JPH06104571A - 低温焼成セラミックス多層基板の製造方法 - Google Patents

低温焼成セラミックス多層基板の製造方法

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JPH06104571A
JPH06104571A JP25173592A JP25173592A JPH06104571A JP H06104571 A JPH06104571 A JP H06104571A JP 25173592 A JP25173592 A JP 25173592A JP 25173592 A JP25173592 A JP 25173592A JP H06104571 A JPH06104571 A JP H06104571A
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conductor
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green
cuo
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JP25173592A
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Yoshikazu Nakada
好和 中田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 セラミックス原料に、有機バインダ及び可塑
剤を混合してグリーンシート11を作製する工程と、グ
リーンシート11に、酸化第1銅(Cu2O) を主成分とす
る導体用ペースト12、13を所望の回路パターンで印
刷する工程と、該回路パターンが印刷されたグリーンシ
ート11を積層してグリーンシート積層体10を形成す
る工程と、グリーンシート積層体10中の有機バインダ
を分解・放散させ、かつ前記Cu2Oを酸化して酸化第2銅
(CuO)にする熱処理工程と、該熱処理工程の後、還元雰
囲気中で前記CuO を還元すると同時にセラミックスを焼
成する還元・焼成工程とを含んでいるセラミックス多層
基板の製造方法。 【効果】 緻密で導通抵抗が低いCu厚膜導体を形成する
ことができ、また基板の変形を抑制するとともに、基板
の絶縁抵抗や耐電圧特性を改善することができ、したが
って高密度化、信号処理の高速化に対応することができ
る安価なセラミックス多層基板を製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温焼成セラミックス多
層基板の製造方法に関し、より詳細にはIC、チップ部
品などを実装し、かつそれらを相互配線するための導体
材料として銅を用いた低温焼成セラミックス多層基板の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、IC、チップ部品等の実装基板と
しては、卓越した絶縁性、熱伝導性、安定性及び機械的
強度を有するアルミナが広く使用されている。また、配
線導体としては、アルミナを焼成して基板に成形するに
は1500℃以上の高温を必要とするため、アルミナと
ともに焼成される高融点のタングステン(W)やモリブデ
ン(Mo)が用いられている。しかしながらアルミナ基板
は、比誘電率が高く、シリコンとの熱膨張率の整合性が
悪く、また配線導体に導通抵抗が高いWやMoを用いざ
るを得ないため、LSIやICを搭載した場合には電気
信号の高周波化、処理の高速化、信頼性等に問題があ
り、さらに高密度化、小型化に限界があるという問題が
あった。近年、これらの問題を解決するために、金(A
u)、銀(Ag)、銀−パラジウム合金(Ag-Pd)、銅(C
u)等の導通抵抗が低い導体材料を使用し、これらの金
属の融点以下の温度で焼成することができるセラミック
ス材料を絶縁体として用いて焼成する低温焼成セラミッ
クス多層基板が開発されている。
【0003】しかしながら前記導体材料のうち、Au等の
貴金属は酸化性雰囲気中で焼成できるために信頼性は高
いものの、資源的に乏しく、高価で価格変動が激しいた
めに経済的に使用することが困難であり、またAgはマイ
グレーションを起こすためにショートが生じ易いという
問題があった。
【0004】一方、Cuは酸化が生じないような非酸化性
雰囲気中で焼成する必要はあるものの、安価であるうえ
に、抵抗が低く、かつ耐マイグレーション性に優れてい
るため、層間の間隔を狭くすることができ、高密度化、
高速化に対応することができる最有力な実装基板用の導
体材料として注目されている。しかし、非酸化性雰囲気
中における焼成ではグリーンシートや導体ペースト中に
含まれる有機バインダの分解・放散が困難であり、その
結果、有機バインダが炭化して基板内に残り、銅粉末や
セラミックス粉末の焼結の進行を阻害するばかりか、絶
縁抵抗や耐電圧等の基板特性を劣化させるという問題を
有していた。
【0005】このような問題を解決するために水蒸気を
含む窒素雰囲気中で前記有機バインダの分解・放散を行
う方法(特開昭60−254697号公報及び特開平2
−141458号公報)が提案されているが、この方法
では前記有機バインダの分解・放散に長時間を要し、経
済的でないという問題があった。
【0006】また、空気雰囲気下で前記有機バインダの
分解・放散を行う方法(特開平2−155294号公
報)も提案されているが、この方法では前記分解・放散
工程後における焼成物中のカーボン残量を600から1
500ppm もしくは600から3000ppm の範囲内に
調整する必要があり、この条件設定が極めて難しい。し
かもCu導体とセラミックス材料とを同時に焼成した場合
にはCuがわずかでも酸化されると、体積が膨張して基板
が変形し易いという問題があった。
【0007】上記のような問題点を解決するため、前記
導体材料に酸化第2銅(以下、CuOと記す)粉末を使用
し、空気中で熱処理を行なって有機バインダを分解・放
散させ、次にCuO をCuに還元し、Cuとセラミックス材料
とを焼結させて一体化させることによってセラミックス
多層基板を製造する方法が提案されている(特公平3−
21109号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した特公平3−2
1109号公報で提案されたセラミックス多層基板の製
造方法においては、空気中で加熱して酸化させるために
有機バインダを完全に除去することは可能になるが、上
記した CuO粉末は相互に点接触的であり、還元・焼結工
程において緻密なCu導体が形成され難いために導通抵抗
が大きくなり、したがって高速化、高密度化に対応する
ことができないという課題があった。
【0009】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、導通抵抗が小さいというCuの特性を十分に発
現させることができ、また有機バインダの分解・放散を
十分に行って基板の絶縁抵抗や耐電圧特性を向上させる
ことができ、また基板の変形を抑制することができ、高
密度化や信号処理の高速化に対応できる低温焼成セラミ
ックス多層基板の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者はセラミックス多層基板の製造方法について
研究を重ねた結果、導体用ペーストの主成分として酸化
第1銅(以下、Cu2Oと記す)粉末を使用し、形成された
グリーンシート積層体を酸化性雰囲気中において所定温
度で加熱を行なうと、有機バインダが分解・放散される
とともに、前記Cu2O粉が酸化するにつれて粒子間にネッ
ク部が形成され、連続した厚膜状のCuOが形成される。
そして、この CuO膜を還元すると緻密で導通抵抗が低い
Cuの厚膜導体が得られることを知見し、本発明を完成す
るに至った。
【0011】本発明の要旨とするところは、セラミック
ス原料に有機バインダ及び可塑剤を混合してグリーンシ
ートを作製する工程と、該グリーンシートにCu2Oを主成
分とする導体用ペーストを所望の回路パターンで印刷す
る工程と、該回路パターンが印刷されたグリーンシート
を積層してグリーンシート積層体を形成する工程と、該
グリーンシート積層体中の有機バインダを分解・放散さ
せ、かつ前記酸化第1銅を酸化して酸化第2銅にする熱
処理工程と、該熱処理工程の後、還元雰囲気中で前記酸
化第2銅を還元すると同時にセラミックスを焼成する還
元・焼成工程とを含むことにある。
【0012】本発明におけるCu2Oを主成分とする導体用
ペースト(以下、Cu2Oペーストと記す)は溶剤及び可塑
剤に樹脂を溶解させたビヒクル中にCu2O粉末を添加し、
3本ロールミルで混練して作製する。樹脂としてはエチ
ルセルロースもしくはアクリル樹脂、溶剤としてはテル
ピネオール、可塑剤としてはジブチルフタレートが使用
可能であり、またCu2O粉末の粒径はグリーンシートの焼
結収縮に適合するものに設定することが望ましい。な
お、セラミックス多層基板の最上面に形成される表層導
体用ペーストには、セラミックス絶縁層との接着性を向
上させるためにガラスフリットを添加してもよい。この
場合のガラスフリットは公知のものが使用可能である
が、前記還元焼成工程において溶融・流動化させる必要
上、軟化点が略500℃から略800℃の範囲内にある
ものが望ましく、例えばホウケイ酸系ガラスが使用可能
である。またこの場合のガラスフリット添加量は、Cuに
対して5重量(wt)%を超えると導体の導通抵抗が大きく
なり、半田ぬれ性も低下するため、5wt%以下が望まし
い。また、本発明において使用可能な低温焼成セラミッ
クス原料としてはガラスと無機フィラーとが混合された
ガラス複合セラミックス、結晶化ガラス系セラミック
ス、非ガラス系セラミックス等が挙げられるが、Cuの融
点以下で焼成し得ることが必要であり、したがって例え
ばホウケイ酸系ガラスにアルミナ、ムライト、フォルス
テライト等の無機フィラーを複合化したセラミックスが
望ましい。
【0013】また、本発明におけるグリーンシート形成
用のスラリーは前記セラミックス原料を溶剤中で湿式微
粉砕・混合を行った後、有機バインダ、分散剤、可塑剤
等を適宜に配合・混合して作製する。このスラリー化に
用いる溶剤としてはアルコール、トルエン、アセトン、
メチルエチルケトン、トリクロールエチレンまたはこれ
らの混合物等の有機溶剤や、水等が使用可能である。ま
た、有機バインダとしてはメタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合
体、α−メチルスチレン重合体、テトラフルオロエチレ
ン重合体等の易熱分解性を有する有機バインダが使用可
能であるが、熱分解温度が高いポリビニルブチラール、
酢酸ビニル等は好ましくない。また、分散剤としてはオ
クダデシルアミン、グリセリルモノオレート、ソルビタ
ンモノオレート等が用いられ、可塑剤としてはジオクチ
ルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ポリエチレングリコール、グリセリン等が使用可
能である。
【0014】また、本発明におけるグリーンシートは前
記方法によって得られたスラリーを使用し、ドクターブ
レード法等の公知の技術によって均一な厚さに形成した
後、ハンドリングが可能な状態になるまで乾燥させ、次
にカッターあるいは打ち抜き型によって所望の形状に成
形し、さらに打ち抜き型によって所望の位置にスルーホ
ールを形成することによって作製する。この後、前記グ
リーンシート上にCu2Oペーストをスクリーン印刷して配
線パターンを形成する。
【0015】また、本発明におけるグリーンシートの積
層は、配線パターンが形成された前記グリーンシートを
所望枚数重ね合わせて熱圧着する方法、あるいは前記グ
リーンシートの両面にCu2Oペーストの印刷と該グリーン
シートと実質的に同一組成を有する絶縁体ペーストの印
刷とを交互に繰り返し行って積層する方法のいずれによ
っても積層することが可能である。
【0016】また、本発明における熱処理工程は、前記
グリーンシート積層体中のCu2Oを酸化して CuO連続厚膜
を形成し、かつ有機バインダを分解・放散させる工程で
あり、熱処理は空気中において350〜650℃の温度
範囲で行うことが望ましく、350℃未満ではCu2Oの酸
化及び有機バインダの分解・放散が不十分になるために
好ましくない。
【0017】また、本発明における還元・焼成工程は、
前記熱処理工程において形成されたCuO連続厚膜をCu連
続厚膜に還元し、かつこのCu導体層と前記グリーンシー
トとを焼結・一体化させて多層基板を形成する工程であ
り、水素と窒素との混合ガス雰囲気中で行い、また配線
パターンが変形しないようにCuの融点未満の温度で加熱
を行う。この場合、加熱プロファイル及び混合ガス中の
水素濃度は CuOが十分にCuに還元され、かつ積層体が緻
密に焼結されるように設定する。
【0018】
【作用】本発明に係る低温焼成セラミックス多層基板の
製造方法によれば、セラミックス原料に有機バインダ及
び可塑剤を混合してグリーンシートを作製する工程と、
該グリーンシートにCu2Oを主成分とする導体用ペースト
を所望の回路パターンで印刷する工程と、該回路パター
ンが印刷されたグリーンシートを積層してグリーンシー
ト積層体を形成する工程と、該グリーンシート積層体中
の有機バインダを分解・放散させ、かつ前記Cu2Oを酸化
して CuOにする熱処理工程と、該熱処理工程の後、還元
雰囲気中で前記 CuOを還元すると同時にセラミックスを
焼成する還元・焼成工程とを含んでいるので、Cu2Oを酸
化するときに粒子間にネックが生じて連続した膜状の C
uOが形成され、この膜状の CuOを還元・焼成するときに
緻密な銅の配線が形成されて導通抵抗を小さくし得るこ
ととなり、またCu2Oを酸化するときに同時に有機バイン
ダを酸化して完全に除去し得ることとなる。
【0019】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係るセラミックス
多層基板の製造方法の実施例及び比較例を説明する。ま
ず、アルミナ粉末とホウケイ酸系ガラス粉末とをそれぞ
れ50wt%ずつ調合し、粉砕・混合してセラミックス原
料とする。このセラミックス原料69wt%とメタクリル
酸エステル樹脂9wt%、DOP3wt%、トルエン9wt
%、イソプロピルアルコール10wt%とにオクダデシル
アミン系分散剤をごく微量加え、ボールミルで混合して
セラミックススラリーを作製した。このセラミックスス
ラリーを真空脱泡機で脱泡した後、ドクターブレード法
を用いて厚みが略250μm のグリーンシートを作製し
た。このグリーンシートを所定の大きさに切断した後、
必要な箇所に直径が略200μm のスルーホールを形成
した。
【0020】一方、下記の表1に示すように平均粒径が
異なるCu2O粉末を使用し、それぞれのCu2O粉末をエチル
セルロース5wt%、テルピネオール55wt%、ジブチル
フタレート40wt%とからなるビヒクルに分散させ、3
本ロールミルで混練して6種類の導体用ペーストを作製
した。そしてそれぞれのCu2Oペーストを用いてスクリー
ン印刷により塗布を行い、前記グリーンシート上に図1
で示した内部導体用ペースト12の配線パターンを形成
した。また、図1で示した最上面のグリーンシート11
上に形成される配線パターンの表層導体用ペースト13
には、前記Cu2O粉末にホウケイ酸ガラスフリットを2wt
%加え、前記ビヒクルに分散させたものを使用した。な
お、図1で示したスルーホール14内部にも、前記印刷
工程によってCu2Oペーストを充てんした。
【0021】
【表1】
【0022】次に、配線パターンが形成された前記グリ
ーンシートを所望枚数重ね合わせ、圧力が略30MPa 、
温度が略100℃で熱圧着を行ってグリーンシート積層
体を形成した。図1はグリーンシート積層体を模式的に
示した断面図であり、図中10はグリーンシート積層
体、11はグリーンシート、12は内部導体用ペース
ト、13は表層導体用ペースト、14はスルーホールを
それぞれ示している。
【0023】次に、グリーンシート積層体10を空気が
充満した熱処理炉内に装入し、350℃、500℃また
は650℃のピーク温度においてそれぞれ100分間ほ
どピーク温度を保持し、該ピーク保持時間を含むトータ
ル6時間の加熱プロファイルによって熱処理を行い、グ
リーンシート積層体10中の有機バインダを分解・放散
させ、かつCu2Oを酸化して CuO連続厚膜を形成した。
【0024】次に、グリーンシート積層体10を水素と
窒素との混合ガス(体積比で50対50)中においてピ
ーク温度が890℃、ピーク保持時間が20分間を含む
トータル2時間の加熱プロファイルによって還元・焼成
処理を行い、 CuO連続厚膜をCu厚膜に還元し、かつ該Cu
厚膜導体層とグリーンシートとを焼結させてセラミック
ス多層基板を作製した。
【0025】以下に、導体ペーストの主成分として表1
に示したCu2O-A、B、C、D、E、F粉末を用いて作製したセラミ
ックス多層基板(実施例試験No.1〜19) について、外観
検査、絶縁抵抗、耐電圧、配線導体の導通抵抗の測定を
行った結果を説明する。なお、導通抵抗は膜厚が20μ
m 、線幅が500μm の配線部を四端子抵抗測定法によ
って測定した。また比較例として、Cu2O-A粉末90wt%
に粒径が2μm のCu粉末10wt%を添加したものを用い
て作製したセラミックス多層基板 (比較例試験No.1) 、
それぞれの平均粒径が 0.5μm 、1.5μm 、2.3μm 、3.2μ
m 、4.6μm と異なるCuO 粉末を用いて作製したセラミッ
クス多層基板(比較例試験No.2〜6)について、実施例と
同様の測定を行った。これらの測定結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表2から明らかなように、実施例(試験N
o.1〜18)の製造方法によるセラミックス多層基板にお
いては、配線導体の導通抵抗はCu2O粉の平均粒径が 2.1
〜 3.2μm の場合に緻密な導体が形成され易く、また比
較的に高温の500〜600℃における熱処理の場合に
有機バインダの分解・放散が容易となり、緻密な導体を
形成し易くなることが推測される。実施例の製造方法に
よるセラミックス多層基板は、変形がなく、絶縁抵抗、
耐電圧特性に優れており、配線導体の導通抵抗も実用的
には許容限度内にあり、いずれも良好であることが確認
された。また、実施例(試験No.19 )の製造方法による
セラミックス多層基板においては、変形はないが絶縁抵
抗、耐電圧特性及び配線導体の導通抵抗が劣っており、
熱処理温度が350℃より低くくなると有機バインダの
分解が抑制されるために基板中に炭化物が残留して基板
特性に悪影響を及ぼすものと推測される。したがって熱
処理温度は350℃を超えることが望ましい。また、比
較例(試験No.1)の製造方法によるセラミックス多層基
板においては、基板にワレが発生し、配線導体の導通抵
抗を測定することができなかった。これは、Cu粉が混在
すると熱処理工程でCu粉が酸化されて体積が膨張するた
めに、基板に割れが生じたものと推測される。また、比
較例(試験No.2〜6)の製造方法によるセラミックス多層
基板においては、配線導体の導通抵抗がいずれも高くな
っており、したがって CuOを導体用ペーストとして用い
る従来の方法に比べて実施例の製造方法によるセラミッ
ックス多層基板が優れていることが確認された。
【0028】この結果から明らかなように、本実施例に
係るセラミックス多層基板の製造方法では、セラミック
ス原料に有機バインダ及び可塑剤を混合してグリーンシ
ート11を作製する工程と、グリーンシート11にCu2O
を主成分とする導体用ペースト12、13を所望の回路
パターンで印刷する工程と、該回路パターンが印刷され
たグリーンシート11を積層してグリーンシート積層体
10を形成する工程と、グリーンシート積層体10中の
有機バインダを分解・放散させ、かつ前記Cu2Oを酸化し
て CuOにする熱処理工程と、該熱処理工程の後、還元雰
囲気中で前記 CuOを還元すると同時にセラミックスを焼
成する還元・焼成工程とを含んでいるので、基板中に緻
密で導通抵抗が低いCu厚膜導体を形成することができ、
また基板の変形を抑制することができ、有機バインダが
十分に分解・放散しうることによって基板の絶縁抵抗や
耐電圧特性を改善することができる。したがって高密度
化、信号処理の高速化に対応することができる安価なセ
ラミックス多層基板を製造することができる。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るセラミ
ックス多層基板の製造方法にあっては、セラミックス原
料に有機バインダ及び可塑剤を混合してグリーンシート
を作製する工程と、該グリーンシートにCu2Oを主成分と
する導体用ペーストを所望の回路パターンで印刷する工
程と、該回路パターンが印刷されたグリーンシートを積
層してグリーンシート積層体を形成する工程と、該グリ
ーンシート積層体中の有機バインダを分解・放散させ、
かつ前記Cu2Oを酸化して CuOにする熱処理工程と、該熱
処理工程の後、還元雰囲気中で前記 CuOを還元すると同
時にセラミックスを焼成する還元・焼成工程とを含んで
いるので、緻密で導通抵抗が低いCu厚膜導体を形成する
ことができ、また基板の変形を抑制することができ、有
機バインダを十分に分解・放散しうることによって基板
の絶縁抵抗や耐電圧特性を改善することができ、したが
って高密度化、信号処理の高速化に対応することができ
る安価なセラミックス多層基板を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるセラミックス多層基板の積層状
態を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
10 グリーンシート積層体 11 グリーンシート 12 内部導体ペースト 13 表層導体ペースト

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス原料に、有機バインダ及び
    可塑剤を混合してグリーンシートを作製する工程と、 該グリーンシートに、酸化第1銅を主成分とする導体用
    ペーストを所望の回路パターンで印刷する工程と、 該回路パターンが印刷されたグリーンシートを積層して
    グリーンシート積層体を形成する工程と、 該グリーンシート積層体中の有機バインダを分解・放散
    させ、かつ前記酸化第1銅を酸化して酸化第2銅にする
    熱処理工程と、 該熱処理工程の後、還元雰囲気中で前記酸化第2銅を還
    元すると同時にセラミックスを焼成する還元・焼成工程
    とを含んでいることを特徴とするセラミックス多層基板
    の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110814360A (zh) * 2019-11-19 2020-02-21 西华大学 一种从废旧锂电池回收铜粉的方法

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