JP3652184B2 - 導体ペースト、ガラスセラミック配線基板並びにその製法 - Google Patents

導体ペースト、ガラスセラミック配線基板並びにその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Cuを主成分とするCu系導体ペースト、及びガラスセラミックスからなる絶縁基板と同時焼成して形成された前記Cu系導体ペーストを起源とするビアホール導体や配線回路層を形成したガラスセラミック配線基板の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、配線基板においては、高周波回路の対応性、高密度化、高速化が要求され、アルミナ系セラミック材料に比較して低い誘電率が得られ、配線層の低抵抗化が可能な低温焼成配線基板が一層注目されている。
【0003】
この低温焼成配線基板は、ガラスセラミックスからなる絶縁基板に、該基板と同時焼成して形成された銅、金、銀などの低抵抗金属を主体とする配線回路層を施した配線基板が知られている。このような配線基板は、ガラスセラミック組成物からなるシート状成形体に上記低抵抗金属粉末を含む導体ペーストを印刷した後、800〜1000℃で同時に焼成して作製される。
【0004】
また、この低温焼成配線基板は、配線層の低抵抗化、絶縁基板の低誘電率、低誘電損失化によって、半導体素子が収納する半導体素子収納用パッケージや、配線回路基板、携帯電話やパーソナルハンディホンシステム、各種衛星通信用に使用される高周波用多層配線基板などのあらゆる分野への応用が進められている。
【0005】
低温焼成配線基板に用いる低抵抗の配線回路層としては、金系ではコスト的な問題、銀系ではマイグレーションの問題から用途などが限定されるのに対して、銅系材料では焼成処理を還元雰囲気で行う必要があるものの、配線基板の高密度化、配線基板中の回路の高周波化の要求に充分応えることが出来る材料であることから配線層を形成するための材料として主流となっている。
【0006】
ガラスセラミックからなる絶縁基体の表面及び内部に銅粉末を主成分とする配線回路層を形成する具体的方法としては、ガラスセラミック原料粉末、有機バインダーに溶剤を添加して調製したスラリーをドクターブレード法などによってシート状に形成し、得られたグリーンシートに貫通孔を打ち抜き加工し、該貫通孔に銅粉末を主成分とする導体ペーストを充填し、同時にグリーンシート上に銅粉末を主成分とする導体ペーストを配線パターン状にスクリーン印刷法などで印刷形成し、配線パターンや貫通孔に導体が充填されたビアホール導体が形成されたグリーンシートを複数枚加圧積層し、800〜1000℃で焼成することにより作製されていた。
【0007】
以上のような目的に適用される銅導体組成物として、(1)主成分の銅又は銅合金に対して軟化点が300〜600℃のガラスフリットを含有する導電性組成物(特開昭63−301405号公報参照)や(2)主成分の銅に対して結晶化ガラスフリットと導体の接着力を向上するために、Bi、Cr、Nb、Sb、Ta、Ti、W等の金属又は金属酸化物を含有する導体ペースト(特開平1−112605号公報参照)などが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案の銅導体ペーストでは以下に示すような課題が発生する。(1)ではガラスフリットの軟化点が低いため、グリーンシート中の有機成分を除去する脱バイ工程(通常650〜750℃)においてガラスフリットの軟化に起因する脱バインダー不良を起こし、接着強度が不安定となる。また、(2)では初期の接着力は良好であるが、接着力の向上の目的で添加した金属又は金属酸化物が、熱履歴(半田ボールの実装時等)を通すことにより変質し、接着強度が劣化する。さらには,(1)、(2)の導体ペーストは主として配線パターン用として好適な物であり、これらをビアホールに充填してビアホール導体を形成した場合、ガラスセラミックスとの濡れ性が著しく劣化し、ビアホール導体とガラスセラミックの間に隙間が発生したり、ビアホール導体とガラスセラミックスの焼結開始温度が異なることにより、焼成過程での収縮にズレを生じる結果、ビアホール導体がガラスセラミック表面より不用意に突出あるいは埋没してビアホール導体の端部に凹凸が形成されてしてしまい、その結果半導体素子のシリコンチップ接続部の凹凸による接続不良や、各種チップ部品の接続不良、あるいはワイヤーボンディングの接続不良が発生するという課題もあった。
【0009】
従って、本発明は、前記課題を解消せんとしてなされたもので、その目的はガラスセラミックに好適なCu系導体ペースト、つまり配線パターン用としては熱履歴などの信頼性を含めた接着強度が強く、ビアホール充填用としてはガラスセラミックとの濡れ性が良好で接着強度が強く、しかも焼成過程でのガラスセラミックスとの焼成収縮率を一致させることが可能なCu系導体ペーストと、ビアホール導体がガラスセラミック絶縁基板表面から突出したり埋没したりするといった異常形態の発生が無いガラスセラミック配線基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に対して検討を重ねた結果、Cu系導体ペーストとして、Cu、あるいはCuとCuの酸化物との混合物からなるCu成分100重量部に対して、特定の屈伏点を有するガラスフリットと石英ガラスを特定範囲に調製した導体ペーストを用いることにより上記目的を達成できることを知見した。
【0011】
即ち、本発明のCu系導体ペーストは、Cu、あるいはCuとCuの酸化物との混合物からなるCu成分100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有し、さらに、有機溶剤と、有機バインダーとを含有することを特徴とするものである。
【0012】
また、ガラスセラミック配線基板としては、ガラスセラミックス絶縁基板と、該絶縁基板表面あるいは内部に形成された配線回路層と、該配線回路層間を電気的に接続するためのビアホール導体を具備してなるガラスセラミック配線基板において、前記配線回路層および/またはビアホール導体が、Cuを主成分とし、Cu100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有する導体からなることを特徴とするものである。
【0013】
また、このようなガラスセラミック配線基板を製造する方法として、ガラス、あるいはガラスとセラミックフィラーとの混合物をシート状に成形してなるグリーンシートに対してビアホールを形成し、該ビアホール内にCu系導体ペーストを充填するとともに、前記グリーンシート表面に、前記Cu系導体ペーストを回路パターン状に印刷塗布して配線回路層を形成した後、800〜1000℃で焼成するガラスセラミック配線基板の製法において、前記Cu系導体ペーストが、Cu、あるいはCuとCu酸化物との混合物からなるCu成分と、該Cu成分のCu換算量100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有し、さらに、有機溶剤と、有機バインダーとを含有することを特徴とするものである。
【0014】
なお、上記のガラスセラミック配線基板においては、配線回路層としては、Cu成分に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜4重量部と、石英ガラスを0.1〜4重量部の割合で含有する導体からなること、また、ビアホール導体としては、Cu成分に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを2〜15重量部と、石英ガラスを2〜15重量部の割合で含有することが望ましい。
【0015】
なお、上記製造方法においては、前記Cu系導体ペースト中のガラスフリットが、前記グリーンシート中のガラスと同一であることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、主成分であるCu成分に対して屈伏点が600〜800℃のガラスフリットと、石英ガラスを含有させることにより以下のような効果が発揮される。即ち、石英ガラスを添加することにより銅の焼結を遅らせ、銅導体とガラスセラミックスの焼成過程での収縮率を一致させることができる。また屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを添加することにより脱バインダーが効率的に行われた後、ガラスフリットが軟化し、銅とガラスセラミックスあるいは銅と石英ガラスとの隙間に浸透し接着が強固になる。
【0017】
さらに、上記Cu系導体組成物を用いてビアホール導体を形成した場合、Cu成分にガラスのみを添加した場合には添加したガラスがビアホール導体からガラスセラミック絶縁基板側に流出し、ビアホール導体周辺のガラスセラミック絶縁基板が盛り上がり凹凸が形成されるといった不具合が発生するが、石英ガラスを添加することによりビアホール導体内のガラス成分の流出が抑制され、ビアホール導体とガラスセラミック絶縁基板の前記部の凹凸の発生を抑制することができる。その結果、ガラスセラミック配線基板における配線回路層用およびビアホール導体用として好適な導体組成物が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガラスセラミック配線基板について、図面に基づいて説明する。尚、説明では、配線基板の構造を複数のガラスセラミック絶縁層からなる多層配線基板を用いて説明する。
【0019】
本発明のガラスセラミック配線基板1によれば、絶縁基板2は、複数のガラスセラミック絶縁層2a〜2dを積層した積層体から構成され、その絶縁層間および絶縁基板表面には、厚みが5〜30μm程度の銅粉末を主成分とする配線回路層3が被着形成されている。また、絶縁基板2内には、絶縁層2a〜2dの厚み方向を貫くように形成された直径が30〜200μm程度のビアホール導体4が形成されている。
【0020】
絶縁基板2は、少なくともSiO2 を含有するガラス、又はSiO2 を含有するガラスとセラミックフィラーとの複合材料からなるガラスセラミックスからなる。具体的には、ガラスセラミックスのガラス成分は、複数の金属酸化物から構成され、焼成後において非晶質、又は焼成によってコージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウィレマイト、ドロマイト、リチウムシリケートやその置換誘導体の結晶を析出する結晶化ガラスによって構成される。
【0021】
ガラス成分中には、SiO2 以外にLi2 O、K2 O、Na2 Oなどのアルカリ金属酸化物、CaO、MgO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、Al2 3 、P2 5 、ZnO、B2 3 、PbOの群から選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
【0022】
フィラー成分としては、クオーツ、クリストバライト、石英、コランダム(αアルミナ)、ムライト、コージェライト、フォルステライトの群から選ばれる少なくとも1種以上が好適に用いられる。ガラス成分とフィラー成分とは、ガラス成分が30〜70重量部、フィラー成分が70〜30重量部からなることが基板強度を高める上で適切である。
【0023】
本発明によれば、配線回路層3および/またはビアホール導体4が、Cuを主成分とし、Cu100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有する導体からなることを特徴とするものであるが、特に、配線回路層用とビアホール導体用とで最適な含有量が定められる。
【0024】
配線回路層用としては、前記Cu成分に対して屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜4重量部、石英ガラスを0.1〜4重量部の割合で含有することが望ましい。
【0025】
ガラスフリットの屈伏点を上記の温度に限定したのは、600℃未満の場合、脱バインダー工程中にガラスフリットの軟化が生じ、その結果、導体ペースト中の脱バインダー不良が発生して配線回路層の絶縁基板への接着強度が不安定となり、絶縁基板の反りが発生するためである。逆に800℃を超える場合、銅の焼結性を劣化させ、半田濡れ性の劣化、接着強度の低下、基板反り発生などの悪影響を及ぼす。
【0026】
ガラスフリットの含有量をを上記の比率にしたのは0.1重量部未満の場合、軟化成分が少なくなり、銅とガラスセラミック絶縁基板あるいは銅と石英ガラスの隙間を満たすことができず、配線回路層の絶縁基板への密着強度が低下したり、基板に反りが発生するなどの問題がある。逆に4重量部を超える場合、ガラス成分がビアホール導体の端面の導体表面に浮き上がり半田濡れ性に悪影響を及ぼすためである。
【0027】
石英ガラスの含有量を上記の比率にしたのは、0.1重量部未満の場合、銅とガラスが別々に焼結し分離を起こし、配線回路層表面にガラスが浮き出ることにより配線回路層の半田濡れ性に悪影響を及ぼし、逆に4重量部を超える場合、銅の焼結性を劣化させ、半田濡れ性に悪影響を及ぼすためである。
【0028】
ビアホール導体用としては、前記Cu成分に対して屈伏点が600〜800℃のガラスフリットが2〜15重量部、石英ガラスが2〜15重量部を含有することが望ましい。
【0029】
ガラスフリットの屈伏点を上記の温度に限定したのは600℃未満の場合、脱バインダー工程中にガラスフリットの軟化が生じ、その結果、脱バインダー不良を起こしビアホール部分の焼結を劣化させ、ビアホール導体の端部に凹凸が発生したり、ビアホール導体の気密性が劣化する。逆に800℃を超える場合も、銅の焼結性を著しく劣化させ、半田濡れ性、気密性が低下するとともに、ビアホール導体の端部に凹凸が形成されやすくなる。
【0030】
ガラスフリットの含有量を上記の比率にしたのは2重量部未満の場合、軟化成分が少なすぎて銅とビアホール壁面あるいは銅と石英ガラスの隙間を満たすことが出来ず、ビアホール導体の気密性の劣化が発生する。逆に15重量部を超える場合、ガラス成分がビアホール導体の端面にて浮き上がり半田濡れ性が劣化してしまうためである。
【0031】
石英ガラスを上記比率にしたのは4重量部未満の場合、銅と前記ガラスが別々に焼結し分離を起こし、銅体表面にガラスが浮き出ることにより半田濡れ性に悪影響を及ぼし、さらにビアホール部のガラス成分がガラスセラミック絶縁基板側に流出しビアホール周辺の絶縁基板が盛り上がるといった悪影響を及ぼす。逆に15重量部を超える場合、銅の焼結性を劣化させ、半田濡れ性の低下、気密性の低下等の悪影響を及ぼす。
【0032】
また、多層配線基板の表面の配線回路層3は、ICチップなどの各種電子部品5を搭載するためのパッドとして、シールド用導体膜として、さらには、外部回路と接続する端子電極として用いられ、各種電子部品5が配線回路層3に半田や導電性接着剤などを介して接合される。なお、図示していないが、必要に応じて、配線基板の表面には、更に、珪化タンタル、珪化モリブデンなどの厚膜抵抗体膜や配線保護膜などを形成しても構わない。
【0033】
次に、本発明のガラスセラミック配線基板を作製する方法について説明する。まず、上述したようなガラス成分、又はガラス成分とセラミックフィラーとを混合してガラスセラミックス組成物を調製し、その混合物に有機バインダーなどを加えた後、ドクターブレード法、圧延法、プレス法などによりシート上に成形してグリーンシートを作製する。
【0034】
次に、配線回路層および/またはビアホール導体を形成するためのCu系導体ペーストを調製する。
このペーストは、Cu成分として、Cu、あるいはCuとCu2 O、CuOなどのCu酸化物との混合物からなるものである。これらは、いずれも平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは3〜5μmの球状粉末であることが望ましい。これは、平均粒径が10μmよりも大きいと微細な配線加工が難しく、また0.5μmよりも小さいと銅の焼結が著しく早くなり、ガラスフリットや石英ガラスの添加の効果が小さくなるためである。なお、上記Cu酸化物は、還元性雰囲気で焼成されることにより実質的に金属Cuとなる。
【0035】
本発明によれば、上記Cu成分をCu換算量100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを1〜15重量部と、石英ガラスを1〜15重量部とを含有させる。ガラスフリットと石英ガラスの平均粒径は、分散性および微細配線化を達成する上で1〜5μmであることが好ましい。つまり、平均粒径が5μmを超えると微細配線加工に不敵となり、また1μm以下だと導体ペースト中に安定して分散させることが困難となり、凝集体を形成し、銅体表面の欠陥を発生させる。
【0036】
また、導体ペースト中には、上記のCu系導体ペーストに対して、さらにアクリル樹脂などからなる有機バインダーと、αテルピネオール、ジブチルフタレート、ブチルカルビトールなどの有機溶剤とを均質混合して調製される。有機バインダーはCu系導体ペースト100重量部に対して1〜10重量部、有機溶剤成分は5〜30重量部の割合で混合されることが望ましい。
【0037】
次に、上述のCu系導体ペーストを、前記ガラスセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷法などにより回路パターン状に印刷塗布して配線回路層を形成する。また、ビアホール導体を形成するには、グリーンシートにレーザーやマイクロドリル、パンチングなどにより直径30〜200μmの貫通孔を形成しその内部にペーストを充填する。その後、配線パターンやビアホール導体が形成されたグリーンシートを積層圧着して積層体を形成する。
【0038】
その後、この積層体を400〜800℃の窒素雰囲気中で加熱処理してグリーンシート内やペースト中の有機成分を分解除去した後、800〜1000℃の窒素雰囲気中で同時焼成することにより配線回路層及びビアホール導体を具備する多層配線基板を作製することができる。
【0039】
また、Cu系導体ペースト中のCu成分として、Cu酸化物を含む場合には、脱バインダー後、水素雰囲気または窒素+水蒸気雰囲気等で還元処理後、焼成することにより、Cu酸化物をCuに変換させることができる。
【0040】
【実施例】
実施例1
絶縁基板用のグリーンシートとしては重量比率で43%SiO2 −37%BaO−9%B2 3 −6%Al2 3 −5%CaO(屈伏点700℃)の組成のガラスを50体積%に対してフィラー成分としてSiO2 を50体積%混合したものを用いた。これに分子量30万のアクリル系バインダーと可塑剤、分散剤、溶剤を加え混合し、かかる泥しょうをドクターブレード法により厚さ平均200μmのグリーンシートに成形した。
【0041】
次に、平均粒径が5μmの銅粉末に対して、平均粒径が3μmの前記ガラス粉末と、平均粒径が2μmの石英ガラス粉末を表1に示す割合で秤量し、これらのCu系導体組成物100重量部に対して、有機バインダーとしてアクリル樹脂を2重量部、有機溶剤としてαテルピネオールを15重量部添加混練し、導体ペーストを調製した。
【0042】
かくして得られたグリーンシートと導体ペーストにより各種特性を評価するサンプルとして、以下の物を用意した。
【0043】
即ち、接着強度を測定するサンプルとして、グリーンシート上に焼成後の形状が2mm角、厚さ約20μmとなるものをスクリーン印刷し、その下部にグリーンシート5枚を加圧積層した。また基板反りを評価するサンプルとしてグリーンシート上に10mm×10mm、厚さ20μmとなるものをスクリーン印刷し、その下部にグリーンシート1枚を加圧積層した。
【0044】
半田濡れ性を評価するサンプルとしてはグリーンシート上に直径が0.1mmの円形パターンをスクリーン印刷し、その下部にグリーンシート5枚を加圧積層した。次いで、この未焼成状態の配線パターンが形成された積層体を、有機バインダーなどの有機成分を分解除去するために、窒素雰囲気中で700℃の温度で3時間保持して脱脂した後、900℃に昇温して1時間保持し配線基板を作製した。なお、CuOを含んだ試料No.22〜25では、脱バインダー後、水素雰囲気中で750℃で1時間還元処理した後、窒素雰囲気中で900℃で1時間焼成した。
【0045】
得られた配線基板のうち、2mm角の銅配線層に厚さ1μmのNiメッキを行い、その上に厚さ0.1μmのAuメッキを施した後、直径0.8mmの錫メッキ銅線を該メッキ被覆層上に基板と平衡に半田付けし、該錫メッキ銅線を基板に対して垂直方向に曲げ、該錫メッキ導線を10mm/minの引っ張り速度で垂直方向に引っ張り、これが破断したときの最大荷重を銅配線回路層の接着強度として評価した。尚良否の判断としては、2kg/2mm角を超える場合を良品とした。次に、基板反りの評価については、10mm×10mmの対角方向(14.2mm)を接触型の表面あらさ径にて測定した。尚良否の判断としては50μm/14.2mm以下のものを良品とした。
【0046】
また半田濡れ性としては評価サンプルにフラックスを塗布し235℃に保たれた共晶半田中に鉛直方向に45度の角度で5秒間浸漬させたものを実体顕微鏡にて観察した。良否の判断はパターンの全面が半田に濡れているものを良品とした。
【0047】
【表1】
Figure 0003652184
【0048】
表1から明らかなように、ガラスフリットの屈伏点が600℃よりも低い試料No.1、屈伏点が800℃よりも高い試料No.5、ガラス量が0.1重量部よりも少ない試料No.6,7、ガラス量が15重量部よりも多い試料No.13、石英ガラス量が0.1重量部よりも少ない試料No.14、15、石英ガラス量が15重量部よりも多い試料No.21はいずれも、導体の焼結不足に起因する接着強度の低下、基板の反り、半田濡れ性低下が発生した。
【0049】
それに対して、本発明の試料No.2〜4、8〜12、16〜20、22〜25では、いずれも配線回路層用のCu系導体ペーストとして良好な結果を示した。なお、試料No.11、12、19、20では、半田濡れ性の項目で△という評価が成されているが、この組成の場合には、半田濡れ性が求められない場合において有効に用いられる。
【0050】
実施例2
ビアホール導体用のCu系導体組成物の評価を以下に実施した。
実施例1と同様にして作成したグリーンシートに直径が160μmのビアホールを形成した。
【0051】
一方、平均粒径が5μmの銅粉末に対して、平均粒径が3μmの前記ガラス粉末と、平均粒径が2μmの石英ガラス粉末を表2に示す割合で秤量し、これらのCu系導体組成物100重量部に対して、有機バインダーとしてアクリル樹脂を2重量部、有機溶剤としてαテルピネオールを15重量部添加混練し、導体ペーストを調製した。
【0052】
そして、上記ビアホール内に上記Cu系導体ペーストを充填し、これを3層積層した。次いで、この積層体を、有機バインダーなどの有機成分を分解除去するために、窒素雰囲気中で700℃の温度で3時間保持して脱脂した後、900℃に昇温して1時間保持し配線基板を作製した。なお、試料No.47〜50は、脱バインダー後、水素雰囲気中で750℃で1時間還元処理した後、窒素雰囲気中で900℃で1時間焼成した。
【0053】
得られた配線基板の半田濡れ性の評価として、実施例1と同様にしてNiメッキ、Auメッキを施した後、半田中に浸漬して配線の表面を観察し、配線の全面に半田が付着しているものを○、一部分でも半田が付着していない部分が存在するものを×として評価した。更に気密性を確認するために蛍光探傷液に2時間浸漬した後、30秒間流水で洗浄し、紫外線によりビアホール導体周辺からの蛍光液のもれが発生の有無を確認し、もれが発生したものを×、もれの発生がないものを○とした。更に、ビアホール導体部分の凹凸を表面粗さ計にて測定した。ビアホール導体部分の凹凸についてはビアホール導体がガラスセラミックより突出している物をプラスの数値、へこんでいる物をマイナスの数値で表し±15μm以下を良品と判定した。
【0054】
【表2】
Figure 0003652184
【0055】
表2から明らかなように、ガラスフリットの屈伏点が600℃よりも低い試料No.26、屈伏点が800℃よりも高い試料No.30、ガラス量が0.1重量部よりも少ない試料No.31、32、ガラス量が15重量部よりも多い試料No.38、石英ガラス量が0.1重量部よりも少ない試料No.39、40、石英ガラス量が15重量部よりも多い試料No.46は、ビアホール導体の焼結不足によって、半田濡れ性が低下したり、気密性が低下したり、あるいはビアホール導体の周辺に凹凸の発生が大きくなるなどの不具合が発生した。
【0056】
それに対して本発明の試料番号27〜29、33〜37、41〜45、47〜50ではいずれもめっき性、気密性が良好で、表面の凹凸も±15μm以下に抑えることができた。なお試料No.8、16では半田濡れ性と気密性の項目で△という評価が成されているが、この組成に関しては、半田濡れ性、気密性が厳しく求められない場合においてのみ有効である。
【0057】
尚、上述の2つの実施例では、基板構造が積層体で説明したが、単状のガラスセラミックシート上に上述の銅粉末を主成分とするCu系導体ペーストを用いて、所定の配線パターンを形成し、グリーンシートと所定の配線パターンを一体的に焼成した配線基板でも構わない。
【0058】
また、基板構造が積層構造であっても、内部配線層2のみを積層体と同時に焼成処理し、表面配線層をすでに焼成された積層体に焼き付け処理で形成しても構わない。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ガラスセラミックススからなる絶縁基板に対して、配線回路層やビアホール導体を施す銅粉末を主成分とするCu系導体ペースト中に、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットと石英ガラスを含有させることにより、配線回路層用としては接着強度が強く、あるいはビアホール導体用としてビアホール充填用としてはガラスセラミックとの濡れ性が良好で接着強度が強く、しかも焼成過程でのガラスセラミックスとの焼成収縮率を一致させることが可能であり、ガラスセラミック基板との同時焼結性に優れ、さらには、ビアホール導体がガラスセラミック絶縁基板表面から突出したり埋没したりするといった異常形態の発生が無いガラスセラミック配線基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の概略断面図である。
【符号の説明】
1 配線基板
2 絶縁基板
3 配線回路層
4 ビアホール導体
5 電子部品

Claims (8)

  1. Cu、あるいはCuとCu酸化物との混合物からなるCu成分と、該Cu成分のCu換算量100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有し、さらに、有機溶剤と、有機バインダーとを含有することを特徴とするCu系導体ペースト。
  2. ガラスセラミックス絶縁基板と、該絶縁基板表面あるいは内部に形成された配線回路層と、該配線回路層間を電気的に接続するためのビアホール導体を具備してなるガラスセラミック配線基板において、前記配線回路層および/またはビアホール導体が、Cuを主成分とし、Cu100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有する導体からなることを特徴とするガラスセラミック配線基板。
  3. 前記配線回路層が、Cuを主成分とし、Cu100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜4重量部と、石英ガラスを0.1〜4重量部の割合で含有する導体からなることを特徴とする請求項2記載のガラスセラミック配線基板。
  4. 前記ビアホール導体が、Cuを主成分とし、Cu100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを2〜15重量部と、石英ガラスを2〜15重量部の割合で含有する導体からなることを特徴とする請求項2または請求項3記載のガラスセラミック配線基板。
  5. ガラス、あるいはガラスとセラミックフィラーとの混合物をシート状に成形してなるグリーンシートに対してビアホールを形成し、該ビアホール内にCu系導体ペーストを充填するとともに、前記グリーンシート表面に、前記Cu系導体ペーストを回路パターン状に印刷塗布して配線回路層を形成した後、800〜1000℃で焼成するガラスセラミック配線基板の製法において、前記Cu系導体ペーストが、Cu、あるいはCuとCu酸化物との混合物からなるCu成分と、該Cu成分のCu換算量100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜15重量部と、石英ガラスを0.1〜15重量部の割合で含有し、さらに、有機溶剤と、有機バインダーとを含有することを特徴とするガラスセラミック配線基板の製法。
  6. 前記配線回路層を形成するCu系導体ペーストが、Cu、あるいはCuとCu酸化物との混合物からなるCu成分と、該Cu成分のCu換算量100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを0.1〜4重量部と、石英ガラスを0.1〜4重量部の割合で含有し、さらに、有機溶剤と、有機バインダーとを含有することを特徴とする請求項5記載のガラスセラミック配線基板の製法。
  7. 前記ビアホールに充填するCu系導体ペーストが、Cu、あるいはCuとCu酸化物との混合物からなるCu成分と、該Cu成分のCu換算量100重量部に対して、屈伏点が600〜800℃のガラスフリットを2〜15重量部と、石英ガラスを2〜15重量部の割合で含有し、さらに、有機溶剤と、有機バインダーとを含有することを特徴とする請求項5または請求項6記載のガラスセラミック配線基板の製法。
  8. 前記Cu系導体ペースト中のガラスフリットが、前記グリーンシート中のガラスと同一であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか記載のガラスセラミック配線基板の製法。
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