雰囲気
中、所定の温度で、非ガラス系低温焼結セラミックと同
時焼成することにより、非ガラス系低温焼結セラミック
上に、非ガラス系低温焼結セラミックとの界面からの厚
みの30%の範囲における前記添加成分の占有率が、銅
電極層断面の面積比率で40〜95%の範囲にある銅電
極層を形成することを特徴としている。
【0022】請求項1記載の銅メタライズ組成物を、酸
素濃度0.1〜30ppmの窒素雰囲気中、所定の温度
で、非ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成すること
によっても、非ガラス系低温焼結セラミック上に、非ガ
ラス系低温焼結セラミックとの界面からの銅電極層の厚
みの30%の範囲における添加成分の占有率が、銅電極
層断面の面積比率で40〜95%の範囲にある銅電極層
を形成することが可能であり、基板への接着強度の大き
い銅電極層を備えた低温焼結セラミック配線基板を効率
よく製造することが可能になる。
【0023】また、請求項5の低温焼結セラミック配線
基板の製造方法は、請求項1記載の銅メタライズ組成物
を、800〜1000℃の温度で、非ガラス系低温焼結
セラミックと同時焼成することを特徴としている。
【0024】本願発明の銅メタライズ組成物は、800
〜1000℃の温度で、BASなどの非ガラス系低温焼
結セラミックと同時焼成することが可能であり、基板へ
の接着強度の大きい銅電極層を備えた低温焼結セラミッ
ク配線基板を効率よく製造することができる。なお、本
願発明の銅メタライズ組成物は、場合によっては、80
0〜1000℃の範囲外の温度条件でも焼成することが
可能である。
【0025】また、請求項6の低温焼結セラミック配線
基板の製造方法は、前記銅電極層の、非ガラス系低温焼
結セラミックとの界面からの該銅電極層の厚みの10%
の範囲における前記添加成分の占有率が、銅電極層断面
の面積比率で60〜95%の範囲となるようにすること
を特徴としている。
【0026】銅電極層の、該銅電極層と非ガラス系低温
焼結セラミックとの界面から該銅電極層の厚みの10%
の範囲における添加成分の占有率が、銅電極層断面の面
積比率で60〜95%の範囲となるようにした場合、反
りやうねりのある基板に対しても十分な接着強度を有す
る銅電極層を形成することが可能になり、さらに信頼性
の高い低温焼結セラミック配線基板を製造することが可
能になる。
【0027】また、請求項7の低温焼結セラミック配線
基板の製造方法は、前記非ガラス系低温焼結セラミック
が、BaO−Al23−SiO2混合セラミック磁器で
あることを特徴としている。
【0028】非ガラス系低温焼結セラミックとして、B
ASを用いることにより、高周波特性などに優れた高性
能の低温焼結セラミック配線基板を効率よく製造するこ
とが可能になる。
【0029】また、本願発明(請求項8)の低温焼結セ
ラミック配線基板は、非ガラス系低温焼結セラミック上
に銅電極層が形成された低温焼結セラミック配線基板で
あって、請求項1記載の銅メタライズ組成物を、窒素雰
囲気中、又は酸素濃度0.1〜30ppmの窒素雰囲気
中、非ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成すること
により、非ガラス系低温焼結セラミック上に、銅電極層
が形成されており、かつ、前記銅電極層の、非ガラス系
低温焼結セラミックとの界面からの該銅電極層の厚みの
30%の範囲における前記添加成分粒子の占有率が、銅
電極層断面の面積比率で40〜95%の範囲にあること
を特徴としている。
【0030】本願発明(請求項8)の低温焼結セラミッ
ク配線基板のように、非ガラス系低温焼結セラミック上
に形成された銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラミッ
クとの界面からの厚みの30%の範囲における添加成分
の占有率が、銅電極層断面の面積比率で40〜95%の
範囲となるようにした場合、添加成分が、非ガラス系低
温焼結セラミックとの界面で接着作用を発揮するととも
に、Cuの非ガラス系低温焼結セラミック中への拡散を
抑制して、めっき時の酸処理やアルカリ処理に対する耐
腐食性を向上させる機能を果たすため、めっき後の接着
強度が大きく、はんだ実装時のはんだの熱収縮応力によ
る剥がれを抑制することが可能な銅電極層を非ガラス系
低温焼結セラミック上に効率よく形成することができる
ようになる。
【0031】また、請求項9の低温焼結セラミック配線
基板は、前記銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラミッ
クとの界面からの該銅電極層の厚みの10%の範囲にお
ける前記添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率
で60〜95%であることを特徴としている。
【0032】銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラミッ
クとの界面からの該銅電極層の厚みの10%の範囲にお
ける添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率で6
0〜95%の範囲となるようにした場合、添加成分に、
よりよく非ガラス系低温焼結セラミックとの界面におけ
る接着作用と、めっき時の酸処理やアルカリ処理に対す
る耐腐食性を向上させる機能を果たさせることが可能に
なるため、めっき後の接着強度が大きく、はんだ実装時
のはんだの熱収縮応力によっても剥がれにくい銅電極層
を備えた、低温焼結セラミック配線基板を得ることが可
能になる。
【0033】また、請求項10の低温焼結セラミック配
線基板は、前記非ガラス系低温焼結セラミックがBaO
−Al23−SiO2混合セラミック磁器であることを
特徴としている。
【0034】非ガラス系低温焼結セラミックとして、B
ASを用いることにより、高周波特性などに優れた高性
能の低温焼結セラミック配線基板を効率よく製造するこ
とが可能になる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明
する。
【0036】[実施形態1] セラミックグリーンシートの作製 例えば、酸化バリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウ
ム、酸化カルシウム及び酸化ホウ素などを混合した絶縁
性無機材料に、ポリビニルブチラールなどのバインダー
樹脂、ジ−n−ブチルフタレートなどの可塑剤、トルエ
ンやイソプロピレンアルコールなどの溶剤を混合してス
ラリーを調製する。そして、このスラリーを、ドクター
ブレード法などによって、キャリアフィルム上にシート
状に成形した後、乾燥させて、セラミックグリーンシー
ト(BASグリーンシート)を作製する。
【0037】なお、上記絶縁性無機材料に対して、焼結
促進、収縮挙動制御、強度改善、電気特性制御などを目
的として、他の無機化合物やガラスを添加したり、セラ
ミックグリーンシートの絶縁性を損なわない範囲で金属
を添加したりすることも可能である。また、セラミック
グリーンシートに添加されるバインダー樹脂、可塑剤、
溶剤などについても上記の例に限定されるものではな
く、例えば、帯電防止剤や粘着付与剤を添加することも
可能である。
【0038】内部導体パターンの形成 上述のようにして作製したセラミックグリーンシート
に、必要に応じてビアホールを形成する。また、所定の
セラミックグリーンシートに、平均粒径2.0〜4.0
μmのCu粉末を主成分とする導体ペーストを印刷し
て、配線や電極となる内部導体パターンを形成する。
【0039】上記導体ペーストとしては、Cuの他に、
Al、Ni、Ag、Au、Pdなどの金属あるいはこれ
らの合金を用いてもよく、また、収縮温度特性の制御や
印刷性・接合強度向上を目的として、樹脂、無機物、ガ
ラスなどを添加することも可能であり、さらには、粉末
の表面処理を行うことも可能である。
【0040】表面導体パターンの形成 最表層にあたるセラミックグリーンシートには、平均粒
径2.0〜4.0μmのCu、CuO、Cu2O、Cu−
CuO混合物、Cu−Cu2O混合物、及びCuO−C
2O混合物より選ばれる少なくとも1種を主成分と
し、添加成分としてTi、Nb、W、TiO2、Nb2
5、及びWOからなる群より選ばれる少なくとも1種
を、無機成分全体に対する含有率が0.5〜30.0重
量%となるような割合で含有させた銅メタライズ組成物
(導体ペースト)を調製し、これを所定のパターンに印
刷して、ランドやパッド、あるいは配線となる表面導体
パターンを形成する。
【0041】ここで、添加成分であるところの、Ti、
Nb、W(以上金属)、TiO2、Nb25、WO(以
上金属酸化物)のうち、少なくとも1種の含有量(すな
わち、添加成分の総量)が、0.5重量%未満になると
BAS中のガラス成分と銅メタライズ組成物の反応が進
みすぎて、銅及び酸化銅のBASへの拡散が促進され、
めっき時の酸あるいはアルカリ処理の工程で、拡散した
銅及び酸化銅が溶解するため、接着強度が低下する。
【0042】一方、添加成分の含有量が30重量%を超
えると、BAS中のガラス成分が過度に銅メタライズ組
成物中に浸透し、添加成分(金属及び金属酸化物)が電
極表面上に析出するため、銅電極層のはんだ濡れ性やめ
っき処理性が低下する。
【0043】また、導体ペーストは、上記の主成分粉末
と添加成分粉末の混合物に対して、所定の割合で有機ビ
ヒクルを所定量加え、ライカイ機、3本ロールなどを用
いて攪拌、混練することにより作製することができる。
ただし、主成分粉末、添加成分粉末、有機ビヒクルなど
の配合の順序には特に制約はない。
【0044】なお、主成分粉末であるCu粉末、CuO
粉末、Cu2O粉末は、粗大粉末や極端な凝集粉末がな
く、導体ペーストとした後の最大粗粒の粒径が50μm
以下になるようにすることが望ましい。
【0045】また、有機ビヒクルはバインダー樹脂と溶
剤を混合したものであり、バインダー樹脂としては、例
えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチ
ラール、メタクリル樹脂などを使用することが可能であ
る。また、溶剤としては、例えばテレピネオール、ブチ
ルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アル
コール類などを使用することが可能である。また、必要
に応じて、各種の分散剤、可塑剤、活性剤などを添加し
てもよい。また、導体ペーストの粘度は、印刷性を考慮
して、50〜700Pa・S-1とすることが望ましい。
【0046】積層及び焼成 上述のように所定の内部導体パターンを形成したセラミ
ックグリーンシートを複数枚積層し、最表層には、銅メ
タライズ組成物を用いて所定の表面導体パターンが形成
されたセラミックグリーンシートを積層して、温度80
℃、圧力200kg/cm2の条件で熱圧着し、積層体ブロ
ックを形成する。
【0047】そして、この積層体ブロックを、酸素濃度
0.1〜30ppmの窒素雰囲気(還元雰囲気)中で、例
えば温度980℃、保持時間1時間の条件で焼成する。
【0048】その後、適当な濃度の塩酸や硫酸などの酸
溶液、あるいは、アンモニアなどのアルカリ溶液で電極
(銅電極層)の表面を処理し、めっき処理を施す。ここ
で、めっき処理は、Niめっき及びAuめっきを所定の
膜厚になるように施すことが望ましい。
【0049】銅電極層の表面にめっき被膜を形成した
後、半導体デバイスやチップコンデンサなどの各種素子
を実装することができるように、適当なフラックスを表
面導体上に塗布し、さらに、はんだをディッピング法な
どにより塗布する。これにより、銅電極層を表面に備え
た低温焼結セラミック配線基板(BAS配線基板)が得
られる。
【0050】図1は、本願発明の方法により製造された
低温焼結セラミック配線基板(BAS配線基板)の構成
を示す断面図である。この低温焼結セラミック配線基板
(BAS配線基板)1は、図1に示すように、BAS層
2を積層することにより形成された積層体3の上側主面
4に銅電極層5が形成され、ビアホール6によって内部
電極7と電気的に接続されているとともに、内部電極7
どうしも、必要に応じて積層体3の内部でビアホール6
により接続された構造を有している。
【0051】このようにして製造された低温焼結セラミ
ック配線基板(BAS配線基板)においては、銅電極層
5の、積層体3との界面からの銅電極層5の厚みTの3
0%の範囲Aにおける添加成分(Ti、Nb、W、Ti
2、Nb25、WOなどの金属又は金属酸化物)の占
有率が、銅電極層断面の面積比率で40〜95%の範囲
となっており、銅電極層5は、基板への接着強度が大き
く、耐食性に優れ、しかも、十分なはんだ濡れ性を備え
ている。
【0052】したがって、めっき時に酸系やアルカリ系
の溶液を用いて処理を行った場合にも、基板(BAS基
板)との接着力が2kg/2mm□以上と大きく、めっき膜
の膜応力やはんだ実装時の熱収縮応力などによって剥離
することがなく、しかもはんだ付け性の良好な銅電極層
を備えた信頼性の高い低温焼結セラミック配線基板が得
られる。
【0053】これは、本願発明の銅メタライズ組成物
が、主成分であるCu、CuO、Cu 2O、Cu−Cu
O混合物、Cu−Cu2O混合物、及びCuO−Cu2
混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種に対し
て、添加成分として、Ti、Nb、W、TiO2、Nb2
5、及びWOからなる群より選ばれる少なくとも1種
を、無機成分中の含有率が0.5〜30.0重量%とな
るような割合で添加しており、還元雰囲気中で、980
℃の温度で、非ガラス系低温焼結セラミック(BAS)
と同時焼成するようにしているので、主成分であるC
u、CuO、Cu2Oが、非ガラス系低温焼結セラミッ
クの焼成によって生じたガラス成分と反応して流動性が
高くなり、比重の違いによって、添加成分が銅電極と非
ガラス系低温焼結セラミックとの界面付近に集中し、こ
の添加成分が非ガラス系低温焼結セラミックとの界面で
接着作用を発揮するとともに、Cuの基板(非ガラス系
低温焼結セラミック)中への拡散を抑制する機能を果た
すことによるものである。
【0054】したがって、本願発明の銅メタライズ組成
物を用いることにより、めっき後の接着強度が2kg/2
mm□以上で、はんだ実装時のはんだの熱収縮応力による
剥がれを抑制することが可能な銅電極層を非ガラス系低
温焼結セラミック上に効率よく形成することが可能にな
る。
【0055】[実施形態2(特性評価)]上記実施形態
1の場合と同様に、銅メタライズ組成物を用いて低温焼
結セラミック配線基板(BAS配線基板)を作製した。
すなわち、この実施形態2では、実施形態1と同様の銅
メタライズ組成物(導体ペースト)を調製し、この導体
ペーストを用いて表面導体パターンを形成し、0.1〜
30ppmの酸素濃度の窒素雰囲気中、800〜1000
℃の温度(例えば980℃)で非ガラス系低温焼結セラ
ミック(BAS)と同時焼成することにより、基板(B
AS基板)上に銅電極層が形成された、低温焼結セラミ
ック配線基板(BAS配線基板)を作製した。以下、さ
らに詳しく説明する。
【0056】この実施形態2では、酸化バリウム、酸化
ケイ素、アルミナ、酸化カルシウム、酸化ホウ素を混合
したものにポリビニルブチラールからなるバインダーと
ジ−n−ブチルフタレートからなる可塑剤と、トルエン
及びイソプロピレンアルコールをからなる溶剤とを混合
してペースト(スラリー)を形成し、このスラリーをド
クターブレード法により有機フィルム上でシート成形
し、乾燥させて厚み125μmのセラミックグリーンシ
ート(BASグリーンシート)を作製した。
【0057】次に、作製したセラミックグリーンシート
に、表1に示すようなCu粉、CuO粉あるいはCu2
O粉(いずれも平均粒径3μm)、及びそれらの混合粉
を主成分とするぺーストに対して、添加成分として、表
1に示す金属及びその金属酸化物(添加成分)のうち、
少なくとも1種を表2及び表3に示すような割合で秤
量、配合し、それに有機バインダーとしてアクリル樹脂
を添加するとともに、溶媒としてGVPを添加して混練
することにより、ペースト状の銅メタライズ組成物(導
体ペースト)を作製した。なお、銅メタライズ組成物
(導体ペースト)中の有機バインダー量は、主成分に対
して10重量%となるように配合した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】上記のようにして作製した銅メタライズ組
成物(導体ペースト)を用いて、BASグリーンシート
上に、焼成後の形状が縦横各2mm、厚み約15μmとな
るような銅電極用パターンを形成し、これを最上層とし
て、銅電極用パターンを形成していないBASグリーン
シートを7枚積層することにより積層体を形成した。
【0062】それから、この積層体を温度80℃、圧力
200kg/cm2の条件で熱圧着し積層体ブロックを形成
する。この積層体ブロックを、酸素濃度10ppmの窒素
雰囲気(還元雰囲気)中で、温度980℃、保持時間1
hrの条件で同時焼成し、特性評価用のBAS配線基板
(試料)を得た。
【0063】銅電極層の厚み及び銅電極層の切断面の
添加成分の占有率の測定 このようにして得た評価用のBAS配線基板を、銅電極
層5(図1)を横切るように、BAS配線基板の上面に
対して垂直に切断した。そして、切断面について、銅電
極層の厚みT(図1)をSEMを用いて計測するととも
に、銅電極層の断面における金属及びその酸化物(添加
成分)の占有率を、EPMAを用いたマッピング分析に
より定量分析し、BAS配線基板との界面からの銅電極
層の厚みの30%の範囲における面積比率(表4,5に
おける「厚み30%領域での添加成分比率(%)」)を
求めた。
【0064】めっき前の銅電極層の接着強度 また、図2に示すように、評価用のBAS配線基板に形
成された2mm□の銅電極層5の表面に、Cu系のリード
線10をはんだ付けし、該リード線10を20mm/min
の速度で垂直方向に引っ張り、リード線10が剥離した
ときの最大荷重(ピーク荷重)を、めっき前の銅電極層
の接着強度として評価した。
【0065】めっき後の銅電極層の接着強度 また、前記評価用のBAS配線基板に形成された2mm□
の銅電極層に、厚み5.0μmのNiめっきを行うとと
もに、その上に厚み0.5μmのAuめっきを施した
後、目視観察により、はんだ濡れ性の良否を評価すると
ともに、上記のめっき前の銅電極層の接着強度を評価
した場合と同様の方法で、めっき後の銅電極層の接着強
度を測定した。上記,,の測定結果及び評価結果
を表4及び5に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】表4及び5に示すように、添加成分である
金属又は金属粒子の含有率が0.5重量%未満の銅メタ
ライズ組成物を用いて作製した、試料No.1、2、3、
13、14、35、36、56、57の試料において
は、めっき後の接着強度が2kg/2mm□未満と小さい
か、あるいははんだ濡れ性が悪いことが確認され、ま
た、添加成分(金属酸化物粉末)の含有率が35%以上
の、試料No.12、23、45、66の試料では、めっ
き後の接着強度は2kg/2mm□以上と良好であったが、
はんだ濡れ性が不十分であった。
【0069】一方、本願発明の範囲内の銅メタライズ組
成物を用いて作製した試料については、めっき前後の接
着強度、はんだ濡れ性のいずれもが良好であった。
【0070】なお、比較のため、特開平10−9568
6号において、その銅メタライズ組成物により配線電極
を形成する対象として示されている、屈伏点が480℃
で、74重量%SiO2、14重量%LiO2、4重量%
A123、2重量%P25、2重量%K2O、2重量%
ZnO、2重量%Na2Oの組成を有するリチウム珪酸
ガラスとフィラー成分に、さらにフォルステライトを混
合した原料粉末に、バインダーとしてアクリル樹脂、可
塑剤としてDBP(ジブチルフタレート)、溶剤として
トルエン及びイソプロピルアルコールを加えて調整した
ペースト(スラリー)を、ドクターブレード法により有
機フィルム上でシート成形し、乾燥させて厚み125μ
mのセラミックグリーンシートを作製し、このセラミッ
クグリーンシートを用いて、表6に示すような条件で、
上記実施形態の場合と同様にして、セラミック配線基板
を作製した。そして、このセラミック配線基板につい
て、その諸特性を測定、評価した。その結果を表7に示
す。
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】 なお、表1において、セラミック磁器の区分のガラス
セラミックがこの比較例のセラミック磁器に相当するも
のである。
【0073】表7に示すように、セラミック磁器が、特
開平10−95686号に示されているようなガラスセ
ラミックである場合には、本願発明の銅メタライズ組成
物を用いて銅電極層を形成しても、めっき後の接着強度
が2kg/2mm□未満と不十分であるか、あるいははんだ
濡れ性が悪く、実用可能な銅電極層を形成できないこと
が確認された。
【0074】これは、この比較例の場合には、セラミッ
ク磁器に由来するガラス成分が、銅メタライズ組成物
(銅電極層)の表面を覆ってしまうか、あるいは銅メタ
ライズ組成物がセラミック磁器(ガラスセラミック)中
に沈み込んでしまうことによるものと考えられる。
【0075】また、この比較例のガラスセラミックのフ
ィラー成分を、SiO2にした場合においても、ガラス
成分が銅メタライズ組成物(銅電極層)の表面を覆って
しまうため、全く評価ができなかった。
【0076】これより、本願発明の銅メタライズ組成物
は、セラミック磁器が、特開平10−95686号に示
されているようなガラスセラミックである場合には、良
好な特性を有する銅電極層を形成することはできない
が、非ガラス系低温焼結セラミックに対しては、めっき
後の接着強度、及びはんだ濡れ性の良好な銅電極層を形
成できることがわかる。
【0077】なお、本願発明は、上記実施形態に限定さ
れるものではなく、銅メタライズ組成物の具体的な組
成、銅電極層を形成すべき非ガラス系低温焼結セラミッ
クの組成、銅電極層の形成条件、低温焼結セラミック配
線基板の具体的な構成などに関し、発明の範囲内におい
て、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0078】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
銅メタライズ組成物は、主成分であるCu、CuO、C
2O、Cu−CuO混合物、Cu−Cu2O混合物、及
びCuO−Cu2O混合物からなる群より選ばれる少な
くとも1種に対して、添加成分として、Ti、Nb、
W、TiO2、Nb25、及びWOからなる群より選ば
れる少なくとも1種を、無機成分中の含有率が0.5〜
30.0重量%となるような割合で添加しているので、
添加成分が非ガラス系低温焼結セラミックとの界面で接
着作用を発揮するとともに、Cuの非ガラス系低温焼結
セラミック中への拡散を抑制して、めっき時の酸処理や
アルカリ処理に対する耐腐食性を向上させる機能を果た
す。すなわち、本願発明の銅メタライズ組成物において
は、主成分であるCu、CuO、Cu2Oが、非ガラス
系低温焼結セラミックの焼成によって生じたガラス成分
と反応して流動性が高くなり、さらに、比重の違いによ
り、銅電極と非ガラス系低温焼結セラミックとの界面付
近に、添加成分が集中する。その結果、添加成分は、非
ガラス系低温焼結セラミックとの界面で接着作用を発揮
し、さらに、Cuの非ガラス系低温焼結セラミック中へ
の拡散を抑制する機能を果たすことになる。
【0079】したがって、本願発明の銅メタライズ組成
物を用いることにより、めっき後の接着強度が2kg/2
mm□以上で、はんだ実装時のはんだの熱収縮応力による
剥がれを抑制することが可能な銅電極層を非ガラス系低
温焼結セラミック上に効率よく形成することができるよ
うになる。
【0080】また、本願発明の銅メタライズ組成物は、
焼成後に形成される銅電極層が低抵抗であり、かつ、種
々の非ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成が可能で
あって、請求項2のように、アルミナ質セラミックなど
よりも高い電気的特性を備えた材料であるBAS(Ba
O−Al23−SiO2混合セラミック磁器)と同時焼
成することも可能であることから、高周波化及び高密度
化によりよく対応することが可能な低温焼結セラミック
配線基板を製造する場合に、好適に使用することが可能
である。
【0081】また、本願発明(請求項3)の低温焼結セ
ラミック配線基板の製造方法は、本願請求項1記載の銅
メタライズ組成物を、窒素雰囲気中、所定の温度で、非
ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成するようにして
いるので、非ガラス系低温焼結セラミック上に、非ガラ
ス系低温焼結セラミックとの界面からの厚みの30%の
範囲における添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積
比率で40〜95%の範囲にある銅電極層を形成するこ
とが可能になり、基板への接着強度の大きい銅電極層を
備えた低温焼結セラミック配線基板を効率よく製造する
ことが可能になる。
【0082】また、本願発明(請求項4)の低温焼結セ
ラミック配線基板の製造方法のように、請求項1記載の
銅メタライズ組成物を、酸素濃度0.1〜30ppmの窒
素雰囲気中、所定の温度で、非ガラス系低温焼結セラミ
ックと同時焼成することによっても、非ガラス系低温焼
結セラミック上に、非ガラス系低温焼結セラミックとの
界面からの銅電極層の厚みの30%の範囲における添加
成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率で40〜95
%の範囲にある銅電極層を形成することが可能であり、
基板への接着強度の大きい銅電極層を備えた低温焼結セ
ラミック配線基板を効率よく製造することができるよう
になる。
【0083】また、本願発明の銅メタライズ組成物は、
請求項5の低温焼結セラミック配線基板の製造方法のよ
うに、800〜1000℃の温度で、BASなどの非ガ
ラス系低温焼結セラミックと同時焼成することが可能で
あり、基板への接着強度の大きい銅電極層を備えた低温
焼結セラミック配線基板を効率よく製造することができ
る。
【0084】また、請求項6の低温焼結セラミック配線
基板の製造方法のように、銅電極層の、該銅電極層と非
ガラス系低温焼結セラミックとの界面から該銅電極層の
厚みの10%の範囲における添加成分の占有率が、銅電
極層断面の面積比率で60〜95%の範囲となるように
した場合、反りやうねりのある基板に対しても十分な接
着強度を有する銅電極層を形成することが可能になり、
さらに信頼性の高い低温焼結セラミック配線基板を製造
することができるようになる。
【0085】また、請求項7の低温焼結セラミック配線
基板の製造方法のように、非ガラス系低温焼結セラミッ
クとして、BASを用いることにより、高周波特性など
に優れた高性能の低温焼結セラミック配線基板を効率よ
く製造することができるようになる。
【0086】また、本願発明(請求項8)の低温焼結セ
ラミック配線基板のように、非ガラス系低温焼結セラミ
ック上に形成された銅電極層の、非ガラス系低温焼結セ
ラミックとの界面からの厚みの30%の範囲における添
加成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率で40〜9
5%の範囲となるようにした場合、添加成分が、非ガラ
ス系低温焼結セラミックとの界面で接着作用を発揮する
とともに、Cuの非ガラス系低温焼結セラミック中への
拡散を抑制して、めっき時の酸処理やアルカリ処理に対
する耐腐食性を向上させる機能を果たすため、めっき後
の接着強度が大きく、はんだ実装時のはんだの熱収縮応
力による剥がれを抑制することが可能な銅電極層を非ガ
ラス系低温焼結セラミック上に効率よく形成することが
できる。
【0087】また、請求項9の低温焼結セラミック配線
基板のように、銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラミ
ックとの界面からの該銅電極層の厚みの10%の範囲に
おける添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率で
60〜95%の範囲となるようにした場合、添加成分
に、よりよく非ガラス系低温焼結セラミックとの界面に
おける接着作用と、めっき時の酸処理やアルカリ処理に
対する耐腐食性を向上させる機能を果たさせることが可
能になるため、めっき後の接着強度が大きく、はんだ実
装時のはんだの熱収縮応力によっても剥がれにくい銅電
極層を備えた、低温焼結セラミック配線基板を得ること
ができるようになる。
【0088】また、請求項10の低温焼結セラミック配
線基板のように、非ガラス系低温焼結セラミックとし
て、BASを用いた場合、高周波特性などに優れた高性
能の低温焼結セラミック配線基板を効率よく製造するこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施形態にかかる低温焼結セラミッ
ク配線基板(BAS配線基板)の構成を示す断面図であ
る。
【図2】本願発明の実施形態にかかる方法により基板上
に形成された銅電極層の接着強度を評価する方法を説明
する図である。
【符号の説明】
1 低温焼結セラミック配線基板(BAS配線基
板) 2 BAS層 3 積層体 4 上側主面 5 銅電極層 6 ビアホール 7 内部電極 10 リード線
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/03 610 H05K 3/46 H 3/38 S 3/46 T H01L 23/12 D 23/14 M Fターム(参考) 4E351 AA07 BB01 BB24 BB26 BB31 CC12 CC22 CC31 CC33 DD04 DD11 DD17 DD33 DD34 DD58 EE02 EE03 GG01 GG11 5E343 AA02 AA24 BB15 BB22 BB24 BB35 BB40 BB59 BB77 DD02 ER37 ER39 GG01 GG18 5E346 AA12 AA15 AA32 AA38 BB01 BB15 CC18 CC31 CC32 CC36 DD02 DD34 EE24 EE27 EE28 GG02 GG06 GG09 HH11 HH13 5G301 DA06 DA23 DA32 DA33 DD01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非ガラス系低温焼結セラミックと同時焼成
    可能な銅メタライズ組成物であって、 主成分であるCu、CuO、Cu2O、Cu−CuO混
    合物、Cu−Cu2O混合物、及びCuO−Cu2O混合
    物からなる群より選ばれる少なくとも1種に対して、 添加成分として、Ti、Nb、W、TiO2、Nb
    25、及びWOからなる群より選ばれる少なくとも1種
    を、無機成分全体に対する含有率が0.5〜30.0重
    量%となるような割合で添加したことを特徴とする銅メ
    タライズ組成物。
  2. 【請求項2】前記非ガラス系低温焼結セラミックが、B
    aO−Al23−SiO2混合セラミック磁器であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の銅メタライズ組成物。
  3. 【請求項3】非ガラス系低温焼結セラミック上に銅電極
    層が形成された低温焼結セラミック配線基板の製造方法
    であって、 請求項1記載の銅メタライズ組成物を、窒素雰囲気中、
    所定の温度で、非ガラス系低温焼結セラミックと同時焼
    成することにより、非ガラス系低温焼結セラミック上
    に、非ガラス系低温焼結セラミックとの界面からの厚み
    の30%の範囲における前記添加成分の占有率が、銅電
    極層断面の面積比率で40〜95%の範囲にある銅電極
    層を形成することを特徴とする低温焼結セラミック配線
    基板の製造方法。
  4. 【請求項4】非ガラス系低温焼結セラミック上に銅電極
    層が形成された低温焼結セラミック配線基板の製造方法
    であって、 請求項1記載の銅メタライズ組成物を、酸素濃度0.1
    〜30ppmの窒素雰囲気中、所定の温度で、非ガラス系
    低温焼結セラミックと同時焼成することにより、非ガラ
    ス系低温焼結セラミック上に、非ガラス系低温焼結セラ
    ミックとの界面からの厚みの30%の範囲における前記
    添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積比率で40〜
    95%の範囲にある銅電極層を形成することを特徴とす
    る低温焼結セラミック配線基板の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の銅メタライズ組成物を、8
    00〜1000℃の温度で、非ガラス系低温焼結セラミ
    ックと同時焼成することを特徴とする請求項3又は4記
    載の低温焼結セラミック配線基板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラ
    ミックとの界面からの該銅電極層の厚みの10%の範囲
    における前記添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積
    比率で60〜95%の範囲となるようにすることを特徴
    とする請求項3〜5のいずれかに記載の低温焼結セラミ
    ック配線基板の製造方法。
  7. 【請求項7】前記非ガラス系低温焼結セラミックが、B
    aO−Al23−SiO2混合セラミック磁器であるこ
    とを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の低温焼
    結セラミック配線基板の製造方法。
  8. 【請求項8】非ガラス系低温焼結セラミック上に銅電極
    層が形成された低温焼結セラミック配線基板であって、 請求項1記載の銅メタライズ組成物を、窒素雰囲気中、
    又は酸素濃度0.1〜30ppmの窒素雰囲気中、非ガラ
    ス系低温焼結セラミックと同時焼成することにより、非
    ガラス系低温焼結セラミック上に、銅電極層が形成され
    ており、かつ、 前記銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラミックとの界
    面からの該銅電極層の厚みの30%の範囲における前記
    添加成分粒子の占有率が、銅電極層断面の面積比率で4
    0〜95%の範囲にあることを特徴とする低温焼結セラ
    ミック配線基板。
  9. 【請求項9】前記銅電極層の、非ガラス系低温焼結セラ
    ミックとの界面からの該銅電極層の厚みの10%の範囲
    における前記添加成分の占有率が、銅電極層断面の面積
    比率で60〜95%であることを特徴とする請求項8記
    載の低温焼結セラミック配線基板。
  10. 【請求項10】前記非ガラス系低温焼結セラミックが、
    BaO−Al23−SiO2混合セラミック磁器である
    ことを特徴とする請求項8又は9記載の低温焼結セラミ
    ック配線基板。
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