JPH065180Y2 - プリントギャップ設定装置の温度補償構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 −産業上の利用分野− この考案は、プリンタの印刷ヘッドとプラテンとの間に
形成される用紙の通過間隙を使用する用紙の厚さに応じ
て設定する自動設定装置の改良に関するもので、ゴム材
等からなるプラテンの温度による硬度変化を補償する構
造に関するものである。

−従来の技術− 対向する印刷ヘッドとプラテンとの間に形成される用紙
の通過間隙は、用紙上への正確かつ鮮明な印刷と円滑な
用紙送りとを実現するために、用紙厚に応じ設定される
必要があり、ワイヤドットプリンタでは1/100ないし2/1
00ミリメートルのオーダーでの設定が必要である。

このプリントギャップの自動設定を行う手段としては種
々のものがあるが、この考案の出願人は、プラテンの進
退動作を利用してプリントギャップの自動設定を行う手
段を特開昭６１−１９９９６９号公報等において提唱し
ている。

その手段は第１図に示すように、印刷ヘッド１とプラテ
ン２との間に用紙３を挿通した状態でプラテン２を前進
（図で上動）させることによりバネ４で規定位置に付勢
されたヘッド支持体５上の印刷ヘッド１をバネ４の付勢
力に抗して一旦後退（図で上動）させ、センサ６で検出
される一定の基準位置からプラテン２を一定量後退（図
で下降）させた位置で保持することにより、プリントギ
ャップを設定するものである。

上記プリントギャップの自動設定動作を実現させるた
め、第１図に示す構造では、レバー７で昇降自在に軸支
したプラテン２をカム８で支え、パルスモータ９でカム
８を回動させることによりプラテン２を進退させる構造
とし、一方ガイドバー１１、１２で案内されるキャリア
本体１３にヘッド支持体５をピン１４で枢着すると共に
バネ４でヘッド支持体５から一体に伸びるアーム１５を
キャリア本体１３と一体のストッパ１６に押圧してヘッ
ド支持体５に搭載した印刷ヘッド１をストッパ１６で規
定される進出端位置からバネ４の付勢力に抗して退避さ
せることができる構造とし、該印刷ヘッドの基準退避位
置をアーム１５の先端に固設したセンサ６でキャリア本
体に固設した被検出片１７を検知させることにより検出
する構造としている。なお１８はヘッド支持体５に固設
されたリボンガイド、１９は被検出片１７をキャリア本
体１３に固定しているブラケットである。

この構造によれば、プラテン２を前進させて用紙３を介
してリボンガイド１８を押し上げることによりヘッド支
持体５を回動させて印刷ヘッド１を一旦後退させ、セン
サ６が被検出片１７を検出した位置から一定量の駆動パ
ルスをパルスモータ９に与えてプラテン２を後退させる
ことにより、リボンガイド１８とプラテン２との間の間
隙を用紙３の厚さに応じて自動的に設定することができ
る。

そしてこの構造は、プラテン２と印刷ヘッド１とで用紙
３の厚さを検出する構造であるので、プラテン２の寸法
誤差や温度変化による径変化にも影響されることなく、
正確なプリントギャップを設定することができる。

ところが、上記の如き装置ではプラテン等の熱膨張によ
る誤差が介入してくる余地がないにも関わらず、環境温
度や装置内温度が高くなったときに設定されたプリント
ギャップが正規の値から偏倚することが認められた。そ
こでその原因を調査したところ、該偏倚は温度上昇によ
るプラテンの硬度変化に基づくものであることが判明し
た。

即ち、プラテン２は一般にゴム質の材料で作られてお
り、温度上昇によってプラテン２の硬度が低下する。こ
の硬度の低下は、第３図のようにプラテン２を上動させ
て印刷ヘッド１を押し上げたときのプラテンの変形量δ
を増大させる。この変形量δの増大のために、プラテン
２は余分に上動することとなり、プラテン２を印刷ヘッ
ド１側で検出される基準後退位置から一定量後退させた
ときに形成されるプリントギャップは、第４図に示すよ
うにプラテンの変形量δの増加分だけ狭くなるのであ
る。

−問題点を解決するための手段− そこでこの考案は、印刷ヘッド１の基準後退位置を検出
するセンサ６と被検出片１７との間隙を温度に応じて広
狭させることにより、上記プラテン２の硬度低下に起因
するプリントギャップの誤差を補償したものである。

センサ６と被検出片１７との間隔を温度に応じて広狭さ
せるには、単にセンサ６または被検出片１７の支持部に
プリンタの構造部材となっている金属より大きな熱膨張
係数を有するプラスチック等のスペーサ２０を介入する
だけで良い。介入するスペーサ２０の厚さｄは、温度に
よるプラテンの変形量δの変化を計測し、これに見合う
熱膨張の差が生ずるように決定される。

−作用− 以上の構造によれば、温度上昇によりプラテンの変形量
δが増大したときにはそれに見合う量だけセンサ６と被
検出片１７との間隔が狭くなり、センサ６で検出される
基準後退位置がプラテン２側に近づくから、温度上昇に
よってプリントギャップが狭くなるのを防止することが
でき、温度変化に関わらずプリントギャップを用紙厚に
応じて正確に設定できることとなる。

−実施例− 第１図にはこの考案の第１実施例が示されており、温度
補償用のプラスチックスペーサ２０が被検出片１７とそ
のブラケット１９との間に介装されている。このプラス
チックスペーサの厚さｄは約１cmである。このスペーサ
２０は第２図の第２実施例に示すようにセンサ６側に介
装しても良い。

−考案の効果− この考案の構造により、温度上昇に伴うプラテンの硬度
変化に起因するプリントギャップの設定誤差が補償さ
れ、プリントギャップが常に正確に自動設定されるよう
になった。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例を示す側面図、第２図は
第２実施例の要部を示す側面図、第３図および第４図は
温度上昇に伴うプリンタの硬度変化に起因してプリント
ギャップの設定値が変化する理由を説明する図である。 １：印刷ヘッド、２：プラテン ３：用紙、６：センサ １７：被検出片、２０：スペーサ ｄ：スペーサの厚さ、δ：プラテンの変形量

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プラテン(2)を印刷ヘッド(1)に向けて前進
   させることにより用紙(3)を介して印刷ヘッド(1)を押動
   後退させ、その後退位置をセンサ(6)と被検出片(17)と
   の対により検出して該検出位置を基準としてプラテン
   (2)を一定量後退させることによりプリントギャップを
   用紙厚に応じて設定するプリントギャップ設定装置にお
   いて、センサ(6)と被検出片(17)との少なくとも一方が
   プリンタの構造部材より大きな熱膨張係数を有する材料
   で作られたスペーサ(20)を介して固定されていることを
   特徴とする、プリントギャップ設定装置の温度補償構
   造。