JP3151920B2 - セラミックス多層基板の製造方法 - Google Patents

セラミックス多層基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス多層基板の
製造方法、より詳細には半導体LSI、チップ部品など
を実装し、かつそれらを相互配線するための導体材料と
してCuを用いたセラミックス多層基板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体LSI、チップ部品などの
実装基板としては、卓越した絶縁性、熱伝導性、安定性
及び機械的強度を有するアルミナが広く使用されてい
る。しかし、アルミナ基板は、誘電率が高く、また高温
で焼成する必要があることから配線導体が導通抵抗の高
いWやMoを使用しなければならず、またシリコンとの
熱膨張率の整合性が悪い等の欠点があるため、LSIや
ICを搭載した場合電気信号の処理速度の高速化、電気
信号の高周波化または信頼性の向上ができなかった。近
年、これらの問題を解決するためにAu、Ag、Ag−
、Cu等の導通抵抗の低い導体材料を使用し、これ
らの金属の融点近傍の温度で焼成することができるセラ
ミックス材料を絶縁体として用い、導体を同時焼成する
低温焼成セラミックス多層基板が開発されている。
【0003】しかしながらこれらの導体材料のうち、A
uなどの貴金属は酸化性雰囲気で焼成できるので信頼性
が高いものの資源的に乏しく、高価で価格変動も激し
く、経済的に使用することが困難である。
【0004】一方、Cuは酸化しないような非酸化性雰
囲気で焼成する必要はあるものの、安価であるうえ、実
用上最も低抵抗であり、かつ耐マイグレーション性に優
れているので、高密度、高周波化に対応することができ
る実装基板用の最有力な導体材料として注目されてい
る。しかし、非酸化性雰囲気の焼成ではグリーンシート
や導体ペースト中に含まれる有機バインダの分散・飛散
が困難となる。その結果、有機バインダが炭化して基板
内に残り、焼結が進行しないばかりか、絶縁抵抗、耐電
圧などの基板特性を劣化させるという問題点を有してい
た。
【0005】このような問題点を解決するために、水蒸
気を含む窒素雰囲気で脱バインダを行う方法(特開昭6
0−254697号公報及び特開平2−141458号
公報)が提案されているが、この方法では脱バインダ工
程に長時間焼成を要するので経済的でないという問題点
を有していた。
【0006】また、空気雰囲気下で脱バインダ工程を行
う方法(特開平2−155294号公報)も提案されて
いるが、この方法では、脱バインダ工程後の焼成物中の
カーボン残量を600から1500ppmもしくは60
0から3000ppmの範囲内に調整しなければならな
ず、脱バインダ工程の条件設定がきわめて困難である。
さらに、銅導体をセラミックスと同時焼成した場合は基
板が変形しやすいという問題を有していた。
【0007】さらに、上記のような問題点を解決するた
めに、導体配線材料に酸化第二銅を用い、空気中の熱処
理による脱バインダ工程と酸化第二銅を金属銅に還元す
る還元工程、さらに銅と基板材料を焼結一体化する焼結
工程とを行なうことにより、有機バインダの除去が完全
に行える方法(特公平3−21109号公報)が提案さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公平3−21109号公報における方法でも、酸化第二
銅から金属銅に還元する工程において水素及び窒素の混
合ガスの雰囲気下で300℃から500℃の範囲より、
厳密には400℃から500℃の範囲内の温度で熱処理
を行う必要があり、安全性に問題があった。また前記温
度よりも低い温度で還元熱処理を行なった場合には酸化
第二銅が残存し、導通抵抗がきわめて高くなり、導体に
よる配線が不可能となるという問題もあった。
【0009】さらに通常の酸化第二銅粉末では凝集粒子
が多く、均一な還元が起こりにくく、また、上記凝集粉
末では充てんも不均一となりやすいため還元・焼結によ
りセラミックス絶縁体との間でひずみを起こす箇所が生
じる場合があるという問題もあった。
【0010】本発明はこのような課題に鑑み発明された
ものであって、銅の有する導通抵抗が小さいという特性
を十分に発現させ、また脱バインダ工程を完全に完了さ
せることができ、さらに導体の還元工程が従来の還元温
度よりも低温度で行なうことができ、より安全かつ容易
にセラミックス多層基板を製造することができ、さらに
基板に変形を生じず、基板特性及び導体特性に優れたセ
ラミックス多層基板を得ることが可能なセラミックス多
層基板の製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者はセラミックス多層基板の製造方法について
研究を重ねた結果、ペーストの主成分として酸化第一銅
粉を用いることで、容易な焼成操作で良好な銅導体配線
を内層する低温焼成セラミックス多層基板が得られるこ
とを知見し、本発明を完成するに至った。
【0012】本発明の要旨とするところは、セラミック
ス原料に、有機バインダ及び可塑剤を混合してグリーン
シートを作製する工程と、該グリーンシートに、酸化第
一銅を主成分とするペーストを所望の回路パターンで印
刷する工程と、該回路パターンが印刷されたグリーンシ
ートを積層してグリーンシート積層体を形成する工程
と、該グリーンシート積層体中の有機バインダを空気中
において350〜450℃の温度範囲で分解・飛散させ
る脱バインダ工程と、該脱バインダ工程の後、還元雰囲
気中で200〜350℃の温度範囲で前記酸化第一銅を
還元する還元工程と、該還元工程の後、セラミックスを
焼結させる焼結工程とを含むことにある。
【0013】上記方法における、酸化第一銅粉末は硫酸
銅水溶液を酒石酸イオン及び苛性アルカリの存在下にぶ
どう糖で還元することにより得ることが望ましい。該条
件下では単分散酸化第一銅粉末が得られるが、このよう
に単分散粉末が得られるのはCu2+イオンが酒石酸イオ
ンによってキレートされているために還元析出反応が均
一に起こるためと考えられる。なお、酸化第一銅粉末の
粒径は反応温度を高めれば小さくなり、グリーンシート
の収縮性にあう粒径の酸化第一銅粉末を容易に形成する
ことができる。
【0014】酸化第一銅の製造は5%から30%の濃度
の硫酸銅水溶液に酒石酸ナトリウムをCu2+イオン1モ
ルに対して0.001から0.1モル溶解させ、苛性ア
ルカリを加えてPhを12以上に調整した後、ぶどう糖
をCu2+イオン1モルに対して0.5モル以上添加して
酸化第一銅を還元析出させることが望ましい。なお、硫
酸銅水溶液の濃度を5%から30%としたのは、硫酸銅
水溶液の濃度が5%未満では酸化第一銅の収量が低く、
一方、30%を超えると粒子が沈殿した際の粘度が高す
ぎて攪拌が充分にできないためである。また酒石酸ナト
リウムの添加量をCu2+イオン1モルに対して0.00
1から0.1モルとしたのは、酒石酸ナトリウムの添加
量がCu2+イオン1モルに対して0.001モル未満で
はCu2+イオンのキレート化が不十分となるために酸化
第一銅粉末の粒径が不揃いとなり、一方、Cu2+イオン
1モルに対して0.1モルを越えると酒石酸イオンが過
剰となり経済的でないためである。また溶液のPhを1
2以上としたのは、Phが12以下ではぶどう糖還元が
充分に起こらないからであり、またぶどう糖の添加量が
Cu2+イオン1モルに対して0.5モル未満では酸化第
一銅が完全に析出しないので好ましくない。また、硫酸
銅水溶液の温度は50℃から80℃の範囲に設定が可能
で、温度を調整することにより酸化第一銅粉末の粒径を
0.4μmから5μmの範囲で制御可能である。
【0015】酸化第一銅のペースト化には、溶剤及び可
塑剤に樹脂を溶解させたビヒクル中に酸化第一銅粉末を
3本ロールミルにより混練すればよい。樹脂としてはエ
チルセルロースもしくはアクリル樹脂、溶剤としてはテ
ルピネオール、可塑剤としてはジブチルフタレートが使
用可能である。酸化第一銅の粉末の粒径は前述したよう
にグリーンシートの焼結収縮に適合するものを設定する
ことが望ましい。なお、表層銅導体形成用の酸化第一銅
ペーストにはセラミックス絶縁層との接着性向上のため
に酸化第一銅ペーストにガラスフリットを添加してもよ
く、前記ガラスフリットとしては銅の焼成時に溶融流動
することが必要なので軟化点が500℃から800℃の
範囲にあるものが望ましい。また、ガラスフリットとし
ては公知のものが使用可能であり、鉛ホウケイ酸系ガラ
スが上記軟化点の条件を満足するので好ましい。ガラス
フリットの添加量は銅に対し5重量%を超えると銅の導
通抵抗が高くなるので5重量%以下が望ましい。
【0016】本発明に使用可能な低温焼成セラミックス
は銅の融点以下で焼成できる必要があり、ガラスと無機
フィラーとを混合したガラス複合セラミックス、結晶化
ガラス系セラミックス、非ガラス系セラミックス等が挙
げられる。例えばホウケイ酸系ガラスにアルミナ、ムラ
イト、フォルステライト等の無機フィラーを複合化した
セラミックスが望ましい。後述するように本発明におけ
る還元工程は350℃以下と低温であるため、PbO、
TiO2 などを含むガラスも還元させることなく安定的
に焼成することができる。
【0017】該セラミックス原料のスラリー化は、セラ
ミックス原料を溶剤中で湿式微粉砕混合したのち、有機
バインダー、分散剤、可塑剤等を適宜配合して後混合す
ることにより行う。
【0018】溶剤としてはアルコール、トルエン、アセ
トン、メチルエチルケトン、トリクロロエチレンまたは
これらの混合物などの有機溶剤や水などが使用可能であ
る。有機バインダとしてはメタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合
体、α−メチルスチレン重合体、テトラフルオロエチレ
ン重合体等の易熱分解性の有機バインダが使用可能であ
る。しかし、有機バインダとして広く使用されているポ
リビニルブチラール、酢酸ビニルなどは脱バインダに高
温を要するので好ましくない。分散剤としてはオクダデ
シルアミン、グリセリルモノオレート、ソルビタンモノ
オレエートなどが用いられる。可塑剤としてはジオクチ
ルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが使用
可能である。
【0019】上記方法により得られたスラリーからドク
ターブレード法などの公知の方法によって均一な厚みの
グリーンシートを形成し、ハンドリング可能な状態まで
乾燥させる。このグリーンシートをカッターあるいは打
ち抜き型によって所望の形状に加工し、必要に応じてさ
らに打ち抜き型等により所望の位置にスルーホールを形
成する。その後、加工されたグリーンシート上に酸化第
一銅ペーストをスクリーン印刷して配線パターンを形成
する。
【0020】本発明においては、配線の多層化方法とし
て、(1)前記配線パターン形成済みグリーンシートの
所望枚数を熱圧着して積層する方法と(2)前記加工済
みグリーンシートの表裏に酸化第一銅ペーストと実質的
にセラミックス基板の組成と同組成である絶縁体ペース
トの印刷を交互に繰り返して積層する方法のいずれの方
法によっても積層が可能である。
【0021】積層済グリーンシートの脱バインダ工程は
空気中において350℃〜450℃の範囲で行なうこと
が望ましい。加熱温度が350℃未満では脱バインダが
不十分となり、450℃を超えると酸化第一銅が酸化第
二銅に酸化されて次の還元工程が困難になるため好まし
くない。
【0022】脱バインダ工程後の還元工程は水素及び窒
素の混合ガス雰囲気中で200℃〜350℃の温度範囲
で行なうことが望ましい。200℃未満の還元温度では
熱処理時間によっては未還元の部分が残る場合があり、
逆に、350℃を超える場合は安全性が問題になるので
操作技術が困難になるうえ、表層銅導体の接着強度が低
下するので好ましくない。
【0023】還元工程後の焼結工程は未焼成のセラミッ
クス層および銅導体層を焼結させて多層基板を得る工程
である。この工程の焼成条件は銅が酸化しない窒素雰囲
気で行う必要がある。銅の融点以上の温度で焼成した場
合は銅が溶融流動して配線パターンが崩れてしまうので
好ましくなく、焼成温度は銅の融点未満に設定する必要
がある。
【0024】
【作用】上記方法によれば、導体材料の出発材料として
酸化第一銅を用いることで脱バインダ工程を空気中で行
うことが可能となる。さらに、酸化第一銅は酸化第二銅
よりも低次の酸化物であるために金属銅への還元が起こ
りやすく、酸化第一銅を金属銅へ還元させる還元工程も
低温で還元焼成が行なえ、安全性が高まり、操作性・経
済性も改善され、生産性が大きく向上する。また、酸化
第一銅は酸化第二銅よりも還元収縮が小さいためにグリ
ーンシートと同時焼成した場合、収縮率の整合性が良好
である。
【0025】さらに、酸化第一銅として凝集していない
単分散した粉末を用いることにより還元反応を均一かつ
速やかに進行させることが可能となる。
【0026】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係るセラミックス
多層基板の製造方法の実施例及び比較例を説明する。ま
ず、アルミナ粉末とホウケイ酸系ガラス粉末をそれぞれ
50重量%調合し、粉砕混合してセラミックス原料とす
る。このセラミックス原料69%とメタクリル酸エステ
ル樹脂9%、DOP3%、トルエン9%、イソプロピル
アルコール10%にオクダデシルアミン系分散剤を極微
量加え、ボールミルで混合してセラミックススラリーを
作った。このスラリーを真空脱泡機で脱泡した後、ドク
ターブレード法により、前記セラミックススラリーから
厚さ250μmのグリーンシートを作製した。このグリ
ーンシートを所定の大きさに切断した後、必要な箇所に
直径200μmのスルーホールを形成した。
【0027】次に、5%の硫酸銅水溶液2Lに酒石酸ナ
トリウムを2g添加し、水酸化ナトリウムの24%液を
300mL注入した後、ぶどう糖60g添加して酸化第
一銅を作製した。また酒石酸ナトリウムを無添加で同様
に生成させた酸化第一銅も作成した。このとき、反応温
度を変化させることで酸化第一銅の粒径を制御し、反応
温度と酸化第一銅の粒径との関係を下記の表1に示し
た。
【0028】
【表1】
【0029】次に、この酸化第一銅をエチルセルロール
5%、テルピネオール55%、ジブチルフタレート40
%とからなるビヒクルに分散させ、3本ロールミルで混
練してペースト化した。この酸化第一銅ペーストを前記
加工剤グリーンシート上にスクリーン印刷により塗布し
て配線パターンを形成した。また、グリーンシートの最
上面には、表層導体形成用酸化第一銅ペーストとして前
記酸化第一銅ペーストに鉛ホウケイ酸ガラスフリットを
2%加えたものを塗布した。なお、この印刷工程におい
て、前記スルーホールの内部にも酸化第一銅ペーストが
充てんされる。
【0030】その後、配線パターン形成済グリーンシー
トを所望枚重ね合わせて圧力30MPa、温度100℃
で積層し一体化させた。図1は配線パターン圧着後のグ
リーンシート積層体を示しており、11はグリーンシー
ト、12は内部導体ペースト、13は表層導体ペースト
をそれぞれ表わしている。
【0031】次に、この未焼成グリーンシートのバイン
ダ除去を行う。空気中でピーク温度350℃から50
℃、ピーク保持時間90分を含む3時間の加熱プロファ
イルで焼成した。
【0032】次に積層体中の酸化第一銅の金属銅への還
元工程を行う。前記脱バインダ済みのグリーンシート積
層体を5%水素−95%窒素の混合ガス中でピーク温度
150℃から40℃、ピーク保持時間60分を含む2
時間の加熱プロファイルで加熱を行なった。
【0033】最後に、焼結工程は純窒素中でピーク温度
900℃、ピーク保持時間30分を含む2時間の加熱プ
ロファイルで焼成を行なった。
【0034】上記表1より、酒石酸イオンの存在下で生
成した酸化第一銅は粒径が均一であり、酒石酸イオンが
存在しない状態で生成した酸化第一銅は粒径がばらつく
ことが確認された。
【0035】上記したセラミックス多層基板の製造方法
により、(1)表1に示した導体ペーストの試料Cu2
O−A、B、C、D、E、F、(2)Cu2 O−AにC
uを加えたもの、(3)CuOをそれぞれ導電ペースト
として用い、下記表2に示した条件下でセラミックス多
層基板を作製した。
【0036】
【表2】
【0037】次に前記セラミックス多層基板を用いて以
下の実験を行ない、その結果を併せて表2に示した。
【0038】前記セラミックス多層基板の表層銅導体の
接着強度は基板上に形成された2mm角の銅導体電極パ
ッド部に錫メッキ銅線を半田付けし、引張試験機でピー
ル強度を測定した。また、表層銅導体の半田濡れ性は焼
成済み基板を230℃の温度に維持した63%Sn−3
7%Pb半田浴に3秒間浸漬し、4mm角の銅厚膜上に
被着した半田の被覆率を目視で測定し、被覆率95%以
上を良、それ以下を不良とした。
【0039】試験No.1〜12に示す実施例は酒石酸
イオンの存在下で生成させた単分散の酸化第一銅のペー
ストを用いて焼成を行ったものであり、表2から明らか
なように脱バインダ温度350℃から450℃の範囲、
還元温度200℃から350℃で、基板に変形を生じ
ず、基板特性及び導体特性に優れた低温焼成セラミック
ス多層基板を得ることができた。
【0040】また試験No.13〜15に示す実施例
は、酒石酸イオン無添加で生成させ、粒径がばらついて
いる酸化第一銅を用いており、脱バインダがやや起こり
にくく、かつ、酸化第一銅が微量残留することが予想さ
れ、導通抵抗と接着強度は試験No.1〜12のものに
比べてわずかに劣っている。しかし実用的には許容限度
内である。従って、酸化第一銅の製造には酒石酸イオン
を加える方がより望ましいといえる。
【0041】さらに、試験No.16〜21は比較例を
示しており、No.16、17では還元温度が低いので
酸化第一銅の一部が未還元のまま残留することが予想さ
れ、導通抵抗が高く、半田濡れ性が悪くなっている。比
較例18、19では還元温度が高すぎるために表層銅導
体と基板との結合層まで還元されることが予想され、接
着強度が低くなっている。比較例20では導体ペースト
中に銅を含むために基板の変形が生じた。比較例21で
は酸化第二銅を用いているので充分に金属銅まで還元さ
れないことが予想され、導通抵抗が高く、半田濡れ性が
悪くなっている。
【0042】上記したように、実施例に係る方法によれ
ば酸化第一銅の導体を用いることにより、銅の有する導
通抵抗が小さいという特性が十分に表われており、また
脱バインダ工程を完全に完了させることができ、さらに
は導体の還元工程を従来の還元温度である400〜50
0℃よりも低温度の200〜350℃で行なうことがで
き、安全かつ容易にセラミックス多層基板を製造するこ
とができる。更に基板に変形を生じず、基板特性及び導
体特性に優れた低温焼成セラミックス多層基板を得るこ
とができる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明に係るセラミックス多層基板の製造方法においては、
セラミックス原料に、有機バインダ及び可塑剤を混合し
てグリーンシートを作製する工程と、該グリーンシート
に、酸化第一銅を主成分とするペーストを所望の回路パ
ターンで印刷する工程と、該回路パターンが印刷された
グリーンシートを積層してグリーンシート積層体を形成
する工程と、該グリーンシート積層体中の有機バインダ
空気中において350〜450℃の温度範囲で分解・
飛散させる脱バインダ工程と、該脱バインダ工程の後、
還元雰囲気中で200〜350℃の温度範囲で前記酸化
第一銅を還元する還元工程と、該還元工程の後、セラミ
ックスを焼結させる焼結工程とを含んでいるので、銅の
有する導通抵抗が小さいという特性を十分に発現させる
ことができる。また脱バインダ工程を完全に完了させる
ことができ、更には導体の還元工程を従来の還元温度で
ある400〜500℃よりも低温度の200〜350℃
で行なうことができ、安全かつ容易にセラミックス多層
基板を製造することができる。更に基板に変形を生じ
ず、基板特性及び導体特性に優れた低温焼成セラミック
ス多層基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低温焼成セラミックス多層基板の中間工程品の
一例を示す断面図である。
【符合の説明】
11 グリーンシート 12 内部導体ペースト 13 表層導体ペースト

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス原料に、有機バインダ及び
    可塑剤を混合してグリーンシートを作製する工程と、 該グリーンシートに、酸化第一銅を主成分とするペース
    トを所望の回路パターンで印刷する工程と、 該回路パターンが印刷されたグリーンシートを積層して
    グリーンシート積層体を形成する工程と、 該グリーンシート積層体中の有機バインダを空気中にお
    いて350〜450℃の温度範囲で分解・飛散させる脱
    バインダ工程と、 該脱バインダ工程の後、還元雰囲気中で200〜350
    ℃の温度範囲で前記酸化第一銅を還元する還元工程と、 該還元工程の後、セラミックスを焼結させる焼結工程と
    を含んでいることを特徴とするセラミックス多層基板の
    製造方法。
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