JPH0659573B2 - ワイヤカツト放電加工方法及び装置 - Google Patents

ワイヤカツト放電加工方法及び装置

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JPH0659573B2
JPH0659573B2 JP26003084A JP26003084A JPH0659573B2 JP H0659573 B2 JPH0659573 B2 JP H0659573B2 JP 26003084 A JP26003084 A JP 26003084A JP 26003084 A JP26003084 A JP 26003084A JP H0659573 B2 JPH0659573 B2 JP H0659573B2
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wire
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wire electrode
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潔 井上
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23HWORKING OF METAL BY THE ACTION OF A HIGH CONCENTRATION OF ELECTRIC CURRENT ON A WORKPIECE USING AN ELECTRODE WHICH TAKES THE PLACE OF A TOOL; SUCH WORKING COMBINED WITH OTHER FORMS OF WORKING OF METAL
    • B23H7/00Processes or apparatus applicable to both electrical discharge machining and electrochemical machining
    • B23H7/02Wire-cutting

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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はワイヤカット放電加工方法及び装置に関し、特
に加工部分にワイヤ電極を往復させて加工を行なうよう
構成した新規なワイヤカット放電加工方法及び装置に関
する。
〔従来の技術〕
放電加工は、被加工体に対して機械力を直接的に作用さ
せて加工を行なう通常の機械加工と異なり、被加工体と
電極を僅かな間隙を保って対向させ、当該間隙に加工液
を介在せしめつゝ両者間に電圧パルスを印加し、その際
に生じる放電侵蝕現象を利用して加工を行なう非接触加
工である。
従って、被加工体が導電性の材料であれば、その硬度等
に関係なく、如何なる複雑、微細な形状をも加工するこ
とができ、また被加工体及び電極に加わる力が機械加工
に比べて著しく小さいので、薄い板や管、細い線の加工
も容易に行なうことができる。
特に、ワイヤ電極を用いて、放電加工により被加工体を
切断または切抜き孔明け加工するワイヤカット放電加工
は、型彫り形式の放電加工に比べると特定形状の電極が
不要であり、また加工液として脱イオン水を用いるた
め、発火の危険性がなく、更にまた、NC装置の発達に
伴い被加工体とワイヤ電極間の任意の加工送りを長時間
無人で行ない得るため、製作費の原価低減、製作期間の
短縮等を図ることができ、抜型や押出型など貫通タイプ
のダイの加工等を目的として今日広く利用されている。
而して、従来公知のワイヤカット放電加工装置に於て
は、ワイヤ電極供給ドラムから引き出された1本のワイ
ヤ電極を、各種ガイドローラ等を経て加工部分に導き出
し、当該加工部分に於いては被加工体と所定の加工間隙
を保った状態で一対の電極位置決め用のダイス等の案内
(通常は、加工部分へ向けてカラムから伸長した一対の
アームの先端部内にそれぞれ取り付けられている。)間
に所定の張力で直線状に張架せしめ、加工部分を通過し
た使用後の電極は電極回収ドラムに巻き取ったり、回収
箱に廃棄するようにしていた。そのため、被加工体と対
向せしめられる加工部分に於いては、単に1本のワイヤ
電極が直線状に張架された状態でゆっくりと走行せしめ
られるようになっていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記の如く、従来公知のワイヤカット放電加工装置に於
ては、加工部分には1本のワイヤ電極しか存在せず、こ
の1本のワイヤ電極で加工が行なわれるようになってい
るため、ワイヤ電極と被加工体間に形成される加工間隙
が狭く、そのためこの加工間隙内に加工液を充分に供給
できず、加工精度が低下したり、冷却効果が充分でない
ため大電流による加工が不可能で加工効率を向上させる
ことができないという問題点があった。また、放電圧力
によってワイヤ電極が加工進行方向と反対側へ弓状に撓
むため加工輪郭形状の角部や小半径円弧部分等で加工精
度が低下するという問題点があった。更にまた、加工開
始時には、ワイヤ電極を各種ガイドローラ間に引き廻し
たり、電極位置決めダイスに挿通したりする必要がある
が、この作業は加工中ワイヤ電極が切断した場合や、連
続して複数の部品の切抜き加工を行なうような場合等に
はその都度やり直す必要があり、大変面倒であった。
更にまた、加工部分を通過中のワイヤ電極は放電により
次第にその外周面が損耗して鋸歯状となり、そのため被
加工体が厚手のものである場合には良好な仕上げ加工を
行なうのが困難であるという問題もあった。
本発明は、これら多くの問題点を解決するためなされた
ものであり、その目的とするところは、加工液が充分に
供給されることにより加工効率及び精度が向上し、ワイ
ヤ電極の引廻し作業も自動的に且つ容易に行ない得、更
には良好な仕上げ面も得られる新規なワイヤカット放電
加工方法及び装置を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明に係るワイヤカット
放電加工方法は、1本のワイヤ電極を折り返し、互いに
接触して逆方向に走行させ、この往復2本のワイヤ電極
を被加工体と接近、対向させて走行せしめると共に、上
記2本のワイヤ電極を加工すべき溝の中心線上の一点を
中心として、その中心線に対称に一定角度往復回動せし
めつゝ加工を行なうことを特徴としている。
また、上記方法を実施するための本発明に係るワイヤカ
ット放電加工装置は、ワイヤ電極の供給及び回収装置を
具備する第1のアーム又は加工ヘッドと、上記第1のア
ーム又は加工ヘッドから供給されたワイヤ電極を折り返
し互いに接触、逆方向に走行させ、上記第1のアーム又
は加工ヘッドに設けた回収装置に送り返す電極返送装置
を具備する第2のアーム又は加工ヘッドと、ワイヤ電極
を上記第1のアーム又は加工ヘッドから上記第2のアー
ム又は加工ヘッドの上記電極返送装置まで引き伸ばして
懸け渡す電極搬送装置と、被加工体を保持する装置と、
上記被加工体と上記第1及び第2のアーム又は加工ヘッ
ドの間を往復するワイヤ電極とを互いに接近対向させる
加工送り装置と、上記第1及び第2のアーム又は加工ヘ
ッドの間の往復2本のワイヤ電極を少なくとも上記被加
工体と接近対向せしめられた加工部分に於て、加工すべ
き溝の中心線上の一点を中心として、その中心線に対称
に一定角度往復回動せしめるワイヤ電極回動装置と、上
記被加工体とワイヤ電極の間に放電用電圧パルスを印加
する電源装置並びに給電機構と、上記被加工体とワイヤ
電極が接近対向せしめられて形成される加工間隙に加工
液を供給する装置とを設けたことを特徴としている。
〔作用〕
上記の如き構成であると、上記第1のアーム又は加工ヘ
ッドから導き出されたワイヤ電極は、被加工体と対向せ
しめられる加工部分を通過した後、上記第2のアーム又
は加工ヘッドに設けた電極返送装置へ懸け渡され、ここ
で折り返されて再び加工位置を通過した後、上記第1の
アーム又は加工ヘッドへ送り返されるものであるから、
加工部分では往復2本のワイヤ電極が互いに接触した状
態で並行して逆方向に走行せしめられ、且つ、この2本
のワイヤ電極が、加工すべき溝の中心線上の一点を中心
として、その中心線に対称に一定角度往復回動せしめら
れることになり、そのため、加工間隙が広げられ、加工
液はこの広い加工間隙を流れるので流量が増大し、冷却
効果が増大して大電流による加工が可能となるので加工
効率が向上すると共に、ワイヤ電極の全体的な強度が増
大して放電圧力による電極の撓みも解消され高精度の加
工が可能となるものである。更にまた、上記の如く折り
返した2本のワイヤ電極のうち、第2のアーム又は加工
ヘッドから第1のアーム又は加工ヘッドへ復帰しつゝあ
る表面の傷んだワイヤ電極で最初の荒加工を行ない、第
1のアーム又は加工ヘッドから第2のアーム又は加工ヘ
ッドへ向かう新規なワイヤ電極で仕上げ加工を行なうよ
うにすれば、良好な仕上げ面が得られる。また、加工開
始時等にワイヤ電極を引き廻す場合にも、上記第1のア
ーム又は加工ヘッド内で既に電極供給装置から回収装置
まで接続されているワイヤ電極の中間部分を上記電極搬
送装置で把持して第2のアーム又は加工ヘッドの電極返
送装置に引っ掛けるだけで加工部分への電極の張架作業
が完了するものであるから、その作業は自動的に且つ容
易に行なわれ得るものである。
〔実施例〕
以下、図面に示した実施例を参照しつゝ本発明の構成を
具体的に説明する。
第1図及び第2図は本発明に係るワイヤカット放電加工
装置の一実施例に於てワイヤ電極の張設過程を段階的に
示す説明図、第3図乃至第5図はワイヤ電極を第1のア
ーム又は加工ヘッドに設けた電極搬送装置により第2の
アーム又は加工ヘッドに設けた電極返送装置へ引き渡す
過程を段階的に示す説明図、第6図は加工部分に於ける
往復2本のワイヤ電極を回動させるためのワイヤ電極回
動装置の一実施例を示す拡大平面図、第7図は第6図中
のA−A線に沿った断面図、第8図は第6図に示した回
動装置の作動状態を示す平面図、第9図及び第10図は
本発明のワイヤカット放電加工装置によるそれぞれ異な
った加工状況を示す説明図である。
而して、第1図及び第2図中、101はカラム、102は上記
カラム101に対して図中上下方向へ移動可能に且つ加工
位置へ向けて伸長するよう設けられた第1のアーム又は
加工ヘッド、103は上記カラム101に対して図中上下方向
へ移動可能に且つ加工位置へ向けて伸長するよう設けら
れた第2のアーム又は加工ヘッド、104はワイヤ電極、1
05はワイヤ電極供給ドラム、106乃至112はワイヤ電極供
給のためのガイドローラ、113はガイドローラ111に対し
て接離可能に設けられたブレーキローラ、114は電極折
返しローラ、115及び116は通電ローラ、117及び118は電
極位置決め用のダイスや舟型等の案内117a及び118aを回
動させるためのワイヤ電極回動装置、119は上記電極折
返しローラ114を第2のアーム又は加工ヘッド側で保持
してワイヤ電極104をUターンさせて第1のアーム又は
加工ヘッド102側へ送り返す電極返送装置、120及び121
は押えローラ、122はキャプスタン、123はキャプスタン
122に対して接離可能に設けられたピンチローラ、124乃
至126はワイヤ電極回収のためのガイドローラ、127は電
極巻取りドラム、128は入れ子状に伸縮可能な電極搬送
装置、129は分割型の加工液噴出ノズル、130は加工タン
ク、131は加工タンク内に設けられた載物台、132はX軸
方向移動テーブル133及びY軸方向移動テーブル134並び
にそれらの駆動モータ135及び136等から成るクロススラ
イドテーブル、137はベッド、138は載物台131上にクラ
ンプ等で固定された被加工体、139は通電ローラ115を介
してワイヤ電極104と被加工体138間に放電加工用の電圧
パルスを印加する電源装置である。
而して、第1図は、加工準備段階に於けるワイヤ電極10
4の張設状態を示しており、当初の段階では、ワイヤ電
極供給ドラム105から引き出されたワイヤ電極104は、ワ
イヤ電極供給のためのガイドローラ106乃至111を経て、
これから図中点線で示す如く直接キャプスタン122及び
ピンチローラ123へ導かれ、次いで電極回収のためのガ
イドローラ124乃至126を経て電極巻取りドラム127に回
収されるよう接続されている。
このとき、ガイドローラ107,109並びにブレーキローラ1
13はいずれもそれぞれに対応するガイドローラ106,108,
111から離れており、押えローラ121もガイドローラ112
から離れ、通電ローラ115と116も互いに離れ、押えロー
ラ120も第3図に示すような加工中に於ける位置よりも
図中右側へ変位した状態にある。また、電極位置決め用
の案内117a及び118aとして、例えば特願昭58-194952
号、同58-210374号等に記載の接離や回動による開閉型
のダイスや舟型等の案内を有する電極回動装置117及び1
18は開離又は図中左側へ退避せしめられ、分割型加工液
噴出ノズル129も開いた状態にある。更にまた、加工中
は電極返送装置119側に移動して保持される折返しロー
ラ114も、第1図に示す状態に於ては電極搬送装置128の
先端に取り付けられた状態にある。
而して、加工を開始するに当たっては、油圧或いはモー
タ等を力源として伸縮する入れ子式の電極搬送装置128
を、図に示す如く徐々に伸長させる。然るときは、ガイ
ドローラ111とキャプスタン121の間に張設されているワ
イヤ電極104は、電極搬送装置128の先端に取り付けられ
ている電極折返しローラに電極114に引っ掛けられて図
中下方へ引き伸ばされる。その際、ガイドローラ107,10
9並びにブレーキローラ113等はそれらに対応するガイド
ローラ106,108,111から離れているため、ワイヤ電極104
は電極搬送装置128の伸長に伴って供給ドラム105から自
由に引き出される。折返しローラ114の外周には、ワイ
ヤ電極が脱落しないようにこれを保持し且つガイドする
ための溝が形成されている。
而して、電極搬送装置128が伸長してその先端が第2の
アーム又は加工ヘッド103内に設けた電極返送装置119に
達すると、折返しローラ114は電極搬送装置の先端から
離脱し、返送装置119によって捕捉される。その間の様
子を、第3図乃至第5図の実施例を参照しつゝ説明す
る。
これらの図には、電極返送装置119の構成の一実施例と
電極搬送装置128の先端部分の構成の一実施例が示され
ており、図中、128aは入れ子式電極搬送装置128の最先
端ロッド、128bは上記ロツドの先端に取り付けられた電
磁石ホルダ、128cは電磁石の鉄芯、128dはコイル、128
e,128e(図ではその一方のみを描いてある。)はその一
端が上記鉄芯128cの磁極に固着されると共に他端には電
極折返しローラ114の軸114aを吸着するための凹部128
a′が形成されたローラ吸着子であり、また、電極返送
装置119中、119aはケーシング、119bは上記ケーシング
に対して回動自在に軸支された枠体、119cは上記枠体の
回動軸に上記枠体と共に回転するよう固着された歯車、
119dは中間歯車、119eはモータ119fの回転軸に固着され
ると共に上記中間歯車119dに噛み合わせられたウォーム
ギア、119gは電磁石、119h,119h(図ではその一方のみ
を描いてある。)はその一端が上記電磁石119gの磁極に
固着されると共に他端には電極折返しローラ114の軸114
aを吸着するための凹部119h′が形成されたローラ吸着
板、119iはケーシング119a内面側壁に取り付けられた電
磁石、119jは枠体119bが閉じられたとき電磁石119iに吸
着されて枠体が開くのを防止する鉄材である。
而して、第3図に示す如く、ワイヤ電極104を巻き掛け
た折返しローラ114が、電極搬送装置128の先端に設けた
電磁石形式の吸着子128e,128eに吸着された状態で電極
返送装置119に接近して来る過程では、折返しローラ114
の進行を阻害しないよう電極返送装置119の枠体119bは
上に持ち上げて開いた状態にしておく。電極搬送装置12
8が更に伸長して、第4図に示す如く折返しローラ114の
軸114aが電極返送装置119のローラ吸着板119hの先端の
凹部119h′に受容されると、電極搬送装置に取り付けら
れている電磁石のコイル128dへの通電を断ち、代わりに
電極返送装置119側の電磁石119gに通電を行なって、折
返しローラ114の軸114aを電磁石119gのローラ吸着板119
h,119hに吸着させる。従って、この時点で電極搬送装置
128を収縮させると、折返しローラ114は搬送装置128の
ローラ吸着子128e,128eから離脱し、電極返送装置119側
のローラ吸着板119hに吸着された状態で残される。次い
で、モータ119fを作動させて第5図に示す如く枠体119b
を閉じ、電磁石119iに通電を行なって枠体に設けた鉄材
119jをこれに吸着させる。然るときは、ワイヤ電極104
に張力が加えられても、枠体119bは閉じられた状態を維
持し、これによって折返しローラ114は電極返送装置119
側に保持される。
以上の如くして、折返しローラ114が第2のアーム又は
加工ヘッド103に設けた電極返送装置119の側へ移動、保
持せしめられると、ワイヤ電極104は第1のアーム又は
加工ヘッド102と第2のアーム又は加工ヘッド103との間
を往復する状態でU字状に張設せしめられる状態とな
る。
然る後、第2図に示す如く、入れ子式の電極搬送装置12
8を完全に縮退せしめ、次いで押えローラ120及び121を
図中左方向へ移動させて第1及び第2のアーム又は加工
ヘッド間で往復張架されているワイヤ電極を互いに接
近、接触させると共に、ガイドローラ107,109並びにブ
レーキローラ113をそれぞれガイドローラ106,108,111に
当接せしめ、通電ローラ116も左側へ移動させてもう一
方の通電ローラ115と接触させ、更にまた、電極回動装
置117及び118を図中右方向へ変位せしめることによりそ
れぞれに設けられた電極位置決め案内117a及び118aによ
りワイヤ電極を一定位置に保持せしめ、キャプスタン12
2を回転させることによりワイヤ電極をゆっくりと走行
せしめる。次いで、分割型加工液噴出ノズル129を閉じ
て加工液の供給を開始し、電源装置139を作動させてワ
イヤ電極104と被加工体138間に電圧パルスを印加すれば
加工可能な状態となるので、クロススライドテーブル13
2のモータ135及び136を図では省略した数値制御装置の
指令に基づき駆動してワイヤ電極104と被加工体138間に
所定の間隙を保ちつゝ加工送りを行なえば、被加工体に
対して所望の形状の放電加工が遂行されるものである。
而して、上記加工期間中に於て、本発明に係る放電加工
方法及び装置にあっては、ワイヤ電極回動装置117及び1
18を作動させ、加工部分に於ける上記往復2本のワイヤ
電極を加工すべき溝の中心線上の一点を中心として、そ
の中心線に対称に一定角度往復回動させることにより、
加工部分への加工液の流通を向上せしめるものである。
以下、第6図乃至第8図を参照しつゝ、上記ワイヤ電極
回動装置117及び118の構成並びにその機能について説明
する。但し、両回動装置の構成は同一であるので、ここ
では第1のアーム102側に設けられた電極回動装置117に
ついてのみ説明し、第2のアーム103側の回動装置118に
ついては省略する。
第6図乃至第8図中、117aはワイヤ電極位置決め案内、
117bは架台、117cはその周縁部にウォームホイール形式
の歯形107c-1が形成され、またその底面の突出部117c-2
が上記架台107bに形成した凹部107b-1に回動自在に嵌め
込まれると共に、部分的に扇形の切欠き部117c-3を有す
る回動盤、117dは上記回動盤117cの上面に固着された案
内ホルダ、117eは上記案内ホルダ117dに対する案内117a
の位置を微調整するための調節ネジ、117fは往復する2
本のワイヤ電極104(以下、第1のアーム又は加工ヘッ
ドから第2のアーム又は加工ヘッドへ向かうものを「往
き側電極104a」、第2のアーム又は加工ヘッドから第1
のアーム又は加工ヘッドへ返送されるものを「戻り側電
極104b」とする。)を上記電極位置決め案内117aに形成
された電極案内溝中に保持するための押えピン、117gは
押えピンホルダ、117hは上記押えピンホルダ117g中に内
蔵され上記押えピン117fを押し出すスプリング、117iは
上記押えピンホルダ117gを上記案内117aに対して接離自
在に支承する支持枠、117j,117jは上記回動盤117cの上
面に固着され、上記支持枠117iを摺動自在にガイドする
支持枠ガイド、117kは上記回動盤107cの上面に取り付け
られたモータ1171の回転軸に取り付けられ、上記支持枠
117iの側面に刻設されたラックギア117i-1と噛み合わせ
られたピニオンギア、117mは上記架台117bに取り付けら
れたモータ117nの回転軸に取り付けられ、上記回動盤11
7cの周縁部に形成したウォームホイール形式の歯形117c
-1に噛み合わせられたウォームギア、117o(第7図参
照)は上記架台117bをその底面に固着された支軸117b-2
により回動自在に支承する基板、117p及び117qはベアリ
ング、117rは上記支軸117b-2に固着されたウォームホイ
ール、117sは基板117oに取り付けられたモータ117tの回
転軸に取り付けられ、上記ウォームホイール117rと噛み
合うウォームギアである。
なお、上記基板117oは図で省略したスライド機構により
前記第1のアーム又は加工ヘッド102に対して図中左右
方向に変位可能に取ら付けられている。
而して、第1図に示す如く、ワイヤ電極搬送装置128が
作動して、ワイヤ電極104が第1のアーム又は加工ヘッ
ド102から第2のアーム又は加工ヘッド103へ懸け渡され
る期間中に於ては、ワイヤ電極回動装置117全体は図中
左方向へ退行せしめられると共に、回動盤117c上で支持
枠117iを図中左右方向へ移動せしめるピニオンギア117k
が図中反時計方向へ回転し、これに噛み合うラックギア
117i-1により支持枠117iは図中右方向へ伸長せしめら
れ、そのため押えピン117fは案内117aから離隔して最右
端位置まで離れ、これにより上記支持枠117iと、回動盤
117cの扇形の切欠き部117c-3及び架台117bの扇形の切欠
き部117b-3との間に形成される空間をくぐり抜ける形で
上記電極搬送装置128の通過が許容されるようになって
いる。而して、第2図に示す如く、ワイヤ電極104が第
2のアーム又は加工ヘッド103に設けた電極返送装置に
巻き懸けられ、往復2本のワイヤ電極104a,104bが支持
枠117i内の領域に挿通されると、基板117oが図中右方向
へ進出し、これにより往復2本のワイヤ電極104a,104b
は上記電極位置決め案内117aに形成した電極案内溝内に
取り込まれる。このとき同時に上記ピニオンギア117kが
図中時計方向へ回転せしめられ、支持枠117iが図中左方
向へ移動して、押えピン117fが案内117aの電極案内溝中
に浸入し、スプリング117hの作用により上記2本のワイ
ヤ電極104a,104bを充分近接又は互いに接触押圧せしめ
て一定位置に保持する。
以上により電極の張設作業が完了し加工部分に往復2本
のワイヤ電極104a,104bが一定の張力を保って直線状に
張架せしめられると、前記の如くワイヤ電極と被加工体
間に放電加工用電圧パルスが印加されると共に、クロス
スライドテーブル132を数値制御装置により制御しつゝ
両者間に加工送りを付与することによって加工が開始さ
れる。而して、加工期間中上記往復2本のワイヤ電極10
4a,104bは、それらの中心を結ぶ線が加工輪郭線方向、
即ち加工送り方向と同一方向となるように配置されるの
が望ましく、例えば直線部分を加工する際には、ワイヤ
電極104aと104bが当該直線と同一方向に並んで配列さ
れ、また曲線部分を加工する際には、これらが当該曲線
の接線方向に沿って配列されるのが望ましい。そのた
め、加工期間中は図では省略した数値制御装置からの指
令により基板117oに取り付けたモータ117tが数値制御装
置からの指令により作動せしめられ、これによりウォー
ムギア117s及びウォームホイール117rを介して架台117b
全体が回動せしめられ、これによってワイヤ電極104a,1
04bが常に加工輪郭線方向、即ち加工すべき溝の中心線
に沿って配置されるよう調整される。
而して、これと同時に架台117bに取り付けられたモータ
117nが交互に正逆転せしめられ、これにより回動盤117c
が所定の角度範囲内で図中時計方向及び反時計方向へ往
復回動せしめられる。第8図には、回動盤117cが第6図
に示した状態から反時計方向へ60度回動せしめられた
状態が示されており、引き続いてモータ117nが逆転せし
められると回動盤117cは第6図に示した状態から時計方
向へ60度回転した位置まで回動せしめられ、合計120度
の範囲内で回動せしめられるようになっている。この角
度範囲は通常5〜15度程度の範囲内に設定されるもので
あるが、必要に応じて180度程度まで回動し得るように
構成しても良い。従って、ワイヤ電極104a,104bは、前
記の如く、加工すべき溝の中心線に沿って配列されると
共に、加工中、上記加工すべき溝の中心線上の一点を中
心として、その中心線に対称に一定角度範囲内で往復回
動せしめられることになる。
この様子を第9図を参照しつゝ説明すれば、図中実線で
示されたワイヤ電極104a,104bは、前記の如く架台117b
自体を基板117oに対して回動させることにより、被加工
体138に対する曲線状加工輪郭線138aの接線方向、即
ち、加工すべき溝の中心線に沿って配列せしめられると
共に、加工中、上記回動盤117cが往復回動せしめられる
ことにより、上記加工すべき溝の中心線上の一点を中心
として、その中心線に対称に一定角度範囲内で往復回動
せしめられ、これによりワイヤ電極104aは図中一点鎖線
で示す範囲内で往復回動せしめられ、またワイヤ電極10
4bは図中二点鎖線で示す範囲内で往復回動せしめられる
ことになる。そのため、被加工体138とワイヤ電極104a,
104bとの間に形成される加工間隙140は、1本のワイヤ
電極を用いて加工する場合に比べて格段に広くなり、こ
の加工間隙内へ供給される加工液の流量は多いに増進さ
れ、これによって加工効率は大幅に向上するのである。
また、往復するワイヤ電極104aと104bが互いに接触せし
められた状態で加工が行なわれるため、放電圧力による
電極の撓みも減少し、高精度の加工が可能となる。
更にまた、ワイヤ電極は加工部分を2回通過せしめられ
ることによりその表面が粗れてくることになるが、第1
0図に示す如く、第2のアーム又は加工ヘッドから第1
のアーム又は加工ヘッドへ復帰する戻り側ワイヤ電極10
4bを加工進行方向に於て前側になるようにして加工を行
なうようにすれば、表面の粗れたワイヤ電極104bにより
最初の荒加工が行なわれ、次いで表面の粗れていない往
き側ワイヤ電極104aによって仕上げ加工が行なわれるの
で、仕上げ状態の良好な加工が効率良く行なわれるもの
である。
而して、上記実施例に於ては、回動盤117cの回転中心
が、ワイヤ電極104aと104bとの接触線と一致するように
して両電極を回動させるようにしたが、調節ネジ117eを
調節して回動盤117c上に於ける案内117aの位置を変位さ
せることにより、ワイヤ電極104bを104aの周りで回動さ
せたり、その逆としたりすることも可能である。通常
は、最も集中的に加工が行なわれる加工進行方向先端領
域への加工液の流通を良好ならしめるため、加工前方側
のワイヤ電極を後方側のワイヤ電極を中心として5〜15
度程度回動せしめつゝ加工を行なうものである。
なお、ワイヤ電極張設のための一連の作業に於て、ガイ
ドローラ107,109やブレーキローラ113の動き、押えロー
ラ120,121や通電ローラ116の動き、電極回動装置117,11
8全体の動き、分割型加工液噴出ノズル129の開閉動作、
電極搬送装置128や電極返送装置119の作動、そして更
に、ワイヤ電極回動装置117に組み込まれたモータ117k,
117n,117tの作動等々は、加工送りを制御する前記数値
制御装置に組み込まれたプログラムに従って所定の順序
で遂行されるように制御することが推奨される。
なお、上記の説明では、加工開始前に於けるワイヤ電極
104は、第1図に示す如く、電極供給ドラム105からガイ
ドローラ106乃至111を径て、これから直ちに点線で示す
如くキャプスタン121、ガイドローラ124乃至126を経由
して電極巻取りドラム127へ回収されるよう張設されて
いることを想定したが、もし加工の途中でワイヤ電極が
加工部分近くに於て切断されたような場合には、ガイド
ローラ111及びブレーキローラ113よりも下流側に残され
ている当該切断されたワイヤ電極の一端を適宜の電極捕
捉機構で保持してキャプスタン121とピンチローラ123と
の間に導くようにすれば、ワイヤ電極は再びガイドロー
ラ111とキャプスタン122との間に張設されるものである
から、以下前記と同様の手順により電極搬送装置128等
を作動させて、ワイヤ電極を第1のアーム又は加工ヘッ
ドと第2のアーム又は加工ヘッドとの間に往復張架せし
めることができる。
〔発明の効果〕
本発明は叙上の如く構成されるから、本発明によるとき
は、加工すべき溝の中心線上の一点を中心として、その
中心線に対称に一定角度範囲内で往復回動せしめられる
2本のワイヤ電極と被加工体との間に広い加工間隙が形
成され、そのため加工液の流通が良好となって冷却効果
が増進され、大電流による加工が可能となるので加工効
率が向上すると共に、2本のワイヤ電極を接触させて走
行させるので、全体的なワイヤ電極の強度が増大して放
電圧力による電極の撓みも解消され高精度の加工が可能
となる。また、往復2本のワイヤ電極の配置を加工すべ
き溝の中心線に対して適切に設定することにより荒加工
と仕上げ加工が同時に効率良く行なわれる。更にまた、
加工開始時やワイヤ電極切断時等にワイヤ電極を引き廻
す場合にも、上記第1のアーム又は加工ヘッド内で既に
電極供給装置から回収装置まで接続されているワイヤ電
極の中間部分を上記電極搬送装置で把持して第2のアー
ム又は加工ヘッドの電極返送装置に引っ掛けるだけで加
工部分への電極の張架作業が完了するものであるから、
その作業は自動的に且つ容易に行なわれ得るものであ
る。
なお、本発明の構成は叙上の実施例に限定されるもので
はない。即ち例えば、電極搬送装置128は必ずしも入れ
子状の伸縮形式のものでなくとも良く、単に1本のロッ
ドを昇降させるようなものでも良い。加工液噴出ノズル
129も、第1のアーム又は加工ヘッドのみでなく第2の
アーム又は加工ヘッドにも取り付けるようにすることが
推奨される。電極返送装置119についても、ワイヤ電極1
04を第2のアーム又は加工ヘッド側で折り返して第1の
アーム又は加工ヘッド側へ返送できるような構成のもの
であれば、その形態は任意のもので良い。例えば電極折
返しローラ114を電極返送装置119に始終固定された状態
のものとし、電極搬送装置128の最先端ロッド128aに引
掛けたワイヤ電極、又は前記ロッド128aを細長いパイプ
として、該パイプ内外に折返し送行させるワイヤ電極
を、前記固定の折返しローラ114に引掛けるような構成
とすることができる。また、ワイヤ電極回動装置117の
構成も上記実施例のものに限定されることなく種々設計
変更することができ、電極位置決め案内117aも前述した
ように種々の形態のものが利用できる。なお、図示した
実施例に於ては、電極回動装置117及び118により電極位
置決め案内117a並びに118aのみを回動させるように構成
したが、通電ローラ115,116、ガイドローラ112、押えロ
ーラ121等も案内117aと一緒に回動させ、更には電極返
送装置119や押えローラ120も案内118aと一緒に回動させ
るよう構成しても良く、要するに、被加工体と対向せし
められた部分の往復2本のワイヤ電極が少なくとも当該
加工部分に於て加工すべき溝の中心線上の一点を中心と
して、その中心線に対称に一定角度範囲内で往復回動せ
しめられるような構成であれば、任意の形態のもので良
い。更にまた、上記実施例に於ては、使用済みのワイヤ
電極を電極巻取りドラム127に回収するようにしたが、
回収箱に直接廃棄するようにしても良い。従って、本発
明は上記の説明から当業者が容易に想到し得るすべての
変更実施例を包摂するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明に係るワイヤカット放電加工
装置の一実施例に於てワイヤ電極の張設過程を段階的に
示す説明図、第3図乃至第5図はワイヤ電極を第1のア
ーム又は加工ヘッドに設けた電極搬送装置により第2の
アーム又は加工ヘッドに設けた電極返送装置へ引き渡す
過程を段階的に示す説明図、第6図は加工部分に於ける
往復2本のワイヤ電極を回動させるためのワイヤ電極回
動装置の一実施例を示す拡大平面図、第7図は第6図中
のA−A線に沿った断面図、第8図は第6図に示した回
動装置の作動状態を示す平面図、第9図及び第10図は
本発明ワイヤカット放電加工装置によるそれぞれ異なっ
た加工状況を示す説明図である。 101……カラム 102……第1のアーム 103……第2のアーム 104……ワイヤ電極 105……ワイヤ電極供給ドラム 106〜112………ガイドローラ 113……ブレーキローラ 114……電極折返しローラ 115,116……通電ローラ 117,118……ワイヤ電極回動装置 117a,118a……電極位置決め案内 117b……架台 117c……回動盤 117d……案内ホルダ 117e……調節ネジ 117f……押えピン 117g……押えピンホルダ 117h……スプリング 117i……支持枠 117j,117j……支持枠ガイド 117k……ピニオンギア 117l……モータ 117m……ウォームギア 117n……モータ 117o……基板 117p,117q……ベアリング 117r……ウォームホイール 117s……ウォームギア 117t……モータ 119……電極返送装置 119a……ケーシング 119b……枠体 119c……歯車 119d……中間歯車 119e……ウォームギア 119f……モータ 119g……電磁石 119h,119h……ローラ吸着板 119i……電磁石 119j……鉄材 120,121……押えローラ 122……キャプスタン 123……ピンチローラ 124〜126……ガイドローラ 127……電極巻取りドラム 128……電極搬送装置 128a……最先端ロッド 128b……電磁石ホルダ 128c……電磁石鉄芯 128d……電磁石コイル 128e,128e……ローラ吸着子 129……分割型加工液噴出ノズル 130……加工タンク 131……載物台 132……クロススライドテーブル 137……ベッド 138……被加工体 139……電源装置 140,141……加工間隙

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1本のワイヤ電極を折り返し、互いに接触
    して逆方向に走行させ、この往復2本のワイヤ電極を被
    加工体と接近、対向させて走行せしめると共に、上記2
    本のワイヤ電極を加工すべき溝の中心線上の一点を中心
    として、その中心線に対称に一定角度往復回動せしめつ
    ゝ加工を行なうことを特徴とするワイヤカット放電加工
    方法。
  2. 【請求項2】一定角度往復回動の中心が2本のワイヤ電
    極の接触線である特許請求の範囲第1項記載に記載のワ
    イヤカット放電加工方法。
  3. 【請求項3】一定角度往復回動の中心が加工後方側のワ
    イヤ電極の中心である特許請求の範囲第1項記載に記載
    のワイヤカット放電加工方法。
  4. 【請求項4】一定角度往復回動の角度が5以上15度以
    下である特許請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1
    項に記載のワイヤカット放電加工装置。
  5. 【請求項5】ワイヤ電極の供給及び回収装置を具備する
    第1のアーム又は加工ヘッドと、上記第1のアーム又は
    加工ヘッドから供給されたワイヤ電極を折り返し互いに
    接触、逆方向に走行させ、上記第1のアーム又は加工ヘ
    ッドに設けた回収装置に送り返す電極返送装置を具備す
    る第2のアーム又は加工ヘッドと、ワイヤ電極を上記第
    1のアーム又は加工ヘッドから上記第2のアーム又は加
    工ヘッドの上記電極返送装置まで引き伸ばして懸け渡す
    電極搬送装置と、被加工体を保持する装置と、上記被加
    工体と上記第1及び第2のアーム又は加工ヘッドの間を
    往復するワイヤ電極とを互いに接近対向させる加工送り
    装置と、上記第1及び第2のアーム又は加工ヘッドの間
    の往復2本のワイヤ電極を少なくとも上記被加工体と接
    近対向せしめられた加工部分に於いて加工すべき溝の中
    心線上の一点を中心として、その中心線に対称に一定角
    度往復回動せしめるワイヤ電極回動装置と、上記被加工
    体とワイヤ電極の間に放電加工用電圧パルスを印加する
    電源装置並びに給電機構と、上記被加工体とワイヤ電極
    が接近対向せしめられて形成される加工間隙に加工液を
    供給する装置とを備えたことを特徴とするワイヤカット
    放電加工装置。
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