JP2785544B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents
多層セラミック基板の製造方法Info
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Description
品などを搭載し、かつそれらを相互配線するためのセラ
ミック多層配線基板とその製造方法に関するものであ
る。
基板の開発によって、使用できる導体材料に、金、銀、
銅、パラジウムまたはそれらの混合物が用いられるよう
になった。これらの金属は従来使用されたタングステ
ン、モリブデンなどに比べ導体抵抗が低く、且つ使用で
きる設備も安全で低コストに製造できる。
銀、パラジウムは高価でかつ価格変動が大きいことか
ら、安価で価格変動の少ないCu電極材料の使用が望ま
れている。
的な製造方法の一例を述べる。低温焼結多層基板の種類
には大きく分けて3種類の方法がある。
い、低温焼結基板のグリーンシートを所望の枚数積層
し、空気中で焼成し、その後最上層に銀、パラジウムペ
ーストを印刷、焼成して得られるものである。これは内
部にインピーダンスの小さい銀を用い、最上層に半田耐
熱を有する銀・パラジウムを使用するものである。
い、最上層に銅を用いる方法で、最上層配線に銅を用い
ることで、前者の銀・パラジウムに比べ低いインピーダ
ンス、半田濡れの点で有効なものである。しかし、最上
層に用いる銅は銀との共晶温度が低いため600℃程度
の低温焼成銅ペーストを用いなければならない。その結
果、接着強度、半田濡れの点で課題が多い。
層に銅電極を用いる方法がある。導体抵抗、半田濡れ
性、コストの点で最も良いがすべて窒素などの中性雰囲
気で焼成しなければ成らずその作製が困難である。一般
に銅電極を使用するには、基板上にCuペーストをスク
リーン印刷にて配線パターンを形成し、乾燥後、Cuの
融点以下の温度(850〜950℃程度)で、かつCu
が酸化されず導体ペースト中の有機成分が十分燃焼する
ように酸素分圧を制御した窒素雰囲気中で焼成を行なう
ものである。多層する場合は、同様の条件で絶縁層を印
刷焼成して得られる。
酸素分圧下にコントロールすることは困難であり、また
多層化する場合、各ペーストを印刷後その都度焼成を繰
り返し行なう必要があり、リードタイムが長くなり設備
などのコストアップにつながるなどの課題を有してい
る。そこで特願昭59−147833号公報において、
セラミック多層基板の作製にあたり、酸化第二銅ペース
トを用い、脱バインダ工程、還元工程、焼成工程の3段
階とする方法がすでに開示されている。それは酸化第二
銅を導体の出発原料とし多層体を作製し、脱バインダ工
程は、炭素に対して充分な酸素雰囲気でかつ内部の有機
バインダを熱分解させるに充分な温度で熱処理を行な
う。
基板の焼結を行なう焼成工程により成立しているもので
ある。これにより、焼成時の雰囲気制御が容易になり緻
密な焼結体が得られるようになった。
ック多層基板には以下に示すような課題がある。
結に伴う収縮が生じることである。この焼結に伴う収縮
は、使用する基板材料、グリーンシート組成、粉体ロッ
トなどにより異なる。これにより多層基板の作製におい
ていくつかの問題が生じている。
おいて前述のごとく内層配線の焼成を行なってから最上
層配線の形成を行なうため、基板材料の収縮誤差が大き
いと、最上層配線パターンと寸法誤差のため内層電極と
の接続が行えない。その結果、収縮誤差を予め許容する
ように最上層電極部に必要以上の大きい面積のランドを
形成しなければならず、高密度の配線を必要とする回路
には使用できない。また収縮誤差にあわせて最上層配線
のためのスクリーン版をいくつか用意しておき、基板の
収縮率に応じて使用する方法が取られている。この方法
ではスクリーン版が数多く用意しなければならず不経済
である。
えば大きなランドを必要としないが、この同時焼成法に
よっても基板そのものの収縮誤差はそのまま存在するの
で、最後の部品搭載時のクリーム半田印刷において、そ
の誤差のため必要な部分に印刷できない場合が起こる。
また部品実装においても所定の部品位置とズレが生じ
る。
板は、グリーンシートの造膜方向によって幅方向と長手
方向によってもその収縮率が異なる。このこともセラミ
ック多層基板の作製の障害となっている。
めには、製造工程において、基板材料およびグリーンシ
ート組成の管理はもちろん、粉体ロットの違いや積層条
件(プレス圧力、温度)を十分管理する必要がある。し
かし、一般に収縮率の誤差は±0.5%程度存在すると
言われている。
ク、およびガラス・セラミックの焼結を伴うものに共通
の課題であり、基板材料の焼結が厚み方向だけ起こり、
平面方向の収縮がゼロの基板が作製できれば上記の様な
課題が解決でき、工業上極めて有効である。
め、本発明の多層セラミック基板の製造方法は、ガラス
・セラミック低温焼結基板材料に少なくとも有機バイン
ダ、可塑剤を含むグリーンシートを作製し、導体ペース
ト組成物で電極パターンを形成し、前記生シートと別の
電極パターン形成済みグリーンシートとを所望枚数積層
する。しかる後、前記低温焼結ガラス・セラミックより
なるグリーンシート積層体の両面もしくは片面に、前記
ガラス・セラミック低温焼結基板材料の焼成温度では焼
結しない無機組成物よりなるグリーンシートで挟み込む
ように積層し、前記積層体を焼成する。しかる後、焼結
しない無機組成物を取り除くことにより焼成時の収縮が
平面方向で起こらないガラス・セラミック基板を作製す
るものである。
て、ガラス・セラミック基板が焼成時において厚み方向
だけ収縮し、平面方向には収縮しない多層基板が得られ
るものである。
しない材料で挟み込まれているため、平面方向の収縮が
阻止されるためと考えられる。この後、不必要な焼結し
ない材料を取り除けば、所望の基板が得られる訳であ
る。
前記ガラス・セラミック積層体を加圧して焼成を行なう
と、厚み方向の焼結性が更に促進されち密な焼結体が得
られる。
しながら説明する。図1は本発明の一実施例のグリーン
シート積層体の断面を示す図、図2は同実施例の製造プ
ロセスを示すフロ−チャ−トである。
方法を図2のフロ−チャ−トを参考に説明する。
酸鉛ガラス粉末にセラミック材料としてのアルミナ粉末
を重量比で50対50とした組成物(日本電気硝子社製
MLS−19)を用いた。このガラス・セラミック粉
を無機成分とし、有機バインダとしてポリビニルブチラ
ール、可塑剤としてヂ−n−ブチルフタレート、溶剤と
してトルエンとイソプロピルアルコールの混合液(30
対70重量比)を混合しスラリーとした。
フィルム上にシート成形した。この時、造膜から乾燥、
打ち抜き、さらには必要に応じてバイアホール加工を行
う各工程を連続的に行うシステムを使用した。このグリ
ーンシートに銀ペーストを用いて導体パターンの形成お
よびビアホール埋め印刷をスクリーン印刷法によって行
った。導体ペーストは、Ag粉末(平均粒径1μm)に
接着強度を得るためのガラスフリット(日本電気硝子社
製 GA−9ガラス粉末、平均粒径2.5μm)を5w
t%加えたものを無機成分とし、有機バインダであるエ
チルセルロースをターピネオールに溶かしたビヒクルと
ともに加えて、3段ロールにより適度な粘度になるよう
に混合したものを用いた。なおビア埋め用のAgペース
トは更に無機成分として前記ガラス・セラミック粉末を
15重量%加えたものを使用して行なった。
製は無機成分としてアルミナ(住友アルミ社製 AL−
41 平均粒径1.9μm)粉末のみを用い前記ガラス
・セラミック基板用グリーンシートと同様のグリーンシ
ート組成で、同様の方法でグリーンシートを作製した。
前記基板用グリーンシートの厚みは約200μm、アル
ミナグリーンシートは約300μmである。
たものを所定の枚数積み重ね、さらにその両面に前記ア
ルミナグリーンシートを重ね合わせる。この状態で熱圧
着して積層体を形成した。熱圧着条件は、温度が80
℃、圧力は200Kg/cm2であった。図1にその構
成を示す。1は前記基板材料によるガラス・セラミック
グリーンシート層、2はアルミナによるアルミナグリー
ンシート層、3は内部電極層である。
乗せ焼成する。条件はベルト炉によって空気中の900
℃で1時間焼成で行なった。(900℃の保持時間は約
12分である。)この時基板の反りと厚み方向の焼結収
縮を助けるためアルミナ焼結基板を乗せて加圧するよう
にして焼成を行なった。
ナ層が存在するため、酢酸ブチル溶剤中で超音波洗浄を
行なったところアルミナ層がきれいに取り除くことがで
きた。この焼成後の基板の収縮率を測定すると、収縮率
が0.1%以下であった。
層基板が作製できた。さらにこの多層基板に銀・パラジ
ウムペーストによって最上層パターンをスクリーン印刷
し、乾燥の後焼成を前記と同様の方法で行なった。内層
基板の収縮が極めて小さい為、最上層パターンの印刷ズ
レがなかった。
クグリーンシートは実施例1と同様の組成の物を用い
た。このグリーンシートにCuOペーストを用いて導体パ
ターンの形成およびビアホール埋め印刷をスクリーン印
刷法によって行った。導体ペーストは、CuO粉末(平均
粒径3μm)に接着強度を得るためのガラスフリット
(日本電気硝子社製 LS−0803ガラス粉末、平均
粒径2.5μm)を3wt%加えたものを無機成分と
し、有機バインダであるエチルセルロースをターピネオ
ールに溶かしたビヒクルとともに加えて、3段ロールに
より適度な粘度になるように混合したものを用いた。
成分として前記ガラス・セラミック粉末を15重量%加
えたものを使用して行なった。
製は無機成分として酸化ベリリウム(関東化学社製
平均粒径1μm)粉末のみを用い前記ガラス・セラミッ
ク基板用グリーンシートと同様のグリーンシート組成
で、同様の方法でグリーンシートを作製した。前記基板
用グリーンシートの厚みは約200μm、アルミナグリ
ーンシートは約300μmである。
たものを所定の枚数積み重ね、さらにその両面に前記ア
ルミナグリーンシートを重ね合わせる。この状態で熱圧
着して積層体を形成した。熱圧着条件は、温度が80
℃、圧力は200Kg/cm2であった。
は、脱バインダ工程である。発明に使用したグリーンシ
ート、CuOペーストの有機バインダは、PVB及びエ
チルセルロースである。したがって空気中での分解温度
は、500℃以上あれば良いので、600℃の温度で行
なった。その後前記積層体を水素ガス100%雰囲気中
で200℃ー5時間で還元した。この時のCu層をX線
回折により分析したところ100%Cuであることを確
認した。
メッシュベルト炉で焼成した。以上の様にして作製した
積層体の表面の酸化ベリリウム層を実施例1と同様超音
波洗浄にて取り除き収縮率を評価したところを0.05
%以下の収縮であった。 本実施例においても最上層に
銅ペーストを用いて印刷、焼成を行なったところ、良好
な低温焼結多層基板が得られた。
Al2O3およびBeOを用いたが、その他MgO,Zr
O2,TiO2,BNを用いても同様の効果が得られた。
また未焼結グリーンシート層を両面に形成して行なった
が、片面だけ積層しても荷重を重くすれば同様の効果が
得られた。ただし、加圧しない場合は積層しない面だけ
焼結するように働くため基板の反りが発生する。
に行なったが、最上層ペーストをグリーンシート上に印
刷し、同時焼成しても得られることは云うまでもない。
板の作製工程において焼結の起こらない無機成分からな
るグリーンシート層を設け基板焼成を行なうと、焼結に
よる収縮が平面方向で全く起こらない多層基板が得られ
る。本方法は、セラミック多層配線基板だけでなく積層
セラミックコンデンサや収縮率の安定性が要求されるセ
ラミック構造材料などに応用できることは云うまでもな
い。
によって、ガラス・セラミック基板が焼成時において厚
み方向だけ収縮し、平面方向には収縮しない多層基板が
得られる。これにより多層基板に使用する基板材料、グ
リーンシート組成、粉体ロットなどに依存せず常に同一
寸法の基板が得られる。
前述のごとく内層配線の焼成を行なってから最上層配線
の形成を行なっても、最上層配線パターンと内層の接続
が完全に行える。その結果、接続用のランド面積が小さ
くでき、高密度な多層配線基板が得られる。さらにスク
リーン版が少なくて済み、基板設計において収縮率を逆
算し内層パターンを拡大する必要がないので経済的であ
る。
大の欠点であった、収縮誤差の課題を解決する極めて有
効な発明である。
面図
Claims (12)
- 【請求項1】 導体ペースト組成物で電極パターンを形
成した少なくとも有機バインダ、可塑剤を含むガラス・
セラミックよりなるグリーンシートを所望枚数積層し、
このグリーンシート積層体の両面もしくは片面に、焼成
処理で焼結しない無機組成物よりなるグリーンシートを
積層した後、焼成処理を行い、その後前記焼結しない無
機組成物を取り除くことを特徴とする多層セラミック基
板の製造方法。 - 【請求項2】 焼成処理を800℃〜1000℃の範囲
で行うことを特徴とする請求項1記載の多層セラミック
基板の製造方法。 - 【請求項3】 焼成処理で焼結しない無機組成物よりな
るグリーンシートが、Al2O3,MgO,ZrO2,T
iO2,BeO,BN,の内少なくとも1種以上を含む
グリーンシートからなることを特徴とする請求項1記載
の多層セラミック基板の製造方法。 - 【請求項4】 焼成処理で焼結しない無機組成物を超音
波洗浄法で取り除くことを特徴とする請求項1記載の多
層セラミック基板の製造方法。 - 【請求項5】 導体ペーストがAg,Ag/Pd,Ag
/Pt,Cuのいずれかを主成分とすることを特徴とす
る請求項1記載の多層セラミック基板の製造方法。 - 【請求項6】 焼成処理時にグリーンシート積層体を加
圧して焼成を行うことを特徴とする請求項1記載の多層
セラミック基板の製造方法。 - 【請求項7】 酸化第2銅を主成分とする導体ペースト
組成物で電極パターンを形成した少なくとも有機バイン
ダ、可塑剤を含むガラス・セラミックよりなるグリーン
シートを所望枚数積層し、このグリーンシート積層体の
両面もしくは片面に、焼成処理で焼結しない無機組成物
よりなるグリーンシートを積層した後、これらを空気中
で多層体内部の有機バインダが分解・飛散する温度で熱
処理し、しかる後、水素もしくは水素と窒素の混合ガス
雰囲気中で還元熱処理を行い、さらに、前記還元熱処理
済み多層体を窒素雰囲気中で焼結させ、しかる後、焼結
しない無機組成物を取り除くことを特徴とする多層セラ
ミック基板の製造方法。 - 【請求項8】 焼成処理で焼結しない無機組成物を取り
除いた後、さらに最上層部にCuペーストで配線パター
ンを形成し、窒素雰囲気中で焼成することを特徴とする
請求項7記載の多層セラミック基板の製造方法。 - 【請求項9】 焼成処理を800℃〜1000℃の範囲
で行うことを特徴とする請求項7記載の多層セラミック
基板の製造方法。 - 【請求項10】 焼成処理で焼結しない無機組成物グリ
ーンシートが、Al2O3,MgO,ZrO2,TiO2,
BeO,BN,の内少なくとも1種以上を含むグリーン
シートからなることを特徴とする請求項7記載の多層セ
ラミック基板の製造方法。 - 【請求項11】 焼成処理で焼結しない無機組成物を超
音波洗浄法で取り除くことを特徴とする請求項7記載の
多層セラミック基板の製造方法。 - 【請求項12】 焼成処理時にグリーンシート積層体を
加圧して焼成を行うことを特徴とする請求項7記載の多
層セラミック基板の製造方法。
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