JPH0657137A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JPH0657137A
JPH0657137A JP21169392A JP21169392A JPH0657137A JP H0657137 A JPH0657137 A JP H0657137A JP 21169392 A JP21169392 A JP 21169392A JP 21169392 A JP21169392 A JP 21169392A JP H0657137 A JPH0657137 A JP H0657137A
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JP
Japan
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zeolite
polyphenylene sulfide
resin composition
sulfide resin
parts
Prior art date
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JP21169392A
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English (en)
Inventor
Atsushi Ishio
敦 石王
Kosuke Sakamoto
講輔 坂本
Kazuhiko Kobayashi
和彦 小林
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100
重量部、および(B)ナトリウム型におけるSiO2
Al2 3 モル比が2〜50であり、かつゼオライト中
の陽イオンが非金属陽イオンに置換された結晶性ゼオラ
イト0.1〜10重量部からなるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物。 【効果】 本発明は、成形加工性にすぐれたポリフェニ
レンスルフィド樹脂組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、成形加工性にすぐれ
たポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するもので
あり、さらに詳しくは、離型性が良好で結晶化速度が速
く、成形サイクルが改良されたポリフェニレンスルフィ
ド樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PS樹脂と略す)は優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬
品性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な
性質を有しており、射出成形用を中心として各種電気部
品、機械部品および自動車部品などに使用されている。
【0003】しかしながら、PPS樹脂はナイロン6や
66樹脂、PBT樹脂などの他の結晶性汎用エンジニア
リング樹脂に比べて結晶化速度が遅い。そのため、射出
成形の際、例えば120℃以上の高い金型温度で比較的
長い成形サイクルで成形する必要があり、生産性があま
り高くないことがしばしば問題となり、PPS樹脂の需
要拡大を妨げる一因となっている。
【0004】PPS樹脂の成形加工性向上を目的とした
試みはこれまでにも多くなされており、特定の有機酸ま
たは有機酸無水物を添加する方法(例えば特開昭62−
204267号公報)、特定のカオリンを添加する方法
(例えば特開昭63−245463号公報)、特定の有
機リン酸アルカリ金属塩化合物を添加する方法(例えば
特開昭64−54066号公報)、ゼオライト中の陽イ
オンが金属陽イオンである結晶質ゼオライトを添加する
方法(例えば特開平3−146556号公報)等が提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62−204267号公報、特開昭63−245463
号公報、特開昭64−54066号公報および特開平3
−146556号公報記載の方法では、いずれも結晶化
特性向上効果が未だ不十分であり、特に金型温度が低め
に設定された場合には、成形品の結晶化に長い時間を要
する等の問題点が残る。
【0006】従って本発明は、離型性が良好で結晶化速
度が速く、成形サイクルが改良されたPPS樹脂組成物
の取得を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記課題を克服すべく鋭意検討を重ねた結果、PPS樹脂
に対し非金属陽イオンにイオン交換された結晶性ゼオラ
イトを特定量配合することにより、特に金型温度が低め
に設定された場合においても、短時間で成形品の結晶化
が進行し、成形サイクルを短縮できることを見出し本発
明に到達した。すなわち本発明は、(A)ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂100重量部、および(B)ナトリウ
ム型におけるSiO2 /Al2 3 モル比が2〜50で
あり、かつゼオライト中の陽イオンが非金属陽イオンに
置換された結晶性ゼオライト0.1〜10重量部からな
るポリフェニレンスルフィド樹脂組成物提供するもので
ある。
【0008】本発明で使用するポリフェニレンスルフィ
ド樹脂とは、構造式(I)で示される繰り返し単位を
【化1】 70モル%以上、より好ましくは90モル%以上を含む
重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満で
は、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またPPS
樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構
造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能であ
る。
【0009】
【化2】 本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練
が可能であれば特に制限はないが、通常50〜20,0
00ポアズ(320℃、剪断速度10sec-1)のもの
が使用される。
【0010】かかるPPS樹脂は通常公知の方法、即ち
特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量
の小さな重合体を得る方法、あるいは特公昭52−12
240号公報や特開昭61−7332号公報に記載され
る比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって
製造できる。本発明において上記の様に得られたPPS
樹脂を、酸素存在下加熱による架橋/高分子量化、有機
溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、イソ
シアネ−トなどの官能基含有化合物による活性化など種
々の処理を施した上で使用することももちろん可能であ
る。
【0011】ゼオライトは一般にシリカとアルミナから
構成される結晶性アルミノシリケートに属し、そのアル
ミノシリケートは基本的にSiO4 とAlO4 の四面体
が酸素原子を共有して交さ結合している三次元骨格構造
からなっている。アルミニウムを含む四面体構造は負の
電荷を帯び、結晶中に陽イオン、例えばアルカリ金属イ
オン、アルカリ土類金属イオン、水素イオン、アンモニ
ウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等を含むこと
により電気的中性を保っており、これら陽イオンのほと
んどが適当なイオン交換法により、他の陽イオンと交換
できることは、ゼオライトの最も重要な性質の1つとし
てよく知られている。
【0012】本発明で使用されるゼオライトは、結晶中
の陽イオンがナトリウムである状態における(これをナ
トリウム型とする)SiO2 /Al2 3 モル比が2〜
50である必要がある。SiO2 /Al2 3 モル比が
50を越えるゼオライトでは、ゼオライト中の陽イオン
が非金属陽イオンにイオン交換されたゼオライトを用い
ても、十分な成形加工性向上効果が得られないため好ま
しくない。
【0013】ゼオライトには天然産と合成品が存在し、
天然のものとしては例えば、ホウフッ石、ソーダフッ
石、キフッ石、クリノプチロライト、カイジュウジフッ
石、モルデンフッ石、リョウフッ石等を挙げることがで
き、また合成ゼオライトとしてはA、B、D、E、F、
G、H、J、L、M、Q、R、S、T、U、X、Y、
Z、β、モルデナイト、フォージャサイト、MFI、フ
ェリエライト型等を挙げることができる。本発明に使用
されるゼオライトとしては、SiO2 /Al2 3モル
比が2〜50の範囲内であれば、いかなる種類のゼオラ
イトを用いても良いが、純度等を高くできる合成品の方
がより好適であり、中でもA型ゼオライト、MFI型ゼ
オライト、モルデナイト型ゼオライト、フォージャサイ
ト型ゼオライトが特に好適に用いられる。
【0014】かかるゼオライトは、例えばUSP343
6174明細書、特開昭52−948999号公報ある
いは特公平2−27283号公報などに開示されている
ような通常公知の方法で合成することができる。
【0015】またゼオライトは前述したように、基本的
にはシリカの四面体とアルミナの四面体から構成される
が、Siの一部をGe、Tiなどで置き換えたり、ある
いはAlの一部をGa、Fe、B、Crなどで置き換え
たいわゆる同型置換体もまた、本発明のゼオライトに包
含される。
【0016】通常得られるゼオライトの陽イオンは、ア
ルカリ金属イオンまたはアリカリ土類金属イオン等の金
属イオンである場合が多い。しかしながら、本発明に用
いられるゼオライトは、ゼオライト中のイオン交換され
得る陽イオンの少なくとも10モル%以上が非金属陽イ
オンに置換されている必要があり、好ましく50モル%
以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましく
は95モル%以上が非金属陽イオンに置換されたもので
ある。非金属陽イオンにイオン交換されていないゼオラ
イトを用いても十分な成形加工性向上効果が得られない
ばかりか、逆に成形加工性を損なう場合もある。
【0017】かかる非金属陽イオンとしては、水素イオ
ン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオ
ン、ピリジニウムイオン、アニリニウムイオン等が挙げ
られ、中でも水素イオン、アンモニウムイオンが好適で
ある。またこれら非金属陽イオンは、1種のみを用いて
も良いし、2種以上を同時に用いても良い。
【0018】ゼオライト中の陽イオンを非金属陽イオン
に置換する方法としては、これらの非金属陽イオンを含
む溶液で処理してイオン交換を行なう方法、また水素イ
オンにイオン交換する場合には、アンモニウムイオンを
含む溶液で処理してアンモニウムイオンを導入し、つい
で焼成する方法等、通常公知の方法が挙げられ例えば特
開昭58−118623号公報等に開示されている。
【0019】かかる非金属陽イオンに置換されたゼオラ
イトの配合量は、ポリフェニレンスルフィド樹脂100
重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜
7重量部、より好ましくは0.5〜5重量部が選択され
る。配合量が0.1重量部未満では成形加工性改良効果
が小さいため好ましくない。また10重量部を越えて配
合しても、より大きな成形加工性改良効果が得られない
上、流動性、機械特性の低下を招くため好ましくない。
【0020】本発明においては、強度及び寸法安定性等
を向上させるため、必要に応じて繊維状および/または
非繊維状充填材を配合しても良い。かかる繊維状および
/または非繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊
維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アルミ
ナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊
維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラス
テナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベ
ントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート
などの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属
化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ
トなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの
硫酸塩、ガラス・ビーズ、セラミックビ−ズ、窒化ホウ
素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げ
られ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充
填剤を2種類以上併用することも可能である。また、こ
れら繊維状および/または非繊維状充填材をシラン系あ
るいはチタネ−ト系などのカップリング剤で予備処理し
て使用することは、機械的強度などの面からより好まし
い。
【0021】本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効
果を損なわない範囲で、機械特性等の改良を目的とし
て、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合
物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプ
ト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメト
キシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロ
ピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキ
シシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランな
どのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などの有機シ
ラン化合物を添加することができる。
【0022】本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効
果を損なわない範囲において、ポリオレフィン系化合
物、シリコーン系化合物、エステル系化合物などの離型
剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、エス
テル系化合物、チオエーテル系化合物、有機リン化合物
などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン系化合物な
どの結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防
止剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を添加することがで
きる。また、本発明のPPS樹脂組成物は本発明の効果
を損なわない範囲で、ポリアミド、ポリフェニレンオキ
シド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリエ−
テルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリカ−
ボネ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルケト
ン、ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリチオエ−テルケ
トン、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリエチレン、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエス
テル、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラスト
マ、ポリアルキレンオキサイド等の樹脂を含んでも良
い。
【0023】本発明の組成物の調製方法は特に制限はな
いが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バン
バリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ミキシングロ−ルなど通常
公知の溶融混合機に供給して280〜380℃の温度で
混練する方法、PPS重合時に、モノマ等とともにゼオ
ライトを添加し重合する方法、あるいは重合中、重合終
了時にゼオライトを添加する方法などを例として挙げる
ことができる。また、原料の混合順序にも特に制限はな
い。
【0024】本発明により得られるポリフェニレンスル
フィド樹脂組成物は、PPS樹脂が本来有する優れた特
性を大きく損なうことなく、成形サイクルが向上した樹
脂組成物であり、センサー、LEDランプ、コネクタ
ー、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイ
ルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックア
ップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント
基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッ
ドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモ
ジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシ
ャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテ
ナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子
部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードラ
イヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オー
ディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音
声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タ
イプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表さ
れる家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター
関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複
写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、
タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微
鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精
密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネ
ーターコネクター、、ICレギュレーター、ライトディ
ヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の
各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エ
アーインテークノズルスノーケル、インテークマニホー
ルド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブ
レターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気
ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレー
キパットウェアーセンサー、スロットルポジションセン
サー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフ
ローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン
用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロール
バルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、
ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパ
ーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータ
ースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用
ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エア
コンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、
ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶
縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ラ
ンプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピスト
ン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点
火装置ケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用
途に有用である。
【0025】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明する。
【0026】
【実施例】実施例および比較例の中で述べられる諸特性
は、各々次の方法に従って測定した。
【0027】成形加工性:中央部に高さ2mmのリブを
有する40x15x1mmの平板成形品を型締力20ト
ンの射出成形機を用いてシリンダー温度300℃、金型
温度110〜130℃の条件で成形した際の離型力及び
結晶化が十分に進行しかつ突き出しピンによる変形やス
プルーが切れるなどの成形不良が起こらない成形品が得
られる最短の成形サイクルを測定して、成形加工性の目
安とした。
【0028】曲げ強度:ASTM−D790 参考例1(ポリフェニレンスルフィドの合成) PPS−1:オートクレーブに硫化ナトリウム3.26
Kg(25モル、結晶水40%を含む)、水酸化ナトリ
ウム4g、酢酸ナトリウム三水和物1.19Kg(約
8.8モル)およびNMP7.9Kgを仕込み、撹拌し
ながら徐々に205℃まで昇温し、水1.36Kgを含
む留出水約1.5リットルを除去した。残留混合物に
1,4−ジクロロベンゼン3.75Kg(25.5モ
ル)およびNMP2Kgを加え、265℃で3時間加熱
した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄し、80℃
で24時間減圧乾燥して、溶融粘度約600ポアズ(3
10℃、剪断速度1000秒-1)の粉末状ポリフェニレ
ンスルフィド(PPS−1)約2Kgを得た。
【0029】また、PPS−2としては東レ−フィリッ
プス・ペトロリウム社製PPS樹脂、L2120を使用
した。
【0030】参考例2(ゼオライトの合成) 内容積2.5リットルの第1反応容器に0.5kgの水
を入れ、約80℃に加温維持した。この反応容器にケイ
酸ソーダ溶液(SiO2 5.00wt%、Na2 O1.
61wt%含有)を4.04kg/HRで供給し、撹拌
しながら反応容器内phが9〜10になるように硫酸水
溶液(H2 SO4 15wt%含有)を供給した。第1反
応容器からオーバーフローした反応混合物は内容積1.
5リットルの第2反応容器でphが約7位になるまで硫
酸水溶液を供給した。第2反応容器からでた反応生成物
を水洗、ろ過し、約60℃で乾燥し、含水ケイ酸を得
た。次にこの含水ケイ酸と固形カセイソーダ、アルミン
酸ソーダ及び水を、反応混合物組成比(モル比)がSi
2 /Al2 3 =30、OH- /SiO2 =0.2
5、H2 O/SiO2 =20になるように、500ml
容のオートクレーブに仕込んで密閉し、撹拌しながら1
60℃で72時間反応させた。反応終了後、生成物をオ
ートクレーブから取り出し、蒸留水で洗浄、ろ過し、1
00〜120℃で1夜乾燥し、ナトリウム型ゼオライト
(Z−1)を得た。得られたサンプルのX線回折測定結
果から、このサンプルはモルデナイト型ゼオライトであ
った。また化学組成分析の結果絶乾基準でこのゼオライ
トの化学組成は、0.98Na2 O・Al2 3 ・1
7.6SiO2 であり、従ってSiO2 /Al2 3
ル比は17.6である。
【0031】次に得られたゼオライト粉末を0.19規
定の塩化アンモニウム水溶液で固液比5(リットル/k
g)にて、80〜90℃に加温し、1時間バッチ的にイ
オン交換処理を行い、その後イオン交換水で十分洗浄し
た。このイオン交換・洗浄を3回繰り返した後、最後に
イオン交換水で更に洗浄を行い、110℃で1夜乾燥し
アンモニウムイオンでイオン交換されたゼオライト(Z
−2)を得た。最後にこの脱アルカリ処理されたゼオラ
イト粉末を550℃で2時間焼成して、水素イオン化ゼ
オライト(Z−3)を得た。
【0032】参考例3(ゼオライトの合成) 内容積10リットルの反応容器に1.37kgの水を入
れ、約80℃に加温した。この反応容器にケイ酸ソーダ
水溶液(SiO2 13.5wt%、Na2 O4.35w
t%含有)を2.42kg/HRで供給し、撹拌しなが
ら反応容器内phが9〜10になるように硫酸水溶液
(H2 SO4 15wt%含有)を0.996/HRで供
給した。1.5時間後、ケイ酸ソーダ水溶液の供給を停
止し、phが約7位になるまで硫酸水溶液を供給した。
その後、反応生成物を水洗、ろ過し、約60℃で乾燥
し、含水ケイ酸を得た。次にこの含水ケイ酸と固形カセ
イソーダ、アルミン酸ソーダ及び水を、反応混合物組成
比(モル比)がSiO2 /Al2 3 =100、OH-
/SiO2 =0.18、H2 O/SiO2 =20になる
ように、500ml容のオートクレーブに仕込んで密閉
し、撹拌しながら160℃で72時間反応させた。反応
終了後、生成物をオートクレーブから取り出し、蒸留水
で洗浄、ろ過し、100〜120℃で1夜乾燥した。得
られたサンプルのX線回折測定結果からこのサンプルは
MFI型ゼオライトであった。また化学組成分析の結果
絶乾基準でこのゼオライトの化学組成は、1.2Na2
O・Al23 ・55.7SiO2 であり、従ってSi
2 /Al2 3 モル比は55.7である。
【0033】得られたゼオライト粉末を参考例2と同様
の方法で脱アルカリ処理、550℃で2時間焼成して、
水素イオン化ゼオライト(Z−4)を得た。
【0034】またZ−5としては、東ソー株式会社製の
フォージャサイト型ゼオライト(SiO2 /Al2 3
モル比は5.1)を、参考例2と同様の方法で脱アルカ
リ処理し、500℃で2時間焼成して水素イオン化した
後用いた。
【0035】実施例1〜5 PPS樹脂、ゼオライトおよび充填材とを表1に示す割
合でドライブレンドした後、280〜320℃の温度条
件に設定したスクリュ−式押出機により溶融混練後ペレ
タイズした。得られたペレットを用い成形加工性の評価
と機械特性評価用サンプルを成形し、得られた試験片に
ついて曲げ強さを測定した。結果を表2に示す。
【0036】比較例1〜4 ゼオライトを添加せずにPPS樹脂および充填材を表1
に示す割合で実施例と同様にしてドライブレンド、溶融
混練、ペレタイズを行なった。得られたペレットを用い
成形加工性の評価と機械特性評価用サンプルを成形し、
得られた試験片について曲げ強さを測定した。結果を表
2に示す。
【0037】比較例5 ゼオライトの添加量を15重量部にしたこと以外は実施
例4と同様にしてドライブレンド、溶融混練、ペレタイ
ズを行なった。得られたペレットを用い成形加工性の評
価と機械特性評価用サンプルを成形し、得られた試験片
について曲げ強さを測定した。結果を表2に示す。
【0038】この様にゼオライト(Z−5、2、3)を
添加することにより、添加しない場合に比べ成形加工性
の向上が認められる。しかしゼオライト添加量を15重
量部に増加しても、より大きな成形加工性改良効果が認
められないばかりか、曲げ強度の大きな低下が起こって
しまう。
【0039】比較例6〜7 参考例2(Z−1)及び参考例3(Z−4)ゼオライト
を使用したこと以外は、実施例2と同様にしてドライブ
レンド、溶融混練、ペレタイズを行なった。得られたペ
レットを用い成形加工性の評価を行なった。
【0040】この様にナトリウム型ゼオライト(Z−
1)あるいはSiO2 /Al2 3 モル比が50以上の
水素イオン化ゼオライト(Z−4)を用いると、ゼオラ
イト(Z−5、2、3)などを用いた場合に比べ、恐ら
く結晶化促進効果が劣るために、成形サイクルが長くな
ってしまう。
【0041】
【表1】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明は、成形加工性にすぐれたポリフ
ェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、さ
らに詳しくは、離型性が良好で結晶化速度が速く、成形
サイクルが改良されたポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物に関するものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂1
    00重量部、および(B)ナトリウム型におけるSiO
    2 /Al2 3 モル比が2〜50であり、かつゼオライ
    ト中の陽イオンが非金属陽イオンに置換された結晶性ゼ
    オライト0.1〜10重量部からなるポリフェニレンス
    ルフィド樹脂組成物。
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