JPH0655238A - 半溶融金属成形機の材料供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 半溶融状態の金属を加圧成形する成形手段
と、その成形手段へ素材を移送する移送手段とからなる
成形機において、成形手段と移送手段との連結、およ
び、その間の素材移送を円滑に行うための構造簡単な装
置を得ることである。 【構成】 素材たるビレットを半溶融状態に加熱する加
熱手段と、加熱されたビレットを成形手段へ移送する移
送手段とを備えた半溶融金属成形機の材料供給装置にお
いて、前記移送手段は複数のビレットを列状に配置して
逐次移送するように構成されると共に、前記移送手段か
ら成形手段へ向けてビレットを移動させる押圧手段を設
けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は主として軽合金を半溶
融状態に加熱した後、パンチとダイスで加圧して成形型
内へ流動させ充填する半溶融金属成形機において使用す
るのに好適な材料供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、金属素材を加熱して半溶融状態
とし、その状態で金型に入れて成形する成形方法は既に
公知に属する（例えば、特公平２−５１７０３号公
報）。

【０００３】このような技術を生産的に採用するには多
数の素材を一個づつ次々と加熱し、加熱が終了したらそ
れが冷えないうちに、コンベアからダイス孔へ迅速に移
送する必要があるが、半溶融状態に加熱され軟化してい
る素材を急速に移送する場合、搬送手段によってそれぞ
れの困難がある。すなわち、一般に、この種の成形機に
おいて、素材であるビレットをダイス孔へ供給するため
の移送手段として利用されるのはターンテーブルとコン
ベアである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ターン
テーブルは素材を載せてダイス孔の直上まで搬送できる
優位点を有するものゝ、多量の素材を供給するためには
大きな直径のターンテーブルを要し、機械の設置面積を
極度に大きくする不具合がある。また、コンベアを用い
れば、コンベアの長さを長くすることによって、ある程
度まで機械の設置面積の増加を抑えつゝ多量の材料を移
送手段に載せて置くことができる反面、ベルトの端部に
大径のプーリを設けるため、コンベアベルトとダイス孔
との間に大きな凹部を生じるので、その凹部を通過させ
るのが難しい。すなわち、単に凹部を通過するだけなら
渡し板を設ければ足りるが、その渡し板の上を通過させ
るための手段として多関節ロボットのような高度な産業
ロボットを要し、装置が高価になる上、移送のための時
間が長くなり、素材が冷えて液化率が低下する不具合が
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明はそのようなベ
ルトコンベアを用いることの優位性を維持しつゝ、素材
をコンベアからダイス孔へ移行させることの困難を解決
する廉価な装置を得ることを目的とするもので、素材た
るビレットを半溶融状態に加熱する加熱手段と、加熱さ
れたビレットを成形手段へ移送する移送手段とを備えた
半溶融金属成形機の材料供給装置において、前記移送手
段は複数のビレットを列状に配置して逐次移送するよう
に構成されると共に、前記移送手段から成形手段へ向け
てビレットを移動させる押圧手段を設けた点に特徴があ
る。

【０００６】

【作用】成形手段へ供給されるビレットは、複数個がベ
ルトコンベアやターンテーブルなどの移送手段の上に載
せられて直線あるいは曲線からなる軌跡を描きつゝ一個
づつ間欠的に送られる。その移送の過程で成形手段に至
る数工程前から高周波加熱その他の加熱手段によって半
溶融状態に加熱される。そして、素材が移送手段の終段
に至って停止すると押圧手段が作動し、移送手段の上に
置かれた素材が成形手段へ押圧され給送される。

【０００７】

【実施例】以下、図示の実施例によってこの発明を説明
する。図１において、１は半溶融金属の成形機であり、
成形手段２と、その成形手段２に対して半溶融状態に加
熱した素材のビレットＢを給送する移送手段４とを有す
る。この実施例においてビレットＢは数％のシリコンを
含むアルミニウム合金製であり、直径７５ｍｍ、高さ６
０ｍｍの円柱形に作られている。これを略５６０℃に加
熱すると約４５％の液化率が得られる。

【０００８】成形手段２をなすプレス機はベッド２ａを
挟んで立設されたコラム２ｂ、２ｂを有し、そのコラム
２ｂの上端を連結するクロスメンバ２ｃにラム２ｄを昇
降可能に支持している。２ｅはラム２ｄの下端部に取付
けられたパンチである。３はベッド２ａ上に支持された
金型であり、金型３は前記パンチ２ｅと協働するダイス
孔３ａとキャビティ３ｂ、およびそれらの間を連結する
ランナ３ｃとを備えている。よって、ダイス孔３ａに半
溶融状態に加熱されたビレットＢを供給し、パンチ２ｅ
を下降させ、その頂面を強圧すると、ビレットＢは流動
化してランナ３ｃを通りキャビティ３ｂ内を充填する。

【０００９】移送手段４はこの実施例ではチェーンコン
ベアであり、多数の搬送板４ａをチェーン４ｂで連結
し、スプロケット４ｃによって駆動するものである。そ
して、前記ビレットＢは搬送板４ａの一枚おきに設置さ
れた支持台４ｄ上に載置されるようになっている。チェ
ーンコンベアは図示してない電動機により、間欠的に駆
動される。すなわち、一工程分として搬送板４ａの２枚
分の距離だけ一時に移送され、その位置で一旦休止する
ようになっている。

【００１０】チェーンコンベアの後半にはビレットＢを
加熱するための加熱手段５として機能する高周波加熱装
置が付設されている。加熱手段５をなす高周波コイルは
この実施例では４個が１セットとされ、ビレットＢが成
形手段２に至る手前の４個の工程に設けられる。そし
て、前記移送手段４の動作に関連して移送中は上方に退
避し、休止中に下降して前記搬送板４ａ上のビレットＢ
を外周を覆った状態にした後に通電される。その後、所
定時間が経過すると、通電が絶たれ高周波コイルが上方
へ退避し、略同時にチェーンコンベアが移送を再開す
る。

【００１１】移送手段４の最終段には支持台４ｄと前記
成形手段２との間を移送板４ｅで連結してあり、前記加
熱手段５による加熱が終了して高周波コイルが上方へ退
避すると、その瞬間に押圧手段６が動作する。押圧手段
６は圧縮空気によって作動する空圧シリンダからなり、
内部のピストンに連結されたロッド６ａの一端が移送手
段４に向けて突出している。６ｃはロッド６ｂの端部に
取付けられた押し板であり、ビレットＢと平行の軸線を
持ち、且つ、それよりやゝ大きい半径を持つ弧状に形成
されている。これにより空圧シリンダ６ａの作用で押し
板６ｃが前進しビレットＢを押圧して成形手段２へ向か
うとき、ビレットＢが押圧方向から外れないようになっ
ている。６ｄは移送板４ｅに設けたビレットＢの落し孔
であり、移送板４ｅを押し板６ｃによって押されて来た
ビレットＢがこの落し孔６ｄにさしかゝると、そこを通
過して下方のダイス孔３ａ内へ落下する。６ｅは押し板
６ｃによって押されたビレットＢが前記落し孔６ｄ上を
通過してしまわないためのストップ板である。

【００１２】成形機１は以上のように構成されているの
で、ビレットＢは移送手段４によって１工程づつ間欠的
に搬送され、加熱されつゝ成形手段の側方に達し、押圧
手段によって成形手段２へ導かれる。そして、その過程
で加熱手段５により半溶融状態に加熱され、加熱終了と
共に、押圧手段６に押され移送板４ｅの上を滑って素早
く成形手段２であるダイス孔３ａへ導かれる。

【００１３】なお、上記実施例において成形手段は上側
にパンチと下側にダイスとを配置したものを示したが、
この関係を逆にしてパンチを下側にとダイスを上側とに
配置することも可能である。

【００１４】

【発明の効果】この発明は以上のように、素材たるビレ
ットの複数をベルトコンベアによって移送するから、移
送手段の上に多数の素材を載せておくことができるの
で、作業上の無駄時間が減少する。また、設備を設置す
るための面積が少なくて足りる。更に、ビレットＢをコ
ンベアからダイス孔へ導くのに移送板と押圧手段とによ
る簡単な構成で素材を掴んで移送する過程を要しないの
で、コンベアからダイス孔への移送が迅速に行われ、従
来のように移送の間に素材が冷えて液相率が低下する不
具合がないなど、実用上の効果が顕著である。

【図面の簡単な説明】

【図１】成形型１の断面図である。

【図２】その要部の断面図である。

【図３】従来の成形型を示す断面図である。

【符号の説明】

２・・・・成形手段 ２ｅ・・・パンチ ３ａ・・・ダイス孔 ４・・・・移送手段 ５・・・・加熱手段 ６・・・・押圧手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 素材たるビレットを半溶融状態に加熱す
   る加熱手段と、加熱されたビレットを成形手段へ移送す
   る移送手段とを備えた半溶融金属成形機の材料供給装置
   において、前記移送手段は複数のビレットを列状に配置
   して逐次移送するように構成されると共に、前記移送手
   段から成形手段へ向けてビレットを移動させる押圧手段
   を設けてなる半溶融金属成形機の材料供給装置。