JPH0649726B2 - アニオン性キトサン誘導体の製造方法 - Google Patents

アニオン性キトサン誘導体の製造方法

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JPH0649726B2
JPH0649726B2 JP59238534A JP23853484A JPH0649726B2 JP H0649726 B2 JPH0649726 B2 JP H0649726B2 JP 59238534 A JP59238534 A JP 59238534A JP 23853484 A JP23853484 A JP 23853484A JP H0649726 B2 JPH0649726 B2 JP H0649726B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、未利用天然資源であるキチンを脱アセチル化
することにより安価かつ多量に得られるキトサンを出発
原料とする新規カチオン性キトサン誘導体の製造方法に
関する。
従来の技術 えび、カニ等の甲殻などに含まれるキチンを濃アルカリ
水溶液中で脱アセチル化することによりキトサンが得ら
れる。キトサンは遊離のアミノ基を塩酸、酢酸、乳酸な
どの酸で中和することにより水溶性のキトサン塩とな
り、このキトサン塩は一部工場廃水や都市下水の凝集剤
として使用されているがキトサン自体は水不溶性のため
に、その用途はかなり限定されているのが実状である。
水溶性に優れたキトサンを得る方法として、キトサンに
酸化エチレンまたは酸化プロピレンを反応させる方法
(特開昭57−180602)、グリシドールを反応させる方法
(特開昭59−8701)が知られている。また、本発明者は
先に、キトサンに、2,3−エポキシプロピルトリメチ
ルアンモニウムクロライド等を反応させることにより、
第4級アンモニウム塩基をキトサン導入してカチオン化
することを提案した(特願昭59−180460号)。しかしな
がら、キトサンに直接アニオン基を導入して、水溶性で
アニオン活性の高いキトサン誘導体を得る方法に関して
は未だ知られていない。
発明の目的 本発明は水溶性で、しかも優れたカチオン活性を有する
キトサン誘導体を容易に製造することのできる方法を提
供することを目的とする。
発明の構成 本発明の1はキトサンと、一般式(I)で示されるアニ
オン化剤とを反応させることを特徴とするアニオン性キ
トサン誘導体の製造方法にある。
XCHSOM (I) (式中、Xは 基を表わし、MはNa,KまたはNHを表わす) 本発明の他の1は、キトサンと上記アニオン化剤との反
応生成物に対し、さらにヒドロキシアルキル化剤を反応
させることを特徴とするアニオン性キトサン誘導体の製
造方法にある。
キトサンは、一般式(II) で表わされるN−アセチル化−D−グルコサミンがβ−
1,4で結合したキチンの脱アセチル化物である。本発
明では脱アセチル化率50〜99%のものが適当である。こ
のようなキトサンは、たとえば、キチンを30〜50%のア
ルカリ水溶液中で50〜130℃の温度で脱アセチル化する
ことにより得ることができる。キトサンは微粉末状でア
ニオン化剤と反応させることが好ましい。
本発明で用いられるアニオン化剤は3−クロル−2−ヒ
ドロキシプロピルスルホン酸塩または2,3−エポキシ
プロピルスルホン酸塩であり、塩としてはナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好適である。3−ク
ロル−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸塩とキトサン
の反応においては、スルホン酸塩とアミン塩酸塩を含有
する両性のキトサン誘導となって水不溶となるので、反
応後塩酸塩をアルカリで中和した方が望ましい。2,3
−エポキシプロピルスルホン酸塩は3−クロル−2−ヒ
ドロキシプロピルスルホン酸を等モル量の5〜50%アル
カリ水溶液で処理することにより得られる。
キトサンと、アニオン化剤との反応は、有機溶媒下で20
〜120℃、望ましくは40〜80℃の温度で2〜20時間スラ
リー状態を保ちつつ撹拌することによって行われる。望
ましくは、反応は水の存在下で行われる。反応時の水の
濃度は5〜60%、望ましくは10〜40%である。有機溶媒
としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン類が用いられる。それらの使用量はキ
トサンに対して1〜20倍重量である。
反応生成物は、濾過または遠心分離などの固液分離手段
により固形物と溶液とに分離され、固形物として粉末状
のアニオン性キトサンが回収される。また、必要に応じ
て、固形物は50〜100%のケトンまたはアルコール水溶
液で洗浄され、減圧下または常圧下で50〜120℃の温度
で乾燥される。本発明で使用されるアニオン化剤の添加
量は、キトサンの構成成分であるグルコサミン中のアミ
ノ基に対して0.1〜1.5倍モル、好ましくは0.5〜1.2倍と
するのが適当である。
また、キトサンとアニオン化剤との反応生成物に、さら
にヒドロキシアルキル化剤を作用させて水溶性を高める
こともできる。
ヒドロキシアルキル化剤としては酸化エチレン、酸化プ
ロピレン、グリシドールなどが用いられる。ヒドロキシ
アルキル化反応は、アニオン性キトサンを分離、回収
し、さらに必要に応じて精製したのち行うこともできる
し、反応混合物に直ちにヒドロキシル化剤を添加するこ
とによっても行うことができる。
ヒドロキシアルキル化条件は前記のキトサンのアニオン
化の場合と同様であるが、塩基性触媒の存在下に行うこ
とが好ましい。塩基性触媒としては、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の水酸化物などが用いられ
る。触媒の使用量はアニオン性キトサンに対して0.5〜2
0wt%、好ましくは2〜10wt%が適当である。
ヒドロキシアルキル化はヒドロキシアルキル基含量が5
〜80%、好ましくは10〜50%となるようにするのが適当
である。
本発明によって得られる反応生成物は元素分析、赤外分
光分析、溶解性試験、化学分析などによってアニオン性
キトサン誘導体であることが確認される。
発明の効果 本発明によれば、水溶性でアニオン活性が高いアニオン
性キトサン誘導体を容易に得ることができ、キトサン本
来がもつ成膜性が損なわれることもない。よって、化粧
品基材、凝集剤、帯電防止剤などの用途に利用できる。
実施例1 脱アセチル化率87モル%の粉末キトサン(水分7.8%)2
0gを90%イソプロパノール水溶液120g中に分散させ
た。3−クロル−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸ナ
トリウム24gに等モル量の15%カセイソーダ水溶液32.6
gを40〜50℃加えて混合溶解させ、2,3−エポキシプ
ロピルスルホン酸ナトリウムに変換させた後、上記分散
液に添加した。60〜70℃で7時間反応を行った。次い
で、濾過し、80wt%イソプロピルアルコール水溶液によ
る洗浄をくり返した後、奨過残を100±5℃で2時間乾
燥して乾物換算で36gの白色粉末を得た。この白色粉末
は冷水に溶解し、また、カチオン性高分子とポリイオン
コンプレックスを形成して沈澱すること、赤外吸収スペ
クトルで1600cm-1のNHの吸収帯が消失すると共に置
換された>NHの吸収帯が1570cm-1に、またSO
吸収帯が1200cm-1にみれることからアニオン化されたキ
トサンであることを確認した。元素分析値からアニオン
化度はグルコサミン単位当り0.85であった。
実施例2 脱アセチル化率87モル%の粉末キトサン(水分7.8%)2
0gを90%イソプロピルアルコール水溶性120g中に分散
させ、3−クロル−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸
ナトリウム29.5gにイオン交換水40gを40〜50℃で加え
て混合溶解させた後、上記分散液に添加した。60〜70℃
で10時間反応を行った。10%カセイソーダ水溶液32gを
加えてアミン塩酸をアミノ基にした後濾過し、80%イソ
プロピルアルコール水溶液による洗浄をくり返した。濾
過残を100±5℃で2時間乾燥して乾物換算で35gの白
色粉末を得た。この白色粉末は冷水に溶解し、またカチ
オン性高分子とポリイオンコンプレックスを形成して沈
澱すること、赤外吸収スペクトルで1600cm-1のNH
収帯が消失すると共に置換された>NHの吸収帯が1570
cm-1に、またSO3−の吸収帯が1200cm-1にみられるこ
とからアニオン性キトサンであることを確認した。元素
分析値からアニオン化度はグルコサミン単位当り0.83で
あった。
実施例3 脱アセチル化率87モル%の粉末キトサン(水分7.8%)2
0gを90%イソプロピルアルコール水溶液120g中に分散
させた。3−クロル−2−ヒドロキシプロピルスルホン
酸ナトリウム17gに等モル量の15%カセイソーダ水溶液
23.1gを40〜50℃で加え、混合溶解させ、2,3−エポ
キシプロピルスルホン酸ナトリウムに変換させた後、上
記分散液に添加した。60〜70℃で7時間反応を行った。
次に室温まで冷却し、15%カセイソーダ水溶液8.0を加
えたち、酸化エチレン15gを加え、60〜70で5時間反応
を行なった。反応後、酢酸2.3gを加えて、遊離のカセ
イソーダを中和し、濾過したのち80%イソプロピルアル
コール水溶液による洗浄をくり返した。濾過残を100±
5℃で2時間乾燥して粉末のヒドロキシエチル化アニオ
ン性キトサン40.8g(絶乾重量)を得た。このアニオン
性キトサンは、冷水に溶解し、元素分析値からアニオン
化度はグルコサミン単位当り0.75で、また、モルガン法
による分析値からヒドロキシエチル基含量は22.1%であ
った。
実施例4 脱アセチル化率87モル%のキトサン(水分7.8%)20g
を90%イソプロピルアルコール水溶液120g中に分散さ
せ、3−クロル−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸ナ
トリウム17gに等モル量の15カセイソーダ水溶液23.1g
を40〜50℃で加え、混合溶解させ、2,3−エポキシプ
ロピルスルホン酸ナトリウムに変換させた後、上記分散
液に添加した。60〜70℃で7時間反応させた。次に室温
まで冷却し、15%カセイソーダ水溶液12.0gを加えた
後、酸化プロピレン15gを加え、60〜70℃で8時間反応
を行なった。反応後、酢酸3.5gを加えて遊離カセイソ
ーダを中和し、濾過したのち、80%イソプロピルアルコ
ール水溶液による洗浄をくり返した。濾過残を100±5
℃で2時間乾燥して粉末のヒドロキシプロピル化アニオ
ン性キトサン41.2g(絶乾重量)を得た。このアニオン
性キトサンは冷水に溶解し、元素分析値からアニオン化
度はグルコサミン単位当り0.75で、また、モルガン法に
よる分析値からヒドロキシプロピル基含量は21.7%であ
った。
実施例5 脱アセチル化率87モル%のキトサン(水分7.8%)20g
を90%イソプロピルアルコール水溶液120g中に分散さ
せた。3−クロル−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸
ナトリウム17gに等モル量の15%カセイソーダ水溶液2
3.1gを40〜50℃で加え、混合溶解させ、2,3−エポ
キシプロピルスルホン酸ナトリウムに変換させた後、上
記分散液に添加した。60〜70で7時間反応させた。次に
室温まで冷却し、15%カセイソーダ水溶液12.0gを加え
た後、グリシドール20gを加え、60〜70℃で8時間反応
を行なった。反応後、酢酸3.5gを加え、遊離のカセイ
ソーダを中和し、濾過した後、80%イソプロピルアルコ
ール水溶液による洗浄をくり返した。濾過残を100±5
℃で2時間乾燥して、粉末のグリセリル化アニオン性キ
トサン43.8g(絶乾重量)を得た。このアニオン性キト
サンは冷水に溶解し、元素分析値からアニオン化度はグ
ルコサミン単位当り0.75で、また、収量増加量よりグリ
セリル基含量は26.4%であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キトサンと、一般式(I) XCHSOM (I) (式中、Xは 基を示し、MはNa,KまたはNHを示す) で表わされるアニオン化剤とを反応させることを特徴と
    するアニオン性キトサン誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】キトサンと、一般式(I) XCHSOM (I) (式中、Xは 基を示し、MはNa,KまたはNHを示す) で表わされるアニオン化剤とを反応さたのち、さらに得
    られた反応生成物とヒドロキシアルキル化剤とを反応さ
    せることを特徴とするアニオン性キトサン誘導体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】ヒドロキシアルキル化剤が酸化エチレンで
    ある特許請求の範囲第2項に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】ヒドロキシアルキル化剤が酸化プロピレン
    である特許請求の範囲第2項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】ヒドロキシアルキル化剤がグリシドールで
    ある特許請求の範囲第2項に記載の製造方法。
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