JPH0651590U - フライホイール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クランク軸の後端に装着されるフライホイー
ルの振れを規制して、クランク軸の後端の曲げ振動を効
果的に低減する。 【構成】 クランク軸１の後端に連結プレート２を、リ
ンフォースプレート４とボルト６により締結し、連結プ
レート２にフライホイール３を結合し、例えばリンフォ
ースプレート４に形成した振れ止めフランジ部４ｂをフ
ライホイール３の内側のくぼみ３ｂに押圧接触して、ク
ランク軸１が高い周波数で加振される際の後端の曲げ振
動を低減する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのクランク軸の後端に装着されるフライホイールの構造に 関し、詳しくは、フレキシブルフライホイールの場合の曲げ振動低減構造に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、エンジンのクランク軸の後端には所定の重量のフライホイールが装着 され、このフライホイールの慣性を利用して、クランク軸を膨張以外の行程でも 滑らかに回転するように構成されている。このフライホイールの構造において、 フライホイールをリング状に形成して、その外周部に連結プレートをボルト締め し、このプレートの中心部をクランク軸の後端のフランジ部に、リンフォースプ レートとボルトにより締結したフレキシブルフライホイールが知られている。

【０００３】 従来、上記クランク軸のフライホイール構造に関しては、例えば特開平２−２ ２９９４１号公報の先行技術がある。ここでクランク軸の後端にフライホイール を、弾性板、補強部材、ボルトにより締結し、且つ補強部材のフランジ部をフラ イホイールの内周に所定の隙間を有して係合することが示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記先行技術のものにあっては、フライホイールの接合面の面振れ 量を規制するため、補強部材のフランジ部をフライホイールに対して所定の隙間 を有して係合した構成であるから、フライホイールの振れに伴うクランク軸後端 の曲げ振動を抑制することができない。

【０００５】 本考案は、この点に鑑みてなされたもので、クランク軸の後端に装着されるフ ライホイールのマスダンピング作用により、クランク軸の後端の曲げ振動を効果 的に低減することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、クランク軸の後端に連結プレートが、リ ンフォースプレートとボルトにより締結され、連結プレートにフライホイールが 結合されるフライホイール構造において、フライホイールとリンフォースプレー トに振れ止め部を設け、この振れ止め部を軸方向に押圧接触するものである。

【０００７】

【作用】

上記構成に基づき、クランク軸が比較的低い周波数で加振されると、フライホ イールは振れ止め部材に関係なくダンパ作用して振動が低減され、高い周波数で 加振されると、振れ止め部間のフリクション作用によりフライホイールの前後方 向の振れが規制されて曲げ振動も低減されるようになる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１において、本考案の第 １の実施例について説明すると、符号１はクランク軸、２は浅い碗型に形成され る連結プレート、３は中心に孔３ａの明いた所定の厚さのフライホイール、４は リンフォースプレートである。ここでフライホイール３はクランク軸１と反対側 で孔３ａの周囲にくぼみ３ｂが形成される。またリンフォースプレート４はフラ イホイール３の孔３ａより小径の圧着部４ａを有し、この圧着部４ａの周囲に振 れ止めフランジ部４ｂが所定量突出して形成される。

【０００９】 そこでフライホイール３の片側に連結プレート２が、外周部を取付けボルト５ により締結して結合される。そしてこの連結プレート２の中心部がクランク軸１ の後端のフランジ部１ａに合致され、この連結プレート２のフランジ部１ａと反 対側にリンフォースプレート４の圧着部４ａを接してボルト６を締付けることに より、クランク軸１の後端にフライホイール３が一体的に結合される。またこの リンフォースプレート４の取付け時にその振れ止めフランジ部４ｂがフライホイ ール３のくぼみ３ｂに挿入され、ボルト締付けの際に連結プレート２を弾性変形 しながらくぼみ３ｂの底に振れ止めフランジ部４ｂが押圧接触される。こうして 振れ止めフランジ部４ｂにより、クランク軸１の曲げ振動に対しフライホイール ３の回転方向の移動によるフリクションダンパ作用を許容しつつ、クランク軸１ の曲げ振動を規制するように構成される。

【００１０】 次に、この実施例の作用について説明する。先ずエンジン運転時にはクランク 軸１の回転に伴い連結プレート２を介してフライホイール３も回転し、このフラ イホイール３の慣性により回転変動が吸収される。このとき低中速時にクランク 軸１が比較的低い周波数で曲げ加振されると、フライホイール３が面振れ振動し てマスダンパ作用し、従来と同様にクランク軸１の曲げ振動が低減される。また 高速時にクランク軸１が高い周波数で加振されると、クランク軸１の後端では、 クランク軸１の曲げ振動に対してフライホイール３が逆位相で面振れ振動するよ うになる。するとこの場合にリンフォースプレート４の振れ止めフランジ部４ｂ とフライホイール３のくぼみの押圧接触によるフリクションダンピング作用によ り、クランク軸１の後端の曲げ振動が図３の鎖線のように低減される。

【００１１】 図２において、本考案の第２の実施例について説明する。この実施例ではリン フォースプレート４に凹部４ｃが形成され、フライホイール３の孔３ａの周囲に 上述と同様にくぼみ３ｂが設けられ、更にダンピング材７を備えた振り止めキャ ップ８を有する。そしてクランク軸１の後端のフランジ部１ａにフライホイール ３と一体結合する連結プレート２が、リンフォースプレート４の凹部４ｃに埋没 するボルト６で締結される。またフライホイール３のくぼみ３ｂの内部には振り 止めキャップ８がボルト９により取付けられ、このときダンピング材７をリンフ ォースプレート４の後面に押圧接触するように構成される。

【００１２】 そこでこの実施例においても、特にエンジンの高速時にクランク軸１の後端が 高い周波数で曲げ加振されると、クランク軸１の曲げ振動により発生するリーン フォースプレートの面振れ振動とフライホイール３の面振れ振動によるキャップ ８の変位との相殺変位によってダンピング材７によりフリクションダンピング効 果が現れ、クランク軸１の曲げ振動が緩和されて、騒音が低減される。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、クランク軸の後端にフライホイールが フレキシブルフライホイールの構造で装着される場合において、フライホイール とリンフォースプレートの間に、振れ止め部がフライホイールの間でフリクショ ンダンパ作用を許容するように装着されるので、クランク軸の曲げ振動を抑制し て、騒音等を有効に低減することができる。第１の実施例では、リンフォースプ レートに振れ止めフランジ部が形成されるので、部品点数が少なくなり、組付け も容易化する。第２の実施例では、ダンピング材により一層騒音が低減する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るフライホイール構造の第１の実施
例を示す断面図である。

【図２】本考案の第２の実施例を示す断面図である。

【図３】クランク軸の加振の際の振動応答特性を示す図
である。

【符号の説明】

１ クランク軸 ２ 連結プレート ３ フライホイール ４ リンフォースプレート ４ｂ 振れ止めフランジ部 ５，６ ボルト ８ 振れ止めキャップ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク軸の後端に連結プレートが、リ
   ンフォースプレートとボルトにより締結され、連結プレ
   ートにフライホイールが結合されるフライホイール構造
   において、フライホイールとリンフォースプレートの一
   方に振れ止め部を設け、この振れ止め部をフライホイー
   ルとリンフォースプレートの他方に、フライホイールの
   前後方向の振れを規制するように押圧接触することを特
   徴とするフライホイール構造。
2. 【請求項２】 上記リンフォースプレートは圧着部の周
   囲に振れ止めフランジ部が形成され、この振れ止めフラ
   ンジが連結プレートの弾性変形によりフライホイールの
   内側のくぼみに押圧接触されることを特徴とする請求項
   １記載のフライホイール構造。
3. 【請求項３】 上記フライホイールは内側に振れ止めキ
   ャップが取付けられて、この振れ止めキャップのダンピ
   ング材がリンフォースプレートに押圧接触されることを
   特徴とする請求項１記載のフライホイール構造。